説明

価値媒体処理装置

【課題】小型のICコイン及びコインを処理できる小型で既設の価値媒体処理装置と互換性を有する価値媒体処理装置を安価に提供する。
【解決手段】投入口114に続いて設けた前記ICコイン及びコインが転動する共通転動通路116、前記共通転動通路116の側部に配置した前記コイン特徴検知装置118、前記共通転動通路116を転動するICコインの特徴を検知するICコイン特徴検知装置118、前記共通転動通路116に続いて並置されたコイン通路の入口及びICコイン通路の入口、各入口の上流に配置した媒体振分装置134、前記ICコイン通路の側方に位置するICコインと通信する通信装置、前記コイン特徴検知装置118からの情報若しくは前記ICコイン特徴検知装置118からの情報により前記媒体振分装置134を作動させ、前記共通転動通路116を前記ICコイン通路又は前記コイン通路に切り替える制御装置を備える価値媒体処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインの真偽を判別し、及び、コイン型電気的価値情報記憶媒体(ICコイン)の価値情報を読み込み、若しくは書き込みできる価値媒体処理装置に関する。
詳しくは、共通する投入口に投入したコイン及びICコインを選別して収納又は返却できる価値媒体処理装置に関する。
さらには、共通する投入口に投入したコイン及びICコインを選別して収納又は返却でき、かつ事実上の標準サイズに収めることができるコイン・ICコインのための価値媒体処理装置に関する。
なお、本発明に係る価値媒体処理装置は、コイン式ゲーム機や自動販売機等に使用可能である。
本明細書において、「コイン」とは、通貨としての硬貨、ゲーム機のメダルおよびトークン等の総称であり、「ICコイン」とはコイン型電気的価値記憶媒体の総称である。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、ICコインと硬貨のいずれも投入可能な縦スリット状の共通投入口の背後に当該投入口と同幅の縦長行路を設け、当該縦長行路の底面にはその幅方向中央部において硬貨のみを収めうる幅の相対的高勾配なくだり斜面の硬貨用通路を形成してその先に硬貨のみ落下する幅のスリット状硬貨受入口を設けると共に、該硬貨用通路の両端脇においてはより低勾配な下り斜面の路肩を形成し、該スリット状硬貨受入口より先に先方にICコイン受け入れ部を設けた種分け機構知られている(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、同一の投入口に続いて下向きに傾斜するコイン搬送路を設け、このコイン搬送路に複数のシャッタを配置し、投入されたコインの大きさを判別して複数のシャッタを選択的に開くことにより、ICコイン及びコインをそれぞれに対応した処理部に振り分けるものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
第3の従来技術として、コインを投入するコイン投入口と、このコイン投入口から投入されたコインを径方向に転動させる転動通路と、この転動通路を転動するコインを処理するコイン処理手段とを備えたコイン処理装置において、前記転動通路内に、コインと前記コイン投入口から投入された円板状の非接触型IC媒体とを振り分ける振分手段と、この振分手段によって振り分けられた非接触型IC媒体を処理する媒体処理手段とを備え、前記振分手段を重量選別手段とし、この重量選別手段によって選別された非接触型IC媒体を前記媒体処理手段に導入したことを特徴とするコイン処理装置が知られている。
さらに、第4の従来技術として、前記第3の従来技術において、前記振分手段に、コインよりも径の大きい非接触型IC媒体を一旦係止する係止手段を設け、この係止部で一旦係止された非接触型IC媒体を前記媒体処理手段によって処理することを特徴とするコイン処理装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006-189986(図1−図3、2頁―4頁)
【特許文献2】特開2005-293097(図2−7、6頁―11頁)
【特許文献3】特開2002-063623(図1−3、1頁―4頁)
【0004】
第1の従来技術は、コインとICコインとを同一の投入口に投入でき、顧客が投入口を間違えない利点がある。
しかし、低勾配な下り斜面の路肩によってコインを硬貨通路に落下させるが、コインは転動により慣性力を有しているため、路肩上を転がり、コイン用通路に落下せず、結果としてコインの選別を行うことができない恐れがある。
また、コインはICコインの通路を転動中に振分られた後、識別される。
よって、ICコインの読込若しくは書込装置はコインが転動する通路の下流に配置せねばならず、装置が大型化する問題がある。
さらに、第1の従来技術においては、コインの真偽は、厚みを機械的に判別しているのみであるので、厚みのみ同一とした偽コインを選別することはできない。
真偽判別精度を高めるには直径、材質等を加えて真偽判別する必要があるが、コイン用通路に続いて判別装置を設けねばならず、装置が大型化する問題がある。
詳細には、ゲーム機等に既に使用されているコイン選別装置との互換性を確保する観点から、従来のコイン選別装置の大きさに収めることが要求される。
具体的には、世界的に事実上の標準になっている縦及び横寸法が3.5インチサイズに価値媒体処理装置が収納されなければならない。
第1従来技術は前記のように大型化するので、互換性を確保することができない。
【0005】
第2の従来技術は、第1の従来技術同様にシャッタで振り分けた下流に、ICコインの処理装置及びコインの真偽判別部を配置せねばならず、既設機との互換性を有する大きさにすることができない。
【0006】
第3の従来技術は、重量選別手段によってコインとICコインとを振り分けるものであるから、コインの投入速度によっても影響を受け、コインがICコインとして選別される恐れがある。
さらに、投入口に続く一部が共通するが、大部分はコイン用通路とICコイン用通路とを別に設けねばならず、既設機との互換性を有する大きさにすることができない。
【0007】
第4の従来技術は、コインとICコインとの直径の相違により選別するので、ICコインの大きさを自由に設定できない問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、ICコイン及びコインを処理できる小型の価値媒体処理装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、既設の価値媒体処理装置と互換性を有するICコイン及びコインを処理できる価値媒体処理装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、小型のICコイン及びコインを処理できる価値媒体処理装置を安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明にかかる価値媒体処理装置は以下のように構成される。
コインICコインとの共通の投入口に投入された前記コインの真偽を判別して受入コインと返却コインとに選別し、及び前記ICコインと通信して受入ICコイン若しくは返却ICコインに選別する価値媒体処理装置において、前記投入口に続いて設けた前記ICコイン及びコインが転動する共通転動通路、前記共通転動通路の側部に配置した前記コイン特徴検知装置、前記共通転動通路を転動するICコインの特徴を検知するICコイン特徴検知装置、前記共通転動通路に続いて並置された前記コインが転動するコイン通路の入口及び前記ICコインが移動するICコイン通路の入口、前記コイン入口及び前記ICコイン入口の上流に配置した媒体振分装置、前記ICコイン通路の側方に位置するICコインと通信する通信装置、前記コイン特徴検知装置からの特徴情報若しくは前記ICコイン特徴検知装置からの情報に基づいて前記媒体振分装置を作動させ、前記共通転動通路を前記ICコイン通路又は前記コイン通路に切り替える制御装置、を備えることを特徴とする価値媒体処理装置である。
【0010】
請求項2の発明は、コインとICコインとの共通の投入口に投入された前記コインの真偽を判別して受入コインと返却コインとに選別し、及び前記ICコインと通信して受入ICコイン若しくは返却ICコインに選別する価値媒体処理装置において、前記投入口に続いて設けた前記ICコイン及びコインが転動する共通転動通路、前記共通転動通路の側部に配置した前記コインの特徴検知装置、前記共通転動通路に続いて配置した前記コインが転動するコイン通路のコイン入口及び前記ICコインが移動するICコイン通路のICコイン入口、前記ICコイン入口の下流に配置したICコイン保留装置、前記コイン入口及び前記ICコイン入口の上流に配置した媒体振分装置、前記ICコイン保留装置に保留された前記ICコインと通信する通信装置、前記ICコイン保留装置の下流に配置したICコイン振分装置、前記ICコイン振分装置の下流に配置したICコイン収納通路及び返却通路、前記コイン入口の下流に配置した返却振分装置、前記返却振分装置の下流に配置したコイン返却通路及びコイン収納通路、前記特徴検知装置からの特徴情報若しくは前記通信装置からの情報に基づいて前記媒体振分装置をICコイン通路又はコイン通路に切り替える制御装置、を備えることを特徴とする価値媒体処理装置である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の価値媒体処理装置において、前記媒体振分装置と前記ICコイン保留装置は一体化され、前記制御装置からの指令により前記コイン通路に突出してICコインを受け入れることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