説明

便器洗浄装置及び便器洗浄システム

【課題】 既存の各種のロータンクに共通的に設置可能であり、封水の水位を低い状態に維持させる「お掃除モード」の動作も可能とした便器洗浄装置及び便器洗浄システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 ボールタップと排水弁とを有するロータンクに取り付け可能な便器洗浄装置であって、モータと、前記モータの出力を減速する減速手段と、前記減速手段からの出力軸と、を有するモータユニットと、前記出力軸に取り付け可能とされ、第1の接続手段により前記ボールタップに接続可能とされ、第2の接続手段により前記排水弁に接続可能とされ、前記出力軸の回転動作に対応して前記ボールタップと前記排水弁とを選択的に引き上げ可能とした動力伝達部材と、を備えたことを特徴とする便器洗浄装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器洗浄装置及び便器洗浄システムに関し、より詳細には、水洗便器のロータンクに取り付けて、ロータンクから水洗便器に洗浄水を自動供給可能とし、さらに便器の掃除に好適な動作も実行可能とした便器洗浄装置及び便器洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水洗式の大便器は、臭気の発生を抑制し、清潔且つ衛生的であるために、家庭用トイレ及び公共トイレに幅広く普及している。通常の水洗式大便器は、排水管の臭気の逆流や、使用時の汚物の付着を抑制するために、ボウル部に封水を保持する構造とされている。しかし、封水の吃水線に沿ってボウル面に水垢などが付着すると、見た目にも不衛生な印象を与える。これに対して、封水の吃水線の部分を掃除するために、洗剤をかけてブラシなどでこすろうとしても、洗剤が封水に薄まってしまい、洗浄が容易でない。また、封水がブラシなどで跳ねて清掃しにくいという問題もある。
【0003】
これに対して、便器に対して洗浄水を供給するタイミングを制御することにより、封水の水位を通常よりも下げた、いわゆる「お掃除モード」を実行可能とした水洗式大便器が開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−350578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、手動及び自動のいずれにても水洗便器に洗浄水を供給可能とした便器洗浄装置を開発している。この装置によれば、例えば、使用者がトイレの壁面などに設けられたリモコンのスイッチを操作することにより、便器に洗浄水を流すことができる。また、例えば、使用者が便座から立ち上がったことをセンサにより検知して、便器に自動的に洗浄水を流すことも可能である。
【0005】
このような自動式の便器洗浄装置において、封水の水位を低い状態に維持できる「お掃除モード」の機能を付加すると、使い勝手がさらによくなり、特に、便器の清掃をする主婦などに対してユーザフレンドリな便器洗浄装置を提供できる。
【0006】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能であり、封水の水位を低い状態に維持させる「お掃除モード」の動作も可能とした便器洗浄装置及び便器洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
ボールタップと排水弁とを有するロータンクに取り付け可能な便器洗浄装置であって、
モータと、前記モータの出力を減速する減速手段と、前記減速手段からの出力軸と、を有するモータユニットと、
前記出力軸に取り付け可能とされ、第1の接続手段により前記ボールタップに接続可能とされ、第2の接続手段により前記排水弁に接続可能とされ、前記出力軸の回転動作に対応して前記ボールタップと前記排水弁とを選択的に引き上げ可能とした動力伝達部材と、
を備えたことを特徴とする便器洗浄装置が提供される。
【0008】
上記構成によれば、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能であり、封水の水位を低い状態に維持させる「お掃除モード」の動作も可能とした便器洗浄装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、
ボールタップと排水弁とを有するロータンクに取り付け可能な便器洗浄装置であって、
モータと、前記モータの出力を減速する減速手段と、前記減速手段からの第1の出力軸と、前記減速手段からの第2の出力軸と、を有するモータユニットと、
前記第1の出力軸に取り付け可能とされ、第1の接続手段により前記ボールタップに接続可能とされ、前記第1の出力軸の回転動作に対応して前記ボールタップを引き上げ可能とした第1の動力伝達部材と、
前記第2の出力軸に取り付け可能とされ、第2の接続手段により前記排水弁に接続可能とされ、前記第2の出力軸の回転動作に対応して前記排水弁を引き上げ可能とした第2の動力伝達部材と、
を備えたことを特徴とする便器洗浄装置が提供される。
【0010】
上記構成によっても、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能であり、封水の水位を低い状態に維持させる「お掃除モード」の動作も可能とした便器洗浄装置を提供することができる。
【0011】
ここで、前記ボールタップが引き上げられる時は、前記排水弁は引き上げられず、
前記排水弁が引き上げられる時は、前記ボールタップは引き上げられないものとすれば、「サイホン現象」を生じさせた後に、ロータンクへの給水を停止して「お掃除モード」を確実且つ容易に実現できる。
【0012】
また、前記接続手段は、玉鎖であるものとすれば、既設の各種のロータンクに容易に取り付け可能であり、且つ、引き上げのための動力を確実に伝達できる。
【0013】
一方、本発明のさらに他の一態様によれば、上記のいずれかの便器洗浄装置と、
前記便器洗浄装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記排水弁を引き上げた後に、前記ボールタップを引き上げた状態を維持する動作モードを実行可能としたことを特徴とする便器洗浄システムが提供される。
