説明

便器装置

【課題】 便座装置を便器から分離可能にして多様な顧客のニーズに対応可能にすること。清掃性、施工性、意匠性等を向上させること。
【解決手段】 便座装置3に、着座・離座検出手段4と、検出した着座・離座情報を赤外線信号として送信側窓41から送信する送信手段と、送信側窓41が配設される後方突出部40とを設ける。便器2側に、便器制御部ケース21の前面部32に配置される受信側窓30と、送信側窓41からの赤外線信号を受信側窓30を介して受信する受信手段6と、受信した赤外線信号に基いて便器洗浄を行なうように制御する便器側制御部7とを設ける。便器制御部ケース21の前面部32に便座装置3の後方突出部40を突き合わせると共にその突き合わせ部分に送信側窓41と受信側窓30とが対向配置される送受信面23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動便器洗浄機能を備えた便器装置に関し、詳しくは便器と便座装置とが分離された構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器洗浄手段と便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれ、この一つの装置ブロックに着座・離座検出手段を設けると共に制御部を設け、着座・離座検出手段による着座・離座を検出し、この検出結果に基づいて制御部により局部洗浄手段の制御と便器洗浄手段の制御を行なうようにした便器装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記特許文献1に示される一体型便器装置にあっては、便器洗浄手段と便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれているため、便座装置のみを形状や色や機能の異なる他の便座装置と交換しようとしても不可能であり、多様な顧客のニーズに対応できないという問題がある。また、便座装置は汚れやすいので取り外して掃除したりする場合、上記のような一体型のものは便座装置部分を取り外して簡単に掃除することができないという問題があり、さらに、長期間の使用中に便座装置部分が損傷したりしやすいが、この場合でも便座装置部分のみを交換するということができず、局部洗浄手段と便器洗浄手段とが備わっている装置ブロック全体を交換する必要があり、交換に要するコストが高くなってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明者らは本発明に至る過程で、便器洗浄手段を備えた便器に、これとは別体の着座・離座検出手段を備えた便座装置を取付け、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを通信ケーブルで接続し、便座装置に設けた着座・離座検出手段により検出したデータに基づき便器側に設けた便器洗浄手段を制御する有線通信方式を考えた。
【0005】
ところが、有線通信方式とした場合、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを専用の通信端子から通信ケーブルを経て接続し、着座・離座検出手段からの着座・離座情報を便座側制御部から通信ケーブルを介して便器側制御部に入力し、自動便器洗浄を行なう必要があるので、施工時に、便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを通信ケーブルで接続する作業が必要である。また通信ケーブル及び接点部が外部に露出するために外観上の納まりが悪く、意匠性が損なわれるという問題がある。また使用時には、飛び散った水が通信ケーブルを伝って制御部に浸入することがあるため、通信ケーブルの接続部分を含めて防水構造が複雑になるという問題がある。さらに便座装置の保守、点検や掃除の際には、通信ケーブルが邪魔になり、しかも便座装置の可動範囲が限られるため、場合によっては、通信ケーブルを外して便座装置を動かしたり、床に置いたりする必要があり、この場合、便座装置側に設けた着座・離座検出手段が誤って操作されてしまうと、誤った着座・離座検出結果に基づいて便器洗浄手段により誤って便器洗浄をしてしまうという問題もある。