の価値媒体処理装置において、前記ICコイン保留装置は通常一部が前記コイン通路の一部を画定する待機位置に保持され、前記ICコイン受入時のみ前記コイン通路に進出した後直ぐさま前記待機位置に戻されることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項2の価値媒体処理装置において、前記ICコイン保留装置は収納案内部材と返却案内部材とにより構成され、これら案内部材の協働によってICコイン保留装置を構成し、前記収納案内部材の協働を解除することにより、前記ICコインが前記返却案内部材に案内されて返却通路に案内され、前記返却案内部材の協働を解除することにより前記収納案内部材により前記ICコイン収納通路に案内されることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1又は2の価値媒体処理装置において、前記共通転動通路は投入口に続いてほぼ垂直下方に延びる垂下通路、前記垂下通路に続いて下向きに傾斜する傾斜通路よりなり、前記傾斜通路に続いて前記傾斜方向と逆向きにコインを転向させる転向通路及び前記転向通路に続いて前記共通転動通路の下方において前記傾斜と逆向きに下向きに傾斜するコイン通路を配置し、前記転向通路に前記ICコイン振分装置を配置し、前記ICコイン振分装置の下流に隣接してコイン振分装置を配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6の価値媒体処理装置において、前記コイン振分装置の下流に隣接して金種振分装置を配置したことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7の価値媒体処理装置において、前記ICコイン保留装置は収納案内部材と返却案内部材とにより構成され、これら案内部材の協働によってICコイン保留装置を構成し、前記収納案内部材の協働を解除することにより、前記ICコインが前記返却案内部材によって前記返却通路に案内され、前記返却案内部材の協働を解除することにより前記収納案内部材により前記ICコイン収納通路に案内されることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項8の価値媒体処理装置において、前記返却通路は横向きの側方出口及び下向きの下方出口に連通していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
共通の投入口に投入されたコインは、下向きに傾斜する共通転動通路を転動する過程においてコイン特徴検知装置によって特徴を検知され、その特徴に基づいて真偽判別される。
ICコインはコインと共通の共通転動通路を転動する過程で通信装置若しくはコイン特徴検知装置等のICコイン特徴検知装置によりICコインであるか否かが判別される。
この判別結果に基づいて、制御装置が媒体振分装置を作動させ、コインはコイン通路へ、ICコインはICコイン通路へ振り分ける。
そして、コイン通路に振り分けられたコインは真偽判別に基づいて収納若しくは返却される等適当に処理される。
ICコイン通路に振り分けられたICコインは通信装置を介した通信によって適当に処理され、ICコイン収納通路若しくは返却通路に案内され適当に処理される。
前述したように、コインとICコインとは共通転動通路を転動する過程で特徴情報を取得され、コイン又はICコインとして判別される。
本発明ではコインとICコインとは共通転動通路を転動するため、装置を小型化できる。
また、投入速度に相違があっても、コイン及びICコインが転動する過程で減速されるので、転動速度は平均化される。
この平均化された状態で、コイン、ICコインの特徴情報を得るので、投入速度の影響を受けにくい。
これによって、精度の高い特徴情報を得ることができるので、正確な判別ができる利点がある。
【0019】
請求項2の発明において、共通の投入口に投入されたコインは、下向きに傾斜する共通転動通路を転動する過程においてコイン特徴検知装置によって特徴を検知され、その特徴に基づいて真偽判別される。
ICコインはコインと共通の転動通路を転動する過程で通信装置若しくはICコイン特徴検知装置等のICコイン特徴検知装置により特徴を検知され、ICコインであるか否かが判別される。
この判別結果に基づいて、制御装置が媒体振分装置を作動させ、コインをコイン通路へ、ICコインをICコイン通路へ振り分ける。
そして、コイン通路に振り分けられたコインは、コイン通路を転動する過程でコイン特徴検知手段からの特徴情報に基づく真偽判別に基づいてコイン振分装置が作動され、真正コインの場合コイン収納通路に案内され、偽コインの場合返却通路に案内される。
ICコイン通路に振り分けられたICコインはICコイン保留装置に保留され、通信装置と通信して適当な処理がされ、収納若しくは返却の判断がなされる。
【0020】
この判別に基づいてICコイン振分装置が作動され、収納すべきICコインは収納通路に案内され、返却すべきICコインは返却される。
前述したように、コインとICコインとは共通転動通路を転動する過程でコイン又はICコインとして判別される。
共通の転動通路であるため、装置を小型化できる。
また、コイン及びICコインが転動する過程でコイン、ICコインの特徴情報を得るので、それらの投入速度によって影響を受けにくい。
これによって、精度高い特徴情報を得ることができるので、正確な判別ができる利点がある。
さらに、コインは真偽判別に基づいて、及びICコインは所定の処理に基づいて収納又は返却でき、かつコイン及びICコインを併用できるので、代金の自動徴収に都合がよい。
【0021】
請求項3の発明において、媒体振分装置とICコイン保留装置は一体化されている。換言すれば、ICコインは共通転動通路から媒体振分装置によって振り分けられると共に保留される。
よって、二つの装置が一体化されているので、省スペースとなり、装置を小型化できる利点がある。
【0022】
請求項4の発明において、ICコイン保留装置は通常、一部が前記コイン通路の一部を画定する待機位置に保持され、共通転動通路の直ぐ下流に位置するコイン通路の一側を案内する。
ICコインをICコイン通路に振り分ける場合、ICコイン保留装置はコイン通路に突出される。これにより共通転動通路から移動するICコインは、ICコイン保留装置に受入られ、保留される。
ICコイン保留装置はICコインを保留後直ぐさま待機位置に戻される。
ICコインに続いてコインが投入された場合、共通転動通路を転動して待機位置に位置するICコイン保留装置に案内されてコイン通路を進行し、コイン振分装置によってコイン収納通路又は返却通路に案内される。
ICコインに引き続いてICコインが投入された場合、既にICコイン保留装置にICコインが保留されているので、ICコイン保留装置はコイン通路に突出されない。
よって、ICコインはコイン通路を転動し、収納すべきコインでないので返却通路に返却される。
よって、ICコインの重複処理をすることがない利点を有する。
【0023】
請求項5の発明において、ICコイン保留装置は収納案内部材と返却案内部材とにより下面、ICコイン周面の両側方及び一側面を囲うICコイン保留室を構成する。
共通転動通路を転動してきたICコインは、この保留凹部に進行し、保持される。
ICコインが返却される場合、収納案内部材が移動することによりICコインは返却案内部材によって返却通路へ案内される。
ICコインが収納される場合、返却案内部材が移動されて収納案内部材によってICコイン収納通路に案内される。
また、返却案内部材及び収納案内部材によってICコイン保留装置が構成されるので、ICコイン保留装置を小型にすることができる利点がある。
【0024】
請求項6の発明において、共通転動通路の下方にコイン通路が形成され、コイン通路は共通転動通路と共に横向きV形状をなす。
換言すれば、共通転動通路の下方にコイン通路が配置された二階建て構造である。
また、V字形の転向通路にICコイン振分装置が配置される。
転向通路は転動体の挙動が不安定であるため、コイン転動中に処理するコインの特徴検知装置やコイン振分装置を配置することはできない、所謂デッドスペースにICコイン振分装置を配置したので、装置全体を小型化できる。
ICコインと通信装置との通信を確実性にするため、ICコインを静止状態に保留する必要がある。
そこで、コインの特徴検知装置や振分装置を配置できない転向通路にICコイン振分装置を配置して保留するので装置をコンパクトにすることができる。
【0025】
請求項7の発明において、コイン振分装置で振り分けられた真正コインは、さらにその下流の金種振分装置によって所定金種に振り分けられる。
したがって、所定金種毎に集金することが可能になる利点がある。
【0026】
請求項8の発明において、ICコイン保留装置は収納案内部材と返却案内部材とにより構成され、それら部材を選択的に移動させることにより、保留ICコインをICコイン収納通路又は返却通路に選択的に案内できる。
換言すれば、収納案内部材及び返却案内部材は、コイン保留装置及びICコイン振分装置を構成しているので、小型化することができ、結果として装置全体を小型化できる利点がある。
【0027】
