説明

便器上面設備

【課題】 所定のプレートに設けられたダクトの開口が、そのプレートに接続される他のプレート側へ向けて設けられている場合であっても、容易かつ迅速に他のダクトを上記ダクトに接続させることができる便器上面設備を提供する。
【解決手段】 多機種の製品に共通する機能部を搭載した第1プレートと、他の機能部を搭載し、第1プレートに接続された第2プレートと、機能部の一部材として、第1プレートに、一端の開口を第2プレート接続側へ向けて設けられた第1ダクトと、
を備えた便器上面設備であって、
第2プレートには、第1ダクトへ接続される第2ダクトが予め設けられており、第1プレートと第2プレートとの接続により、第2ダクトが第1ダクトに接続されるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器上面に設けられる便器上面設備に係り、特に脱臭ダクトを備えた便器上面設備に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、多機種の製品に共通する機能部(局部洗浄機能部、脱臭機能部、熱交換機能部など)が集約されたユニットに、機種に応じて個別に必要な機能部を搭載した別ユニットを組み合わせることで、柔軟かつ効率的な生産体制の実現が図られてきた。具体的な構成としては、図1のように、多機種の製品に共通する複数の機能部1が搭載された共通機能部載置プレート3に、個別に必要な機能部5が載置された他のプレート7(以下、拡張用載置プレートという)を接続した構成のものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような便器上面設備において、脱臭機能部の脱臭ダクトが、排気口を拡張用載置プレート7側へ向けて共通機能部載置プレート3に搭載されている場合、排気口から排出される清浄化された空気が設備内に排出されないよう、何らかの対策を講じる必要があるが、従来、この対策については何も考えられていなかった。
【0004】
この対策の一つとして、脱臭ダクトを延長させる部材(以下、延長ダクトという)を脱臭ダクトへ接続して、排気口を設備外近傍まで延長させる方法が考えられる。そして、この延長ダクトの取り付け方法としては、拡張用載置プレートを共通機能部載置プレートへ接続した後、延長ダクトを脱臭ダクトおよび拡張用載置プレート7に取り付ける方法や、延長ダクトを脱臭ダクトに接続した後に、拡張用載置プレート7を共通機能部載置プレート3および延長ダクトに取り付ける方法が考えられる。
【0005】
しかし、上記のように、部材を一つ一つ取り付けていく方法では、先に取り付けた部材の一部が次に取り付ける部材と干渉するなど、取り付けが困難なものとなってしまい、それらの取り付けに多くの時間がかかってしまう。したがって、こうした方法は、組立作業に容易さと迅速さが求められる組立現場等に適したものとは言えない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、所定のプレートに設けられたダクトの開口が、そのプレートに接続される他のプレート側へ向けて設けられている場合であっても、容易かつ迅速に他のダクトを上記ダクトに接続させることができる便器上面設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る便器上面設備は、多機種の製品に共通する機能部を搭載した第1プレートと、他の機能部を搭載し、第1プレートに接続された第2プレートと、共通する機能部の一部材として、第1プレートに、一端の開口を第2プレート接続側へ向けて設けられた第1ダクトと、を備えた便器上面設備であって、第2プレートには、第1ダクトへ接続される第2ダクトが予め設けられており、第1プレートと第2プレートとの接続により、第2ダクトが第1ダクトに接続されるよう構成されてなることを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明においては、第1プレートに第1ダクトが一端の開口を第2プレート接続側へ向けて設けられている場合であっても、第1プレートと第2プレートとの接続に伴い、第1ダクトと第2ダクトとの接続も共に行われるため、困難な取り付け作業を要することなく、容易かつ迅速に第1ダクトと第2ダクトとの接続を行うことができる。上記第1ダクトとしては、脱臭ダクトはもちろんのこと、冷暖房装置用のダクトや乾燥装置用のダクトであっても、当然、第2ダクトとの接続を容易に行うことが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便器上面設備によれば、第1プレートに第1ダクトが一端の開口を第2プレート接続側へ向けて設けられている場合であっても、第1プレートと第2プレートとの接続に伴い、第1ダクトと第2ダクトとの接続も共に行われるため、困難な取り付け作業を要することなく、容易かつ迅速に第1ダクトと第2ダクトとの接続を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来の便器上面設備の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る便器上面設備の取付状態を表す全体斜視図
【図3】本発明の第1実施形態に係る便器上面設備単体の平面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る延長ダクトの斜視図。
【図5】図4におけるX-X断面図。
【図6】本発明の第1実施形態に係る第2プレートの斜視図。
【図7】本発明の第1実施形態に係る筒状部材の立体断面図。
