説明

便器装置

【課題】 使用者が離座した後所定時間が経過するまで待って実際に便器洗浄が行われるのを確認しなくても、所定時間が経過すると便器洗浄が行われるという確信を持つことができて使用者に不安感を与えるえない便器装置を提供する。
【解決手段】 便座装置に着座・離座検出手段及び着座・離座情報を無線信号として送信する送信手段を設け、便器側に受信手段及び受信した信号に基づいて便器洗浄手段により便器洗浄を行う便器側制御部を設け、便器側に受信手段が離座の無線信号を受信したことを報知するための報知手段及び便器洗浄を開始するまでの所定時間を計測する便器洗浄タイマーを設け、着座・離座検出手段が離座を検出した時、送信手段から送信した離座の無線信号を受信手段にて受信した時に報知手段による報知を行うと共に、便器洗浄タイマーを作動開始して所定時間が経過するまでに受信手段が着座の無線信号を受信しない場合に便器洗浄手段にて便器洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動便器洗浄機能を備えた便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から便器洗浄手段と、便座装置とを備えた便器装置が特許文献1により知られている。この特許文献1に示される従来例にあっては、便器洗浄手段と、便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれており、この一つの装置ブロックに着座・離座検出手段を設けると共に制御部を設け、着座・離座検出手段による着座・離座を検出し、この検出結果に基づいて制御部により局部洗浄手段の制御と便器洗浄手段の制御をおこなっている。
【0003】
上記特許文献1に示された従来例にあっては、便器洗浄手段と、便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれているため、便座装置のみを形状や色や機能の異なる他の便座装置と交換しようとしても不可能であり、多様な顧客のニーズに対応できないという問題や、便座装置は汚れやすいので取り外して掃除したりする場合、便座装置部分を取り外して簡単に掃除することができない、といった問題があった。
【0004】
そこで、便器洗浄手段を備えた便器に、これとは別体の着座・離座検出手段を備えた便座装置を取付け、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続し、便座装置に設けた着座・離座検出手段により検出したデータに基づき便器側に設けた便器洗浄手段を制御することが考えられるが、この場合、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続してあるので、施工時に、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続する作業が必要であり、また、掃除をする際、上記接続するための配線が邪魔になるという問題があり、更に、水を使用するという便器装置という性質上、上記接続のための配線を伝って水が制御部に浸入するおそれあるので、制御部が絶縁構造でなければ有線化できないものであり、配線の接続部分を含めて防水構造が複雑となるという問題がある。
【0005】
そこで更に、便座装置側と便器側とを配線で接続するのではなく、便座装置側と便器側とに赤外線等の無線の送信部と受信部とをそれぞれ設け、便座装置に設けた着座・離座検出手段により検出したデータを無線信号として送受信して便器側に設けた便器洗浄手段を制御する便器装置ものが考えられるようになった。
【0006】
ところで、上記のような便器装置では、着座・離座検出手段が離座を検出した場合、離座を検出してから所定時間が経過するまでは、使用者が一時的に離座しただけである可能性があるため便器洗浄が行われず、前記所定時間が経過するまでに再び着座が検出されなかった場合に使用者が用を足して離座したものとして便器洗浄を開始するように設定していた。このため、使用者は用を足して離座した後、所定時間が経過して便器洗浄が行われる前にトイレを出ることが多いものである。そしてこの場合、便器装置の便座装置側と便器側とを配線で接続してあれば、便座装置側と便器側との間の信号の送受信は確実に行われるため、使用者は用を足して離座した後、実際に便器洗浄が行われるのを確認しなくても所定時間が経過すれば便器洗浄が行われるとの確信を持つことができ、便器洗浄が行われないのではないかという不安を感じることはない。
【0007】
