価値担体管理システムおよび遊技機
【課題】持玉データを用いて遊技を行なう遊技機において、持玉データを改ざんすることにより行なわれる不正を防止する。
【解決手段】ICカード(会員カード)には、その持ち主を示す会員名70と、その会員の会員番号71と、固有番号73とが記録されている。一つの固有番号は、1個の遊技球(持玉データ)に対応する。一方、ホールコンピュータには、その遊技施設で用いられる全ての固有番号76が記録されている。各固有番号には貸与フラグ77が設定されており、その固有番号が会員に貸与中(「1」)か否(「0」)かを示す。従って、ICカードの持玉データを改ざんして5000個増やすには、5000個の固有番号をICカードに追加記憶する必要がある。しかもホールコンピュータに同じ固有番号が記憶されており、更にその固有番号の貸与フラグが「貸与中」になっている必要がある。従って、持玉データの改ざんが非常に困難となっている。
【解決手段】ICカード(会員カード)には、その持ち主を示す会員名70と、その会員の会員番号71と、固有番号73とが記録されている。一つの固有番号は、1個の遊技球(持玉データ)に対応する。一方、ホールコンピュータには、その遊技施設で用いられる全ての固有番号76が記録されている。各固有番号には貸与フラグ77が設定されており、その固有番号が会員に貸与中(「1」)か否(「0」)かを示す。従って、ICカードの持玉データを改ざんして5000個増やすには、5000個の固有番号をICカードに追加記憶する必要がある。しかもホールコンピュータに同じ固有番号が記憶されており、更にその固有番号の貸与フラグが「貸与中」になっている必要がある。従って、持玉データの改ざんが非常に困難となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技に用いられる遊技球、メダル、コイン、現金などの価値担体の量を、これらの現物に代わるデータとして管理し、該データの少なくとも一部を遊技者などに貸与したり徴収したりする技術である価値担体管理システム、および該システムで用いられる遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機においては、以前より、遊技球を遊技機内に封入して遊技機内にて遊技球を循環することにより遊技を行なうタイプ(封入式遊技機、或いは単に封入式ともいう)が提案されている(例えば特許文献1)。封入式遊技機においては、賞球を実際の遊技球として遊技者に払い出さず、持玉データなどと呼ばれる数値として遊技者に付与する。遊技球の発射は持玉データが存在する場合に可能にされている。この遊技球は前述のように遊技機内で循環されており、かつ実際の遊技球を払い出さないので、封入式ではない遊技機に比べて遊技球の所要数が遥かに少なくて済む。そして遊技機に対する実際の遊技球の供給および排出が基本的に行なわれないので、外部から遊技球を大量に持ち込んで不正に遊技を行なうことや、特殊な不正遊技球(例えば、直径の異なる遊技球、糸のついた遊技球など)を持ち込むことや、これらの不正を行なうため等を目的として為される遊技球の盗難を防止することができる。遊技を通じて遊技者が獲得した持玉データは、ICカード等の記録媒体に記録され、景品カウンターに該記録媒体を提出することにより景品に交換されたり、或いは交換されることなく遊技者が自宅などに持ち帰り、後日の遊技で再利用されたりする。
【0003】
なお、前記記録媒体に全く持玉データがない場合には、現金等を台間ユニット等に投入(以下、この態様すなわち「現金を台間ユニットに投入」するという態様にて代表させる)して該代金の額に対応する持玉データを作成し、該持玉データを用いて遊技を行なう。つまり「持玉データを作成する」とは、封入式でない遊技機を用いた遊技における「遊技球を借りる」という行為に相当する。そして持玉データが0になれば発射が禁止され、この時点で遊技を終了するか、改めて現金を台間ユニットに投入して持玉データを作成する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−63083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、封入式遊技機においては、持玉データが偽造される可能性がある。例えば、実際には持玉データは遊技球にして1000個分であるにも拘らず、これを5000個や10000個といった多いデータに改ざんするといった不正が考えられる。同様の問題は封入式の弾球遊技機に限らず、遊技球、メダル、コイン、現金などの価値担体の量を、これらの現物に代わるデータとして管理する遊技施設においては、そのデータを用いる理由(例えば、不正な遊技の防止、価値担体の少量化)に係わらず、同様に発生する。
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、持玉データ等のデータを用いて遊技を行なう遊技施設において、データを偽造することにより行なわれる不正を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明は、遊技者に貸与された価値担体を用いて遊技を行なう遊技機を備えた遊技施設にて、前記価値担体を管理する価値担体管理システムであって、前記各価値担体に対応する前記固有番号を記憶する固有番号記憶手段を備え、且つ該固有番号記憶手段に記憶された固有番号には、前記遊技者に貸与中か否かを示す貸与フラグが該固有番号ごとに記憶されており、前記遊技者に貸与された前記価値担体の数と同数の前記固有番号を記憶するための価値担体記憶手段と、前記遊技者に貸与された前記価値担体の数を表示する価値担体数表示手段と、前記遊技において、遊技者に前記価値担体が貸与されると、貸与された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える第1固有番号制御手段と、前記遊技において、遊技者が前記価値担体を遊技に使用すると、使用された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「貸与中」から「未貸与」に切り替える第2固有番号制御手段と、前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、該貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記使用に係る貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段から消去する価値担体更新手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで「固有番号」は例えば遊技球に付与されるIDとは異なる。この相異点は封入式遊技機で顕著となる。すなわち、1台の封入式で100個の遊技球が循環されるとすると、その遊技機におけるIDの数は100個である。この数は、その遊技機で大当たりにより1000個の賞球(持玉データ)が発生しても変わらない。これに対し本発明では、封入式において1000個の賞球が発生すると、1000個の固有番号がその遊技者に付与(貸与)され、その遊技機における固有番号の数は100個よりも遥かに多くなる。また、「前記遊技者に貸与された前記価値担体の数と同数の前記固有番号を記憶するための価値担体記憶手段」とは、「遊技者に貸与された価値担体の数と、価値担体記憶手段に記憶された固有番号の数は、必ず一致している」という意味ではない。例えば、遊技の開始前や終了後には両者は一致していても、それ以外の場合(例えば遊技中)では、一致している必要は無い。具体的には、価値担体記憶手段に記憶されている固有番号の一部を請求項3の固有番号保持手段に記憶させて、その分は価値担体記憶手段から消去したり、遊技中に遊技者に付与された大量の固有番号を固有番号保持手段のような構成に一旦保持して、あとで価値担体記憶手段に記録したりするといった態様を挙げることができる。いずれの場合も、価値担体記憶手段に記憶されている固有番号の数よりも、遊技者に付与されている固有番号の総数の方が一時的に多くなる。
【0008】
また、「貸与」とは、価値担体(非封入式の弾球遊技機で言えば遊技球、回胴式遊技機で言えばメダル、封入式遊技機で言えば持玉データ)を遊技者に代金と引き換えに貸し出すことのみを指すのではない。将来、景品などに交換すると考えられ、実質的に遊技者に「付与した」とみなせる行為も貸与と呼ぶものとする。従って、弾球遊技機における「賞球の払い出し」もここでは貸与と呼ぶ。そして封入式遊技機における「持玉データの増加」も価値担体の貸与である。また、第1固有番号制御手段が『遊技者に前記価値担体が貸与されると、貸与された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える』とは、『固有番号記憶手段の中から貸与フラグが「未貸与」になっている固有番号を検索し、その固有番号の貸与フラグを「貸与中」に切り替える』と言う意味である。第2固有番号制御手段は、貸与フラグが「貸与中」になっている固有番号を検索し、その固有番号の貸与フラグを「未貸与」に切り替える。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の価値担体管理システムにおいて、前記価値担体記憶手段は、前記遊技者ごとに付与される記録媒体であって、前記遊技機に対応して設けられ、該遊技機にて前記遊技を行なう際に前記価値担体記憶手段が装着されて該記録媒体に対してデータの読み取り及び書き込みが可能な記録媒体リーダライタと、前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段技機に記録されている前記固有番号を読み出し、前記固有番号記憶手段に照会して、読み出した前記固有番号が「未貸与」になっているか又は前記固有番号記憶手段に存在しない場合は、警告動作を行なう警告手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の価値担体管理システムにおいて、前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段に記録されている前記固有番号の少なくとも一部を読み出して記憶する固有番号保持手段と、該固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段から消去する固有番号消去手段とを備え、前記価値担体更新手段は、前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段から消去し、前記価値担体記憶手段を前記記録媒体リーダライタから離脱する際には、前記固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段に記憶するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、請求項2または3に記載の価値担体管理システムにおいて、前記遊技施設が前記遊技機として少なくとも複数の弾球遊技機を備えたものであり、前記固有番号記憶手段、前記第1固有番号制御手段、及び前記第2固有番号制御手段を備え、前記複数の弾球遊技機にて遊技者に貸与される価値担体を管理する価値担体管理装置を備え、前記各弾球遊技機は、遊技球が入ると価値担体が遊技者に貸与される入賞口と、遊技の当否を司る主制御装置と、前記入賞口に前記遊技球が入ると遊技者への価値担体の貸与を前記主制御装置からの指示に従って実行する貸与制御装置とを備えたものであり、前記価値担体の代金となる現金またはプリペイドカードを受け入れて、前記代金に対応する前記価値担体の貸与を前記貸与制御手段に指示する価値担体貸与装置とを備え、前記入賞口に前記遊技球が入ると、該入賞口に対応して遊技者に貸与することが設定されている価値担体の数である賞球数を前記貸与制御装置が前記価値担体貸与装置に送信し、該価値担体貸与装置は、前記価値担体管理装置に前記賞球数を送信し、該価値担体管理装置は、該賞球数と同数の前記固有番号を前記価値担体貸与装置に送信するとともに、該送信した固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替え、該固有番号を受信した前記価値担体貸与装置は、該固有番号を前記貸与制御装置に送信することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の価値担体管理システムにおいて、前記遊技機として用いられることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明によれば、価値担体(非封入式の弾球遊技機で言えば遊技球、回胴遊技機で言えばメダル、封入式遊技機で言えば持玉データ)に対応する固有番号が存在し、貸与した価値担体の数だけ、この固有番号を価値担体記憶手段に記憶する。従って、例えば、価値担体記憶手段に1000個の持玉データがある状態は、1000個の固有番号が価値担体記憶手段に記憶されることにより表される。仮に、この価値担体記憶手段の持玉データを改ざんして5000個にするには、4000個の固有番号を価値担体記憶手段に追加記録する必要がある。しかも固有番号記憶手段に同じ固有番号が記憶されており、更にその固有番号の貸与フラグが「貸与中」になっている必要がある。従って、請求項1に記載の価値担体管理システムによれば、持玉データの改ざんが非常に難しく、こうした改ざんに基づく不正行為を防ぐことが出来る。
