説明

便器洗浄装置

【課題】放水量の正確な定量化を図れる便器洗浄装置を提供すること。また、貯水タンクの小型化を図れる便器洗浄装置の提供をすること。
【解決手段】貯水タンク1内の洗浄水を便器洗浄用の放水管101に放水する便器洗浄装置100であって、貯水タンク1内に取水口32を有する取水管30と、取水管30に放水開始用の呼び水を導入するための放水開始弁20と、取水口32から放水開始弁20に至る取水管30の経路途中であって、且つ取水口32に対して高い位置に空気の停留部を形成するトラップ31と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器洗浄装置に関し、より詳細には、サイホン現象の発生を用いた洗浄水の放水技術に関する。
【背景技術】
【0002】
便器の洗浄装置として、例えば、日本国特許公開2001−323530号公報に示す洗浄水節水装置等が知られている。
この洗浄水節水装置は、貯水タンクの底部に設けられた主放水管と、主放水管に設けられた主フロート弁(大使用フロート弁)と、主放水管に連通した副放水管と、副放水管に設けられた副フロート(小使用フロート弁)とを備え、小使用放水時には、副フロート弁の開弁によって適量の洗浄水が副放水管を通じて主放水管に放水される仕組みになっている。
【0003】
より詳しく説明すると、操作レバーの操作を受けて副フロート弁が副放水管の開口端より離反浮上して放水が開始される。また、放水に伴い貯水タンクの水位が低下すると、副放水管の吸引力が副フロート弁の浮力に勝り、副フロート弁は副放水管の開口端を閉ざして放水を停止させる。
【0004】
ところで、本発明者らの鋭意研究によれば、従来の便器洗浄装置について種々の改善すべき点が見い出された。
まず、着目すべき点として、従来の便器洗浄装置はフロート弁を用いて放水量を調節している。しかしながら、フロート弁の動きは、貯水タンク内に生じる水流や放水管に対するフロート弁の浮上位置の変動といった偶発的要因に委ねられ、必ずしも正確に放水量を調節できるとは言い難かった。
【0005】
また、従来の便器洗浄装置は、大用並びに小用のフロート弁を貯水タンク内に収容するため、必要量の洗浄水を貯水タンク内に確保するには、貯水タンクの大型化を余儀なくされていた。また、洗浄に要する強い水流を確保するには、副放水管に対して十分高い位置に満水水位を保つ必要があり、この点においても貯水タンクを高さ方向に大型化する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−323530号公報
【特許文献2】実願昭48−106363号(実開昭50−53943号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような技術的背景を考慮してなされたものであり、放水量の正確な定量化を図れる便器洗浄装置を提供することを目的とする。また、貯水タンクの小型化も図れる便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、貯水タンク内の洗浄水を便器洗浄用の放水経路に放水する便器洗浄装置であって、前記貯水タンク内に開口端を有する取水管と、前記取水管に放水開始用の呼び水を導入するための放水開始弁と、前記開口端から前記放水開始弁に至る取水管の経路途中で
あって、且つ前記開口端に対して高い位置に空気の停留部を形成するトラップと、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明の便器洗浄装置によれば、放水開始弁の開弁に伴う呼び水の導入によって取水管内にサイホン現象が生じるため、貯水タンク内の洗浄水は、取水管内へと強制的に吸引されて放水に供される。また、取水管の開口端が、放水に伴う水位の低下を受けて貯水タンク内に表出すると、この表出した開口端を通じて止水用の空気が取水管内に取り込まれる。よって、この空気の導入によりサイホン現象は終了し、以後、取水管を通じた放水は自動的に停止する。
【0010】
すなわち、本発明では、取水管に生じるサイホン現象を利用して放水を行うため、放水の停止時期は貯水タンクの水位変化のみに委ねられる。よって、定量の洗浄水を放水経路に対して正確に供給することが可能になる。
【0011】
また、本発明の便器洗浄装置は、定量の洗浄水をフロート弁を用いることなく放水することができるため、貯水タンクの容量を有効に活用することができる。また、サイホン現象の発生に伴う取水管の吸引力を利用して放水を行うため、水位の高低差を利用した従来の放水方式に較べて放水開始時から放水停止時まで安定した水流を得ることができ、よって、満水水位を高く設定せずとも高い洗浄力を得ることができる。また、貯水タンクをその高さ方向において小型に製作することができる。
【0012】
また、本発明の便器洗浄装置は、前記トラップから前記取水管の開口端に至る経路途中に、前記貯水タンクの水位低下に伴いこの貯水タンク内に表出する中間開放弁が設けられている構成であってもよい。
【0013】