しかしながら、便座装置側と便器側との間の信号の送受信を無線で行う便器装置の場合には、信号の送受信の確実性は前記配線で接続するものと比べて低いため、使用者は、用を足して離座した後所定時間が経過するまで待って実際に便器洗浄が行われるのを確認しない限り便器洗浄が行われるという確信が得られず、使用者に便器洗浄が行われないのではないかという不安を与えてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開平9−195356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、便座装置側の着座・離座検出手段により検出したデータを無線信号として便器洗浄装置を備えた便器に送信して便器洗浄手段を制御するようにし、着座・離座検出手段で離座を検出した場合に離座を検出してから所定時間が経過するまでに再び着座が検出されなかった場合に便器洗浄を開始するようにした便器装置において、使用者が離座した後所定時間が経過するまで待って実際に便器洗浄が行われるのを確認しなくても、所定時間が経過すると便器洗浄が行われるという確信を持つことができて使用者に不安を与えることのない便器装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る便器装置は、便器洗浄手段1を備えた便器2と、上記便器2に取付けられる便座装置3とよりなる便器装置であって、便座装置3に着座・離座検出手段4を設け、便座装置3に着座・離座検出手段4で検出した着座・離座情報を無線信号として送信する送信手段5を設け、便器2側に上記送信手段5から送信された無線信号を受信する受信手段6と、受信した信号に基づいて便器洗浄手段1により便器洗浄を行うように制御するための便器側制御部7を設け、便器2側に受信手段6が離座の無線信号を受信したことを報知するための報知手段と前記受信した時点から便器洗浄を開始するまでの所定時間tを計測する便器洗浄タイマーを設け、着座・離座検出手段4が離座を検出した時に送信手段5から離座の無線信号を送信し、前記無線信号を受信手段6にて受信した時に便器側制御部7によって報知手段による報知を行うと共に便器洗浄タイマーを作動させ、前記便器洗浄タイマーの作動開始から所定時間が経過するまでに受信手段6が着座の無線信号を受信しない場合に便器洗浄手段1にて便器洗浄して成ることを特徴とするものである。
【0010】
このような構成とすることで、便座装置3側と便器2側との間でデータを無線信号として送受信するものであってその送受信の確実性が配線で接続するものと比べて低くても、使用者は、離座した後に報知手段による報知を確認すれば便座装置側からの離座の無線信号が受信手段6で受信されたことが確認でき、所定時間tが経過するまで待って実際に便器洗浄が行われるのを確認しなくても便器洗浄が行われるという確信が得られ、使用者に不安感を与えることがないものである。
【0011】
また、便器洗浄タイマーの作動開始から時間が経過するに従って報知手段による報知の仕方を変化させることが好ましい。これにより、便器洗浄開始までの残り時間が分かると共に報知の仕方が変化することで正常に作動しているという確信が得られるものである。
【0012】
また、便座装置3側に着座を検出してから着座を確定するまでの所定時間tを計測する着座確定タイマーと、離座を検出してから離座を確定するまでの所定時間tを計測する離座確定タイマーと、前記タイマー及び便座側の機器を制御する便座側制御部9を設け、便座側制御部9が使用者が着座していないと認識している待機モードとなっている状態で、着座・離座検出手段4が着座を検出した時に着座確定タイマーが作動開始し、着座確定タイマーが作動開始後所定時間tが経過するまでに着座・離座検出手段4が離座を検出した場合には着座確定タイマーを停止すると共に待機モードを維持して且つ離座信号は送信せず、着座確定タイマーが作動開始後所定時間tが経過するまでに着座・離座検出手段4が離座を検出しない場合には着座確定タイマーを停止すると共に待機モードから使用モードへと移行し、使用モードとなっている状態で、着座・離座検出手段4が離座を検出した時に離座確定タイマーが作動開始し、離座確定タイマーが作動開始後所定時間tが経過するまでに着座・離座検出手段4が着座を検出した場合には離座確定タイマーを停止すると共に使用モードを維持して且つ着座信号を送信し、離座確定タイマーが作動開始後所定時間tが経過するまでに着座・離座検出手段4が着座を検出しない場合には離座確定タイマーを停止すると共に使用モードから