【0014】
上記構成によれば、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能であり、封水の水位を低い状態に維持させる「お掃除モード」の動作も可能とした便器洗浄装置を提供することができる。
【0015】
ここで、前記ボールタップを引き上げた状態を、一定の時間維持するものとすれば、便器の排水トラップの水位が低い状態を維持でき、確実且つ容易に清掃できる。
また、前記ボールタップを引き上げた状態を、使用者の指示により解除するものとすれば、使用者が望みの時間だけ清掃を実施し、しかる後に「お掃除モード」を解除でき、使い勝手に優れる。
【0016】
また、前記ボールタップを引き上げた状態に維持するために前記モータユニットに供給される制御信号は、PWM信号を含むものとすれば、ホールド動作が長時間に亘ってもモータの加熱などを防ぐことができる。
【0017】
また、前記ボールタップを引き上げた状態に維持するために、前記モータユニットへの電力の供給を停止し前記モータの短絡ブレーキを発生させるものとすれば、ホールドに際してモータの加熱などを防ぐことができる。
【0018】
また、前記ボールタップを引き上げた状態を維持した後に、前記排水弁を引き上げるものとすれば、清掃した後の廃水を清浄な洗浄水により置換でき、清潔である。
【0019】
また、前記制御部が便座に付設されたものとすれば、独立した制御部を手洗い室の中に設置する必要がなくなり、コンパクト且つ見栄えよく、また配線の引き回しなども不要な便器洗浄システムを実現できる。
【0020】
また、前記便座は、使用者の局部を水または温水により洗浄する局部洗浄装置も有するものとすれば、局部洗浄装置と電源部などを共有でき、同時に、局部洗浄機能も付加された高機能の自動便器システムが実現できる。
【発明の効果】
【0021】
以上詳述したように、本発明によれば、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能であり、便器の封水面を低い状態に維持させる動作を可能とした便器洗浄装置及び便器洗浄システムを提供できる。その結果として、ユーザは、ロータンクを買い換えることなく低コストで電動洗浄を利用でき、且つ便器の清掃も容易できるという恩恵に浴することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる便器洗浄装置を水洗便器のロータンクに取り付けた状態を例示する模式図である。
【0023】
また、図2は、このロータンクの内部を上方から眺めた模式図である。
すなわち、便器洗浄装置のモータユニット10はロータンク200に取り付けられ、制御部(図示せず)と接続コード76により接続されている。図示しない制御部は、例えば、温水洗浄便座装置(商標名「ウォシュレット」などとして普及している)などに内蔵させることが可能である。
モータユニット10はモータを内蔵し、その動作は、例えば、リモコン510により制御可能とすることができる。この場合、リモコン510は、モータユニット10について専用のものであってもよく、あるいは、温水洗浄便座装置のリモコンなどと兼用してもよい。
【0024】
モータユニット10には、シャフト82が適宜取り付けられ、その先端に玉鎖レバー84が取り付けられている。玉鎖レバー84は、矢印AまたはBの方向に回転することにより、玉鎖220、260を介して排水弁240、ボールタップをそれぞれ引き上げる。また、操作ハンドル100を手動で回転させることによっても、玉鎖レバー84を回転させることができる。
【0025】
図3は、玉鎖レバーをその正面から眺めた模式図である。
すなわち、玉鎖レバー84は、シャフト82を中心として矢印A及びBの方向にそれぞれ回転する。玉鎖レバー84が矢印A方向に回転すると、玉鎖220を介して排水弁240が矢印Cの方向に引き上げられる。また、玉鎖レバー84が矢印Bの方向に回転すると、玉鎖260を介してボールタップを矢印Dの方向に引き上げる。なお、玉鎖レバー84は必ずしも対称形状とする必要はない。すなわち、シャフト82の回転中心から玉鎖220の取り付け位置までの距離と、シャフト82の回転中心から玉鎖260の取り付け位置までの距離と、は、それぞれに必要とされる引き上げストロークに応じてそれぞれ別々に設定することができる。
【0026】
図4は、ロータンクの内部構造を例示する模式図である。
すなわち、ロータンク200の底部には、玉鎖220により引き上げられる排水弁240が排水フランジ242と対向して設けられている。玉鎖220の途中にはフロート222が設けられ、また、排水フランジ242には、オーバーフロー管244が接続されている。排水弁240が開くことにより、ロータンク200内の洗浄水WLは排水フランジ242を介して水洗便器に排出される。一方、オーバーフロー管244は、その先端に開口が設けられ、ロータンク200内の洗浄水WLの水位が何らかの原因で上昇しすぎた場合に、排水フランジ242を介して水洗便器に放流することにより、ロータンク200からの溢水を防止する役割を有する。ここで、図4は、ロータンク200が満水の状態を表す。この時、ロータンク200内に貯留された洗浄水WLの水位は、通常は、オーバーフロー管244の先端に設けられた開口よりもやや低い位置にある。
一方、ロータンク200の上方には、給水バルブ266が設けられている。給水バルブは、外部から水道などを介して供給される給水P1をロータンク内に給水P2としてロータンク内に供給する。またさらに、多くの場合、外部から供給される給水P1の一部は、給水バルブ266を介してオーバーフロー管244にも給水P3として供給されるが、この給水経路は、図面の簡略化のために図示を省略した。