【0014】
請求項2に記載の価値担体管理システムにおいては、価値担体記憶手段は、遊技者ごとに付与される記録媒体(例えば磁気カード、ICカード、フラッシュメモリなど)となっており、これを遊技機に対応して設けられた記録媒体リーダライタに装着すると、警告手段が価値担体記憶手段技機に記録されている固有番号を読み出し、固有番号記憶手段に照会して、読み出した固有番号が「未貸与」になっているか又は固有番号記憶手段に存在しない場合は、警告動作を行なう。なお、警告動作としては、警報音を出す、ランプを点灯したり点滅させたりする、遊技施設を管理するコンピュータ(いわゆるホールコンピュータ)に異常が発生した旨を示す信号を送る等を挙げることができる。警告動作のための警報音を出すスピーカーや点灯させるランプは、記録媒体リーダライタや遊技機の近傍に設けておくと効果的である。
従って、請求項2に記載の価値担体管理システムによれば、持玉データの改ざんが行なわれたことを速やかに摘発することが出来る。
【0015】
請求項3に記載の価値担体管理システムにおいては、価値担体記憶手段に記憶されている固有番号を一旦、固有番号保持手段に記憶させ、この固有番号保持手段に記憶された固有番号に対して、価値担体更新手段が更新を行なう。従って、請求項3に記載の価値担体管理システムによれば、価値担体の貸与や使用が行なわれる都度、価値担体記憶手段(記録媒体)へのアクセスが行なわれるわけではないので、スピーディーに処理を行なうことができる。特に遊技機においてパチンコ機の大当たりのように短時間で大量の持玉データが遊技者に貸与された場合には、同数の固有番号が必要となるが、これをいちいち価値担体記憶手段(記録媒体)に記憶する必要が無い。
【0016】
請求項4に記載の価値担体管理システムにおいては、遊技施設が遊技機として少なくとも複数の弾球遊技機を備えており、更に価値担体管理装置を備えている。価値担体管理装置は、固有番号記憶手段、第1固有番号制御手段、及び第2固有番号制御手段を備えており、複数の弾球遊技機にて遊技者に貸与される価値担体を管理する。価値担体管理装置はいわゆるホールコンピュータの一機能として実現しても良いし、これらの機能を果たす専用のコンピュータ装置を、ホールコンピュータとは別途、設置しても良い。
【0017】
そして各弾球遊技機は、遊技球が入ると価値担体が遊技者に貸与される入賞口と、遊技の当否を司る主制御装置と、入賞口に前記遊技球が入ると遊技者への価値担体の貸与を主制御装置からの指示に従って実行する貸与制御装置とを備えている。ただし、貸与制御手段は、価値担体貸与装置からの指示に基づく価値担体の貸与も行なう。価値担体貸与装置とは、価値担体の代金となる現金またはプリペイドカードを受け入れて、代金に対応する価値担体の貸与を貸与制御手段に指示するものである。既存の装置としては、CRユニットとか台間ユニットと呼ばれるものに相当する。
【0018】
入賞口に遊技球が入ると、この入賞口に対応して遊技者に貸与することが設定されている価値担体の数である賞球数を、貸与制御装置が価値担体貸与装置に送信する。なお、貸与制御装置に賞球数の指示をするのは一般に主制御装置である。価値担体貸与装置は、価値担体管理装置に賞球数を送信し、価値担体管理装置は、賞球数と同数の固有番号を価値担体貸与装置に送信するとともに、送信した固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える。なお、この切り替えは価値担体管理装置が備える第1固有番号制御手段が行なう。固有番号を受信した価値担体貸与装置は、固有番号を貸与制御装置に送信する。
このように構成された請求項4に記載の本発明によれば、貸与制御装置が特定の外部装置(例えば価値担体貸与装置)以外からは賞球を払いだす旨の指令やデータ(例えば固有番号)を受け取ることができない態様であっても、価値担体貸与装置を介して価値担体管理装置から固有番号を受け取ることができる。
【0019】
なお、価値担体貸与装置から固有番号を受信した貸与制御装置は、その固有番号を価値担体記憶手段に記録したり、主制御装置に送信したりすることが考えられる。価値担体貸与装置が、記録媒体リーダライタとしての機能を持っている場合には、固有番号を価値担体記憶手段に記録するのは価値担体貸与装置が行なうとよい。この場合に、貸与制御装置は、受信した固有番号の数を用いて持玉データの表示を行なったり、受信した固有番号を、主制御装置などに送信することが考えられる。主制御装置が貸与制御装置から固有番号を受信した場合には、その固有番号の個数が、先に貸与制御装置に指示した賞球数と一致しているかをチェックして、一致していなければエラーの発生を報知すること等が考えられる。なお、このチェックを貸与制御装置で行なうことも考えられる。
【0020】
請求項5に記載の本発明は、前記した価値担体管理システムにおいて用いられる遊技機となっている。すなわち、請求項5に記載の遊技機は、価値担体記憶手段に記憶された固有番号の数に対応する価値担体を用いて遊技を行なうもので、価値担体が遊技者に付与されると固有番号の数が増大し、遊技者が価値担体を遊技に用いたが価値担体の付与を受けられなかった場合には固有番号の数が減少する。そしてこの増減に応じて、固有番号記憶手段に記憶された固有番号の貸与フラグが「未貸与」から「貸与中」へ、またはこの逆に「貸与中」から「未貸与」へと切り替えられる。
従って、このように構成された遊技機は、持玉データの偽造に基づく不正な遊技を非常に行ないにくい遊技機となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例のパチンコ機50の正面図
【図2】パチンコ機50の遊技盤1の正面図
【図3】パチンコ機50の電気構成図
【図4】CRユニット56で実行されるICカード確認処理の概要を示すフローチャート
【図5】ホールコンピュータ87で実行される固有番号照合処理の概要を示すフローチャート
【図6】(a)はICカードに固有番号などが格納されている様子を示す説明図、(b)はホールコンピュータ87のデータベースに固有番号および貸与フラグが格納されている様子を示す説明図
【図7】(a)は主制御装置80で実行される入賞確認処理の概要を示すフローチャート、(b)は払出制御装置81で実行される払出指令処理の概要を示すフローチャート
【図8】CRユニット56で実行される賞球発生処理の概要を示すフローチャート
【図9】払出制御装置81で実行される賞球数確認処理の概要を示すフローチャート
【図10】ホールコンピュータ87で実行される貸与フラグ切替処理の概要を示すフローチャート
【図11】発射制御装置84で実行される発射処理の概要を示すフローチャート
【図12】CRユニット56で実行される持玉データ通知処理の概要を示すフローチャート
【図13】CRユニット56で実行される持玉データ使用処理の概要を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【0023】
[実施例]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には内枠が取り付けられており、内枠は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠に取り付けられている。
【0024】
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下部の右方には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、遊技球が遊技盤1に向けて発射される。なお、この遊技球はパチンコ機50内で循環され、パチンコ機50の外部へ取り出すことも外部から遊技球を持ち込むことも原則的に不可能な封入式遊技機として構成されている。パチンコ機50の入賞口(後述)に遊技球が入った場合には、その入賞口に対応する数の遊技球がパチンコ機50に供給されるわけでも、遊技者に対して払い出されるわけでもなく、持玉データという数値データとして遊技者に付与される。なお、以下の説明では、持玉データが付与されることを、「遊技球が払い出される」とも言い、これに倣って持玉データの付与を担当する制御装置を払出制御装置と呼ぶ。
【0025】
板ガラス61の下方手前には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、この演出ボタン67は、周囲にジョグダイヤル68を備えたものとなっている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで、後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50には、当該パチンコ機50が設置された遊技施設の会員カードであるICカードの読み書き等を行うためのCRユニット56が付属しており、ICカードは挿入口20から挿入・離脱される。パチンコ機50には、このICカードに記録された持玉データを下に球を借りるための球貸ボタン57、ICカードを取り出すための精算ボタン58、及びICカードに記録された持玉データなどを表示するための精算表示装置59が備わっている。なお、精算表示装置59には、持玉データを表示するための表示装置の他に、遊技者が投入したプリペイドカードの残高を表示するための表示装置も備えている。持玉データを持っていない遊技者はICカードの代わりにプリペイドカードを挿入口20に入れて、その代金に相当する持玉データを生成することになる。
【0026】
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
【0027】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。
【0028】
センターケース5の下には、第1始動口11が配置され、更にその下には、第2始動口12が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。センターケース5の左方にはゲート17が配置されており、ここを遊技球が通過すると普通図柄が変動し、普通図柄が当り図柄で停止すると翼片が開放される。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配置されている。
【0029】
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0030】
このパチンコ機50の電気的構成は、図3のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、パチンコ機50には属さないホールコンピュータ87およびCRユニット56も併記した。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
【0031】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0032】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8及び当り状態報知ランプ98の点灯を制御する。
【0033】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図3では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールコンピュータ(ホルコンともいう)87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0034】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じてCRユニット56に賞球データを生成させる(詳しくは後述)。CRユニット56はICカードに持玉データなどを書き込んだり読み出したりするためのICカードリーダライタ23(図3ではICカードR/Wと表記)を備えている。そしてCRユニット56はCRユニット端子板24を介して精算表示装置59とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置59には、球貸ボタン57、精算ボタン58が接続されている。
【0035】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
【0036】