この構成では、中間開放弁がトラップから取水管の開口端に至る経路途中に設けられている。このため中間開放弁の開弁時には、貯水タンク内の水位が中間開放弁に達したときに、この中間開放弁を通じて止水用の空気が取り込まれる。よって、中間開放弁の開弁時には、貯水タンクの水位が取水管の開口端に達する前に放水が停止するため、取水管の開口端を通じた放水に較べて少量の放水が可能になる。つまり、中間開放弁の開弁時には、取水管の開口端を通じた放水に較べて放水限界水位が上昇するため、少量の放水が可能になる。また、その放水量は、貯水タンクの満水水位に対する中間開放弁の深さの設定によって任意に調節することができる。
【0014】
また、前記放水開始弁は、前記貯水タンクの内部であって、且つ前記取水管に設けられる中間開放弁に較べて低い位置に設けられている構成であってもよい。
この構成では、貯水タンクの内部に放水開始弁が設けられ、さらにその位置は、取水管の中間開放弁に較べて低い位置に設けられている。よって、中間開放弁の開弁時に較べて多くの放水量を要するときには、この放水開始弁を開弁することで貯水タンク内の洗浄水をさらに放水経路へと供給することができる。
【0015】
また、本発明の便器洗浄装置は、前記開口端は大使用放水時の取水口として設定され、前記中間開放弁は小使用放水時の取水口として設定され、前記中間開放弁には、小使用放水時において前記中間開放弁を開弁位置に保持すると共に、大使用放水時に前記中間開放弁を閉弁位置に復帰させる弁体保持機構(開閉操作機構)が設けられている構成であってもよい。
【0016】
このように構成された本発明の便器洗浄装置では、取水管の開口端が大使用放水時の取水口として設定され、取水管の経路途中に設けられる中間開放弁が小使用放水時の取水口として設定されている。また、小用の放水並びに大用の放水の選択に伴い、中間開放弁を
開閉する弁体保持機構を便器洗浄装置が備えるため、大使用時の放水並びに小使用時の放水において放水限界水位が変化し、以て、大使用時の放水量及び小使用時の放水量のいずれかを任意に選択することが可能になる。
【0017】
また、本発明の便器洗浄装置は、前記貯水タンクの満水水位に対する中間開放弁の深度を変更するための深度変更機構を備えた構成であってもよい。
この構成によれば、深度変更機構を用いることで中間開放弁の位置を貯水タンクの上下方向において任意に調節することができるので、この中間開放弁の位置の変更に伴い、中間開放弁の開弁時における放水限界水位を変更することができる。よって、所望の放水量での放水が可能になる。
【0018】
なお、ここで深度変更機構の構成は、貯水タンクの水位に対する中間開放弁の深度を貯水タンクの高さ方向において任意に変更可能であれば足りる。
また、本発明の便器洗浄装置は、前記貯水タンク内に立設する可動式のオーバーフロー管と、前記中間開放弁が設けられると共に前記取水管に対してスライド自在のスリーブとを備え、前記深度調整機構は、前記オーバーフロー管に対する操作を前記取水管に対するスリーブの上下運動に置換してスリーブに伝達する構成であってもよい。
【0019】
この構成では、貯水タンク内にオーバーフロー管が設けられている。また、取水管は、中間開放弁が設けられたスリーブを備えている。また、オーバーフロー管は可動式であり、このオーバーフロー管に対する操作が深度調整機構を介してスリーブの上下運動に置換されてスリーブに伝達される。よって、スリーブの上下動に伴い任意の深度に中間開放弁を位置づけることが可能になる。なお、ここでオーバーフロー管の操作とは、オーバーフロー管を上下動させる、およびオーバーフロー管を回転させるなど、オーバーフロー管の状態の変化を伴う動作に相当する。
【0020】
また、本発明の便器洗浄装置は、前記オーバーフロー管の外周に、オーバーフロー管の上下方向に延びる螺旋状の溝が形成されると共に、この螺旋状の溝の回転に追従して前記オーバーフロー管の上下方向に移動するブラケットが設けられ、前記スリーブは、前記ブラケットに連結されると共に前記オーバーフロー管を回転させる操作を受けて前記オーバーフロー管の上下方向に移動する構成であってもよい。
【0021】
この構成では、オーバーフロー管の外周に螺旋状の溝が形成されている。また、螺旋状の溝に噛み合うブラケットが設けられ、ブラケットは、オーバーフロー管の操作に伴う螺旋状の溝の回転に追従してオーバーフロー管の上下方向に移動する。また、中間開放弁が形成されるスリーブはブラケットに連結されており、スリーブはブラケットと共に上下動することになる。つまり、本構成ではオーバーフロー管を回転させる操作によってスリーブが上下動するため、このオーバーフロー管の操作に伴う中間開放弁の深度の設定が可能になる。
【0022】
また、本発明の便器洗浄装置は、前記放水開始弁及び前記中間開放弁の少なくとも一方に、弁体駆動用のシリンダが設けられ、前記シリンダは、前記弁体を駆動するための駆動媒体を前記シリンダに供給する供給装置に連結されている構成であってもよい。
【0023】
この構成では、放水開始弁若しくは中間開放弁等の操作にあたり、弁体駆動用のシリンダを用いて開閉操作を行っている。このため、開閉操作に要する複雑なリンク機構を貯水タンク内に設ける必要もなく、貯水タンク内を簡易に構成することができる。
【0024】