給水バルブ266には、レバー264を介してフロート262が接続されている。ロータンク200内に貯留される洗浄水WLの水位に応じてフロート262の位置が変化すると、給水バルブ266が開閉する。図4に表したように、ロータンク200が満水の状態においては、フロート262の位置に対応して給水バルブ266は閉状態となる。一方、ロータンク200内の水位が低下すると、フロート262の位置の低下に対応して給水バルブ266は開状態となり、洗浄水P2、P3が供給される。なお、これら給水バルブ266、レバー264、フロート262を合わせて、「ボールタップ」と呼ばれる。
【0027】
そして、本実施形態においては、図1及び図2に例示した如くモータユニット10がロータンク200に取り付けられ、その先端に取り付けられた玉鎖レバー84により、排水弁240と、ボールタップと、がそれぞれ引き上げられる。すなわち、玉鎖レバー84の一端が矢印Cの方向に回転すると、玉鎖220を介して排水弁240が引き上げられる。一方、玉鎖レバー84の一端が矢印Dの方向に回転すると、玉鎖260を介して排水弁240が引き上げられる。なお、図4及びそれ以降に挙げる各図面において、玉鎖レバー84と、排水弁240やボールタップと、の配置関係は、必ずしも現実の通りではない。すなわち、玉鎖レバー84を、図4に表したように紙面に対して略平行に配置するかわりに、紙面に対して略垂直な方向に配置してもよい。また、その位置についても、図4に例示したようにロータンク200の中心軸の付近に設けてもよく、あるいはいずれかの側面に接近させて設けてもよい。
【0028】
また、本願明細書において、「ボールタップ」を「引き上げる」とは、フロート262あるいはレバー264の少なくともいずれかについて、その降下を抑止した状態におくことをいう。すなわち、図4に例示したように、玉鎖260には、所定の「たるみ」が設けられている。これは、後に詳述するように、通常の洗浄動作に際しては、ロータンク200内の洗浄水WLの水位の低下に伴い、フロート262も降下して給水バルブ266を開状態とするためである。そして、玉鎖レバー84の一端が矢印Dの方向に回転した時には、玉鎖260の「たるみ」の量が少なくなり、ロータンク200内の洗浄水WLの水位が低下しても、フロート262(レバー264)は玉鎖260に引っ張られて降下しない。つまり、給水バルブ266の閉状態が維持される。
【0029】
以下、本実施形態において、ロータンク200内で実行される動作について説明する。 図5及び図6は、通常の洗浄動作を例示する模式図である。
すなわちまず、図5(a)に表したように、ロータンク200が満水の状態において、モータユニット10が動作し玉鎖レバー84が回転することによりその一端が矢印Cの方向に上昇すると、玉鎖220を介して排水弁240が引き上げられる。すると、ロータンク200内の洗浄水は排水フランジ242を介して排出され、洗浄水Sが便器に供給される。なお、この時、玉鎖220の引き上げ量を調節することにより、いわゆる「大洗浄」と「小洗浄」とを区別することも可能である。
すなわち、玉鎖220を大きく引き上げて排水弁240の開度を大きくした場合には、排水弁240の2次側(便器側)も洗浄水により満たされる。すると、排水弁の1次側と2次側とで圧力差が小さくなり、図5(b)に表したように、玉鎖レバー84を元の状態に戻しても、フロート222の浮力によって排水弁240は開状態が維持される。その結果として、ロータンク200内の洗浄水WLのほぼ大半が排出され、「大洗浄」が実施される。
【0030】
一方、玉鎖220をわずかに引き上げて排水弁240の開度を小さくした場合には、排水弁240の2次側は大気圧に近い状態が維持されるため、2次側に比べて1次側の水圧のほうが高い。従って、玉鎖220を元に戻すと、排水弁240は水圧によって閉じる。つまり、玉鎖220を引き上げている間だけ少量の洗浄水を流すことができ、「小洗浄」が実施される。
【0031】
そして、これらいずれの場合も、図5(b)に表したように、ロータンク200内の洗浄水WLの水位が低下すると、フロート262が降下して給水バルブ266が開状態となる。つまり、給水P2、P3が供給される。なおこの時、玉鎖260には、所定の「たるみ」を設けてあるので、フロート262の降下が阻止されることはない。
【0032】
次に、図6(a)に表したように、ロータンク200内の洗浄水WLの水位がさらに低下すると、排水弁240は閉じて、給水P2によりロータンク200内の洗浄水WLの水位が上昇し始める。なお、この状態よりも前に、玉鎖レバー84は矢印C’の方向に回転して定常状態に戻っている。この時も、玉鎖260には、所定の「たるみ」を設けてあるので、フロート262の降下が阻止されることはない。
【0033】
そして、図6(b)に表したように、ロータンク200内の洗浄水WLの水位は上昇を続け、最終的に、図5(a)に表した状態になると、給水バルブ266が閉状態となり、給水P2、P3が停止する。なお、図6(a)に表した状態から図6(b)に表した状態を経て図5(a)に表した状態になるまでの間にオーバーフロー管244に供給された給水P3は、そのまま便器に流され、封水の水位を通常レベルに復帰させる。
【0034】
図7及び図8は、図5及び図6に関して前述した動作に対応して水洗便器で生ずる水流を例示する模式図である。
定常状態においては、図7(a)に表したように、便器300のボウル部350に洗浄水が満たされた状態が維持されている。この時、洗浄水の水位は、排水管に連通する排水トラップ370の上端とほぼ等しい。そして、仕切板360により排水管とは遮断され、臭気の逆流などが阻止される。
【0035】
この状態から、「大洗浄」が開始されると、ロータンク200から供給された洗浄水は、図7(b)に矢印S1で例示したように、リム通水路340を介してリム吐水孔342からボウル部350に供給される。また、図示したように、ボウル部350に開口したジェット噴出口330を設け、ロータンク200から供給される洗浄水の一部をこのジェット噴出口330から矢印S2の如く放出させてもよい。
【0036】
このように便器300に洗浄水S1、S2を供給すると、排水トラップ370の堰を超えて排水管に向かう流れが生ずる。図7(c)に表したように、この水流が排水トラップ370の上部空間を充填すると、いわゆる「サイホン現象」が生ずる。すなわち、図7(c)に矢印Eで表したように、ボウル部350に貯留された洗浄水が汚物とともに一気に排水管に排出される。
