説明

便器装置

【課題】水洗式便器の使用者に対して節水の動機づけになり、水洗式便器の節水化を図り得る便器装置を提供する。
【解決手段】便器装置は、便器本体10、及びこの便器本体10に洗浄水を供給する便器洗浄装置30を有する水洗式便器1と、便器洗浄装置30が便器本体10に供給した洗浄水の水量を測定する測定装置35と、水洗式便器1の使用者が視認することができ、測定装置35が測定した設定期間内の水量に基づいたデータを表示する表示装置41、42とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の便器装置を開示している。この便器装置は、便器本体と、この便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置とを有する水洗式便器を備えている。また、この便器装置は、便器本体に供給した洗浄水の水量等を測定する測定装置と、測定装置が測定した水量等を表示する表示装置とを備えている。表示装置は水洗式便器が設置されたブースとは別に設けられたブース内に配置されている。
【0003】
この便器装置は、測定装置が測定した水量等に基づいて、水洗式便器の使用状況を把握することができる。このため、水洗式便器の使用状況に応じて水洗式便器のリニューアルを行い、リニューアル後の水洗式便器で使用される洗浄水の使用水量を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−90124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の便器装置は表示装置を水洗式便器が設置されたブースとは別のブース内に配置している。このため、表示装置は水洗式便器に供給された洗浄水の水量等を水洗式便器の使用者が認識するために備えられているものではない。このため、この便器装置は、水洗式便器の使用者に水洗式便器に供給する洗浄水の消費を少なくするという動機を与えることができない。よって、この便器装置は、水洗式便器の使用者自らが日々の水洗式便器の使用において、洗浄水の使用水量を少なくしようとするものではない。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、水洗式便器の使用者に対して節水の動機づけになり、水洗式便器の節水化を図り得る便器装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の便器装置は、便器本体、及びこの便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置を有する水洗式便器と、
前記便器洗浄装置が前記便器本体に供給した洗浄水の水量を直接的又は間接的に取得する測定装置と、
前記水洗式便器の使用者が視認することができ、前記測定装置が取得した設定期間内の水量に基づいたデータを表示する表示装置とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この便器装置は、便器本体に供給した洗浄水の設定期間内の水量を直接的又は間接的に取得し、その水量(以下、使用水量という。)に基づいたデータを表示装置に表示することによって、そのデータを水洗式便器の使用者が水洗式便器の使用中に視認することができる。このため、水洗式便器の使用者は、その表示内容から使用水量等の多少を把握することができる。これによって、水洗式便器の使用者に対して節水の動機づけになり、この使用者は洗浄水の消費を少なくするように水洗式便器を使用するようになり得る。
【0009】
したがって、本発明の便器装置は、水洗式便器の使用者に対して節水の動機づけになり、水洗式便器の節水化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の便器装置を示す概略図である。
【図2】実施例1のリモートコントローラーを示す正面図である。
【図3】実施例1の水洗式便器を示す斜視図である。
【図4】実施例1の多機能型携帯電話の表示部にデータを表示した状態を示す正面図である。
【図5】(A)〜(D)は実施例1の表示装置の表示部に表示する異なるデータを示す図である。
【図6】実施例2の便器装置を示す概略図である。
【図7】実施例2の多機能型携帯電話の表示部に表示するデータを示す図である。
【図8】実施例2の便器装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】他の実施例の水洗式便器を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0012】
