説明

便器内の温湿度上昇抑制システム及び抑制方法

【課題】本発明は、便器 内の温度や湿度の上昇を抑制する温湿度上昇抑制システム及び抑制方法の提供を目的とする。
【解決手段】便蓋を有する便器1と、エアコン2と、制御部3とを備える。制御部3は、便器内の温度と湿度との少なくとも一方が設定温度、設定湿度以上の場合に、便蓋を開けさせ、さらに、設定時間経過後もそのようになっている場合に、エアコン2を稼動させる。これにより、便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低くなるようにし、便器内にカビ等の細菌が繁殖し難くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器内の温湿度上昇抑制システム及び抑制方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば温度センサあるいは湿度センサ,結露センサの検知信号により、トイレ室における給水部,給水管,洗浄タンク,便器等で結露が発生する状況にあると制御器が判断した場合、便器と一体または別体でトイレ内に設置した空調器を作動させ、トイレ内を除湿するように構成した結露防止装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−045353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1のように、結露が発生する状況にあると制御器が判断した場合に、常時空調器を作動させると、空調器のランニングコストが高く付いてしまう。しかも、便器が便蓋によって閉められているような場合には、空調器を作動させも、便器内を除湿し難い。又、便器が便蓋によって閉められているような場合にも、便器内を除湿しうるように空調器を設けるとすると、製作コストが高く付いてしまう。
【0004】
本発明は、便器 内の温度や湿度の上昇を低コストで抑制できる温湿度上昇抑制システム及び抑制方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、便蓋の自動開閉機構を有する便器と、その便器に制御信号を送信し便蓋の開閉を制御する制御部とを備えた便器内の温湿度上昇抑制システムであって、前記制御部は、前記便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低いか否かを判定する温湿度判定部を備え、この温湿度判定部によって、前記温度と湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くないとの判定をした場合に、その判定に基づいて、便器に便蓋開信号を送信することを特徴とする便器内の温湿度上昇抑制システムを提供する。
【0006】
請求項2のように、前記温湿度判定部は、便器内に設けられて便器内の温度と湿度とを検出する検出センサによって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて行うことが好ましい。
【0007】
請求項3のように、前記便器が設置されたトイレ室に、制御部から制御信号を受信可能な空調装置が設けられ、前記制御部は、前記便蓋開信号を送信してから設定時間経過後における便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりもよりも低くなったか否かを判定する開効果判定部を備え、この開効果判定部によって、前記設定時間経過後における便器内の温度と湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くない場合に、開効果無判定をし、その開効果無判定に基づいて、稼動開始信号を空調装置に送信し、前記稼動開始信号を受信した空調装置は、トイレ室の温度と湿度との一方又は両方を前記設定温度、設定湿度以下にできるように稼動することが好ましい。
【0008】
請求項4のように、前記制御部は、前記稼動開始信号送信後における便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低くなったか否かを判定する空調効果判定部を備え、この空調効果判定部によって、前記稼動開始信号送信後における便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低い場合に、空調効果有判定をし、その判定に基づいて、稼動停止信号を空調装置に送信するとともに、便蓋閉信号を便器に送信することが好ましい。
【0009】
本発明の請求項5は、便蓋が設けられているとともに、その便蓋の自動開閉操作を行い得る便器と、その便器に制御信号を送信し便蓋の開閉を制御する制御部とを用いて便器内の温湿度上昇を抑制する便器内温湿度上昇抑制方法であって、前記制御部に、前記便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりもよりも低いか否かを判定させ、前記温度と湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くないとの判定をした場合に、その判定に基づいて、便器に便蓋開信号を送信させることを特徴とする便器内の温湿度上昇抑制方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項5によれば、制御部は、温湿度判定部によって、便器内の温度と湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くないとの判定をした場合に、便器に便蓋開信号を送信し、便器はその受信した便蓋開信号に基づいて便蓋を開ける。これにより、開信号便器内の温度や湿度が設定温度又設定湿度よりも高くなるのを抑制できる。従って、便器内にカビ等の細菌が発生し、あるいは、細菌が繁殖するのを抑制できる。しかも、便器内の温度と湿度との少なくとも一方が設定温度あるいは設定湿度以上になった場合には、便蓋を開けるため、低コストで行うことができる。