【0037】
サイホン現象が生じた後には、図8(a)に表したように、排水トラップ370を超えなかった洗浄水がボウル部350に戻って、その水位は、仕切板360の下端と同程度あるいはやや上となる。そして、洗浄水S1、S2が供給されることにより、ボウル部350の水位は徐々に上昇し、図8(b)に表した状態を経て、図8(c)に表したように、通常の水位レベルに戻る。なお、図6に関して前述したように、ロータンク200の排水弁240が閉じた後は、オーバーフロー管244に供給される給水P3が洗浄水S1、S2として供給される。
【0038】
以上説明したように、モータユニット10を動作させて玉鎖レバー84を矢印Cの方向に所定の時間だけ回転させると、ロータンク200内の排水弁240が開いて、洗浄水を流すことができる。この一連の動作に際して、玉鎖260に所定の「たるみ」を設けておけば、ボールタップのフロート262の降下を妨害することはなく、給水バルブ266の開動作も円滑に生じさせることができる。
【0039】
次に、本実施形態の便器洗浄装置により実施される「お掃除モード」の動作について、説明する。
図9及び図10は、「お掃除モード」においてロータンク200内で実行される動作を例示する模式図である。
すなわち、「お掃除モード」においても、まず図9(a)に表したように、ロータンク200が満水の状態において、モータユニット10が動作し玉鎖レバー84が回転することによりその一端が矢印Cの方向に上昇し、玉鎖220を介して排水弁240が引き上げられる。すると、ロータンク200内の洗浄水は排水フランジ242を介して排出され、洗浄水Sが便器に供給される。なお、この時、玉鎖220の引き上げ量は大きく、排水弁240は、「大洗浄」に相当する開度で開かれる。
【0040】
次に、図9(b)に表したように、モータユニット10が動作し玉鎖レバー84が回転することによりその他端が矢印Dの方向に上昇し、玉鎖260を介してボールタップが引き上げられる。つまり、フロート262あるいはレバー264を上方に引き上げることにより、これらの降下を阻止する。この結果として、洗浄水WLの水位は低下するにも拘わらず、給水バルブ266は、閉状態に維持される。またこの時、図5(b)に関して前述したように、排水弁240は、開いた状態を維持する。従って、ロータンク200内の洗浄水WLは、便器に排出され続ける。
【0041】
そして、図10(a)に表したように、ロータンク200内の洗浄水WLの水位が下限に達すると、排水弁240が閉じる。この時、ボールタップは、玉鎖260を介して矢印Dの方向に引き上げられた状態が維持されている。つまり、給水バルブ266は、閉状態を維持する。この状態において、便器のボウル部に貯留された洗浄水の水位は、最低のレベルまで低下し、吃水線が露出する。従って、この状態を所定の時間、維持することにより、ボウル部の掃除が可能となる。
【0042】
図10(a)の状態において所定の時間が維持したら、あるいは、使用者のスイッチ操作などにより、玉鎖レバー84は、初期状態に戻される。すなわち、図10(b)に表したように、玉鎖レバー84の回転により、その他端が矢印D’の方向に降下する。すると、フロート262及びレバー264の自重により、これらは降下し、給水バルブ266が開状態となる。その結果として、給水P2によりロータンク200内の洗浄水WLの水位が上昇する。また同時に、給水P3がオーバーフロー管244を介して便器に供給され、封水の水位を通常の状態まで上昇させる。この後、図4に例示したように、ロータンク200が満水の状態になると、給水バルブ266が閉状態となり、給水P2、P3が停止される。
【0043】
図11及び図12は、「お掃除モード」における便器の水位の変化を表す模式図である。 すなわち、排水弁240の開放にともない、図11(a)乃至(c)に表したように、便器300において「サイホン現象」が引き起こされる。その結果として、図12(a)に表したように、ボウル部350の水位は、下限レベル近くまで低下する。
【0044】
ただし、この時、図10(a)に関して前述したように、ボールタップが玉鎖レバー84により引き上げられた状態にあるため、排水弁240が閉じると、便器300への洗浄水の供給は停止され、図12(a)に表したように水位が低い状態が維持される。
【0045】
この状態において、ボウル部350に洗剤をふりかけ、ブラシなどで汚れをこすり落とすことができる。ボウル部の下半部350Cは、通常であれば、封水の吃水線よりも下にあり、洗剤を直接振りかけることができない。これに対して、本実施形態においては、この下半部350Cを露出させ、洗剤を直接ふりかけて、ブラシなどで十分に清掃できる。しかも、この時、封水が跳ねることも少ない。
【0046】
図10(a)に関して前述したように、所定の時間が経過し、あるいは使用者のスイッチ操作などによって、玉鎖レバー84が初期状態に戻ると、ボールタップが動作して、図12(b)に表したように、便器300に洗浄水S1、S2が供給される。なお、これら洗浄水S1、S2は、オーバーフロー管244を介して供給される。そして、ロータンク200が満水になると給水が停止され、図12(c)に表したように、ボウル部350の水位レベルも通常の状態に戻る。
【0047】
図13は、以上説明した「お掃除モード」における動作を例示するフローチャートである。
すなわち、まず、ステップS101において排水弁240を引き上げて、便器300に洗浄水を流し、「サイホン現象」を生じさせる。
次に、ステップS102において、ボールタップを引き上げて、給水バルブ266を閉状態とする。
そして、ステップS103において、この状態を所定の時間、あるいは使用者の指示があるまで保持する。
その後、ステップS104において、ボールタップを解除し、給水バルブ266を開状態とする。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、玉鎖レバー84を適宜回転させてボールタップを引き上げることにより、便器300のボウル部に残留する洗浄水の水位を最低のレベルに維持することができる。その結果として、排水トラップ350の清掃を確実且つ容易に実施でき、使い勝手のよい便器洗浄装置を提供できる。