発射制御装置84は球送りソレノイド22を制御して、遊技球を発射台(図示省略)に送り込み、発射ソレノイド30を制御して遊技球を遊技領域3に遊技球を発射する。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号、遊技球が発射されたことを検出する発射スイッチ21からの発射検出信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射できないようになっている。また、持玉データがゼロの場合も遊技球は発射できないようになっている(後述)。
【0037】
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれらを操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0038】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
【0039】
CRユニット56にて実行されるICカード確認処理を図4に示す。当処理はCRユニット56の挿入口20にICカードが挿入されると起動する。当処理が起動されると、まず、挿入されたカードが正規のICカードか否かを判定する(S100)。挿入されたICカードが当遊技施設の会員カードではない等、正規のICカードではない場合(S100)には、当処理を終了(リターン。図4ではRETと表記。他の図でも同様。)する。挿入されたカードが正規のICカードであった場合(S100:yes)には、そのICカードに記録されている全ての固有番号をホールコンピュータ87に送信する。なお、CRユニット56とホールコンピュータ87の固有番号に関するやり取りは、CRユニット端子板24および固有番号用接続端子板79(図3参照)を介して行なわれる。このやり取りは双方向通信が可能に設定されており、CRユニット56はホールコンピュータ87に対して固有番号を送信したり、逆に固有番号をホールコンピュータ87から受信したりすることが可能となっている。一方、払出制御装置81も裏配線中継端子板75及び外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87と接続されているが、こちらは外部接続端子板78からホールコンピュータ87への一方向通信となっており、払出制御装置81が固有番号や払出をする旨の指令をホールコンピュータ87から受信することは不可能に構成されている。
【0040】
ここで、ICカードの記録内容の概要を図6(a)に示す。本図に示すように、正規のICカードには、そのICカードの持ち主を示す会員名70(ここでは「サトウ タロウ」)と、その会員の会員番号71(ここでは1234567)と、固有番号73とが記録されている。固有番号とは、持玉データを表すもので、3桁のアルファベットと、6桁の数字と、2桁のアルファベットからなる。そして一つの固有番号(例えば「ABC012345DE」)が1個の遊技球に対応する。図6(a)には3個の固有番号が示されているが、これが「3個の遊技球」に対応する。仮にこのICカードに1000個の遊技球に対応する持玉データが記録されている場合には、固有番号が1000個、記録されていることになる。固有番号であるから当然のことながらこれら1000個の固有番号は全て異なる番号となっている。
【0041】
一方、ホールコンピュータ87には、その遊技施設で用いられる全ての固有番号がデータベースに記録されている。図6(b)はその一例を示すものである。ホールコンピュータ87のデータベースには約1億個の固有番号76が記録されており、各固有番号には貸与フラグ77が設定されている。貸与フラグとは、その固有番号が会員に貸与中か否かを示すもので、「0」が「未貸与」、「1」が「貸与中」を表している。そして固有番号は連番とはなっておらず、例えば図6(b)に示す「AAA000001AB」の次は「AAA000001ACではなく「AAA000003AC」となっている。また、「AAA000003AC」の次は「AAA000003AD」ではなく「AAA000004AE」となっている。
【0042】
ICカード内の固有番号を受信したホールコンピュータ87では、図5に示す固有番号照合処理が実行される。すなわち、CRユニット56から固有番号が送られてくると(S200:yes)、受信した全ての固有番号を自らのデータベースに記録されている固有番号(図6(b)参照)と照合する(S210)。受信した全ての固有番号がデータベース内に存在し(S220:yes)、且つその固有番号の貸与フラグが全て「貸与中」すなわち「1」になっていれば(S230:yes)、正常コードをCRユニットに送信し(S240)、当処理を終了(リターン)する。受信した固有番号の中に一つでも、データベース内に存在しないものがあるか(S220:no)、又はその固有番号の貸与フラグが「未貸与」すなわち「0」のものがあれば(S230:no)、異常コードをCRユニットに送信し(S250)、当処理を終了する。
【0043】
図4に戻る。S120ではホールコンピュータ87から正常コードまたは異常コードを受信したか否かを判定し、受信していなければ(S120:no)、S120に戻って何れかを受信するまで待機する。ホールコンピュータ87からコードを受信した場合(S120:yes)には、そのコードが正常コードか否かを判定し(S130)、否定判断であれば(S130:no)警告動作を行なって(S140)、当処理を終了(リターン)する。ここで警告動作とは、挿入されたICカードに不正な固有番号が記録されている可能性があることを報知するためのもので、払出制御装置81および主制御装置80を介してサブ統合制御装置83にスピーカを鳴動させて警告音を発生させる。なお、この警告音に代えて(又は加えて)ランプ26を点滅させても良い。また、ホールコンピュータ87にてS250が実行された時点で、ホールコンピュータ87内にて何らかの警告動作(例えば遊技施設の管理者に音や電子メールなどを用いて通報する)を行なってもよい。
ホールコンピュータ87から受信したコードが正常コードであれば(S130:yes)、そのまま当処理を終了する。
【0044】
パチンコ機50の主制御装置80にて実行される入賞確認処理を図7(a)に示す。入賞確認処理は、主制御装置80にて約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行されるメインルーチンのサブルーチンとして実行される。当処理が起動されると、第1始動口スイッチ11a、第2始動口スイッチ12a、左入賞口スイッチ31a、カウントスイッチ14aの検出結果に基づいて、これらに対応する入賞口に遊技球が入ったか否かを判定する(S300)。肯定判断(S300:yes)ならば、これらの入賞口に対応する賞球数を示す払出信号を払出制御装置81に送信し(S310)、当処理を終了(リターン)する。賞球数は、第1始動口11と第2始動口12が各3個、大入賞口14が13個、その他の入賞口が各10個となっている。否定判断(S300:no)の場合は、そのまま当処理を終了する。
【0045】
払出信号(S310)を受信した払出制御装置81は、図7(b)に示す払出指令処理を実行する。払出信号を受信すると(S400:yes)、その払出信号が示す賞球数に対応する賞球数データをCRユニット56に送信し(S410)、当処理を終了(リターン)する。発生した入賞が第1始動口11に対するものであれば、賞球数データは3個の賞球を払い出すことを要求するものとなる。なお、封入式であるパチンコ機50では遊技球を払い出すことは無いので、代わりに持玉データを3個分、増加させることを要求することになる。
【0046】
賞球数データを受信したCRユニット56は、図8に示す賞球発生処理を実行する。賞球データを払出制御装置81から受信すると(S500:yes)、その賞球データが示す賞球数と同数の固有番号を発行することをホールコンピュータ87に請求する(S510)。請求を受けたホールコンピュータ87は未貸与の固有番号(正確には、送信されることが決定すると、その固有番号の貸与フラグは「未貸与」から「貸与中」に切り替わる)をCRユニット56に送信する。発生した入賞が第1始動口11に対するものであれば、3個の固有番号がホールコンピュータ87から送信されてくる(これらホールコンピュータ87の処理についてはについては後述)。この固有番号を受信すると(S520)、その固有番号をICカードに書き込む(S530)。これにより、この遊技者の持玉データは遊技球3個分、増大し、これは賞球を払い出されたことに相当する。そして払出が完了したことを示す信号(払出完了信号)を払出制御装置81に送信する(S540)。払出完了信号には、ホールコンピュータ87から発行を受けた固有番号の個数が含まれている。こうして払出完了信号を払出制御装置81に送信すると、S530により更新された持玉データを精算表示装置59に出力し(S550)、当処理を終了(リターン)する。
【0047】
払出完了信号を受信した払出制御装置81は、図9に示す賞球数確認処理を実行する。払出完了信号をCRユニット56から受信すると(S600:yes)、その内容が賞球数データが示す賞球数と一致しているか否かを判定する(S610)。賞球数データは、S410にてCRユニット56に送信したものである。これら二者は本来一致するはずであるが、一致していなければ(S610:no)、賞球エラー処理(S620)を実行して当処理を終了(リターン)する。ここで賞球エラー処理とは、主制御装置80を介してサブ統合制御装置83にスピーカを鳴動させて警告音を発生させると共に、発射制御装置84に信号を発して遊技球の発射を停止させるものである。払出完了信号と賞球データが一致した場合(S610:yes)は、そのまま当処理を終了する。
【0048】
ホールコンピュータ87が実行する貸与フラグ切替処理の概要を図10に示す。CRユニット56から固有番号の発行請求(S510にて行なうもの)があると(S700:yes)、請求された数の固有番号をデータベース(図6(b)参照)から検索する。ここで検索対象となるのは、貸与フラグが「未使用」となっているものである。例えば、CRユニット56から請求された固有番号の数が3個であれば、貸与フラグが「未貸与」すなわち「0」となっている固有番号を3個検索する。そして検索した固有番号の貸与フラグを「貸与中」に切り替える(S720)。そして検索した(貸与フラグをS720で切り替えた)固有番号をCRユニット56に送信(S730)し、当処理を終了(リターン)する。なお、CRユニット56から固有番号の発行請求ではなく(S700:no)、返却請求があった場合(S740:yes)は、受信した固有番号(つまり返却請求のあった固有番号)の貸与フラグを切り替える(S750)。ここで固有番号の返却請求とは、持玉データを遊技に用いた、すなわち遊技球を発射したことを意味する。従って、S750では請求を受けた固有番号の貸与フラグを「貸与中」から「未貸与」に切り替える。発行請求は、遊技球が入賞した入賞口に応じて個数が3個、10個、13個の3種類あったが、パチンコ機50は旧来の遊技機と同様、遊技球を1個ずつ発射するので、CRユニット56からは固有番号の返却請求は基本的に1個ずつとなる。こうしてS750にて貸与フラグを切り替えると、当処理を終了する。
【0049】
遊技球が発射される際の処理を図11〜図13を用いて説明する。まず図11は、発射制御装置84が実行する発射処理の概要であり、当処理は発射ハンドル64が回動されると起動される。当処理が起動されると、CRユニット56に持玉データの有無を請求する。この請求を受けたCRユニット56では、図12に示す持玉データ通知処理を行なう。すなわち、発射制御装置84から持玉データの請求を受けると(S900:yes)、ICカードリーダライタ23でICカードの内容を読み出して、持玉データの有無を確認する(S910)。図6(a)に示したように、持玉データの有無は、ICカード内の固有番号の有無に対応する。持玉データがあれば(S910:yes)、持玉データがある旨を示す信号を発射制御装置84に送信し(S920)、当処理を終了(リターン)する。持玉データがなければ(S910:no)、持玉データがない旨を示す信号を発射制御装置84に送信し(S920)、当処理を終了する。なお、ICカードがCRユニット56に挿入されていないのに、発射ハンドル64が回動された場合には、持玉データがない旨を示す信号が発射制御装置84に送信される。
【0050】
こうしてCRユニット56から持玉データに係る信号を発射制御装置84が受信すると、その信号に基づき、持玉があるか否かを判定し(S810)、肯定判断であれば(S810:yes)、発射ソレノイド30および球送りソレノイド22を駆動して発射動作を行なう(S820)。この発射動作により実際に発射がなされたかどうかを発射スイッチ21の発射検出信号に基づいて判定する(S830)。肯定判断であれば(S830:yes)、発射が行なわれたことを示す信号をCRユニット56に送信し(S840)、当処理を終了(リターン)する。なお、遊技球が発射されたものの、勢いが足らずに遊技領域3に到達しなかった(いわゆるファール)場合には、このファールの発生を検出して、その旨をCRユニット56に送信して持玉データの回復を行なうが、当実施例ではファール発生時の処理に関しては、CRユニット56側の処理も含めて図示および説明を省略した。
