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便器の洗浄水の調製装置および調製方法
説明

便器の洗浄水の調製装置および調製方法

【課題】水洗便器を容易に洗浄・殺菌できる新規な洗浄水調製装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、タンクに貯留される便器用洗浄水を、水を処理することによって調製するための装置である。この装置100は、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質21aを含むイオン吸着電極21、対極22、イオン吸着電極21と対極22との間に電圧を印加するための電源11、タンク内の洗浄水の排出を検出する検出手段13、および、検出手段13の出力に基づいて電圧の印加方向を切り替えるためのスイッチ12およびコントローラ14を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器の洗浄水の調製装置および調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗便器の洗浄装置であって、水の電気分解によって生成されたアルカリ水と酸性水とを用いて便器を洗浄する装置が提案されている(特許文献1)。この装置の電気分解装置は、隔膜を隔てて配置されたアルカリ水生成室および酸性水生成室を備える。アルカリ水生成室には陰極が配置され、酸性水生成室には陽極が配置される。陰極と陽極との間に電圧を印加することによって、アルカリ水と酸性水とが同時に生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−151492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、隔膜を用いる上記電気分解装置は、定期的に隔膜のメンテナンスが必要であり、メンテナンスが煩雑であった。また、隔膜を用いる上記電気分解装置には、比較的濃度が高い塩水を供給する必要があった。
【0005】
このような状況において、本発明は、水洗便器を容易に洗浄・殺菌できる新規な洗浄水調製装置および方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の装置は、タンクに貯留される便器用洗浄水を、水を処理することによって調製するための装置であって、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極、対極、前記イオン吸着電極と前記対極との間に電圧を印加するための電源、前記タンク内の前記洗浄水の排出を検出する検出手段、および前記検出手段の出力に基づいて前記電圧の印加方向を切り替える切り替え手段を備える。
【0007】
また、本発明の方法は、前タンクに貯留される便器用洗浄水を、水を処理することによって調製する方法であって、前記洗浄水となる水に、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極と対極とを浸漬した状態で、前記イオン吸着電極と前記対極との間に電圧を印加することによって前記水のpHを変化させる工程を含み、前記タンク内の前記洗浄水の排出に関連づけて前記電圧の印加方向を変化させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水洗便器を容易に洗浄・殺菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の装置の一例の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示した装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示した装置の動作状態の一例を示す図である。
【図4】図1に示した装置の動作状態の他の一例を示す図である。
【図5】トイレのタンク内に配置された電極群の一例を模式的に示す図である。
【図6】槽内に配置された電極群の一例を模式的に示す図である。
【図7】水に塩を供給する方法の一例を示す図である。
【図8】本発明の原理を他の用途に利用した場合の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。
【0011】
(洗浄水調製装置)
本発明の装置は、タンクに貯留される便器用洗浄水を、水を処理することによって調製するための装置である。この装置は、イオン吸着電極、対極、検出手段、および、電圧の印加方向を切り替える切り替え手段を備える。
【0012】
イオン吸着電極は、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質(以下、「導電性物質(C)」という場合がある)を含む。イオン吸着電極は、導電性物質(C)を支持する集電体や、導電性物質(C)に貼り付けられた集電体を備えてもよい。
