説明

便器における給水装置の保護構造

【課題】接続端部を確実に保護しながら、接続端部に対する各種作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】便器本体10に対して着脱可能であり、洗浄機構11,12に向けて給水を行う給水機能部21と、給水機能部21から突出した形態であって外部からの給水を受けるための接続端部28とを備えた給水装置20と、給水装置20と一体をなして便器本体10に対して着脱可能であり、給水機能部21を覆うとともに接続端部28を外面側へ突出させるカバー31と、カバー31の外方において接続端部28の近傍に位置することにより接続端部28を異物の干渉から保護する保護形態と、接続端部28から遠ざかって接続端部28の保護を解除する解除形態との間での変位が可能な保護部材40(保護手段)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器における給水装置の保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、便器本体に対して着脱可能であり、ロータンクや局部洗浄機構に向けて給水を行う給水機能部と、給水機能部から突出した形態であって水道管からの給水を受けるための接続端部とを備えた給水装置において、カバーから突出している接続端部を保護する技術が開示されている。この保護手段は、カバーの外面から接続端部の近傍に位置するように保護リブを突出させた構造となっている。給水装置を便器本体に取り付けるための施工時には、給水装置を床に仮置きしたときに、接続端部が直接床に当たるのを保護リブによって防止し、接続端部が給水装置の重みで破損することが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−348938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施工作業においては、給水装置を便器本体に取り付けた後に、水道管から延ばした給水用配管を接続端部に接続する作業が行われ、また、施工後も、接続端部内に収容されているストレーナを使用者がメンテナンスのために着脱することがある。これらの作業を行う場合、保護リブが接続端部に接近した位置にあると、保護リブが作業の邪魔になる虞があり、保護リブを接続端部から遠い位置に配置すると、保護機能が十分に発揮されなくなる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、接続端部を確実に保護しながら、接続端部に対する各種作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、便器本体に対して着脱可能であり、洗浄機構に向けて給水を行う給水機能部と、前記給水機能部から突出した形態であって外部からの給水を受けるための接続端部とを備えた給水装置と、前記給水装置と一体をなして前記便器本体に対して着脱可能であり、前記給水機能部を覆うとともに前記接続端部を外面側へ突出させるカバーと、前記カバーの外方において前記接続端部の近傍に位置することにより前記接続端部を異物の干渉から保護する保護形態と、前記接続端部から遠ざかって前記接続端部の保護を解除する解除形態との間での変位が可能な保護手段とを備えているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記保護手段を、前記カバーとは別体の部品であって、前記カバーに取り付けられることで前記保護形態となり、前記カバーから離脱されることで前記解除形態へ変位するものとした上で、前記保護手段とは別体の部品からなり、前記カバーに対する前記保護手段の着脱経路を遮る遮断位置と、前記保護手段の着脱経路外へ退避する退避位置との間での変位を可能としたストッパを備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
給水装置を便器本体に取り付ける前は、保護手段を保護形態に保持しておけば、接続端部に対する異物の干渉を防止することができる。また、給水装置を便器本体に取り付けた後は、保護手段を、保護形態から解除形態へ変位させて接続端部から遠ざければ、接続端部に関する各種作業を行う際に、保護手段が作業の邪魔にならずに済む。