【0051】
発射動作を行なったにも係わらず発射スイッチ21の発射検出信号によれば発射が行なわれていないと判定された場合には(S830:no)、発射動作から所定時間(ここで所定時間は2秒)経過したか否かを判定し(S850)、経過していなければS830に戻って所定時間経過するのを待つ。なお、所定時間は2秒に限る必要は無く、遊技機の仕様などに合わせて適宜設定してよい。所定時間経過しても発射検出信号を受信できない場合は(S850:yes)、発射エラー処理(S860)を行なって当処理を終了する。発射エラー処理(S860)では、払出制御装置81および主制御装置80を介してサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82に指令を発し、演出図柄表示装置6に発射エラーが発生した旨を表示する。
【0052】
S840にて発射制御装置84が送信した、発射が行なわれたことを示す信号(発射信号)を受信したCRユニット56は、図13に示す持玉データ使用処理を実行する。すなわち発射制御装置84から発射信号を受信すると(S1000:yes)、ICカードリーダライタ23を制御してICカード内の任意の固有番号を削除し(S1010)、その固有番号をホールコンピュータ87に返却することを申請する信号(返却信号)を送信する(S1020)。この信号を受け取ったホールコンピュータ87は図10のS750の処理を実行する。こうして固有番号の返却信号を送信すると、更新された持玉データを精算表示装置59に出力して当処理を終了(リターン)する。なお、遊技球は1個ずつ発射されるので、S1030で精算表示装置59に表示される新たな持玉データは、それまで表示されていた持玉データよりも1少なくなる。
【0053】
以上の様に構成された価値担体管理システムによれば、持玉データの改ざんが非常に困難である。例えば、ICカードに1000個の持玉データがある場合に、この持玉データを改ざんして5000個にするには、4000個の固有番号をICカードに追加記録する必要がある。しかもこれら4000個の固有番号は、ホールコンピュータ87のデータベースに全て記憶されている必要があり、更にその固有番号の貸与フラグが「1」、すなわち「貸与中」になっている必要がある。つまり、持玉データの改ざんをするには、ホールコンピュータ87に記憶されている固有番号の中から貸与フラグが「0」となっている固有番号を、増加させたい持玉データ数と同数(4000個増やしたいなら4000個)選択し、選択後に貸与フラグを「1」に切り替える等、非常に手間がかかる。しかもデータベース内の固有番号は連番になっていないので、闇雲に固有番号を記憶させても、その固有番号がホールコンピュータ87に記憶されているとは限らない。従って、持玉データの改ざんが非常に困難である。
【0054】
仮に、ホールコンピュータ87に記憶されていない固有番号がICカード内から見つかったり、ホールコンピュータ87には記憶されているものの貸与フラグが「0」すなわち未貸与となっている固有番号がICカード内から見つかったりした場合には、警告動作(S140)が行なわれるので、速やかに摘発することができる。
【0055】
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。パチンコ機50が本発明の「遊技機」に相当し、パチンコ機50に封入された遊技球および持玉データが本発明の「価値担体」に相当し、ホールコンピュータ87が本発明の「価値担体管理装置」に相当し、払出制御装置81が本発明の「貸与制御装置」に相当し、CRユニット56が本発明の「価値担体貸与装置」に相当し、ICカードが本発明の「価値担体記憶手段」に相当し、ホールコンピュータ87のデータベースが本発明の「固有番号記憶手段」に相当し、精算表示装置59が本発明の「価値担体数表示手段」に相当し、ICカードリーダライタ23が本発明の「記録媒体リーダライタ」に相当し、S220またはS230からS250に至る処理が本発明の「警告手段」に相当し、S720の処理が本発明の「第1固有番号制御手段」に相当し、S750の処理が本発明の「第2固有番号制御手段」に相当し、S530及びS1010の処理が本発明の「価値担体更新手段」に相当する。
[他の実施例]
【0056】
前記実施例では、本発明を封入式遊技機および該封入式遊技機を設置した遊技施設に適用したが、封入式ではない遊技機に適用しても良い。持玉などの価値担体の数をデータとして遊技者に貸与する遊技機であれば、同様に適用することができる。従って、遊技機はパチンコ機である必要も無く、回胴式遊技機であっても良い。この場合は、メダル数を固有番号の数として管理することになる。また、適用対象となる遊技施設は、その施設に設置されている全ての遊技機が持玉データを用いるものである必要は無い。持玉データ等を用いる遊技機と、実際の遊技球やメダルを払い出す遊技機とが混在する遊技施設に適用しても良い。この場合は、持玉データを用いる全ての遊技機に本発明を適用しても良いし、持玉データを用いる遊技機の中の一部に、本発明を適用しても良い。また、固有番号およびその貸与データの管理をホールコンピュータ87で行なっていたが、ホールコンピュータ87以外のコンピュータシステムにて、これらを行なっても構わない。
【0057】
S530およびS1010では、ICカードに記憶されている固有番号を直接更新していたが、間接的に行なってもよい。これには例えば、ICカードがCRユニット56に挿入されると、そのICカードに記憶されている固有番号などをCRユニット56が備えるRAMなどの記憶装置に一旦記憶し、このRAMに記憶された固有番号に対して、更新動作を行なうようにすることが考えられる。この記憶装置が、本発明の「固有番号保持手段」に相当する。なお、こうしてICカードから固有番号を取り出した場合には、同一の固有番号が2箇所(固有番号保持手段としてのRAMと、ICカード自体)に存在するのは好ましくないので、ICカード内の固有番号を削除するのが望ましい。この削除を行なうのが、本発明の「固有番号消去手段」に相当する。また、大当り発生時など、持玉データが短時間に大幅に増大する場合には、大当りにより発生した持玉データはCRユニット56のRAMなどに一旦保持して、大当りが終了してから一括してICカードに記録することも考えられる。
【0058】
固有番号に関する情報として、ホールコンピュータ87には貸与フラグを記録していたが、これ以外の情報を記録してもよい。例えば、その固有番号の貸与フラグが「貸与中」の場合は、どの台番号の遊技機にて遊技者に払い出されたものかを記録したり、払出の対象となった遊技者の会員番号を記録したりしてもよい。特に台番号については、ICカードにも記録して、ICカードが挿入口20に挿入された際には、固有番号、貸与フラグだけでなく台番号をもホールコンピュータ87の記録内容と整合しているか否かをチェックしてもよい。このように構成すれば、持玉データの偽造が更に困難となる。なお、台番号そのものではなくとも、払い出した遊技機を特定可能な情報を固有番号と対応可能にホールコンピュータ87・ICカードの双方に記録しておき、照合を行なえば、同様の効果を奏することは明らかである。
【0059】
パチンコ機50では、CRユニット56にてICカードへの固有番号の記録および読み出しを行なっていたが、これらの処理をCRユニット56以外の構成(例えば払出制御装置81)が行なうように構成し直してもよい。可能であれば、ホールコンピュータ87が送信した固有番号をCRユニット端子板24を介することなく払出制御装置81が受信して、ICカードへの前記した処理を自ら行なったり、CRユニット56等に行なわせたりする構成としてもよい。また、遊技球は発射ソレノイド30を動力として発射を行なっていたが、ソレノイド以外のアクチュエータを用いて遊技球を発射しても良い(球送りについても同様)。なお、弾球遊技機と回胴式遊技機が併設されている遊技施設では、遊技球のデータとメダルのデータの双方をICカードに記録可能に構成してもよい。また、換金率の異なる遊技機を設置した遊技施設では、固有番号に換金率の情報も併せて記録するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
21:発射スイッチ 56:CRユニット
73,76:固有番号 77:貸与フラグ
80:主制御装置 81:払出制御装置
84:発射制御装置 87:ホールコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技に用いられる遊技球、メダル、コイン、現金などの価値担体の量を、これらの現物に代わるデータとして管理し、該データの少なくとも一部を遊技者などに貸与したり徴収したりする技術である価値担体管理システム、および該システムで用いられる遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機においては、以前より、遊技球を遊技機内に封入して遊技機内にて遊技球を循環することにより遊技を行なうタイプ(封入式遊技機、或いは単に封入式ともいう)が提案されている(例えば特許文献1)。封入式遊技機においては、賞球を実際の遊技球として遊技者に払い出さず、持玉データなどと呼ばれる数値として遊技者に付与する。遊技球の発射は持玉データが存在する場合に可能にされている。この遊技球は前述のように遊技機内で循環されており、かつ実際の遊技球を払い出さないので、封入式ではない遊技機に比べて遊技球の所要数が遥かに少なくて済む。そして遊技機に対する実際の遊技球の供給および排出が基本的に行なわれないので、外部から遊技球を大量に持ち込んで不正に遊技を行なうことや、特殊な不正遊技球(例えば、直径の異なる遊技球、糸のついた遊技球など)を持ち込むことや、これらの不正を行なうため等を目的として為される遊技球の盗難を防止することができる。遊技を通じて遊技者が獲得した持玉データは、ICカード等の記録媒体に記録され、景品カウンターに該記録媒体を提出することにより景品に交換されたり、或いは交換されることなく遊技者が自宅などに持ち帰り、後日の遊技で再利用されたりする。
【0003】
なお、前記記録媒体に全く持玉データがない場合には、現金等を台間ユニット等に投入(以下、この態様すなわち「現金を台間ユニットに投入」するという態様にて代表させる)して該代金の額に対応する持玉データを作成し、該持玉データを用いて遊技を行なう。つまり「持玉データを作成する」とは、封入式でない遊技機を用いた遊技における「遊技球を借りる」という行為に相当する。そして持玉データが0になれば発射が禁止され、この時点で遊技を終了するか、改めて現金を台間ユニットに投入して持玉データを作成する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−63083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、封入式遊技機においては、持玉データが偽造される可能性がある。例えば、実際には持玉データは遊技球にして1000個分であるにも拘らず、これを5000個や10000個といった多いデータに改ざんするといった不正が考えられる。同様の問題は封入式の弾球遊技機に限らず、遊技球、メダル、コイン、現金などの価値担体の量を、これらの現物に代わるデータとして管理する遊技施設においては、そのデータを用いる理由(例えば、不正な遊技の防止、価値担体の少量化)に係わらず、同様に発生する。