【特許文献1】特開平9−195356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、便座装置と便器とを分離可能にして多様な顧客のニーズに対応できるようにすると共に、清掃性、施工性、意匠性等を従来よりも向上させることができる無線通信方式の便器装置を提供することを課題とし、さらに耐外乱光性能を改善して、無線通信の信頼性を充分に確保できる便器装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、便器洗浄手段1を備えた便器2の後部上端に、便器洗浄手段1を制御する便器側制御部7を備えた便器制御部ケース21を設置すると共に、便器2に便座装置3を取り付けてなる便器装置であって、便座装置3に、着座・離座検出手段4と、着座・離座検出手段4で検出した着座・離座情報を赤外線信号として送信側窓41から送信する送信手段5と、上記送信側窓41が配設される後方突出部40とを設け、便器2側に、便器2の後部上端から上方に向かって突出する便器制御部ケース21の前面部32と、便器制御部ケース21の前面部32に配設される受信側窓30と、上記送信側窓41からの赤外線信号を受信側窓30を介して受信する受信手段6と、受信した赤外線信号に基いて便器洗浄手段1により便器洗浄を行なうように制御するための便器側制御部7とを設け、上記便器制御部ケース21の前面部32に上記便座装置3の後方突出部40を突き合わせると共にその突き合わせ部分に上記送信側窓41と受信側窓30とが対向配置される送受信面23を設けたことを特徴としている。
【0008】
このような構成とすることで、便器2と便座装置3とが分離可能となり、多様な顧客のニーズに対応できると共に、無線通信方式とすることで掃除の際は便器2から便座装置3を取り外してしっかり掃除ができるようになり、また施工時には通常の便器施工と同じ、便器2に便座装置3を固定する作業だけで施工が容易となり、さらに従来の通信ケーブルが不要であるうえに送受信面23が便器制御部ケース21の前面部32と後方突出部40との突き合わせ部分に隠れて外部に露出しなくなり、外観をすっきりさせることができる。さらに着座・離座情報を赤外線信号とすることで、便座装置3の保守、点検や掃除のために便座装置3を便器2から取り外した際に、便座装置3を移動したり、床等に置いたり、触ったりして着座・離座検出手段4により誤った着座・離座検出が行われて送信手段5から赤外線信号が送信されたとしても、便座装置3を外すことで送信手段5と受信手段6とが向かい合っていないため受信手段6で赤外線信号が受信されることがない。このため、便座装置3を外して掃除などをしている際に、誤った着座・離座検出結果に基づいて便器洗浄手段1により誤って便器洗浄をすることを防止できる。
【0009】
また、上記送受信面23が鉛直面又は略鉛直面であるのが好ましく、この場合、送受信面23上に埃、ゴミなどが堆積することがなく、無線通信の信頼性を確保できると共に掃除の際に送受信面23を擦って埃等を除去する必要もないため、掃除による送受信面23の劣化を防止できるようになり、さらに送受信面23に水が飛び散った場合でも、水はそのまま流れ落ちるので、水の付着による通信阻害もなく、誤通信を確実に防止できるようになる。
【0010】
また、上記受信側窓30の上部に、外乱光が送受信面23の隙間から受信側窓30に入射するのを防止するための張り出し部31を設けるのが好ましく、この場合、誤通信の要因となる外乱光が受信側窓30から入射して受信手段6で受信されてしまうのを確実に避けることができ、無線通信の信頼性を充分に確保できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る便器装置は、便器と便座装置とを分離可能とすることで、掃除の際は便器から便座装置を容易に取り外すことができるので、便座装置が多様な顧客のニーズに対応可能になると共に、無線通信方式とすることで便器と便座装置とを通信ケーブルで接続する従来品と比較して清掃性が向上すると共に便座装置を外して掃除などをしている際に、誤った着座・離座検出結果に基づいて便器洗浄手段により誤って便器洗浄をすることを防止できる。また施工時には通常の便器施工と同じ、便器に便座装置を固定する作業だけでよいので、通信ケーブルの接続を必要とする従来品と比較して施工性が向上する。さらに送信手段と受信手段の送受信面が便器制御部ケースの前面部と後方突出部との突き合わせ部分に隠れて外部に露出しなくなるため、外観をすっきりさせることができるので、通信ケーブル及び接点部が外部に露出する従来品と比較して意匠性が向上するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0013】
