説明

便器用受け座

【課題】便器に生ずる結露水、引っかけられた小水等を確実に捕捉して、据え付け床面の汚損、毀損等を防ぐ。
【解決手段】外周縁部に沿って環状起立部23を備えており、この環状起立部23の内側を便器本体11の下端部の外郭形状をなす設置板状部21と、設置板状部21及び環状起立部23間をなす所定幅の環板状部22としてあり、洋風便器Aを便器本体11の下端を設置板状部21に載せて床Cに据え付けた際に、据え付け便器本体11の下端部外周面11dと環状起立部23との間に環板状部22を溝底24aとする捕集液の拭き取り可能な環状凹溝24を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、据え付け用いられる洋風便器に生ずる結露水や、便器外周面を伝わって流下される小水等を、床面に届かない状態で確実に捕集すると共に容易に当該捕集液の拭き取り除去をなし得る便器用受け座の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
小水用にも用いられる洋風便器、所謂洋風大便器は、種々の条件のもとで、便器本体等に結露を生ずることが多く、この発生結露水が床面に滴下したり、便器本体等を伝わって床面に流れ落ちたりするなどして床面を汚し、あるいは、床材の劣化を招くなどの不具合があった。
【0003】
また、当該洋風便器で小水をした際に、小水が便器の外周面を伝わって床面を汚し、あるいは、床材の劣化を招く等の不具合があった。
【0004】
また、床面を濡らした結露水や小水等は、これらを逐一拭き取るように処置するようにした際にあっても、便器の据え付け下面に毛細管現象で侵入し、便器の据え付け縁部に特有の汚れを生ずる不具合があった。
【0005】
かかる点から、各種の結露対策等が講じられている。例えば、特許文献1では、便器の室内露出面に付着した結露水による床の変色や損傷を防止する目的で、便器の脚部と床との間に介在される環状部材からなる便器用結露受座が提案されており、環状部材の底面には床との接触面を設けてあるとともに、便器の脚部が載せられる脚部設置面を上面に設けてあり、さらに脚部設置面の外周には結露水を受ける溝状凹部を設けた便器用結露受座が提案されている。
【0006】
また、特許文献2では、便器に発生する結露水が床に付着しシミや腐れが生じないように、結露水を受け止め処理する目的で、便器台の周りに上げ縁を設け、便器台と便器が密着する部分に凸部を設け、便器台に便器の種頬に応じた、排水ソケットを設け、便器の固定方法に応じた便器固定部材と便器台及び便器固定ボルト穴を設け、さらに、便器台に便器台固定穴を設け、便器台の中ほどに、排水口を設けた結露処理便器台が提案されており、特に、図3では、便器台に結露水吸い取り口を設け、床下などに排水できない場合や排水が困難な場合に施工性に優れ、結露水が連続的に発生し自然蒸発では処理できない場合でも、結露水を結露水吸い取り口から吸い取り処理することのできる結露処理便器台が提案されている。
【0007】
また特許文献3では、工事の段取りがつけやすく、作業性のよいトイレ用防水パンを、防水パンに孔を設け、該孔に便器排水口を接続する床フランジを設け、該床フランジに伸縮屈曲自在な排水管の一端を接続し、排水管の他端が防水パンの裏側の周縁に沿ってスライド自在となるように排水管の他端を防水パンの裏側の周縁に排水管支持具を介して設けたトイレ用防水パンが提案されている。
【0008】
また、特許文献4では、洋風便器の据付作業を容易に行なえ、しかも、排水管又は排水ソケットと排水口とを確実に水密的に嵌合させることができる便器用底蓋及び便器据付工法を提案する目的、並びに、既設の洋風便器に対しても容易に防露用底蓋を装着する目的から、底蓋は、洋風便器の底面に内嵌する外形形状のものとし、上面には周縁部に沿って凸条が周設されており、洋風便器固定用ボルトの挿通用の開口と、排水ソケットの挿通用の開口とが設けられており、開口の周囲にはリング状の凸部が設けられており、開口の周囲には、排水ソケットの外筒部の外周面に弾性的に密着するリップ部が設けられている便器用底蓋が提案されている。
【特許文献1】特開2001−49724
【特許文献2】特開2001−355275
【特許文献3】特開平10−37282
【特許文献4】特開平9−125507
