説明

便器設備

【課題】適切な時期にノズルに給水して凍結防止を図ることができ、凍結防止のための給水量を節減することができる便器設備を提供する。
【解決手段】臀部洗浄が行われていない状態において、室温センサ12の検出室温が所定温度(例えば4℃)以下になると、弁制御装置10は弁2を間欠的に開とする。これにより、温水タンク3から温水がノズル5へ供給され、ノズル5及び配管4内の残水の凍結防止が行われる。ノズル5が臀部洗浄に使用された場合、それから所定時間の間は、この凍結防止運転は停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器設備に係り、特に人体臀部洗浄用ノズルを備えた便器設備に関する。さらに詳しくは、本発明は、このノズルやその給水系統における水の凍結防止を図るためにノズルに間欠的に給水するようにした便器設備の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
人体臀部洗浄用ノズルや、その給水系統における水の凍結防止を図るようにした便器設備として、特開2004−27555号に、タイマーによってノズルに間欠的に水を給水するようにしたものが記載されている。同号公報の第0011段落には、この間欠的な給水動作の間隔として5分が例示されている。同号公報には、この間欠的な給水動作の間隔を変更することについての開示はない。なお、同号公報の第0013段落には、ノズルへの給水継続時間として30秒が例示されると共に、この30秒を可変してもよいことが記載されているが、間欠的な給水動作の間隔を可変とすることは示されていない。
【0003】
特開2004−84288号には、ノズルから水抜きして凍結防止を図ることが記載されている。即ち、その0022〜0024及び0026段落の通り、同号公報の凍結防止はノズルやそれに連なる管から水を抜いて凍結防止を図るものである。同号公報には、間欠的な給水動作によって凍結防止を図ることは記載されていない。
【特許文献1】特開2004−27555号公報
【特許文献2】特開2004−84288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、適切な時期にノズルに給水して凍結防止を図ることができ、凍結防止のための給水量を節減することができる便器設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の便器設備は、人体臀部洗浄用のノズルと、該ノズルへ水を供給するための給水装置と、低温時における凍結防止のために該給水装置を間欠的に給水動作させる凍結防止用制御手段とを有する便器設備において、該凍結防止用制御手段は、前記ノズルの臀部洗浄動作の終了後、所定時間内は前記給水装置を給水動作停止状態とするものであることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の便器設備は、人体臀部洗浄用のノズルと、該ノズルへ水を供給するための給水装置と、低温時における凍結防止のために該給水装置を間欠的に給水動作させる凍結防止用制御手段とを有する便器設備において、該凍結防止用制御手段は、温度センサによって検知される室温に応じて給水動作の間隔を制御するものであることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の便器設備は、請求項2において、該温度センサは、人体臀部洗浄装置以外の便器電装品の温度センサであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の便器設備は、請求項3において、該便器電装品は、便器トラップの加温装置又は便器ロータンクの加温装置であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5の便器設備は、人体臀部洗浄用のノズルと、該ノズルへ水を供給するための給水装置と、低温時における凍結防止のために該給水装置を間欠的に給水動作させる凍結防止用制御手段と、ヒータを備えた便器電装品とを有する便器設備において、該凍結防止用制御手段は、該ヒータの制御に応じて前記給水装置の給水動作を制御するものであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項6の便器設備は、請求項5において、前記凍結防止用制御手段は、単位時間あたりのヒータへの通電率に応じて給水動作の間隔を制御するものであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項7の便器設備は、請求項5において、前記凍結防止用制御手段は、該便