説明

便器装置

【課題】 自動便器洗浄ができる便器に形状、色、形態の異なる種々の便座装置を選択して取付けることができる。便座装置の着座・離座検出手段の検出結果により自動便器洗浄ができるにもかかわらず、施工時に便座装置側と便器側とを配線で接続する工事が必要でない。掃除が簡単にできる。制御部が絶縁構造である必要がなく構造を簡略化できる。
【解決手段】 便器洗浄手段1を備えた便器2と、上記便器2に取付けられる便座装置3とよりなる便器装置である。便座装置3に着座・離座検出手段4を設ける。便座装置3に着座・離座検出手段4で検出した着座・離座情報を送信する送信手段5を設ける。便器2側に上記送信手段5から送信された信号を受信する受信手段6と、受信した信号に基づいて便器洗浄手段1により便器洗浄を行うように制御するための便器側制御部7を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動便器洗浄機能を備えた便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から便器洗浄手段と、便座装置とを備えた便器装置が特許文献1により知られている。この特許文献1に示される従来例にあっては、便器洗浄手段と、便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれており、この一つの装置ブロックに着座・離座検出手段を設けると共に制御部を設け、着座・離座検出手段による着座・離座を検出し、この検出結果に基づいて制御部により局部洗浄手段の制御と便器洗浄手段の制御をおこなっている。
【0003】
上記特許文献1に示された従来例にあっては、便器洗浄手段と、便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれているため、便座装置のみを形状や色や機能の異なる他の便座装置と交換しようとしても不可能であり、多様な顧客のニーズに対応できないという問題がある。また、便座装置は汚れやすいので取り外して掃除したりする場合、上記のような一体型のものは便座装置部分を取り外して簡単に掃除することができないという問題があり、更に、長期間の使用中に便座装置部分が損傷したりしやすいが、この場合でも便座装置部分のみを交換するということができず、局部洗浄手段と便器洗浄手段とが備わっている装置ブロック全体を交換する必要があり、交換に要するコストが高くなってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、便器洗浄手段を備えた便器に、これとは別体の着座・離座検出手段を備えた便座装置を取付け、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続し、便座装置に設けた着座・離座検出手段により検出したデータに基づき便器側に設けた便器洗浄手段を制御することが考えられるが、この場合、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続してあるので、施工時に、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続する作業が必要であり、また、掃除をする際、上記接続するための配線が邪魔になるという問題があり、更に、水を使用するという便器装置の性質上、上記接続のための配線を伝って水が制御部に浸入するおそれあるので、制御部が絶縁構造でなければ有線化できないものであり、配線の接続部分を含めて防水構造が複雑となるという問題がある。更に、便座装置の保守、点検や掃除の際に便座装置を取り外して便座装置を動かしたり、床に置いたりした場合、便座装置側に設けた着座・離座検出手段が誤って操作されることがあり、この場合、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続してあるので、誤った着座・離座検出結果に基づいて便座洗浄手段により誤って便器洗浄をしてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開平9−195356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、便器洗浄手段を備えた便器に形状、色、形態の異なる種々の便座装置を選択して取付けることが可能となり、しかも、便座装置に設けた着座・離座検出手段による検出結果に基づいて自動便器洗浄ができるようにしたにもかかわらず、施工時に便座装置側と便器側とを配線で接続する工事が必要でなく