説明

便器装置

【課題】停電時に小容量の非常用電源により便器清浄を行なうことができる便器装置を提供する。
【解決手段】本発明の便器装置(1)は、汚物を受けるボウル部(12)と、このボウル部に接続され汚物を排出すると共にボウル部に溜水を形成する排水トラップ部(14)と、給水源(24)に接続されボウル部に洗浄水を供給する洗浄水給水手段(60)と、ボウル部内に進出して所定方向に洗浄水を噴出するノズル部を備えた局部洗浄装置(8)と、洗浄水給水手段と局部洗浄装置を電気的に駆動させる制御部(62)であって、この制御部は、洗浄水給水手段と局部洗浄装置を通常電源により電気的に駆動させる「通常動作モード」と、停電時に洗浄水給水手段のみを非常用電源により電気的に駆動させる「異常動作モード」とを設定する制御部と、停電時に通常動作モードから異常動作モードへ切替えるモード切替手段(62,88)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器装置に係わり、特に、供給電力により電気的に駆動される便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、便器洗浄、局部洗浄、便座暖房、便蓋・便座開閉等を、一つの制御部により電気的に駆動させるようにした便器装置が普及してきている。このような便器装置の場合、停電になり電力供給が止まった場合には、便器本体を使用することが出来なくなるため、例えば、特許文献1に示されたような、バックアップ用電源を設ける必要がある。
【0003】
特許文献1に示された便器装置は、トラップ部の自由端である後端が上下方向反転自在となった特殊な構造の便器である。この便器装置においては、トラップ部の後端を上下方向反転するためのトラップ駆動手段と、便蓋・便座を開閉するための便座・便蓋開閉駆動手段を同一電源により駆動させている。さらに、この便器装置においては、停電時に、これらのトラップ駆動手段及び便座・便蓋開閉手段を駆動させるためのバックアップ用電源が設けられている。
【0004】
この便器装置は、洗浄スイッチが操作された後の洗浄動作において、便座・便蓋開閉駆動操作スイッチを操作しても、トラップ部の後端が上向きとなっていない状態では、優先的にトラップ駆動手段のみの動作が行なわれ、その後、便座・便蓋の開閉が行なわれ、一方、トラップ部の後端が上向きとなっている状態では、便座・便蓋開閉駆動手段による便座・便蓋の開閉を行なうようになっている。このため、この便器装置によれば、洗浄動作中に停電になった場合でも、トラップ駆動手段と便座・便蓋開閉駆動手段が同時に駆動されることがないので、バックアップ用電源として電流容量が大きなものが必要でなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−240135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の便器装置は、トラップ部の自由端である後端が上下方向反転自在となった特殊な構造を前提としたものであり、他の一般的な構造の便器装置に適用できるものではない。
【0007】
一般的に、停電時に対応するためにバックアップ用電源を設ける場合には、一つの制御部により、便器洗浄、局部洗浄、便座暖房、便蓋・便座開閉等を駆動させるので、全体として大容量のバックアップ用電源が必要となる。バックアップ用電源が大容量化すれば、コストアップにもなり、好ましくない。
また、バックアップ用電源を使用せずに汚物を溜水の洗浄動作により排出する場合には、使用者は、バケツ等に水を汲み、便器のボウル部に洗浄水を流し込む必要があるが、このような方法も、使用者に手間と負担がかかり、特に高齢者や疾病者には好ましいものではない。
【0008】
そこで、本発明は、停電時に小容量の非常用電源により便器洗浄を行なうことができる便器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、供給電力により電気的に駆動される便器装置であって、汚物を受けるボウル部と、このボウル部に接続され汚物を排出すると共にボウル部に溜水を形成する排水トラップ部と、給水源に接続されボウル部に洗浄水を供給する洗浄水給水手段と、ボウル部内に進出して所定方向に洗浄水を噴出するノズル部を備えた局部洗浄装置と、洗浄水給水手段と局部洗浄装置を電気的に駆動させる制御部であって、この制御部は、洗浄水給水手段と局部洗浄装置を通常電源により電気的に駆動させる通常動作モードと、停電時に洗浄水給水手段のみを非常用電源により電気的に駆動させる異常動作モードとを設定する制御部と、停電時に通常動作モードから異常動作モードへ切替えるモード切替手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、制御部が、洗浄水給水手段と局部洗浄装置を通常電源により電気的に駆動させる通常動作モードと、停電時に洗浄水給水手段のみを非常用電源により電気的に駆動させる異常動作モードとを設定し、モード切替手段により、停電時に通常動作モードから洗浄水給水手段のみを駆動させる異常動作モードへ切替えるので、局部洗浄装置を備えた便器装置であっても、停電時には、局部洗浄動作等よりも機能的に優先順位の高い便器洗浄動作を実現するために、洗浄水給水手段によるボウル部の洗浄のみを実行して停電時の電力使用量を最低限の量とすることができる。