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、持玉データ等のデータを用いて遊技を行なう遊技施設において、データを偽造することにより行なわれる不正を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明は、遊技者に貸与された価値担体を用いて遊技を行なう遊技機を備えた遊技施設にて、前記価値担体を管理する価値担体管理システムであって、前記各価値担体に対応する前記固有番号を記憶する固有番号記憶手段を備え、且つ該固有番号記憶手段に記憶された固有番号には、前記遊技者に貸与中か否かを示す貸与フラグが該固有番号ごとに記憶されており、前記遊技者に貸与された前記価値担体の数と同数の前記固有番号を記憶するための価値担体記憶手段と、前記遊技者に貸与された前記価値担体の数を表示する価値担体数表示手段と、前記遊技において、遊技者に前記価値担体が貸与されると、貸与された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える第1固有番号制御手段と、前記遊技において、遊技者が前記価値担体を遊技に使用すると、使用された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「貸与中」から「未貸与」に切り替える第2固有番号制御手段と、前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、該貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記使用に係る貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段から消去する価値担体更新手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで「固有番号」は例えば遊技球に付与されるIDとは異なる。この相異点は封入式遊技機で顕著となる。すなわち、1台の封入式で100個の遊技球が循環されるとすると、その遊技機におけるIDの数は100個である。この数は、その遊技機で大当たりにより1000個の賞球(持玉データ)が発生しても変わらない。これに対し本発明では、封入式において1000個の賞球が発生すると、1000個の固有番号がその遊技者に付与(貸与)され、その遊技機における固有番号の数は100個よりも遥かに多くなる。また、「前記遊技者に貸与された前記価値担体の数と同数の前記固有番号を記憶するための価値担体記憶手段」とは、「遊技者に貸与された価値担体の数と、価値担体記憶手段に記憶された固有番号の数は、必ず一致している」という意味ではない。例えば、遊技の開始前や終了後には両者は一致していても、それ以外の場合(例えば遊技中)では、一致している必要は無い。具体的には、価値担体記憶手段に記憶されている固有番号の一部を請求項3の固有番号保持手段に記憶させて、その分は価値担体記憶手段から消去したり、遊技中に遊技者に付与された大量の固有番号を固有番号保持手段のような構成に一旦保持して、あとで価値担体記憶手段に記録したりするといった態様を挙げることができる。いずれの場合も、価値担体記憶手段に記憶されている固有番号の数よりも、遊技者に付与されている固有番号の総数の方が一時的に多くなる。
【0008】
また、「貸与」とは、価値担体(非封入式の弾球遊技機で言えば遊技球、回胴式遊技機で言えばメダル、封入式遊技機で言えば持玉データ)を遊技者に代金と引き換えに貸し出すことのみを指すのではない。将来、景品などに交換すると考えられ、実質的に遊技者に「付与した」とみなせる行為も貸与と呼ぶものとする。従って、弾球遊技機における「賞球の払い出し」もここでは貸与と呼ぶ。そして封入式遊技機における「持玉データの増加」も価値担体の貸与である。また、第1固有番号制御手段が『遊技者に前記価値担体が貸与されると、貸与された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える』とは、『固有番号記憶手段の中から貸与フラグが「未貸与」になっている固有番号を検索し、その固有番号の貸与フラグを「貸与中」に切り替える』と言う意味である。第2固有番号制御手段は、貸与フラグが「貸与中」になっている固有番号を検索し、その固有番号の貸与フラグを「未貸与」に切り替える。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の価値担体管理システムにおいて、前記価値担体記憶手段は、前記遊技者ごとに付与される記録媒体であって、前記遊技機に対応して設けられ、該遊技機にて前記遊技を行なう際に前記価値担体記憶手段が装着されて該記録媒体に対してデータの読み取り及び書き込みが可能な記録媒体リーダライタと、前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段技機に記録されている前記固有番号を読み出し、前記固有番号記憶手段に照会して、読み出した前記固有番号が「未貸与」になっているか又は前記固有番号記憶手段に存在しない場合は、警告動作を行なう警告手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の価値担体管理システムにおいて、前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段に記録されている前記固有番号の少なくとも一部を読み出して記憶する固有番号保持手段と、該固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段から消去する固有番号消去手段とを備え、前記価値担体更新手段は、前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段から消去し、前記価値担体記憶手段を前記記録媒体リーダライタから離脱する際には、前記固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段に記憶するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、請求項2または3に記載の価値担体管理システムにおいて、前記遊技施設が前記遊技機として少なくとも複数の弾球遊技機を備えたものであり、前記固有番号記憶手段、前記第1固有番号制御手段、及び前記第2固有番号制御手段を備え、前記複数の弾球遊技機にて遊技者に貸与される価値担体を管理する価値担体管理装置を備え、前記各弾球遊技機は、遊技球が入ると価値担体が遊技者に貸与される入賞口と、遊技の当否を司る主制御装置と、前記入賞口に前記遊技球が入ると遊技者への価値担体の貸与を前記主制御装置からの指示に従って実行する貸与制御装置とを備えたものであり、前記価値担体の代金となる現金またはプリペイドカードを受け入れて、前記代金に対応する前記価値担体の貸与を前記貸与制御手段に指示する価値担体貸与装置とを備え、前記入賞口に前記遊技球が入ると、該入賞口に対応して遊技者に貸与することが設定されている価値担体の数である賞球数を前記貸与制御装置が前記価値担体貸与装置に送信し、該価値担体貸与装置は、前記価値担体管理装置に前記賞球数を送信し、該価値担体管理装置は、該賞球数と同数の前記固有番号を前記価値担体貸与装置に送信するとともに、該送信した固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替え、該固有番号を受信した前記価値担体貸与装置は、該固有番号を前記貸与制御装置に送信することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の価値担体管理システムにおいて、前記遊技機として用いられることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明によれば、価値担体(非封入式の弾球遊技機で言えば遊技球、回胴遊技機で言えばメダル、封入式遊技機で言えば持玉データ)に対応する固有番号が存在し、貸与した価値担体の数だけ、この固有番号を価値担体記憶手段に記憶する。従って、例えば、価値担体記憶手段に1000個の持玉データがある状態は、1000個の固有番号が価値担体記憶手段に記憶されることにより表される。仮に、この価値担体記憶手段の持玉データを改ざんして5000個にするには、4000個の固有番号を価値担体記憶手段に追加記録する必要がある。しかも固有番号記憶手段に同じ固有番号が記憶されており、更にその固有番号の貸与フラグが「貸与中」になっている必要がある。従って、請求項1に記載の価値担体管理システムによれば、持玉データの改ざんが非常に難しく、こうした改ざんに基づく不正行為を防ぐことが出来る。
【0014】
請求項2に記載の価値担体管理システムにおいては、価値担体記憶手段は、遊技者ごとに付与される記録媒体(例えば磁気カード、ICカード、フラッシュメモリなど)となっており、これを遊技機に対応して設けられた記録媒体リーダライタに装着すると、警告手段が価値担体記憶手段技機に記録されている固有番号を読み出し、固有番号記憶手段に照会して、読み出した固有番号が「未貸与」になっているか又は固有番号記憶手段に存在しない場合は、警告動作を行なう。なお、警告動作としては、警報音を出す、ランプを点灯したり点滅させたりする、遊技施設を管理するコンピュータ(いわゆるホールコンピュータ)に異常が発生した旨を示す信号を送る等を挙げることができる。警告動作のための警報音を出すスピーカーや点灯させるランプは、記録媒体リーダライタや遊技機の近傍に設けておくと効果的である。
従って、請求項2に記載の価値担体管理システムによれば、持玉データの改ざんが行なわれたことを速やかに摘発することが出来る。
【0015】
請求項3に記載の価値担体管理システムにおいては、価値担体記憶手段に記憶されている固有番号を一旦、固有番号保持手段に記憶させ、この固有番号保持手段に記憶された固有番号に対して、価値担体更新手段が更新を行なう。従って、請求項3に記載の価値担体管理システムによれば、価値担体の貸与や使用が行なわれる都度、価値担体記憶手段(記録媒体)へのアクセスが行なわれるわけではないので、スピーディーに処理を行なうことができる。特に遊技機においてパチンコ機の大当たりのように短時間で大量の持玉データが遊技者に貸与された場合には、同数の固有番号が必要となるが、これをいちいち価値担体記憶手段(記録媒体)に記憶する必要が無い。
【0016】
請求項4に記載の価値担体管理システムにおいては、遊技施設が遊技機として少なくとも複数の弾球遊技機を備えており、更に価値担体管理装置を備えている。価値担体管理装置は、固有番号記憶手段、第1固有番号制御手段、及び第2固有番号制御手段を備えており、複数の弾球遊技機にて遊技者に貸与される価値担体を管理する。価値担体管理装置はいわゆるホールコンピュータの一機能として実現しても良いし、これらの機能を果たす専用のコンピュータ装置を、ホールコンピュータとは別途、設置しても良い。
【0017】
そして各弾球遊技機は、遊技球が入ると価値担体が遊技者に貸与される入賞口と、遊技の当否を司る主制御装置と、入賞口に前記遊技球が入ると遊技者への価値担体の貸与を主制御装置からの指示に従って実行する貸与制御装置とを備えている。ただし、貸与制御手段は、価値担体貸与装置からの指示に基づく価値担体の貸与も行なう。価値担体貸与装置とは、価値担体の代金となる現金またはプリペイドカードを受け入れて、代金に対応する価値担体の貸与を貸与制御手段に指示するものである。既存の装置としては、CRユニットとか台間ユニットと呼ばれるものに相当する。
【0018】
入賞口に遊技球が入ると、この入賞口に対応して遊技者に貸与することが設定されている価値担体の数である賞球数を、貸与制御装置が価値担体貸与装置に送信する。なお、貸与制御装置に賞球数の指示をするのは一般に主制御装置である。価値担体貸与装置は、価値担体管理装置に賞球数を送信し、価値担体管理装置は、賞球数と同数の固有番号を価値担体貸与装置に送信するとともに、送信した固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える。なお、この切り替えは価値担体管理装置が備える第1固有番号制御手段が行なう。固有番号を受信した価値担体貸与装置は、固有番号を貸与制御装置に送信する。
このように構成された請求項4に記載の本発明によれば、貸与制御装置が特定の外部装置(例えば価値担体貸与装置)以外からは賞球を払いだす旨の指令やデータ(例えば固有番号)を受け取ることができない態様であっても、価値担体貸与装置を介して価値担体管理装置から固有番号を受け取ることができる。
【0019】
なお、価値担体貸与装置から固有番号を受信した貸与制御装置は、その固有番号を価値担体記憶手段に記録したり、主制御装置に送信したりすることが考えられる。価値担体貸与装置が、記録媒体リーダライタとしての機能を持っている場合には、固有番号を価値担体記憶手段に記録するのは価値担体貸与装置が行なうとよい。この場合に、貸与制御装置は、受信した固有番号の数を用いて持玉データの表示を行なったり、受信した固有番号を、主制御装置などに送信することが考えられる。主制御装置が貸与制御装置から固有番号を受信した場合には、その固有番号の個数が、先に貸与制御装置に指示した賞球数と一致しているかをチェックして、一致していなければエラーの発生を報知すること等が考えられる。なお、このチェックを貸与制御装置で行なうことも考えられる。
【0020】
請求項5に記載の本発明は、前記した価値担体管理システムにおいて用いられる遊技機となっている。すなわち、請求項5に記載の遊技機は、価値担体記憶手段に記憶された固有番号の数に対応する価値担体を用いて遊技を行なうもので、価値担体が遊技者に付与されると固有番号の数が増大し、遊技者が価値担体を遊技に用いたが価値担体の付与を受けられなかった場合には固有番号の数が減少する。そしてこの増減に応じて、固有番号記憶手段に記憶された固有番号の貸与フラグが「未貸与」から「貸与中」へ、またはこの逆に「貸与中」から「未貸与」へと切り替えられる。
従って、このように構成された遊技機は、持玉データの偽造に基づく不正な遊技を非常に行ないにくい遊技機となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例のパチンコ機50の正面図