【図8】本発明の第1実施形態に係る延長ダクト取付後の第2プレートの平面図。
【図9】図8におけるY-Y断面図。
【図10】本発明の第1実施形態に係る便器上面設備の接続時の様子を表す斜視図。
【図11】本発明の第1実施形態に係る脱臭ダクトと延長ダクト嵌合状態を表す縦断面図。
【図12】本発明の第1実施形態に係る延長ダクト嵌合動作を表す平面視断面図。
【図13】本発明の第2実施形態に係る便器上面設備の接続時の様子を表す斜視図。
【図14】本発明の第2実施形態に係る便器上面設備のダクト接続部における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図2および図3はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る便器上面設備9を後方上面に取り付けた便器11の全体斜視図と、便器上面設備単体の平面図である。本実施形態に係る便器上面設備9は、便器11の後方上面に取り付けられ、脱臭ファン13およびこの脱臭ファン13に連結された脱臭ダクト15が搭載された第1プレート17と、第1プレート17の後方に接続された第2プレート19と、脱臭ダクト15を便器後方側へ延長させるために第2プレート19に取り付けられた延長ダクト21と、これらを覆う図示しないカバーを備えている。また、第1プレート17には、局部洗浄装置を搭載する局部洗浄装置載置部22、熱交換器を搭載する熱交換器載置部23、各機能部の動作を制御する制御装置が搭載される制御装置載置部24等が設けられており、第2プレート19には、便器洗浄装置を搭載する便器洗浄装置載置部20が設けられている。なお、上記脱臭ファン13が吸い込んだ臭気は、脱臭ダクト15内部で清浄化され、延長ダクト21内部を通過し、最終的に便器側方を指向する延長ダクト21の排気口25より排出されるよう構成されている。
【0013】
図4(a)および(b)はそれぞれ上面側及び下面側から見た延長ダクト21の斜視図であり、図5は、図4におけるX-X断面図である。まずはこれらの図を参照して、延長ダクト21の構成について説明する。
【0014】
27は屈曲形状をなす延長ダクト21の通風部、29は通風部27先端に一体的に形成され、脱臭ダクト15の先端周囲を覆うようにして脱臭ダクト15へ嵌合される嵌合部であり、この嵌合部29の開口断面積は、通風部27の嵌合部29側先端の開口断面積よりもやや大きく形成されている。そして、図5に示すように、この嵌合部29の端面は、延長ダクト21内部を指向して傾斜した傾斜部31を有している。また、33は延長ダクト21を第2プレート19に取り付ける際に挿入される挿入部であり、この挿入部33は、延長ダクト21裏面の排気口25近傍から突出するシャフト35およびそのシャフト35先端に一体的に形成されたほぼ球状の球体37からなっている。
【0015】
次に、第2プレート19の構成について説明する。図6は延長ダクト21が取り付けられていない第2プレート19の斜視図である。39は延長ダクト21を取り付ける際に延長ダクト21の姿勢を規制する姿勢規制部材、41は取り付けられた延長ダクト21の回転量を規制する回転量規制部材、43は第1プレート17との接続時に、第1プレート17へ挿入される舌片状の凸部、45は延長ダクト21の挿入部33が挿入される筒状部材であり、この筒状部材45の所定の高さの内周面には、図7に示すように、環状の円弧溝47が設けられている。
【0016】
次に延長ダクト21の第2プレート19への取り付け方法について説明する。図8は延長ダクト21が取り付けられた第2プレート19の平面図であり、図9は延長ダクトの第2プレートへの取付部の様子を表す、図8のY-Y断面における一部の断面図である。延長ダクト21は、姿勢規制部材39によりその姿勢が規制された状態で、挿入部33が第2プレート19の筒状部材45へ挿入されることにより、第2プレート19へ取付けられる。より具体的には、挿入部33の球体37が、筒状部材45の円弧溝47に嵌合するまで、姿勢規制部材39により所定の姿勢を維持したまま延長ダクト21が第2プレート19に押し込まれる。
【0017】
ここで、延長ダクト21の第2プレート19へ取り付け状態について説明する。上述したように、延長ダクト21は、球体37を筒状部材45の円弧溝47に嵌合させることにより第2プレート19へ取付けられている。したがって、回転量規制部材41により回転量が規制されてはいるものの、延長ダクト21は第2プレート19に対して、球体37を中心として回転自在であり、なおかつ、シャフト35の軸回りにも回転可能である。また、延長ダクト21の第2プレート19への取り付けに関わる筒状部材45や姿勢規制部材39は、延長ダクト21が第2プレート19へ取り付けられた際、延長ダクト21が、第1プレート17と第2プレート19との接続時に脱臭ダクト15へ接続される位置および姿勢となるよう予め設計されており、したがって、第2プレート19へ取り付けられた延長ダクト21は、第1プレート17と第2プレート19との接続に伴い、脱臭ダクト15へ接続される状態となっている。
【0018】
次に、第1プレート17と第2プレート19との接続に伴う、延長ダクト21と脱臭ダクト15の接続について説明する。ここでは、第2プレート19を第1プレート17へ接続させることにより両プレートを接続する場合について説明する。
【0019】