その結果、本発明によれば、停電時に、ボウル部洗浄のみを実行する最低限の電力で足りるので、非常用電源の容量を小さくすることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、モード切替手段は、使用者により切替えられるマニュアルスイッチである。
このように構成された本発明においては、使用者が、停電時の状況に応じて、マニュアルスイッチにより、通常動作モードから洗浄水給水手段のみを非常用電源により電気的に駆動させる異常動作モードへ切替えることができるので、安心して便器を使用することができる。
【0011】
本発明は、好ましくは、更に、モード切替手段により異常動作モードに切替えられた場合に非常用電源から電力を供給するための電源プラグを有する。
このように構成された本発明においては、停電時に非常用電源から電力を供給する電源プラグを設けたので、蓄電池等の市販の非常用電源を用いることができる。さらに、停電時に非常用電源を準備することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の便器装置によれば、停電時に小容量の非常用電源により便器洗浄を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による便器装置を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による便器装置の便器本体を示す全体構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態による便器装置の局部洗浄装置のノズルユニットを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による便器装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態による便器装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態による便器装置を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3実施形態による便器装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による便器装置を説明する。
先ず、図1乃至図4により、本発明の第1実施形態による便器装置の構造を説明する。ここで、図1は本発明の第1実施形態による便器装置を示す全体斜視図であり、図2は本発明の第1実施形態による便器装置の便器本体を示す全体構成図であり、図3は本発明の第1実施形態による便器装置の局部洗浄装置のノズルユニットを示す斜視図であり、図4は本発明の第1実施形態による便器装置を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による便器装置1は、便器本体2と、この便器本体2の上面に配置された便座4と、便座4を覆うように配置されたカバー6と、便器本体2の後方上部に配置された局部洗浄装置8と、を備えている。さらに、便器本体2の後方には、機能部10が配置されており、この機能部10はサイドパネル10aにより覆われている。
【0016】
図2に示すように、便器本体2には、汚物を受けるボウル部12と、このボウル部12の底部から延びる排水トラップ管路14と、ジェット吐水を行うジェット吐水口16と、リム吐水を行うリム吐水口18が形成されている。
ジェット吐水口16は、ボウル部12の底部に形成されており、洗浄水を排水トラップ管路14に向けて吐出するようになっている。リム吐水口18は、ボウル部12の一方の側上部後方に形成されており、ボウル部12の縁に沿って洗浄水を吐出するようになっている。
【0017】
排水トラップ管路14は、入口部14aと、この入口部14aから上昇するトラップ上昇管14bと、このトラップ上昇管14bから下降するトラップ下降管14cとからなり、トラップ上昇管14bとトラップ下降管14cとの間が頂部14dとなっている。さらに、ボウル部12には、溜水が形成されるが、この溜水の溜水面Wは、排水トラップ管路14の頂部14dの高さ位置により決定される。
【0018】