【0011】
請求項2によれば、温湿度判定部は、便器内の温度と湿度とを検出する検出センサによって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて行うため、便器内の温度と湿度とが夫々設定温度、設定湿度よりも低いか否かを正確に確実に判定できる。
【0012】
請求項3によれば、便器が設置されたトイレ室に、制御部から制御信号を受信する空調装置が設けられ、制御部は、開効果無判定をした場合に、稼動開始信号を空調装置に送信し、稼動開始信号を受信した空調装置は、トイレ室の温度と湿度との一方又は両方を前記設定温度、設定湿度よりも低くできるように稼動する。従って、便器内の温度又は湿度を、空調装置の稼動によって、迅速且つ確実に設定温度又は設定湿度よりも下げることができる。
【0013】
請求項4によれば、制御部は、空調効果判定部によって、空調効果有判定をした場合に、稼動停止信号を空調装置に送信するとともに、便蓋閉信号を便器に送信する。これにより、空調装置は稼動を停止し、空調装置のランニングコストを抑えることができる。又、便器はその受信した便蓋閉信号に基づいて蓋を閉め、これにより、便器にカビなどの細菌が入るのを防止でき、清潔なものにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態の便器内の温湿度上昇抑制システムを施したトイレ室9の概略図、図2は、同システムに用いられる便器の蓋開閉操作部を説明するためのブロック図、図3は、同システムに用いられる制御部を説明するためのブロック図、図4は、同システムに用いられるエアコンの稼動操作部を説明するためのブロック図である。
【0016】
本発明の便器内の温湿度上昇抑制システムは、図1に示すように、トイレ室9内に設置された便器1と、トイレ室9内の温度および湿度を調整する空調装置としてのエアコン(エアコンディショナー)2と、これらの便器1及びエアコンに制御信号を有線又は無線(この実施形態では無線)で送信する制御部3とを備えている。
【0017】
便器1には、便座4が付設されているとともに、便蓋5が付設されている。便座4は、この実施形態では、図示しないが、内部に加熱手段が設けられており、その加熱手段によって便座を暖めうるように構成されている。
【0018】
便蓋5は、自動開閉機構によって便器1の開口を自動開閉できるように、便座4と共に便器1に取り付けられている。
【0019】
この実施形態の自動開閉機構は、図示しないが、例えば便蓋5を便器1に対して回転自在に取り付けるとともに、便蓋5に設けられた従属ギアと、便器1に設けられその従属ギアと噛合した駆動ギアと、その駆動ギアを回転駆動させる駆動装置としての正逆回転切り替え可能なモータとを備えている。
【0020】
そして、例えばモータの正回転により、駆動ギアを一方向側に回転させることによって便蓋5を開け(図1の状態)、モータの逆回転により、駆動ギアを他方向側に回転させることによって便蓋5を閉め得るようになっている。尚、自動開閉機構は、この形態のものに限らず、例えば油圧装置を用いて便蓋5を開閉操作するようにしても良く、適宜変更できる。
【0021】
又、便器1は、図2に示すように、便蓋5の開閉操作を自動開閉機構に行わせる便蓋操作部10を備えている。この便蓋操作部10は、開操作部11と、閉操作部12と、受信部13とを備えている。
【0022】
受信部13は、例えば後述する制御信号である便蓋開信号、便蓋閉信号を制御部3から受信する。
【0023】
開操作部11は、制御部3から便蓋開信号を受信した場合に、その便蓋開信号に基づいて上記モータを正回転させ便蓋5の開操作を行わせる。
【0024】
閉操作部12は、制御部3から便蓋閉信号を受信した場合に、その便蓋閉信号に基づいて上記モータを逆回転させ便蓋5の閉操作を行わせる。
【0025】
又、便器1は、図示しないが、記録装置であるメモリ、制御装置であるCPU、表示装置である表示部、制御部3と通信するため通信インターフェース等を備えている。
【0026】
そして、上記CPUは、図2の開操作部11、閉操作部12、受信部13として機能する。
【0027】
次に、制御部3について説明する。この実施形態の制御部3は、図3に示すように温湿度判定部31と、開効果判定部32と、空調効果判定部33と、送信部34とを備えている。
【0028】
温湿度判定部31は、便器1内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低いか否かを判定する。この実施形態では、便器1内に設けられ便器1内の温度と湿度とを検出する検出センサ6(図1に図示)によって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて行う。
【0029】
尚、検出センサ6は、この実施形態では、温度を検出する温度検出センサと、湿度を検出する湿度検出センサとの別体からなる2つから構成されている。ただし、検出センサ6は、この形態のものに限らず、適宜変更し得る。又、温度検出センサと湿度検出センサとの別体の2つから構成する場合、便器内において、互いに近接した位置に配設しても良いが、互いに離れた位置に配設しても良い。