【図2】パチンコ機50の遊技盤1の正面図
【図3】パチンコ機50の電気構成図
【図4】CRユニット56で実行されるICカード確認処理の概要を示すフローチャート
【図5】ホールコンピュータ87で実行される固有番号照合処理の概要を示すフローチャート
【図6】(a)はICカードに固有番号などが格納されている様子を示す説明図、(b)はホールコンピュータ87のデータベースに固有番号および貸与フラグが格納されている様子を示す説明図
【図7】(a)は主制御装置80で実行される入賞確認処理の概要を示すフローチャート、(b)は払出制御装置81で実行される払出指令処理の概要を示すフローチャート
【図8】CRユニット56で実行される賞球発生処理の概要を示すフローチャート
【図9】払出制御装置81で実行される賞球数確認処理の概要を示すフローチャート
【図10】ホールコンピュータ87で実行される貸与フラグ切替処理の概要を示すフローチャート
【図11】発射制御装置84で実行される発射処理の概要を示すフローチャート
【図12】CRユニット56で実行される持玉データ通知処理の概要を示すフローチャート
【図13】CRユニット56で実行される持玉データ使用処理の概要を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【0023】
[実施例]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には内枠が取り付けられており、内枠は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠に取り付けられている。
【0024】
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下部の右方には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、遊技球が遊技盤1に向けて発射される。なお、この遊技球はパチンコ機50内で循環され、パチンコ機50の外部へ取り出すことも外部から遊技球を持ち込むことも原則的に不可能な封入式遊技機として構成されている。パチンコ機50の入賞口(後述)に遊技球が入った場合には、その入賞口に対応する数の遊技球がパチンコ機50に供給されるわけでも、遊技者に対して払い出されるわけでもなく、持玉データという数値データとして遊技者に付与される。なお、以下の説明では、持玉データが付与されることを、「遊技球が払い出される」とも言い、これに倣って持玉データの付与を担当する制御装置を払出制御装置と呼ぶ。
【0025】
板ガラス61の下方手前には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、この演出ボタン67は、周囲にジョグダイヤル68を備えたものとなっている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで、後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50には、当該パチンコ機50が設置された遊技施設の会員カードであるICカードの読み書き等を行うためのCRユニット56が付属しており、ICカードは挿入口20から挿入・離脱される。パチンコ機50には、このICカードに記録された持玉データを下に球を借りるための球貸ボタン57、ICカードを取り出すための精算ボタン58、及びICカードに記録された持玉データなどを表示するための精算表示装置59が備わっている。なお、精算表示装置59には、持玉データを表示するための表示装置の他に、遊技者が投入したプリペイドカードの残高を表示するための表示装置も備えている。持玉データを持っていない遊技者はICカードの代わりにプリペイドカードを挿入口20に入れて、その代金に相当する持玉データを生成することになる。
【0026】
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
【0027】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。
【0028】
センターケース5の下には、第1始動口11が配置され、更にその下には、第2始動口12が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。センターケース5の左方にはゲート17が配置されており、ここを遊技球が通過すると普通図柄が変動し、普通図柄が当り図柄で停止すると翼片が開放される。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配置されている。
【0029】
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0030】
このパチンコ機50の電気的構成は、図3のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、パチンコ機50には属さないホールコンピュータ87およびCRユニット56も併記した。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
【0031】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0032】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8及び当り状態報知ランプ98の点灯を制御する。
【0033】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図3では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールコンピュータ(ホルコンともいう)87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0034】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じてCRユニット56に賞球データを生成させる(詳しくは後述)。CRユニット56はICカードに持玉データなどを書き込んだり読み出したりするためのICカードリーダライタ23(図3ではICカードR/Wと表記)を備えている。そしてCRユニット56はCRユニット端子板24を介して精算表示装置59とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置59には、球貸ボタン57、精算ボタン58が接続されている。
【0035】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
【0036】
発射制御装置84は球送りソレノイド22を制御して、遊技球を発射台(図示省略)に送り込み、発射ソレノイド30を制御して遊技球を遊技領域3に遊技球を発射する。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号、遊技球が発射されたことを検出する発射スイッチ21からの発射検出信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射できないようになっている。また、持玉データがゼロの場合も遊技球は発射できないようになっている(後述)。
【0037】
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれらを操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0038】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
【0039】
CRユニット56にて実行されるICカード確認処理を図4に示す。当処理はCRユニット56の挿入口20にICカードが挿入されると起動する。当処理が起動されると、まず、挿入されたカードが正規のICカードか否かを判定する(S100)。挿入されたICカードが当遊技施設の会員カードではない等、正規のICカードではない場合(S100)には、当処理を終了(リターン。図4ではRETと表記。他の図でも同様。)する。挿入されたカードが正規のICカードであった場合(S100:yes)には、そのICカードに記録されている全ての固有番号をホールコンピュータ87に送信する。なお、CRユニット56とホールコンピュータ87の固有番号に関するやり取りは、CRユニット端子板24および固有番号用接続端子板79(図3参照)を介して行なわれる。このやり取りは双方向通信が可能に設定されており、CRユニット56はホールコンピュータ87に対して固有番号を送信したり、逆に固有番号をホールコンピュータ87から受信したりすることが可能となっている。一方、払出制御装置81も裏配線中継端子板75及び外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87と接続されているが、こちらは外部接続端子板78からホールコンピュータ87への一方向通信となっており、払出制御装置81が固有番号や払出をする旨の指令をホールコンピュータ87から受信することは不可能に構成されている。
【0040】
ここで、ICカードの記録内容の概要を図6(a)に示す。本図に示すように、正規のICカードには、そのICカードの持ち主を示す会員名70(ここでは「サトウ タロウ」)と、その会員の会員番号71(ここでは1234567)と、固有番号73とが記録されている。固有番号とは、持玉データを表すもので、3桁のアルファベットと、6桁の数字と、2桁のアルファベットからなる。そして一つの固有番号(例えば「ABC012345DE」)が1個の遊技球に対応する。図6(a)には3個の固有番号が示されているが、これが「3個の遊技球」に対応する。仮にこのICカードに1000個の遊技球に対応する持玉データが記録されている場合には、固有番号が1000個、記録されていることになる。固有番号であるから当然のことながらこれら1000個の固有番号は全て異なる番号となっている。
【0041】
一方、ホールコンピュータ87には、その遊技施設で用いられる全ての固有番号がデータベースに記録されている。図6(b)はその一例を示すものである。ホールコンピュータ87のデータベースには約1億個の固有番号76が記録されており、各固有番号には貸与フラグ77が設定されている。貸与フラグとは、その固有番号が会員に貸与中か否かを示すもので、「0」が「未貸与」、「1」が「貸与中」を表している。そして固有番号は連番とはなっておらず、例えば図6(b)に示す「AAA000001AB」の次は「AAA000001ACではなく「AAA000003AC」となっている。また、「AAA000003AC」の次は「AAA000003AD」ではなく「AAA000004AE」となっている。
【0042】
ICカード内の固有番号を受信したホールコンピュータ87では、図5に示す固有番号照合処理が実行される。すなわち、CRユニット56から固有番号が送られてくると(S200:yes)、受信した全ての固有番号を自らのデータベースに記録されている固有番号(図6(b)参照)と照合する(S210)。受信した全ての固有番号がデータベース内に存在し(S220:yes)、且つその固有番号の貸与フラグが全て「貸与中」すなわち「1」になっていれば(S230:yes)、正常コードをCRユニットに送信し(S240)、当処理を終了(リターン)する。受信した固有番号の中に一つでも、データベース内に存在しないものがあるか(S220:no)、又はその固有番号の貸与フラグが「未貸与」すなわち「0」のものがあれば(S230:no)、異常コードをCRユニットに送信し(S250)、当処理を終了する。
【0043】
図4に戻る。S120ではホールコンピュータ87から正常コードまたは異常コードを受信したか否かを判定し、受信していなければ(S120:no)、S120に戻って何れかを受信するまで待機する。ホールコンピュータ87からコードを受信した場合(S120:yes)には、そのコードが正常コードか否かを判定し(S130)、否定判断であれば(S130:no)警告動作を行なって(S140)、当処理を終了(リターン)する。ここで警告動作とは、挿入されたICカードに不正な固有番号が記録されている可能性があることを報知するためのもので、払出制御装置81および主制御装置80を介してサブ統合制御装置83にスピーカを鳴動させて警告音を発生させる。なお、この警告音に代えて(又は加えて)ランプ26を点滅させても良い。また、ホールコンピュータ87にてS250が実行された時点で、ホールコンピュータ87内にて何らかの警告動作(例えば遊技施設の管理者に音や電子メールなどを用いて通報する)を行なってもよい。
ホールコンピュータ87から受信したコードが正常コードであれば(S130:yes)、そのまま当処理を終了する。