便器2はボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1を備えた水洗便器である。添付図面に示す実施形態では図1に示すように便器2の後部の内部にターントラップブロック16を内装し、さらに便器2の後部上面側には、ターントラップブロック16を配設した部分の上方位置に便器制御部ケース21が設けられている。さらに便器2には便器洗浄用配管18が設けてあって、該便器洗浄用配管18の一端が水道管のような水供給管25に止水栓20を介して接続してある。
【0014】
ターントラップブロック16のケース内には図7に示すような変形性を有する材料で形成した可動自在なターントラップ17が設けてあり、ターントラップ17の一端部がボウル部15の出口26に接続してある。ターントラップ17はターントラップブロック16のケース外面側に設けた駆動モータ19(図1)によりターントラップ17の他端が上を向く姿勢と下を向く姿勢との間で可動自在となっている。
【0015】
また、便器2の後部の上面側に設けた便器制御部ケース21内には図2に示すように、便器洗浄用配管18の途中に便器洗浄弁22を設けると共に該便器洗浄弁22及び上記駆動モータ19を制御するための便器側制御部7が設けてあり、本例においては、上記便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1が構成してある。また図6(a)に示すように、便器制御部ケース21内には赤外線信号の受信手段6が設けてある。さらに便器制御部ケース21の上面側には、図3に示すように上記受信手段6とは別の便器側リモコン信号受信部11が設けてある。
【0016】
上記便器制御部ケース21は便器2の後部上面に取付けられる下部ケース21aと、下部ケース21aに着脱自在に取付けられる上部ケース21bとで構成してある。下部ケース21aに、上記便器洗浄弁22、便器側制御部7、受信手段6、便器側リモコン信号受信部11が取付けてあり、上部ケース21bを下部ケース21aに取付けることで、これら便器洗浄弁22、便器側制御部7、受信手段6、便器側リモコン信号受信部11を覆うようになっている。ここでは、図5(a)に示すように、下部ケース21aは前端部を便器2に固定したL状をした固定金具51に取付けねじ50により取付けてあり、さらに、上部ケース21bの前端部の係止部52が下部ケース21aの前端部の被係止部53に係止してあり、この係止部52と被係止部53の係止は係止部52の下端に設けた指掛け部54を前方に引くことで係止解除ができるようになっている。
【0017】
便器制御部ケース21の前面部32は、図4に示すように、便器2の後部上端から上方に向かって突出した上方突出部となっており、この前面部32に受信側窓30が設けてあり、この受信側窓30の奥側に送信手段5と水平方向に対向するように縦置きされた受信回路6aを備えた受信手段6が収納されている。また受信側窓30の上部は、前方に向けて突出した庇形状の張り出し部31となっている。この張り出し部31は、送受信面23の隙間から受信側窓30に外乱光が入射入射して受信手段6で受信されてしまうのを避けるためのものである。もちろん、張り出し部31は受信側窓30の上部だけに限らず、受信側窓30の左右両側や下側に設けてもよい。
【0018】
また図5に示す便器制御部ケース21の取付けねじ50及び取付けねじ42の頭部、上部ケース21bの前端部の係止部52と下部ケース21aの前端部の被係止部53との係止部分、指掛け部54は、いずれも、便器制御部ケース21の前面部32と後述の便座制御部ケース35の後方突出部40との嵌め込み部分に位置しており、これにより、後方突出部40を便器制御部ケース21の前面部32に嵌め込んだ状態では指掛け部54が外部に露出せず、このため、便座装置3を便器2から取り外さない限り、指掛け部54に指を掛けて前方に引っ張ることで係止を解除して上部ケース21bを下部ケース21aから取り外したり、あるいは取付けねじ50を操作して下部ケース21aを便器2から取り外したり、あるいは上部ケース21bを下部ケース21aから取り外したりすることができず、したがって、誤って、あるいはいたずらで上部ケース21bを取り外して便器側制御部7を露出させたり、あるいは、上ケース35bを取り外して便座側制御部9を露出させたりすることが無いようになっている。
【0019】
一方、便座装置3は、装置の主体を構成する便座制御部ケース35に便座36と、便蓋37とを回動自在に取付けて構成してある。
【0020】
