説明

便器装置

【課題】ボウル内の汚れを確実に除去したり、ボウル内に汚れが生じることを確実に抑制したりすることができ、剤の消費量を抑えることができ、経済的な便器装置を提供することを課題とする。
【解決手段】洗浄水を便器1のボウル2内へ供給する洗浄水供給手段を備える。前記洗浄水に洗浄作用又は殺菌作用の少なくともいずれか一方を有する剤を混入する剤混入手段を備える。気温測定手段6を備える。気温測定手段6にて測定した気温が高い場合に気温が低い場合と比べて洗浄水に混入する剤の量が多くなるように前記剤混入手段を制御する制御手段7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄作用や殺菌作用を有する剤を混入した洗浄水をボウル内へ供給する便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器のボウル内を洗浄するために、例えば特許文献1のように、洗剤や薬剤を含む洗浄液をボウル内へ供給する便器装置が知られている。
【0003】
ところで、夏季など気温が高い場合には微生物の活動が活発となり、便器のボウル内においては微生物に起因する汚れが生じやすい。また、このようにボウル内に汚れが生じた場合には、洗浄液に洗剤や薬剤等の剤を多量に含ませることで、前記ボウル内の汚れは除去することは可能であるが、この場合は剤の使用量が増して経済的ではない。
【特許文献1】特開2008−2138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ボウル内の汚れを確実に除去したり、ボウル内に汚れが生じることを確実に抑制したりすることができ、且つ、剤の消費量を抑えることができる便器装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1に係る便器装置は以下の構成を有している。洗浄水を便器1のボウル2内へ供給する洗浄水供給手段を備える。前記洗浄水に洗浄作用又は殺菌作用の少なくともいずれか一方を有する剤を混入する剤混入手段を備える。気温測定手段6を備える。気温測定手段6にて測定した気温が高い場合に気温が低い場合と比べて洗浄水に混入する剤の量が多くなるように前記剤混入手段を制御する制御手段7を備える。
【0006】
また、請求項2に係る便器装置は、請求項1において以下の構成を有している。前記洗浄水に気体を混入する気体混入手段を備える。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明は、気温測定手段にて測定した気温が高い場合に気温が低い場合と比べて洗浄水に混入する剤の量が多くなるように前記剤混入手段を制御するものである。このため、気温が高く微生物の活動が活発となる時には、ボウル内に供給される洗浄水に含まれる剤の量を増加させ、ボウル内に洗浄効果や殺菌効果の高い洗浄液を供給することができ、ボウル内の汚れを確実に除去したり、ボウル内に汚れが生じることを確実に抑制したりすることができる。また、気温が低くボウル内に微生物の活動に起因する汚れが生じ難い時には、ボウル内に供給される洗浄水に含まれる剤の量を低減させ、剤の消費量を抑えることができ、経済的である。
【0008】
また請求項2に係る発明では、請求項1の効果に加えて、気体混入手段により洗浄水に気体を混入することで、ボウル内に剤を混入した気泡を含む洗浄水を供給することができる。この気泡を含む洗浄水は、気泡の破裂、気泡の界面への汚れの吸着効果などにより洗浄力の高いものであるため、より一層ボウル内を綺麗に洗浄することができる。また、洗浄水に気泡が含まれることにより、洗浄水の嵩比重が低減し、洗浄水の使用量を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1に示す本実施形態の一例の便器装置は、ボウル2を備えた便器1と、便座4と、便蓋5を具備し、さらに、洗浄水を便器1のボウル2内へ供給する洗浄水供給手段と、洗浄水に洗浄作用又は殺菌作用の少なくともいずれか一方を有する剤を混入する剤混入手段と、気温を測定する気温測定手段6と、洗浄水供給手段や剤混入手段を制御する制御手段7を具備している。
【0011】