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3に示されるトイレ用防水パンは、かかる便器に生ずる結露水や、便器に引っかけられた小水等を確実に捕捉し得る構成を備えているものの、捕集した結露水や小水等を拭き取るための手段を、設置便器の意匠性を損なうこと無く備えるものではなく、一般的な社会生活空間、例えば、住宅、病院等の公共設備、店舗等において設置用いうるものではなかった。
【0010】
また、特許文献2に示される結露処理便器台は、結露水の吸い取り口が極めて小さく、しかも、備え付けられる便器の後部側の一方側に便器台に備えられていることから、結露水の管理が難しく、便器台によって捕集した結露水を確実にかつ円滑に当該吸い取り口に案内し難く、しかも、集めた結露水を容易に吸い取り処理し難いものであった。
【0011】
かかる洋風便器は、各種の条件に対応して結露を当該便器の外周面に生じたり、
また、当該便器の設置床面と便鉢間に構成される空間内における各種条件によって当該便鉢の下面や、袴部の内面や、排水口部及び当該排水口に接続される排水ソケット部等に結露を生ずることがあり、これらの便器から流れ落ち、あるいは落下する各種の液体を完全に捕捉し、しかも、この捕捉された各種液体を極力設置便器外に導き出して、当該便器外に案内される捕集液体を手際よく、かつ、容易に拭き取り処理し得る構成を備えた洋風便器は見あたらなかった。
【0012】
この発明は、かかる点から、設置されている便器に付着されて流れ落ちる小水や、便器の外周面や便鉢の下面等に生じて流れ落ち、あるいは、落下される結露水等を確実に受け入れて、これを便器外に導き出し、この設置便器を巡るいずれの位置においても当該導き出された捕集液を拭き取り得るようにした便器用受け座の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために第1の発明にあっては、洋風便器から垂れ落ち、または、流れ落ちる結露水や小水等の液を捕集する受け座であって、
この受け座が外周縁部に沿って環状起立部を備えており、この環状起立部の内側を便器本体の下端部の外郭形状をなす設置板状部と、当該設置板状部及び前記環状起立部間をなす所定幅の環板状部としてあり、
前記洋風便器を該洋風便器における便器本体の下端を前記設置板状部に載せて床に据え付けた際に、当該据え付け便器本体の下端部外周と前記環状起立部との間に前記環板状部を溝底とする捕集液の拭き取り可能な溝幅で、かつ、据え付け便器本体を周回する環状凹溝を構成し得るようにしてあることを特徴とする便器用受け座としてある。
【0014】
このように構成される便器用受け座は、据え付けられた洋風便器の外周面に生ずる結露水や引っかけられた小水等は勿論のこと、当該便器用受け座に向きあっている便鉢の下面、排水口部の外周面、この排水口部に接続されている排水ソケット部、当該排水ソケット部に接続されている排水管部、当該洋風便器における台座部(所謂袴と称する部分)の内側面等の据え付け洋風便器のいずれに生じた結露水であっても、全てを確実に捕捉し、これを据え付け便器本体の外周を巡る環状凹溝に案内し、この環状凹溝において容易に当該捕集液を拭き去り、除去することができる。
【0015】
また、この捕集液の拭き取りに用いられる環状凹溝は、便器本体の下端部外周を一方の溝面とするように、所定溝幅に構成してあり、用便や清掃等の妨げとならず、しかも、据え付け便器の意匠性を損なうことがない。
【0016】
前記課題を解決するために第2の発明にあっては、洋風便器から垂れ落ち、または、流れ落ちる結露水や小水等の液を捕集する受け座であって、
この受け座が、便器本体における下端部の外郭形状をなす盤状部と、この盤状部の外周に沿って当該盤状部を周回するように備えられている所定溝幅の環状凹溝部とを備えており、
前記洋風便器を該洋風便器における便器本体の下端を前記盤状部に載せて床に据え付けた際に、この据え付け便器本体の下端部の外周に沿った環状凹溝部が捕集液の拭き取り可能な溝幅としてあることを特徴とする便器用受け座としてある。
【0017】
このように構成される便器用受け座は、据え付けられた洋風便器の外周面に生ずる結露水や引っかけられた小水等は勿論のこと、当該便器用受け座に向きあっている便鉢の下面、排水口部の外周面、この排水口部に接続されている排水ソケット部、当該排水ソケット部に接続されている排水管部、当該洋風便器における台座部(所謂袴と称する部分)の内側面等の据え付け洋風便器のいずれに生じた結露水であっても、全てを確実に捕捉し、これを据え付け便器本体の外周を巡る環状凹溝部に案内し、この環状凹溝部において容易に当該捕集液を拭き去り、除去することができる。