また、本発明の便器洗浄装置は、前記シリンダは、前記放水開始弁及び中間開放弁の双方に各々設けられ、前記供給装置には、各シリンダに対する駆動媒体の供給動作を個々に
制御する制御装置が設けられ、前記制御装置は、便器の利用時間を検知するセンサを有すると共に、その利用時間に応じて前記駆動媒体を供給すべきシリンダを選択している構成であってもよい。
【0025】
この構成では、放水開始弁及び中間開放弁の双方にシリンダが設けられ、各シリンダに対する駆動媒体の供給動作は制御装置によって制御されている。また、制御装置は、便器の利用時間を検知するセンサを備え、その利用時間に応じて駆動媒体を供給すべきシリンダを選択している。よって、利用者の用途に応じた放水が自動的になされる。
【0026】
また、前記シリンダは、前記貯水タンクの満水水位に較べて高い位置に設けられている構成であってもよい。
この構成によれば、貯水タンクの満水水位に対して高い位置にシリンダが設けられているため、シリンダは水圧の影響を受けることがなく、僅かな力で作動する。つまり、駆動媒体の供給圧の低い簡易な供給装置を採用することができる。
【0027】
また、前記シリンダに連結される弁体はフロート弁であり、前記シリンダに供給する駆動媒体は空気であり、前記供給装置は、前記シリンダの内圧が、1.08気圧以上1.35気圧以下に維持されるように空気を供給している構成であってもよい。
【0028】
この構成では、弁体駆動用のシリンダに空気を供給して放水開始弁及び中間開放弁等の弁体を操作している。また、空気の供給時において、シリンダ内の圧力(気圧)は、1.08気圧以上1.35気圧以下に維持されているため、放水開始弁や中間開放弁にフロート弁を採用した場合においても、水位の低下に伴うフロート弁の閉弁動作を妨げることがない。つまり、上記範囲に気圧を維持することで、フロート弁の閉弁機能を損なうことなくフロート弁を開弁することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によれば、放水量の正確な定量化を図れる便器洗浄装置を提供することができる。また、貯水タンクの小型化も図れる便器洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態における便器洗浄装置の概略構成図。
【図2】本実施形態における中間開放弁の弁体保持機構を示す図。
【図3】小使用放水時の初期における中間開放弁の開閉状態を示す図。
【図4】小使用放水時の終期における洗浄水及び止水用空気の流れを示す図。
【図5】大使用放水時の初期における中間開放弁の開閉状態を示す図。
【図6】大使用放水時の終期における洗浄水及び止水用空気の流れを示す図。
【図7】本実施形態に示す操作機構の非作動状態(非操作状態)を示す図。
【図8】大使用操作方向における操作機構の作動状態を示す図。
【図9】小使用操作方向における操作機構の作動状態を示す図。
【図10】本実施形態における中間開放弁の弁体保持機構にフロートを採用した図。
【図11】本実施形態における放水開始弁にフロート弁を採用した図。
【図12】図1中矢印A方向から捉えた取水管並びにオーバーフロー管を示す図。
【図13】図12の要部拡大断面図。
【図14】本実施形態に係る操作機構として、電気駆動式の操作機構を採用した例を示す図。
【図15】図14の操作機構に係る空気供給装置を上方から捉えた透視図。
【図16】図14の操作機構に係る空気供給装置を正面から捉えた透視図。
【図17】電気駆動式の操作機構に設けられるエアシリンダの内部を示す概略構成図。
【図18】電気駆動式の操作機構に設けられる制御装置内にて処理するプログラムのフローチャート。
【図19】本実施形態に係る深度調節機構の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。
本実施の形態に示す便器洗浄装置100は、貯水タンク1の底部に設けられた弁ハウジング10と、弁ハウジング10に組み込まれた放水開始弁20と、貯水タンク1の底部から上部へと延出された取水管30と、取水管30の経路途中に設けられた中間開放弁40と、弁ハウジング10に支持されたオーバーフロー管70と、中間開放弁40並びに放水開始弁20の開閉操作を行うための操作機構50と、貯水タンク1に洗浄水を給水するための給水機構(図示せず)とを備え、貯水タンク1内に供給された洗浄水は、操作機構50の操作に伴い、弁ハウジング10を通じて放水管(放水経路)101へ放水される。
【0032】
弁ハウジング10は、図1に示すように、4方向に開口部11,12,13,14を有する多分岐型の弁ハウジング10であり、貯水タンク1の底部に面した主たる開口部11は、貯水タンク1の底部を貫通して弁ハウジング10に達する放水管101に接続されている。また、弁ハウジング10において図1中の奥手に開口した開口部14は、貯水タンク1の上部へと延びるオーバーフロー管70に連結されている。また、貯水タンク1内に位置した残る2つの開口部12,13は、その一方の開口部12に放水開始弁20が組みまれ、残る他方の開口部13には貯水タンク1の上部に延びる取水管30が接続されている。
【0033】
