説明

便器洗浄装置及び便器洗浄システム

【課題】 既存の各種のロータンクに共通的に設置可能な便器洗浄装置及び便器洗浄システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 排水弁を有するロータンクに取り付け可能であり出力軸を介して前記排水弁を引き上げる便器洗浄装置であって、モータと前記モータの出力を減速する減速手段とを収容した筺体と、前記筺体から第1の方向に突出した第1の螺合部と、前記筺体から前記第1の方向とは反対の第2の方向に突出した第2の螺合部と、前記第1の螺合部内に設けられ、手動による駆動力を入力可能とした入力軸と、前記第2の螺合部内に設けられ、前記入力軸及び前記減速手段から出力可能な出力軸と、を備え、ロータンクに設けられた貫通穴に前記第1及び第2の螺合部のいずれも挿入させ螺旋止め可能とされたことを特徴とする便器洗浄装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器洗浄装置及び便器洗浄システムに関し、より詳細には、水洗便器のロータンクに取り付けて、電動によりロータンクから水洗便器に洗浄水を供給可能とした便器洗浄装置及び便器洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
手動及び電動のいずれにても水洗便器に洗浄水を供給可能とした便器洗浄装置として、いわゆる「外付け式」の装置が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。 図47は、このような外付け式の便器洗浄装置10を水洗便器のロータンク200に取り付けた状態を表す。
【0003】
また、図48は、この便器洗浄装置の断面構造を例示する模式図である。
すなわち、ロータンク200の手動操作ハンドル100の取り付け位置の外壁部に、便器洗浄装置10が取り付けられている。その内部は図48に例示した如くであり、筺体150の中にはモータ154が内蔵され、その出力軸156に接続されたギア158から、中間ギア160、162、164、166を介して引き上げロッド144に固定されたギア152に駆動力が伝達される。引き上げロッド144の回転に伴い、その先端に接続された鎖142を介して排水弁138が引き上げられて排出口136から便器に洗浄水が排出される。
【0004】
また、引き上げロッド144は、手動操作ハンドル100にも連結され、ハンドル100の手動操作によっても洗浄水の排出が可能とされている。
便器洗浄装置10のモータ154には、配線コード176を介して駆動電力が供給される。
【特許文献1】特開昭60−55136号公報
【特許文献2】特開平9−195356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような「外付け式」の便器洗浄装置は、ロータンクの外側に露出して取り付けられるため、意匠性に欠けるとともに、「いたずら」などを受けやすいという問題もある。
これに対して本発明者らは、駆動機構や伝達要素の配置などに大幅な工夫を加えることによりサイズをコンパクトにし、ロータンクの内部に収容可能な「中付け式」の便器洗浄装置を開発した。しかし、すでに市場には、各種のロータンクが出回っており、その全てに内蔵可能とすることは、必ずしも容易ではない。
【0006】
図49は、既存のロータンクの形態のいくつかを例示する模式図である。すなわち、同図(a)に表したものは、ロータンク200の正面左側に操作ハンドル100が設けられた、いわゆる「前ハンドル型」のロータンクである。また、図49(b)に表したものは、ロータンク200の向かって右側側面に操作ハンドル100が設けられた、いわゆる「右ハンドル型」のロータンクである。一方、図49(c)に表したものは、トイレ室のコーナーに配置可能な、いわゆる「隅付き型」のロータンクである。
【0007】
これらの具体例からも分かるように、ロータンクには各種の形式があり、それらに内蔵される給水管やボールタップなどの各種の要素部品の配置関係も多種多様である。このため、すべてのロータンクに共通的に収容可能な小型の便器洗浄装置を実現することは容易ではない。
【0008】
さらに、これに対して、「外付け式」の便器洗浄装置と、「中付け式」の便器洗浄装置と、をそれぞれ品揃えして使い分けることとすると、コストが高くなり、メンテナンスなどの点でも不利となる。
【0009】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能な便器洗浄装置及び便器洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
排水弁を有するロータンクに取り付け可能であり出力軸を介して前記排水弁を引き上げる便器洗浄装置であって、
モータと前記モータの出力を減速する減速手段とを収容した筺体と、
前記筺体から第1の方向に突出した第1の螺合部と、
前記筺体から前記第1の方向とは反対の第2の方向に突出した第2の螺合部と、
前記第1の螺合部内に設けられ、手動による駆動力を入力可能とした入力軸と、
前記第2の螺合部内に設けられ、前記入力軸及び前記減速手段から出力可能な出力軸と、
を備え、
ロータンクに設けられた貫通穴に前記第1及び第2の螺合部のいずれも挿入させ螺旋止め可能とされたことを特徴とする便器洗浄装置が提供される。
【0011】
上記構成によれば、ロータンクに対して「外付け式」にする場合にはロータンクの外側から第2の螺合部を貫通穴に挿入して便器洗浄装置の筐体をロータンクの外側に取り付け、「内付け式」にする場合にはロータンクの内側から第1の螺合部を貫通穴に挿入して便器洗浄装置をロータンクの内側に取り付けることができ、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能な便器洗浄装置を提供できる。
【0012】
ここで、前記筺体と前記第1の螺合部との間に設けられた第1の突出基部と、前記筺体と前記第2の螺合部との間に設けられた第2の突出基部と、をさらに備え、
前記第1及び第2の突出基部は、略同一形状を有し、前記ロータンクに設けられた前記貫通穴に前記第1及び第2の突出基部のいずれも挿入可能とされたものとすれば、突出基部をロータンクの貫通穴に挿入した状態で「がた」や「ずれ」などを防ぎつつ、外付け式にも中付け式にも取り付けることができる。
【0013】
また、前記第1及び第2の螺合部は、同一の螺旋径を有するものとすれば、同一のナットにより外付け式にも中付け式にも締め付け固定でき、取り付け部品を共通化できる点で有利となる。
【0014】
また、前記出力軸の周囲から前記筺体の内部への水分の侵入を抑止する防水シールが設けられたものとすれば、外付け式に固定した場合も中付け式に固定した場合も、ロータンクの内部に露出された出力軸に水がかかったり、高湿度状態に保持された場合でも、装置内部の錆や、電気部品の短絡、動作不良などを防いで、高い信頼性が得られる。
【0015】
一方、本発明の一態様によれば、上記のいずれかの便器洗浄装置と、前記便器洗浄装置の動作を制御する制御信号を供給する制御部と、を備えたことを特徴とする便器洗浄システムが提供される。上記構成によれば、ロータンクに対して外付け式にも中付け式にも取り付け可能となり、既存の各種のロータンクに共通的に設置可能な便器洗浄装置を提供できる。
【0016】
また、前記制御部は、複数の洗浄モードに関する制御情報を格納し、前記複数の洗浄モードのいずれかを設定可能とし、前記設定された洗浄モードに基づいた制御信号を前記便器洗浄装置に供給するものとすれば、例えば、便器洗浄装置のモータに対して、その回転方向や動作時間などをロータンクの構造に応じて制御できる。
【0017】
つまり、便器洗浄装置を外付け式にも中付け式にも取り付け可能としたことと相乗して、既存の各種のロータンクが有する多様な洗浄モードに柔軟に適合できる便器洗浄システムを提供することができる。