便座制御部ケース35は便座側機能部8、便座側制御部9、送信手段5を覆うものであり、便座制御部ケース35の後端部の下部は、図4に示すように、後方に向けて突出した後方突出部40となっており、この後方突出部40の後方突出端面は鉛直面(又は略鉛直面)とされると共にこの鉛直面の上記送信側窓41と前後方向に対向する位置に受信側窓30が設けてある。
【0021】
便座制御部ケース35内には図8の制御ブロック図に示すように、人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8a、人体の局部洗浄をした後に温風又は冷風により人体の局部を乾燥させるための乾燥手段8b、便器2内の脱臭を行うための脱臭手段8c等の便座側機能部8、便座側制御部9、送信手段5が設けてある。なお局部洗浄手段8aの配管には図3に示すように水道管のような水供給管25から洗浄水を供給するためのフレキシブル管29が接続してある。また、便座制御部ケース35には操作部38(図3)、便座側リモコン装置12からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部13が設けてある。さらに、便座装置3には着座・離座検出手段4が設けてあり、この着座・離座検出手段4は例えば便座36に設けてある。そして、操作部38や便座側リモコン装置12や着座・離座検出手段4からの信号が便座側制御部9に入力されることで便座側機能部8を制御するようになっている。上記送信手段5は、縦置される送信回路5a(図6)を備えており、着座・離座検出手段4からの着座・離座情報を赤外線信号として送信するものである。
【0022】
次に、便座装置3を便器2に対して取付けるには、便座装置3の下面部に設けた係合部材(図示せず)を図4の便座固定金具33に設けたガイドレール34aに前方から後方に向けてスライドして差し込んで係合することで便座装置3を便器2に取付けるものである。なお、便座装置3の取外しに当たっては便座装置3を上方に持ち上げて係合を外した状態で便座装置3を前方に引き出すことで取り外すことができる。この便座装置3の取付けに当たっては例えば特開2000−116570号公報などにより公知となっている技術を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0023】
また、便座装置3を便器2に取付けた状態で、便座装置3の便座制御部ケース35の後面下部の後方突出部40が便器2の後部上面に取付けてある便器制御部ケース21の前面部32に嵌り込む。この前面部32は鉛直面(又は略鉛直面)とされ、前面部32に設けた受信側窓30と、便座制御部ケース35の後方突出部40の後面に設けた送信側窓41とが互いに近接対向し、送信側窓41と受信側窓30とを介して便座制御部ケース35内に設けた送信手段5と便器制御部ケース21内に設けた受信手段6とが一直線状に水平方向に対向し、送信手段5から送信された赤外線信号が受信手段6に正確に受信できるようになっている。つまり、本発明においては、送信手段5と受信手段6とにより非接触伝送手段を構成している。
【0024】
この場合、送信手段5で赤外線信号を送信して受信手段6で該赤外線信号を受信するようにすると、上記のように便座装置3を便器2に取付けるだけで送信手段5と受信手段6とを一直線状に対向できて、送信手段5で送信した赤外線信号を受信手段6で正確に受信できることになる。また、後方突出部40が便器制御部ケース21の前面部32に嵌まり込んで、受信側窓30と送信側窓41とが互いに近接対向するので、外光などの外乱が受信側窓30から受信手段6に入るのを防止でき、この点でも外乱に影響されることなく、正確に送信手段5から送信された赤外線信号を受信手段6で受信できると共に、受信手段6や送信手段5側に埃等が浸入しにくく、この点でも赤外線信号を正確に送信すると共に送信された赤外線信号を正確に受信できる。
【0025】
次に、便器装置の制御動作を図8に基づき説明する。
【0026】