請求項9の発明において、ICコインの出口は価値媒体処理装置の側方又は下方を選択できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の最良の形態は、コインとICコインとの共通の投入口に投入された前記コインの真偽を判別して受入コインと返却コインとに選別し、及び前記ICコインと通信して受入ICコイン若しくは返却ICコインに選別する価値媒体処理装置において、前記投入口に続いて設けた前記ICコイン及びコインが転動する共通転動通路、前記共通転動通路の側部に配置したコイン特徴検知装置、前記共通転動通路に続いて配置した前記コインが転動するコイン通路のコイン入口及び前記ICコインが移動するICコイン通路のICコイン入口、前記ICコイン入口の下流に配置したICコイン保留装置、前記コイン入口及び前記ICコイン入口の上流に配置した振分装置、前記ICコイン保留装置に保留された前記ICコインと通信する通信装置、前記ICコイン保留装置の下流に配置したICコイン振分装置、前記ICコイン振分装置の下流に配置したICコイン収納通路及び返却通路、前記コイン入口の下流に配置した返却振分装置、前記返却振分装置の下流に配置したコイン返却通路及びコイン収納通路、前記コイン特徴検知装置からの特徴情報若しくは前記通信装置からの情報に基づいて前記媒体振分装置をICコイン通路又はコイン通路に切り替える制御装置を備え、前記ICコイン保留装置は収納案内部材と返却案内部材とにより構成され、これら案内部材の協働によってICコイン保留装置を構成し、これら収納案内部材と返却案内部材を一体的に前記コイン通路に突出してICコインを受け入れた後待機位置に戻し、前記収納案内部材の協働を解除することにより、前記ICコインが前記返却案内部材によって前記返却通路に案内され、前記返却案内部材の協働を解除することにより前記収納案内部材により前記ICコイン収納通路に案内されることを特徴とする価値媒体処理装置である。
【実施例】
【0029】
図1は実施例の価値媒体処理装置の斜視図である。
図2は実施例の価値媒体処理装置の背面図である。
図3は実施例の価値媒体処理装置の底面図である。
図4は実施例の価値媒体処理装置のドアプレートを取り外した斜視図である。
図5は実施例の価値媒体処理装置のドアプレート及びコイン通路のカバを取り除いた正面図である。
図6は実施例の価値媒体処理装置のドアプレートの背面図である。
図7は実施例の価値媒体処理装置のICコイン保留装置の分解斜視図である。
図8は図5におけるA―A線断面図である。
図9は図5におけるB―B線断面図である。
図10は図2におけるC―C線断面図である。
図11は実施例の価値媒体処理装置に適したICコインの正面図である。
図12は実施例の価値媒体処理装置の制御装置のブロック図である。
図13は実施例の価値媒体処理装置の作動説明用のフローチャートである。
図14〜17は保留装置の作動説明図である。
【0030】
まず実施例の価値媒体処理装置112に適したICコイン100が図11を参照して説明される。
ICコイン100は円盤状であって下向き傾斜通路を自重で転動でき、かつ、非接触で読込若しくは書込可能なアンテナ102を備えたICチップ104を内蔵し、コインCと同様の直径及び厚みに形成される。
詳述すれば、ICコイン100はリング形の磁性体よりなる外輪106、及びその内孔108に一体に構成したアンテナ102とICチップ104よりなるICタグモジュール110を含んでいる。
ICタグモジュール110は、例えば熱可塑性樹脂により外輪106と一体化される。
外輪106は、ICコイン100が転動可能とするため、及び重量感を増すため金属を用いる。
本実施例ではステンレス鋼を用いている
【0031】
本明細書において、コイン形電気的価値情報記憶媒体とは、ICコイン100をいう。
ICコイン100は通常のコインC、例えば500円硬貨よりも僅かに小径及び薄く形成し、ICタグモジュール110は視認できないよう暗色樹脂によりモールドして内孔108にはめ込んだ後外輪106に固定、または、外輪106の内孔108にはめ込んだ後、シールを貼付することが好ましい。
なお、ICコイン100は通常のコインよりも大径とし、通常のコインと区別しやすくしても良いが、装置が大型化するので通常のコインと同様のサイズがよい。
【0032】
次に本発明の実施例の価値媒体処理装置112が図1乃至10を参照して説明される。
価値媒体処理装置112は、投入口114、媒体共通転動通路116、コイン特徴検知装置118、コイン通路122、コイン通路入口124、ICコイン通路126、ICコイン通路入口128、ICコイン保留装置132、媒体振分装置134、通信装置136、ICコイン振分装置138、ICコイン収納通路142、返却振分装置146、返却通路148、コイン収納通路152、制御装置154、及び下方出口156を含んでいる。
【0033】
本実施例において、価値媒体処理装置112は縦向き矩形のベースプレート162及びベースプレート162に上端を回動自在に取り付けられたドアプレート164等によって形成されている。
ベースプレート162は、縦横3.5インチのデファクトスタンダード寸法に形成され、非磁性体、例えば樹脂により成形されている。
ベースプレート162の両端部にT字形に左サイドプレート166及び右サイドプレート168が一体成形され、全体として平面視H形をしている。
【0034】
図6に示すように、ドアプレート164は樹脂等の非磁性体により成形され、ベースプレート162の右上部に形成された円柱形支軸172及び174にその上端部形成した軸受孔176、178を回動自在に嵌め合わせ、ベースプレート162の上側半分に対し所定の間隔で相対している。
また、ドアプレート164は、スプリング等の付勢装置によりベースプレート162に近づくように付勢され、後述の転動ガイドレール182の側端面をベースプレート162に突き当てることによりベースプレート162に対し所定の間隔で平行に保持される。
【0035】
次に、投入口114が図1を参照して説明される。
投入口114は、コインC及びICコイン100が投入される機能を有する。
投入口114は、コインC及びICコイン100の投入口を兼用する共通の投入口である。
本実施例において、投入口114は平面視横長矩形であって、その長さは500円コインの直径よりも僅かに大きく、かつその幅は500円コインの厚みよりも僅かに大きく形成されている。
よって、投入口114にはICコイン100、5円〜500円コインを投入することができる。
コインC及びICコイン100の投入口114を共通にすることにより、投入口の設置範囲を小さくできるので、装置を小型化できる利点を有する。
投入口114は、ベースプレート162及びドアプレート164の左上端部簡に形成される。
【0036】
次に媒体共通転動通路116が図5及び6を参照して説明される。
媒体共通転動通路116は、投入口114に投入されたICコイン100及びコインCが転動する薄板状の通路である。
媒体共通転動通路116は、ベースプレート162の上部案内壁184とドアプレート164の裏面の案内壁186との間に形成される。
ベースプレート上部案内壁184は図4において垂線に対し上端が右方へ僅かに傾斜している。
コインCを当該案内壁184にもたれさせつつ転動させるためである。
【0037】
ドアプレート164の案内壁186は、下部の転動ガイドレール182の側端面が上部案内壁184に当接した状態においてベースプレート上部案内壁184と平行になるように設定される。
ドアプレート164の左上端から下部にわたり、弧状の転動ガイドレール182が案内壁186から横向きに突出形成される。
転動ガイドレール182は投入口114からほぼ垂直下方に伸びる垂下部188、垂下部に続いて横向きに転向させる転向部192、及び所定の角度で下向きに直線的に傾斜する傾斜部194より構成される。
本実施例において、転向部192はコインC及びICコイン100が衝撃的に落下するので、金属片により構成されている。
転動ガイドレール182の上面の転動面196と案内壁186とは断面において直角をなすよう形成されている。
また、転動ガイドレール182の上方のベースプレート162に横方向に突出し、かつ当該ガイドレール182と平行に突出する上側ガイドレール200が形成されている。
転動ガイドレール182と上側ガイドレール200との間隔は、コインC及びICコイン100のうち、最大径よりも僅かに大きく設定されている。
【0038】
以上より、媒体共通転動通路116は上部案内壁184、案内壁186、転動ガイドレール182及び上側ガイドレール200により画定形成された垂線に対し僅かに傾斜され、かつ500円コイン100の厚みよりも僅かに厚い傾斜する薄板状の空間である。
また、媒体共通転動通路116は投入口114からほぼ垂直下方にコインCのほぼ直径分伸びる垂下通路198、垂下通路198に横向き連続する転向通路202及び前下がりに直線的に傾斜する傾斜通路204により構成される。
換言すれば、媒体共通転動通路116は投入口114から下向きの弧状であり、全体としては前下がりの傾斜通路を構成する。
なお「前下がり」とは、コインの転動方向前方に向かって下方という意味である。
【0039】
次にコイン特徴検知装置118が図1、2及び5を参照して説明される。
コイン特徴検知装置118は、媒体共通転動通路116を転動するコインCの正偽及び金種を判別するための特徴を検知する機能を有する。
コイン特徴検知装置118は、媒体共通転動通路126に相対してベースプレート162及びドアプレート164に相対してそれぞれ固定されたコアにコイルを巻きつけた第1コインセンサ206及び第2コインセンサ208を含んでいる。
第1コインセンサ206は、コインCの材質及び直径に関する特徴を取得するために用いられる。
【0040】
第2コインセンサ208は、コインCの厚み及び直径に関する特徴を取得するために用いられる。
これらコインセンサ206、208からの出力をコイン判別装置212に入力し、所定の基準値と比較してコインCの正貨及び偽貨並びに金種を判別する。
コイン判別装置212は偽貨の場合、返却振分装置146にキャンセル信号CSを出力する。
第1コインセンサ206及び第2コインセンサ208は、直線的に形成された傾斜部194上を転動するコインCに相対するよう配置されている。
