説明

侵入防止網

【課題】 従来の網は、刃物、焼き切り、爆薬、衝撃などによって簡単に切断され、テロなどの侵入防止網としては役に立たないという問題があった。これは、網の材質が樹脂や金属であるためである。
【解決手段】 網の目の周辺を構成する索として、高硬度の中空円筒体と高硬度の中空接続体を交互に直列的に関節機能を持たせて連接したものの内部の中空部に、柔軟性のある高引っ張り力を有する芯索を貫通したものを用いた。そして網の結び目には、高硬度の4つ、6つ又は8つの端末を有する中空接続体を配置し、同端末と網の目を構成する索の端末を関節機能を持たせて連接して網を形成した。これにより、同網は屈曲性と柔軟性を有するとともに、網の目の周辺を構成する索と網の結び目が高硬度の円筒体と高硬度の接続体で形成されるため極めて切断され難い網を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物、焼き切り、爆薬、衝撃などに対する耐切断性の向上を図った侵入防止網に関する。
【技術背景】
【0002】
従来の索には、直列した金属製の短軸体群とその外側を覆う高強度繊維との複合化により耐刃物切断性の向上を図った金属、繊維複合ロープがある。(例えば、特許文献1参照。)
また、ロープ本体の周囲に、超硬合金類やセラミックスなど鋼よりも硬質な材料からなり一端に縮径した雄部を、他端に雄部の挿入を許す雌部を有する有孔駒を連続的に配置した、切断防止型ロープがある。(例えば、特許文献2参照)
しかし、網としては従来から樹脂製網や金網等があるが、簡単に刃物で切断されるものであり、刃物、爆薬、衝撃などによる切断、およびバーナー等による焼き切りなどを防止できる侵入防止網は報告されていない。
【0003】
【特許文献1】 特許公開2004−256975
【特許文献2】 特許公開2003−286671
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上述べたように、切断が極めて困難で、人、動物、車両、船舶、水中航走体などの侵入を防止することができ、かつ屈曲性と柔軟性を有する網は報告されていない。
【0005】
本発明は、刃物、焼き切り、爆薬、衝撃などによる切断が極めて難しく、陸上においても水中においても使用することができ、また切断された場合の切断箇所を特定するために必要な電気信号を通すための通電線を有し、さらに本発明を水中で使用する場合に同通電線に電流を通して貝などの水中生物の付着を防止することができる侵入防止網を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために、凸または凹状の4つの端末を有する4端末高硬度中空接続体を網の結び目に配置し、同凸または凹状の端末部と、請求項1または請求項2記載の切断防止索の高硬度中空接続体の凹状の端末部を、または高硬度中空円筒体の凸状の端末部とを接続して関節機能を有する結び目を形成し、四角形の網の目を形成して、刃物、焼き切り、爆薬、衝撃などによる切断が極めて難しい侵入防止網を形成するとともに、芯索に内包する通電線に電流を通して、芯索が切断された場合に切断箇所を特定するための電気信号を取り出せるようにしたものである。また網の結び目に配置する高硬度中空接続体を、6つの端末を有する6端末高硬度中空接続体や8つの端末を有する8端末高硬度中空接続体などにして網の目の形を三角形の集合体にすることができる。
【0007】
上記の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、侵入防止網の網の目の周辺部分を構成する索は、高硬度中空円筒体と高硬度中空接続体が交互に直列状に関節機能を有する形で接続された切断防止策であり、また網の結び目の部分は4つの端末を有する4端末高硬度中空接続体で形成されているため、刃物、焼き切り、爆薬、衝撃などによる切断が極めて困難である。
【0008】
高硬度中空円筒体と高硬度中空接続体の材質、寸法およびその内部に挿入する柔軟性を有する芯索と同芯索に内包される通電線の材質および寸法、並びに網の目の大きさは、侵入防止網の使用目的に応じて決定する。
【0009】
例えば、最も切断され難くする場合には、高硬度中空円筒体、高硬度中空接続体および4端末高硬度中空接続体としてセラミックスまたはセラミックスと高硬度金属を複合して使用する。また、侵入防止網の耐面圧を最も強くする場合には、内部に挿入する柔軟性を有する芯索としてダイニーマやザイロンなど超高引っ張り強度を有する繊維索または、同繊維索と高引っ張り強度と柔軟性を有する金属を複合して使用する。
【0010】
また、本発明の侵入防止網の屈曲性や柔軟性を高める場合は、長さの短い高硬度中空円筒体および高硬度中空接続体を使用するとともに、柔軟性に優れた芯索を使用する。
【0011】
さらには、本発明の侵入防止網を水中で使用する場合は、必要に応じて高硬度中空円筒体、高硬度中空接続体および4端末高硬度中空接続体の内部に浮力材を挿入する。
【0012】
本発明の侵入防止網を長期間にわたって水中に設置する場合は、高硬度中空円筒体、高硬度中空接続体および4端末高硬度中空接続体の材質または表面を通電性を有する物質で構成し、芯索に内包される通電線に電流を通して、同円筒体および同接続体の表面に貝などの水中生物が付着するのを防止する。