放水開始弁20は、操作機構50から延びる放水開始弁操作用の鎖51に連結された弁体21と、弁体21を弁ハウジング10の弁座に向かって付勢するスプリングフック22とを備え、放水開始弁20は常態において閉じた状態にある。なお、本実施形態において、常態とは操作機構50の非作動状態(非操作状態)に相当する。
【0034】
取水管30は、逆U字型の屈曲部31を経路途中に有するサイホン流路を構成しており、その取水側開口端(以下、取水口32と称する)は、貯水タンク1の上部に位置した屈曲部31を折り返し点として、貯水タンク1の底部に向かって開口している。
【0035】
より詳しく説明すると、取水管30は、弁ハウジング10との接続部を始点として貯水タンク1の上部へと延び、さらに貯水タンク1の上部に位置した逆U字型の屈曲部31を経て貯水タンク1内で折り返す。また、その開口端32は貯水タンク1の底部で開口している。
【0036】
また、上記逆U字型の屈曲部31が、止水用空気の停留部となるトラップを取水管30内に構成している。また、以下の説明では上記屈曲部31にて構成される部位を単にトラップと称する。
【0037】
続いて、図2を参照して中間開放弁40について説明する。
中間開放弁40は、放水開始弁20に対して高い位置であって且つ取水口32からトラップ31に至る経路中に設けられたスリーブ形状の弁ハウジング41と、操作機構から延びる中間開放弁操作用の鎖52に連結された弁体42とを備えている。
【0038】
弁ハウジング41は、取水管30の外径とほぼ等しい内径を有するスリーブ41aと、スリーブ41aを貫通して取水管30の壁面に達する管状部材41bとを備え、弁体42は、管状部材41bの端縁を弁座として弁ハウジング41に設けられている。
【0039】
また、取水管30側には、取水管30の上下方向に長い開口部33(中間開放弁)が形成されており、弁ハウジング41を構成しているスリーブ41aを取水管30の上下方向に移動することで、取水管30に対する中間開放弁40の実質的な高さを変更することが可能である。また、換言すれば、スリーブ41aを上下動させることで貯水タンク1の満水水位に対する中間開放弁40の深度を変更することができるといえる。
【0040】
なお、弁ハウジング41を形成しているスリーブ41aの外径や内径は任意に変更することができ、上述のアウタースリーブの形態の他、インナースリーブの形態をとってもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、中間開放弁40の深度設定にあたり、貯水タンク1内に設けられたオーバーフロー管70を操作することで、中間開放弁40の深度の変更を可能にしている。
【0042】
まず、図12および図13に示すようにオーバーフロー管70の外周には、オーバーフロー管70の上下方向に延びる螺旋状の溝71(雄ねじ)が形成されている。また、この溝に噛み合う歯を内周面に備えた筒状のブラケット72がオーバーフロー管70に設けられている。また、中間開放弁40を構成しているスリーブ41aとブラケット72は一体に形成されており、ブラケット72はオーバーフロー管70並びに取水管30の双方に沿って貯水タンク1の上下方向に移動自在に支持される。
【0043】
また、オーバーフロー管70は、弁ハウジング10に対して回転自在に支持されており、オーバーフロー管70の回転に追従したブラケット72の上下動によって取水管30の上下方向にスリーブ41aが移動する仕組みになっている。
【0044】
つまり、オーバーフロー管70を回転させるといった操作によってスリーブ41aが移動するため、このオーバーフロー管70の操作に伴い満水水位に対する中間開放弁40の深度を変更することができる。
【0045】
なお、中間開放弁40の深度設定は、小用放水時(便器内の小便等を洗浄するための比較的少量の放水時)の放水量を適量に設定するための操作であり、この中間開放弁40の深度設定により、各種使用に適した放水量を得ることができる。また、中間開放弁40の深度の設定と放水量については、後に詳述する。また、上記オーバーフロー管70やブラケット72等によって、本発明の深度変更機構が構成されている。なお、大用放水とは、便器内の大便等を洗浄するための比較的大量の放水のことである。
【0046】
続いて、中間開放弁40に設けられる弁体保持機構60について説明する。
中間開放弁40は、操作機構50における小用並びに大用の放水の選択に伴い、この中間開放弁40に設けられた弁体42を開弁位置に保持する機能及び開弁位置にあった弁体42を閉弁位置に復帰させるための機能を有する、弁体保持機構60を備えている。
【0047】
弁体保持機構60は、弁体42の上面に形成された係止爪61と、係止爪61との噛み合いによって弁体42を開弁位置に保持するスプリングフック62と、操作機構50とスプリングフック62とを連結するスプリングフック操作用の鎖63とを備え、操作機構50から延びる中間開放弁操作用の鎖52並びにスプリングフック操作用の鎖63の操作を受けて、弁体42の開閉操作を行っている。 また、その動作については、図3〜図6に