使用者が便座装置3の便座36に着座すると、着座・離座検出手段4により着座が検出され、着座後離座すると離座が検出される。着座・離座検出手段4により着座、離座が検出されると、便座側制御部9に着座信号、離座信号が入力され、この着座信号や離座信号により便座側制御部9により複数の便座側機能部8のうち1又は複数が制御される。この場合、一例を挙げると、例えば、着座信号が入力されると便座側機能部8の一つである脱臭手段8cがオンとなって脱臭を開始し、その後、離座信号が入力されると、離座信号の入力後一定時間経過後に脱臭手段8cがオフとなるように制御される。また、着座信号が入力されると人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8aの動作受け付け可能モードとなり、その後、離座信号が入力されると局部洗浄手段8aの動作受け付け可能モードが終了するように制御されるものであり、便座制御部ケース35に設けた操作部38や便座側リモコン装置12を操作して局部洗浄手段8aをオンさせる信号が便座側制御部9に入力された場合、便座側制御部9により上記動作受け付け可能モードの間だけ(つまり着座している期間だけ)局部洗浄手段8aを動作させるように制御し、上記動作受け付け可能モードでない時(つまり着座していない時)は局部洗浄手段8aを動作させないようになっている。これにより着座していない時に誤って局部洗浄手段8aが動作して温水のような洗浄水を誤噴出することがないようにしている。
【0027】
さらに、着座・離座検出手段4により着座、離座が検出されると、送信手段5により着座・離座情報として赤外線信号が送信される。送信手段5から送信された赤外線信号は、送信側窓41、受信側窓30を介して、便器制御部ケース21内に設けた受信手段6で受信され、受信手段6で受信した信号は便器側制御部7に入力され、この入力された信号に基づいて便器側制御部7により便器洗浄手段1を制御してボウル部15内に水を流して便器洗浄を行うものである。
【0028】
次に、便器洗浄手段1による便器洗浄動作を図7に基づき説明する。本実施形態においては、便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水Wで洗浄するための便器洗浄手段1が構成してある。便器洗浄手段1がオフの状態、つまり、溜め水復帰状態(待機状態)ではターントラップ17他端の開口部が上を向いてターントラップ17及びボウル部15内に水Wが溜まっている。この状態で便器洗浄手段1がオンとなって便器洗浄が開示されると、まず、便器洗浄弁22が開となって図7(a)のように水Wがボウル部15に流れ出す、次に、図7(b)(c)のように駆動モータ19を正転させてターントラップ17の他端の開口が下を向くようにターントラップ17を回動してボウル部15及びターントラップ17内に溜まっている水Wをターントラップ17の他端から排出することで水Wと共に汚物を排出する。次に、駆動モータ19を逆転させて図7(d)(e)のようにターントラップ17を回動させてターントラップ17の他端の開口が上を向くようにする。この間、便器洗浄弁22が開となっていてターントラップ17の他端の開口部が上を向いた状態でもボウル部15内に水Wが供給され、他端の開口部が上を向いたターントラップ17及びボウル部15内に水Wが溜まると便器洗浄弁22が閉となり、図7(f)の溜め水復帰状態(待機状態)になる。
【0029】
上記構成によれば、便座装置3に設けた着座・離座検出手段4による検出情報に基づいて便器2に備えた便器洗浄手段1の制御をするに当たって、便座装置3側に送信手段5を設けて着座信号、離座信号を赤外線信号として送信側窓41から送信し、この赤外線信号として送信された着座信号、離座信号を便器2側に設けた受信側窓30を介して受信手段6で受信するという非接触伝送により信号の送受信を行っているので、現場施工の際に便器洗浄手段1を備えた便器2側と、着座・離座検出手段4を備えた便座装置3側とを通信ケーブルなどの配線で接続する工事が必要でなく、通常の便器施工と同様に、便器2に便座装置3を取付けるだけで、非接触伝送のための送信手段5と受信手段6とを対向させることができて現場施工が簡略化でき、施工性が向上すると共に、従来の通信ケーブルを用いた場合のように制御部7,9を絶縁構造にする必要がなく、制御部7,9の構造を簡略化することもできる。
【0030】
しかも、便座装置3側の送信手段5と便器2側の受信手段6とを配線で接続する必要がないので、着座・離座検出手段4を備えた便座装置3として、形状、色、形態(機能)が異なる種々のものを用意し、顧客の好みの便座装置3を便器洗浄手段1を備えた便器2に取付ける。これにより、送信手段5から送信した着座信号や離座信号を受信手段6で受信して便器洗浄を自動的に行えるものでありながら、多様な顧客のニーズに対応できるようになる。
【0031】