【0018】
また、この捕集液の拭き取りに用いられる環状凹溝部は、便器本体の下端部外周に沿うように所定溝幅で構成してあり、用便や清掃等の妨げとならず、しかも、据え付け便器の意匠性を損なうことがない。
【0019】
また、盤状部を断熱性を備える素材で構成することによって、当該便器等における結露の発生を極力防ぐようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係る便器用受け座は、据え付け便器及び付帯設備に生ずる結露水を確実に捕捉することができ、また、便器に引っかけられた小水等を確実に捕捉して、据え付け便器の据え付け床面の汚損、毀損等を効果的に防ぎ、据え付け便器を快適な使用状態に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1〜図4にもとづいて、この発明を実施するための最良の形態に係る便器用受け座Bについて説明する。
【0022】
なお、ここで図1及び図2は、第1の発明を実施するための最良の形態に係る典型的な便器用受け座Bを用いて洋風便器Aを据え付ける状態を示しており、図1では、これを要部を破断した状態で側方から見て、図2は、当該洋風便器Aの据え付け状態を斜め上方から見て示している。
【0023】
図3及び図4は、当該第2の発明を実施するための最良の形態に係る典型的な便器用受け座Bを用いて洋風便器Aを据え付ける状態を示しており、図3では、これを要部を破断した状態で側方から見て、図4は、当該洋風便器Aの据え付け状態を斜め上方から見て示している。
【0024】
まず、図1及び図2に示される第1の発明に係る便器用受け座B’は、洋風便器Aから垂れ落ち、または、流れ落ちる結露水や小水等の液を捕集する受け座Bであって、
この受け座Bが外周縁部に沿って環状起立部23を備えており、この環状起立部23の内側を便器本体11の下端部の外郭形状をなす設置板状部21と、当該設置板状部21及び前記環状起立部23間をなす所定幅の環板状部22としてあり、
前記洋風便器Aを該洋風便器Aにおける便器本体11の下端を前記設置板状部21に載せて床Cに据え付けた際に、当該据え付け便器本体11の下端部外周面11dと前記環状起立部23との間に前記環板状部22を溝底24aとする捕集液の拭き取り可能な溝幅で、かつ、据え付け便器本体11を周回する環状凹溝24を構成し得るようにしてある。
【0025】
このように構成される便器用受け座B’は、据え付けられた洋風便器Aの外周面に生ずる結露水や引っかけられた小水等は勿論のこと、当該便器用受け座B’に向きあっている便鉢11bの下面、排水口部11cの外周面、この排水口部11cに接続されている排水ソケット部40、当該排水ソケット部40に接続されている排水口部11c、当該洋風便器Aにおける台座部11a(所謂袴と称する部分)の内側面等の据え付け洋風便器Aのいずれに生じた結露水であっても、全てを確実に捕捉し、これを据え付け便器本体11の外周面11dを巡る環状凹溝24に案内し、この環状凹溝24において容易に当該捕集液を拭き去り、除去することができる。
【0026】
かかる便器用受け座B’は、前記洋風便器Aにおける便器本体11を水平に載せ置き、かつ、この載せ置いた便器本体11の下端の外周面11dに沿って一定幅の環状凹溝24を環状起立部23との間に構成し得るものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、いかなる形態に構成してあってもよい。例えば、各種のプラスチック材を用いて各種成形方法で成形提供することができる。また、例えば、洋風便器Aにおける意匠性等を含めて、便座と色調を同じくする抗菌性プラスチック材によって一体的に成形提供することができる。
【0027】
また、この便器用受け座B’を介して床Cに据え付けられる洋風便器Aは、小用にも用いうる腰掛け式の洋風大便器であって、サイホン式、サイホンゼット式、サイホンボルテックス式、洗い落とし式、ブローアウト式等、いかなる排水タイプのものであってもよく、また、ロータンク式、ハイタンク式等、いかなるタイプの洗浄水供給タイプのものであってもよい。
【0028】
また、この捕集液の拭き取りに用いられる環状凹溝24は、便器本体11の下端部外周面11dを一方の溝面とするように、所定溝幅に構成してあり、用便や清掃等の妨げとならず、しかも、据え付け便器の意匠性を損なうことがない。
【0029】