、また、掃除の際に配線が邪魔にならず簡単に掃除ができ、更に、制御部が絶縁構造である必要がなく、制御部の構造を簡略化することも可能となり、更に、保守、点検や掃除のために便座装置を便器から取り外した際に着座・離座検出手段により誤った着座・離座検出が行われたとしても、誤った着座・離座検出結果に基づいて便座洗浄手段により誤って便器洗浄をすることがなく、また、便座装置に関係なく便器洗浄の制御のみを独立しておこなったり、便器洗浄に関係なく便座側機能部の制御のみを独立して行うことも可能となる便器装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る便器装置は、便器洗浄手段1を備えた便器2と、上記便器2に取付けられる便座装置3とよりなる便器装置であって、便座装置3に着座・離座検出手段4を設け、便座装置3に着座・離座検出手段4で検出した着座・離座情報を無線信号として送信する送信手段5を設け、便器2側に上記送信手段5から送信された無線信号を受信する受信手段6と、受信した信号に基づいて便器洗浄手段1により便器洗浄を行うように制御するための便器側制御部7を設けて成ることを特徴とするものである。
【0007】
このような構成とすることで、便座装置3に設けた着座・離座検出手段4で検出した着座・離座情報に基づいて便器洗浄手段1を制御して便器洗浄を自動的に行うことができるものにおいて、現場施工の際に便器洗浄手段1を備えた便器2側と、着座・離座検出手段4を備えた便座装置3側とを配線で接続する工事が必要でなく、便器2に便座装置3を取付けるのみでよくて現場施工が簡略化でき、また、配線が邪魔になって掃除がし難いというようなことがなく、また、配線で接続してないので、便座装置3を掃除する際、便座装置3を便器2から取り外して掃除することもできていっそう掃除が容易にできるものであり、更に、便器洗浄手段1を備えた便器2に、形状、色、形態の異なる便座装置3を選択的に取付けることができ、便座装置3を選択することで顧客の多様な要望に対応できる自動便器洗浄機能のある便器装置を提供できるものであり、また、便座装置3が故障したり、損傷した場合でも、便座装置3のみを取り外して点検、修理ができ、また、別な便座装置3と交換することもできる。また、便座装置3に設けた送信手段5から送信した無線信号を便器2側に設けた受信手段6で受信するものであるから、制御部が絶縁構造である必要がなく、制御部の構造を簡略化することも可能となる。
【0008】
また、送信手段5から送信される無線信号が赤外線信号であることが好ましい。
【0009】
このように送信手段5から送信される信号を赤外線信号とすることで、便座装置3の保守、点検や掃除のために便座装置3を便器2から取り外した際に、便座装置3を移動したり、床等に置いたり、触ったりして着座・離座検出手段4により誤った着座・離座検出が行われて送信手段5から赤外線信号が送信されたとしても、便座装置3を外すことで送信手段5と受信手段6とが向かい合っていないため受信手段6で赤外線信号が受信されず、この結果、誤った着座・離座検出結果に基づいて便座洗浄手段1により誤って便器洗浄をすることがないものである。
【0010】
また、便座装置3に少なくとも人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8aを含む便座側機能部8を設け、便座装置3に着座・離座検出手段4で検出した結果に基づいて便座側機能部8を制御する便座側制御部9を設けることが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、便座装置3に設けた着座・離座検出手段4で検出した着座・離座情報に基づいて便器2に備えた便器洗浄手段1の制御と、便座装置3に備えた便座側機能部8の制御とを行うことができ、検出手段を共用化できて構成の簡略化が可能となる。
【0012】
また、便器洗浄手段1を制御するための便器側リモコン装置10を設けると共に該便器側リモコン装置10からのリモコン信号を受信するための便器側リモコン信号受信部11を便器2に設け、便座側機能部8を制御するための便座側リモコン装置12を設けると共に該便座側リモコン装置12からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部13を便座装置3に設け、便器側リモコン装置10と、便座側リモコン装置12とを別体とすることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、便器側リモコン装置10と、便座側リモコン装置12とを個々に制御することで、着座、離座に関係なく便器洗浄の制御のみを独立しておこなったり、便器洗浄に関係なく便座側機能部8の制御のみを独立して行うことも可能となる。