示すように、操作機構50から延びる中間開放弁操作用の鎖52の引き上げによって弁体42が上方へ移動し(図3参照)、また、この移動に伴い係止爪61がスプリングフック62の先端に係合して中間開放弁40が開弁位置で保持されることとなる(図4参照)。
また、係止爪61とスプリングフック62の係合状態を解除するには、図5に示すようにスプリングフック操作用の鎖63を引き上げることで係止爪61とスプリングフック62の係合状態が解かれ、弁体42は自ずと閉弁位置に復帰する(図6参照)。
【0048】
続いて、図7〜図9を参照して操作機構50を説明する。
操作機構50は、貯水タンク1の上部において揺動自在に設けられた操作レバー55と、この操作レバー55と共に揺動する中立部材56と、操作レバー55の支軸51aを支点として中立部材56の一側方(図8中左方)に揺動自在な大使用操作プレート57と、中立部材56の他側方(図9中右方)に揺動自在な小使用操作プレート54とを備え、その各々は操作対象たる弁体21,42や中間開放弁40のスプリングフック62に鎖やリンク機構(図示せず)を介して連結されている。
【0049】
より詳しく説明すると、中立部材56は、放水開始弁20の開弁に用いられる放水開始弁用の鎖51に連結されている。また、大使用操作プレート57は、中間開放弁40の閉弁に用いられるスプリングフック用の鎖63に連結されている。また、小使用操作プレート58は、中間開放弁40の開弁に用いられる中間開放弁操作用の鎖52に連結されている。
【0050】
また、図7中左方に向かう操作レバー55の操作を大使用操作方向とし、図7中右方に向かう操作レバー55の操作を小使用操作方向として各部材の作動状態を説明すると、中立部材56は大使用操作方向並びに小使用操作方向の双方において放水開始弁用の鎖51を引き上げ、放水開始弁20を開弁する。
【0051】
また、大使用操作プレート57は、大使用操作方向への操作時において中間開放弁40のスプリングフック62をスプリングフック用の鎖63で上方へ引きあげる(図8参照)。また、大使用操作方向への操作時には、中立部材56及び大使用操作プレート57の移動に伴い放水開始弁20が開弁し、また、中間開放弁40のスプリングフック62が持ちあげられて中間開放弁40の開弁位置における弁体42の保持状態が解かれ、中間開放弁40が閉弁する(図5参照)。
【0052】
一方、小使用操作プレート54は、小使用操作方向への操作時において中間開放弁40の弁体42を中間開放弁操作用の鎖52で上方へ引きあげる(図9参照)。また、小使用操作方向への操作時には、中立部材56及び小使用操作プレート58の移動に伴い、放水開始弁20が開弁し、また、中間開放弁40の弁体42が持ち上げられて中間開放弁40が開弁位置に保持される(図3参照)。
【0053】
続いて、貯水タンク1の水位変化を踏まえて本便器洗浄装置100の放水原理を説明する。
【0054】
<大使用放水時>
まず、操作レバー55を大使用操作方向に操作すると放水開始弁20が開弁し、この放水開始弁20を通じて取水管30に洗浄水が流れ込む。また、この洗浄水が呼び水ととなって取水管30にサイホン現象が生じ、サイホン現象の発生に伴う管内圧力の低下によって、貯水タンク底部の取水口32を通じて取水管30に洗浄水が流れ込む。そして、取水管30を経て放水管101へ洗浄水が放水される。
【0055】
また、中間開放弁40は大使用放水時において閉弁状態にあるため、放水は、貯水タンク底部の取水口32に水位が達するまで持続する。そして、取水口32に水位が達すると、この取水口32を通じて取水管30内に止水用の空気が流込みサイホン現象は停止する。よって、サイホン現象の停止を受けて放水も終了する。
【0056】
<小使用放水時>
小使用放水時は、操作レバー55を小使用操作方向に操作することで放水開始弁20が開弁し、上記同様のサイホン現象の発生を受けて放水が開始される。
また、小使用放水時には、中間開放弁40が開弁位置に保持されており、貯水タンク1の水位が中間開放弁40に達すると中間開放弁40を通じて止水用の外気が取水管30内に取り込まれ、放水が終了する。
【0057】
また、小使用放水時には、中間開放弁40がスプリングフック62によって開弁位置に保持された状態にあり、以後の操作では、大使用操作方向への操作に伴う開弁状態の解除動作が生じるまで中間開放弁40は開弁位置に保持されている。なお、小使用の操作に続く次回の操作が、再び小使用の操作であった場合には中間開放弁40の開弁状態が継続しているものの小使用放水時に求められる放水量は、中間開放弁40に対応した水位迄で足りるため、中間開放弁40の閉弁は特に必要ない。そして、大使用の放水操作を受けて中間開放弁40が閉じ、以後、取水口32を通じての放水が可能になる。
【0058】
なお、大使用時並びに小使用時の放水に要する操作レバー55の操作時間は、取水管30にサイホン現象を発生させる程度で足り、放水終了時まで操作レバー55を操作している必要はない。つまり、放水開始弁20の開弁時間はわずかで足り、サイホン現象の発生後は、放水開始弁20の開弁の有無を問わず、貯水タンク1内の水位が放水限界水位に達するまで放水が持続する。
【0059】