【0018】
また、前記制御部が便座に付設されたものすれば、独立した制御部をトイレ室の中に設置する必要がなくなり、コンパクト且つ見栄えよく、また配線の引き回しなども簡便な便器洗浄システムを実現できる。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、本発明によれば、外付け式あるいは中付け式で既存の各種のロータンクに共通的に設置可能で見栄えよく配線コードを引き回せる便器洗浄装置を低コストで提供できる。その結果として、ユーザは、ロータンクを買い換えることなく低コストで電動洗浄の恩恵に浴することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る便器洗浄装置を引き上げロッドの側から眺めた斜視図である。
また、図2は、本実施形態の便器洗浄装置を操作ハンドルの側から眺めた斜視図である。
【0021】
本実施形態の便器洗浄装置10は、ロータンクに対して、「外付け」も「中付け」も可能とされている。すなわち、筺体50の一方の側面には、角柱状の突出基部34が設けられ、この突出基部34から螺合部30が突出して設けられている。螺合部30の先端からは出力軸70が突出している。また、筺体50の反対側の側面には、角柱状の突出基部24が設けられ、この突出基部24から螺合部20が突出して設けられている。螺合部20の先端からは入力軸22が突出している。
【0022】
出力軸70には、後に詳述するように、引き上げロッド72や長さ調節可変のシャフトなどが適宜取り付けられる。入力軸22には、ストッパ93がネジ94により固定され、ストッパ93に被せるようにして操作ハンドル100が取り付けられる。筺体50の内部には、モータや動力伝達機構が内蔵され、配線コード76を介して外部から制御信号を供給することによりモータが回転して出力軸70を回動させることができる。また、操作ハンドル100を手動操作することにより、入力軸22を介して出力軸70を回動させることもできる。
【0023】
図3は、本実施形態の便器洗浄装置をロータンクの内側に取り付ける、いわゆる「中付け式」の組立図である。
また、図4は、本実施形態の便器洗浄装置をロータンクの外側に取り付ける、いわゆる「外付け式」の組立図である。
すなわち、本実施形態の便器洗浄装置10は、ロータンク200に設けられた四角形状の貫通穴202に突出基部24及び34のいずれも挿入可能とされている。つまり、ワッシャ90、91などを適宜介して、螺合部20または30にナット92を螺旋止めすることにより、ロータンク200の内側にも外側にも便器洗浄装置10を取り付けることができる。
このようにすれば、ロータンク200の中にスペースがある時は、便器洗浄装置10をロータンク内部に中付けし、ロータンク200の中にスペースがない時は、便器洗浄装置10をロータンク外側に外付けできる。つまり、一台の便器洗浄装置10で、多種多様なロータンクに適合させることができる。
【0024】
図5は、ロータンクの内側に便器洗浄装置を収容した状態を例示する模式図である。
また、図6は、ロータンクの外側に便器洗浄装置を取り付けた状態を例示する模式図である。
便器洗浄装置10をロータンク200の内側に取り付けた場合、図5に表したように筺体50が露出しないので外観をすっきりとさせ見栄えよくできる。また、「いたずら」なども受けにくい点でも有利である。なお、この場合には、図5に表したように、接続コード76をロータンク200の裏面側に設けられた空気抜き穴290から引き出すとよい。
【0025】
一方、ロータンク200の中に十分なスペースがない場合には、図6に表したように便器洗浄装置10をロータンク200に外付けできる。この場合には、ロータンク200の裏面側に配線コード76を目立たないように引き回すとよい。
【0026】
いずれの場合も、配線コード76は、固定具98により適宜固定され、ロータンク200の裏面側に引き回される。一方、便器300の上に便座400が設けられ、便座400の後方には便器洗浄装置10に制御信号を供給する制御部(図示せず)が内蔵されている。図7に表したように、便座400の背面に、便器洗浄装置10に対する接続口402が設けられている。配線コード76の先端に設けられたコネクタ78は、接続口402に接続される。
【0027】
便座400の後方に内蔵された制御部は、例えば、DC24ボルトの制御信号を適宜供給することより、便器洗浄装置10の動作を制御する。
【0028】
つまり、使用者は、ロータンク200に設けられた操作ハンドル100を操作することなく、便座400に設けられた手元スイッチを操作することによって洗浄水を便器に流すことができ、便利である。また、操作ハンドル100を手動操作して洗浄水を流すこともできる。
【0029】
またさらに、便座400に人感センサを設け、例えば、使用者が近づいた時、または便座400に着座した時に自動的に便器300に予備洗浄水を流すように、便器洗浄装置10を動作させることができる。つまり、便器300が使用される前に、予備洗浄水を流してそのボウル面を濡らした状態とすることにより、汚物などの付着を抑制することができ清潔である。
【0030】
また一方、人感センサにより、使用者が離れた時、または便座400から立ち上がった時に、自動的に洗浄水を便器300に流すように便器洗浄装置10を動作させることもできる。このようにすれば、いわゆる「自動洗浄」が可能であり、お年寄りや身体障害者あるいは子供などに対しても使い勝手のよい便器洗浄システムが実現できる。
【0031】
またさらに、このような便座に、いわゆる局部洗浄装置を組み合わせることもできる。すなわち、便座400に腰掛けた使用者の臀部などを水(温水)により洗浄する装置を組み込むことより、さらに高機能で使い勝手に優れた便器洗浄システムが実現される。この場合、例えば局部洗浄の終了に対応して洗浄水を流すように便器洗浄装置10を動作させることもできる。
【0032】
また、本発明の便器洗浄システムにおいては、リモートコントロールにより操作することもできる。
図8は、このような用途に用いることができるリモートコントロール装置を例示する模式図である。このリモートコントロール装置510は、例えば、便座400の後方に内蔵された制御部に操作信号を適宜送信し、便器洗浄装置10を動作させることができる。また、便座400に組み込まれた局部洗浄装置の動作も併せて制御可能としてもよい。さらにまた、このリモートコントロール装置510に人感センサを組み込んで、前述の如く予備洗浄水を流したり、自動洗浄を実行させることもできる。
【0033】
このようなリモートコントロール装置510をトイレ室の壁面などに適宜設けておけば、使用者は、立った状態においても手元で各種の操作を実行でき、非常に使い勝手のよい便器洗浄システムが実現できる。
【0034】
そして、本発明によれば、便器洗浄装置10を外付け式にも中付け式にも取り付け可能とし、市場に出回っている多種多様な形式のロータンクに取り付けることができる。つまり、ユーザは、既設のロータンクを買い換えることなく、既設のロータンクに便器洗浄装置を取り付けることで、電動洗浄の恩恵に浴することができる。
【0035】
以下、本発明の便器洗浄装置の各部の構成についてさらに詳細に説明する。
図9乃至図11は、突出基部と螺合部に関する変型例を表す模式図である。
すなわち、図9に例示した如く、突出基部24と34とを前述したロータンクの貫通穴202のサイズに合わせて略同一の四角形状・サイズに形成すれば、取り付けに際して「がたつき」や「ずれ」や「回転」などを防止でき便利である。この時、螺合部20と30の螺旋径も同一にすれば、同一のナットにより固定でき便利である。
【0036】
また、突出基部24と34をロータンクの貫通穴にあわせて同一の形状・サイズに形成した場合には、図10に例示した如く、螺合部20と30の螺旋径を変えてもよい。この場合には、螺合部20と螺合部30にそれぞれ適合するナットを設ければよい。