本発明の前記測定装置は、前記便器洗浄装置が前記便器本体に洗浄水を供給する回数をカウントするカウンター機能と、このカウンター機能のカウント数に1回の便器洗浄に利用する洗浄水量を乗じて水量を換算する換算機能とを有し得る。この場合、便器装置は使用水量を間接的に取得することができるため、直接的に使用水量を取得するために利用する流量計等を必要としない。このため、便器洗浄装置が設定期間内に便器本体に供給する使用水量を容易に把握することができる。
【0013】
本発明の前記便器洗浄装置は前記便器本体に供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄パターンを有し得る。この場合、水洗式便器の使用者は表示装置に表示したデータから使用水量等の多少を把握したうえで、洗浄パターンを選択することができる。つまり、水洗式便器の使用者は、使用水量等が多い場合、水洗式便器に供給する洗浄水量が少ない洗浄パターンを選択し得るため、水洗式便器における洗浄水の消費を削減することになり得る。
【0014】
本発明の前記表示装置は前記水洗式便器の使用者毎に前記データを表示し得る。この場合、使用者毎にその使用者が水洗式便器を利用した際の使用水量を把握することができる。これによって、使用水量が多い使用者に対して節水の動機づけが強く働き、この使用者は洗浄水の消費を少なくするように水洗式便器を使用するようになり得る。
【0015】
また、前記表示装置は、他の水洗式便器の前記データと、現在使用中の水洗式便器の前記データとを比較して表示し得る。この場合、水洗式便器を交換したことによる節水具合を確認することができる。また、これによって、水洗式便器の使用者に対して節水の動機づけになり、さらに、使用者は洗浄水の消費を少なくするように水洗式便器を使用するようになり得る。
【0016】
本発明の前記データは、前記測定装置が取得した水量に基づいて換算した水道料金、CO2排出量、その他の換算値であり得る。水洗式便器の使用者が実感し易い換算値にすることによって、使用者に対して節水の動機づけになり易い。このため、使用者は洗浄水の消費を少なくするように水洗式便器を使用するようになり得る。
【0017】
次に、本発明の便器装置を具体化した実施例1及び2について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<実施例1>
実施例1の便器装置は、図1〜図5に示すように、便器本体10と、便器本体10に洗浄水を供給する便器洗浄装置30とを有する水洗式便器1を備えている。便器本体10は、便鉢部11と、便鉢部11の下流側に連続して設けられた便器排水路12とを有している。また、便器本体10は上部に便座装置20を取り付けている。便座装置20は、便器本体10の後部上面に取り付けられた便座ボックス21と、便座ボックス21に軸支され、回動自在な便座及び便蓋22とを有している。
【0019】
便器洗浄装置30は、洗浄水を貯留する洗浄タンク31と、洗浄タンク31に洗浄水を供給する一次側給水路32と、洗浄タンク31に貯留した洗浄水を便鉢部11に供給する二次側給水路33と、二次側給水路33の中間部に設けたポンプPとを有している。洗浄タンク31は便器本体10の後方であって便座装置20の上面より下方に配置されている。
【0020】
一次側給水路32は上流端部が給水圧力を有する給水源に連通している。一次側給水路32は、開閉弁34と、開閉弁34より下流側に設けられた流量計35からなる測定装置とを有している。開閉弁34は、洗浄タンク31内の水位が上限水位から低下すると開弁し、洗浄タンク31内の水位が上昇して上限水位になると閉弁する。開閉弁34が開弁すると、一次側給水路32内を給水源から流入した洗浄水が流れる。一次側給水路32内を流れる洗浄水は、流量計35によって流量が測定されつつ、洗浄タンク31内に供給される。
【0021】
二次側給水路33は洗浄タンク31の底面近傍と便鉢部11とを連通している。便器洗浄装置30は、ポンプPが駆動することによって、二次側給水路33を介して洗浄タンク31内に貯留した洗浄水を便鉢部11に供給する。便鉢部11に供給された洗浄水は便鉢部11の表面を洗浄しつつ、便器排水路12を介して便鉢部11内の汚物等を便器本体10外へ排出する。
【0022】