また、例えば、着座・離座検出手段4が故障したり、あるいは着座・離座検出手段4を有しない便座装置3を便器2に取付けた場合であっても便器側リモコン装置10を操作して便器洗浄ができるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、着座・離座検出手段による検出結果に基づいて自動的に便器を洗浄することができる便器に、形状、色、形態の異なる種々の便座装置を選択して取付けることが可能となって顧客の多様な要望に対応できる。また、便座装置に設けた着座・離座検出手段による検出結果に基づいて自動便器洗浄ができるようにしたにもかかわらず、施工時に便座装置側と便器側とを配線で接続する工事が必要でなくて、現場における作業が簡略化でき、また、掃除の際に配線が邪魔にならず簡単に掃除ができ、更に、制御部が絶縁構造である必要がなくて制御部の構造を簡略化することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0016】
便器2はボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1を備えた水洗便器である。添付図面に示す実施形態では図1に示すように便器2の後部の内部にターントラップブロック16を内装し、便器2の後部のターントラップブロック16を配設した部分の上方位置には便器制御部ケース21が設けてあり、更に、便器2には便器洗浄用管路18が設けてあって、該便器洗浄用管路18の一端が水道管のような水供給管25に止水栓20を介して接続してある。
【0017】
ターントラップブロック16のケース内には図7に示すような変形性を有する材料で形成した可動自在なターントラップ17が設けてあり、ターントラップ17の一端部がボウル部15の出口26に接続してある。ターントラップ17はターントラップブロック16のケース外面側に設けた駆動モータ19によりターントラップ17の他端が上を向く姿勢と下を向く姿勢との間で可動自在となっている。
【0018】
また、便器2の後部の上面側に設けた便器制御部ケース21内には図2に示すように、便器洗浄用配管18の途中に便器洗浄弁22を設けると共に該便器洗浄弁22及び上記駆動モータ19を制御するための便器側制御部7が設けてあり、本発明においては、上記便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1が構成してある。また、便器制御部ケース21内には赤外線信号のような無線信号の受信手段6が設けてあり、更に、図3に示すように上記受信手段6とは別の便器側リモコン信号受信部11が設けてある。
【0019】
図2、図3、図4に示すように、便器制御部ケース21は便器2の後部上面に取付けられる下部ケース21aと、下部ケース21aに着脱自在に取付けられる上部ケース21bとで構成してある。下部ケース21aに、上記便器洗浄弁22、便器側制御部7、受信手段6、便器側リモコン信号受信部11が取付けてあり、上部ケース21bを下部ケース21aに取付けることで、これら便器洗浄弁22、便器側制御部7、受信手段6、便器側リモコン信号受信部11を覆うようになっている。
【0020】
図5(a)に示すように、下部ケース21aは前端部を便器2に固定したL状をした固定金具51に取付けねじ50により取付けてあり、更に、上部ケース21bの前端部の係止部52が下部ケース21aの前端部の被係止部53係止してあり、この係止部52と被係止部53の係止は係止部52の下端に設けた指掛け部54を前方に引くことで係止解除ができるようになっている。
【0021】
図1に示すように便器制御部ケース21の前部の下部には受信手段6と前後に対向する位置に受信側窓30が設けてあり、便器制御部ケース21の前部の上部は前方に向けて突出した張り出し部31となっており、張り出し部31の下方が凹段部32となっており、図4に示すように該凹段部32の奥に上記受信側窓30が設けてあり、更に凹段部32の奥に取付けねじ50の頭部が露出している。
【0022】
便器2の後部上面の上記便器制御部ケース21を設けた部分より前位置の中央部には便座固定金具33が取付けてある。この便座固定金具33は上記のように便器制御部ケース21を便器2の後部上面に取付けた後に便器2に取付けられるものであり、この便座固定金具33の取付けに当たっては便器制御部ケース21を基準にして前後方向の位置調整をして取付けるようになっている。