【0037】
またさらに、図11に例示した如く、突出基部を設けず、螺合部20と30を筺体50に直接、形成してもよい。この時、螺合部20と30の外径を、ロータンクの貫通穴とほぼ同一に形成すれば、「がたつき」や「ずれ」を防ぐことができる。
【0038】
また一方、ロータンクの形式により貫通穴のサイズや形状が異なる場合、これらのうちで最小のものに適合するように、螺合部20と30の外径を設定してもよい。このようにすれば、さらに広範な形式のロータンクに取り付けることができる。貫通穴が大きいロータンクに取り付ける場合には、ワッシャやアダプタなどを適宜介することにより、所定の位置に便器洗浄装置を取り付けることが可能である。
【0039】
次に、便器洗浄装置10の筺体50の内部に収容された駆動機構について具体例を挙げて説明する。
【0040】
図12は、便器洗浄装置の内部の駆動機構を模式的に例示した概念図である。なお、同図は、動力伝達関係を説明するための概念図であり、各要素の寸法や配置関係などは、必ずしも実際の通りではない。
便器洗浄装置10の筺体50の内部には、駆動源であるモータ42と、減速手段41として4段のギア43〜46が設けられている。4段目のギア46の回転トルクが出力軸70に出力される。モータ42として、DC24ボルトで動作するブラシ型の高速モータを用いた場合、1段目から4段目までの減速比は、およそ1/100程度とすることができる。
【0041】
また、出力軸70は、入力軸22と直結され、操作ハンドル100に付加される手動トルクを直接出力できる。なお、4段目のギア46にはギアリターンスプリング53が設けられ、中立状態に付勢される。この便器洗浄装置10においては、操作ハンドル100を用いた手動操作の際にモータ42のコギングトルクなどの付加を防ぐため、4段目のギア46は、入力軸22に対して所定の空転角をもって結合されている。
【0042】
図13は、本実施形態の便器洗浄装置10の平面形状を例示する模式図である。
すなわち、便器洗浄装置10をできるだけ小型に形成すると多くのロータンクに中付けでき、見栄えの点で有利である。このためには、図13に例示した如く、平面形状を略正方形状に形成するとよい。すなわち、出力軸70(入力軸22)を中心として駆動機構を集積することにより、よりコンパクトに形成でき、ロータンクの中に設けられている給水管やボールタップなどの各種の部品と干渉せずに中付けすることが可能となる。また、正方形状のコンパクトな外観にすれば、外付けした場合にも見栄えがよく意匠性が向上する。
【0043】
なお、外付けした場合の見栄えや意匠性を向上する観点からは、便器洗浄装置の筺体50の表面を鏡面仕上げにするとよい。つまり、ロータンク200の陶器面や、操作ハンドル100の外面などと同質の鏡面仕上げとすると、外付けした時の違和感が少なくなり、意匠性に優れる。
【0044】
図14は、便器洗浄装置10に取り付ける部品の使い分けを例示する組立図である。すなわち、同図(a)は便器洗浄装置10をロータンク200に中付けした場合を表し、同図(b)は外付けした場合を表す。
便器洗浄装置10をロータンク200に取付けた時のロータンク200内壁面から出力軸70先端までの距離は、中付けした時の距離A1の方が外付けした時の距離A2よりも筐体50とロータンク200の肉厚分長いため、ロータンク200内の排水弁の位置が変わらなければ、中付けした場合の出力軸70から玉鎖220までの距離L1は、外付けした場合の距離L2よりも小さくなる。従って、引き上げロッド72の長さをこれに合わせて変更する必要がある。そのひとつの方法は、長さが異なる複数のロッド72を用意しておき、ロータンクの形式や取り付け方式に応じて使い分けることである。このようにすれば、中付けと外付けのそれぞれの場合に最適なロッド72を便器洗浄装置10に取り付けて玉鎖220を引き上げることができる。
【0045】
また、操作ハンドル100についても工夫が必要である。すなわち、便器洗浄装置10を中付けした時(図14(a))のロータンク200の壁面から入力軸22先端までの突出量P1よりも、外付けした時(図14(b))の筺体50からの突出量P2のほうが大きい。従って、これに対応するように、外付け用の操作ハンドル100の厚みD2を中付け用の操作ハンドル100の厚みD1よりも大きくすると、操作ハンドル100の取り付け部の隙間を減らして見栄えがよくなる。操作ハンドル100については、後に実施例を参照しつつさらに詳述する。
【0046】
図15及び図16は、出力軸70に取り付ける玉鎖引き上げ用部品の他の実施例を表す組立図である。
【0047】
すなわち、図15に表したように、出力軸70に、シャフト80をワッシャ81により固定する。シャフト80の断面は略十字型とされ、出力軸70には、これに対応して略十字型の嵌合凹部70Aが設けられている。シャフト80を嵌合凹部70Aに挿入し、ワッシャ81をはめ込むことにより、シャフト80を出力軸70に固定できる。
【0048】
この状態で、シャフト80の先端から玉鎖レバー84、85を挿入し、ピン86により固定できる。この時、シャフト80に取り付け凹部80A、80B、80Cを適宜設け、これらいずれかにピン86を嵌合させ固定可能とする。このようにすれば、便器洗浄装置10を外付けにした場合と中付けにした場合とに応じて、玉鎖レバー84、85の取り付け位置を適宜調節できる。
【0049】
また、図16に例示した如く、スペーサ82を接続して延長してもよい。すなわち、シャフト80に、スペーサ82を挿入してピン83により固定し、その先端付近に玉鎖レバー84、85をそれぞれピン86により装着する。このようにすれば、出力軸70から玉鎖レバー84、85までの距離をさらに広範囲に調整できる。つまり、外付けの場合と中付けの場合にそれぞれ対処できるとともに、広範な形式のロータンクに適合させることができる。なおこの場合、スペーサ82には、シャフト80の断面形状にあわせて略十字型の貫通穴を設けておくとよい。
なお、図15及び図16においては、「大洗浄」と「小洗浄」(以下、「大」、「小」と記す)に別々の玉鎖を用いるロータンクに適合させて玉鎖レバー84、85を2個設ける場合を例示した。
【0050】
さらに、本発明においては、玉鎖レバー84の取り付けの向きを変えることによって、玉鎖の引き上げ量、すなわち排水弁136の引き上げ量を可変にでき、各種のロータンクの「大」、「小」に対応可能としている。以下、この点について、図17乃至図22を参照しつつ説明する。
【0051】
図17は、玉鎖レバー84の取り付け方向を説明するための模式図である。
【0052】
同図に例示した如く、玉鎖レバー84は、Aの向きにも、その反対のBの向きにも、シャフト80に挿入して固定できる。
【0053】
図18は、玉鎖レバー84の構造を例示する模式図である。すなわち、同図(a)はその上面図、(b)は左側面図、(c)は縦断面図、(d)は右側面図、(e)は下面図である。
【0054】
本具体例の玉鎖レバー84には、略十字状の挿入穴84Hが設けられている。この挿入穴84Hは、シャフト80の略十字状断面と整合し、シャフト80に挿入して空転を防ぐことができる。また、挿入穴84Hとシャフト80の断面形状がそれぞれ4次の回転対称であるので、4通りの取り付け角度のうちのいずれかを任意に選択することもできる。
【0055】
そして、本発明においては、玉鎖レバー84の突出方向Pを挿入穴84Hの対称軸に対して傾斜させることにより、玉鎖の引き上げ量を種々に変えることができる。
図19は、便器洗浄装置10の回転角度範囲を例示した模式図である。すなわち、この具体例の場合、「小」の洗浄水を流す際にはシャフト80は矢印Aの方向に80°回転し、「大」の洗浄水を流す際にはシャフト80は矢印Bの方向に110°回転する。これに対して、現存する手動式のロータンクにおける「大」と「小」のための回転角度は様々である。