便器装置は、流量計35の測定値から設定期間内(例えば、1か月間毎)の水量を換算し、その水量(使用水量)に基づいたデータを表示する表示装置41、42を備えている。表示装置41、42は、図1〜図3に示すように、水洗式便器1のリモートコントローラー50、及び便座装置20の便座ボックス21に設けられている。各表示装置41、42は、リモートコントローラー50の前面、及び便座ボックス21の上面に表示部41A、42Aを有している。このように、表示部41A、42Aは、水洗式便器1が設置されたトイレ室内に存在するため、水洗式便器1の使用者が水洗式便器1の使用中に視認することができる。また、表示装置41、42は、図4に示すように、多機能型携帯電話(スマートフォン)43を表示装置として利用し、その表示部43Aにデータを表示するようにしてもよい。この場合も、水洗式便器1の使用者が多機能型携帯電話43を水洗式便器1が設置されたトイレ室内に持ち込むことによって、水洗式便器1の使用中に表示部43Aを視認することができる。
【0023】
水洗式便器1のリモートコントローラー50は、図2に示すように、3個の便器洗浄ボタン51、52、53を有している。便器洗浄装置30は、これら便器洗浄ボタン51、52、53に応じて、便器本体10に供給する洗浄水の水量が大、中、小と異なる洗浄パターンを実行する。
【0024】
表示装置41、42、43は、図5(A)〜(D)に示すように、表示部41A、42A、43Aに表示されるデータを変更することができる。図5(A)に示されるデータは、ある月の水洗式便器1の使用水量を「今月の使用量」として表示するものである。この使用水量は、一次側給水路32に設けられた流量計35の測定値から換算したものであり、各月初めにリセットされ、便鉢部11に洗浄水が供給される毎に積算されるものである。データに表示された木の葉の数によって、節水度を表示している。節水度は、水洗式便器1の使用回数に対して使用水量の多少を示すものであり、木の葉の数が多いほど使用水量が少ないことを示す。このように、この便器装置は、表示装置41、42、43の表示部41A、42A、43Aに表示された内容を水洗式便器1の使用者が水洗式便器1の使用中に視認して、使用水量の多少を把握することができるため、その使用者に対して節水の動機づけになる。
【0025】
図5(B)に示されるデータは、ある月の水洗式便器1の使用水量を水道料金に換算して表示したものである。このように、表示内容を水洗式便器1の使用者が実感し易い換算値にすることによって、使用者に対して節水の動機づけになり易い。
【0026】
図5(C)に示されるデータは、従来型の他の水洗式便器の年間の使用水量と、現在使用している水洗式便器1の年間の使用水量を比較して表示するものである。また、現在使用している水洗式便器1の使用水量をCO2排出量に換算して、従来型の他の水洗式便器に比べて削減量を表示するものである。このように、この便器装置は、水洗式便器を交換した場合、従来型の水洗式便器に対する節水具合を確認することができ、水洗式便器1の使用者に対して節水の動機づけになる。また、CO2排出量に換算することによって、使用者が節水具合を実感し易くしている。
【0027】
図5(D)に示されるデータは、水洗式便器1の使用者毎にある月の使用水量、使用回数、使用パターンを表示するものである。このように、使用者毎にその使用者が水洗式便器1を利用した際の使用水量を把握することができる。これによって、使用水量が多い使用者に対して節水の動機づけが強く働く。
【0028】
以上説明したように、この便器装置では、水洗式便器1の使用者が、水洗式便器1の使用中に表示部41A、42A、43Aの表示内容を視認し、使用水量等の多少を把握することができる。このため、この便器装置は水洗式便器1の使用者に対して節水の動機づけになる。これによって、水洗式便器1の使用者は、便器本体10に供給する洗浄水の水量が少ない洗浄パターンを実行する便器洗浄ボタン51、52、53を操作して便器洗浄を行ったり、便器洗浄ボタン51、52、53の操作回数を少なくしたりして、洗浄水の消費を少なくするように水洗式便器1を使用するようになり得る。
【0029】
したがって、実施例1の便器装置は、水洗式便器1の使用者に対して節水の動機づけになり、水洗式便器1の節水化を図り得る。
【0030】
<実施例2>
実施例2の便器装置は、測定装置が流量計を有しておらず、間接的に水量を取得する点で実施例1と相違する。実施例1と同一の構成は、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0031】
実施例2の便器装置は、図6に示すように、便器本体10と、便器本体10に洗浄水を供給する便器洗浄装置130とを有する水洗式便器100を備えている。便器本体10は上部に便座装置120を取り付けている。便座装置120は、便器本体10の後部上面に取り付けられた便座ボックス121と、便座ボックス121に軸支され、回動自在な便座122A及び便蓋122Bとを有している。便座ボックス121は表示部142Aを有する表示装置142を上面に設けている。便座ボックス121は洗浄ボタン123を側面に設けている。便座装置120は、便器本体10の前方に近づいた水洗式便器100の使用者、及び便座122Aに着座した水洗式便器100の使用者を検知することができる図示しない人体検知装置を有している。