【0030】
又、設定温度及び設定湿度は、カビなどの細菌が繁殖し易い温度及び湿度とされている。この実施形態では、設定温度は25°Cとされており、設定湿度は、65%とされている。
【0031】
そして、便器1内の検出温度が25°Cよりも低く(検出温度<25°C)、且つ、便器1内の検出湿度が65%よりも低い場合(検出湿度<65%)に、温湿度判定部31は、便器1内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低いとの低温湿度判定をする。
【0032】
一方、便器1内の検出温度と検出湿度との少なくとも一方が設定温度である25°C、あるいは設定湿度である65%よりも低くない場合、即ち、検出温度が25°C以上(便器内温度≧25°C)で、検出湿度が65%よりも低い場合、検出温度が25°Cよりも低く、検出湿度が65%以上(検出湿度≧65%)の場合、検出温度が25°C以上で、検出湿度も65%以上の場合に、開効果判定部32は、便器1内の温度と湿度との少なくとも一方が設定温度、あるいは設定湿度よりも低くないとの低温湿度判定をする。
【0033】
また、制御部3は、高温湿度判定をした場合は、便蓋開信号を生成する。
【0034】
開効果判定部32は、便蓋5を開けた効果の有無を判定するもので、具体的には、便蓋開信号を便器1に送信してから設定時間経過後、便器1内の温度が上記設定温度よりも低く(検出温度<設定温度)、且つ、便器1内の湿度が上記設定湿度よりも低い(検出湿度<設定湿度)か否かを、上記検出センサ6によって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて判定をする。
【0035】
尚、設定時間は、特に限定されず、適宜変更できる。この実施形態では、設定時間は、5〜10分程度とされている。
【0036】
そして、便器1内の検出温度が上記設定温度よりも低く、且つ、便器1内の湿度が上記設定湿度よりも低い場合、開効果判定部32は、便蓋5を開けた効果が有ったとの開効果有判定をする。
【0037】
一方、便器1内の検出温度と検出湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くない場合、開効果判定部32は、便蓋5を開けた効果が未だあまり無いとの開効果無判定をする。
【0038】
又、制御部3は、開効果有判定をした場合は、便蓋閉信号を生成する。一方、開効果無判定をした場合は、稼動開始信号を生成する。
【0039】
空調効果判定部33は、空調装置としてのエアコン2が稼動した効果の有無を判定するもので、具体的には、上記稼動開始信号をエアコン2に送信した後における便器1内の温度が上記設定温度よりも低く(検出温度<設定温度)、且つ、便器1内の湿度が上記設定湿度よりも低い(検出湿度<設定湿度)か否かを、上記検出センサ6によって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて判定する。
【0040】
そして、便器1内の検出温度が上記設定温度よりも低く、且つ、便器1内の検出湿度が上記設定湿度よりも低い場合、空調効果判定部33は、エアコン2の稼動の効果が有ったとの空調効果有判定をする。
【0041】
一方、便器1内の検出温度と検出湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くない場合、空調効果判定部33は、エアコン2の稼動の効果が未だあまり無いとの空調効果無判定をする。
【0042】
又、制御部3は、空調効果有判定をした場合は、稼動停止信号を生成するとともに、便蓋閉信号を生成する。
【0043】
送信部34は、例えば便蓋開信号や便蓋閉信号を便器1に送信し、又、稼動開始信号や稼動停止信号をエアコン2に送信する。
【0044】
又、制御部3は、図示しないが、記録装置であるメモリ、制御装置であるCPU、表示装置である表示部、便器1及びエアコン2と通信するため通信インターフェース等を備えている。
【0045】
そして、上記CPUは、図3の温湿度判定部31、開効果判定部32、空調効果判定部33、送信部34として機能する。
【0046】
次に、エアコン2について説明する。この実施形態のエアコン2は、図1に示すようにトイレ室9における便器1の側方側に設置された熱交換機を有する室内機20、冷媒を圧縮する圧縮機(図示せず)、熱交換機を有する室外機(図示せず)等を備えたものから構成されている。
【0047】
又、室内機20は、例えばこれらによって発生させた冷気を、室内機20に開設された開口部20a(図1に図示)から、室内機20に内設されたファン(図示せず)及びルーパー(図示せず)によって冷風にして便器1内に向かって送出できるように構成されている。
【0048】
又、このエアコン2の室内機20には、図4に示すように、制御部3からの制御信号を受信しエアコン2の稼動を操作する稼動操作部20aが備えられている。又、この稼動操作部20aは、図4に示すように稼動開始部21と、稼動停止部22と、受信部23とを備えている。
【0049】
稼動開始部21は、上記稼動開始信号を制御部3から受信した場合に、その稼動開始信号に基づいて、エアコン2を、トイレ室9の温度が上記設定温度よりも低く、湿度が上記設定湿度よりも低くできるように設定して稼動させる。
【0050】
この実施形態では、稼動開始部21による稼動に際し、トイレ室9が上記設定温度よりも低い温度、及び上記設定湿度よりも低い湿度になるように予め設定されたエアコンの冷房運転条件で冷房運転を行い、室温を上記設定温度よりも低くするとともに、上記設定湿度よりも低くなるように除湿するようになっている。