【0013】
導電性物質(C)は、可逆的にイオンを吸着できる物質である。すなわち、導電性物質(C)は、吸着したイオンを放出できる。導電性物質(C)には、比表面積が大きい物質を用いることができる。好ましい一例では、導電性物質(C)は、活性炭や黒鉛などの炭素材料を含む。導電性物質(C)は、粒状活性炭を凝集させることによって形成された導電性シートであってもよい。また、導電性物質(C)は、粒状活性炭と導電性カーボンとを凝集させることによって形成された導電性シートであってもよい。また、導電性物質(C)は、活性炭粒子を固めて形成された活性炭ブロックであってもよい。また、導電性物質(C)は、活性炭繊維クロス、すなわち、活性炭繊維を用いて形成されたクロス(cloth)であってもよい。活性炭繊維クロスとしては、たとえば、日本カイノール株式会社製のACC5092−10、ACC5092−15、ACC5092−20、ACC5092−25を用いてもよい。
【0014】
導電性物質(C)の比表面積は、たとえば300m2/g以上であり、好ましくは900m2/g以上である。比表面積の上限に特に限定はないが、たとえば3000m2/g以下や2500m2/g以下であってもよい。導電性物質(C)の「比表面積」は、通常、窒素ガスを用いたBET法で測定できる。
【0015】
対極の一例は、金属電極である。対極の好ましい一例は、水の電気分解が生じやすい金属(たとえば白金)が表面に存在する電極である。たとえば、対極として、チタンからなる電極や、白金からなる電極や、白金でコートされた金属(たとえばチタン、ニオブ、タンタルなどの任意の金属)からなる電極を用いることができる。対極として、金属シートを用いてもよいし、金属ワイヤを用いてもよいし、接続された複数の金属ワイヤを用いてもよい。対極の好ましい一例は、金属ワイヤを平板状に配置することによって形成された電極である。
【0016】
導電性物質(C)と異なり、対極の表面積は大きくなくてもよい。一例の対極の1グラム当たりの表面積は、100m2以下であってもよく、5×10-5〜50m2の範囲にあってもよい。
【0017】
典型的な一例では、イオン吸着電極および対極がそれぞれ平板状であり、互いに平行に配置される。イオン吸着電極と対極とは、1つの電極群を構成していてもよい。1つの電極群は、複数のイオン吸着電極および/または複数の対極を含んでもよい。好ましい一例では、複数の平板状のイオン吸着電極と複数の平板状の対極が、平行且つ交互に配置される。また、1つの電極群は、異なる方向に配置された複数の電極ペアを含んでもよい。それぞれの電極ペアは、平行に配置された、平板状のイオン吸着電極および平板状の対極を含む。たとえば、1つの電極群は、互いに直交する方向に配置された複数の電極ペアを含んでもよい。好ましい一例において、平板状の電極(イオン吸着電極および対極)は、その面方向が鉛直方向に平行になるように配置される。
【0018】
イオン吸着電極と対極とは、トイレのタンク内に配置されてもよい。この場合、タンク内の水が排出されたときにタンク内に残存する水に浸漬されるように、イオン吸着電極と対極とを配置してもよい。この構成によれば、電極が水の外に露出することを防止できる。タンクに投入可能な電極群を用いることによって、任意のトイレに本発明を適用することが可能となる。
【0019】
本発明の装置は、トイレのタンクに接続された槽(以下、「処理槽」という場合がある)をさらに含んでもよい。そして、処理槽内にイオン吸着電極と対極とが配置されていてもよい。処理槽において水を処理することによって、アルカリ水および酸性水が調製される。得られたアルカリ水および酸性水は、タンクに導入される。この場合、タンクに導入されるすべての水が処理槽を通過してもよい。あるいは、処理槽を通過した水と、処理槽を通過しない水とがタンクで混合されてもよい。処理槽は、アルカリ水および酸性水を安定に保持できるものである限り、特に限定はない。たとえば、樹脂製の槽や陶器製の槽を処理槽として用いることができる。
【0020】
検出手段は、タンク内の洗浄水の排出を検出する。検出手段の一例は、洗浄水の排出のための物理的移動(たとえばレバーの移動)を検出する手段(センサやスイッチなど)である。検出手段の他の一例は、タンク内の水量を検知するセンサ(水センサ、圧力センサ、光センサなど)である。検出手段のその他の一例は、洗浄水の排出を開始させる信号を発するための電気的手段(光センサやスイッチなど)である。その電気的手段は、洗浄水の排出を開始させる信号を発するための手段、および、タンク内の洗浄水の排出を検出する検出手段を兼ねる。
【0021】
電源は、イオン吸着電極と対極との間に電圧(直流電圧)を印加するための電源(直流電源)である。電源は、コンセントからの交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータであってもよい。また、電源は、太陽電池や燃料電池などの発電装置や二次電池であってもよい。発電装置や二次電池を電源として用いることによって、電力が供給されていない地域や状況において本発明の装置を用いることが可能となる。