【0023】
図4、図6に示すように、便座固定金具33には前後方向に長くなったガイドレール34aと、被係合部34bとが設けてある。
【0024】
便座装置3は装置の主体を構成する便座制御部ケース35に便座36と、便蓋37とを回動自在に取付けて構成してある。
【0025】
便座制御部ケース35内には図9の制御ブロック図に示すように、人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8a、人体の局部洗浄をした後に温風又は冷風により人体の局部を乾燥させるための乾燥手段8b、便器2内の脱臭を行うための脱臭手段8c等の便座側機能部8、便座側制御部9、送信手段5が設けてある。また、便座制御部ケース35には操作部38、便座側リモコン装置12からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部13が設けてある。更に、便座装置3には着座・離座検出手段4が設けてあり、この着座・離座検出手段4は例えば便座36に設けてある。そして、操作部38や便座側リモコン装置12や着座・離座検出手段4からの信号が便座側制御部9に入力されることで便座側機能部8を制御するようになっている。上記送信手段5は赤外線信号のような無線信号を送信するためのものである。
【0026】
便座制御部ケース35の下面部には図6に示すように、前記便座固定金具33に設けたガイドレール34aに前方より差し込まれる係合部材39aが設けてあり、この係合部材39aには係合部39bが設けてある。また、便座制御部ケース35の後端部の下部は後方に向けて突出した後方突出部40となっており、この後方突出部40の後方突出端面には図4に示すように送信手段5と前後方向に対向する位置に送信側窓41が設けてある。
【0027】
便座制御部ケース35は便座側機能部8、便座側制御部9、送信手段5を取付ける下ケース35aとこれらを覆うようにして下ケース35aに取付けられる上ケース35bとで構成してあり、図4、図5(b)に示すように、上ケース35bを下ケース35aに取付ける取付けねじ42の頭部は上記後方突出部40部分に位置している。
【0028】
便座装置3を便器2に対して取付けるには便座装置3の下面部に設けた係合部材39aを便座固定金具33に設けたガイドレール34aに前方から後方に向けてスライドして差し込んで係合部39bを被係合部34bに図6のように係合することで便座装置3を便器2に取付けるものである。なお、便座装置3の取外しに当たっては便座装置3を上方に持ち上げて係合部39bと被係合部34bとの係合を外した状態で便座装置3を前方に引き出すことで取り外すことができる。
【0029】
このガイドレール34a、被係合部34bを有する便座固定金具33の構成、係合部39bを有する係合部材39aの構成はこの種の便座装置3の取付けに当たって公知のものであり、例えば特開2000−116570号公報などにより従来から公知となっている技術を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0030】
便座装置3を便器2に取付けた状態で、便座装置3の便座制御部ケース35の後面下部の後方突出部40が便器2の後部上面に取付けてある便器制御部ケース21の前部の下部の凹段部32に嵌り込む。この状態で凹段部32の奥面に設けた受信側窓30と、後方突出部40の後方突出端面に設けた送信側窓41とが互いに近接対向し、送信側窓41、受信側窓30を介して便座制御部ケース35内に設けた送信手段5と便器制御部ケース21内に設けた受信手段6とが一直線状に対向し、送信手段5から送信された赤外線信号のような無線信号が受信手段6に正確に受信できるようになっている。つまり、本発明においては、送信手段5と受信手段6とにより非接触伝送手段を構成している。
【0031】
この場合、送信手段5で赤外線信号を送信して受信手段6で該赤外線信号を受信するようにすると、上記のように便座装置3を便器2に取付けるだけで送信手段5と受信手段6とを一直線状に対向するように配置できて、送信手段5で送信した赤外線信号を受信手段6で正確に受信できることになる。また、後方突出部40が凹段部32に嵌まり込んで凹段部32の奥面に設けた受信側窓30と、後方突出部40の後方突出端面の送信側窓41とが互いに近接対向するので、外光などの外乱が受信側窓30から受信手段6に入るのを防止でき、この点でも外乱に影響されることなく、正確に送信手段5から送信された赤外線信号を受信手段6で受信できると共に、受信手段6や送信手段5側に埃等が浸入しにくく、この点でも赤外線信号を正確に送信すると共に送信された赤外線信号を正確に受信できる。