また、ここで中間開放弁40の深度と放水量の関係を説明すると、小使用放水時には、上述の如く貯水タンク1の水位が中間開放弁40に達すると放水が終了する。したがって、貯水タンク1の満水水位に対する中間開放弁40の深度を深くとれば、小使用放水時における放水限界水位が低い位置に設定されるため、以前に増して多くの洗浄水を放水することができる。また、中間開放弁40の深度を浅くとれば少量の放水が可能になる。
【0060】
このように本実施形態に示す便器洗浄装置100によれば、操作レバー55を大使用放水方向或いは小使用放水方向に切り替える度に貯水タンク1内の放水限界水位が変化するため、大使用放水時並びに小使用放水時の双方において、常に適量の洗浄水を操作レバー55の簡易な操作によって正確に供給することが可能になる。
【0061】
また、本実施の形態では、フロート弁を用いることなく貯水タンク1内の洗浄水を放水することができるため、貯水タンク1の容量を有効に活用することができる。また、サイホン現象の発生に伴う取水管30の吸引力を利用して放水を行うため、水位の高低差を利用して放水を行う従来の方式に較べて貯水タンク1をその高さ方向において小型に製作することが可能になる。
【0062】
また、本実施の形態では、小使用放水時の放水量をオーバーフロー管70の操作による中間開放弁40の深度変更によって調整できるため、放水量を調整する際には、貯水タンク1内に手指を入れること無く放水量を変更できる。つまり、洗浄水の水面に望むオーバーフロー管70の先端部を摘んでオーバーフロー管70を回転させることで、手指を洗浄水で濡らすことなく放水量を調整することが可能である。
【0063】
なお、上記した実施の形態はあくまでも一実施形態であり、その詳細は便器洗浄装置100の仕様などに合わせて適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、開弁位置に保持された中間開放弁40を閉弁位置に復帰させるために大使用操作方向への操作を要するが、図10に示すようにフロート65にL字型のフック68を連結し、水位の変化に伴うフロート65の上下動によって弁体4
2の開弁位置における保持状態を解除するように構成してもよい。
【0064】
より詳しくは、図10に示すように、満水水位より低い水位では、中間開放弁40を開弁位置で保持し得る位置にフック68が下降し、満水水位ではその開弁状態を解除し得る位置にフック68が上昇する角度でフロート65とフック68のなす角度を設定する。
【0065】
この構成では、満水水位において中間開放弁40は常に閉弁位置にあるものの、小使用の放水に伴いフロート65が下降すると、小使用の放水に伴い開弁された中間開放弁40(弁体42)がフック68に係止されて開弁位置に保持される。また、放水の終了を受けて貯水タンク1の水位が満水水位に復帰すると中間開放弁40の拘束は解かれて再び閉弁位置に復帰する。
【0066】
また、大使用操作方向への操作時には、水位の低下に伴いフック68が中間開放弁40を保持し得る位置に下降するが、大使用操作方向への操作時には、中間開放弁40の開閉操作が行われないため、中間開放弁40はフック68に係止されることなく閉弁位置に留まる。
【0067】
また、上記した放水開始弁20や中間開放弁40の構造や形状は、その時々に求められる開閉状態に即して開閉操作可能であれば足り、例えば、ピストン等を用いたスライド式のバルブ等で構成することも可能である。また、上記した取水管30については、分割式にして取水口の高さを変更自在に構成したり、或いは伸張自在に構成するなど各種仕様に応じて変更可能である。
【0068】
また、貯水タンク1の底部と上部とを繋ぐ水位観測ゲージ80を貯水タンク1の外部に設けて貯水タンク1の水位を貯水タンク1の外部より観測できるようにしてもよい。また好ましくは、貯水タンク1から水位観測ゲージ80に通じる流路に止水弁81を設けて、水位観測時にこの止水弁を開いて水位観測ゲージ80内に洗浄水を流入させるようにするとよい。
【0069】
また、本実施の形態では、放水開始弁20として、弁座に付勢された弁体21を用いているが、たとえば、図11に示すように放水開始弁20としてフロート弁90(ボールタップ)を用いることも可能であり、この場合には、放水開始弁20を大使用時の放水弁として利用することもできる。
【0070】
なお、放水開始弁20にフロート弁90を用いた場合においても、このフロート弁90は取水管30に呼び水を導入するための機能を失うことはなく、小使用放水時には、このフロート弁90をわずかに開弁することで、以後、操作レバー55を操作することなく小使用放水時の限界水位まで自動的に放水が行われる。 また、この構成では、放水開始弁
20が大使用時の放水弁として機能するため、取水管30を貯水タンク1の底部に延長する必要もなく、中間開放弁40を通じて直に小用の洗浄水を取水することもできる。つまり、中間開放弁40も不要になり、簡易な構成で小使用放水時の定量化を図ることができる。
【0071】