【0022】
洗浄水は、イオン吸着電極と対極とを水に浸漬した状態でそれら電極の間に電圧を印加することによって調製される。このとき、対極の表面で水が電気分解されるように電圧を印加する。この電圧印加によって水のpHが変化し、アルカリ水および酸性水が調製される。そのアルカリ水および/または酸性水が、洗浄水として利用される。
【0023】
切り替え手段は、検出手段の出力に基づいて電圧の印加方向を切り替える。切り替え手段の一例は、電圧の印加方向を切り替えるためのスイッチ(リレーなど)である。切り替え手段の他の一例は、電圧の印加方向を切り替えるためのスイッチ(リレーなど)と、検出手段の出力に基づいてスイッチを制御するコントローラとを含む。なお、電圧の印加方向を切り替えるためのスイッチは電源に付属していてもよい。
【0024】
コントローラは、演算処理装置(内部メモリを含んでもよい)を備え、必要に応じてさらに外部メモリを含む。メモリには、処理(たとえば後述するステップ)を実行するためのプログラムが記録される。コントローラの一例には集積回路(ICやLSI)が含まれる。コントローラは、各種機器(電源、ポンプ、バルブ、スイッチなど)および計測器(pHセンサ、光センサ、水位センサ、伝導度センサなど)に接続される。コントローラは、計測器からの出力に基づき、各種機器を制御して処理を実行する。
【0025】
一般的なトイレでは、洗浄水の排出のタイミングは使用者やセンサの出力に基づいて決められる。また、公共のトイレなどでは、定期的に洗浄水が排出される場合もある。いずれの場合でも、本発明を適用できる。
【0026】
印加電圧の切り替えは、洗浄水の排出が行われるごとに行ってもよい。また、切り替えは、洗浄水の排出が所定の回数だけ行われるごとに行ってもよい。また、切り替えは、タンク内の水の量が所定の量以下になったときに行ってもよい。なお、切り替えは、洗浄水の排出のとき、または排出の指示がなされたときに行ってもよい。また、切り替えは、洗浄水の排出のときから一定の時間が経過してから行ってもよいし、排出の指示がなされたときから一定の時間が経過してから行ってもよい。イオン吸着電極および対極をタンク内に配置する場合、新しい水がタンク内にある程度貯まってから電圧印加を開始してもよい。
【0027】
なお、印加電圧の切り替えは、一定の時間ごとにおこなってもよい。
【0028】
本発明の装置は、処理される水に塩を添加する装置をさらに含んでもよい。添加される塩の例には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、有機酸塩、および、それらの混合物などが含まれる。塩素を含む塩を添加することによって、殺菌作用の効果が高い次亜塩素酸を多く含む洗浄水を調製できる。塩が添加された水の塩濃度に特に限定はなく、0.01重量%〜1.0重量%の範囲(たとえば0.05重量%〜0.1重量%の範囲)としてもよい。
【0029】
イオン交換膜などの隔膜を用いる従来の電解装置では、処理前の水の塩濃度を比較的高くする必要があった。それに比べて、イオン吸着電極と対極とを用いる本発明の装置では、水道水でも充分にpHを変えることができる。具体的には、伝導度が50μS/cm〜500μS/cmの範囲(たとえば200μS/cm以下)にある水を処理して充分にpHを変化させることが可能である。たとえば伝導度が180μS/cmの水道水を処理することによって、pHが2.6〜5の酸性水やpHが9〜11.7のアルカリ水を調製することが可能である。しかし、処理される水に塩を加えた方が、pHの変化速度を高めることができる。そのため、処理される水に塩を加えてもよい。塩を加える装置は、一定の速度で水に塩を添加してもよい。また、塩を含む固形物を水の経路やタンクに投入することによって塩を添加してもよい。
【0030】
本発明の装置は、必要に応じて他の要素を含んでもよく、たとえば、安全装置、ポンプ、バルブ、pHセンサ、伝導度センサなどを含んでもよい。
【0031】
(洗浄水調製方法)
本発明の方法は、タンクに貯留される便器用洗浄水を、水を処理することによって調製する方法である。この方法は、上記本発明の装置を用いて容易に実施できる。本発明の装置について説明した事項は本発明の方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、本発明の方法について説明した事項は、本発明の装置に適用できる。
【0032】
本発明の方法は、洗浄水となる水に、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質(C)を含むイオン吸着電極と対極とを浸漬した状態で、イオン吸着電極と対極との間に電圧(直流電圧)を印加することによって水のpHを変化させる工程(ステップ)を含む。この工程では、対極で水の電気分解が生じるように電圧を印加する。本発明の方法では、タンク内の洗浄水の排出に関連づけて電圧の印加方向を変化させる。