器電装品の設定温度に合わせて給水動作の間隔を制御するものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項8の便器設備は、請求項7において、該便器電装品は暖房便座であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項9の便器設備は、請求項7において、該便器電装品は、ノズル供給水の加熱装置であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項10の便器設備は、請求項5において、複数の前記便器電装品が設けられており、前記凍結防止用制御手段は、各便器電装品のヒータの制御に応じて前記給水装置の給水動作を制御するものであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項11の便器設備は、請求項10において、前記便器電装品は、少なくとも暖房便座及びノズル供給水の加熱装置を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明(請求項1)の便器設備によると、臀部を洗浄するノズル使用から所定の間は、凍結防止用給水動作を停止させるので、節水を図ることができる。
【0017】
なお、このノズル使用により、ノズルやその給水系統には温水が流れるので、ノズル使用後、しばらくの間は、凍結が生じない。従って、この間は凍結防止用の給水動作を停止しても凍結が発生するおそれはない。
【0018】
本発明(請求項2)によると、室温に応じて間欠的な給水動作の間隔が制御されるので、例えば室温が比較的高いときには、この間隔を長くし、節水を図ることができる。
【0019】
この室温を検知するために、専用のセンサを設けてもよいが、請求項3,4のように、他の便器電装品(例えば便器トラップやロータンクの加温装置)の温度センサを兼用させるようにしてもよい。これにより設備コストを低減することができる。
【0020】
本発明(請求項5)の便器設備にあっては、便器電装品のヒータの制御に応じて凍結防止用給水動作を制御する。この便器電装品のヒータは、一般に室温が低くなるほど通電時間が長くなったり通電電流が増大したりするので、この便器電装品のヒータへの通電状況は室温と関連したものとなっている。従って、このヒータ制御に対応して凍結防止用給水動作を制御することによっても、必要性の低い給水動作を制御して節水を図ることができる。
【0021】
具体的には、単位時間あたりのヒータへの通電率に応じて給水動作の間隔を制御する(請求項6)。もしくは、便器電装品(例えば暖房便座、ノズル供給水の加熱装置)の設定温度に合わせて給水動作の間隔を制御する(請求項7〜9)。
【0022】
なお、複数の便器電装品(例えば暖房便座、ノズル供給水の加熱装置)が設置されている場合には、各便器電装品のヒータの制御に応じて凍結防止用給水動作を制御してもよい(請求項10,11)。これにより、精度の高い給水動作制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る便器設備のブロック図である。
【0024】
水道配管等に連なる給水管1からの水が電磁弁等の弁2を介して温水タンク3に供給され、温水が配管4を介して臀部洗浄用ノズル5へ供給される。温水タンク3では、水温センサ3bで検出される水温が所定温度となるようにヒータ3aへの通電が行われる。
【0025】
弁2は、弁制御装置10によって開閉制御される。この弁制御装置10にはリモコン等のスイッチパネル11から操作信号が入力されると共に、室温センサ12から温度信号が入力される。
【0026】
なお、この実施の形態ではノズル5が1個だけ示されているが、通常はシャワーノズル及びビデノズルの2本が設けられ、切替弁を介して各ノズルに給水される。スイッチパネル11にはシャワースイッチ、ビデスイッチ、ストップスイッチ等が設けられている。
【0027】
このように構成された便器設備において、スイッチパネル11のシャワースイッチ又はビデスイッチを操作すると、弁2が開となり、ノズル5から温水が噴出し、臀部洗浄が行われ、ストップスイッチを押すと弁2が閉弁し、温水噴出が停止する。
【0028】
この臀部洗浄が行われていない状態において、室温センサ12の検出室温が所定温度(例えば4℃)以下になると、弁制御装置10は弁2を間欠的に小開度にて開とする。これにより、温水タンク3から温水がノズル5へ供給され、ノズル5及び配管4内の残水の凍結防止が行われる。この実施の形態では、間欠的な温水供給の間隔は、室温センサ12で測定される室温が低くなるほど短くなり、厳寒下でも十分に凍結防止が図られるよう構成されている。