転動ガイドレール182の転動面196に対するコインCの位置が変動しないため、高精度の特徴検知が出来るからである。
また、本実施例のICコイン100が使用される場合、コイン特徴検知装置118は金属製外輪106の特徴を検知することにより、ICコイン100の特徴検知装置としても用いることができる。
【0041】
次にコイン通路122が図5及び8を参照して説明される。
コイン通路122は、媒体共通転動通路116を転動する過程においてコインCと判別されたコインを案内する機能を有する。
コイン通路122は、媒体共通転動通路116に連続した転向通路214に連続して形成され、前記媒体共通転動通路116の下方において当該媒体共通転動通路116と逆方向の下向きに直線的に傾斜する通路である。
換言すれば、コイン通路122は前下がりに傾斜している。
したがって、コイン通路122は広義には転向通路214を含んでいる。
コイン通路122の厚みは使用される媒体の最大厚みよりも大きく形成されている。
換言すれば、ICコイン100が誤ってコイン通路122に達した場合、コイン通路122を転動できる。
【0042】
コイン通路122は、中間プレート215、右サイドプレート168、転向ガイド216、コイン通路ガイドレール218、コインガイド222及びサイドカバ224によって囲われた断面矩形の縦長直線状通路である。
換言すれば、コイン通路122は、媒体共通転動通路116に続く転向通路214によって逆方向に方向転換された後、当該通路116の下方において逆向き下向きに傾斜している。
さらに換言すれば、媒体共通転動通路116、転向通路214及びコイン通路122は横向きV字形をしている。
このように、媒体共通転動通路116とコイン通路122を上下に重ねることにより、横方向の寸法を小さくできる利点がある。
【0043】
転向通路214は、中間プレート216、右サイドプレート168、後述のICコイン保留装置132の側壁228、転向ガイド216及びサイドカバ224によって画定されている。
転向ガイド216は側壁228に一体に形成され、弧状の転向ガイドレール232を構成している。
コイン通路ガイドレール218は、転向ガイドレール232の延長線上に位置し、全体として直線の下向きガイドレールを構成している。
またICコイン収納通路142とは垂立する中間プレート215により画定されている。
以上より、コイン入口124は転向通路214の中間に配置される。
【0044】
次に返却振分装置146が図5、8及び9を参照して説明される。
返却振分装置146は、主にコイン通路122を転動するコインCを返却通路148若しくは保留金庫へコイン収納通路152に振り分ける機能を有する。
二次的に返却振分装置146は、ICコイン100及び偽コインを返却通路148に案内する機能を有する。
返却振分装置146は、コイン振分体236と第1電磁アクチュエータ238と第1リンク機構242を有する。
コイン振分体236は、コイン通路122を横断するキャンセル位置CP若しくはコイン収納通路152へ案内する収納位置SPに選択的に位置可能である。
コイン振分体236は、板状のフラップ238であって第1縦軸244を支点に回動可能である。
【0045】
第1縦軸244は、コイン通路ガイドレール218及び第2上側ガイドレール246に軸支されている。
第1縦軸244の上端から横方向に伸びるリンクレバ248の先端のドリブンピン252が第1電磁アクチュエータ238の鉄心254に固定された駆動体256に形成された駆動溝258に挿入されている。
鉄心254は通常、スプリング(図示せず)により突出方向に付勢され、コイン振分体236はレバ248、ドリブンピン252、駆動体256を介してキャンセル位置CPに保持される(図8の実線示位置)。
転向ガイドレール232上を転動してきたコインCは、コイン通路122を横断するコイン振分体236によって横方向に逸らされてコイン通路ガイドレール218から落下させられる。
落下したコインCは返却通路148を落下した後、下方出口156からゲーム機等の返却口へ案内される。
換言すれば、偽コインをコイン通路122から排除される。
【0046】
第1電磁アクチュエータ238が励磁された場合、鉄心254は引き込まれ、フラップ238はレバ248等を介して図8において時計方向に回動され、収納位置SPに移動される(図8の鎖線示位置)。
これにより、転向ガイドレール232からコイン通路ガイドレール218に転動してきたコインCはコイン振分体236に邪魔されることなくコイン通路122を転動できる。
換言すれば、真正コインCを収納することができる。
【0047】
次に金種振分装置262が図5、8及び9を参照して説明される。
金種振分装置262は、コイン収納通路152を転動する真正コインCを金種に応じたコイン収納通路152に振り分ける機能を有する。
本実施例では10円〜500円のコインCを受け入れるよう設定され、高額の500円コイン500Cは第1コイン収納通路264、10円〜100円コインCは第2コイン収納通路266に振り分けられる。
【0048】
第1コイン収納通路264は、ベースプレート162から所定距離離れて平行に配置した中間プレート215に続く第1隔壁268とほぼ並行に所定の間隔で配置した第2隔壁272の外側に形成され、500円コインがジャムすることなく移動できるサイズに形成されている。
第1コイン収納通路264の外側面はプレート274によってカバされている。
第2コイン収納通路266は10円〜100円コインがジャムすることなく移動できる寸法に形成されている。
コイン通路122の下流に連続して共通コイン収納通路152が形成され、共通コイン収納通路152の出口に連続して第1コイン収納通路264と第2コイン収納通路266とが並列に形成されている。
したがって、コイン通路122は共通コイン収納通路152、第1コイン収納通路264と第2コイン収納通路266を含んでいる。
なお、第1コイン収納通路264と第2コイン収納通路266に分岐せずに共通コイン収納通路152のみ設けることができる。
しかし、第1コイン収納通路264と第2コイン収納通路266に振り分けすることにより多金種のコインを投入可能にした場合、金種を振りわけできるので回収作業が容易になる利点がある。
【0049】
第1コイン収納通路264又は第2コイン収納通路266の入口を選択的に開閉するよう金種振分装置262が配置されている。
金種振分装置262は、金種振分体276と第2電磁アクチュエータ278と第2リンク機構282を有する。
金種振分体276は、第1コイン収納通路264の入口を塞ぐ第1位置FP若しくは第2コイン収納通路266の入口を塞ぐ第2位置SP2に選択的に位置可能である。
金種振分体276は、板状のフラップ278であって、第2縦軸282を支点に回動可能である。
【0050】
第2縦軸282は、コイン通路ガイドレール218及び第2上側ガイドレール246に軸支されている。
第2縦軸282の上端から横方向に伸びるリンクレバ284の先端のドリブンピン286が第2電磁アクチュエータ278の鉄心288に固定された駆動体292に形成された駆動溝294に挿入されている。
鉄心288は通常、スプリング(図示せず)により突出方向に付勢され、金種振分体276はレバ284、ドリブンピン286、駆動体292を介して第2位置SP2に保持される。
コイン通路ガイドレール218上を転動してきたコインCは、第1コイン収納通路264を塞ぐ金種振分体276によって第2コイン収納通路266に案内される。
第2電磁アクチュエータ278が励磁された場合、鉄心288は引き込まれ、リンクレバ284等を介して反時計方向に回動され、図8において実線で示される第1位置FPに移動される。
これにより、コイン通路ガイドレール218上を転動するコインCは第2コイン収納通路266の入口を塞ぐ金種振分体276によって第1コイン収納通路264に案内される。
【0051】
次にICコイン保留装置132を図4、5、7、8及び11〜14を参照して説明する。
ICコイン保留装置132は、ICコイン100が投入された場合、媒体共通転動通路116を転動してきたICコイン100を受け取ってICコイン通路126に保留する機能を有する。
本実施例ではICコイン保留装置132は、媒体振分装置134を兼用している。
換言すれば、ICコイン保留装置132は、媒体共通転動通路116を転動してきたコインCをコイン通路122またはICコイン通路126へ案内する機能をも有する。
本実施例において、ICコイン保留装置132及び媒体振分装置134は一体化されているので、設置スペースを節減でき、価値媒体処理装置112の小型化が可能である。
さらに、後述のように本実施例ではICコイン振分装置138も兼用しているのでより一層小型化できる利点がある。
ICコイン保留装置132は、収納案内部材302、返却案内部材304、リンク部材306、及び第3電磁アクチュエータ308を含んでいる。
【0052】
まず、収納案内部材302が図7及び14を参照して説明される。
収納案内部材302は返却案内部材304と協働して媒体共通転動通路116を転動してきたICコイン100を受入れた後保留し、かつ収納すべきICコイン100である場合、ICコイン収納通路142へ案内する機能を有する。
収納案内部材302は縦向き倒立台形の案内保持壁314、案内保持壁314の上端部両側端から横向き水平に突出する被案内ステ316、318、案内保持壁314の下端からベースプレート162の裏面側に向かって突出する保持収納レール322及び転向ガイド216を含んでいる。
案内保持壁314の転向通路214側下部には転向ガイド216が一体に構成され、転向ガイド216からほぼ垂立する側壁が案内側壁228である。
【0053】