【0051】
稼動停止部22は、稼動停止信号を制御部3から受信した場合に、その稼動停止信号に基づいて、エアコンの稼動を停止させる。
【0052】
受信部23は、例えば制御信号である稼動開始信号、稼動停止信号を制御部3から受信する。
【0053】
又、エアコン2(室内機20)は、図示しないが、記録装置であるメモリ、制御装置であるCPU、表示装置である表示部、制御部3と通信するため通信インターフェース等を備えている。
【0054】
そして、上記CPUは、図3のエアコン稼動開始部21、エアコン稼動停止部22、受信部23として機能する。
【0055】
次に、本システムの動作について、図5、図6に基づいて説明する。尚、説明の都合上、便蓋5が閉状態になっている状態から説明する。
【0056】
まず、制御部3は、便器1内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低いか否かを、検出センサ6によって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて判定する(図5、ステップS1)。
【0057】
このステップS1において、便器1内の温度が設定温度よりも低く、かつ、湿度が設定湿度よりも低い場合、制御部3は、低温湿度判定をし、制御を戻す。
【0058】
一方、ステップS1において、便器1内の温度と湿度との少なくとも一方が設定温度、あるいは設定湿度よりも低くない場合、制御部3は、高温湿度判定をし、その判定に基づいて、便器1に便蓋開信号を送信する。
【0059】
例えば図6に示すように、湿度が設定湿度よりも低いが、温度が設定温度よりも低くない場合は、制御部3は、高温湿度判定をする。
【0060】
便蓋開信号を受信した便器1(便蓋操作部11)は、便蓋5を開ける(図5、ステップS2)。
【0061】
そして、便蓋開信号を送信してから設定時間経過後(この実施形態では、5分)、便器1内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低いか否かを、検出センサ6によって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて判定する(図5、ステップS3)。
【0062】
このステップS3において、便器1内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低い場合、制御部3は、開効果有判定をし、その判定に基づいて、便蓋閉信号を生成し、便器1に送信する。
【0063】
便蓋閉信号を受信した便器1は、後述のステップS7に制御を移し、便蓋5を閉じる。
【0064】
一方、ステップS3において、便器1内の温度と湿度との少なくとも一方が設定温度、あるいは設定湿度よりも低くない場合、制御部3は、開効果無判定をするとともに、その判定に基づいて、稼動開始信号を生成し、エアコン2に送信する。
【0065】
例えば図6に示すように、便蓋開信号を送信してから設定時間経過後、便器1内の温度が設定温度以上で、しかも、湿度が設定湿度以上の場合、制御部3は、開効果無判定をする。
【0066】
稼動開始信号を受信したエアコン2は、その稼動開始信号に基づいて、稼動する(図5、ステップS4)。
【0067】
そして、制御部3は、稼動開始信号を送信した後における便器1内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低くなったか否かを、検出センサ6によって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて判定する(図5、ステップS5)。
【0068】
このステップS5において、便器1内の温度と湿度との少なくとも一方が設定温度、あるいは設定湿度よりも低くない場合、空調効果無判定をし、便器1内の温度と湿度との両方が夫々設定温度、設定湿度よりも低くなるまで待つ。
【0069】
一方、ステップS5において、例えば図6に示すように便器1内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低くなっている場合は、空調効果有判定をし、その判定に基づいて、稼動停止信号を生成し、エアコン2に送信するとともに、便蓋閉信号を生成し、便器1に送信する。
【0070】
稼動停止信号を受信したエアコン2は、その稼動停止信号に基づいて、稼動を停止する(図5、ステップS6)。
【0071】
便蓋閉信号を受信した便器1は、その便蓋閉信号に基づいて、便蓋を閉める(図5、ステップS7)。
【0072】
尚、上記実施形態では、便器1内の温度や湿度を設定温度、設定湿度よりも低くする手段として空調装置としてのエアコン2を用いているが、この形態のものに限らず、適宜変更し得る。
【0073】
例えば空調装置を用いないで、便器1内の温度または湿度が設定温度、設定湿度以上になった場合に、便蓋5を開けて、温度及び湿度が設定温度、設定湿度よりも低くなるまで開けておき、低くなった場合に、制御部3が便蓋閉信号を生成して便蓋5に送信するようにして良い。
【0074】
又、空調装置を用いる場合、上記のようなエアコン2を用いる形態のものに限らず、例えば送風機によって温度と湿度を下げ、あるいは、送風機とエアコンとによって、更には、送風機とエアコンと除湿機等を組み合わせて温度と湿度を下げるようにしても良い。
【0075】