なお、トラップ管路14のトラップ下降管14cの下端には、排水配管15が接続されている。また、トラップ下降管14cの下端は、排水ソケット17(図4参照)を介して排水配管15に接続されるようにしてもよい。
【0019】
便器装置1は、水道である給水源24に直結されており、水道の給水圧力によりリム吐水口18から洗浄水が吐出される。また、ジェット吐水に関しては、機能部10に内蔵された貯水タンク32に貯水された洗浄水を加圧ポンプ34によって加圧して、ジェット吐水口16から吐出させるようになっている。
【0020】
次に、機能部10には、定流量弁20と、電磁弁22が設けられている。さらに、給水路19には、タンクへの給水とリム吐水を切り替える切替弁28と、貯水タンク32と、加圧ポンプ34が内蔵されている。また、機能部10には、電磁弁22の開閉操作、切替弁28の切換操作、及び、加圧ポンプ34の回転数や作動時間等を制御するコントローラ40が内蔵されている。
【0021】
定流量弁20は、給水源(水道)から流入した洗浄水を、所定の流量以下に絞るためのものである。この定流量弁20を通過した洗浄水は、電磁弁22に流入し、電磁弁22を通過した洗浄水は、切替弁28により、リム吐水口18又は貯水タンク32に供給されるようになっている。この切替弁28は、リム側であるリム側給水路18aとタンク側であるタンク側給水路32aの両方に同じタイミングで洗浄水を供給可能であって、リム側とタンク側への給水量の割合を任意に変更することができる切替弁である。
【0022】
電磁弁22は、コントローラ40の制御信号により開閉され、供給された洗浄水を切替弁28に流入させ、又は停止させるようになっている。また、切替弁28は、コントローラ40の制御信号により切り替えられ、電磁弁22を介して流入した洗浄水をリム吐水口18から吐出させ、又は、貯水タンク32に流入させるようになっている。
【0023】
貯水タンク32は、ジェット吐水口16から吐水すべき洗浄水を貯水するように構成されている。貯水タンク32の内部には、上端フロートスイッチ32b及び下端フロートスイッチ32cが配置されており、貯水タンク32内の水位を検出できるようになっている。上端フロートスイッチ32bは、貯水タンク32内の水位が所定の貯水水位に達するとオンに切り替わり、コントローラ40はこれを検知して、電磁弁22を閉鎖させる。一方、下端フロートスイッチ32cは、貯水タンク32内の水位が所定の水位まで低下するとオンに切り替わり、コントローラ40はこれを検知して、加圧ポンプ34を停止させる。
【0024】
加圧ポンプ34は、貯水タンク32に貯水された洗浄水を加圧して、ジェット吐水口16から吐出させるためのものである。加圧ポンプ34は、貯水タンク32の下部から延びる洗浄水管路34aにより接続され、貯水タンク32内に貯水された洗浄水を加圧する。
【0025】
一方、加圧ポンプ34の流出口は、洗浄水管路34bを介して、ボウル部12底部のジェット吐水口16に接続されている。
【0026】
コントローラ40は、使用者による便器洗浄スイッチ(後述するリモコンスイッチ26の一部)の操作により、電磁弁22、切替弁28、加圧ポンプ34を順次作動させ、リム吐水口18及びジェット吐水口16からの吐水を順次開始させて、ボウル部12を洗浄する。さらに、コントローラ40は、洗浄終了後、電磁弁22を開放し、切替弁28を貯水タンク32側に切り替えて洗浄水を貯水タンク32に補給する。貯水タンク32内の水位が上昇し、上端フロートスイッチ32bが規定の貯水量を検出すると、コントローラ40は、電磁弁22を閉鎖して給水を停止する。
【0027】
次に、図3により、局部洗浄装置8を説明する。局部洗浄装置8は、使用者の「おしり」などの局部を洗浄水で洗浄するための装置である。この局部洗浄装置8は、図3に示すノズルユニット42を備えている。このノズルユニット42には、給水源(水源)から供給された洗浄水が、流量調節、温度調節、圧力変調等なされた後、供給されるようになっている。さらに、局部洗浄装置8においては、洗浄水がヒーター(図示せず)により35〜40℃に加温されるようになっているため、大量の電力が消費される。このため、局部洗浄装置8を停電時に使用する場合には、大容量の非常用電源や無停電電源等が必要となる。
【0028】
ノズルユニット42は、取付台44と、取付台44に支持されたノズル46と、ノズル46を移動させるノズルモータ48とを備えている。ノズル46は、その先端に吐水口47を備え、図3に表した矢印Aのように、ベルトなどの伝動部材50を介してノズルモータ48から伝達される駆動力により、取付台44に対して摺動自在に設けられている。すなわち、ノズル46は、ノズル46自身の軸方向(進退方向)に直進移動することができる。そして、ノズル46は、取付台44から、ボウル部12に向けて、進退自在に移動できるようになっている。
【0029】
