説明

便器

【課題】用を足す場合の足下に付着した尿に起因する悪臭を効率よく解消することができる男性用小便器を提供することを提供すること。
【解決手段】小便器1は、便器本体3と、便器本体3を囲繞し、底部51に開口Oを有するケース体5と、このケース体5の底部51に設けられ前記開口Oを通じてケース体外部と通じるパイプ体7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、男性用小便器(以下、小便器)の正面手前下の床面である通称おだれ部には、小便器から飛散した尿や尿の飛沫が付着して悪臭が発生する。また長時間の使用では衛生や清潔感を保つことができなくなる。そこで、床面を保護するため、石板(いわゆるおだれ石)や金属製の小便器用のステップが装備されることが多い。特に飲食店のトイレ等では悪臭の発生を防止することや清潔感を保つことは不可欠であり、様々な工夫がされている。また、従来の換気装置は天井部や壁面上部に設けられていた。
【0003】
また、センサーで便器使用を検知し、自動で洗浄を行なう、あるいは所定の時間で洗浄を行なう機能を有する便器ユニットも実用に供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3150725号公報
【特許文献2】特開平9−228456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自動洗浄がなされても、小便器の外にこぼれた尿により悪臭が発生し、清掃を怠たると、おだれ石に付着した尿により清潔感を損ないトイレ利用者に不快感を生じさせるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、用を足す場合の足下に付着した尿に起因する悪臭を効率よく解消することができる小便器を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の便器は、便器本体と、便器本体を囲繞し、底部に開口するケース体と、このケース体の底部に設けられ前記開口を通じてケース体外部と通じる排気通路と、を有する便器である。
【0008】
前記便器本体は給・排水管と連結していることが好ましい。
【0009】
また、前記開口は、便器の正面手前下の床面に通じていることを特徴とする。
【0010】
さらに前記パイプ体は、前記ケース体外部に強制的に空気を換気する換気扇と連結されていると好適である。
【0011】
前記便器は男性用小便器に適用できる。
【0012】
また、本発明は、便器に設置され、一端が便器の正面手前下の床面近傍に設置され、他端が大気中に臨むパイプ体と、パイプ体の前記一端に設置される換気扇と、を有する便器でもある。
【0013】
さらに、前記換気扇の上流側には換気扇のファンにゴミが付着するのを抑制するためのフィルターを設置すると好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の便器は、ケース体の底部に設けられ前記開口を通じてケース体外部と通じるパイプ体を有するので、便器の正面手前下の床面とケース体外部とをパイプ体を介して連通する。このため、便器の正面手前下の床面に漏れたり、付着したりした尿の臭いをケース体外部に排出できる。よって、尿の悪臭によりトイレ利用者に不快感を生じさせることがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明便器の第1実施例の全体斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図1の平面図である。
【図5】本発明便器の第2実施例の全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態(以下、実施形態)を実施例に基づいて例示的に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【実施例1】
【0017】
本発明の便器を男性用水洗小便器に適用した場合を図1〜4を参照して例示する。
男性用水洗小便器は、床置型(ストール型)、大型、中型、小型に分類される。
本実施例に係る男性用水洗小便器(以下、小便器)1は、床面から離隔する小便器である(図1、2、3参照)。
【0018】
小便器1は、小便が排出される便器本体3と、便器本体3を囲繞するケース体5とを有する(図2参照)。
便器本体3は、小便の排泄に使用する衛生陶器であり、座らずに用を足す形になっている。便器本体3の構造は、概ね、使用者の前面に立設されて排尿を受ける受面部31と、その下方に連接され使用者に向けて突き出し、垂れる尿を受ける部分である垂れ受部分34とを含むボウル部32を含む(図1、2、3参照)。
【0019】
受面部31は、ほぼ平らな面形状をしており、正面形状で競技用のトラックに似た形状をしている。また、図示しない外部給水管と接続されている。そして、外部給水管から供給された水を便器本体3内に給水するための給水部35を頂部備える(図2参照)。
【0020】
また、ボウル部32は、受面部31と連側し、調理に使う深さのある容器であるボウルに似た形状をしている(図3参照)。ボウル部32の最低位部分には排水口36が設けられている(図4参照)。排水口36には、有底円筒状をしたトラップ13が接続されている。トラップ13は、小便器1の長手(上下)方向に延びる中心線上において下方に延ばされている(図2、3参照)。そして、トラップ13には、図示しない外部下水管に接続された排水管16が湾曲された状態で連接されている(図3参照)。
【0021】
そして、図示しない電磁弁装置により給水部35から配水される洗浄水により受面部31とボウル部32の内面が洗浄される。洗浄後の水は、前記排水口36から、トラップ及び排水管16を経由して、前記外部下水管に排水される(図1、3参照)。
【0022】
ケース体5は、このような便器本体3を囲繞するものである。
具体的には、ケース体5は、便器本体3の受面部31と、垂れ受部分34を含むボウル部32と、ボウル部32の最低位部分に位置する排水口36と、排水口36に接続され、たトラップ13と(図2参照)、トラップ13に接続され、図示しない外部下水管に接続される排水管16とを覆う。また、ケース体5の底面は、床面から離隔し、床面との間に区間SPを形成する(図2,3参照)。