【0044】
パチンコ機50の主制御装置80にて実行される入賞確認処理を図7(a)に示す。入賞確認処理は、主制御装置80にて約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行されるメインルーチンのサブルーチンとして実行される。当処理が起動されると、第1始動口スイッチ11a、第2始動口スイッチ12a、左入賞口スイッチ31a、カウントスイッチ14aの検出結果に基づいて、これらに対応する入賞口に遊技球が入ったか否かを判定する(S300)。肯定判断(S300:yes)ならば、これらの入賞口に対応する賞球数を示す払出信号を払出制御装置81に送信し(S310)、当処理を終了(リターン)する。賞球数は、第1始動口11と第2始動口12が各3個、大入賞口14が13個、その他の入賞口が各10個となっている。否定判断(S300:no)の場合は、そのまま当処理を終了する。
【0045】
払出信号(S310)を受信した払出制御装置81は、図7(b)に示す払出指令処理を実行する。払出信号を受信すると(S400:yes)、その払出信号が示す賞球数に対応する賞球数データをCRユニット56に送信し(S410)、当処理を終了(リターン)する。発生した入賞が第1始動口11に対するものであれば、賞球数データは3個の賞球を払い出すことを要求するものとなる。なお、封入式であるパチンコ機50では遊技球を払い出すことは無いので、代わりに持玉データを3個分、増加させることを要求することになる。
【0046】
賞球数データを受信したCRユニット56は、図8に示す賞球発生処理を実行する。賞球データを払出制御装置81から受信すると(S500:yes)、その賞球データが示す賞球数と同数の固有番号を発行することをホールコンピュータ87に請求する(S510)。請求を受けたホールコンピュータ87は未貸与の固有番号(正確には、送信されることが決定すると、その固有番号の貸与フラグは「未貸与」から「貸与中」に切り替わる)をCRユニット56に送信する。発生した入賞が第1始動口11に対するものであれば、3個の固有番号がホールコンピュータ87から送信されてくる(これらホールコンピュータ87の処理についてはについては後述)。この固有番号を受信すると(S520)、その固有番号をICカードに書き込む(S530)。これにより、この遊技者の持玉データは遊技球3個分、増大し、これは賞球を払い出されたことに相当する。そして払出が完了したことを示す信号(払出完了信号)を払出制御装置81に送信する(S540)。払出完了信号には、ホールコンピュータ87から発行を受けた固有番号の個数が含まれている。こうして払出完了信号を払出制御装置81に送信すると、S530により更新された持玉データを精算表示装置59に出力し(S550)、当処理を終了(リターン)する。
【0047】
払出完了信号を受信した払出制御装置81は、図9に示す賞球数確認処理を実行する。払出完了信号をCRユニット56から受信すると(S600:yes)、その内容が賞球数データが示す賞球数と一致しているか否かを判定する(S610)。賞球数データは、S410にてCRユニット56に送信したものである。これら二者は本来一致するはずであるが、一致していなければ(S610:no)、賞球エラー処理(S620)を実行して当処理を終了(リターン)する。ここで賞球エラー処理とは、主制御装置80を介してサブ統合制御装置83にスピーカを鳴動させて警告音を発生させると共に、発射制御装置84に信号を発して遊技球の発射を停止させるものである。払出完了信号と賞球データが一致した場合(S610:yes)は、そのまま当処理を終了する。
【0048】
ホールコンピュータ87が実行する貸与フラグ切替処理の概要を図10に示す。CRユニット56から固有番号の発行請求(S510にて行なうもの)があると(S700:yes)、請求された数の固有番号をデータベース(図6(b)参照)から検索する。ここで検索対象となるのは、貸与フラグが「未使用」となっているものである。例えば、CRユニット56から請求された固有番号の数が3個であれば、貸与フラグが「未貸与」すなわち「0」となっている固有番号を3個検索する。そして検索した固有番号の貸与フラグを「貸与中」に切り替える(S720)。そして検索した(貸与フラグをS720で切り替えた)固有番号をCRユニット56に送信(S730)し、当処理を終了(リターン)する。なお、CRユニット56から固有番号の発行請求ではなく(S700:no)、返却請求があった場合(S740:yes)は、受信した固有番号(つまり返却請求のあった固有番号)の貸与フラグを切り替える(S750)。ここで固有番号の返却請求とは、持玉データを遊技に用いた、すなわち遊技球を発射したことを意味する。従って、S750では請求を受けた固有番号の貸与フラグを「貸与中」から「未貸与」に切り替える。発行請求は、遊技球が入賞した入賞口に応じて個数が3個、10個、13個の3種類あったが、パチンコ機50は旧来の遊技機と同様、遊技球を1個ずつ発射するので、CRユニット56からは固有番号の返却請求は基本的に1個ずつとなる。こうしてS750にて貸与フラグを切り替えると、当処理を終了する。
【0049】
遊技球が発射される際の処理を図11〜図13を用いて説明する。まず図11は、発射制御装置84が実行する発射処理の概要であり、当処理は発射ハンドル64が回動されると起動される。当処理が起動されると、CRユニット56に持玉データの有無を請求する。この請求を受けたCRユニット56では、図12に示す持玉データ通知処理を行なう。すなわち、発射制御装置84から持玉データの請求を受けると(S900:yes)、ICカードリーダライタ23でICカードの内容を読み出して、持玉データの有無を確認する(S910)。図6(a)に示したように、持玉データの有無は、ICカード内の固有番号の有無に対応する。持玉データがあれば(S910:yes)、持玉データがある旨を示す信号を発射制御装置84に送信し(S920)、当処理を終了(リターン)する。持玉データがなければ(S910:no)、持玉データがない旨を示す信号を発射制御装置84に送信し(S920)、当処理を終了する。なお、ICカードがCRユニット56に挿入されていないのに、発射ハンドル64が回動された場合には、持玉データがない旨を示す信号が発射制御装置84に送信される。
【0050】
こうしてCRユニット56から持玉データに係る信号を発射制御装置84が受信すると、その信号に基づき、持玉があるか否かを判定し(S810)、肯定判断であれば(S810:yes)、発射ソレノイド30および球送りソレノイド22を駆動して発射動作を行なう(S820)。この発射動作により実際に発射がなされたかどうかを発射スイッチ21の発射検出信号に基づいて判定する(S830)。肯定判断であれば(S830:yes)、発射が行なわれたことを示す信号をCRユニット56に送信し(S840)、当処理を終了(リターン)する。なお、遊技球が発射されたものの、勢いが足らずに遊技領域3に到達しなかった(いわゆるファール)場合には、このファールの発生を検出して、その旨をCRユニット56に送信して持玉データの回復を行なうが、当実施例ではファール発生時の処理に関しては、CRユニット56側の処理も含めて図示および説明を省略した。
【0051】
発射動作を行なったにも係わらず発射スイッチ21の発射検出信号によれば発射が行なわれていないと判定された場合には(S830:no)、発射動作から所定時間(ここで所定時間は2秒)経過したか否かを判定し(S850)、経過していなければS830に戻って所定時間経過するのを待つ。なお、所定時間は2秒に限る必要は無く、遊技機の仕様などに合わせて適宜設定してよい。所定時間経過しても発射検出信号を受信できない場合は(S850:yes)、発射エラー処理(S860)を行なって当処理を終了する。発射エラー処理(S860)では、払出制御装置81および主制御装置80を介してサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82に指令を発し、演出図柄表示装置6に発射エラーが発生した旨を表示する。
【0052】
S840にて発射制御装置84が送信した、発射が行なわれたことを示す信号(発射信号)を受信したCRユニット56は、図13に示す持玉データ使用処理を実行する。すなわち発射制御装置84から発射信号を受信すると(S1000:yes)、ICカードリーダライタ23を制御してICカード内の任意の固有番号を削除し(S1010)、その固有番号をホールコンピュータ87に返却することを申請する信号(返却信号)を送信する(S1020)。この信号を受け取ったホールコンピュータ87は図10のS750の処理を実行する。こうして固有番号の返却信号を送信すると、更新された持玉データを精算表示装置59に出力して当処理を終了(リターン)する。なお、遊技球は1個ずつ発射されるので、S1030で精算表示装置59に表示される新たな持玉データは、それまで表示されていた持玉データよりも1少なくなる。
【0053】
以上の様に構成された価値担体管理システムによれば、持玉データの改ざんが非常に困難である。例えば、ICカードに1000個の持玉データがある場合に、この持玉データを改ざんして5000個にするには、4000個の固有番号をICカードに追加記録する必要がある。しかもこれら4000個の固有番号は、ホールコンピュータ87のデータベースに全て記憶されている必要があり、更にその固有番号の貸与フラグが「1」、すなわち「貸与中」になっている必要がある。つまり、持玉データの改ざんをするには、ホールコンピュータ87に記憶されている固有番号の中から貸与フラグが「0」となっている固有番号を、増加させたい持玉データ数と同数(4000個増やしたいなら4000個)選択し、選択後に貸与フラグを「1」に切り替える等、非常に手間がかかる。しかもデータベース内の固有番号は連番になっていないので、闇雲に固有番号を記憶させても、その固有番号がホールコンピュータ87に記憶されているとは限らない。従って、持玉データの改ざんが非常に困難である。
【0054】
仮に、ホールコンピュータ87に記憶されていない固有番号がICカード内から見つかったり、ホールコンピュータ87には記憶されているものの貸与フラグが「0」すなわち未貸与となっている固有番号がICカード内から見つかったりした場合には、警告動作(S140)が行なわれるので、速やかに摘発することができる。
【0055】
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。パチンコ機50が本発明の「遊技機」に相当し、パチンコ機50に封入された遊技球および持玉データが本発明の「価値担体」に相当し、ホールコンピュータ87が本発明の「価値担体管理装置」に相当し、払出制御装置81が本発明の「貸与制御装置」に相当し、CRユニット56が本発明の「価値担体貸与装置」に相当し、ICカードが本発明の「価値担体記憶手段」に相当し、ホールコンピュータ87のデータベースが本発明の「固有番号記憶手段」に相当し、精算表示装置59が本発明の「価値担体数表示手段」に相当し、ICカードリーダライタ23が本発明の「記録媒体リーダライタ」に相当し、S220またはS230からS250に至る処理が本発明の「警告手段」に相当し、S720の処理が本発明の「第1固有番号制御手段」に相当し、S750の処理が本発明の「第2固有番号制御手段」に相当し、S530及びS1010の処理が本発明の「価値担体更新手段」に相当する。
[他の実施例]
【0056】
前記実施例では、本発明を封入式遊技機および該封入式遊技機を設置した遊技施設に適用したが、封入式ではない遊技機に適用しても良い。持玉などの価値担体の数をデータとして遊技者に貸与する遊技機であれば、同様に適用することができる。従って、遊技機はパチンコ機である必要も無く、回胴式遊技機であっても良い。この場合は、メダル数を固有番号の数として管理することになる。また、適用対象となる遊技施設は、その施設に設置されている全ての遊技機が持玉データを用いるものである必要は無い。持玉データ等を用いる遊技機と、実際の遊技球やメダルを払い出す遊技機とが混在する遊技施設に適用しても良い。この場合は、持玉データを用いる全ての遊技機に本発明を適用しても良いし、持玉データを用いる遊技機の中の一部に、本発明を適用しても良い。また、固有番号およびその貸与データの管理をホールコンピュータ87で行なっていたが、ホールコンピュータ87以外のコンピュータシステムにて、これらを行なっても構わない。
【0057】