待機モードへと移行するように制御する便器装置において、離座確定タイマーが計測する離座確定までの所定時間tを便器洗浄タイマーが計測する便器洗浄までの所定時間tよりも長く設定することが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、離座確定タイマーが計測する所定時間tと便器洗浄タイマーが計測する所定時間tとを同じに設定したつもりでも計測精度のばらつき等によって実際の所定時間が所定時間t<所定時間tとなってしまった場合、便器洗浄タイマーが作動開始した後所定時間tが経過する時点T’までで且つ着座信号が離座確定タイマーの所定時間tが経過する時点Tよりも後の時点T”で着座信号を受信した時、便座側制御部9において使用モードから待機モードへと移行していて次に離座した時に離座信号が送信されない場合があってこの場合に便器洗浄が行われない、といった事態が生じるのを回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、便座装置側の着座・離座検出手段により検出したデータを無線信号として便器洗浄装置を備えた便器に送信して便器洗浄手段を制御するようにし、着座・離座検出手段で離座を検出した場合に離座を検出してから所定時間が経過するまでに再び着座が検出されなかった場合に便器洗浄を開始するようにした便器装置において、受信手段が離座の無線信号を受信したことを報知する報知手段を設けたことで、便座装置側と便器側との間でデータを無線信号として送受信していてその送受信の確実性が配線で接続するものと比べて低くても、使用者は、離座した後に報知手段による報知を確認すれば便座装置側からの離座の無線信号が受信手段で受信されたことが確認でき、所定時間が経過するまで待って実際に便器洗浄が行われるのを確認しなくても便器洗浄が行われるという確信が得られて不安を感じることがないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0016】
便器2はボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1を備えた水洗便器である。添付図面に示す実施形態では図3に示すように便器2の後部の内部にターントラップブロック16を内装し、便器2の後部のターントラップブロック16を配設した部分の上方位置には便器制御部ケース21が設けてあり、更に、便器2には便器洗浄用管路18が設けてあって、該便器洗浄用管路18の一端が水道管のような水供給管25に止水詮20を介して接続してある。
【0017】
ターントラップブロック16のケース内には図6に示すような変形性を有する材料で形成した可動自在なターントラップ17が設けてあり、ターントラップ17の一端部がボウル部15の出口に接続してある。ターントラップ17はターントラップブロック16のケース外面側に設けた駆動モータ19によりターントラップ17の他端が上を向く姿勢と下を向く姿勢との間で可動自在となっている。
【0018】
また、便器2の後部の上面側に設けた便器制御部ケース21内には図4に示すように、便器洗浄用管路18の途中に便器洗浄弁22を設けると共に該便器洗浄弁22及び上記駆動モータ19を制御するための便器側制御部7が設けてあり、本発明においては、上記便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1が構成してある。また、便器制御部ケース21内には赤外線信号のような無線信号の受信手段6が設けてあり、更に、図5に示すように上記受信手段6とは別の便器側リモコン信号受信部11が設けてある。
【0019】
便器制御部ケース21は便器2の後部上面に取付けられる下部ケース21aと、下部ケース21aに着脱自在に取付けられる上部ケース21bとで構成してある。下部ケース21aに、上記便器洗浄弁22、便器側制御部7、受信手段6、便器側リモコン信号受信部11が取付けてあり、上部ケース21bを下部ケース21aに取付けることで、これら便器洗浄弁22、便器側制御部7、受信手段6、便器側リモコン信号受信部11を覆うようになっている。また、便器制御部ケース21の前部の下部には受信手段6と前後に対向する位置に受信側窓30が設けてある。
【0020】
便座装置3は装置の主体を構成する便座制御部ケース35に便座36と、便蓋37とを回動自在に取付けて構成してある。
【0021】