次に、図4により、本実施形態による便器装置における全体構成を説明する。洗浄水給水装手段60は、上述したボウル部12への洗浄水の供給を制御するためのものであり、ジェット吐水口16、リム吐水口18、定流量弁20、電磁弁22、貯水タンク32、コントローラ40等が含まれる。
ここで、図4のブロックBで示したように、洗浄水は、給水源24から、洗浄水給水手段60により、ボウル部12へ供給され、ボウル部12を洗浄して、排水トラップ管路14から、排水ソケット17を経て、排水配管15から外部へ排出される。
【0030】
便器装置1は、制御手段62を有し、この制御手段62は、限定動作制御手段64及び電源監視手段66を備えている。便器装置1は、さらに、蓄電手段68を有し、この蓄電手段68は、電源情報手段70を備えている。便器装置1は、この蓄電手段68に電力を供給するための電源プラグ72を有し、この電源プラグ72を経て、外部の商用電源74から蓄電手段68に電力が供給されるようになっている。
【0031】
便器装置1は、さらに、上述した局部洗浄装置8、洗浄開始スイッチや局部洗浄開始スイッチ等を備えたリモコンスイッチ76、停電時に使用者が操作して便器洗浄を開始するための洗浄開始補助スイッチ78を備えている。この洗浄開始補助スイッチ78を、通常時のためのリモコンスイッチ76とは別に設けることにより、使用者に、停電時であるため、通常の動作(後述する通常動作モード)とは異なる停電時用の動作モード(後述する異常動作モード)へ切り替えられたことを認識させることができる。
【0032】
ここで、制御手段62は、通常時(即ち、非停電時)に、ボウル部12に洗浄水を供給する洗浄水供給手段60、及び、使用者の局部へ洗浄水を噴出する局部洗浄装置8等を制御する(=通常動作モード)ためのものである。この制御手段62は、電源監視手段66により、停電を検知することができるようになっている。
【0033】
限定動作制御手段64は、停電時に、ボウル部12に洗浄水を供給する洗浄水供給手段60のみを動作させる(=異常動作モード)ためのものであり、このとき、局部洗浄装置8等の他の装置の動作は禁止されるようになっている。
停電時におけるこの通常動作モードから異常動作モードへの切り替えは、限定動作制御手段64により、自動的に、即ち、使用者の判断を要することなく、行われる。
【0034】
蓄電手段68は、例えば、蓄電池であり、商業電源74から供給される電力を一時的に蓄電でき、通常時には、通常電源として、また、停電時には、非常用電源として機能するようになっている。また、電源情報手段70は、停電を検知するためのものであり、商業電源74の電源電圧に関する信号を検出し、電源監視手段66に送信するようになっている。
【0035】
次に、図5を参照して、上述した本発明の第1実施形態による便器装置の動作を説明する。図5は本発明の第1実施形態による便器装置の制御内容を示すフローチャートである。ここで、Sは、各ステップを示している。
先ず、S1において、商業電源74の電源電圧が90V未満であるか否かを判定する。YESの場合には、S2に進み、この状態が0.1秒継続したか否かを判定する。S1及びS2のそれぞれにおいて、NOの場合には、S3に進み、限定動作制御手段64を不作動とする、即ち、上述した通常動作モードを実行する。
【0036】
次に、S2においてYESの場合には、S4に進み、電源情報手段70により停電を検知し、さらに、S5に進み、電源監視手段66により停電を検知する。次に、S6に進み、限定動作制御手段64を作動させる。具体的には、上述した異常動作モードを実行する。この異常動作モードでは、上述したように、ボウル部12に洗浄水を供給する洗浄水供給手段60のみを動作させ、局部洗浄装置8等の他の装置の動作は禁止される。
【0037】
S7において、使用者により、各種操作、即ち、リモコンスイッチ76により、局部洗浄装置8の開始スイッチ等を操作しても、S8において、この局部洗浄装置8の動作が禁止される。
【0038】
次に、S9において、使用者が、停電であることを認識して、洗浄開始補助スイッチ78を操作して便器洗浄操作がなされると、S10において、便器洗浄動作、即ち、洗浄水供給手段60により洗浄水がボウル部12に供給されて、洗浄動作のみが実行される。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1実施形態による便器装置においては、制御手段62が、通常時に、洗浄水給水手段60と局部洗浄装置8を通常電源により電気的に駆動させる通常動作モードを実行し、限定動作制御手段64により、停電時に洗浄水給水手段60のみを非常用電源により電気的に駆動させる異常動作モードを実行するようになっている。また、停電時において、制御手段62が、通常動作モードから異常動作モードへの切り替えを実行する。この結果、本実施形態による便器装置によれば、局部洗浄装置8等の便器洗浄以外の機能を備えた便器装置1であっても、停電時には、洗浄水給水手段60によるボウル部12の洗浄のみを実行するようにしているので、停電時の電力使用量を最低限の量とすることができる。その結果、本実施形態によれば、停電時に、ボウル部12の洗浄のみを実行する最低限の電力で足りるので、非常用電源の容量を小さくすることができる。