ついで、図3及び図4に示される第2の発明に係る便器用受け座B”は、洋風便器Aから垂れ落ち、または、流れ落ちる結露水や小水等の液を捕集する受け座Bであって、
この受け座Bが、便器本体11における下端部の外郭形状をなす盤状部31と、この盤状部31の外周に沿って当該盤状部31を周回するように備えられている所定溝幅の環状凹溝部32とを備えており、
前記洋風便器Aを該洋風便器Aにおける便器本体11の下端を前記盤状部31に載せて床Cに据え付けた際に、この据え付け便器本体11の下端部の外周面11dに沿った環状凹溝部32が捕集液の拭き取り可能な溝幅とした構成としてある。
【0030】
このように構成される便器用受け座B”は、据え付けられた洋風便器Aの外周面に生ずる結露水や引っかけられた小水等は勿論のこと、当該便器用受け座B”に向きあっている便鉢11bの下面、排水口部11cの外周面、この排水口部11cに接続されている排水ソケット部40、当該排水ソケット部40に接続されている排水口部11c、当該洋風便器Aにおける台座部11a(所謂袴と称する部分)の内側面等の据え付け洋風便器Aのいずれに生じた結露水であっても、全てを確実に捕捉し、これを据え付け便器本体11の外周面11dを巡る環状凹溝部32に案内し、この環状凹溝部32において容易に当該捕集液を拭き去り、除去することができる。
【0031】
かかる便器用受け座B”は、前記洋風便器Aにおける便器本体11の下端部の外郭形状をなして当該便器本体11を水平に載せ置く盤状部31と、この盤状部31を周回するように備えられている所定溝幅の環状凹溝部32とを備えたものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、いかなる形態に構成してあってもよい。例えば、盤状部31と環状凹溝部32とを同一の素材によって一体に構成してあっても、また、盤状部31と環状溝部とを各別に同一または異なる素材を用いて成形した後、両者を組み付けるように構成してあってもよい。かかる盤状部31は、例えば、硬質のゴム系素材やプラスチック材によって構成することができる。また、環状凹溝部32は、例えば、可撓性を備える各種のプラスチック材を用いて各種成形方法で成形提供することができる。また、例えば、この環状凹溝部32を洋風便器Aにおける意匠性等を含めて、便座と色調を同じくする抗菌性プラスチック材によって成形してあってもよい。。
【0032】
また、この捕集液の拭き取りに用いられる環状凹溝部32は、便器本体11の下端部外周面11dに沿うように所定溝幅で構成してあり、用便や清掃等の妨げとならず、しかも、据え付け便器の意匠性を損なうことがない。
【0033】
また、盤状部31を断熱性を備える素材で構成することによって、当該便器等における結露の発生を極力防ぐようにすることができる。
【0034】
また、この便器用受け座B”を介して床Cに据え付けられる洋風便器Aは、小用にも用いうる腰掛け式の洋風大便器であって、サイホン式、サイホンゼット式、サイホンボルテックス式、洗い落とし式、ブローアウト式等、いかなる排水タイプのものであってもよく、また、ロータンク式、ハイタンク式等、いかなるタイプの洗浄水供給タイプのものであってもよい。
【0035】
ついで、図1及び図2に示される便器用受け座B’について詳細に説明する。
この図示例に係る便器用受け座B’は、板状をなすプレート20の外周縁部に当該プレート20の面からほぼ10mm起立するように環状起立部23を設けたものである。そして、この便器用受け座B’を介して床Cに設置される洋風便器Aの形態、特に、便器本体11の下端の形状に対応する形状、すなわち、便器本体11の下端の外郭の形状に対応した設置板状部21と、この設置板状部21から一連に連続して備えられている一定幅の環板状部22とを備えており、しかも、この環板状部22の外周縁部に前記環状起立部23を一体に備えた構成としてある。
【0036】
この図示例に係る便器用受け座B’を構成する環状起立部23は、前記プレート20を斜め上に向けて屈曲状に起立させた傾斜板部23aと、この傾斜板部23aの上端から水平向きに延設されている頂端板部23bと、この頂端板部23bから床C面に到るように垂直向きに屈曲されている外周化粧板部23cとを備えており、前記傾斜板部23aは溝底24aから外方に向けてほぼ2mmの範囲内でほぼ10mmの高さとなるように構成してあり、また、前記頂端板部23bはほぼ5mm幅に構成してあり、この頂端板部23cの内側縁と当該便器用受け座B’に据え付けられる便器本体11の外周面11dとの間に前記環板状部22を溝底24aとするほぼ15mm幅の環状凹溝24を構成してある。