【0009】
<請求項2の発明>
接続端部を保護する際には、保護手段をカバーに取り付けてストッパを遮断位置に留め置けば、保護手段が保護形態に保持される。また、接続端部の保護を解除する際には、ストッパを遮断位置から退避位置へ変位させた後、保護手段をカバーから離脱して解除形態へ変位させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1において保護部材が保護形態となっている状態をあらわす断面図
【図2】保護部材を解除形態へ変位させた後の状態をあらわす断面図
【図3】保護部材が保護形態となっている状態をあらわす底面図
【図4】実施形態2において保護部材が保護形態となっている状態をあらわす断面図
【図5】保護部材が解除形態へ変位した状態をあらわす断面図
【図6】底面図
【図7】実施形態3において保護部材が保護形態となっている状態をあらわす断面図
【図8】保護部材を解除形態へ変位させた後の状態をあらわす断面図
【図9】保護部材が保護形態となっている状態をあらわす底面図
【図10】保護部材を解除形態へ変位させた後の状態をあらわす底面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1の保護構造Aを図1〜図3を参照して説明する。便器本体10の後部上面には、周知形態のリヤプレート(図示省略)を介して給水装置20が取り付けられるようになっている。給水装置20は、ロータンク11(本発明の構成要件である洗浄機構)と局部洗浄機構12(本発明の構成要件である洗浄機構)に向けて給水を行うための装置であり、給水機能部21と接続端部28とを備えて構成されている。
【0012】
給水機能部21は、内部に第1流路23と第2流路24が形成されたハウジング22と、ハウジング22内に設けた電磁開閉弁25とを備えて構成されている。第1流路23は、ハウジング22を上下方向に貫通しており、その上端部(下流側端部)は、ロータンク11側へ水を流出させるための第1流出ポート26となっている。第2流路24は、第1流路23の途中から分岐しており、第2流路24の下流側端部は、局部洗浄機構12側へ水を流出させるための第2流出ポート27となっている。また、電磁開閉弁25は、第2流路24の途中に設けられていて、第2流路24における水の流通を制御する。
【0013】
接続端部28は、ハウジング22に一体に形成されて、ハウジング22(給水機能部21)の底面から下方へ突出した形態の筒部29と、筒部29の側面に開口するように形成した流入ポート(図示省略)と、筒部29内に収容されたストレーナ30とを備えて構成されている。筒部29の下端部には、ストレーナ30の下端部を覆い隠して保護するためのキャップ(図示省略)が取り付けられるようになっており、キャップを外すことによりストレーナ30を筒部29に対して着脱できるようになっている。
【0014】
給水装置20のうち給水機能部21は、合成樹脂製のカバー31内に収容されている。カバー31は、給水装置20及び給水装置20が固定されているリヤプレートと一体をなして便器本体10に取り付けられるようになっている。カバー31は、水平な底板部32と、底板部32の周縁から上方へ立ち上がる側板部33とを備えている。カバー31を便器本体10に取り付けた状態では、底板部32が便器本体10の上面とほぼ同じ高さに位置する。
【0015】
底板部32は、給水機能部21の下方に位置し、給水機能部21の下面側を覆うようになっている。底板部32には、その後縁及び一方の側縁に近い領域を上下に貫通させた形態の貫通孔34が形成されている。そして、接続端部28はこの貫通孔34を貫いて底板部32の下方(即ち、カバー31の外方)へ下向きに突出している。また、底板部32のうち底板部32の後縁と貫通孔34との間の領域には、後縁に沿って左右方向に直線状に延びる嵌合溝35が形成されている。図3に示すように、嵌合溝35の一端は、底板部32の側縁に着脱口36として開放されており、この着脱口36は、後述する保護部材40(本発明の構成要件である保護手段)をカバー31に対して着脱するための着脱経路の一部を構成している。カバー31に対する保護部材40の着脱方向は、接続端部28の突出方向と交差する方向である。
【0016】