【0033】
イオン吸着電極がアノード(陽極)となるように電圧を印加すると、水の中の陰イオン(たとえば水酸化物イオン以外の陰イオン)がイオン吸着電極の導電性物質(C)に吸着される。一方、対極では水が電気分解され、水素ガスと水酸化物イオン(OH-)とが発生する。その結果、水のpHが上昇し、アルカリ水が調製される。
【0034】
イオン吸着電極がカソード(陰極)となるように電圧を印加すると、水の中の陽イオン(たとえば水素イオン以外の陽イオン)がイオン吸着電極の導電性物質(C)に吸着される。一方、対極では水が電気分解され、酸素ガスと水素イオン(H+)とが発生する。その結果、水のpHが低下し、酸性水が調製される。
【0035】
なお、イオン吸着電極に陰イオンが吸着されている状態で、イオン吸着電極がカソードとなるように電圧を印加すると、吸着されている陰イオンが水中に放出される反応も生じる。また、イオン吸着電極に陽イオンが吸着されている状態で、イオン吸着電極がアノードとなるように電圧を印加すると、吸着されている陽イオンが水中に放出される反応も生じる。いずれにしても、イオン吸着電極がアノードとなるように電圧を印加すると水のpHが上昇し、イオン吸着電極がカソードとなるように電圧を印加すると水のpHが低下する。
【0036】
対極において水の電気分解が生じる電圧である限り、印加する電圧に特に限定はない。一例では、印加する電圧は、2ボルト〜50ボルトの範囲にある。電圧印加の際には、一定の電圧を印加してもよいし、電極間に一定の電流が流れるように電圧を印加してもよい。また、洗浄水のpHが酸性になりすぎたりアルカリ性になりすぎたりすることを防ぐために、電圧印加の開始から一定時間経過後に電圧印加を停止してもよい。また、電圧印加の開始から流れた電流値をモニタし、その電流値が一定の値に到達したときに電圧印加を停止してもよい。また、電圧が所定の値になったときに電圧印加を停止してもよい。また、調製された洗浄水のpHをモニタして、そのpHが一定値に到達したときに電圧印加を停止してもよい。
【0037】
本発明の方法では、装置の説明において説明したように、タンク内の洗浄水の排出に基づいて電圧の印加方向を変化させる。たとえば、タンク内の洗浄水が排出されるたびに電圧の印加方向を変化させてもよい。
【0038】
また、本発明の方法では、上記工程の前に、上記工程で処理される水に塩を添加する工程をさらに含んでもよい。
【0039】
本発明の装置および方法によれば、pHが2.6〜5の範囲にある酸性水やpHが9〜11.7の範囲にあるアルカリ水を、水道水のような通常の水から調製することが可能である。また、塩水を処理することによって、pHが2.6以下の酸性水やpHが11.7以上のアルカリ水を調製することも可能である。
【0040】
なお、別の観点では、本発明は、本発明の洗浄水調製装置を備える水洗トイレを提供する。また、別の観点では、本発明は、本発明の洗浄水調製装置を備えるトイレの洗浄装置を提供する。また、別の観点では、本発明は、本発明の洗浄水調製方法を含むトイレの洗浄方法を提供する。
【0041】
本発明の装置および方法の一例について、図面を参照しながら以下に説明する。なお、以下の図では、水素イオン(H+)以外の陽イオンを、価数にかかわらず「L+」と表示する場合がある。また、水酸化物イオン(OH-)以外の陰イオンを、価数にかかわらず「L-」と表示する場合がある。また、以下の説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
【0042】
(実施形態1)
実施形態1の装置の構成を、図1に模式的に示す。図1の洗浄水調製装置100は、電源11、スイッチ12、検出手段13、コントローラ14、および電極群20を含む。スイッチ12は、リレー12aおよび12bを含む。コントローラ14は、電源11、スイッチ12、および検出手段13に接続されている。スイッチ12およびコントローラ14は、切り替え手段として機能する。電極群20は、平板状のイオン吸着電極21と平板状の対極22とを含む。イオン吸着電極21と対極22とは平行に配置されている。イオン吸着電極21は、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質21aと、配線21bとを含む。
【0043】
装置100の動作の一例について、図2〜図4を参照しながら説明する。以下の例では、最初の電圧印加の際にイオン吸着電極がアノードとなる場合について説明している。しかし、最初の電圧印加の際にイオン吸着電極をカソードとしてもよい。
【0044】