【0032】
便器洗浄装置130は、洗浄水を貯留する洗浄タンク31と、洗浄タンク31に洗浄水を供給する一次側給水路132と、洗浄タンク31に貯留した洗浄水を便鉢部11に供給する二次側給水路33と、二次側給水路33の中間部に設けたポンプPとを有している。洗浄タンク31は便器本体10の後方であって便座装置120の上面より下方に配置されている。
【0033】
一次側給水路132は、上流端部が給水圧力を有する給水源に連通し、開閉弁34を有している。開閉弁34は、洗浄タンク31内の水位が上限水位から低下すると開弁し、洗浄タンク31内の水位が上昇して上限水位になると閉弁する。開閉弁34が開弁すると、給水源から一次側給水路132を介して洗浄水が洗浄タンク31内に供給される。
【0034】
リモートコントローラー150は、2個の便器洗浄ボタン(大洗浄ボタン151、小洗浄ボタン152)を有している。また、リモートコントローラー150は表示部1421を有する表示装置141を前面に設けている。
【0035】
ポンプPは便座ボックス121内の制御装置125によって駆動制御される。つまり、制御装置125は、リモートコントローラー150に設けた大洗浄ボタン151、又は便座ボックス121の外表面に設けた洗浄ボタン123が操作されると、ポンプPが駆動して大洗浄を実行する。この大洗浄の際に便器本体10に供給する洗浄水の水量は便鉢部11内の汚物等が便器本体10から良好に排出することができる水量α1(リットル)である。また、制御装置125は、リモートコントローラー150に設けた小洗浄ボタン152が操作されると、ポンプPが駆動して小洗浄を実行する。この小洗浄の際に便器本体10に供給する洗浄水の水量は、大洗浄の際に便器本体10に供給する水量よりも少なく、便鉢部11内の溜水が入れ替わる程度の水量α2(リットル)である。
【0036】
また、制御装置125は、人体検知装置を利用して、水洗式便器100の使用者が便器本体10の前方に滞在している時間、又は便座122Aに着座している時間を測定し、その長短によって、使用者が小便のために水洗式便器100を使用したか、大便のために水洗式便器100を使用したかを判別し、大洗浄又は小洗浄を実行する自動洗浄機能を有している。つまり、制御装置125は、自動洗浄機能によって水洗式便器100が大便のために使用されたと判別すると、ポンプPを駆動して大洗浄を実行する。制御装置125は、自動洗浄機能によって水洗式便器100が小便のために使用されたと判別すると、ポンプPを駆動して小洗浄を実行する。
【0037】
また、制御装置125は、設定期間内(例えば、1か月間毎)の大洗浄回数C1及び小洗浄回数C2をカウントするカウンター機能を有している。制御装置125は、大洗浄又は小洗浄を実行する度に、大洗浄回数C1及び小洗浄回数C2を多機能型携帯電話(スマートフォン)143に送信する近距離無線通信機能を有している。
【0038】
多機能型携帯電話143は制御装置125から送信された大洗浄回数C1及び小洗浄回数C2を受信する近距離無線通信機能を有している。多機能型携帯電話143は、大洗浄回数C1に大洗浄を1回実行する際に使用する水量α1(リットル)を乗じたものと、小洗浄回数C2に小洗浄を1回実行する際に使用する水量α2(リットル)を乗じたものとを加算し、設定期間内の便器本体に供給した洗浄水の使用水量を換算するアプリケーションをインストールしている。つまり、多機能型携帯電話143が換算機能を有している。
【0039】
また、このアプリケーションは、式(1)に示すように、上述した使用水量に対して水道単価(円/m3)/1000を乗じて、水道代Aを換算することができる。
【0040】
【数1】

【0041】
さらに、このアプリケーションは、図7に示すように、今月のその時点での水道代及び使用水量と、先月1か月分の水道代及び使用水量とを表示部143Aに表示することができる。
【0042】
次に、このような構成を有する便器装置の動作について、図8を参照しつつ説明する。
【0043】
便器洗浄の待機状態において、水洗式便器100の使用者がリモートコントローラー150に設けた大洗浄ボタン151を操作するか、便座ボックス121の外表面に設けた洗浄ボタン123を操作するか、又は制御装置125の自動洗浄機能が水洗式便器100の使用者が大便のために水洗式便器100を使用したと判別することによって、大洗浄の実行が指示される(ステップS1)。