便座制御部ケース35内には図8の制御ブロック図に示すように、人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8a、人体の局部洗浄をした後に温風又は冷風により人体の局部を乾燥させるための乾燥手段8b、便器2内の脱臭を行うための脱臭手段8c等の便座側機能部8、便座側制御部9、送信手段5が設けてある。また、便座制御部ケース35には操作部38、便座側リモコン装置12からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部13が設けてある。更に、便座装置3には着座・離座検出手段4が設けてあり、この着座・離座検出手段4は例えば便座36に設けてある。そして、操作部38や便座側リモコン装置12や着座・離座検出手段4からの信号が便座側制御部9に入力されることで便座側機能部8を制御するようになっている。上記送信手段5は赤外線信号のような無線信号を送信するためのものである。
【0022】
また、便座制御部ケース35の後端部の下部は後方に向けて突出した後方突出部40となっており、この後方突出部40の後方突出端面には送信手段5と前後方向に対向する位置に送信側窓41が設けてある。
【0023】
便座装置3を便器2に取付けた状態で、便座装置3の便座制御部ケース35の後面下部の後方突出部40が便器2の後部上面に取付けてある便器制御部ケース21の前部の下部の凹段部32に嵌り込む。この状態で凹段部32の奥面に設けた受信側窓30と、後方突出部40の後方突出端面に設けた送信側窓41とが互いに近接対向し、送信側窓41、受信側窓30を介して便座制御部ケース35内に設けた送信手段5と便器制御部ケース21内に設けた受信手段6とが一直線状に対向し、送信手段5から送信された赤外線信号のような無線信号が受信手段6に正確に受信できるようになっている。つまり、本発明においては、送信手段5と受信手段6とにより非接触伝送手段を構成している。
【0024】
この場合、送信手段5で赤外線信号を送信して受信手段6で該赤外線信号を受信するようにすると、上記のように便座装置3を便器2に取付けるだけで送信手段5と受信手段6とを一直線状に対向できて、送信手段5で送信した赤外線信号を受信手段6で正確に受信できることになる。
【0025】
便座装置3に設けた局部洗浄手段8aの配管には図5に示すように水道管のような水供給管25から洗浄水を供給するためのフレキシブル管29が接続してある。
【0026】
便器洗浄手段1による便器洗浄の動作について説明する。図6には本実施形態における便器洗浄手段1による便器洗浄の動作の例を示し、図7にそのタイムチャートを示している(なお、図7における状態(a)乃至状態(f)はそれぞれ図6の(a)乃至(f)の状態を示している)。本実施形態においては、図7に示すように便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1が構成してあり、図7(f)は便器洗浄手段1がオフの状態、つまり、溜め水復帰状態(待機状態)であり、この状態ではターントラップ17他端の開口部が上を向いてターントラップ17及びボウル部15内に水が溜まっている。この状態で便器洗浄手段1がオンとなって便器洗浄が開示されると、まず、便器洗浄弁22が開となって図7(a)の矢印に示すように水がボウル部15に流れ出す、次に、図7(b)、図7(c)のように駆動モータ19を正転させてターントラップ17の他端の開口が下を向くようにターントラップ17を回動してボウル部15及びターントラップ17内に溜まっている水をターントラップ17の他端から排出することで水と共に汚物を排出する。次に、駆動モータ19を逆転させて図7(d)のようにターントラップ17を回動させてターントラップ17の他端の開口が上を向くようにする。この間、便器洗浄弁22が開となっていて図7(e)のようにターントラップ17の他端の開口部が上を向いた状態でもボウル部15内に水が供給され、図7(f)のように他端の開口部が上を向いたターントラップ17及びボウル部15内に水が溜まると便器洗浄弁22が閉となり、図7(f)の溜め水復帰状態(待機状態)になる。
【0027】
図8には上記構成の本発明の便器装置の制御ブロック図が示してある。この制御ブロック図に基づいて、以下、本発明の便器装置の制御動作につき説明する。
【0028】