ベースプレート162の転向通路214に相対してほぼ矩形の保留凹部324が形成されている(図5参照)。
保留凹部324は、上部案内壁184に対しほぼICコイン100の厚みに案内保持壁314の厚みを加えた量、窪んでいる。
換言すれば、収納案内体302が後述の待機位置に位置する場合、案内保持壁314の転向通路214側の表面が上部案内壁184の延長線から僅かに窪んだ位置を継続する。
被案内ステ318、316は、ベースプレート162の進退開口324の左右においてベースプレート162の背面側に水平に伸びるガイドステ328、332に水平に向かい合うように形成されたガイド溝334、336にスライド可能に密に挿入されている。
被案内ステ316の上端にほぼ水平に伸びる板状の転動阻止部330が形成されている。
案内保持壁314に隣接する被案内ステ316に収納溝340が形成されている。
収納溝340の幅はICコイン100の厚みよりも僅かに大きく形成され、ICコイン100が転動して通過できる。
【0054】
収納案内部材302がベースプレート162に装着された状態において、保持収納レール322は図5においてコイン通路ガイドレール218と同様の傾斜に設定されている。
また、案内保持壁314の上縁338は転向通路214のほぼ中間においてほぼ水平に位置する。
収納案内部材302はベースプレート162に対し横方向にスライド可能であり、通常の待機状態においてベースプレート162の凹部326内に後退させられた待機位置SP3に位置し、案内側壁228が転向通路214の一側壁を画定する。
このとき、転向ガイド216はコイン通路122である転向通路214におけるコインCの転動ガイドレール232を構成する。
【0055】
次に返却案内部材304を説明する。
返却案内部材304は、大凡Y字状を呈し、ほぼ垂立配置される脚部338の下端部から横向きに突出する支軸342、344は、ベースプレート162の背面から後方に向かって突出する軸受346、348の軸穴に回動自在に挿入されている。
脚部338の上端には、右サイドプレート168側に向かってほぼ水平に伸びる載置部346、及び載置部346の左サイドプレート166側端から垂立する収納阻止部350を含んでいる。
収納阻止部350の上端部から横向きに阻止突起352が形成されている。
阻止突起352はICコイン100がICコイン収納通路142に移動するのを防止する機能を有する。
【0056】
図14に示すように平面視した場合、載置部346はほぼ水平に配置される水平部354、水平部354よりも収納阻止部350側に位置し、上向きに湾曲する上向き部356を含んでいる。
水平部354の右サイドプレート168側端部から案内保持壁314側に向かって水平に突出する収納案内突起358が形成されている。
図15に示すように、上向き部356、水平部354及び収納案内突起358は、順に段階的に案内保持壁314に近づくように形成される。
阻止突起352の先端と水平部354の側端は、案内保持壁314に対しほぼ同一距離離れている。
【0057】
次にリンク部材306を説明する。
リンク部材306は、第3電磁アクチュエータ308の上下方向の直線動を収納案内部材302の水平方向の直線動に変換する機能を有する。
リンク部材306は上下方向に伸びる駆動部362と水平方向に伸びる被動部364よりなるL形であって、屈曲部から外向きに突出する支軸366を有する揺動部材368が左右に配置され、それら左右の揺動部材368はリンクバ372によって連結され、全体として上向きチャンネル形に形成されている。
左右の支軸366は、右サイドプレート168の軸孔374及びベースプレート162の背面から後方に向かって水平に突出する軸受376の軸孔378に揺動自在に挿入されている。
駆動部362上端から外向きに横方向に突出するピン382は、被案内ステ316、318の軸孔384にそれぞれ挿入されている。
したがって、リンク部材306の揺動によって、収納案内部材302は水平方向に往復動される。
【0058】
次に第4電磁アクチュエータ312を説明する。
第4電磁アクチュエータ312は、返却案内部材304を選択的に揺動させる機能を有する。
第4電磁アクチュエータ312は、所謂電磁ソレノイドであり、ベースプレート162の背面側に固定され、コイルの励消磁により鉄心386が上下方向に直線運動される。
第4電磁アクチュエータ312の鉄心386にリンク片388が固定され、下端部の横向き駆動溝392に脚部338の支軸342、344の軸線から外れた側面から突出する被動ピン394が挿入されている。
第4電磁アクチュエータ312が消磁された場合、鉄心386、したがってリンク片388はスプリング(図示せず)により最下方に移動されている。
これにより、被動ピン394は図14において最も時計方向に回動された位置にあり、脚部338はほぼ垂立する。
第4電磁アクチュエータ312が励磁された場合、リンク片388は引き上げられ、被動ピン394を介して脚部338は図15、17に示す最も反時計方向に回動された位置となる。
【0059】
次に第3電磁アクチュエータ308を説明する。
第3電磁アクチュエータ308は、収納案内部材302をベースプレート162に対し直角方向に移動させる機能を有する。
第3電磁アクチュエータ308は、所謂電磁ソレノイドであり、ベースプレート162の背面側に固定され、コイルの励消磁により鉄心396が上下方向に直線運動される。
第3電磁アクチュエータ308の鉄心396にリンク片398が固定され、リンク片398下端部の横向き駆動ピン402が被動部364の被動溝404に挿入されている。
第3電磁アクチュエータ308が消磁された場合、鉄心396、したがってリンク片398はスプリング405により最上方に移動される。
【0060】
これにより、揺動部材368は図14に示す最も反時計方向に回動される。
換言すれば、収納案内部材302は最もベースプレート162側に移動され、案内保持壁314は保留凹部324内に移動した待機位置SP3に位置する。
この状態において、案内保持壁314はベースプレート上部壁面184と実質的に同一平面内に位置し、転向ガイドレール232は転向通路214を画定する。
換言すれば、媒体共通転動通路116を転動してきたコインCは周面を転向ガイドレール232に、側面は案内保持壁314に案内されつつ転向通路214を移動する。
【0061】
第3電磁アクチュエータ308が励磁された場合、リンク片398は下方へ移動され、駆動ピン402、被動部364を介して揺動部材368を図16に示すように時計方向に回動させる。
これにより、駆動部362、駆動ピン382は時計方向に回動するので収納案内部材302は右方へ平行移動される。
平行移動の結果、保持収納レール322が媒体共通転動通路116の延長上の保留位置RPに位置する。
このとき収納案内突部358は、保持収納レール322の僅か上側に重なるように位置する。
換言すれば、転向通路214において、側面を案内保持壁314及び凹部326の側壁に、下面を保持収納レール322に、側方周面を阻止突起352及び被案内ステ318により囲われたICコイン保留室407が形成される。
【0062】
傾斜通路204を転動してきたICコイン100は、このICコイン保留室407に落下し、保留される。
落下した直後のタイミングで第3電磁アクチュエータ308が消磁され、リンク片398が下方へ移動される。
これにより、揺動部材368が図16の位置から反時計方向に回動され、図14の待機位置SP3に移動にされる。
待機位置SP3において、ICコイン保留室407に保留されたICコイン100は、通信装置136によって所定の処理が行われる。
ICコイン振分装置138の収納案内部材302が待機位置SP3に位置する場合、コインCをコイン通路122へ案内し、保留位置RPに位置した場合、ICコイン100をICコイン通路126に案内する。
また、収納案内部材302が保留位置RPに位置する場合、ICコイン100を保留する。
よって、ICコイン保留装置132はICコイン振分装置138を兼用している。
【0063】
次に通信装置136が図2及び図7を参照して説明される。
通信装置136は、ICコイン保留装置132に保留されたICコイン100のICチップ104と価値情報を通信によって読込書込する機能を有する。
本実施例においては、通信装置136は、凹部326を構成するベースプレート162の裏面に固定され、通信機能を有するIC及びアンテナを搭載した通信基板408である。
本実施例においては、通信基板408は媒体共通転動通路116を転動するICコイン100と通信可能であるため、ICコイン100が媒体共通転動通路116転動中に、通信して個別に設定されるIDを読み込んで真正ICコイン100であるか偽ICコインであるか判別する。
そして、真正ICコイン100と判断した場合、ICコイン保留装置132によってICコイン100を保留し、偽ICコインの場合、ICコイン保留装置132では保留せず、返却振分装置146によって返却通路148に落下させる。
なお、リング106に基づいてICコイン100を判別する場合、ICコイン保留装置132に前記のように保留した後、後述のICコイン振分装置138によってICコイン収納通路142又は返却通路148に振り分けるようにしてもよい。
【0064】
次にICコイン振分装置138が図7、14を参照して説明される。
ICコイン振分装置138は、ICコイン保留装置132に保留されたICコイン100をICコイン収納通路142又は返却通路148に案内する機能を有する。
ICコイン振分装置138は、収納案内部材302と返却案内部材304、リンク部材306、第3電磁アクチュエータ308及び第4電磁アクチュエータ312によって構成される。
換言すれば、ICコイン振分装置138はICコイン保留装置132と兼用である。
【0065】