また、便座装置3を掃除する際に便座装置3側と便器2側とを接続する通信ケーブルのような配線がないので、配線に邪魔されることなく掃除ができることになる。特に、この種の便器装置においては汚物が付着したり小便がかかる等の理由で便座装置3が最も汚れ易く、利用者が便座装置3を便器2から外して掃除するのが一般的であるが、この場合、配線がないのでいっそう掃除が容易にできるものである。また、便座装置3が故障したり、損傷した場合でも、便座装置3のみを取り外して点検、修理ができ、また、別な便座装置3と交換することもできる。そのうえ便座装置3に設けた送信手段5から送信した赤外線信号を便器2側に設けた受信手段6で受信するものであるから、制御部7,9が絶縁構造である必要がなく、制御部7,9の構造を簡略化することも可能となる。また、便器側リモコン装置10と、便座側リモコン装置12とを個々に制御することで、便座装置3に関係なく便器洗浄の制御のみを独立して行なったり、便器洗浄に関係なく便座側機能部8の制御のみを独立して行うことも可能となる。さらに例えば、着座・離座検出手段4が故障したり、あるいは着座・離座検出手段4を有しない便座装置3を便器2に取付けた場合であっても便器側リモコン装置10を操作して便器洗浄ができるようになる。
【0032】
また、送信手段5から送信する無線信号を赤外線信号とすることで、便座装置3の保守、点検や掃除のために便座装置3を便器2から取り外した際に、便座装置3を移動したり、床等に置いたり、触ったりして着座・離座検出手段4により誤った着座・離座検出が行われて送信手段5から赤外線信号が送信されたとしても、便座装置3を外すことで送信手段5と受信手段6とが向かい合っていないため受信手段6で赤外線信号が受信されることがない。このため、便座装置3を外して掃除などをしている際に、誤った着座・離座検出結果に基づいて便器洗浄手段1により誤って便器洗浄をすることがないことになる。
【0033】
また、送信手段5と受信手段6間の送受信面23が便器制御部ケース21と後方突出部40との突き合わせ部分に隠れて外部に露出しなくなるため、外観をすっきりさせることができ、意匠性が良くなる。
【0034】
また本例では、送受信面23を鉛直面としているので、この送受信面23上に埃、ゴミなどが堆積することがなく、無線通信の信頼性を確保できると共に埃等が溜まらないために、掃除の際に送受信面23を擦って埃等を除去する必要がないため、掃除による送受信面23の劣化を防止できるものであり、さらに送受信面23に水が飛び散った場合でも、水は送受信面23上を流れ落ちるので、水の付着による通信阻害もなく、誤通信を確実に防止できるようになる。
【0035】
さらに、縦置きされる送信回路5aと縦置きされる受信回路6aとが送受信面23の近傍位置で水平方向に対向配置されていると共に送信回路5aと受信回路6aとが充分に接近して配置されているため、最短距離での光通信が可能となり、誤通信の要因となる外乱光の入射を極力避けることができるだけでなく、赤外線信号は必要充分な強度で入射する構造となるため、信頼性の高い無線通信を実現できるものである。
【0036】
ところで、例えば、図6(b)のように、受信側窓30と送信側窓41とを互いに近接対向させた場合でも、外乱光が受信側窓30から受信手段6に入る可能性があり、送信手段5から送信された赤外線信号を受信手段6で正確に受信できなくなる。そこで、本例では図6(a)のように受信側窓30の上部に送受信面23の隙間から受信側窓30に外乱光が入射するのを防止するための張り出し部31を突出させているので、天面から直入射しがちな外乱ノイズの影響を確実に抑えることができる。さらに図6(a)のように受信回路6aを受信側窓30から離れた奥側に配置することで、外乱直射光の入射をより確実に回避でき、無線通信の信頼性を充分に確保できるようになる。また、図5(b)のように送信側窓41(受信側窓30も同様)の周縁から僅かに突出する環状庇部27を突設させるのが望ましい。この環状庇部27により、外乱光のみならず、水や埃等の侵入をより確実に防止できる構造となる。
【0037】
なお、送信側窓41と受信側窓30との対向配置の他例として、便器制御部ケース21の前面部32と、便座制御部ケース35の後方突出部40との突き合わせ部分に水平面を設け、この水平面に、送信側窓41と受信側窓30とを上下方向に対向させて配置することも考えられるが、この場合、水や埃等が水平面に溜まったり、送信側窓41内あるいは受信側窓30内に浸入するおそれがあるため、前記のように送受信面23を鉛直面とするのが望ましい。
【0038】
また、水や埃、ゴミ等が窓内部に侵入するのを確実に防止するために、送信側窓41及び受信側窓30に赤外線透過性パネルをそれぞれ嵌め込んだり、赤外線透過性部材を一体成形することも可能である。