便器本体10には、便器本体10及びリヤプレートに対して相対的に昇降可能とされた周知形態のフロントプレート(図示省略)が取り付けられている。フロントプレートには、便座(図示省略)や便蓋(図示省略)等が取り付けられている。そして、このフロントプレートには、底板部32の後縁及び一方の側縁に沿うように配された屈曲板状をなすストッパ13が、フロントプレートと一体となって上下動し得るように形成されている。このストッパ13は、保護部材40とは別体の部品であって、ストッパ13の移動方向は接続端部28の突出方向とほぼ平行な方向となっている。
【0017】
フロントプレートは、常には、下降した位置に保持されており、この状態では、ストッパ13は、着脱口36を側方から塞いで保護部材40の着脱経路を遮断する遮断位置(図1を参照)に位置する。また、清掃等のメンテナンスを行う場合には、フロントプレートを上昇させることができる。このフロントプレートの上昇により、ストッパ13は、着脱口36よりも上方であって、保護部材40の着脱経路に対して上方へ退避した退避位置(図2を参照)に位置する。
【0018】
保護部材40は、カバー31とは別体部品として成形された合成樹脂製の単一部品であり、図1,3に示すように、板厚方向を前後方向に向けた支持板部41と、支持板部41の下端縁から前方(嵌合溝35側から接続端部28側に向かう方向)へ略水平に延出した形態の水平板部42と、水平板部42の左右両端縁のうち着脱口36に近い側の端縁から上方へ延出した形態の保護板部43とを備えている。支持板部41の板厚寸法(前後方向の寸法)は、嵌合溝35の溝幅寸法と同じか、それよりも少し小さい寸法とされている。
【0019】
図1に示すように、支持板部41の上端縁には、支持板部41から前方と後方へ張り出した形態であって左右方向に延びる一対の係止リブ44が形成されている。また、保護板部43の上端の係止縁部45の高さは、係止リブ44よりも少し低い高さに設定されている。この係止縁部45と係止リブ44の上下間隔は、カバー31の底板部32の板厚寸法と同じか、それよりも少し大きい寸法とされている。
【0020】
かかる保護部材40は、カバー31に対して着脱可能となっている。保護部材40をカバー31に取り付ける際には、まず、ストッパ13を退避位置まで上昇させておき、その状態で、支持板部41の上端縁部を着脱口36から嵌合溝35内に嵌合させるとともに、底板部32を係止リブ44と係止縁部45との間で上下に挟むようにしながらスライドさせる。カバー31に正しく組み付けられた保護部材40は、接続端部28を異物の干渉から保護可能な保護形態となる。
【0021】
保護部材40をカバー31に取り付けた後は、ストッパ13を遮断位置まで下降させ、着脱口36(つまり、カバー31に対する保護部材40の着脱経路)をストッパ13によって遮断する。この状態では、保護部材40は、嵌合溝35から抜き取ろうとしてもストッパ13に突き当たるので、保護部材40のカバー31外への離脱が阻止される。また、係止リブ44が嵌合溝35における上面側の開口縁に係止するので、保護部材40はカバー31から下方への離脱を規制されている。さらに、支持板部41(嵌合溝35)よりも前方に突出している保護板部43の係止縁部45が、底板部32の底面(係止リブ44とは反対側の面)に対して当接又は接近して対向しているので、保護部材40は、嵌合溝35を支点として前方(接続端部28に接近する方向)へ傾動する動き規制されている。これにより、保護部材40は、カバー31に対して相対移動を規制された保護形態に保持される。
【0022】
保護部材40が保護形態に保持された状態では、支持板部41が、その左右方向における全領域に亘って嵌合溝35の内部に収容されるとともに、接続端部28の後方で且つ接続端部28に接近した位置に配置される。また、保護板部43が、接続端部28の側方で且つ接続端部28に接近した位置に配置され、支持板部41と保護板部43の下端は接続端部28の下端よりも下方に位置する。したがって、接続端部28に対して後方、側方又は下方から異物が接近しても、その異物は、接続端部28に到達する前に、支持板部41、保持板部又は水平板部42に突き当たることになる。これにより、接続端部28に対する異物の干渉が阻止される。
【0023】