【0049】
図14は、本実施形態の「お掃除モード」における動作の変型例を表すフローチャートである。
すなわち、本変型例においても、ステップS101乃至S104においては、図13に関して前述したものと同様の動作をさせる。しかる後に、ロータンク200が満水状態となったら、ステップS105において、排水弁を再度引き上げる。この動作により、便器300に再び洗浄水が流し、「サイホン現象」を生じさせる。このようにすると、「お掃除モード」においてボウル部350に溜まっている清掃ずみの汚れた洗浄水を清浄な洗浄水により置換し、またボウル面を洗浄水で流すことにより、便器300がさらに清浄な状態になる。
【0050】
以下、本実施形態に用いて好適なモータユニット10の具体例について説明する。
【0051】
図15は、本具体例の便器洗浄装置の要部を表す斜視図である。
すなわち、このモータユニット10は、螺合突出部20と、駆動部40と、を有する。螺合突出部20の先端には、シャフト22が突出している。一方、駆動部40のタンク内向面には、第1の出力軸70と第2の出力軸72とが設けられている。図1乃至図14に関して前述した玉鎖レバー84は、これら出力軸70、72のいずれかに取り付けることができる。
【0052】
また、第1の出力軸70が出力する回転トルクと、第2の出力軸72が出力する回転トルクは、互いに異なるものとすることもできる。後に説明するように、これら第1及び第2の出力軸70、72を適宜使い分けることにより、排水弁240とボールタップとをそれぞれ引き上げることも可能である。
【0053】
また、駆動部40には、制御部500との間で信号などを授受するための接続用コード76が接続されている。
【0054】
ロータンクの外側に突出するシャフト22には、操作ハンドル100(図1参照)が装着される。この操作ハンドルを手動により操作した場合にも、シャフト22を介して手動回転トルクが出力軸70、72にそれぞれ伝達される。この際に、駆動部40に内蔵されるモータのコギングトルクの付加を防ぐため、モータの動作軸に所定の空転角を与えたり、またはクラッチ機構などを付加するとよい。この点については、本発明者らが先に出願した特願2002−292508号に記載した構成を採用することができる。
【0055】
次に、本実施例のモータユニット10の内部構造について具体例を挙げて説明する。
図16は、本実施例の便器洗浄装置の内部構造を模式的に表した概念図である。なお、同図は、動力伝達関係を説明するための概念図であり、各要素の寸法や配置関係などは、必ずしも実際の通りとは限らない。
【0056】
本実施例のモータユニット10の内部には、駆動源であるモータ42と、減速・伝達手段として5段のギア43〜51が設けられている。これらは、樹脂などからなる筺体41の中に収容されている。4段目のギア49の回転トルクが第1の出力軸70に出力される。また、5段目のギア51により、第2の出力軸72は第1の出力軸70と同方向に回転される。
モータ42として、DC24ボルトで動作するブラシ型の高速モータを用いた場合、1段目43から4段目49までの減速比は、およそ1/100程度とすることができる。
【0057】
手動入力端となるシャフト22と、第1の出力軸70とは直結されている。そして、シャフト22には、シャフトリターンスプリング52が設けられ、中立状態に付勢される。同様に、4段目のギア46にはギアリターンスプリング53が設けられ、中立状態に付勢される。
また、操作ハンドル100を用いた手動操作の際にモータ42のコギングトルクの付加を防ぐため、4段目のギア49は、シャフト22に対して所定の空転角をもって結合されている。
【0058】
図17は、4段目のギア49とシャフト22との結合断面を表す模式図である。すなわち、4段目のギア49の内心にシャフト22が配置されている。シャフト22は、前述したように操作ハンドル100及び第1の出力軸70に結合されている。そして、これらシャフト22の外面とギア49の内面には、凸部22P、49Pがそれぞれ設けられている。図4は、中立状態を表し、この状態から矢印の方向にシャフト22(すなわち操作ハンドル100)を回転させた場合、その凸部22Pがギア49の凸部49Pと当接するまでの範囲においては、ギア49とは独立に回転させることができる。つまり、この範囲においては、シャフト22は、モータ42のコギングトルクや、ギアリターンスプリング53の付加を受けることなく、回転させることができる。このようにして、操作ハンドル100による手動操作を軽快に行うことができる。
【0059】
一方、モータ42により駆動させる際には、図17に表した中立状態からギア49が矢印のいずれかの方向に空転し、その凸部49Pがシャフト22の凸部22Pに当接すると、シャフト22に結合されてトルクが出力軸に伝達される。つまり、凸部49Pが凸部22Pに当接するまでの範囲が空転角として設けられている。
【0060】
次に、このようなモータユニット10を駆動させるドライバ回路について説明する。
図18は、モータユニット10のモータ42を駆動させるドライバ回路を例示する模式図である。すなわち、このドライバ回路は、例えば、便器300に設置される温水洗浄便座装置に内蔵される。
【0061】
図18に例示したドライバ回路は、モータ42の回転方向及び回転量を制御するためのスイッチング素子Tr1〜Tr4と、過電流がモータ42に流れることを防止するための正特性サーミスタ71dと、駆動部520やリモコン510などに内蔵されるCPUなどにブレーキ制御時の逆起電力などが印加されないようにするためのダイオードd1とd2、及びブレーキ制御時の電流経路を形成するためのダイオードd3とd4と、を有する。
【0062】
例えば、モータ42を正転させる時は、スイッチング素子Tr1とTr4をオン状態とし、Tr2とTr3をオフ状態とし、反転させる時には、Tr1とTr4をオフ状態とし、スイッチング素子Tr2とTr3をオン状態とする。