【0039】
また、上記においては、便座装置3に設けた着座・離座検出手段4で検出した着座、離座信号に基づいて便器洗浄手段1を制御して便器2の洗浄を行っている例を示したが、便器洗浄手段1を制御するための便器側リモコン装置10(図8)を設け、この便器側リモコン装置10を操作した場合も便器洗浄手段1を制御して便器2の洗浄を行うこともできる。この便器側リモコン装置10からの信号は便器側リモコン信号受信部11で受信され、便器側制御部7により便器洗浄手段1を制御して便器2を洗浄するようになっている。
【0040】
また、便器側リモコン装置10と便座側リモコン装置12とは別体で別々のリモコン装置となっており、前述のように着座・離座検出手段4を備えた便座装置3として、形状、色、形態(機能)が異なる種々の便座装置3を便器2に取付けても、便座装置3側に関係なく便器側リモコン装置10を操作することで便器洗浄を行うことができる。このため、便座側リモコン装置12を有さない便座装置3を便器2に取付けることも可能となる。
【0041】
なお、添付図面に示す実施形態では便器2のターントラップ17を設けて封水をし、ターントラップ17を駆動することで排水するようにした便器装置の例を示したが、ターントラップ17を設けることなく、サイホン式の便器でも設置可能である。また、ロータンク+を設けてロータンク内の排水口を開閉する便器洗浄弁22を開としてロータンク内の水をボウル部15に流して便器洗浄を行うもの、あるいは、水道直結式で、便器洗浄弁22を開として水道水を直接、ボウル部15内に流して便器洗浄を行うものであってもよく、この場合には便器洗浄弁22により便器洗浄手段1が構成される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の便器装置の断面図である。
【図2】同上の便器制御部ケースの上部カバーを外した状態の平面図である。
【図3】同上の斜視図である。
【図4】同上の便器に便座装置を取付ける前の状態の斜視図である。
【図5】(a)は同上の便器制御部ケースの下部ケースを便器に取付けると共に下部ケースに上部ケースを係止により取付けている部分の断面図であり、(b)は同上の便座制御部ケースの下ケースに上ケースを取付けている状態の分解斜視図である。
【図6】(a)は同上の張り出し部を有する場合の断面図、(b)は張り出し部を有しない場合の断面図である。
【図7】(a)乃至(f)は同上の洗浄手段による便器洗浄の動作順序を示す説明図である。
【図8】同上の便器装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 便器洗浄手段
2 便器
3 便座装置
4 着座・離座検出手段
5 送信手段
6 受信手段
7 便器側制御部
32 前面部
23 送受信面
24 赤外線経路
30 受信側窓
31 張り出し部
40 後方突出部
41 送信側窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器洗浄手段を備えた便器の後部上端に、便器洗浄手段を制御する便器側制御部を備えた便器制御部ケースを設置すると共に、便器に便座装置を取り付けてなる便器装置であって、便座装置に、着座・離座検出手段と、着座・離座検出手段で検出した着座・離座情報を赤外線信号として送信側窓から送信する送信手段と、上記送信側窓が配設される後方突出部とを設け、便器側に、便器の後部上端から上方に向かって突出する便器制御部ケースの前面部と、便器制御部ケースの前面部に配設される受信側窓と、上記送信側窓からの赤外線信号を受信側窓を介して受信する受信手段と、受信した赤外線信号に基いて便器洗浄手段により便器洗浄を行なうように制御するための便器側制御部とを設け、上記便器制御部ケースの前面部に上記便座装置の後方突出部を突き合わせると共にその突き合わせ部分に上記送信側窓と受信側窓とが対向配置される送受信面を設けたことを特徴とする便器装置。
【請求項2】
上記送受信面が鉛直面又は略鉛直面であることを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
上記受信側窓の上部に、外乱光が送受信面の隙間から受信側窓に入射するのを防止するための張り出し部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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