使用者が便座装置3の便座36に着座すると、着座・離座検出手段4により着座が検出され、着座後離座すると離座が検出される。着座・離座検出手段4により着座、離座が検出されると、便座側制御部9に着座信号や離座信号が入力され、この着座信号や離座信号により便座側制御部9により複数の便座側機能部8のうち1又は複数が制御される。この場合、一例を挙げると、例えば、着座信号が入力されると便座側機能部8の一つである脱臭手段8cがオンとなって脱臭を開始し、その後、離座信号が入力されると、離座信号の入力後一定時間経過後に脱臭手段8cがオフとなるように制御される。また、着座信号が入力されると人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8aの動作受け付け可能モードとなり、その後、離座信号が入力されると局部洗浄手段8aの動作受け付け可能モードが終了するように制御されるものであり、便座制御部ケース35に設けた操作部38や便座側リモコン装置12を操作して局部洗浄手段8aをオンさせる信号が便座側制御部9に入力した場合、便座側制御部9により上記動作受け付け可能モードの間だけ(つまり着座している期間だけ)局部洗浄手段8aを動作させるように制御し、上記動作受け付け可能モードでない時(つまり着座していない時)は局部洗浄手段8aを動作させないようになっている。これにより着座していない時に誤って局部洗浄手段8aが動作して温水のような洗浄水を誤噴出することがないようにしている。
【0029】
更に、着座・離座検出手段4で検出される着座・離座情報を基に自動で便器洗浄を行うこともできるもので、この場合について図1に基づいて説明する説明する。
【0030】
便座側制御部9において便座36に使用者が着座していないと認識されている時(以下、待機モードという)、図中の時点Tで着座・離座検出手段4が使用者の着座を検出すると、便座装置3側に設けた着座確定タイマーが作動開始する。着座確定タイマーは、待機モードにおいて着座・離座検出手段4が着座を検出してから着座を確定する(以下、使用モードという)までの所定時間tを計測するものである。この時点Tでは着座信号は送信手段5から送信されない。そして、着座確定タイマーの作動開始後、所定時間t(例えば10秒)が経過する時点Tまでに着座・離座検出手段4が離座を検出しない場合には、図中の実線で示すように便座側制御部9において便座36に使用者が着座していると認識されると共に着座確定タイマーは停止するが、所定時間tが経過するまでの時点Tで着座・離座検出手段4が離座を検出した場合には、図中の破線で示すように着座確定タイマーが停止すると共に待機モードが維持され、この時点Tでは送信手段5から離座信号は送信されない。
【0031】
上記のように時点Tで待機モードから使用モードに移行すると、その後、着座・離座検出手段4が離座を検出した時点Tで便座装置3側に設けた離座確定タイマーが作動開始すると共に送信手段5から便器2の受信手段6へ向けて離座信号が送信される。離座確定タイマーは、使用モードにおいて着座・離座検出手段4が離座を検出してから離座を確定して待機モードに移行させるまでの所定時間tを計測するものである。離座確定タイマーが作動開始すると、その後、所定時間t(例えば10秒)が経過する時点Tまでに着座・離座検出手段4が着座を検出しない場合には、図中の実線で示すように便座側制御部9において使用者が用を足したと認識されて使用モードから待機モードに移行するが、所定時間tが経過するまでの時点Tで着座・離座検出手段4が着座を検出した場合には、図中の一点鎖線で示すように離座確定タイマーが停止すると共に便座側制御部9において使用者が用を足したと認識されず使用モードが維持されて更に送信手段5から便器2の受信手段6へ向けて着座信号が送信される。この場合、その後着座・離座検出手段4が離座を検出した時点Tで、再び上記のように便座側制御部9において離座確定タイマーが作動すると共に送信手段5から便器2の受信手段6へ向けて離座信号が送信される。
【0032】
また、上記のように着座・離座検出手段4が離座を検出した時点Tで離座信号が送信手段5から送信され、この離座信号が便器2側の受信手段6にて受信されると、便器2側に設けた便器洗浄タイマーが便器側制御部7によって作動開始される。便器洗浄タイマーが作動開始すると、その後、所定時間t(例えば10秒)が経過する時点T’までに受信手段6が着座信号を受信しない場合には、図中の実線で示すように便器側制御部7によって便器洗浄手段1が駆動されて便器洗浄が行われる。そして、便器洗浄タイマーが作動開始した後、所定時間tが経過するまでの時点Tで着座信号が受信手段6にて受信されると、図中の一点鎖線で示すように便器洗浄タイマーが停止するが、この場合、便座側制御部9において使用モードが維持されているため、その後着座・離座検出手段4が離座を検出した時点Tで送信手段5からの離座信号を受信手段6が受信した時に再び便器洗浄タイマーが作動開始することとなる。