一方、モータ42に対して強いブレーキをかける場合には、スイッチング素子T3かTr4のいずれかをオン状態とし他のスイッチング素子はオフ状態とする。例えば、モータ42を所定の量だけ回転させた後に、このようにしてブレーキをかけた場合、モータユニット10に内蔵されたギアリターンスプリング53及びシャフトリターンスプリング52の付勢力により、モータ42のシャフトが回転され、図17に表した中立位置に戻ろうとする。この時、モータ42は発電機として作用するため、その電流誘導磁場による回生ブレーキが働く。また、ダイオードd1とd2を設けることにより、この逆起電力が制御部500などに内蔵されるCPUなどに印加されることを防止できる。
【0063】
また一方、弱いブレーキをかける場合には、全てのスイッチング素子Tr1〜Tr4をオフ状態とすればよい。すなわち、この場合にはモータ42のコギングトルクによるブレーキ作用が得られる。
【0064】
このようにスイッチング素子Tr1〜Tr4を適宜オン状態とする場合、パルス幅変調方式(PWM:pulse width modulation)によりデューティ(duty)制御することができる。
【0065】
図19は、PWM制御された通電波形を例示する模式図である。
すなわち、スイッチング素子Tr1〜Tr4のそれぞれを駆動させる場合、図19に例示したようなパルス状の通電波形(例えば、DC24ボルト)により回転速度を制御することができる。例えば、正転あるいは逆転時には、周期Gを1ミリ秒(PWM駆動周波数1kHz)とし、ブレーキ時には周期Gを8ミリ秒(PWM駆動周波数125Hz)とすることができる。ここで、「ON−duty H%」とは、1周期(Gミリ秒)中に占めるオン状態の期間がH%であることを表す。例えば、G=1ミリ秒、H=30%であれば、1周期中に0.3ミリ秒(1ミリ秒×30%)だけオン状態にあることを表す。
【0066】
以下、動作モードに応じてモータ42の駆動方式を適宜切り替える具体例について説明する。
図20は、通常の「大洗浄」を実施する時のモータ42の駆動方式を例示するフローチャートである。
すなわち、図5(a)あるいは図9(a)に関して前述したように、排水弁240を開く時には、モータユニット10の出力軸を所定の方向に1秒間程度回転させればよい。この場合には、デューティを100%としてモータ42を駆動させることができる。この時、モータ42には最大駆動力が与えられ、迅速に出力軸を回転させて「大洗浄」を実施することができる。
【0067】
これに対して、図9(b)及び図10(a)に関して前述したように、ボールタップを一定の時間、引き上げてホールドする動作を実施する場合、デューティを100%として連続的な駆動電流をモータ42に供給し続けてもよいが、ホールド期間中にモータ42が発熱する場合もあり得る。このような場合には、PWM制御により供給電力を制御することが望ましい。
【0068】
図21は、PWM制御を導入して所定の時間のホールド動作を実施する具体例を表すフローチャートである。
この場合、まず、ステップS22及びS23において、デューティ100%とした駆動を時間T1の間だけ実施する。これにより、モータユニット10の出力軸は迅速にホールド位置まで回転され、玉鎖260を引き上げる。しかる後、ステップS24及びS25において、PWM制御によるモータ駆動が実行される。すなわち、ステップS24における駆動デューティは、モータ42がシャフトリターンスプリング52やギアリターンスプリング53の付勢力に対抗して小洗浄状態にバルブを開けた状態を維持できる程度の電力を与えれるものとすればよい。具体的には、例えば、ステップS24における駆動デューティを80%とすることができる。このようにすれば、ボールタップを引き上げた状態を時間T2の間ホールドしても、モータ42の加熱を防ぐことができる。
【0069】
またさらに、モータ42をブレーキ制御することによりボールタップを引き上げた状態に保持するホールド動作を実行させてもよい。
図22は、強ブレーキ制御を導入した小洗浄ホールド動作を表すフローチャートである。 すなわち、まず、ステップS32及びS33において、デューティ100%とした駆動を時間T1の間実施して、モータユニット10の出力軸をボールタップのホールド位置まで迅速に回転させる。しかる後に、ステップS34及びS35において、スイッチング素子Tr3またはTr4をオン状態とすることにより、強い回生ブレーキ制御を実行する。すると、モータ42は、シャフトリターンスプリング52やギアリターンスプリング53の付勢力に対抗したブレーキ制御により、ゆっくりと中立状態(図17に表した状態)に戻る。従って、ロータンクの給水バルブを閉状態に維持することができ、実質的にホールド動作と同様の動作を実現できる。しかも、この場合にも、ステップS34及びS35の期間は、モータ42に外部からの電力が供給されないので加熱することはない。
【0070】
図23は、強ブレーキ制御をデューティ制御によりボールタップのホールドを実施する具体例を表すフローチャートである。
すなわち、ステップS44において強ブレーキをかける際に、スイッチング素子Tr3またはTr4を図19に例示したようにデューティ制御によりオン状態とする。デューティを適宜選択することにより、ブレーキ力を細かく制御でき、モータユニット10の出力軸が中立状態(図17に表した状態)に戻るまでの速度を適宜制御できる。これにより、ボールタップを引き上げた状態を保持することも可能となる。
【0071】
図24は、コギングトルクによる弱いブレーキ制御を導入したホールド制御を表すフローチャートである。
すなわち、ステップS52及びS53において、デューティ100%とした駆動を時間T1の間実施して、モータユニット10の出力軸をボールタップの引き上げ位置まで迅速に回転させた後、ステップS54においてスイッチング素子Tr1〜Tr4をすべてオフ状態とし、モータ42のコギングトルクによる弱いブレーキ制御を実行する。この場合にも、モータ42は、シャフトリターンスプリング52やギアリターンスプリング53の付勢力に対抗したブレーキ制御により、ゆっくりと中立状態(図17に表した状態)に戻る。従って、ボールタップを引き上げた状態を維持し続けることができ、実質的にホールド動作を実現できる。図22に表した強いブレーキ制御とするか、それとも図24に表した弱いブレーキ制御とするかは、リターンスプリング52、53の付勢力や、ホールド動作に必要な時間などを勘案して適宜決定することができる。