【0032】
また、取付けねじ50の頭部、取付けねじ42の頭部、上部ケース21bの前端部の係止部52と下部ケース21aの前端部の被係止部53との係止部分、指掛け部54がいずれも後方突出部40と凹段部32との嵌め込み部分に位置しているため、後方突出部40と凹段部32に嵌め込んだ状態では外部に露出せず、このため、便座装置3を便器2から取り外さない限り(つまり、便座装置3を便器2に対して前方に移動させ、係合部材39aをガイドレール34aに対して前方にスライドさせて外さない限り)、指掛け部54に指を掛けて前方に引っ張ることで係止を解除して上部ケース21bを下部ケース21aから取り外したり、あるいは取付けねじ50を操作して下部ケース21aを便器2から取り外したり、あるいは取付けねじ42を操作して上ケース35bを下ケース35aから取り外したりすることができず、したがって、誤って、あるいはいたずらで上部ケース21bを取り外して便器側制御部7を露出させたり、あるいは、上ケース35bを取り外して便座側制御部9を露出させたりすることが無いようになっている。
【0033】
便座装置3に設けた局部洗浄手段8aの配管には図3に示すように水道管のような水供給管25から洗浄水を供給するためのフレキシブル管29が接続してある。
【0034】
図9には上記構成の本発明の便器装置の制御ブロック図が示してある。この制御ブロック図に基づいて、以下、本発明の便器装置の制御動作につき説明する。
【0035】
使用者が便座装置3の便座36に着座すると、着座・離座検出手段4により着座が検出され、着座後離座すると離座が検出される。着座・離座検出手段4により着座、離座が検出されると、便座側制御部9に着座信号や離座信号が入力され、この着座信号や離座信号により便座側制御部9により複数の便座側機能部8のうち1又は複数が制御される。この場合、一例を挙げると、例えば、着座信号が入力されると便座側機能部8の一つである脱臭手段8cがオンとなって脱臭を開始し、その後、離座信号が入力されると、離座信号の入力後一定時間経過後に脱臭手段8cがオフとなるように制御される。また、着座信号が入力されると人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8aの動作受け付け可能モードとなり、その後、離座信号が入力されると局部洗浄手段8aの動作受け付け可能モードが終了するように制御されるものであり、便座制御部ケース35に設けた操作部38や便座側リモコン装置12を操作して局部洗浄手段8aをオンさせる信号を便座側制御部9に入力した場合、便座側制御部9により上記動作受け付け可能モードの間だけ(つまり着座している期間だけ)局部洗浄手段8aを動作させるように制御し、上記動作受け付け可能モードでない時(つまり着座していない時)は局部洗浄手段8aを動作させないようになっている。これにより着座していない時に誤って局部洗浄手段8aが動作して温水のような洗浄水を誤噴出することがないようにしている。
【0036】
更に、着座・離座検出手段4により着座、離座が検出されると送信手段5により赤外線信号のような信号が送信される。送信手段5から送信された着座信号や離座信号は便器制御部ケース21内に設けた受信手段6で受信され、受信手段6で受信した信号は便器側制御部7に入力され、この入力された信号に基づいて便器側制御部7により便器洗浄手段1を制御してボウル部15内に水を流して便器洗浄を行うものである。
【0037】
ここで、例えば、着座・離座検出手段4で着座を検知してから所定時間(例えば10秒)経過すると着座確定として、その後、離座した場合には離座信号が送信手段5から送信され、受信手段6でこれを受信すると便器側制御部7に設けたカウント手段によりカウントを開始し、カウントを開始してから一定時間(例えば10秒)の間に着座信号を受信しない場合は上記一定時間(10秒)経過後に便器洗浄手段1をオンとなるように制御して便器洗浄を行うものであり、便器側制御部7に設けたカウント手段によりカウントを開始してから一定時間(例えば10秒)の間に着座信号を受信するとカウントを停止し、この場合はカウントを開始してから一定時間経過しないので便器洗浄手段1による便器洗浄は行わない。
【0038】