処理が開始されると、まず、水中において、イオン吸着電極21と対極22との間に電圧を印加する(ステップS201)。このとき、対極22の表面で水の電気分解が生じるように電圧を印加する。イオン吸着電極21がアノードとなるように電圧を印加すると、図3に示すように、イオン吸着電極21の導電性物質21aに陰イオン(L-)が吸着される。一方、対極22の表面では、水が電気分解されて水素ガスと水酸化物イオン(OH-)とが生じる。その結果、電極群20の周囲の水のpHが上昇してアルカリ水となる。このアルカリ水は、トイレの洗浄水として排出される。
【0045】
電圧印加は、タンクの中の水の排出に基づいて電圧の印加方向を反転させる条件が成立するまで続けられる(ステップS202)。タンクの中のアルカリ水が排出されると、それが検出手段13によって検出されてコントローラ14に出力される。アルカリ水が排出されたタンクには、新たな水が補給される。その水の補給に伴って、電極群20の周りには新たな水(水道水など)が補給される。
【0046】
電圧の印加方向を反転させる条件が成立すると、スイッチ12によって電圧の印加方向が切り替えられる。そして、イオン吸着電極21と対極22との間に、前回とは逆方向に電圧が印加される(ステップS203)。その結果、図4に示すように、導電性物質21aに吸着されている陰イオン(L-)が水中に放出される。また、水中の陽イオン(L+)が導電性物質21aに吸着される。一方、対極22の表面では、水が電気分解されて酸素ガスと水素イオンとが生じる。その結果、電極群20の周囲の水のpHが低下して残っていた液のアルカリが中和され、その後、酸性水となる。酸性水は、トイレの洗浄水として排出される。
【0047】
その後は、処理を継続するかどうかの判定を行い(ステップS204)、処理を終了する場合には電圧印加が停止される(ステップS205)。処理を継続する場合には上記のステップS202とS203とが繰り返される。これによって、アルカリ水と酸性水とが交互にタンクから排出される。アルカリ水および酸性水を流すことによって、便器の洗浄や除菌が容易になる。特に、アルカリ水を流すことによって洗浄効果が高まる。また、酸性水を流すことによって、尿石やスケールを除去できる。
【0048】
装置100の電極群20がトイレのタンク内に配置されている一例の断面図を、図5に示す。なお、図5に示すトイレのタンクは一例であり、本発明はこれに制限されない。
【0049】
電極群20は、トイレのタンク51内に配置されている。電極群20は、配線56によってスイッチ12に接続される。タンク51には、タンク51内の洗浄水59を排出するための弁52と、弁52を作動させるためのレバー53とが配置されている。レバー53を操作すると、弁52が上昇して排水口51hから洗浄水59が排出される。洗浄水59によって便器が洗浄される。タンク51には、給水管54から水(たとえば水道水)が導入される。タンク51内の洗浄水59が所定の量に到達すると、フロート55によって止水栓が作動して給水が停止される。レバー53が操作されてタンク51内の洗浄水59が排出されると、給水管54から再び水が導入される。レバー53には、レバー53が操作されたことを検知するセンサ(図示せず)が取り付けられている。そのセンサは検知手段として機能する。電極群20に電圧を印加することによって、タンク51に給水された水から、アルカリ水/酸性水が調製される。
【0050】
電極群が、タンク以外の槽内に配置されている一例の模式図を、図6に示す。図6の例では、本発明の装置はタンクに接続された槽60を含む。槽60の中に、イオン吸着電極21および対極22が配置されている。槽60の給水口60aには、給水管(たとえば水道管)が接続されている。槽60の排水口60bは、トイレのタンクの給水管に接続されている。トイレのタンク内の水が排出されると、トイレのタンクの給水管に設けられた止水栓が開放されるのに伴って、槽60内の水が移動する。その結果、槽60内において調製されたアルカリ水/酸性水が、トイレのタンクに供給される。電圧の印加方向は、タンク内の洗浄水の排出に関連して切り替えられる。
【0051】
塩を供給する方法(手段)の一例を、図7に模式的に示す。図7の例は、トイレのタンクへの給水が、タンクの上部にあいた穴を通して行われる場合の一例である。この場合には、タンク内に電極群20が配置される。
【0052】
タンクの蓋71には、貫通孔71hが形成されている。給水管72は蓋71の上方に配置されている。給水管72の下方であって蓋71の上には、塩を供給する供給手段73が配置されている。供給手段73は、上方が開口している容器73aと、容器73aの下方に配置された固形物73bを含む。固形物73bは、塩を含む固形物である。給水管72から供給された水は、容器73a内からあふれ出てタンクに導入される。給水管72からの水の供給が停止すると、容器73a内の水74の移動も停止する。水74の塩の濃度は塩の溶解度によって規定されるため、水74の移動が停止している限り、固形物73bの溶解は制限される。供給手段73によれば、処理される水の塩濃度を容易に高めることができる。
【0053】
(本発明の原理の利用)