但し、受面部31に対する部位は開放されている。
【0023】
ケース体5で便器本体3を覆うと、両者間にはスペースSが画成される。スペースSの形状は、便器本体3をケース体5で覆ったときにケース体5の内面と便器本体3の外面とによって画成される形状であり、正面形状でみてほぼU字形をしている。スペースSは、当該スペースSに、ボウル部32、その下方部にあるトラップ13、排水管16及びパイプ体7を収納できるだけの十分な容積を有する。そして、ケース体5には、その底部にトイレの床面に通じる開口Oが形成されている(図3参照)。ケース体5の底面は、床面から離隔しているので、開口Oは、床面から所定高さに位置する。開口Oは、どんな形状でもかまわないが、好ましくは、ケース体5の下面にできるだけ大きく開口した形状のものが好ましい。
【0024】
この開口Oにパイプ体7の一方の口71を連結するか、又は通す(図2、3参照)。
またパイプ体7の他方の開口73をケース体5の外部に導出する。こうすることで、トイレの床面周りの空気と外気とが、パイプ体7を通じて連通する(図3参照)。なお、この実施例では、パイプ体7が、排水管16よりも上部に位置する場合を例示したがこれに限らない。
【0025】
小便器1を利用して用を足すと、小便は、排尿を受ける受面部31−垂れ受部分34を含むボウル部32−ボウル部32の最低位部分に位置する排水口36−トラップ13−排水管16を経由して図示しない外部下水管に至る。
【0026】
そして、垂れ受部分34があっても、尿は便器内から飛散し、又は便器からそれてしまう場合がある。このように、床面に垂れてしまった尿は臭いを発する。しかし、床面に垂れた尿の臭いは、次のようにして外部に排出される。
【0027】
すなわち、小便器1は、ケース体5の底部51に設けられた開口Oを通じてケース体5の外部と通じるパイプ体7を有するので、小便器1の床下、詳しくは正面手前下の床面とケース体外部(外気)とをパイプ体7を介して連通する。このため、小便器1の正面手前下の床面に漏れたり付着したりした尿の臭いをケース体5の外部に向けて排出できる。これは、物質の拡散、すなわち、粒子、熱、運動量などが自発的に散らばり広がる物理現象を利用したものである。よって、尿の悪臭によりトイレ利用者に不快感を低減することができる。したがって、パイプ7は、排気通路ということができる。
【実施例2】
【0028】
図5を参照して、実施例2を証明する。この実施例2が実施例1と相違する点は、小便器1Aの側面に一端が便器の正面手前下の床面近傍に設置され、他端が大気中に臨むパイプ体7aと、パイプ体7aの前記一端に設置される換気扇80とを設けた点に大きな違いがある。
【0029】
また、小便器1の正面手前下の床面近傍箇所にフィルター90を設置してある。
【0030】
本実施例2の場合も小便器1の正面手前下の床面に漏れたり付着した尿の臭いを換気扇
80によってケース体5の外部に排出できる。よって、尿の悪臭によりトイレ利用者に不快感を生じさせないようにできる。したがって、パイプ7は、床面脱臭換気口ということができる。
【0031】
また小便器1の正面手前下の床面近傍箇所にフィルター90を取り付けてある。このフィルターは、換気扇80のファンにゴミが付着するのを抑制するため換気扇80の近傍(例えば直下)に設けたものである。なお、換気扇とフィルターとをつなぐ図示しない空気通路が、便器本体内に形成されている。
【0032】
なお、この実施形態では、床から幾分離隔した大型の小便器を例示したが、床置型の場合にも適用できる。その場合、パイプ体7の一端を便器の側面に案内することで、当該一端から臭気をケース体5の外部に放出することができる。
また、換気扇は、小便器の側面に取り付けたものを開示したが、小便器に内蔵したものでもよく、小便器近傍で小便器以外の箇所に設けたものでもよい。いずれにしろ小便器の近傍に換気扇及びフィルタが設置されているので、それらを掃除するのも便利である。
【符号の説明】
【0033】
1 小便器(便器)
3 便器本体
5 ケース体
7 パイプ体(排気通路)
7a パイプ体
13 トラップ
16 排水管
31 受面部
32 ボウル部
34 垂れ受部分
35 給水部
36 排水口
51 底部
71 パイプ体の一方の口
73 パイプ体の他方の口
80 換気扇
90 フィルター
O 小便器の底部の開口
S ケース体と便器本体との間スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と、
便器本体を囲繞し、底部が開口するケース体と、
このケース体の底部に設けられ前記開口を通じてケース体外部と通じる排気通路と、を有する便器。
【請求項2】
前記便器本体は給・排水管と連結していることを特徴とする請求項1に記載の便器。
【請求項3】
前記開口は、便器の正面手前下の床面に通じていることを特徴とする請求項1又は2に記載の便器。
【請求項4】
前記排気通路は、前記ケース体外部に強制的に空気を換気する換気扇と連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の便器。
【請求項5】
前記便器は男性用水洗小便器であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の便器。
【請求項6】
便器に設置され、一端が便器の正面手前下の床面近傍に設置され、他端が大気中に臨む排気通路と、
排気通路の前記一端に設置される換気扇と、
を有する便器。
【請求項7】
前記換気扇の上流側に換気扇のファンにゴミが付着するのを抑制するためのフィルターを設置することを特徴とする請求項6に記載の便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246624(P2012−246624A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117105(P2011−117105)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000155333)株式会社木村技研 (29)
【Fターム(参考)】