例えば、図20に表したように、手動式の操作ハンドルの回転角度が「大」の回転角度は125°で、「小」の回転角度は65°のロータンクが存在する(タイプI)。一方、「大」と「小」のいずれの回転角度も95°であるロータンクが存在する(タイプII)。本発明においては、玉鎖レバー84の取り付け向きを反転させることにより、便器洗浄装置10をこれらいずれのロータンクに対しても適合させることができる。玉鎖レバー84の突出方向Pを挿入穴84Hの対称軸Sに対して傾斜させることにより、玉鎖の引き上げ量を変えることができる。
【0056】
図21及び図22は、玉鎖レバー84の取り付け方向を反転させた場合の回転角度を表す模式図である。すなわち、これらの図は、図19の矢印Zの方向から眺めた模式図である。
【0057】
図21に例示した取り付け方向の場合、玉鎖レバー84は、同図(a)に表したように、中立状態において鉛直下方から左回転方向に15°傾斜している。この状態から便器洗浄装置のシャフト80が時計回りに80°回転すると、同図(b)に表したように、玉鎖レバー84の傾斜角度は鉛直下方から65°となる。
【0058】
一方、図21(c)に表したように、シャフト80が反時計回りに110°回転すると、玉鎖レバー84の傾斜角度は鉛直下方から125°となる。
【0059】
つまり、玉鎖レバー84をシャフト80に対してこの向きに取り付けた場合、「小」の動作として65°、「大」の動作として125°の回転角度にほぼ対応する玉鎖の引き上げ量が得られる。
【0060】
これに対して、図22に表した具体例の場合、玉鎖レバー84は、図21とは反対向きにシャフト80に挿入されている。すなわち、同図(a)に表したように、玉鎖レバー84は、中立状態において鉛直下方から右回転方向に15°傾斜している。この状態からシャフト80が時計回りに80°回転すると、同図(b)に表したように、玉鎖レバー84の傾斜角度は鉛直下方から95°となる。
【0061】
一方、図22(c)に表したように、シャフト80が反時計回りに110°回転すると、玉鎖レバー84の傾斜角度はやはり鉛直下方から95°となる。
【0062】
つまり、玉鎖レバー84をシャフト80に対してこの向きに取り付けた場合、「小」と「大」のいずれの動作としても95°の回転角度にほぼ対応する玉鎖の引き上げ量が得られる。なおこの際に、図18(a)に表したように、玉鎖レバー84に挿入方向を識別するためのマーク84M(同図においては、「E」および「C」と表されている)を設けると、挿入方向を間違えることなく組み立てを確実に行うことができる。
【0063】
以上説明したように、本発明においては、玉鎖レバー84をシャフト80に対して反転して挿入可能とし、さらに、その突出方向Pを挿入穴84Hの対称軸Sに対して傾斜させることにより、「大」と「小」に対応する玉鎖の引き上げ量をそれぞれ可変とすることができる。その結果として、洗浄モードを可変にすると同時に動作範囲も可変にすることができ、外付けと中付けとを組み合わせることにより、さらに多様な形式のロータンクに適合する便器洗浄装置を提供できる。
【0064】
次に、本発明の便器洗浄装置10の操作ハンドル100の取り付け部について説明する。
【0065】
図23は、操作ハンドル100の取り付け部の具体例を表す組立図である。
【0066】
図14に関して前述したように、本発明においては、便器洗浄装置10を外付けにも中付けにもできるので、それぞれに対応して操作ハンドル100の取り付けを工夫することが望ましい。
このために、図23に表した具体例の場合、操作ハンドル100は共通化し、ストッパ93を変えることにより、外付けと中付けのそれぞれに対応させる。すなわち、図23(a)に表したように便器洗浄装置10を中付けした場合には、入力軸22の突出量P1が小さいので、ストッパ93の厚みS1を大きくすることにより調整する。このようにすれば、外付けと中付けのいずれの場合にも、操作ハンドル100を共通化でき、見栄えがよくなるとともにコストも下げることができる。
【0067】
また、ストッパ93を適宜変更することにより、出力軸70の回転範囲を規制することも可能である。
図24は、ロータンク200への取り付け部を拡大した組立図である。同図から分かるように、ストッパ93は、ねじ94(図2参照)によって便器洗浄装置10の入力軸22に固定される。そして、その上から操作ハンドル100が圧入され装着される。
また、入力軸22の脇には、螺合部20から突出した突起26が設けられている。この突起26とストッパ93と、により入力軸22(出力軸70)の回転範囲を規制できる。
【0068】
図25は、ストッパ93と操作ハンドル100の斜視組立図である。
ストッパ93の内側には、突起26に対する可動範囲を規制する「当たり面」93A、93Bが設けられている。すなわち、ストッパ93は、突起26に対して当たり面93Aが当接する角度から93Bが当接する角度までの間においてのみ回転できる。
【0069】
図26は、ストッパ93と突起26との配置関係を表すために、操作ハンドル100とストッパ93を一部切断して表した一部切断正面図である。
すなわち、図26は、操作ハンドル100の中立状態を表している。突起26は、ストッパ93に設けられたふたつの当たり面93A、93Bの間に配置されている。操作ハンドル100を手動回転させ、または、便器洗浄装置10の入力軸22が自動回転すると、ストッパ93が回転し、当たり面93A、93Bのいずれかと、突起26とが当接して停止する。
【0070】
本具体例の場合、図26に表した中立状態において、当たり面93Aと突起26との間には、角度にして110度の可動範囲が設けられている。一方、当たり面93Bと突起26との間には、角度にして80度の可動範囲が設けられている。これら可動範囲は、例えば、それぞれ「大洗浄」、「小洗浄」の操作角度に対応して設定されている。つまり、「大洗浄」のために、操作ハンドル100(ストッパ93)を時計回りに手動回転させ、または、便器洗浄装置10に内蔵されたモータにより入力軸22が時計回りに自動回転した場合、中立状態から110度だけ回転すると、ストッパ93の当たり面93Aと突起26とが当接して停止する。
【0071】
同様に、「小洗浄」のために、操作ハンドル100を反時計回りに手動回転させ、または、便器洗浄装置10に内蔵されたモータにより入力軸22が反時計回りに自動回転した場合、中立状態から80度だけ回転すると、ストッパ93の当たり面93Bと突起26とが当接して停止する。
【0072】
このように、ストッパ93に当たり面を形成し、一方、螺合部20に突起26を形成することにより、入力軸22(出力軸70)の回転範囲を確実に規制することができる。
【0073】
またさらに、本発明によれば、このようなストッパ93を適宜交換することにより、広範な機種のロータンクに適合させることができる。つまり、既存のロータンクにおいては、「大洗浄」と「小洗浄」の際の操作ハンドルの回転角度が機種毎に異なる場合がある。また、「大洗浄」のみが設けられ、操作ハンドルを一方向のみに操作する機種も存在する。
【0074】
本発明によれば、ストッパ93を適宜使い分けることにより、操作ハンドル100(出力軸70)の可動範囲や、操作方向を任意に規制できる。従って、外付け式と中付け式とを使い分けると同時に、ストッパ93を適宜使い分けることにより、既設の多様なロータンクに適合できる便器洗浄装置を実現できる。
【0075】
次に、出力軸70の防水構造について説明する。
図27は、出力軸70の防水構造を表す一部拡大断面図である。
本発明においては、便器洗浄装置10を外付け式にも中付け式にも取り付けることができる。しかし、いずれの場合でも、出力軸70はロータンクの中に露出される。そこで、出力軸70には防水シールを設けることが望ましい。
【0076】