また、上記した実施形態では、深度調整機構として取水管30に対して上下動自在なスリーブ41aを用いたが、必ずしもその必要はなく、例えば、図19に示すように、弁体21(フロート弁90)が着座する弁座23を弁ハウジング10に対して昇降自在に設けるなどの構成であってもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、中間開放弁40並びに放水開始弁20の開閉操作について、電気等の動力を用いること無く開閉操作を行っているが、必ずしもその必要はなく、電
動モータやスイッチ等で構成される電気式の操作機構を用いて各種弁体の開閉を制御することも可能である。
【0073】
なお、電気式の操作機構としては、例えば、図14から図17に示す操作機構110などを例示できる。
この例では、中間開放弁40をフロート弁40aで構成すると共に、放水開始弁20及び中間開放弁40を個々に引き上げるためのエアシリンダ111,112を貯水タンク1の上部に備えている。また、各エアシリンダ111,112に適宜のタイミングで空気(駆動媒体)を供給する空気供給装置120が貯水タンク1の側面に設けられている(図15参照)。
【0074】
空気供給装置120は、エアシリンダ111,112に空気を供給するためのエアポンプ121と、エアポンプ121からエアシリンダ111,112に至るエアホース111a,112aを切り換える切換弁122と、便器の利用を感知するための人体感知センサ123と、放水を促す利用者の動作を感知する放水開始センサ124と、空気を供給すべきエアシリンダ111,112を各種センサの出力に応じて選択する制御装置125とを備えている。
【0075】
放水開始弁20及び中間開放弁40を開弁するエアシリンダ111,112は、図14に示すようにオーバーフロー管70の上部に固定されており、各エアシリンダ111,112には、対応する放水開始弁20及び中間開放弁40の弁体21,40aが吊り下げられている。
【0076】
なお、エアシリンダ111,112は、図17に示すようにシリンダ本体130内に組み込まれたピストン131の上昇運動を各弁体21,40aの引き上げ動作に置換する簡易なリンク機構132を備えている。また、リンク機構132には、リンク機構132を初期の位置に復帰させるリターンスプリング134の他、手動操作用のワイヤー133が設けられており、ワイヤー133を引くことで、エアポンプ121の非作動時においても各弁体21,40aを開弁することができる仕組みになっている。なお、手動操作用のワイヤー133は空気供給装置120内に設けられる手動操作レバー126に連結されており、この手動操作レバー126を引くことでワイヤー133の操作が可能である。
【0077】
エアポンプ121は、切換弁122及びエアホース111a,112aを通じて各エアシリンダ111,112に連結しており、その吐出圧は、エアシリンダ111,112内の気圧が1.05気圧以上1.5気圧以下、より好ましくは、1.08気圧以上1.35気圧以下となるように調節されている。また、エアシリンダ111,112は、水圧の影響を避けるために洗浄水の満水水位よりも高い位置に設けられており、上述の如く低圧の空気でも作動できるようになっている。
【0078】
なお、中間開放弁40用のエアシリンダ112においては、その内部気圧を約1.1気圧に設定することで、フロート弁40aの閉弁動作を阻害することなくフロート弁40aを良好に開弁することができた。より詳しくは、エアシリンダ112の内圧が高すぎるとフロート弁40aは水位が低下しても閉弁せず、また、エアシリンダ112の内圧が低すぎるとフロート弁40aを開弁できないといった不具合が発生する可能性があるため、本実施例では上述の如くエアポンプ121の吐出圧をレギュレーター等で適正値に保ち、この不具合を解消している。
【0079】
切換弁122は、ソレノイドバルブ122a,122bを内蔵しており、制御装置125から出力される切換信号を受けて、各エアシリンダ111,112に至る通路を遮断及び開通する。
【0080】
制御装置125は、空気を供給すべきエアシリンダ111,112を選択する装置であり、上述の如く各種センサ123,124の出力に応じて切換弁122を操作している。
【0081】
なお、人体感知センサ123は、空気供給装置120に内蔵された赤外線センサ及び便座に設けられた圧力センサ(着座センサ)等を備え、赤外線センサで利用者を感知すると共に、圧力センサによって大使用時及び小使用時の判別を行っている。また、放水開始センサ124は、赤外線センサ等で構成され、利用者が放水開始センサ124に手をかざすと、放水開始センサ124はその旨を制御装置125に出力し、制御装置125は、エアポンプ121を駆動すると共に、人体感知センサ123の出力に応じて切換弁122を操作する。
【0082】
なお、図18は、洗浄水の放水にあたり、制御装置125内で処理される一連の処理内容を示すフローチャートである。
まず、制御装置125は、人体感知センサ123の出力を読み込み、人体感知センサ123による人体の感知を受けて(ステップ101)、利用時間のカウントを開始する(ステップ102)。
【0083】
続いて、圧力センサの出力に変化が生じることなく、利用時間が第1の経過時間を超えた場合には(ステップ103)、男性の小使用であると判断し、小使用を目的とした放水処理フラグを立てる(ステップ104)。
【0084】