図10は脱臭ダクト15が取り付けられた第1プレート17と、延長ダクト21が取付けられた第2プレート19を接続する際の様子を表した全体斜視図であり、図11は脱臭ダクト15と延長ダクト21との接続完了時における嵌合状態を表す縦断面図である。第1プレート17へ第2プレート19を接続する際、まず、第2プレート19の凸部43を、この凸部43とスライド可能に係合する第1プレート17裏面に設けられた凹部(図示省略)に係合させ、次に、第2プレート19を第1プレート17側へスライドさせることにより、第1プレート17と第2プレートとの接続を行う。このスライド動作時においては、上記凹部と凸部43の係合規制により、第2プレート19が、その姿勢を維持した状態で、第1プレート17に向かってスライドするため、第2プレート19に取り付けられた延長ダクト21も、その姿勢を維持した状態で、第1プレート側へ接近していくこととなる。
【0020】
上述したように、延長ダクト21は、第1プレート17と第2プレート19との接続時に脱臭ダクト15に接続される位置および姿勢で、予め第2プレート19へ取り付けられているため、上記スライド動作時、延長ダクト21が脱臭ダクト15へ接近し、延長ダクトの嵌合部29が脱臭ダクト15の先端へ嵌合することにより、脱臭ダクト15と延長ダクト21との接続が行われる。つまり、第1プレート17と第2プレート19との接続に伴い、延長ダクト21と脱臭ダクト15との接続も共に行われるため、困難な取り付け作業を要することなく、延長ダクト21を脱臭ダクト15に容易かつ迅速に接続させることが可能となる。
【0021】
ただし、第1プレート17と第2プレート19の接続時に、凹部と凸部43を係合させた際、この凹部や凸部43等の公差に起因して、第2プレート19に取り付けられた延長ダクト21の姿勢が脱臭ダクト15への嵌合に適した姿勢となっていない場合がある。図12は、このような場合における、延長ダクト21の脱臭ダクト15への嵌合動作を簡略的に表した断面図(平面視)である。
【0022】
図12に示されているように、延長ダクト21の接近時、延長ダクト21の姿勢が脱臭ダクト15への嵌合に適した姿勢でない場合、延長ダクト21端部の傾斜部31が脱臭ダクト15の先端に接触して延長ダクト21が嵌合に適した姿勢となる方向へ力を受けるため、回転自在に第2プレート19へ取り付けられた延長ダクト21がその方向へ回転し、脱臭ダクト15への嵌合に適した姿勢へと次第に修正されていくため、滞りなく延長ダクト21を脱臭ダクト15へ嵌合することができる。このように、延長ダクト21の端面に傾斜部31を設け、さらに、延長ダクト21を回転自在に第2プレート19に取り付けたことにより、延長ダクト21と脱臭ダクト15との接続を、より確実に容易かつ迅速に行うことが可能となる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図13は、本発明の第2実施形態における第1プレート17と第2プレート19とを接続する際の様子を示す斜視図である。第2実施形態に係る便器上面設備が、第1実施形態に係る便器上面設備と異なるのは、図13に示すように、延長ダクト21の排気口25とは反対側の端部がフランジ形状をなしており、そのフランジ形状をなす端部の端面にパッキン51が、両面テープや、接着剤のような粘着剤により取り付けられている点である。これにより、第1プレート17と第2プレート19とを接続する際、接近する延長ダクト21端面に設けられたパッキン51が図14に示すように脱臭ダクト15先端の端面に押圧され、延長ダクト21と脱臭ダクト15との間に隙間を作ることなく両ダクトの接続が行われるため、容易かつ迅速に延長ダクト21と脱臭ダクト15との接続が行えるだけでなく、ダクト内部から外部への空気漏れがない接続状態を実現することができる。
【0024】
以上、本発明の便器上面設備について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。例えば、上記延長ダクト21は、第1プレート17と第2プレート19との接続時に脱臭ダクト15へ接続される位置および姿勢であれば、第2プレート19に予め一体形成されていても構わない。
【符号の説明】
【0025】
1…機能部(共通)
3…共通機能部載置プレート
5…機能部(個別)
7…拡張用載置プレート
9…便器上面設備
11…便器
13…脱臭ファン
15…脱臭ダクト
17…第1プレート
19…第2プレート
20…便器洗浄装置載置部
21…延長ダクト
22…局部洗浄装置載置部
23…熱交換器載置部
24…制御装置載置部
25…排気口
27…通風部
29…嵌合部
31…傾斜部
33…挿入部
35…シャフト
37…球体
39…姿勢規制部材
41…回転量規制部材
43…凸部
45…筒状部材
47…円弧溝
49…回転中心
51…パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機種の製品に共通する機能部を搭載した第1プレートと、
他の機能部を搭載し、前記第1プレートに接続された第2プレートと、
前記共通する機能部の一部材として、前記第1プレートに、一端の開口を前記第2プレート接続側へ向けて設けられた第1ダクトと、
を備えた便器上面設備であって、
前記第2プレートには、前記第1ダクトへ接続される第2ダクトが予め設けられており、前記第1プレートと前記第2プレートとの接続により、前記第2ダクトが前記第1ダクトに接続されるよう構成されてなること、
を特徴とする便器上面設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−96113(P2013−96113A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238632(P2011−238632)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】