洗浄水供給手段は、水道から水が供給される給水路8で構成されている。便器1に設けられた給水路8の下流側端部にはボウル2内に臨む洗浄用ノズル9が設けてある。また、給水路8の洗浄用ノズル9よりも上流側には電磁弁からなる開閉弁10が設けられており、開閉弁10を開くことで、水道から給水路8に供給された水が洗浄水として洗浄用ノズル9からボウル2内に吐出され、該洗浄水によりボウル2の内面が洗浄される。
【0012】
剤混入手段は、便器1に設けられた液状の洗剤又は薬剤からなる剤を貯めるタンク11と洗浄用ノズル9を連通接続させる剤供給路12と、剤供給路12の途中に設けられてタンク11内の剤を剤供給路12を介して洗浄用ノズル9に供給するポンプ13とで構成されている。剤供給路12のポンプ13よりも下流側には逆止弁15が設けられている。
【0013】
タンク11に貯留される剤は、洗浄作用を有する界面活性剤等の洗浄剤、又は殺菌作用を有する殺菌剤、あるいはその両方を含む洗剤又は薬剤からなる。この剤は図中14に示すタンク11に設けられた剤投入口からタンク11内に投入される。
【0014】
剤混入手段は、前述の洗浄水供給手段によるボウル2内への洗浄水の供給時にポンプ13を運転することにより、給水路8の洗浄用ノズル9を流れる洗浄水にタンク11内の剤を供給できるようになっている。したがって、この場合は、洗浄作用及び/又は殺菌作用を有する剤を洗浄水に混入してなる洗浄液をボウル2内に吐出し、この洗浄効果や殺菌効果を高めた洗浄液によってボウル2の内面を効果的に洗浄することができる。
【0015】
また、前記剤混入手段は、運手時におけるポンプ13の出力を変更することにより、洗浄水に混入する剤の量(洗浄液中の剤の濃度)を変更できるようにしてある。
【0016】
気温測定手段6は便器1に設けられた温度センサからなり、トイレ室内の気温を測定する。該気温測定手段6と前記ポンプ13はマイコン等で構成される制御手段7に電気的に接続され、以下に示すように制御される。
【0017】
制御手段7は、前述のように洗浄水供給手段及び剤混入手段により、剤を混入した洗浄水をボウル2内に吐出する時において、気温測定手段6により測定したトイレ室内の気温が高い場合に気温が低い場合と比べて洗浄水に混入する剤の量が多くなるようにポンプ13の出力を変更するものである。
【0018】
具体的には、以下の表1に示すように、洗浄液の吐出の際に気温測定手段6により測定された気温が、10℃未満である低温域と、10℃以上且つ20℃未満である中温域と、20℃以上である高温域の3段階に区分され、これにより気温測定手段6により測定した気温が中温域に属する場合にはポンプ13が標準出力で運転されて洗浄水への剤の混入量が標準量に設定され、低温域に属する場合にはポンプ13が低出力で運転されて剤の混入量が少量に設定され、高温域に属する場合にはポンプ13が高出力で運転されて剤の混入量が多量に設定される。
【0019】
【表1】

【0020】
上記により、微生物の活動が活発となるトイレ室内の気温が高い時程、ボウル2内に供給される洗浄水に含まれる剤の量を自動で増加させ、ボウル2内に洗浄効果や殺菌効果の高い洗浄液を供給することができる。したがって、トイレ室内の気温が高い時にはボウル2内の汚れを確実に除去したり、ボウル2内に汚れが生じることを確実に抑制したりすることができる。また、トイレ室内の気温が低い時には、ボウル2内に供給される洗浄水に含まれる剤の量を自動で低減させ、剤の消費量を抑えることができる。
【0021】
次に上記一例の便器装置とは異なる他例の便器装置について説明する。なお以下の他例の説明では一例の便器装置と同一の構成については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0022】
図2に示す他例の便器装置は前記洗浄水に気体を混入する気体混入手段を具備している。
【0023】
気体混入手段は一端が大気開放されると共に他端が洗浄用ノズル9の剤供給路12との接続部分よりも上流側に接続された気体供給路16で構成されている。気体供給路16には逆止弁17が設けられている。
【0024】
洗浄水供給手段によるボウル2内への洗浄水の供給時には、洗浄用ノズル9を流れる洗浄水により気体供給路16との接続部分において負圧が発生し、これによるエジェクター効果により気体供給路16から給水路8の洗浄用ノズル9を流れる洗浄水にトイレ室内の空気が供給される。そして、このように洗浄水に空気を供給することにより、洗浄水中には気泡が発生し、該気泡を含む洗浄水が洗浄用ノズル9よりボウル2内に向けて吐出される。