【0033】
また本発明においては、便器洗浄タイマーが作動するのと連動して、受信手段が離座信号を受信して便器洗浄タイマーが作動開始したことを報知するための報知手段が作動する。便器洗浄タイマーが作動開始すると、上記のように所定時間tが経過する時点T’までに着座信号を受信しない場合に便器洗浄が行われるが、ここで、報知手段がないとすると、使用者は受信手段6が離座信号を受信して便器洗浄タイマーが作動開始しているか否かが認識できず、所定時間tが経過するまで待って実際に便器洗浄が行われるのを確認しない限り便器洗浄が行われるという確信が得られず、不安を感じてしまうが、本発明のように報知手段を設けたことで、報知手段による報知によって受信手段6が離座信号を受信したことを認識できて、所定時間tが経過するまで待つことなく便器洗浄が行われるという確信が得られるようになる。
【0034】
報知手段は、音(声を含む)や光等によって報知を行うもので、音や光に限定されない。本実施形態ではブザー音を一定間隔で発生させるようにしている。また、便器洗浄タイマーの作動開始から時間が経過するに従って報知手段による報知の仕方を変化させてもよい。これは例えば、ブザー音を断続的に発生させる場合、前記時間の経過に従ってその間隔を短くなるようにしたりすることで、便器洗浄開始までの残り時間が分かるようになり、また、報知の仕方が変化することで正常に作動しているという確信が得られるものである。
【0035】
便器洗浄は、使用者の離座が確定して待機モードに移行する時点Tで便器洗浄が開始されるように離座確定タイマーの所定時間tと便器洗浄タイマーの所定時間tとを同じに(例えば10秒)するのが望ましいが、離座確定タイマーの所定時間tと便器洗浄タイマーの所定時間tとを同じに設定したつもりでも各タイマーの計測精度のばらつき等によって実際の所定時間t,tが異なってしまう(即ちt<t、又はt>tとなる)ことがあり、この時には便器洗浄が行われない場合があるもので、以下に説明する。
【0036】
まず、離座確定タイマーの所定時間t<便器洗浄タイマーの所定時間tの場合について説明する。
【0037】
便器洗浄タイマーが作動開始した後、所定時間tが経過する時点T’までに着座信号を受信しない場合には、時点T’で便器洗浄が開始されるため問題ないものである。
【0038】
便器洗浄タイマーが作動開始した後、所定時間tが経過する時点T’までに着座信号を受信する場合で、更に、着座信号が離座確定タイマーの所定時間tが経過する時点Tよりも前の時点T’で着座信号を受信した場合には、図2中の一点鎖線で示すように、便器洗浄タイマーが停止するが便座側制御部9において使用モードが維持されるため、上記のようにその後着座・離座検出手段4が離座を検出した時点Tで離座信号が送信されるとともに便器洗浄タイマーが再び作動開始され、問題ないものである。
【0039】
そして、所定時間tが経過する時点T’までに着座信号を受信する場合で、更に、着座信号が離座確定タイマーの所定時間tが経過する時点Tよりも後の時点T”で着座信号を受信した場合には、図2に示すように、離座確定タイマー(実線参照)の所定時間tが経過した時点Tで便座側制御部9において使用モードから待機モードへと移行しているため、その後の時点T”で着座信号を受信した時に便器洗浄タイマー(二点鎖線参照)が停止すると共に着座確定タイマーが作動開始するが、ここで、着座確定タイマーの所定時間tが経過して使用モードへ移行する前に離座した場合には離座信号が送信されないため(図1の時点T参照)、便器洗浄が行われない事態が生じてしまう。
【0040】
次に、離座確定タイマーの所定時間t>便器洗浄タイマーの所定時間tの場合について説明する。
【0041】
便器洗浄タイマーが作動開始した後、所定時間tが経過する時点T’までに着座信号を受信しない場合には、図1に示すように時点T’で便器洗浄が開始されるため問題ないものである。
【0042】
また、便器洗浄タイマーが作動開始した後、所定時間tが経過する時点T’までに着座信号を受信する場合でも、便座側制御部9において使用モードが維持されるため、その後着座・離座検出手段4が離座を検出した時点Tで離座信号が送信されるとともに便器洗浄タイマーが再び作動開始され、問題ないものである。
【0043】