出力軸70の防水シール60としては、例えば、断面が「X」状のリング(Xリング)を用いることができる。この防水シール60は、出力軸70に形成された溝70Gに収容され、螺合部30の内壁面40Rとの間で耐水シールとして作用する。防水シール60に適量のグリースを塗布することにより、螺合部30と内壁面40R及び出力軸70の溝70Gの外周面と防水シール60の間の窪みにグリースが溜り、すぐれた耐水性と滑らかな回転性が得られ、出力軸70を回転自在に保持しつつ、出力軸70と螺合部30との隙間からの水分の侵入を確実に阻止できる。その結果として、ロータンクの内部に露出された出力軸70に水がかかったり、高湿度状態に保持された場合でも、装置内部の錆や、電気部品の短絡、動作不良などを防いで、高い信頼性が得られる。
【0077】
一方、出力軸70に防水シールを設ける代わりに、ロッド72あるいはシャフト80に防水シールを設けてもよい。
図28乃至図30は、出力軸70に取り付けるロッド72あるいはシャフト80に防水シールを設ける具体例を表す模式図である。以下、ロッド72を螺合部30の中で出力軸70と結合させた例として説明するが、結合部を螺合部30の外にしても良いのは勿論である。
図28に表した具体例の場合、ロッド72は、螺合部30の中で出力軸70と結合している。すなわち、出力軸70とシャフト80の取付け構造として図15に関して前述したように、出力軸70の先端には略十字状の嵌合凹部70Aが設けられ、ロッド72の根元には凸状の嵌合部72Aが設けられている。これらが嵌合することにより、ロッド72が出力軸70に結合される。そして、ロッド72の外周には溝72Rが形成され、この溝72RにOリングあるいはXリングなどの防水シール60が収容されている。この防水シール60は、螺合部30の内壁面40Rとの間で耐水シールとして作用する。この具体例の場合も、防水シール60に適量のグリースを塗布することにより、すぐれた耐水性と滑らかな回転性が得られ、ロッド72を回転自在に保持しつつ、ロッド72と螺合部30との隙間からの水分の侵入を確実に阻止できる。
次に、図29に表した具体例の場合、出力軸70の先端には凸状の嵌合部70Bが設けられ、ロッド72の根元には凹状の嵌合凹部72Bが設けられている。図29(b)はこの嵌合部を表す一部拡大斜視図である。これらが嵌合することにより、ロッド72が出力軸70に結合される。そして、やはりロッド72には溝72Rが形成され、この溝72RにOリングあるいはXリングなどの防水シール60が収容されている。この防水シール60は、螺合部30の内壁面40Rとの間で耐水シールとして作用する。
次に、図30に表した具体例の場合、ワッシャ81によりロッド72が軸方向に固定されている。すなわち、ロッド72には、第2の溝72Gが設けられ、この溝にワッシャ81をはめ込むことにより、ロッド72が回転自在のまま軸方向に固定できる。同図(c)に表したように、螺合部30には、ワッシャ81を挿入するためのスリット81Sが設けられている。
図30(a)に表した具体例の場合、出力軸70の先端には凸状の突起70Cが設けられ、ロッド72の根元には凹状の溝72Cが設けられている。図30(b)に表した具体例の場合、出力軸70の先端には凹状の溝70Dが設けられ、ロッド72の根元には凸状の突起72Dが設けられている。これらいずれの場合も、突起と溝とが結合することにより、出力軸70の回転駆動力がロッド72に伝達される。
【0078】
そして、やはりロッド72には溝72Rが形成され、この溝72RにOリングあるいはXリングなどの防水シール60が収容されている。この防水シール60は、螺合部30の内壁面40Rとの間で耐水シールとして作用する。
次に、図31乃至図35は、防水シール60を外付けした具体例を表す模式図である。 まず、図31に表した具体例の場合、防水シール60として袋筒状のキャップシールが螺合部30の先端に圧入固定されている。キャップシールの先端はY字状に分岐し、ロッド72に接触して耐水シールとして作用する。
【0079】
また、図32に表した具体例の場合、防水シール60としてリング状の端面シールがロッド72に圧入固定されている。端面シール60の先端には、略V字状の突出片が設けられ、この突出片が螺合部30の先端に接触することにより、耐水シールとして作用する。
【0080】
また、図33に表した具体例の場合、防水シール60として袋筒状のキャップシールがロッド72に圧入固定されている。同図(b)に表したように、キャップシールは提灯状に膨らみ、その先端は、螺合部30の先端外周部に接触することにより、耐水シールとして作用する。
【0081】
また、図34に表した具体例の場合、防水シール60として袋筒状のキャップシールが螺合部30の先端に圧入固定されている。また、出力軸70が螺合部30よりも突出して設けられている。キャップシールの先端はY字状に分岐し、出力軸70に接触して耐水シールとして作用する。
【0082】
また、図35に表した具体例の場合、防水シール60として略U字状の断面を有するUパッキンが螺合部30の先端の窪みに装着されている。Uパッキンのヒレは、出力軸70あるいはロッド72に接触して耐水シールとして作用する。図35(b)に例示したように、Uパッキンの他面側のヒレに突起を設けてもよい。
【0083】
以上、本実施形態の便器洗浄装置10の出力軸70における防水構造について説明した。 ところで、便器洗浄装置10のうちで、ロータンクの外側に露出する入力軸22においては、通気性を与えることができる。すなわち、入力軸22は、ロータンクの外側に配置され、操作ハンドル100などにより覆われるために水などがかかる心配が少ない。そこで、入力軸22の周囲には防水シールなどを収容せず、入力軸22と螺合部20との隙間を介して外気との通気が可能としてもよい。このようにすれば、万一、筺体50の中に水分が侵入したような場合でも、その水分を、その隙間からなる通気経路を介して外部に放出させることが可能となる。つまり、便器洗浄装置10が、この通気経路を介して「呼吸」できるようにすることにより、内部に水分が蓄積され故障に至るという問題を抑制できる。
【0084】
次に、本発明の便器洗浄装置10のロータンク200への取り付け部の構造について説明する。
すなわち、ロータンクへの取り付け部に「傾斜ワッシャ」を設けることにより、便器洗浄装置の取り付け角度を調節してさまざまな形式のロータンクに適合させることができる。つまり、ロータンクの形式が異なる場合には、ロータンクの構造も異なる場合が多い。このような場合に、ロータンクの構造に合わせて、便器洗浄装置10の取り付け角度も調節する必要が生ずることもある。このような場合に、「傾斜ワッシャ」を用いることにより、便器洗浄装置10の取り付け角度を確実且つ容易に調節できる。
【0085】
図36は、傾斜ワッシャを介してロータンクに便器洗浄装置を中付けする工程を表す組み立ての概要を表す模式図である。
すなわち、便器洗浄装置10の螺合部20をロータンク200の貫通穴202に挿入し、ワッシャ90、91によりロータンク200を挟むようにしてナット92により締め付け固定する。この時に、ワッシャ90、91のそれぞれは、図示の如く、一端が厚く他端が薄い傾斜状に形成された「傾斜ワッシャ」としている。
【0086】
図37は、このような傾斜ワッシャを用いた便器洗浄装置の取り付け部を拡大した一部断面図である。
ワッシャ90、91として、その厚みに分布を設けた「傾斜ワッシャ」を用いることにより、ロータンク200の壁面に対する便器洗浄装置10の軸Cの相対角度を、所定の方向に所定の角度だけ傾斜させることができる。その結果として、ロータンク200の中において、出力軸70に接続されるロッド72あるいはシャフト80の回転軸方向を最適な角度に調節することができる。