なお、ここで第1の経過時間は、便器に女性が着座するまでの平均的な時間を考慮して定められた時間であり、この第1の経過時間を過ぎても圧力センサに変化が見られない場合には、便器への着座を伴わない男性の小使用とみなすことができる。また、圧力センサは、利用者の着座を感知するためのものであり、単なる便座の上げ下ろしについては、その旨を検出しない仕組みになっている。
【0085】
そして、制御装置125は、放水開始センサ124の出力に変化があったことを受けて小使用放水処理フラグを処理する(ステップ105,ステップ106)。より詳しくは、放水開始弁20及び中間開放弁40の双方に対して通路を開き、各エアシリンダ111,112に空気を供給する。
【0086】
また、第1の経過時間を超える以前に圧力センサの出力変化が検出された場合には、女性の利用若しくは男性による大使用であると判断して大使用を目的とした放水処理フラグを立てる(ステップ107)。
【0087】
続いて、制御装置125は、再び利用時間のカウントを開始する(ステップ108)。また、制御装置125は、利用時間が第2の利用時間に達する前に(ステップ109)、放水開始センサ124に入力があった場合には(ステップ110)、女性の小使用とみなし、大使用を目的とした放水処理フラグを小使用を目的とした放水処理フラグに置き換え(ステップ111)、小使用放水処理フラグを処理する(ステップ112)。なお、第2の利用時間は、女性が小用として便器を利用する際に要する最短時間等で定めることができる。
【0088】
また、制御装置125は、第2の利用時間経過後に放水開始センサ124の出力変化を検出した場合には(ステップ113)、大使用の放水とみなし大使用放水処理フラグを処理する(ステップ114)。より詳しくは、放水開始弁20に至る通路を開き、中間開放弁40に至る通路を閉ざし、放水開始弁20用のエアシリンダ111のみに空気を供給する。
【0089】
このように制御装置125内では、各種センサの出力に応じて放水処理フラグが選択的に成立し、この放水処理フラグに応じて切換弁122及びエアポンプ121が制御されている。なお、上記した処理内容は、あくまでも一例であり、その詳細は、各種仕様に応じて種々変更可能である。
【0090】
このように本便器洗浄装置によれば、空気を供給すべきシリンダ、すなわち開弁すべき弁体を、便器の利用時間に応じて選択している。よって、利用者の用途に応じた放水が自動的になされることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水タンク内の洗浄水を便器洗浄用の放水経路に放水する便器洗浄装置であって、
前記貯水タンク内に開口端を有する取水管と、
前記取水管に放水開始用の呼び水を導入するための放水開始弁と、
前記開口端から前記放水開始弁に至る取水管の経路途中であって、且つ前記開口端に対して高い位置に空気の停留部を形成するトラップと、
を備え、
前記トラップから前記取水管の開口端に至る経路途中には、前記貯水タンクの水位低下に伴いこの貯水タンク内に表出する中間開放弁が設けられ、
前記放水開始弁及び前記中間開放弁の少なくとも一方には、弁体駆動用のシリンダが設けられ、
前記シリンダは、前記弁体を駆動するための駆動媒体を前記シリンダに供給する供給装置に連結されていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
前記シリンダは、前記放水開始弁及び中間開放弁の双方に各々設けられ、前記供給装置には、各シリンダに対する駆動媒体の供給動作を個々に制御する制御装置が設けられ、
前記制御装置は、便器の利用時間を検知するセンサを有すると共に、その利用時間に応じて前記駆動媒体を供給すべきシリンダを選択していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の便器洗浄装置。
【請求項3】
前記シリンダは、前記貯水タンクの満水水位に較べて高い位置に設けられていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の便器洗浄装置。
【請求項4】
前記シリンダに連結される弁体はフロート弁であり、
前記シリンダに供給する駆動媒体は空気であり、
前記供給装置は、前記シリンダの内圧が、1.08気圧以上1.35気圧以下に維持されるように空気を供給していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の便器洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−127192(P2012−127192A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84284(P2012−84284)
【出願日】平成24年4月2日(2012.4.2)
【分割の表示】特願2006−532687(P2006−532687)の分割
【原出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000155333)株式会社木村技研 (29)
【Fターム(参考)】