図7には本実施形態における便器洗浄手段1による便器洗浄の動作の例を示し、図8にそのタイムチャートを示している(なお、図8における状態(a)乃至状態(f)はそれぞれ図7の(a)乃至(f)の状態を示している)。本実施形態においては、図7に示すように便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1が構成してあり、図7(f)は便器洗浄手段1がオフの状態、つまり、溜め水復帰状態(待機状態)であり、この状態ではターントラップ17他端の開口部が上を向いてターントラップ17及びボウル部15内に水Wが溜まっている。この状態で便器洗浄手段1がオンとなって便器洗浄が開示されると、まず、便器洗浄弁22が開となって図7(a)の矢印に示すように水Wがボウル部15に流れ出す、次に、図7(b)、図7(c)のように駆動モータ19を正転させてターントラップ17の他端の開口が下を向くようにターントラップ17を回動してボウル部15及びターントラップ17内に溜まっている水Wをターントラップ17の他端から排出することで水Wと共に汚物を排出する。次に、駆動モータ19を逆転させて図7(d)のようにターントラップ17を回動させてターントラップ17の他端の開口が上を向くようにする。この間、便器洗浄弁22が開となっていて図7(e)のようにターントラップ17の他端の開口部が上を向いた状態でもボウル部15内に水Wが供給され、図7(f)のように他端の開口部が上を向いたターントラップ17及びボウル部15内に水Wが溜まると便器洗浄弁22が閉となり、図7(f)の溜め水復帰状態(待機状態)になる。
【0039】
上記のような本発明においては、便座装置3に設けた着座・離座検出手段4による検出情報に基づいて便器2に備えた便器洗浄手段1の制御をするに当たって、便座装置3側に送信手段5を設けて着座信号、離座信号を赤外線信号のような無線信号として送信し、この赤外線信号のような無線信号として送信された着座信号、離座信号を便器2側に設けた受信手段6で受信するという非接触伝送により信号の送受信を行っているので、現場施工の際に便器洗浄手段1を備えた便器2側と、着座・離座検出手段4を備えた便座装置3側とを配線で接続する工事が必要でなく、便器2に便座装置3を取付けるだけで、非接触伝送のための送信手段5と受信手段6とを対向させることができて現場施工が簡略化できるものである。
【0040】
このように、便座装置3側の送信手段5と便器2側の受信手段6とを配線で接続する必要がないので、着座・離座検出手段4を備えた便座装置3として、形状、色、形態(機能)が異なる種々のものを用意し、顧客の好みの便座装置3を便器洗浄手段1を備えた便器2に取付けるとで、送信手段5から送信した着座信号や離座信号を受信手段6で受信して便器洗浄を行うことができる。また、便座装置3が故障したり、損傷した場合でも、便座装置3のみを取り外して点検、修理ができ、また、別な便座装置3と交換することもできる。また、便座装置3に設けた送信手段5から送信した赤外線のような無線信号を便器2側に設けた受信手段6で受信するものであるから、制御部が絶縁構造である必要がなく、制御部の構造を簡略化することも可能となる。
【0041】
また、便座装置3を掃除する際に便座装置3側と便器2側とを接続する配線がないので配線に邪魔されることなく掃除ができることになる。特に、この種の便器装置においては汚物が付着したり小便がかかる等の理由で便座装置3が最も汚れ易く、利用者が便座装置3を便器2から外して掃除するのが一般的であるが、この場合、配線がないのでいっそう掃除が容易にできるものである。
【0042】
ここで、送信手段5から送信する無線信号を赤外線信号とすることで、便座装置3の保守、点検や掃除のために便座装置3を便器2から取り外した際に、便座装置3を移動したり、床等に置いたり、触ったりして着座・離座検出手段により誤った着座・離座検出が行われて送信手段5から赤外線信号が送信されたとしても、便座装置3を外すことで送信手段5と受信手段6とが向かい合っていないため受信手段6で赤外線信号が受信されることがない。このため、便座装置3を外して掃除などをしている際に、誤った着座・離座検出結果に基づいて便座洗浄手段により誤って便器洗浄をすることがないことになる。
【0043】
上記においては、便座装置3に設けた着座・離座検出手段4で検出した着座、離座信号に基づいて便器洗浄手段1を制御して便器2の洗浄を行っている例を示したが、これに加えて更に図9のように便器洗浄手段1を制御するための便器側リモコン装置10を設け、この便器側リモコン装置10を操作した場合も便器洗浄手段1を制御して便器2の洗浄を行うこともできる。
【0044】
便器側リモコン装置10からの信号は便器側リモコン信号受信部11で受信され、便器側制御部7により便器洗浄手段1を制御して便器2を洗浄するようになっている。