例えば、一般のロータンク200は陶製であり、その製造工程における「型抜き」のために、上方に向けて開口がやや拡開するように形成されることが多い。つまり、ロータンク200の側面は、鉛直方向に平行ではなく、傾斜している。このような場合に、図37に例示した如く傾斜ワッシャ90、91を介して固定すれば、便器洗浄装置10の軸Cが水平となるように取り付けることが可能となる。なお、図36及び図37は、便器洗浄装置10を中付けした場合を表すが、外付けした場合にも同様の作用効果が得られる。
【0087】
また、これら傾斜ワッシャ90、91は、少なくとも2以上の異なる角度で螺合部20(あるいは30)に挿入可能とされている。つまり、ワッシャ90、91は、螺合部20(あるいは30)に対して所定の角度だけ回転させて取り付けることができるようにされている。具体的には、例えば、ワッシャ90は、突出基部24(あるいは34)に対して90°毎に回転させて挿入することができる。また、ワッシャ91は、その突起91Pが螺合部20(あるいは30)のスリット20C(図38参照:90°刻みで設けられている)に係合するように挿入される。つまり、ワッシャ91も、90°刻みで回転させて螺合部20(あるいは30)に挿入できる。
【0088】
その結果として、傾斜ワッシャ90、91を適宜回転させて取り付けることにより、便器洗浄装置10を上下方向のみならず、左右方向に傾斜させて取り付けることも可能となる。
【0089】
図38は、本実施形態の便器洗浄装置10を入力軸22の側から眺めた模式図である。 この図からも分かるように、本実施形態においては、便器洗浄装置10は、取り付け用ナットと係合する螺旋溝が形成された螺合部20と、その根本の角柱状の突出基部24と、を有する。螺合部20には、その中心軸のまわりに90°毎にスリット20Cが設けられている。また、突出基部24の側壁には、リブ24Dが適宜設けられている。このリブ24Dは、ロータンク200の貫通穴202に対して取り付ける際の「がた」を吸収する役割を有する。
【0090】
またさらに、ワッシャ90に「リブ」を設けることにより、ロータンク200に対する取り付けをさらに確実に行うことができる。
【0091】
図39は、リブ90Aが設けられた傾斜ワッシャ90を表す模式図である。
すなわち、ワッシャ90には、ロータンク200に当接する面から突出したリブ90Aが適宜設けられている。
【0092】
図40は、リブ90Aを有する傾斜ワッシャ90の取り付け部を拡大した一部断面図である。すなわち、便器洗浄装置の突出基部24(34)の側壁に形成されたリブ24D(34D)は、ワッシャ90のスリット内に収容された状態となる。そして、ワッシャ90に設けられたリブ90Aが、ロータンク200の貫通穴202に形成される隙間に圧入され、点線により表された部分が変形して潰されることにより隙間を埋めて、「がた」を防ぐことができる。
【0093】
すなわち、一般のロータンク200は陶製であるために、その貫通穴202の寸法精度には限界がある。ロータンクの出来上がりの寸法ばらつきを考慮すると、便器洗浄装置の螺合部20の外径は、ロータンクの貫通穴202の実寸を常に下回るように決定する必要が生ずる。従って、貫通穴202と螺合部20(30)との間には、ある程度の隙間が常に形成される。これに対して、傾斜ワッシャ90にリブ90Aを設け、このリブ90が、貫通穴202の隙間に挿入され、その一部が変形して潰されるようにすれば、ロータンク200の貫通穴202に取り付けた際の「がた」を防ぎ、確実に固定することができる。
【0094】
なお、傾斜ワッシャ90を、例えば樹脂などの有機材料により形成すれば、適切な締め付け応力によりリブ90Aを潰して確実に固定することができ、製造コストも抑制することができる。また、ロータンク200の内側に設けられるワッシャ90ではなく、外側のワッシャ91にこのようなリブを設けてもよい。また、これらワッシャ90、91の両方にリブを設けてもよい。
【0095】
なお、突出基部24(34)に設けられたリブ24D(34D)も、同様の作用を有する。つまり、傾斜ワッシャ90を介さずに便器洗浄装置10をロータンク200に取り付ける際に、これらのリブ24D(34D)が潰されて貫通穴202における「がた」を防止する役割を有する。
【0096】
また、本発明の便器洗浄装置10において、螺合部20(30)の外径R1と、突出基部24(34)の対辺間寸法R2と、をほぼ同一径とすることができる。このようにすると、螺合部20(30)においても突出基部24(34)においても貫通穴202における隙間を均一且つ最小にすることが可能となり、貫通穴202の隙間を減らして、ロータンク200に対する取り付けをさらに確実に行うことができる。
【0097】
次に、本発明の便器洗浄装置10を用いた便器洗浄システムについて説明する。
すなわち、本発明においては、便器洗浄装置10を中付け式にも外付け式にも取り付け可能とすることにより、多種多様な形式のロータンクに取り付けることが可能となる。しかし、ロータンクの形式が異なると、その洗浄モードも異なる。すなわち、「大」と「小」の有無や、その回転方向、回転角度などはロータンクの形式に応じて様々である。そこで、本発明においては、便器洗浄装置10の動作を制御する制御部にこれら複数の洗浄モードを予め記憶させ、ロータンクの形式に応じて最適な洗浄モードを適宜選択して動作させることができる。
【0098】
図41は、本発明の実施の形態にかかる便器洗浄システムの全体構成を例示した概念図である。
すなわち、本実施形態の便器洗浄システムは、便器洗浄装置10と、これに接続された制御部500と、を有する。便器洗浄装置10は、図1乃至図40に関して前述したように、ロータンクに対して外付けも中付けも可能とされている。
一方、制御部500は、複数の洗浄モード1、2、・・・のいずれかを設定し、その洗浄モードに応じた制御信号を、便器洗浄装置10に内蔵されたモータに対して供給し、その動作を制御する。
図42は、市場に出回っている各種のロータンクの洗浄モードの典型的なものをまとめた一覧表である。
すなわち、同図には、代表的な6種類の洗浄モードを表した。例えば、「洗浄モード1」の場合、「大」の洗浄水を流すためには、便器洗浄装置10の出力軸(第2図の挿入図参照)をCW(時計回り)に回転させる制御信号(例えば、DC24ボルト)を1秒間供給する。また、「小」の洗浄水を流すためには、便器洗浄装置10の出力軸を反時計回り(CCW)に回転させる制御信号を1秒間供給する。このため、便器洗浄装置10に内蔵するモータとして、DCブラシモータなどを用いた場合、モータに供給する制御信号(例えば、DC24ボルト)の極性を、洗浄モードに応じて適宜変える必要がある。
【0099】
また、例えば「洗浄モード5」における「小洗浄」の場合、便器洗浄装置10の出力軸を反時計回りに回転させる信号を4秒間供給する。これは、いわゆる「ホールドモード」であり、ロータンク200の小洗浄水用の排水弁を約4秒間、開けた状態に保持させる動作に対応する。つまり、便器洗浄装置10のモータに対して供給する制御信号の長さも、洗浄モードに応じて適宜変える必要がある。
【0100】
また、このホールド動作の場合、4秒間の間、連続的な制御信号(例えば、DC24ボルト)を供給してもよいが、モータの発熱を防ぐためには、PWM(pulse width modulation:パルス幅制御)により制御することが望ましい。つまり、排水弁を開状態に保持しうるデューティ範囲で、パルス状の制御信号を便器洗浄装置10に供給することより、モータの発熱を抑制しつつホールド動作を実行させることができる。つまり、モータに供給する制御信号のパルス波形も、洗浄モードに応じて適宜変えることが望ましい。
【0101】