【0025】
また、前述のように洗浄水供給手段及び剤混入手段により、剤を混入した洗浄水をボウル2内に吐出する時にあっても、同様に給水路8を流れる洗浄水に空気が供給され、この結果、洗浄用ノズル9からは剤が混入され且つ気泡を含む洗浄水がボウル2内に向けて吐出される。
【0026】
前記気泡を含む洗浄水は、剤を混入していないもの及び混入したもののいずれにおいても、気泡の破裂、気泡の界面への汚れの吸着効果などにより洗浄力が高いものとなる。このため、より一層ボウル2内を綺麗に洗浄することができる。また、洗浄水に気泡が含まれることにより、洗浄水の嵩比重が低減し、洗浄水の使用量を抑えることができる。
【0027】
なお、本例の気体混入手段は空気を洗浄水に供給するものであるが、気体混入手段により洗浄水に供給される気体は空気以外の気体であっても良いものとする。
【0028】
次に更に他例の便器装置を示す。なお、以下の説明では前記他例の便器装置と同一の構成については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0029】
図3に示す更に他例の剤混入手段は、タンク11内の剤を循環させるための流路となる便器1に設けられた循環路18と、該循環路18及び給水路8の洗浄用ノズル9を接続する接続路20と、循環路18に設けられてタンク11内の剤を循環路18において循環させ、この循環する剤の一部を接続路20を介して洗浄用ノズル9に供給する循環ポンプ19とで構成されている。接続路20には逆止弁21が設けられている。なお、図3では気温測定手段6及び制御手段7の図示を省略している。
【0030】
また、前記剤混入手段は、前記循環ポンプ19の出力を変更することで、循環路18を流れる剤の圧力を変更し、これにより洗浄水に混入する剤の量を変更できるようになっている。
【0031】
なお、本例の便器装置には他例と同様に気体混入手段が設けられているが、該気体混入手段は設けなくても良いものとする。
【0032】
また、前記各例の便器装置は、ポンプ13の出力を変更することにより、洗浄水に混入される剤の量を変更するものであるが、剤の混入量を変更する手段としてはこれに限定されない。一例としては、剤供給路12に電動の流量調整弁を設け、該流量調整弁の開度を制御手段により調節することが挙げられる。
【0033】
また、前記各例では、気温測定手段6により測定した気温を10℃及び20℃の閾値で3段階の温度域に区分し、これに基づいて剤の混入量を変更したが、前記閾値や区分数は限定されるものではない。つまり、洗浄水に混入される剤の量は、気温測定手段6により測定した気温に基づいて、気温が高い時程洗浄水に含まれる剤の量が多くなるよう2段階以上で変更されるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態の一例の便器装置を示す説明図である。
【図2】他例の便器装置を示す説明図である。
【図3】更に他例の便器装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 便器
2 ボウル
6 気温測定手段
7 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を便器のボウル内へ供給する洗浄水供給手段と、前記洗浄水に洗浄作用又は殺菌作用の少なくともいずれか一方を有する剤を混入する剤混入手段と、気温測定手段を備え、気温測定手段にて測定した気温が高い場合に気温が低い場合と比べて洗浄水に混入する剤の量が多くなるように前記剤混入手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
前記洗浄水に気体を混入する気体混入手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−77675(P2010−77675A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246897(P2008−246897)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】