【0045】
便器側リモコン装置10と便座側リモコン装置12とは別体で別々のリモコン装置となっており、前述のように着座・離座検出手段4を備えた便座装置3として、形状、色、形態(機能)が異なる種々の便座装置3を便器2に取付けても、便座装置3側に関係なく便器側リモコン装置10を操作することで便器洗浄を行うことができる。このため、便座側リモコン装置12を有さない便座装置3を便器2に取付けることも可能となる。
【0046】
なお、添付図面に示す実施形態では便器2にターントラップ17を設けて封水をし、ターントラップ17を駆動することで排水するようにした便器装置の例を示したが、ターントラップ17を設けることなく、ロータンクを設けてロータンク内の排水口を開閉する便器洗浄弁22を開としてロータンク内の水をボウル部15に流して便器洗浄を行うもの、あるいは、水道直結式で、便器洗浄弁22を開として水道水を直接ボウル部15内に流して便器洗浄を行うものであってもよく、この場合には便器洗浄弁22により便器洗浄手段1が構成される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の便器装置の断面図である。
【図2】同上の上部カバーを外した状態の平面図である。
【図3】同上の斜視図である。
【図4】同上の便器に便座装置を取付ける前の状態の斜視図である。
【図5】(a)は同上の便器制御部ケースの下部ケースを便器に取付けると共に下部ケースに上部ケースを係止により取付けている部分の断面図であり、(b)は同上の便座制御部ケースの下ケースに上ケースを取付けている状態の分解斜視図である。
【図6】同上の便器に取付けた便座固定金具に便座装置を取付けている部分の断面図である。
【図7】(a)乃至(f)は同上の洗浄手段による便器洗浄の動作順序を示す説明図である。
【図8】同上のタイムチャートである。
【図9】本発明の便器装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 便器洗浄手段
2 便器
3 便座装置
4 着座・離座検出手段
5 送信手段
6 受信手段
7 便器側制御部
8 便座側機能部
8a局部洗浄手段
9 便座側制御部
10 便器側リモコン装置
11 便器側リモコン信号受信部
12 便座側リモコン装置
13 便座側リモコン信号受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器洗浄手段を備えた便器と、上記便器に取付けられる便座装置とよりなる便器装置であって、便座装置に着座・離座検出手段を設け、便座装置に着座・離座検出手段で検出した着座・離座情報を無線信号で送信する送信手段を設け、便器側に上記送信された無線信号を受信する受信手段と、受信した信号に基づいて便器洗浄手段により便器洗浄を行うように制御するための便器側制御部を設けて成ることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
送信手段から送信される無線信号が赤外線信号であることを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
便座装置に少なくとも人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段を含む便座側機能部を設け、便座装置に着座・離座検出手段で検出した結果に基づいて便座側機能部を制御する便座側制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項4】
便器洗浄手段を制御するための便器側リモコン装置を設けると共に該便器側リモコン装置からのリモコン信号を受信するための便器側リモコン信号受信部を便器に設け、便座側機能部を制御するための便座側リモコン装置を設けると共に該便座側リモコン装置からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部を便座装置に設け、便器側リモコン装置と、便座側リモコン装置とを別体として成ることを特徴とする請求項2記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−177052(P2006−177052A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371476(P2004−371476)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】