以上説明したように、市場に出回っているロータンクの洗浄モードは多種多様である。これに対して、本発明によれば、これら洗浄モードを予め便器洗浄システムの制御部500に記憶させ、所定の初期設定操作により、それらのうちの最適なものを選択し設定することができる。例えば、「洗浄モード2」の形式のロータンク200に、本発明の便器洗浄装置10を取り付けた場合、使用者または設定者は、初期設定操作として、制御部500を操作し、「洗浄モード2」を選択して設定することができる。すると、「大」または「小」の洗浄の指令に対応して、「洗浄モード2」の制御信号が便器洗浄装置10に供給され、適正な洗浄動作を実行させることができる。
【0102】
本発明によれば、このように、便器洗浄システムの制御部500に、複数の洗浄モードを格納しておき、それらのいずれかを適宜選択し設定可能とすることにより、既存の各種の形式のロータンクに対して柔軟に適合させることができる。その結果として、使用者は、既設のロータンクを買い換えることなく、本発明の便器洗浄システムを取り付け、自動洗浄の恩恵に浴することができる。
【0103】
図43は、本発明の便器洗浄システムの制御部500をさらに具体的に例示したブロック図である。
すなわち、本具体例においては、制御部500は、操作部510と、駆動部520と、を有する。操作部510には、スイッチなどが設けられ、使用者の意志を入力可能とした部分である。一方、駆動部520には、洗浄モード決定部520Aと、制御信号供給部520Bと、が設けられている。洗浄モード決定部520Aは、便器洗浄装置10が取り付けられたロータンクの形式に応じて、最適な洗浄モードを選択し設定する部分である。制御信号供給部520Bは、洗浄モード決定部520Aにより設定された洗浄モードに基づいて、所定の制御信号を便器洗浄装置10に供給する部分である。
【0104】
図44は、本具体例の便器洗浄システムにおける信号の流れを例示したブロック図である。本具体例の場合、洗浄モード決定部520Aには、予め複数の洗浄モード1、2、・・・に対応するデータが格納されている。このデータは、例えば、ROM(read only memory)などに格納することができる。一方、操作部510からは、モード選択信号502と、洗浄指令信号504とが送出可能とされている。これらの信号502、504は、所定の操作手順に従って、使用者または設定者が操作部510から適宜送出することができる。
【0105】
使用者または設定者は、まず、操作部510に対して、所定の初期設定操作を実行する。すると、モード選択信号502が、洗浄モード決定部520Aに送られる。洗浄モード決定部520Aは、モード選択信号502を受け取ると、その内容に応じて、洗浄モード決定部520Aに格納されている洗浄モード1、2、・・・のうちの所定のモード(例えば、「洗浄モード2」)を選択し、制御信号供給部520Bに対して、その洗浄モード(例えば、「洗浄モード2」)に対応した動作をするように、指令する。すなわち、制御信号供給部520Bは、操作部510から洗浄指令信号504を受けた場合に洗浄モード2に適合した制御信号を出力するように、設定される。
【0106】
このようにして初期設定操作が実行された後、使用者が「大」または「小」の洗浄水を流すための所定の操作を実行すると、操作部510は、それに対応した洗浄指令信号504を制御信号供給部520Bに送信する。すると、制御信号供給部520Bは、設定された洗浄モード(例えば、「洗浄モード2」)に対応した制御信号508を便器洗浄装置10に送信する。便器洗浄装置10は、制御信号508を受けて、そのロータンクに適合した「大」または「小」の洗浄動作を実行する。
【0107】
図45は、本発明の便器洗浄システムの制御部500の第2の具体例を表すブロック図である。すなわち、本具体例の場合、操作部510と駆動部520とは、別体として形成され、有線または無線により接続されている。操作部510は、典型的には、リモートコントロール装置の形態を有する。そして、これら操作部510及び駆動部520は、ロータンク200の周囲や、便器300の周囲などに、適宜配置することができる。また、操作部510と駆動部520との間で信号が無線により伝送される場合、その信号搬送媒体としては、赤外線などの光、電波、音など、各種のものを用いることが可能である。
【0108】
本具体例の場合、使用者または設定者は、操作部510を手元に配置して、初期設定操作及び洗浄水を流すための操作を実施することができる。これらの操作により実行される処理は、図43及び図44に関して前述したものと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0109】
図46は、本発明の便器洗浄システムの制御部500の第3の具体例を表すブロック図である。すなわち、本具体例においても、操作部510と駆動部520とは、別体として形成され、有線または無線により接続されている。前述の如く、操作部510は、典型的には、リモートコントロール装置の形態を有する。
【0110】
但し、本具体例においては、操作部510に、洗浄モード決定部510Aと、洗浄指令信号送信部510Bと、が設けられている。洗浄モード決定部510Aには、予め複数の洗浄モードが格納されている。そして、使用者または設定者が所定の初期設定操作を実行すると、これら複数の洗浄モードのうちのいずれかが選択され、洗浄指令信号送信部510Bに対して、この洗浄モードに適合した洗浄指令信号を送信するように、指令する。
【0111】
このようにして初期設定操作が実行された後、使用者が「大」または「小」の洗浄水を流すための所定の操作を実行すると、洗浄指令信号送信部510Bは、それに対応した洗浄指令信号504を駆動部520に送信する。すると、駆動部520は、送信された洗浄指令信号504に対応した制御信号508を便器洗浄装置10に送信する。便器洗浄装置10は、制御信号508を受けて、そのロータンクに適合した「大」または「小」の洗浄動作を実行することができる。
【0112】
以上、第1乃至第3の具体例として説明したいずれの便器洗浄システムにおいても、制御部500に予め格納された複数の洗浄モード1、2、・・・のうちのいずれかを初期設定操作によって適宜選択することができる。その結果として、ロータンクに外付けも中付けも可能とした便器洗浄装置10と組み合わせることにより、市場に出回っている各種のロータンクに柔軟に適合可能な便器洗浄システムを実現できる。
【0113】
以上具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
すなわち、本発明の便器洗浄装置及び便器洗浄システムを構成する要素について当業者が設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。
【0114】
例えば、便器洗浄装置10の外形状、サイズ、内蔵するモータやギアなどの数やそれらの減速比、あるいはこれらの配置関係などについては、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の要旨を含む限り本発明の範囲に包含される。
また、便器洗浄システムを構成する制御部、操作部やリモコンなどの形状や構造あるいはそれらの配置関係についても、当業者が適宜設計変更を加えたものも本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施の形態に係る便器洗浄装置を引き上げロッドの側から眺めた分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の便器洗浄装置を操作ハンドルの側から眺めた分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態の便器洗浄装置をロータンクの内側に取り付ける組立図である。
【図4】本発明の実施形態の便器洗浄装置をロータンクの外側に取り付ける組立図である。
【図5】ロータンクの内側に便器洗浄装置を収容した状態を例示する模式図である。
【図6】ロータンクの外側に便器洗浄装置を取り付けた状態を例示する模式図である。
【図7】便座400の背面斜視図である。