【0044】
すると、大洗浄信号が制御装置125から送信され(ステップS3)、ポンプPが駆動して、大洗浄を実行する(ステップS5)。また、制御装置125はカウンター機能によって大洗浄回数をカウントする(ステップS7)。
【0045】
また、水洗式便器100の使用者がリモートコントローラー150に設けた小洗浄ボタン151を操作するか、制御装置125の自動洗浄機能が水洗式便器100の使用者が小便のために水洗式便器100を使用したと判別することによって、小洗浄の実行が指示される(ステップS2)。
【0046】
すると、小洗浄信号が制御装置125から送信され(ステップS4)、ポンプPが駆動し、小洗浄を実行する(ステップS6)。また、制御装置125はカウンター機能によって小洗浄回数をカウントする(ステップS8)。
【0047】
制御装置125のカウンター機能が大洗浄回数C1又は小洗浄回数C2をカウントする(ステップS7、S8)と、タイマーがスタートとし(ステップS9)、設定期間内であるか否かを判断する(ステップS10)。例えば、設定期間は1カ月間であり、ある特定の月内であれば、便器洗浄の待機状態に戻り、翌月になると、制御装置125のカウンター機能の大洗浄回数C1及び小洗浄回数C2を0にし(ステップS11)、さらにタイマーをリセットして(ステップS12)、便器洗浄の待機状態に戻る。
【0048】
また、制御装置125のカウンター機能が大洗浄回数C1又は小洗浄回数C2をカウントする(ステップS7、S8)と、近距離無線通信機能によって多機能型携帯電話に大洗浄回数C1及び小洗浄回数C2を送信する。
【0049】
多機能型携帯電話143は制御装置125から送信された大洗浄回数C1及び小洗浄回数をカウントC2に基づいて、使用水量を計算する。つまり、多機能型携帯電話143は、大洗浄回数C1に大洗浄を1回実行する際に使用する水量α1(リットル)を乗じたものと、小洗浄回数C2に小洗浄を1回実行する際に使用する水量α2(リットル)を乗じたものとを加算し、その月内の便器本体に供給した洗浄水の使用水量を計算する。このように、便器本体10に供給した洗浄水の水量を間接的に取得することができる(ステップS13)。
【0050】
このように、この便器装置は、便器洗浄装置130が設定期間内に便器本体10に供給する使用水量を間接的に取得することができるため、直接的に水量を計測する際に利用する流量計等を必要としない。このため、便器洗浄装置130が設定期間内に便器本体10に供給する使用水量を容易に把握することができる。
【0051】
そして、使用水量(リットル)に対して水道単価(円/m3)/1000を乗じて、水道代を換算する(ステップS14)。そして、多機能型携帯電話143の表示部143Aに今月のその時点での水道代及び使用水量、及び先月1か月分の水道代及び使用水量を表示する(ステップS15)。
【0052】
このように、この便器装置では、水洗式便器100の使用者が多機能型携帯電話43を水洗式便器1が設置されたトイレ室内に持ち込むことによって、水洗式便器100の使用中に多機能型携帯電話143の表示部143Aの表示される水道代及び使用水量を視認し、これらの多少を把握することができる。このため、この便器装置は水洗式便器100の使用者に対して節水の動機づけになる。これによって、水洗式便器100の使用者は、各洗浄ボタン123、151、152の操作回数を少なくし、洗浄水の消費を少なくするように水洗式便器100を使用するようになり得る。
【0053】
したがって、実施例2の便器装置も、水洗式便器100の使用者に対して節水の動機づけになり、水洗式便器100の節水化を図り得る。
【0054】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1及び2に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、一次側給水路32に流量計35からなる測定装置を設けていたが、図9(A)に示すように、二次側給水路33のポンプPの下流側に設けてもよい。また、図9(B)に示すように流量計35の代わりにポンプPの回転数を測定する回転数計36からなる測定装置を設け、ポンプPの回転数から便器本体10に供給する洗浄水の水量を換算するようにしてもよい。実施例1と同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