又、上記実施形態では、制御部3を、便器1やエアコン2と別途に設けたものとしているが、例えば便器1又はエアコン2に組み込んで付設したものとしても良い。
【0076】
又、上記実施形態では、稼動開始信号をエアコン2に送信した後、制御部3が空調効果有判定をした場合に、稼動停止信号を生成してエアコン2に送信することによってエアコン2の稼動を停止させているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0077】
例えば、トイレ室の温度又は湿度を検出するセンサを設け、所定の温度又は湿度になった場合に、制御部3がそのセンサの検出データに基づいて稼動停止信号を生成してエアコン2に送信してエアコン2が稼動を停止し、あるいは、エアコン2がそのセンサの検出データに基づいて稼動を停止するようにしても良い。
【0078】
又、上記実施形態では、エアコン2の室内機20の開口部20aから冷風を便器1内に向かって吹き出すようにしているが、例えば開口部20aから、便器1の上方側に吹き出すようにしても良い。ただし、開口部20aを、便器1内に向かって冷風を吹き出すようにしておけば、便器1内の温度及び湿度をより迅速に低くでき、その点でそのように構成しておくのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態の便器内の温湿度上昇抑制システムを施したトイレ室の概略図である。
【図2】同システムに用いられる便器の便蓋操作部を説明するためのブロック図である。
【図3】同システムに用いられる制御部を説明するためのブロック図である。
【図4】同システムに用いられるエアコンの稼動操作部を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明のシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】温度及び湿度と、便蓋及びエアコンの動作の説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 便器
2 エアコン(空調装置)
3 制御部
6 便蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便蓋の自動開閉機構を有する便器と、その便器に制御信号を送信し便蓋の開閉を制御する制御部とを備えた便器内の温湿度上昇抑制システムであって、
前記制御部は、前記便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低いか否かを判定する温湿度判定部を備え、この温湿度判定部によって、前記温度と湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くないとの判定をした場合に、その判定に基づいて、便器に便蓋開信号を送信することを特徴とする便器内の温湿度上昇抑制システム。
【請求項2】
前記温湿度判定部は、便器内に設けられて便器内の温度と湿度とを検出する検出センサによって検出された検出温度と検出湿度とに基づいて行うことを特徴とする請求項1記載の便器内の温湿度上昇抑制システム。
【請求項3】
前記便器が設置されたトイレ室に、制御部から制御信号を受信可能な空調装置が設けられ、
前記制御部は、前記便蓋開信号を送信してから設定時間経過後における便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりもよりも低くなったか否かを判定する開効果判定部を備え、この開効果判定部によって、前記設定時間経過後における便器内の温度と湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くない場合に、開効果判定をし、その開効果判定に基づいて、稼動開始信号を空調装置に送信し、
前記稼動開始信号を受信した空調装置は、トイレ室の温度と湿度との一方又は両方を前記設定温度、設定湿度以下にできるように稼動することを特徴とする請求項1又は2記載の便器内の温湿度上昇抑制システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記稼動開始信号送信後における便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低くなったか否かを判定する空調効果判定部を備え、この空調効果判定部によって、前記稼動開始信号送信後における便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりも低い場合に、空調効果有判定をし、その判定に基づいて、稼動停止信号を空調装置に送信するとともに、便蓋閉信号を便器に送信することを特徴とする請求項3記載の便器内の温湿度上昇抑制システム。
【請求項5】
便蓋が設けられているとともに、その便蓋の自動開閉操作を行い得る便器と、その便器に制御信号を送信し便蓋の開閉を制御する制御部とを用いて便器内の温湿度上昇を抑制する便器内温湿度上昇抑制方法であって、
前記制御部に、前記便器内の温度が設定温度よりも低く、且つ、湿度が設定湿度よりもよりも低いか否かを判定させ、前記温度と湿度との少なくとも一方が前記設定温度あるいは設定湿度よりも低くないとの判定をした場合に、その判定に基づいて、便器に便蓋開信号を送信させることを特徴とする便器内の温湿度上昇抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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