【0037】
かかる便器用受け座B’を床Cに備え付けると共に便器の排水口部11cに接続されて該排水口から洗浄水を受ける排水ソケット40を排水管50に当該洗浄水を送り込むように接続した状態で床フランジ41を便器用受け座B’に押しつけ状態にしてセットする。また、便器本体11を固定する固定片42を当該便器用受け座B’にセットする。
【0038】
ついで、便器本体11を当該便器本体11における排水口部11cを前記排水ソケット40に接続させて当該便器用受け座B’における設置板状部21に載せ置き、前記排水ソケット40を床Cに止着した便器固定用木ねじ43に一連に備えられているボルト部43aを便器本体11の後部側に備えられている止着用異径孔に受け入れ、この受け入れボルト部43aにワッシャー46を嵌め付けた後、ナット45を螺着して便器本体11を床Cに固定する。また、便器本体11の前部側に備えられている止着用異径孔から木ねじ47を前記固定片42にねじ入れて当該便器本体11を固定する。なお、この木ねじ47の頭部及び前記ボルト部43cに螺着したナット45を隠すように化粧キャップが嵌め入れられる。
【0039】
このように便器受け座Bを介して洋風便器Aを据え付けることによって、この洋風便器Aはほぼ10mmの深さの受け部を環状起立部23内に備えた便器用受け座B’内に都合良く据え付けられて、この洋風便器Aに生ずる結露水や洋風便器Aに引っかけられた小水等の全てを外部に溢れ出さないように捕捉することができ、しかも、その便器本体11の外周面11dに沿って環板状部22を溝底24aとするほぼ15mm幅の環状凹溝24において容易に拭き取り除去することができる。なお、ここでセットされる洋風便器Aは一般に市販されて用いられている便器であって、便器本体11部上に便座13、便蓋14や洗浄水のタンク12等、当該洋風便器Aを構成する各部材を備えて構成してある。
【0040】
ついで、図3及び図4に示される便器用受け座B”について詳細に説明する。
この図示例に係る便器用受け座B”は、便器本体11における下端部の外郭形状をなす盤状部31と、この盤状部31の外周に沿って当該盤状部31を周回するように当該盤状部31に一体的に組み付け備えられる所定溝幅の環状凹溝部32とを備えた構成としてある。
【0041】
ここで用いられる盤状部31は、例えば、硬質のゴム系や硬質のプラスチック系素材によってほぼ10mmの厚さをなし、しかも、据え付けられる便器本体11の下端部の外郭形状をなすように構成してある。また、この盤状部31は、その周辺に向けて緩やかな下り勾配を備えた構成としてあり、当該盤状部31に受けられた結露水等が円滑に当該盤状部31から外側にある環状凹溝部32に案内され得る構成としてある。また、この盤状部31の外周面には、この外周面から突き出す突条31aが当該外周面を巡るように設けてあり、しかも、この突条31aが半円よりも大きな円弧状断面をなすように構成してある。
【0042】
また、この盤状部31に組み付け用いられる環状凹溝部32は、可撓性を備えたプラスチック材によって構成してあり、環状に撓めて前記盤状部31の外周に備えられている突条31aに掛合させて、当該盤状部31に一体的に組み付け用いられる構成としてある。より具体的には、底板部32bの両側に側板部32c、32fを一体的に起立状態に備えてほぼ15mm幅の溝32aを構成してあり、しかも、前記盤状部31に組み付けられる側の側板部32cの外側面には、その長さ方向に向けて前記突条31aに掛合する掛合溝32gを設けてあり、また、他方の側板部32fは底板部32bから上方にやや傾斜してほぼ10mmほどの起立板部32dとした後屈曲させてほぼ5mmほどの水平な頂端板部32eを構成し、更に下方に向けて屈曲させることによって床C面に到る垂直な化粧面板部32fを備えた構成としてある。また、前記掛合溝32gは前記底板部32bから起立される側板部32cを一旦溝32a側に湾曲させた後、再度外方に湾曲させて半円より大きい円弧状断面をなす構成としてあり、前記掛合突条31aを弾性的に受け入れて、当該盤状部31に対して着脱可能に組み付け得るようにしてある。
【0043】
かかる便器用受け座B”を床Cに備え付けると共に便器の排水口部11cに接続されて該排水口から洗浄水を受ける排水ソケット40を排水管50に当該洗浄水を送り込むように接続した状態で床フランジ41を便器用受け座B”の盤状部31に押しつけ状態にしてセットする。また、便器本体11を固定する固定片42を当該便器用受け座B”の盤状部31にセットする。