図14における待機位置SP3において第4電磁アクチュエータ312が励磁された場合、図14の状態から返却案内部材304は反時計方向に回動し、阻止突起352が保留ICコイン100の側方から外れる(図15の状態)。
保持収納レール322は左サイドプレート166側に傾斜しているので、ICコイン100は自重によって傾斜方向に転動し、ICコイン収納通路142へ向かって転動する。
ICコイン100の上部は収納溝340を通ってICコイン収納通路142へ転動し、収納される。
【0066】
次に保留ICコイン100を返却通路148に案内するケースを説明する。
まず第3電磁アクチュエータ308が励磁され、リンク片398が下方へ移動される。
これにより、揺動部材368は図14の状態から時計方向に回動され、図16に示すように案内保持壁314は保留位置RPに移動される。
換言すれば、ICコイン保留室407がICコイン通路入口124の下方に位置する。
このとき、ICコイン100は載置部354に載置され、被案内ステ316及び収納案内突部358は保留室406の側方に位置する左右の周面に転動を阻止され、ICコイン保留室407に保持され続ける。
【0067】
次いで第4電磁アクチュエータ312が励磁され、リンク片388が引き上げられる。
これにより、返却案内部材304が図16の状態から反時計方向に回動され、収納案内突部358は保持収納レール322上から横方向にずれ、ICコイン100の厚み以上離れる(図17の状態)。
載置部354上に載っている保留ICコイン100は保留凹部324の壁面によって移動を阻止されるので、載置部354が下方から外れるとICコイン100は下方の返却通路148へ落下し、返却される。
【0068】
次にICコイン収納通路142が図8を参照して説明する。
ICコイン収納通路142は、ICコイン保留装置132に保留されたICコイン100を収納部(図示せず)に案内する機能を有する。
ICコイン収納通路142は、ベースプレート162と中間プレート125及び第1隔壁268との間に画定され、コイン通路122と並置されている。
図3に示すように、ICコイン収納通路142の出口は、価値媒体処理装置112の下面において、第2コイン収納通路266及び第1コイン収納通路264と並列配置される。
【0069】
次に、返却通路148を説明する。
返却通路148は、コインC、偽コイン、ICコイン100、偽ICコインを下面の下方出口156に案内する機能を有する。
本実施例において返却通路148は転向通路214の下方において上下方向に伸び、ベースプレート162、右サイドプレート168及びサイドカバ224によって画定された通路である。
ベースプレート162の下部の案内面414が傾斜され、落下するICコイン100を横方向に案内して下方出口156に案内するようにしている。
なお、返却通路148にガイドプレート(図示せず)を配置することにより、右サイドプレート168に形成した第2返却口416に案内することもできる。
【0070】
次にキャンセル装置422が図1、2、4、を参照して説明される。
キャンセル装置422は、媒体共通転動通路116においてジャムしたコインC、又はICコインをキャンセルし、返却口152に戻す機能を有する。
本実施例において、キャンセル装置422は、ドアプレート164、キャンセルレバ424、及び、カム棒427を含んでいる。
【0071】
まず、キャンセルレバ424を説明する。
キャンセルレバ424はL形であり、顧客がコインCをキャンセルするために操作するレバであり、ベースプレート162の上部背面から横方向に突出する固定軸425にその中間を回転自在に取り付けられている。
キャンセルレバ424の下方に伸びるレバ426は左サイドプレート166とほぼ平行に下向きに伸びている。
キャンセルレバ424は、顧客の操作によってリンク機構を介して押し下げ可能に配置されている。
また、キャンセルレバ424は中間から下方にZ形に伸びるスプリング428によって図2において時計方向に付勢力をうけている。
【0072】
次にカム棒427を説明する。
カム帽426はドアプレート166の背面からベースプレート162の開口432を貫通して伸び、先端に斜面よりなるカム面434が形成されている。
キャンセルレバ424が図2において反時計方向に回動された場合、レバ426が同方向に回動すると、カム面434を押して横向きの力をカム棒427に与え、ドアプレート164の下端部をベースプレート162から離すように移動させる。
これにより、転動ガイドレール182と本体上部壁面184との間の隙間が使用されるコイン等中の最大厚み以上に開かれ、媒体共通転動通路116においてジャムしているコインC等は上部案内壁184に連続する傾斜案内面438によって案内されてキャンセル通路に落下させられ、下方出口156に案内される。
【0073】
次に通過センサ442を図2、5、8を参照して説明する。
通過センサ442は、媒体であるICコイン100、コインCがICコイン収納通路142、又はコイン収納通路152を通過したことを検知する機能を有する。
通過センサ442はコイン振分体236と金種振分体276の中間をコインC、又はICコイン100が通過したことを検知する。
通過センサ442は、投光装置444、受光装置446及び光導体448を含んでいる。
投光装置444及び受光装置446はベースプレート162の背面に固定され、光導体448はサイドカバ224に固定されている。
【0074】
投光装置444からの投射光はICコイン通路142、コイン収納通路152の順に通過して受光面から光導体448に入光して180度転向され、投射面から投射されてコイン収納通路152、ICコイン収納通路142の順に通過して受光装置446に入光する。
したがって、ICコイン収納通路142をICコイン100が通過した場合又はコイン収納通路152をコインCが通過した場合、投射光は所定時間遮断される。
受光装置446は、この遮断を検知して通過信号PSを出力する。
この通過信号PSに基づいて第1電磁アクチュエータ238が消磁され、コイン振分体236はキャンセル位置CPに戻される。
なお、ベースプレート162及びサイドカバ224並びに中間プレート215の投射光の通過部は開口されている。
【0075】
次に制御装置154を説明する。
制御装置154はコイン判別回路212からのコインの真偽及び金種信号、及び通信装置136を介したICコイン100のICチップ104との通信に基づいて第1電磁アクチュエータ238、第2電磁アクチュエータ266、第3電磁アクチュエータ308、及び第4電磁アクチュエータ312を適当なタイミングで励消磁する機能を有し、マイクロプロセッサ452により構成される。
マイクロプロセッサ452は、ROMに記憶された所定のプログラムによってコイン判別回路212、通信装置136及び通過センサ442からの信号に基づいて第1電磁アクチュエータ238等を所定の手順で励消磁する。
【0076】
なお、転向通路214に糸吊り防止手段454を配置することが好ましい。
本実施例の糸吊り防止手段454は、ドアプレート164に横向きに配置した支軸456に対し揺動可能に取り付けた阻止体458である。
通常、重力により阻止体458は支軸456を支点にその下端部が転向通路214に進行するようモーメントが作用している。
これにより、阻止体458の下端先端は案内保持壁314の切り欠き462を通って保留凹部324の壁に当接した状態で静止している。
換言すれば、阻止体458の下端部が転向通路214を横断している。
阻止体458の下端部上面は保留凹部326の壁に向かって下向きに傾斜している。
【0077】
よって、コインCが転向通路214を通過する場合、阻止体458は当該コインCにより斜面を押されて移動され、当該コインCは通過することが出来る。
コインCが通過した後、阻止体458は自己モーメントにより元に戻る。
また、ICコイン100がICコイン保留装置132に保留されている場合、ICコイン100の側面に当接した状態を継続する。
しかし、ICコイン100がICコイン収納通路142へ転動した後、阻止体458は自己モーメントにより元に戻る。
これにより、糸吊りしたコインC又はICコイン100を引き上げた場合、当該コインC又はICコイン100によって阻止体458の下向き斜面が押され、阻止体458は保留凹部326の壁に押し付けられる。
よって、コインC及びICコイン100は阻止体458に移動を阻止され、引き上げられることができない。
【0078】
なお、投入口114には例えば自動販売機の筐体表面に配置したコイン投入口に投入されたコイン等をシュートにより案内することができる。
【0079】
次に本実施例の作用を説明する。
まず500円以外の真正コインCを投入したケースを説明する。


本価値媒体処理装置112がスタンバイ状態にある場合、第1〜4の電磁アクチュエータ238、266、308及び312は消磁されている。
これにより、ICコイン保留装置132は待機位置SP3に位置する。
換言すれば、第3電気アクチュエータ308の鉄心396が突出され、駆動ピン402、揺動部材368及びピン382を介して収納案内部材302が保留凹部324内に引き入れられた待機位置SP3に位置し、第4電磁アクチュエータ312の鉄心が下方へ突出されてリンク片388、ピン394を介して返却案内部材304が反時計方向に回動され、返却案内部材304も待機位置SP3に位置している。
【0080】
これによりコイン通路122が媒体共通転動通路116に連続し、ICコイン通路入口124は閉止されている。
また、第1電磁アクチュエータ238の鉄心280はスプリング(図示せず)によって突出され、ドリブンピン252が図9において実線示位置からさらに左方に移動され、第1リンク機構242を介してコイン振分体236が図8における実線示のキャンセル位置CPに保持される。