そこで、上記の点をふまえ、各タイマーの計測精度のばらつきにより実際の所定時間t,tが若干異なっても便器洗浄が行われないといった事態が生じないように、予め離座確定タイマーの所定時間t>便器洗浄タイマーの所定時間tとしておくことが好ましく、例えば離座確定タイマーの所定時間tを10.5(秒)、便器洗浄タイマーの所定時間tを10.0(秒)とするのがよい。これにより、使用者が用を足した後に便器洗浄が行われないといった事態が生じるのを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態における動作を説明するタイムチャートである。
【図2】離座確定タイマーの所定時間<便器洗浄タイマーの所定時間の場合における動作を説明するタイムチャートである。
【図3】本発明の便器装置の断面図である。
【図4】同上の上部カバーを外した状態の平面図である。
【図5】同上の斜視図である。
【図6】(a)乃至(f)は同上の洗浄手段による便器洗浄の動作順序を示す説明図である。
【図7】同上のタイムチャートである。
【図8】本発明の便器装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1 便器洗浄手段
2 便器
3 便座装置
4 着座・離座検出手段
5 送信手段
6 受信手段
7 便器側制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器洗浄手段を備えた便器と、上記便器に取付けられる便座装置とよりなる便器装置であって、便座装置に着座・離座検出手段を設け、便座装置に着座・離座検出手段で検出した着座・離座情報を無線信号として送信する送信手段を設け、便器側に上記送信手段から送信された無線信号を受信する受信手段と、受信した信号に基づいて便器洗浄手段により便器洗浄を行うように制御するための便器側制御部を設け、便器側に受信手段が離座の無線信号を受信したことを報知するための報知手段と前記受信した時点から便器洗浄を開始するまでの所定時間を計測する便器洗浄タイマーを設け、着座・離座検出手段が離座を検出した時に送信手段から離座の無線信号を送信し、前記無線信号を受信手段にて受信した時に便器側制御部によって報知手段による報知を行うと共に便器洗浄タイマーを作動させ、前記便器洗浄タイマーの作動開始から所定時間が経過するまでに受信手段が着座の無線信号を受信しない場合に便器洗浄手段にて便器洗浄して成ることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
便器洗浄タイマーの作動開始から時間が経過するに従って報知手段による報知の仕方を変化させて成ることを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
便座装置側に着座を検出してから着座を確定するまでの所定時間を計測する着座確定タイマーと、離座を検出してから離座を確定するまでの所定時間を計測する離座確定タイマーと、前記タイマー及び便座側の機器を制御する便座側制御部を設け、便座側制御部が使用者が着座していないと認識している待機モードとなっている状態で、着座・離座検出手段が着座を検出した時に着座確定タイマーが作動開始し、着座確定タイマーが作動開始後所定時間が経過するまでに着座・離座検出手段が離座を検出した場合には着座確定タイマーを停止すると共に待機モードを維持して且つ離座信号は送信せず、着座確定タイマーが作動開始後所定時間が経過するまでに着座・離座検出手段が離座を検出しない場合には着座確定タイマーを停止すると共に待機モードから使用モードへと移行し、使用モードとなっている状態で、着座・離座検出手段が離座を検出した時に離座確定タイマーが作動開始し、離座確定タイマーが作動開始後所定時間が経過するまでに着座・離座検出手段が着座を検出した場合には離座確定タイマーを停止すると共に使用モードを維持して且つ着座信号を送信し、離座確定タイマーが作動開始後所定時間が経過するまでに着座・離座検出手段が着座を検出しない場合には離座確定タイマーを停止すると共に使用モードから待機モードへと移行するように制御する便器装置において、離座確定タイマーが計測する離座確定までの所定時間を便器洗浄タイマーが計測する便器洗浄までの所定時間よりも長く設定して成ることを特徴とする請求項1又は2記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−177049(P2006−177049A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371456(P2004−371456)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】