【0013】
本発明の侵入防止網の芯索に内包される通電線を、網の縦索と横索の各通電線に流れる電気信号を処理して芯索が切断された場合に切断箇所を特定するための電気信号処理装置に接続することによって、網が切断された場合に切断箇所を特定することができる。
【発明の効果】
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の侵入防止網の外観図の例を示したものである。
【0015】
図1において、1は高硬度中空円筒体、高硬度中空接続体2、4端末高硬度中空接続体3、芯索4、通電線5。高硬度中空円筒体1の凸状の端末が高硬度中空接続体2の凹状の端末に挿入され、関節機能を有する形で連接されている。4端末高硬度中空接続体3の凸状の端末が高硬度中空接続体2の凹状の端末に挿入され、関節機能を有する形で連接されて網の結び目を形成している。芯索4は、高硬度中空円筒体1、高硬度中空接続体2、4端末高硬度中空接続体3の内部の中空部を貫通している。通電線5は、芯索4に内包されている。
【0016】
通電線5は、切断されたときに切断箇所を特定するための電気信号処理装置に接続する。
【0017】
侵入防止網を長期間にわたって水中に設置する場合は、高硬度中空円筒体1、高硬度中空接続体2および4端末高硬度中空接続体3の材質または表面を、通電性を有する物質で構成し、通電線5に電流を通して同円筒体1、同接続体2および同接続体3の表面に水中生物が付着するのを防止したり、水中動物による網の噛み切りや体当たりなどから同網を防御する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
上述したように本発明の侵入防止網は、刃物、焼き切り、爆薬、衝撃などによる切断が極めて困難で、陸上でも水中でも使用することができ、人間、動物、車両、船舶、水中航走体などの侵入を防止する網を提供できる。
【0019】
このためテロ対策用として港湾、空港、原子力発電所、原子力関係施設、火力発電所、石油備蓄基地、バイオ研究所、病院、米軍施設、自衛隊施設、政府関係施設などの、水中および陸上重要施設の防護並びに水中からのダイバーや無人航走体などの侵入防止、取水口等への爆発物などの投入防止用などとして利用することができる。
【0020】
また海水浴場のサメよけ海中ネット、海洋牧場用の海中仕切網、養殖いけす用仕切網、定置網、取水口へのクラゲや浮遊木材など異物の流入防止ネット、陸上の害獣侵入防止ネット、岩石などの崩落防止ネットなどに利用できるほか、壁やコンクリート等の内部に埋め込んで補強用建築材料などとしても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す侵入防止網の外観図例
【図2】 同侵入防止網の高硬度中空円筒体と高硬度中空接続体と4端末高硬度中空接続体1型の連接部の拡大断面図
【図3】 同侵入防止網の高硬度中空円筒体と高硬度中空接続体と4端末高硬度中空接続体2型の連接部の拡大断面図
【符号の説明】
1 高硬度中空円筒体
2 高硬度中空接続体
3 4端末高硬度中空接続体1型
4 芯索
5 通電線
6 4端末高硬度中空接続体2型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸状の2つの端末を有する高硬度中空円筒体の端末部と、他の同形状の高硬度中空円筒体の端末部を、凹状の2つの端末を有する高硬度中空接続体を用いて、凸状の端末部を凹状の端末部の内部に挿入し、非固定状態に接続して関節機能を持たせて直列状に連接し、同中空円筒体と同中空接続体の内部の中空部に柔軟性を有する芯索を貫通して挿入したことを特徴とする切断防止索。
【請求項2】
芯索の内部に通電線を内包することを特徴とする請求項1記載の切断防止策。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の切断防止索を、網の目の周辺を構成する索の部分に使用し、凸状または凹状の4つの端末を有する4端末高硬度中空接続体を網の結び目の部分に用いて、4端末高硬度中空接続体の凸状の端末部を同中空接続体の凹状の端末部の内部に挿入するか、または同中空円筒体の凸状の端末を4端末高硬度中空接続体の凹状の端末部の内部に挿入して関節機能を有する網の結び目を形成することを特徴とする侵入防止網。
【請求項4】
請求項3記載の4端末高硬度中空接続体の代わりに6つ又は8つの端末を有する6端末高硬度中空接続体又は8端末高硬度中空接続体を用いることを特徴とする侵入防止網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−169708(P2006−169708A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382524(P2004−382524)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【特許番号】特許第3662922号(P3662922)
【特許公報発行日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(505021924)
【Fターム(参考)】