さらに、第2電磁アクチュエータ278の鉄心288がスプリング(図示せず)により突出され、第2リンク機構282を介して金種振分体276は鎖線で示す第2収納位置SP2に位置する。
換言すれば、媒体転動共通転動通路116は、転向通路214、コイン通路122、コイン収納通路152を経由して第2コイン収納通路266に連通している。
【0081】
この状態で偽コインFCを投入口114に投入した場合、偽コインFCは垂下通路198をほぼ直径分垂直落下した後、転動ガイドレール182上を図5において右方へ転動する。
この転動過程において、第1コインセンサ206、第2コインセンサ208に順次相対し、材質、直径及び厚みに関する特徴情報が取得される。
コイン判別回路212はこの特徴情報と基準情報とを比較して真偽判別する。
本例では偽コインFCであるので、コイン判別回路212は制御装置154に偽コイン信号FSを出力する。
また、偽コインFCは通信装置136と何ら通信しないので、制御装置154はICコイン100でないと判別する。
【0082】
制御装置154は、ステップS1において、偽コイン信号FSであるのでステップS2へ進む。
ステップS2において、真正ICコイン100でもないのでステップS1へ戻る。
これにより、第1〜第4電磁アクチュエータ238、266、308、312は励磁されない。
よって、偽コインFCは傾斜通路204から転向通路214へ落下し、案内保持壁314の側壁228に案内されて転向通路214を通過する。
転向通路214を落下した偽コインFCは、転向ガイドレール232上に落下して図5において左方向へ転向されてコイン通路122に達し、コイン通路ガイドレール218上を僅かに転動した後、返却振分装置146のコイン振分体236に案内されてコイン通路ガイドレール218上から側方へ逸らされて返却通路148に落下させられる。
返却通路148に落下した偽コインFCは傾斜する案内面414に案内されて下方出口156から落下し、所定のシュートによって内蔵機器の返却口(図示せず)に戻される。
【0083】
次に10円、50円又は100円の真正コインCが投入されたケースを説明する。
前述のように真正コインCが媒体共通転動通路116の転動ガイドレール182を転動する過程において第1コインセンサ206、第2コインセンサ208によって取得された特徴情報に基づいて真正コインであること、及び金種がコイン判別回路212により判別されて真正コイン信号TS及び金種信号DSが制御装置154へ出力される。
この場合も通信装置136を介して通信できないので、第3電磁アクチュエータ308は消磁されたままである。
【0084】
ステップS1において、制御装置154が真正コイン信号TSを判別するとステップS3に進む。
ステップS3において、第1電磁アクチュエータ238が励磁されステップS4に進む。
ステップS4において、金種信号DSが500円であるか判別し、500円信号でない場合、ステップS5に進む。
換言すれば、制御装置154は第2電磁アクチュエータ266を励磁しない。
これによって、金種振分体276は第1コイン収納通路264の入口を塞いだままであるので、真正コインCは第2コイン収納通路266へ案内され、第2コイン収納通路266に連なる収納部に収納される。
【0085】
ステップS5において、通過センサ442から通過信号PSが出力されたか判別し、判別した場合ステップS6へ進む。
換言すれば、コイン振分体236及び金種振分体276に案内されて第2コイン収納通路266へ真正コインCが転動した場合、投光装置444からの投射光は当該真正コインCによって所定時間遮断され、受光装置446は所定時間受光が中断した後、再び受光する。
この再受光を検知して通過センサ442は通過信号PSを出力する。
換言すれば、真正コインCが10円〜100円の収納部に収納されたことが推認できる。
【0086】
ステップS6において第1電磁アクチュエータ238が消磁された後、ステップS1に戻る。
第1電磁アクチュエータ238の消磁によってコイン振分体236はキャンセル位置CPに戻され、次の投入に備える。
【0087】
次に500円コインが投入されたケースを説明する。
ステップS4までの流れは前述と同一であるので、ステップS7以降を説明する。
ステップS7において、第2電磁アクチュエータ266が励磁された後、ステップS8へ進む。
第2電磁アクチュエータ266の励磁によって鉄心が突出され、金種振分体276が図8における実線示の第1位置FPに移動される。
これにより、コイン収納通路152を転動する500円コインは金種振分体276によって第1コイン収納通路264に案内され、500円収納部(図示せず)に収納される。
【0088】
ステップS8において通過センサ442からの通過信号PSを判別した後、ステップS9へ進む。
この通過信号PSにより、真正500円コインが収納部に収納されたことが推認できる。
【0089】
ステップS9において、第1電磁アクチュエータ238が消磁された後、ステップS10に進む。
第1電磁アクチュエータ238の消磁によってコイン振分体236が第2位置CP2に移動される。
【0090】
ステップS10において、第2電磁アクチュエータ266が消磁された後、ステップS1へ戻る。
第2電磁アクチュエータ266の消磁によって、金種振分体276が第2位置SP2に移動され、次の投入に備える。
【0091】
次にICコイン100が投入されたケースを説明する。
ICコイン100は、コインCと異なるので、第1コインセンサ206、第2コインセンサ208からの特徴情報によってコイン判別回路212は真正コイン信号TSを出力することなく、偽コイン信号FSを出力する。
よって、ステップS1からステップS2に進む。
【0092】
一方、ICコイン100が媒体共通転動通路116を転動する過程において、通信装置136はICコイン100のICチップ104と通信し、制御装置154はICチップ104毎に設定されているIDを読み込んで真偽判別する。
偽ICコインとして判別した場合、ステップS1に戻る。
これにより、第1電磁アクチュエータ238、第2電磁アクチュエータ266、第3電磁アクチュエータ308及び第4電磁アクチュエータ312は消磁されたままである。
よって、偽ICコインは前記偽コインFCと同様に転向通路232からコイン通路122に転動した後、コイン振分体236によって返却通路148に落下させられて下方出口156に戻される。
【0093】
次に真正ICコイン100であるケースを説明する。
ICコイン100が媒体共通転動通路116を転動過程において、通信装置136はICチップ104と通信し、制御装置154は真正ICコイン100であると判別する。
これによって、ステップS2からステップS11へ進む。
【0094】
ステップS11において、第3電磁アクチュエータ308が励磁された後、ステップS12に進む。
第3電磁アクチュエータ308の励磁によって、収納案内部材302が転向通路214に移動され、保留位置RPに位置する。
換言すれば、図16に示すように保持収納レール322が転向通路204に位置し、阻止突起352が保持収納レール322の側方に位置しているので、収納案内部材302と返却案内部材304とで構成するICコイン保留室407が転向通路214に位置する。
【0095】
ステップS12において、ICコイン100を受け入れるに十分な時間が計時された後、ステップS13に進む。
よって、傾斜通路204から落下した真正ICコイン100は、ICコイン保留室407に保留される。
【0096】
ステップS13において、第3電磁アクチュエータ308が消磁され、ステップS14に進む。
第3電磁アクチュエータ308の消磁によって、収納案内部材302は図14に示す待機位置SP3に戻るので、ICコイン100は、ICコイン保留室407に保留された状態を継続する。
この状態で新たなコインCが投入された場合、転向通路144をコインCが移動できるので、前述のように収納或いは返却される。
真正ICコイン100が投入された場合、既にICコイン保留室407に保留しているので、保留処理をせず、前述の偽ICコインと同様に下方出口156に戻す。
【0097】
ICコイン100がICコイン保留室407に保留されている状態において通信装置136を介してICチップ104と通信し、ICチップ104に記憶されている価値情報の処理がなされる。
例えば、商品の価値に応じた情報が減算され、残数が記憶される。
残数情報がゼロの場合、ICコイン100を収納するため、制御装置154は収納信号を出力する。
ステップS14において、収納信号を判別した場合、ステップS15に進む。
【0098】
ステップS15において、第4電磁アクチュエータ312が励磁された後、ステップS16に進む。
第4電磁アクチュエータ312の励磁により、返却案内部材304が図14の状態から反時計方向に回動され、阻止突起352が保持収納レール322の側方から外れる(図15)。
阻止突起352の移動により、ICコイン保留室407のICコイン収納通路142側の側壁が無くなるので、ICコイン100は保持収納レール322の傾斜により自重により転動を開始し、収納溝340を通ってICコイン収納通路142に転動し、ICコイン収納部(図示せず)に収納される。
【0099】
ステップS16において、通過センサ442からの通過信号PSを判別した後、ステップS17に進む。
通過センサ442からの通過信号PSによって、ICコイン100の収納が推認できる。
【0100】
ステップS17において、第4電磁アクチュエータ312が消磁された後、ステップS1へ戻る。
第4電磁アクチュエータ312の消磁によって、返却案内部材304が図14の状態jに戻り、待機状態となる。
【0101】