接続端部28に対し、水道管から延びた給水配管(図示省略)を接続端部28の流入ポートに接続する作業や、ストレーナ30を着脱する作業など、接続端部28に関する各種作業を行う場合には、フロントプレートを上昇させて、ストッパ13を退避位置へ退避させる。これにより、着脱口36が開放状態となるので、保護部材40を嵌合溝35に沿ってスライドさせれば、カバー31から外すことができる。カバー31から外して解除形態へ変位させた保護部材40は、接続端部28を保護する必要がなければ、カバー31から外したままにしておけばよい。勿論、接続端部28に関する各種作業を行った後、再び、保護部材40をカバー31に取り付けることも可能である。
【0024】
上述のように本実施形態1の保護構造Aにおいては、給水装置20と一体をなして便器本体10に対して着脱可能であり、給水機能部21を覆うとともに接続端部28を外面側へ突出させるカバー31と、カバー31の外方において接続端部28の近傍に位置することにより接続端部28を異物の干渉から保護する保護形態と、接続端部28から遠ざかって接続端部28の保護を解除する解除形態との間での変位が可能な保護部材40とが設けられている。
【0025】
この構成によれば、給水装置20を便器本体10に取り付ける前は、保護部材40を保護形態に保持しておくことにより、接続端部28に対する異物の干渉を防止することができ、また、給水装置20を便器本体10に取り付けた後は、保護部材40を、保護形態から解除形態へ変位させて接続端部28から遠ざければ、接続端部28に関する各種作業を行う際に、保護部材40が作業の邪魔にならずに済む。
【0026】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図4〜図6を参照して説明する。本実施形態2の保護構造Bは、カバー50のうち保護部材60(本発明の構成要件である保護手段)を支持する構造、及び保護部材60の形状を、上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0027】
カバー50の底板部51のうち、底板部51の後縁と、接続端部28を突出させている貫通孔34との間の領域には、後縁に沿って延びる嵌合溝53が形成されている。嵌合溝53のうち左右両端部を除いた大部分の領域は左右方向に直線状に延びているが、嵌合溝53の左右両端部は、前方へ略四半円弧状に屈曲した形状となっている。
【0028】
保護部材60は、カバー50とは別体部品として成形された合成樹脂製の単一部品であり、板厚方向を前後方向に向けた支持板部61と、支持板部61の左右両側縁部から前方へ略四半円弧状に延出した弧状縁部62と、支持板部61の下端縁から前方へ四半円弧状に延出するとともに左右両端部を左右両弧状縁部62の下端縁に連ねた形態の補強部63とを有している。支持板部61及び弧状縁部62の板厚寸法(前後方向の寸法)は、嵌合溝53の溝幅寸法と同じか、それよりも少し小さい寸法とされている。
【0029】
支持板部61の上端縁には、支持板部61から前方と後方へ張り出した形態であって左右方向に延びる一対の係止リブ64が形成されている。同じく支持板部61には、その上端部であって係止リブ64よりも低い位置から前方へ水平に突出した形態の上昇規制突部65が形成されている。上昇規制突部65と係止リブ64の上下間隔は、底板部51の板厚寸法と同じか、それよりも少し大きい寸法である。また、支持板部61には、その下端部に近い位置において前方へ突出した形態の下降規制突部66が形成されている。上昇規制突部65と下降規制突部66は、左右方向に延びるリブ状又は、エンボス状の突起からなる。
【0030】
かかる保護部材60は、常にカバー50に取り付けられた状態に保たれており、接続端部28を異物の干渉から保護可能な保護形態(図4を参照)と、接続端部28の保護を解除する解除形態(図5を参照)との間で上下方向に変位させることができる。保護部材60が保護形態となっているときは、係止リブ64が、底板部51における嵌合溝53の開口縁に対して上から係止するとともに、上昇規制突部65が、底板部51における嵌合溝53の開口縁に対して上から係止する。この係止リブ64と上昇規制突部65の係止作用により、保護部材60は、カバー50に対する上下移動を規制され、保護形態に保持される。
【0031】