【図8】リモートコントロール装置を例示する模式図である。
【図9】突出基部と螺合部に関する変型例を表す模式図である。
【図10】突出基部と螺合部に関する変型例を表す模式図である。
【図11】突出基部と螺合部に関する変型例を表す模式図である。
【図12】便器洗浄装置の内部の駆動機構を模式的に例示した概念図である。
【図13】本発明の実施形態の便器洗浄装置10の平面形状を例示する模式図である。
【図14】便器洗浄装置10に取り付ける部品の使い分けを例示する組立図である。
【図15】出力軸70に取り付ける玉鎖引き上げ用部品の他の実施例を表す組立図である。
【図16】出力軸70に取り付ける玉鎖引き上げ用部品の他の実施例を表す組立図である。説明する。
【図17】玉鎖レバー84の取り付け方向を説明するための模式図である。
【図18】玉鎖レバー84の構造を例示する模式図である。
【図19】便器洗浄装置10の回転角度範囲を例示した模式図である。
【図20】操作ハンドルの回転角度を表す模式図である。
【図21】玉鎖レバー84の取り付け方向を反転させた場合の回転角度を表す模式図である。
【図22】玉鎖レバー84の取り付け方向を反転させた場合の回転角度を表す模式図である。
【図23】操作ハンドル100の取り付け部の具体例を表す組立図である。
【図24】操作ハンドル100のロータンク200への取り付け部を拡大した組立図である。
【図25】ストッパ93と操作ハンドル100の斜視組立図である。
【図26】ストッパ93と突起26との配置関係を表すために、操作ハンドル100とストッパ93を一部切断して表した一部切断正面図である。
【図27】出力軸70の防水構造を表す一部拡大断面図である。
【図28】出力軸70に取り付けるロッド72あるいはシャフト80に防水シールを設ける具体例を表す模式図である。
【図29】出力軸70に取り付けるロッド72あるいはシャフト80に防水シールを設ける具体例を表す模式図である。
【図30】出力軸70に取り付けるロッド72あるいはシャフト80に防水シールを設ける具体例を表す模式図である。
【図31】防水シールを外付けした具体例を表す模式図である。
【図32】防水シールを外付けした具体例を表す模式図である。
【図33】防水シールを外付けした具体例を表す模式図である。
【図34】防水シールを外付けした具体例を表す模式図である。
【図35】防水シールを外付けした具体例を表す模式図である。
【図36】傾斜ワッシャを介してロータンクに便器洗浄装置を中付けする工程を表す組立図である。
【図37】傾斜ワッシャを用いた便器洗浄装置の取り付け部を拡大した一部断面図である。
【図38】本発明の実施形態の便器洗浄装置10を入力軸22の側から眺めた模式図である。
【図39】リブ90Aが設けられた傾斜ワッシャ90を表す模式図である。
【図40】リブ90Aを有する傾斜ワッシャの取り付け部を拡大した一部断面図である。
【図41】本発明の実施の形態にかかる便器洗浄システムの全体構成を例示した概念図である。
【図42】市場に出回っている各種のロータンクの洗浄モードの典型的なものをまとめた一覧表である。
【図43】本発明の便器洗浄システムの制御部500をさらに具体的に例示したブロック図である。
【図44】本具体例の便器洗浄システムにおける信号の流れを例示したブロック図である。
【図45】本発明の便器洗浄システムの制御部500の第2の具体例を表すブロック図である。
【図46】本発明の便器洗浄システムの制御部500の第3の具体例を表すブロック図である。
【図47】外付け式の便器洗浄装置を水洗便器のロータンクに取り付けた状態を表す。
【図48】従来の便器洗浄装置の断面構造を例示する模式図である。
【図49】既存のロータンクの形態のいくつかを例示する模式図である。
【符号の説明】
【0116】
10 便器洗浄装置
20 螺合部
20C スリット
22 入力軸
24 突出基部
24D リブ
26 突起
30 螺合部
34 突出基部
40R 内壁面
41 減速手段
42 モータ
43〜46 ギア
50 筺体
53 ギアリターンスプリング
60 キャップシール(パッキンシール、端面シール、防水シール)
70 出力軸
70A 嵌合凹部
70B 嵌合部
70C 突起
70D 溝
70G 溝
72 引き上げロッド
72A 嵌合部
72B 嵌合部
72C 溝
72D 突起
72G 溝
72R 溝
76 配線コード
78 コネクタ
80 シャフト
80A 凹部
81 ワッシャ
81S スリット
82 スペーサ
83 ピン
84 玉鎖レバー
84H 挿入穴
84M マーク
86 ピン
90 傾斜ワッシャ
90A リブ
91 ワッシャ
91P 突起
92 ナット
93 ストッパ
93A、93B 当たり面
94 ネジ
98 固定具
100 手動操作ハンドル
136 排出口
138 フロート弁
142 鎖
144 ロッド
152 ギア
154 モータ
156 出力軸
158 ギア
160 中間ギア
200 ロータンク
202 貫通穴
202 開口
220 玉鎖
290 穴
300 便器
400 便座
402 接続口
500 制御部
502 モード選択信号
504 洗浄指令信号
510 リモートコントロール装置
510A 洗浄モード決定部
510B 洗浄指令信号送信部
520 駆動部
520A 洗浄モード決定部
520B 制御信号供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水弁を有するロータンクに取り付け可能であり出力軸を介して前記排水弁を引き上げる便器洗浄装置であって、
モータと前記モータの出力を減速する減速手段とを収容した筺体と、
前記筺体から第1の方向に突出した第1の螺合部と、
前記筺体から前記第1の方向とは反対の第2の方向に突出した第2の螺合部と、
前記第1の螺合部内に設けられ、手動による駆動力を入力可能とした入力軸と、
前記第2の螺合部内に設けられ、前記入力軸及び前記減速手段から出力可能な出力軸と、
を備え、
ロータンクに設けられた貫通穴に前記第1及び第2の螺合部のいずれも挿入させ螺旋止め可能とされたことを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
前記筺体と前記第1の螺合部との間に設けられた第1の突出基部と、
前記筺体と前記第2の螺合部との間に設けられた第2の突出基部と、
をさらに備え、
前記第1及び第2の突出基部は、略同一形状を有し、
前記ロータンクに設けられた前記貫通穴に前記第1及び第2の突出基部のいずれも挿入可能とされたことを特徴とする請求項1記載の便器洗浄装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の螺合部は、同一の螺旋径を有することを特徴とする請求項1または2に記載の便器洗浄装置。
【請求項4】
前記出力軸の周囲から前記筺体の内部への水分の侵入を抑止する防水シールが設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の便器洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の便器洗浄装置と、
前記便器洗浄装置の動作を制御する制御信号を供給する制御部と、
を備えたことを特徴とする便器洗浄システム。
【請求項6】
前記制御部は、複数の洗浄モードに関する制御情報を格納し、前記複数の洗浄モードのいずれかを設定可能とし、前記設定された洗浄モードに基づいた制御信号を前記便器洗浄装置に供給することを特徴とする請求項5記載の便器洗浄システム。
【請求項7】
前記制御部が便座に付設されたことを特徴とする請求項5または6に記載の便器洗浄システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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