説明

便座洗浄装置

【課題】便座に腰掛けて便器を使用する際、邪魔にならない便座洗浄装置を提供する。
【解決手段】便座洗浄装置10は、便座26の下に設けられた基台通路14と、基台16と、基台通路14に沿って基台16を移動させる駆動機構18と、便座26の上面に洗浄剤を噴射する噴射部20と、噴射部22に洗浄剤を供給する洗浄剤供給源であるタンク22と、噴射部20が基台16の基台通路14での移動と連動するように、基台16と噴射部20とを接続する接続部14を有する。駆動機構18は、基台16に接続され、基台通路14を周回するベルト42と、便座26の奥側に設置され、ベルト42と連動する定滑車44と、定滑車44の動力源であるモーター46を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器の便座を洗浄できる便座洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洋式便器の便座を洗浄できる便座洗浄装置が特許文献1に記載されている。この便座洗浄装置は、便座の外側に便座の形状に沿って設けられるガイド部を備え、このガイド部に案内されて便座の奥側と前側との間をノズルが移動し、便座の上面に洗浄液を吹き付けるように構成されている。特許文献1に記載された便座洗浄装置は、便座の外側にガイド部が設けられているため、便座に腰掛けて便器を使用する際、ガイド部が邪魔になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4249245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、便器の使用時に邪魔にならない便座洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の便座洗浄装置は、便座の下に設けられた基台通路と、基台と、前記基台通路に沿って前記基台を移動させる駆動機構と、便座の上面に洗浄剤を噴射する噴射部と、前記噴射部に洗浄剤を供給する洗浄剤供給源と、前記噴射部が前記基台の前記基台通路での移動と連動するように、前記基台と前記噴射部とを接続する接続部と、を有する。
【0006】
本発明の便座洗浄装置において、前記接続部は、前記便座の外側を経由することが好ましい。また、本発明の便座洗浄装置において、内蓋と外蓋の二重構造の蓋を備える便蓋と、前記噴射部と前記洗浄剤供給源とを接続する洗浄剤供給管と、を更に有し、前記洗浄剤供給管は、前記噴射部から前記内蓋を貫通して、前記内蓋と前記外蓋との間を経由して前記洗浄剤供給源に接続されることが好ましい。
【0007】
また、本発明の便座洗浄装置において、前記基台が前記基台通路に沿って移動するとき、前記噴射部が前記便座の上方で回転可能であることが好ましい。また、本発明の便座洗浄装置において、前記駆動機構は、前記基台に接続され、前記基台通路を周回するベルトと、前記便座の奥側に設置され、前記ベルトと連動する定滑車と、前記定滑車を動かす動力源とを備えることが好ましい。また、本発明の便座洗浄装置において、前記基台は、前記便座の奥側に移動可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、便座に腰掛けて便器を使用する際、邪魔にならない便座洗浄装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】便器に装着された本発明の実施形態に係る便座洗浄装置の左側面図である。
【図2】便器に装着された本発明の実施形態に係る便座洗浄装置の部分正面図である。
【図3】便器に装着された本発明の実施形態に係る便座洗浄装置の平面図である。
【図4】便器に装着された本発明の他の実施形態に係る便座洗浄装置の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の便座洗浄装置について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、図面は便座洗浄装置、便座洗浄装置の部材、および便座洗浄装置の周辺部材等を模式的に表したものであり、これらの実際の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。
【0011】