【0044】
ついで、便器本体11を当該便器本体11における排水口部11cを前記排水ソケット40に接続させて当該便器用受け座B”における盤状部31に載せ置き、前記排水ソケット40を床Cに止着した便器固定用木ねじ43に一連に備えられているボルト部43aを便器本体11の後部側に備えられている止着用異径孔に受け入れ、この受け入れボルト部43aにワッシャー46を嵌め付けた後、ナット45を螺着して便器本体11を床Cに固定する。また、便器本体11の前部側に備えられている止着用異径孔から木ねじ47を前記固定片42にねじ入れて当該便器本体11を固定する。なお、前記木ねじ47の頭部及びボルト部43aに螺着したナット45を隠すように化粧キャップを嵌め入れてある。
【0045】
なお、前記便器本体11の据え付けは、便器用受け座B”の盤状部31から環状凹溝部32を取り外して、この盤状部31のみを用いて便器本体11の据え付けをなした後に、この洋風便器Aを備えた盤状部31に環状凹溝部32を組み付けるようにしてもよい。
【0046】
このように便器受け座Bを介して洋風便器Aを据え付けることによって、この洋風便器Aはほぼ15mm幅の、かつ、10mm深さの溝を便器本体11の外周面11dに沿って備えることとなり、洋風便器Aの外周面から流れ落ちる結露水や小水等と、盤状部31に受けた流下結露水や落下結露水等の全てを捕捉して、これを環状凹溝部32に円滑に案内し、この環状凹溝部32に受け入れた捕集液を拭き取り除去することができる。
【0047】
なお、この便器用受け座B”を盤状部31と環状凹溝部32との組み付け構造とすることによって、環状凹溝部32を取り外して掃除等をなすことができ、また当該環状凹溝部32が汚損された際にこれを容易に取り替えることができる。
【0048】
なお、ここでセットされる洋風便器Aは一般に市販されて用いられている便器であって、便器本体11部上に便座13、便蓋14や洗浄水のタンク12等、当該洋風便器Aを構成する各部材を備えて構成してある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】典型的な便器用受け座を用いて洋風便器を据え付けた状態の要部破断側面図
【図2】同据え付け状態を示す斜視図
【図3】典型的な他の便器用受け座を用いて洋風便器を据え付けた状態の要部破断側面図
【図4】同据え付け状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0050】
A 洋風便器
B 便器用受け座
C 床
11 便器本体
11d 下端部外周面
21 設置板状部
22 環板状部
23 環状起立部
24 環状凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋風便器から垂れ落ち、または、流れ落ちる結露水や小水等の液を捕集する受け座であって、
この受け座が外周縁部に沿って環状起立部を備えており、この環状起立部の内側を便器本体の下端部の外郭形状をなす設置板状部と、当該設置板状部及び前記環状起立部間をなす所定幅の環板状部としてあり、
前記洋風便器を該洋風便器における便器本体の下端を前記設置板状部に載せて床に据え付けた際に、当該据え付け便器本体の下端部外周と前記環状起立部との間に前記環板状部を溝底とする捕集液の拭き取り可能な溝幅で、かつ、据え付け便器本体を周回する環状凹溝を構成し得るようにしてあることを特徴とする便器用受け座。
【請求項2】
洋風便器から垂れ落ち、または、流れ落ちる結露水や小水等の液を捕集する受け座であって、
この受け座が、便器本体における下端部の外郭形状をなす盤状部と、この盤状部の外周に沿って当該盤状部を周回するように備えられている所定溝幅の環状凹溝部とを備えており、
前記洋風便器を該洋風便器における便器本体の下端を前記盤状部に載せて床に据え付けた際に、この据え付け便器本体の下端部の外周に沿った環状凹溝部が捕集液の拭き取り可能な溝幅としてあることを特徴とする便器用受け座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−224561(P2007−224561A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45619(P2006−45619)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】