保護部材60が保護形態に保持された状態では、支持板部61が、接続端部28の後方で且つ接続端部28に接近した位置に配置され、支持板部61の下端は接続端部28の下端よりも下方に位置する。したがって、接続端部28に対して後方又は下方から異物が接近しても、その異物は、接続端部28に到達する前に、支持板部61又は補強部63に突き当たることになり、これにより、接続端部28に対する異物の干渉が阻止される。
【0032】
また、保護部材60の大部分を占める支持板部61は平板状をなしているのであるが、支持板部61の補強手段として、支持板部61の下端縁からは補強部63がリブ状に突出し、支持板部61の左右両側縁からは弧状縁部62がリブ状に突出しているので、支持板部61は、異物からの押圧力を受けても湾曲変形や屈曲変形を生じる虞がない。
【0033】
接続端部28に対し、水道管から延びた給水配管(図示省略)を接続端部28の流入ポートに接続する作業や、ストレーナを着脱する作業など、接続端部28に関する各種作業を行う場合には、保護部材60を押し上げて解除形態とする。このとき、保護部材60に対し、上昇規制突部65と嵌合溝53の開口縁との係止力を上回る上向きの押圧力を付与すれば、上昇規制突部65と嵌合溝53の開口縁との係止が解除され、保護部材60を上昇させることができる。
【0034】
保護部材60が解除形態に変位すると、下降規制突部66が、底板部51の上面における嵌合溝53の開口溝に係止することにより、保護部材60はカバー50に対する下降を規制されて解除形態に保持される。この状態では、接続端部28の近傍には保護部材60が存在しないので、接続端部28に対する各種作業を行う際に、保護部材60が邪魔にならずに済む。尚、解除形態へ変位させた保護部材60は、接続端部28を保護する必要がなければ、解除形態に保持したままにしておけばよいが、接続端部28に関する各種作業を行った後、再び、下降させて保護形態へ変位させることもできる。
【0035】
<実施形態3>
次に、本発明を具体化した実施形態3を図7〜図10を参照して説明する。本実施形態3の保護構造Cは、カバー70のうち保護部80(本発明の構成要件である保護手段)を支持する構造、及び保護部80の形状を、上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0036】
本実施形態3では、保護部80が合成樹脂製のカバー70と一体に成形されている。カバー70の底板部71のうち、底板部71の後縁と、接続端部28を突出させている貫通孔34との間の領域には、後縁に沿って下方へリブ状に突出した形態の連結部72が一体に形成されている。一方、保護部80は、板厚方向を前後方向に向けた平板状の支持板部81と、支持板部81の左右両側縁部から前方へ略四半円弧状に延出した弧状縁部82とを有している。支持板部81の上端縁は連結部72に連なっており、この連結部72を介して保護部80とカバー70とが一体化されている。そして、保護部80がカバー70と一体化されている状態が、保護部80の保護形態(図7,9を参照)となる。
【0037】
保護部80が保護形態となっているときは、支持板部81が、接続端部28の後方で且つ接続端部28に接近した位置に配置され、左右両弧状縁部82が、接続端部28の側方で且つ接続端部28に接近した位置に配置され、支持板部81と弧状縁部82の下端が、接続端部28の下端よりも下方に位置する。したがって、接続端部28に対して後方、側方又は下方から異物が接近しても、その異物は、接続端部28に到達する前に、支持板部81又は弧状縁部82に突き当たることになり、これにより、接続端部28に対する異物の干渉が阻止される。
【0038】
また、図7に示すように、保護部80が保護形態となっているときには、連結部72(支持板部81)よりも前方へ突出している左右両弧状縁部82の上端縁83が、底板部71の底面に対して接近して対向するように位置している。したがって、保護部80に対して後方からの押圧力が作用し、連結部72が曲げ変形を生じながら保護部80が連結部72を支点として前方へ傾動しても、連結部72が破損に至る前に、弧状縁部82の上端縁83が底板部71に対して下方から当接し、それ以上の保護部80の傾動が阻止される。しかも、保護部80の大部分を占める支持板部81は平板状をなしているのであるが、支持板部81の補強手段として、支持板部81の左右両側縁から弧状縁部82が前方へリブ状に突出しているので、支持板部81は湾曲変形や屈曲変形を生じる虞がない。したがって、保護部80による保護機能の信頼性は高い。