次に、ICコイン100の残数がゼロでない場合を説明する。
この場合、制御装置154は返却信号を出力し、ICコイン100は下方出口156に戻される。
ステップS14において、返却信号を判別した場合、ステップS18に進む。
【0102】
ステップS18において、第3電磁アクチュエータ308が励磁された後、ステップS19に進む。
第3電磁アクチュエータ308の励磁により、収納案内部材302が転向通路214に突出する。
このとき、ICコイン100はICコイン保留室407の側方に位置する阻止突起352によって係止されて継続保留されている(図16の状態)。
【0103】
ステップS19において所定時間計時した後、ステップS20に進む。
この計時時間は僅かであり、次のステップS20の処理がステップS18の処理よりも先に行われないようにするためのタイムラグを作るためのステップである。
【0104】
ステップS20において、第4電磁アクチュエータ312が励磁された後、ステップS21に進む。
第4電磁アクチュエータ312の励磁により、返却案内部材304が図16の状態から反時計方向に回動される(図17の状態)。
これにより、収納突起358が保持収納レール322の上方から横方向にICコイン100の厚み以上離れる。
同時に水平部354がベースプレート162の下方に移動するので、コイン保留室406の底に開口が形成され、ICコイン100はその開口から下方の返却通路414へ落下し、下方出口156を通って返却される。
【0105】
ステップS21において、所定時間が計時された後、ステップS22へ進む。
ステップS21の所定時間は、ICコイン保留室407内のICコイン100が落下するに十分な時間である。
【0106】
ステップS22において、第3電磁アクチュエータ308が消磁された後、ステップS23へ進む。
第3電磁アクチュエータ308の消磁により、収納案内部材302は待機位置に戻される。
【0107】
ステップS23において、第4電磁アクチュエータ312が消磁された後、ステップS1へ戻る。
これにより、返却案内部材304も待機位置に戻り、次の投入に備える。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は実施例の価値媒体処理装置の斜視図である。
【図2】図2は実施例の価値媒体処理装置の背面図である。
【図3】図3は実施例の価値媒体処理装置の底面図である。
【図4】図4は実施例の価値媒体処理装置のドアプレートを取り外した斜視図である。
【図5】図5は実施例の価値媒体処理装置のドアプレート及びコイン通路のカバを取り除いた正面図である。
【図6】図6は実施例の価値媒体処理装置のドアプレートの背面図である。
【図7】図7は実施例の価値媒体処理装置のICコイン保留装置の分解斜視図である。
【図8】図8は図5におけるA―A線断面図である。
【図9】図9は図5におけるB―B線断面図である。
【図10】図10は図2におけるC―C線断面図である。
【図11】図11は実施例の価値媒体処理装置に適したICコインの正面図である。
【図12】図12は実施例の価値媒体処理装置の制御装置のブロック図である。
【図13】図13は実施例の価値媒体処理装置の作動説明用のフローチャートである。
【図14】図14は保留装置の作動説明図(待機状態)である。
【図15】図15は保留装置の作動説明図(受入状態)である。
【図16】図14は保留装置の作動説明図(収納状態)である。
【図17】図14は保留装置の作動説明図(返却状態)である。
【符号の説明】
【0109】
C コイン
100 ICコイン
112 価値媒体処理装置
114 投入口
116 共通転動通路
118 コイン特徴検知装置
118,136 ICコイン特徴検知装置
122 コイン通路
124 コイン通路入口
128 ICコイン通路(入口
132 ICコイン保留装置
134 媒体振分装置
136 通信装置
138 ICコイン振分装置
142 ICコイン収納通路
148 返却通路
146 返却振分装置
152 コイン収納通路
154 制御装置
156 下方出口
198 垂下通路
204 傾斜通路
214 転向通路
262 金種振分装置
302 収納案内部材
304 返却案内部材
414 コイン返却通路
416 側方出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン(C)とICコイン(100)との共通の投入口(114)に投入された前記コインの真偽を判別して受入コインと返却コインとに選別し、及び前記ICコインと通信して受入ICコイン若しくは返却ICコインに選別する価値媒体処理装置において、
前記投入口に続いて設けた前記ICコイン及びコインが転動する共通転動通路(116)、
前記共通転動通路の側部に配置したコイン特徴検知装置(118)、
前記共通転動通路を転動するICコインの特徴を検知するICコイン特徴検知装置(118,136)、
前記共通転動通路に続いて並置された前記コインが転動するコイン通路(122)の入口(124)及び前記ICコインが移動するICコイン通路((126))の入口(128)、
前記コイン入口及び前記ICコイン入口に配置した媒体振分装置(134)、
前記ICコイン通路の側方に位置するICコインと通信する通信装置(136)、
前記コイン特徴検知装置からの特徴情報又は前記ICコイン特徴検知装置からの情報に基づいて前記媒体振分装置を作動させ、前記共通転動通路を前記ICコイン通路又は前記コイン通路に切り替える制御装置(154)、
を備えることを特徴とする価値媒体処理装置。
【請求項2】
コインとICコインとの共通の投入口に投入された前記コインの真偽を判別して受入コインと返却コインとに選別し、及び前記ICコインと通信して受入ICコイン若しくは返却ICコインに選別する価値媒体処理装置において、
前記投入口に続いて設けた前記ICコイン及びコインが転動する共通転動通路、
前記共通転動通路の側部に配置したコイン特徴検知装置、
前記共通転動通路に続いて配置した前記コインが転動するコイン通路のコイン入口及び前記ICコインが移動するICコイン通路のICコイン入口、
前記ICコイン入口の下流に配置したICコイン保留装置(132)、
前記コイン入口及び前記ICコイン入口に配置した媒体振分装置、
前記ICコイン保留装置に保留された前記ICコインと通信する通信装置、
前記ICコイン保留装置の下流に配置したICコイン振分装置(138)、
前記ICコイン振分装置の下流に配置したICコイン収納通路(142)及び返却通路(148)、
前記返却振分装置の下流に配置したコイン返却通路(414)及びコイン収納通路(152)、
前記コイン特徴検知装置からの特徴情報又は前記通信装置からの情報に基づいて前記媒体振分装置をICコイン通路又はコイン通路に切り替える制御装置、
を備えることを特徴とする価値媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2の価値媒体処理装置において、前記媒体振分装置と前記ICコイン保留装置は一体化され、前記制御装置からの指令により前記コイン通路に突出して前記ICコインを受け入れることを特徴とする。
【請求項4】
請求項3の価値媒体処理装置において、前記ICコイン保留装置は通常一部が前記コイン通路の一部を画定する待機位置に保持され、前記ICコイン受入時のみ前記コイン通路に進出した後直ぐさま前記待機位置に戻されることを特徴とする。
【請求項5】
請求項2の価値媒体処理装置において、前記ICコイン保留装置は収納案内部材(302)と返却案内部材(304)とにより構成され、これら案内部材の協働によってICコイン保留装置を構成し、前記収納案内部材の協働を解除することにより、前記ICコインが前記返却案内部材に案内されて前記返却通路に案内され、前記返却案内部材の協働を解除することにより前記収納案内部材により前記ICコイン収納通路に案内されることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1又は2の価値媒体処理装置において、前記共通転動通路は投入口に続いてほぼ垂直下方に延びる垂下通路(198)、前記垂下通路に続いて下向きに傾斜する傾斜通路(204)よりなり、前記傾斜通路に続いて前記傾斜方向と逆向きにコインを転向させる転向通路(214)及び前記転向通路に続いて前記共通転動通路の下方において前記傾斜と逆向きに下向きに傾斜するコイン通路(122)を配置し、前記転向通路に前記媒体振分装置を配置し、前記媒体振分装置の下流に隣接して前記返却振分装置を配置したことを特徴とする。
【請求項7】
請求項6の価値媒体処理装置において、前記返却振分装置の下流に隣接して金種振分装置(262)を配置したことを特徴とする。
【請求項8】
請求項7の価値媒体処理装置において、前記ICコイン保留装置は収納案内部材と返却案内部材とにより構成され、これら案内部材の協働によってICコイン保留装置を構成し、前記収納案内部材の協働を解除することにより、前記ICコインが前記返却案内部材によって前記返却通路に案内され、前記返却案内部材の協働を解除することにより前記収納案内部材により前記ICコイン収納通路に案内されることを特徴とする。
【請求項9】
請求項8の価値媒体処理装置において、前記返却通路は横向きの側方出口(416)及び下向きの下方出口(156)に連通していることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−193375(P2009−193375A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33734(P2008−33734)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】