【0072】
また、図25は、弱いブレーキ制御をデューティ制御により実施する具体例を表すフローチャートである。すなわち、ステップS64において、スイッチング素子Tr1〜Tr4を図19に表したようにデューティ制御によりオフ状態とする。この場合にも、デューティを適宜選択することにより、ブレーキ力を細かく制御でき、モータユニット10の出力軸が中立状態(図17に表した状態)に戻るまでの速度を適宜制御できる。これにより、ボールタップのホールド動作の時間を適宜設定することが可能となる。
【0073】
次に、本実施形態のさらなる変型例について説明する。
図26は、本変型例におけるモータユニット10の使用態様を例示する模式図である。 すなわち、本変型例においては、第1の出力軸70と第2の出力軸72に、玉鎖レバー85、87をそれぞれ取り付ける。そして、これら玉鎖レバー85、87により、玉鎖220、260をそれぞれ引き上げる。図16に関して前述したように、第1の出力軸70と第2の出力軸72とは、同一方向に回転する。つまり、図17に例示した如く、互いに反対方向に延伸するように、玉鎖レバー85、87を取り付けると、これら一方の先端が上昇した時には、他方の先端は降下する。つまり、これら玉鎖レバー85、87の先端は、図3に例示した玉鎖レバー84の両端と同様に、相補的な動作をする。
【0074】
従って、例えば、玉鎖レバー85によって、図9(a)に例示したように排水弁240を引き上げた後に、玉鎖レバー87によって、図9(b)あるいは図10(a)に例示したように、ボールタップを引き上げて保持することが可能となる。
【0075】
その結果として、図1乃至図14に関して前述した実施形態と同様に、「お掃除モード」を確実且つ容易に実施でき、使い勝手のよい便器洗浄装置及び便器洗浄システムを提供できる。
【0076】
なお、図15乃至図17に関して前述した具体例の便器洗浄装置を用いた場合には、操作ハンドル100(図1参照)を操作することによっても、「お掃除モード」を実現可能である。
すなわち、操作ハンドル100を「大洗浄」の方向にまわして洗浄水を流した後に、反対方向に回して保持すると、ボールタップを引き上げた状態に維持できる。従って、この状態において、図12(a)に例示したように、便器のボウル部の水位が低い状態に維持でき、ボウル面の清掃を確実且つ容易に実施できる。また、この際に、操作ハンドル100を「大洗浄」とは反対の方向に回転させた状態で固定できるロック機構を設けると、使用者の両手が自由となり、使い勝手に優れる。このためには、例えば、操作ハンドル100を回転させた状態で、その回転軸に対して平行な方向に押すことにより、あるいは引っ張ることにより、回転状態でロックできる機構などを設ければよい。
【0077】
図27は、温水洗浄便座から便器洗浄装置の制御を実施する便器洗浄システムを例示する模式図である。
また、図28は、モータユニット10と温水洗浄便座400との接続を例示する模式図である。
【0078】
すなわち、便器300の上に設けられた温水洗浄便座400の背面に接続口402が設けられている。そして、ロータンク200の中に収容された便器洗浄装置10に接続された接続コード76は、ロータンク200の背面に設けられた空気抜き穴290から引き出され、その先端の接続プラグ78が便座400の接続口402に接続される。
【0079】
温水洗浄便座400には、図示しない駆動部が内蔵され、例えば、DC24ボルトの駆動信号を適宜供給することより、モータユニット10の動作を適宜制御することができる。つまり、使用者は、温水洗浄便座400のリモコンに付設された操作スイッチなどを操作することによって、洗浄水を便器に流したり、「お掃除モード」を実行させることができ、非常に便利である。
【0080】
以上具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
すなわち、本発明の便器洗浄装置及び便器洗浄システムを構成する要素について当業者が設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。
【0081】
例えば、モータユニット10の外形状、サイズ、内蔵するモータやギアなどの数やそれらの減速比、あるいはこれらの配置関係などについては、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の要旨を含む限り本発明の範囲に包含される。
また、便器洗浄システムを構成する制御部、操作部やリモコンなどの形状や構造あるいはそれらの配置関係についても、当業者が適宜設計変更を加えたものも本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる便器洗浄装置を水洗便器のロータンクに取り付けた状態を例示する模式図である。
【図2】図1のロータンクの内部を上方から眺めた模式図である。
【図3】玉鎖レバーをその正面から眺めた模式図である。
【図4】ロータンクの内部構造を例示する模式図である。
【図5】通常の洗浄動作を例示する模式図である。
【図6】通常の洗浄動作を例示する模式図である。
【図7】図5及び図6に関して前述した動作に対応して水洗便器で生ずる水流を例示する模式図である。
【図8】図5及び図6に関して前述した動作に対応して水洗便器で生ずる水流を例示する模式図である。
【図9】「お掃除モード」においてロータンク200内で実行される動作を例示する模式図である。
【図10】「お掃除モード」においてロータンク200内で実行される動作を例示する模式図である。
【図11】「お掃除モード」における便器の水位の変化を表す模式図である。
【図12】「お掃除モード」における便器の水位の変化を表す模式図である。
【図13】「お掃除モード」における動作を例示するフローチャートである。