(2)実施例1では、洗浄タンク31を有していたが、図9(C)に示すように、洗浄タンク31を有さず、給水源から直接、便器本体10に洗浄水を供給するようにしてもよい。この場合、給水源から便鉢部11に洗浄水を供給する給水路37に開閉弁34と、開閉弁34の下流側に流量計35を設けるとよい。実施例1と同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
(3)実施例1では、リモートコントローラー50、及び便座ボックス21の両方に表示装置41、42を設けたが、一方のみに設けてもよい。
(4)実施例1では、多機能型携帯電話43の表示部43Aにデータを表示するようにしたが、多機能型携帯電話43の表示部43Aにデータを表示させなくてもよい。
(5)実施例1では、表示部41A、42A、43Aの表示内容を切り替えることができたが、切り替えなくてもよい。また、リモートコントローラー50の表示部41Aと、便座ボックス21の表示部42Aとは違う表示内容にしてもよい。
(6)多機能型携帯電話43の表示部43Aに、その多機能型携帯電話43の所有者の水洗式便器の使用水量等のデータを表示するようにしてもよい。
(7)実施例1では、多機能型携帯電話43の表示部43Aにデータを表示するようにしたが、携帯することができる通信機器、例えば、タブレット端末やPDA等の携帯端末の表示部にデータを表示するようにしてもよい。
(8)実施例2では、多機能型携帯電話143が換算機能を有したが、制御装置125が換算機能を有してもよい。この場合、リモートコントローラー150の表示部41Aや、便座ボックス121の上面の表示部42Aに水道代や使用水量を表示してもよい。
(9)実施例2の多機能型携帯電話143に水洗式便器100の大洗浄及び小洗浄を実行するアプリケーションをインストールし、多機能型携帯電話143を操作して、大洗浄及び小洗浄を実行してもよい。
(10)実施例2では、洗浄タンク31を有していたが、洗浄タンク31を有さず、給水源から直接、便器本体10に洗浄水を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1、100…水洗式便器
10…便器本体
30、130…便器洗浄装置
35…流量計(測定装置)
41、42、43、143…表示装置(43、143…多機能型携帯電話)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体、及びこの便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置を有する水洗式便器と、
前記便器洗浄装置が前記便器本体に供給した洗浄水の水量を直接的又は間接的に取得する測定装置と、
前記水洗式便器の使用者が視認することができ、前記測定装置が取得した設定期間内の水量に基づいたデータを表示する表示装置とを備えていることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
前記測定装置は、前記便器洗浄装置が前記便器本体に洗浄水を供給する回数をカウントするカウンター機能と、このカウンター機能のカウント数に1回の便器洗浄に利用する洗浄水量を乗じて水量を換算する換算機能とを有していることを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
前記便器洗浄装置は前記便器本体に供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄パターンを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の便器装置。
【請求項4】
前記表示装置は前記水洗式便器の使用者毎に前記データを表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の便器装置。
【請求項5】
前記表示装置は、他の水洗式便器の前記データと、現在使用中の水洗式便器の前記データとを比較して表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の便器装置。
【請求項6】
前記データは、前記測定装置が取得した水量に基づいて換算した水道料金、CO2排出量、その他の換算値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の便器装置。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100711(P2013−100711A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224243(P2012−224243)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】