図1は、便器12に装着された便座洗浄装置10の側面図で、便器12に向かって左の側面図である。なお、「便器に向かって」は、男性が立ったまま小用を足すときに便器に対して向く方向を示す。図2は、便器12に装着された便座洗浄装置10の部分正面図で、便器12に向かって右側の便座26周辺を現している。なお、図1および図2では、説明を分かりやすくするため、部材の表示を適宜省略している。また、図1および図2では、部材の断面を表示している部分がある。
【0012】
便座洗浄装置10は、基台通路14と、基台16と、駆動機構18と、噴射部20と、洗浄剤供給源であるタンク22と、接続部24とを備える。便器12の上であって便座26の下には、基台通路14が便座26に沿うように設けられている。基台通路14を便座26の下に設けることによって、便器12を使用する際、特に便座26に腰掛けて便器12を使用する際に邪魔にならない。基台通路14は、内壁27と外壁28と底板40で区画される。
【0013】
基台16は、直方体形状を有する金属やプラスチック等からなる。基台16は、基台通路14に沿って移動できるように構成されている。基台16が底板40上を移動しやすいように、基台16の底面にコロや球体等を設けても良い。基台16は、便座26の奥側に移動可能である。このため、便座洗浄装置10を動作させないときに、基台16を便座26の奥側に移動させておけば、便器12を使用する際、特に便座26に腰掛けて便器12を使用する際に邪魔にならない。
【0014】
駆動機構18は、基台通路14に沿って基台16を移動させる。駆動機構18は、基台16の内部を通り基台16に固定されたベルト42と、便座26の奥側に設置され、ベルト42と連動する定滑車44と、定滑車44の動力源であるモーター46とを備える。モーター46には、両方向の回転ができるような電源(不図示)が接続されている。本実施形態では、ベルト42と定滑車44を用いたが、これらに代えて、チェーンと歯車を用いてもよい。
【0015】
また、本実施形態ではベルト42が基台16の内部を通っているが、ベルト42は基台16の外側を通って基台16に固定されていても良いし、基台16の両端面にベルト42の両端部をそれぞれ接続しても良い。また、本実施形態では定滑車44を1個使用したが、定滑車44を2個以上使用しても良い。基台16の移動の仕組みの詳細については後述する。
【0016】
噴射部20は、便座26の上面に洗浄剤を噴射する。噴射部20は、洗浄剤の噴出口が複数設けられたプラスチック製のノズルから構成される。便座26の上面に洗浄剤を噴射することができれば、噴射部20はプラスチック製のノズル以外であっても良い。噴射部20は、洗浄剤供給管であるホース48を介して、タンク22と接続されている。タンク22には、洗浄剤が蓄えられている。
【0017】
すなわち、タンク22からホース48を経由して、噴射部20に洗浄剤が供給される。ポンプ等を使用することによって、タンク22からホース48へ洗浄剤を供給する。洗浄剤としては、水、湯、水蒸気、洗剤、殺菌剤、消毒剤、およびこれらの2種類以上の混合物等が挙げられる。
【0018】
本実施形態では、タンク22から温風も供給できるようになっている。タンク22から供給された温風は、ホース48を経由して噴射部20から便座26の上面に噴射される。温風を便座26の上面に噴射することによって、便座26に噴射された洗浄剤を乾燥させることができる。
【0019】
本実施形態では、基台16が基台通路14に沿って移動する際、便座26の上方で、噴射部20が略水平面内で回転可能に構成されている。基台16が基台通路14に沿って移動しながら、噴射部20が便座26の上方で回転することによって、噴射部20を小型化しても便座26の上面全体を洗浄することができる。このため、噴射部20や便座洗浄装置10の小型化が可能となる。
【0020】
噴射部20が便座26の上方で回転できる構造は、以下の通りである。すなわち、接続部24の上にはモーター56が設置されており、モーター56から下方向に突出したモーター56の回転軸58には、金属製またはプラスチック製等の棒状部材70の中心部が接続されている。棒状部材70の一端には、噴射部20が接続されている。
【0021】
電源(不図示)から電力を供給してモーター56を作動させると、棒状部材70は、その軌跡が円板状に現れるように、すなわち噴射部20の軌跡が円形となるように回転する。なお、噴射部20自体も棒状部材70の一端に接続された状態で、動力がなくてもその場で回転できるように構成されている。噴射部20が回転自在に構成されているため、棒状部材70が回転しながら便座26を洗浄する際、ホース48が噴射部20や接続部24等に絡まるのを抑えることができる。