【0040】
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態による便器装置を説明する。図6は本発明の第2実施形態による便器装置を示すブロック図である。なお、この第2実施形態による便器装置の基本構成は、上述した第1実施形態による便器装置と同じであるので、以下、異なる部分のみ説明する。
【0041】
第2実施形態による便器装置80は、第1実施形態の蓄電手段68の代りに、非常用電源として、インバータ84、電源プラフ85、DCバッテリー86を備えている。また、使用者が停電を認識したとき、上述した通常動作モードと異常動作モードをマニュアルで切り替え可能な切替スイッチ88を備えている。
【0042】
この第2実施形態においては、電源プラグ85を設けることにより、市販の非常用電源であるDCバッテリー86を用いることができ、装置全体が安価となる。さらに、停電時に非常用電源であるDCバッテリー86を準備することもできる。
また、使用者が、停電であると認識したとき、自らの判断で、切替スイッチ88により、通常動作モードから異常動作モードへ切り換えることができるので、使用者は、停電時には、便器洗浄のみが実行され、局部洗浄装置8等の他の機能の実行が禁止されることを認識し、安心して、便器装置を使用することができる。
【0043】
次に、図7を参照して、本発明の第3実施形態による便器装置を説明する。図7は本発明の第3実施形態による便器装置を示すブロック図である。なお、この第3実施形態による便器装置の基本構成は、上述した第1実施形態及び第2実施形態による便器装置と同じであるので、以下、異なる部分のみ説明する。
【0044】
第3実施形態による便器装置90は、第1実施形態の蓄電手段68の代りに、非常用電源として、無停電電源94を備えている。また、上述した通常動作モードと異常動作モードとを使用者がマニュアルで切り替え可能な切替スイッチ88を備えている。
【0045】
この第3実施形態においては、小容量の無停電電源94を設けることができ、病院等の医療機関においても、停電時に、異常動作モードを実行することができる。また、医療機関においては、停電が継続して、無停電電源による電源維持が難しくなった場合には、使用者の判断により、切替えスイッチ88を敢えて操作せず、異常動作モードを実行しないこともできる。これにより、より優先順位の高い医療機器のために電源を確保するが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1,80,90 便器装置
2 便器本体
8 局部洗浄装置
12 ボウル部
14 排水トラップ管路
24 給水源
60 洗浄水給水手段
62,82,92 制御手段
64 限定動作制御手段
66 電源監視手段
68 蓄電手段
70 電源情報手段
72,85 電源プラグ
74 商業電源
76 リモコンスイッチ
78 洗浄開始補助スイッチ
84 インバータ
86 DCバッテリー
94 無停電電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給電力により電気的に駆動される便器装置であって、
汚物を受けるボウル部と、
このボウル部に接続され汚物を排出すると共に上記ボウル部に溜水を形成する排水トラップ部と、
給水源に接続され上記ボウル部に洗浄水を供給する洗浄水給水手段と、
上記ボウル部内に進出して所定方向に洗浄水を噴出するノズル部を備えた局部洗浄装置と、
上記洗浄水給水手段と上記局部洗浄装置を電気的に駆動させる制御部であって、この制御部は、上記洗浄水給水手段と上記局部洗浄装置を通常電源により電気的に駆動させる通常動作モードと、停電時に上記洗浄水給水手段のみを非常用電源により電気的に駆動させる異常動作モードとを設定する上記制御部と、
停電時に上記通常動作モードから異常動作モードへ切替えるモード切替手段と、
を有することを特徴とする便器装置。
【請求項2】
上記モード切替手段は、使用者により切替えられるマニュアルスイッチである請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
更に、上記モード切替手段により上記異常動作モードに切替えられた場合に非常用電源から電力を供給するための電源プラグを有する請求項1又は請求項2に記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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