【0029】
なお、この凍結防止運転時の弁2の開度を小としているため、ノズル5からは水が少流量で流出するようになり、温水が高速で噴出することはない。
【0030】
ただし、弁2の開度は大開度とし、配管4をシャワーノズルとビデノズルの双方に連通させたり、あるいはノズル外面の洗浄用ラインや捨て水ラインにも水を流すようにし、ノズルから少流量にて水を流出させるようにしてもよい。
【0031】
上記の室温センサ12は、専用のものであってもよく、他の便器電装品例えば便器トラップの加温装置やロータンクの加温装置等の室温センサと共用し、コストダウンを図るようにしてもよい。
【0032】
この実施の形態では、ノズル5から温水を噴出させるノズル使用終了後の所定時間(例えば30〜60分)は、室温センサ12の検出温度が前記所定温度以下となっても、凍結防止用の通水は行わない。これは、この間は温水によって配管4やノズル5が加温され、凍結が防止されるためである。なお、ノズルから温水を噴出させるノズル使用終了後の所定時間は、その後の間欠的な温水供給の間隔よりも長くしてもよい。このように、ノズル使用後の所定時間は凍結防止運転しないことにより、節水を図ることができる。
【0033】
第2図は別の実施の形態に係る便器設備のブロック図である。
【0034】
第2図の通り、前記水温センサ3bの検出水温がタンク水温制御装置20に入力されている。スイッチパネル11に設けられた水温設定スイッチ21で設定された水温設定信号がこのタンク水温制御装置20に入力され、水温センサ3bで検出される水温がこの設定水温となるようにヒータ3aへの通電が制御される。このヒータ3aへの通電状況が弁制御装置10に入力されている。弁制御装置10は、ヒータ3aへの通電状況に応じて弁2を凍結防止動作させる。
【0035】
一般に、室温が低いほどヒータ3aへの通電時間が長くなるので、この実施の形態では、単位時間内のヒータ3aへの通電率(単位時間の間にヒータ3aに通電が行われている時間の割合)が所定率を超えると、弁2を間欠的に開とする凍結防止運転を行う。また、この通電率が高くなるほど、この間欠的通水の間隔を短くし、凍結防止を図る。
【0036】
この実施の形態では、通電率が所定率を超えると凍結防止運転を行うようにしているが、水温設定スイッチ21の設定水温が所定水温よりも高く設定されたときに凍結防止運転が行われるようにしてもよい。
【0037】
なお、温水タンク3内の温水の温熱がノズル5に伝わるように構成されている場合、室温センサの検出室温に基づいたり、凍結防止スイッチの凍結防止モード設定操作に基づいて凍結防止運転を行うようにし、かつ、この際タンク水温の設定水温が高いほど間欠的通水の間隔を長くするようにしてもよい。これは、通水間隔を長くしても、温水タンク3の高水温によりノズル5の凍結防止が図られるためである。
【0038】
また、この場合、温水タンク3のヒータ3aをOFFとするように温水「切」が設定されたときには、温水タンク3の熱がノズル6に伝わらず、凍結し易くなる。このため、温水「切」が設定されたときには、間欠的通水の間隔を短くするようにしてもよい。
【0039】
第3図はさらに別の実施の形態に係る便器設備のブロック図である。
【0040】
この実施の形態では、暖房便座40を暖房便座制御装置30によって制御し、この暖房便座40への通電状況に応じて凍結防止運転を制御するようにしている。スイッチパネル11には、便座温度設定スイッチ43が設けられており、この設定温度信号が暖房便座制御装置30に入力されている。暖房便座40は、ヒータ41と、サーミスタ等の温度センサ42とが設けられており、この温度センサ42の検出温度が設定温度となるように暖房便座制御装置30からヒータ41への通電制御が行われる。このヒータ41への通電状況が弁制御装置10に入力されている。弁制御装置10は、ヒータ41への通電状況に応じて弁2を凍結防止動作させる。
【0041】
一般に、室温が低いほどヒータ41への通電時間が長くなるので、この実施の形態では、単位時間内のヒータ41への通電率が所定率を超えると、弁2を間欠的に開とする凍結防止運転を行う。また、この通電率が高くなるほど、この間欠的通水の間隔を短くし、凍結防止を図る。
【0042】
この実施の形態では、通電率が所定率を超えると凍結防止運転を行うようにしているが、便座温度設定スイッチ43の設定温度が所定温度よりも高く設定されたときに凍結防止運転が行われるようにしてもよい。
【0043】
なお、暖房便座40の熱がノズル5に伝わってノズル5の凍結防止作用が奏されることがある。このような場合には室温センサの検出室温に基づいたり、凍結防止スイッチの凍結防止モード設定操作に基づいて凍結防止運転を行うようにし、かつ、この際、暖房便座40の設定温度が高いほど間欠的通水の間隔を長くするようにしてもよい。