なお、本発明の原理を、トイレ以外に利用することも可能である。たとえば、本発明の構成の一部を、清掃用のアルカリ水および酸性水を調製する装置および方法に利用できる。その装置は、水を処理することによってアルカリ水および/または酸性水を調製するための装置である。その装置は、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極、対極、イオン吸着電極と対極との間に電圧を印加するための電源、および、調製されたアルカリ水および酸性水の少なくとも一方を選択的に収納する収納手段とを備える。また、その方法は、水を処理することによってアルカリ水および/または酸性水を調製する方法であって、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極と対極とを水に浸漬した状態で、イオン吸着電極と対極との間に電圧を印加することによって水のpHを変化させる工程と、その工程で調製された水がアルカリ性および酸性水の少なくとも一方を選択的に収納する工程とを含む。本発明の装置および方法で説明した事項は、この装置および方法に適用できる。
【0054】
この装置の一例を図8に示す。装置800は、電源11、スイッチ12、コントローラ14、電極群20、槽60、切り替えバルブ81、ならびに容器82および83を含む。切り替えバルブ81は、槽60で調製された水がアルカリ水か酸性水かに応じて水の経路を切り替える。具体的には、切り替えバルブ81は、イオン吸着電極21と対極22との間に印加される電圧の印加方向に応じて水の経路を切り替える。これによって、容器82にアルカリ水を貯め、容器83に酸性水を貯めることができる。容器82および83の大きさは用途に応じて決められる。家庭用で使用する場合、容器82および83の内容積は、0.1〜10リットルの範囲(たとえば0.2〜1リットルの範囲)にあってもよい。アルカリ水は、カビの除去や除菌などに使用できる。また、酸性水はスケールの除去や除菌などに使用できる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、トイレの便器の洗浄水の調製装置および調製方法に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
11 電源
12 スイッチ
12a、12b リレー
13 検出手段
14 コントローラ
20 電極群
21 イオン吸着電極
21a 導電性物質
21b 配線
22 対極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに貯留される便器用洗浄水を、水を処理することによって調製するための装置であって、
イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極、
対極、
前記イオン吸着電極と前記対極との間に電圧を印加するための電源、
前記タンク内の前記洗浄水の排出を検出する検出手段、および
前記検出手段の出力に基づいて前記電圧の印加方向を切り替える切り替え手段を備える、洗浄水調製装置。
【請求項2】
前記イオン吸着電極と前記対極とが前記タンク内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記タンクに接続された槽をさらに含み、
前記槽内に前記イオン吸着電極と前記対極とが配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記水に塩を添加する装置をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
タンクに貯留される便器用洗浄水を、水を処理することによって調製する方法であって、
前記洗浄水となる水に、イオンを可逆的に吸着可能な導電性物質を含むイオン吸着電極と対極とを浸漬した状態で、前記イオン吸着電極と前記対極との間に電圧を印加することによって前記水のpHを変化させる工程を含み、
前記タンク内の前記洗浄水の排出に関連づけて前記電圧の印加方向を変化させる、洗浄水の調製方法。
【請求項6】
前記タンク内の前記洗浄水が排出されるたびに前記電圧の印加方向を変化させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工程の前に、前記工程で処理される水に塩を添加する工程をさらに含む、請求項5または6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−132678(P2011−132678A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290413(P2009−290413)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(505214249)有限会社ターナープロセス (4)
【Fターム(参考)】