S530およびS1010では、ICカードに記憶されている固有番号を直接更新していたが、間接的に行なってもよい。これには例えば、ICカードがCRユニット56に挿入されると、そのICカードに記憶されている固有番号などをCRユニット56が備えるRAMなどの記憶装置に一旦記憶し、このRAMに記憶された固有番号に対して、更新動作を行なうようにすることが考えられる。この記憶装置が、本発明の「固有番号保持手段」に相当する。なお、こうしてICカードから固有番号を取り出した場合には、同一の固有番号が2箇所(固有番号保持手段としてのRAMと、ICカード自体)に存在するのは好ましくないので、ICカード内の固有番号を削除するのが望ましい。この削除を行なうのが、本発明の「固有番号消去手段」に相当する。また、大当り発生時など、持玉データが短時間に大幅に増大する場合には、大当りにより発生した持玉データはCRユニット56のRAMなどに一旦保持して、大当りが終了してから一括してICカードに記録することも考えられる。
【0058】
固有番号に関する情報として、ホールコンピュータ87には貸与フラグを記録していたが、これ以外の情報を記録してもよい。例えば、その固有番号の貸与フラグが「貸与中」の場合は、どの台番号の遊技機にて遊技者に払い出されたものかを記録したり、払出の対象となった遊技者の会員番号を記録したりしてもよい。特に台番号については、ICカードにも記録して、ICカードが挿入口20に挿入された際には、固有番号、貸与フラグだけでなく台番号をもホールコンピュータ87の記録内容と整合しているか否かをチェックしてもよい。このように構成すれば、持玉データの偽造が更に困難となる。なお、台番号そのものではなくとも、払い出した遊技機を特定可能な情報を固有番号と対応可能にホールコンピュータ87・ICカードの双方に記録しておき、照合を行なえば、同様の効果を奏することは明らかである。
【0059】
パチンコ機50では、CRユニット56にてICカードへの固有番号の記録および読み出しを行なっていたが、これらの処理をCRユニット56以外の構成(例えば払出制御装置81)が行なうように構成し直してもよい。可能であれば、ホールコンピュータ87が送信した固有番号をCRユニット端子板24を介することなく払出制御装置81が受信して、ICカードへの前記した処理を自ら行なったり、CRユニット56等に行なわせたりする構成としてもよい。また、遊技球は発射ソレノイド30を動力として発射を行なっていたが、ソレノイド以外のアクチュエータを用いて遊技球を発射しても良い(球送りについても同様)。なお、弾球遊技機と回胴式遊技機が併設されている遊技施設では、遊技球のデータとメダルのデータの双方をICカードに記録可能に構成してもよい。また、換金率の異なる遊技機を設置した遊技施設では、固有番号に換金率の情報も併せて記録するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
21:発射スイッチ 56:CRユニット
73,76:固有番号 77:貸与フラグ
80:主制御装置 81:払出制御装置
84:発射制御装置 87:ホールコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者に貸与された価値担体を用いて遊技を行なう遊技機を備えた遊技施設にて、前記価値担体を管理する価値担体管理システムであって、
前記各価値担体に対応する前記固有番号を記憶する固有番号記憶手段を備え、且つ該固有番号記憶手段に記憶された固有番号には、前記遊技者に貸与中か否かを示す貸与フラグが該固有番号ごとに記憶されており、
前記遊技者に貸与された前記価値担体の数と同数の前記固有番号を記憶するための価値担体記憶手段と、
前記遊技者に貸与された前記価値担体の数を表示する価値担体数表示手段と、
前記遊技において、遊技者に前記価値担体が貸与されると、貸与された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える第1固有番号制御手段と、
前記遊技において、遊技者が前記価値担体を遊技に使用すると、使用された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「貸与中」から「未貸与」に切り替える第2固有番号制御手段と、
前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、該貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記使用に係る貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段から消去する価値担体更新手段と
を備えたことを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の価値担体管理システムにおいて、
前記価値担体記憶手段は、前記遊技者ごとに付与される記録媒体であって、
前記遊技機に対応して設けられ、該遊技機にて前記遊技を行なう際に前記価値担体記憶手段が装着されて該記録媒体に対してデータの読み取り及び書き込みが可能な記録媒体リーダライタと、
前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段技機に記録されている前記固有番号を読み出し、前記固有番号記憶手段に照会して、読み出した前記固有番号が「未貸与」になっているか又は前記固有番号記憶手段に存在しない場合は、警告動作を行なう警告手段
を備えたことを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の価値担体管理システムにおいて、
前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段に記録されている前記固有番号の少なくとも一部を読み出して記憶する固有番号保持手段と、
該固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段から消去する固有番号消去手段と
を備え、
前記価値担体更新手段は、前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段から消去し、前記価値担体記憶手段を前記記録媒体リーダライタから離脱する際には、前記固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段に記憶するものであることを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の価値担体管理システムにおいて、
前記遊技施設が前記遊技機として少なくとも複数の弾球遊技機を備えたものであり、
前記固有番号記憶手段、前記第1固有番号制御手段、及び前記第2固有番号制御手段を備え、前記複数の弾球遊技機にて遊技者に貸与される価値担体を管理する価値担体管理装置を備え、
前記各弾球遊技機は、遊技球が入ると価値担体が遊技者に貸与される入賞口と、遊技の当否を司る主制御装置と、前記入賞口に前記遊技球が入ると遊技者への価値担体の貸与を前記主制御装置からの指示に従って実行する貸与制御装置とを備えたものであり、
前記価値担体の代金となる現金またはプリペイドカードを受け入れて、前記代金に対応する前記価値担体の貸与を前記貸与制御手段に指示する価値担体貸与装置と、
を備え、
前記入賞口に前記遊技球が入ると、該入賞口に対応して遊技者に貸与することが設定されている価値担体の数である賞球数を前記貸与制御装置が前記価値担体貸与装置に送信し、該価値担体貸与装置は、前記価値担体管理装置に前記賞球数を送信し、該価値担体管理装置は、該賞球数と同数の前記固有番号を前記価値担体貸与装置に送信するとともに、該送信した固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替え、該固有番号を受信した前記価値担体貸与装置は、該固有番号を前記貸与制御装置に送信することを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の価値担体管理システムにおいて、前記遊技機として用いられることを特徴とする遊技機。
【請求項1】
遊技者に貸与された価値担体を用いて遊技を行なう遊技機を備えた遊技施設にて、前記価値担体を管理する価値担体管理システムであって、
前記各価値担体に対応する前記固有番号を記憶する固有番号記憶手段を備え、且つ該固有番号記憶手段に記憶された固有番号には、前記遊技者に貸与中か否かを示す貸与フラグが該固有番号ごとに記憶されており、
前記遊技者に貸与された前記価値担体の数と同数の前記固有番号を記憶するための価値担体記憶手段と、
前記遊技者に貸与された前記価値担体の数を表示する価値担体数表示手段と、
前記遊技において、遊技者に前記価値担体が貸与されると、貸与された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替える第1固有番号制御手段と、
前記遊技において、遊技者が前記価値担体を遊技に使用すると、使用された数と同数の前記固有番号の貸与フラグを、「貸与中」から「未貸与」に切り替える第2固有番号制御手段と、
前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、該貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記使用に係る貸与を受けた前記遊技者の価値担体記憶手段から消去する価値担体更新手段と
を備えたことを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の価値担体管理システムにおいて、
前記価値担体記憶手段は、前記遊技者ごとに付与される記録媒体であって、
前記遊技機に対応して設けられ、該遊技機にて前記遊技を行なう際に前記価値担体記憶手段が装着されて該記録媒体に対してデータの読み取り及び書き込みが可能な記録媒体リーダライタと、
前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段技機に記録されている前記固有番号を読み出し、前記固有番号記憶手段に照会して、読み出した前記固有番号が「未貸与」になっているか又は前記固有番号記憶手段に存在しない場合は、警告動作を行なう警告手段
を備えたことを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の価値担体管理システムにおいて、
前記記録媒体リーダライタに前記価値担体記憶手段が装着されると、該価値担体記憶手段に記録されている前記固有番号の少なくとも一部を読み出して記憶する固有番号保持手段と、
該固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段から消去する固有番号消去手段と
を備え、
前記価値担体更新手段は、前記第1固有番号制御手段によって「貸与中」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段に記憶し、前記第2固有番号制御手段によって「未貸与」に切り替えられた固有番号を、前記固有番号保持手段から消去し、前記価値担体記憶手段を前記記録媒体リーダライタから離脱する際には、前記固有番号保持手段に記憶された固有番号を前記価値担体記憶手段に記憶するものであることを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の価値担体管理システムにおいて、
前記遊技施設が前記遊技機として少なくとも複数の弾球遊技機を備えたものであり、
前記固有番号記憶手段、前記第1固有番号制御手段、及び前記第2固有番号制御手段を備え、前記複数の弾球遊技機にて遊技者に貸与される価値担体を管理する価値担体管理装置を備え、
前記各弾球遊技機は、遊技球が入ると価値担体が遊技者に貸与される入賞口と、遊技の当否を司る主制御装置と、前記入賞口に前記遊技球が入ると遊技者への価値担体の貸与を前記主制御装置からの指示に従って実行する貸与制御装置とを備えたものであり、
前記価値担体の代金となる現金またはプリペイドカードを受け入れて、前記代金に対応する前記価値担体の貸与を前記貸与制御手段に指示する価値担体貸与装置と、
を備え、
前記入賞口に前記遊技球が入ると、該入賞口に対応して遊技者に貸与することが設定されている価値担体の数である賞球数を前記貸与制御装置が前記価値担体貸与装置に送信し、該価値担体貸与装置は、前記価値担体管理装置に前記賞球数を送信し、該価値担体管理装置は、該賞球数と同数の前記固有番号を前記価値担体貸与装置に送信するとともに、該送信した固有番号の貸与フラグを、「未貸与」から「貸与中」に切り替え、該固有番号を受信した前記価値担体貸与装置は、該固有番号を前記貸与制御装置に送信することを特徴とする価値担体管理システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の価値担体管理システムにおいて、前記遊技機として用いられることを特徴とする遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−74958(P2013−74958A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215955(P2011−215955)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]