【0044】
また、この場合、暖房便座40のヒータ41をOFFとするように暖房便座「切」が設定されたときには、暖房便座40の熱がノズル5に伝わらず、凍結し易くなる。このため、このように暖房便座「切」が設定されたときには間欠的通水の間隔を短くするようにしてもよい。
【0045】
第4図は、第2図のタンク水温制御装置20と第3図の暖房便座制御装置30とを共用の温度制御装置31にまとめ、この温度制御装置31によって温水タンク3及び暖房便座40の制御を行うようにしたものである。この場合、凍結防止のための間欠的通水の制御は、前記第2図の場合の制御と第3図の場合の制御とを複合させるのが好ましい。
【0046】
即ち、暖房便座ヒータ41と温水ヒータ3aの制御状況に応じて凍結防止用間欠的通水を行う。
【0047】
この場合、例えば、ヒータ41とヒータ3aの両者の単位時間当りの通電率に合わせて間欠的通水の間隔制御を行うようにしてもよい。また、便座の設定温度及び温水タンクの設定温度に合わせて間欠的通水の間隔制御を行うようにしてもよい。
【0048】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であって、本発明は図示の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態に係る便器設備のブロック図である。
【図2】別の実施の形態に係る便器設備のブロック図である。
【図3】異なる実施の形態に係る便器設備のブロック図である。
【図4】さらに別の実施の形態に係る便器設備のブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
3 温水タンク
5 ノズル
10 弁制御装置
11 スイッチパネル
12 室温センサ
40 暖房便座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体臀部洗浄用のノズルと、該ノズルへ水を供給するための給水装置と、低温時における凍結防止のために該給水装置を間欠的に給水動作させる凍結防止用制御手段とを有する便器設備において、
該凍結防止用制御手段は、前記ノズルの臀部洗浄動作の終了後、所定時間内は前記給水装置を給水動作停止状態とするものであることを特徴とする便器設備。
【請求項2】
人体臀部洗浄用のノズルと、該ノズルへ水を供給するための給水装置と、低温時における凍結防止のために該給水装置を間欠的に給水動作させる凍結防止用制御手段とを有する便器設備において、
該凍結防止用制御手段は、温度センサによって検知される室温に応じて給水動作の間隔を制御するものであることを特徴とする便器設備。
【請求項3】
請求項2において、該温度センサは、人体臀部洗浄装置以外の便器電装品の温度センサであることを特徴とする便器設備。
【請求項4】
請求項3において、該便器電装品は、便器トラップの加温装置又は便器ロータンクの加温装置であることを特徴とする便器設備。
【請求項5】
人体臀部洗浄用のノズルと、該ノズルへ水を供給するための給水装置と、低温時における凍結防止のために該給水装置を間欠的に給水動作させる凍結防止用制御手段と、ヒータを備えた便器電装品とを有する便器設備において、
該凍結防止用制御手段は、該ヒータの制御に応じて前記給水装置の給水動作を制御するものであることを特徴とする便器設備。
【請求項6】
請求項5において、前記凍結防止用制御手段は、単位時間あたりのヒータへの通電率に応じて給水動作の間隔を制御するものであることを特徴とする便器設備。
【請求項7】
請求項5において、前記凍結防止用制御手段は、該便器電装品の設定温度に合わせて給水動作の間隔を制御するものであることを特徴とする便器設備。
【請求項8】
請求項7において、該便器電装品は暖房便座であることを特徴とする便器設備。
【請求項9】
請求項7において、該便器電装品は、ノズル供給水の加熱装置であることを特徴とする便器設備。
【請求項10】
請求項5において、複数の前記便器電装品が設けられており、
前記凍結防止用制御手段は、各便器電装品のヒータの制御に応じて前記給水装置の給水動作を制御するものであることを特徴とする便器設備。
【請求項11】
請求項10において、前記便器電装品は、少なくとも暖房便座及びノズル供給水の加熱装置を含むことを特徴とする便器設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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