【0039】
接続端部28に対し、水道管から延びた給水配管(図示省略)を接続端部28の流入ポートに接続する作業や、ストレーナを着脱する作業など、接続端部28に関する各種作業を行う場合には、保護部80をカバー70から分離させて解除形態(図8,10を参照)とする。このとき、保護部80に対し前方から後方に向かう押圧力を付与し、連結部72を支点として保護部80を後方へ大きく傾動させれば、連結部72が破断され、保護部80はカバー70から分離した解除形態へ変位する。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1〜3では、接続端部が給水機能部から下方へ突出する場合について説明したが、本発明は、接続端部が給水機能部から側方へ突出する場合にも適用できる。この場合、接続端部はカバーの側面からカバー外へ突出した形態となる。
(2)上記実施形態1〜3では、カバーを便器本体に取り付けた状態において、カバーを構成する底板部が便器本体の上面とほぼ同じ高さとなるようにしたが、本発明は、カバーの底板部が便器本体の上面より低い高さとなる場合にも適用することができる。
(3)上記実施形態1〜3では、保護手段が、保護形態のとき接続端部の後方に位置するようにしたが、保護形態の保護手段が、接続端部の前方や側方に位置するようにしてもよい。
(4)上記実施形態1,2では、保護部材を合成樹脂製としたが、保護部材は、合成樹脂製に限らず、金属製であってもよい。
(5)上記実施形態3では、保護部を合成樹脂製としたが、保護部材は、合成樹脂製に限らず、金属製であってもよい。
(6)上記実施形態1では、カバーに対する保護手段の着脱方向を、接続端部の突出方向と交差する方向としたが、カバーに対する保護手段の着脱方向は、接続端部の突出方向と概ね平行な方向であってもよい。
(7)上記実施形態1では、ストッパを、便器本体に対して便座及び便蓋と共に昇降するフロントプレートに形成したが、ストッパは、フロントプレートとは別体の部品であってもよい。
(8)上記実施形態1では、ストッパの移動方向を接続端部の突出方向と概ね平行な方向としたが、ストッパの移動方向は接続端部の突出方向と交差する方向であってもよい。この場合、カバーに対する保護手段の着脱方向は、接続端部の突出方向と交差する方向であってもよく、接続端部の突出方向と概ね平行な方向であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
A…保護構造
10…便器本体
11…ロータンク(洗浄機構)
12…局部洗浄機構(洗浄機構)
13…ストッパ
20…給水装置
21…給水機能部
28…接続端部
31…カバー
40…保護部材(保護手段)
B,C…保護構造
50,70…カバー
60…保護部材(保護手段)
80…保護部(保護手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に対して着脱可能であり、洗浄機構に向けて給水を行う給水機能部と、前記給水機能部から突出した形態であって外部からの給水を受けるための接続端部とを備えた給水装置と、
前記給水装置と一体をなして前記便器本体に対して着脱可能であり、前記給水機能部を覆うとともに前記接続端部を外面側へ突出させるカバーと、
前記カバーの外方において前記接続端部の近傍に位置することにより前記接続端部を異物の干渉から保護する保護形態と、前記接続端部から遠ざかって前記接続端部の保護を解除する解除形態との間での変位が可能な保護手段とを備えていることを特徴とする便器における給水装置の保護構造。
【請求項2】
前記保護手段を、前記カバーとは別体の部品であって、前記カバーに取り付けられることで前記保護形態となり、前記カバーから離脱されることで前記解除形態へ変位するものとした上で、
前記保護手段とは別体の部品からなり、前記カバーに対する前記保護手段の着脱経路を遮る遮断位置と、前記保護手段の着脱経路外へ退避する退避位置との間での変位を可能としたストッパを備えていることを特徴とする請求項1記載の便器における給水装置の保護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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