【図14】本実施形態の「お掃除モード」における動作の変型例を表すフローチャートである。
【図15】本発明の具体例の便器洗浄装置の要部を表す斜視図である。
【図16】本発明の実施例の便器洗浄装置の内部構造を模式的に表した概念図である。
【図17】4段目のギア49とシャフト22との結合断面を表す模式図である。
【図18】モータユニット10のモータ42を駆動させるドライバ回路を例示する模式図である。
【図19】PWM制御された通電波形を例示する模式図である。
【図20】大洗浄を実施する時のモータ42の駆動方式を例示するフローチャートである。
【図21】PWM制御を導入してホールド動作を実施する具体例を表すフローチャートである。
【図22】強ブレーキ制御を導入したホールド動作を表すフローチャートである。
【図23】強ブレーキ制御をデューティ制御により実施する具体例を表すフローチャートである。
【図24】コギングトルクによる弱いブレーキ制御を導入したホールド制御を表すフローチャートである。
【図25】弱いブレーキ制御をデューティ制御により実施する具体例を表すフローチャートである。
【図26】本発明の変型例におけるモータユニット10の使用態様を例示する模式図である。
【図27】温水洗浄便座から便器洗浄装置の制御を実施する便器洗浄システムを例示する模式図である。
【図28】モータユニット10と温水洗浄便座400との接続を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0083】
10 モータユニット
20 螺合突出部
22 シャフト
40 駆動部
41 筺体
42 モータ
43〜51 ギア
49P 凸部
52、53 ギアリターンスプリング
70、72 出力軸
71d 正特性サーミスタ
76 接続コード
82 シャフト
84、85、87 玉鎖レバー
100 操作ハンドル
200 ロータンク
220 玉鎖
222 フロート
240 排水弁
242 排水フランジ
244 オーバーフロー管
260 玉鎖
262 フロート
264 レバー
266 給水バルブ
300 便器
330 ジェット噴出口
340 リム通水路
342 リム吐水孔
350 ボウル部
360 仕切板
370 排水トラップ
500 制御部
510 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールタップと排水弁とを有するロータンクに取り付け可能な便器洗浄装置であって、
モータと、前記モータの出力を減速する減速手段と、前記減速手段からの出力軸と、を有するモータユニットと、
前記出力軸に取り付け可能とされ、第1の接続手段により前記ボールタップに接続可能とされ、第2の接続手段により前記排水弁に接続可能とされ、前記出力軸の回転動作に対応して前記ボールタップと前記排水弁とを選択的に引き上げ可能とした動力伝達部材と、
を備えたことを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
ボールタップと排水弁とを有するロータンクに取り付け可能な便器洗浄装置であって、
モータと、前記モータの出力を減速する減速手段と、前記減速手段からの第1の出力軸と、前記減速手段からの第2の出力軸と、を有するモータユニットと、
前記第1の出力軸に取り付け可能とされ、第1の接続手段により前記ボールタップに接続可能とされ、前記第1の出力軸の回転動作に対応して前記ボールタップを引き上げ可能とした第1の動力伝達部材と、
前記第2の出力軸に取り付け可能とされ、第2の接続手段により前記排水弁に接続可能とされ、前記第2の出力軸の回転動作に対応して前記排水弁を引き上げ可能とした第2の動力伝達部材と、
を備えたことを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項3】
前記ボールタップが引き上げられる時は、前記排水弁は引き上げられず、
前記排水弁が引き上げられる時は、前記ボールタップは引き上げられないことを特徴とする請求項1または2に記載の便器洗浄装置。
【請求項4】
前記接続手段は、玉鎖であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の便器洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の便器洗浄装置と、
前記便器洗浄装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記排水弁を引き上げた後に、前記ボールタップを引き上げた状態を維持可能としたことを特徴とする便器洗浄システム。
【請求項6】
前記ボールタップを引き上げた状態を、一定の時間維持することを特徴とする請求項5記載の便器洗浄システム。
【請求項7】
前記ボールタップを引き上げた状態を、使用者の指示により解除することを特徴とする請求項5記載の便器洗浄システム。
【請求項8】
前記ボールタップを引き上げた状態に維持するために前記モータユニットに供給される制御信号は、PWM信号を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の便器洗浄システム。
【請求項9】
前記ボールタップを引き上げた状態に維持するために、前記モータユニットへの電力の供給を停止し前記モータの短絡ブレーキを発生させることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の便器洗浄システム。
【請求項10】
前記ボールタップを引き上げた状態を維持した後に、前記排水弁を引き上げることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1つに記載の便器洗浄システム。
【請求項11】
前記制御部が便座に付設されたことを特徴とする請求項5〜10のいずれか1つに記載の便器洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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