【0022】
図2に示すように、接続部24は、断面コ字形状を有する金属製またはプラスチック製等の板状部材からなる。接続部24は、噴射部20が基台16の基台通路14での移動と連動するように、基台16と噴射部20とを接続する。本実施形態では、基台16に一方の端が接続された接続部24は、便座26の外側を経由して、もう一方の端が噴射部20に間接的に接続している。
【0023】
本実施形態では、便座洗浄装置10は便蓋50を更に備える。便蓋50は、内蓋52と外蓋54の二重構造を備える。噴射部20に接続されたホース48は、噴射部20から内蓋52の中心付近を貫通して、内蓋52と外蓋54との間を経由してタンク22に接続される。ホース48を便蓋50の二重構造の内部に収納することによって、見栄えが良くなる。また、便蓋50を透明部材で構成すれば、便蓋50を閉じて便座を洗浄する際、洗浄の様子が観察できる。
【0024】
つぎに、便座洗浄装置10の使用方法について、図1から図3に基づいて説明する。図3は、便器12に装着された便座洗浄装置10の部分平面図である。図3では、説明を分かりやすくするため、便座26と便蓋50等の部材の表示が適宜省略されている。便座洗浄装置10は便器12を使用していない時に作動させる。また、便座洗浄装置10は、便蓋50を閉じた状態で作動させる。洗浄剤が便器12の周囲に飛散するのを防ぐためである。
【0025】
まず、基台16を便座26の奥側、例えば便器12に向かって右奥側に配置し、便蓋50を閉じた状態にする。そして、電源(不図示)から電力を自動または手動でモーター46,56に供給すると共に、タンク22から洗浄剤を噴射部20に供給する。そうすると、モーター46が作動して定滑車44が回転し、ベルト42が動いて、基台通路14に沿って基台16が移動する。同時に、モーター56が作動して、噴射部20が便座26の上方で回転する。こうして、噴射部20は、便座26の上方で回転しながら便座26の上面に洗浄剤を噴射しつつ、便座26に沿って移動する。
【0026】
その後、便器12に向かって左側の便座26の奥まで基台16が移動すると、手動または自動でモーター46,56への電力供給を停止し、基台16の移動と、便座26の上面への洗浄剤の噴射を終了させる。次回の便座26の洗浄の際には、便座26の左奥側から便座26に沿って基台16が移動し、便座26の右奥側に到達する。つまり、次回の便座洗浄の際、基台16の移動方向は、今回の便座洗浄時の基台16の移動方向と逆方向になる。
【0027】
以上、実施形態に基づき、本発明の便座洗浄装置について説明したが、本発明の便座洗浄装置は上述した実施形態に限定されない。図4は、便器12に装着された他の実施形態に係る便座洗浄装置80の左側面図である。便座洗浄装置80は、便座洗浄装置10に加えて、便器12の内側を洗浄するためのノズル82と、ノズル82に接続されたホース84と、ホース84を巻き取るホースリール86等を備える。
【0028】
ホース84はタンク22に接続され、タンク22からノズル82に水が供給されるようになっている。ノズル82は、ロッドアンテナのように下方に伸縮自在に構成されている。便器12の内側を洗浄するときには、ノズル82がモーター等の駆動機構(不図示)によって下方に伸長し、ノズル82が便器12の内側付近に配置され、ノズル82から便器12の内側に水が噴出される。便座洗浄装置80では、便座26を洗浄しながら、便器12の内側も洗浄できる。
【符号の説明】
【0029】
10,80…便座洗浄装置、12…便器、14…基台通路、16…基台、18…駆動機構、20,74…噴射部、22…タンク、24…接続部、26…便座、27…内壁、28…外壁、40…底板、42…ベルト、44…定滑車、46…モーター、48,84…ホース、50…便蓋、52…内蓋、54…外蓋、56…モーター、58…回転軸、70…棒状部材、82…ノズル、86…ホースリール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座の下に設けられた基台通路と、
基台と、
前記基台通路に沿って前記基台を移動させる駆動機構と、
便座の上面に洗浄剤を噴射する噴射部と、
前記噴射部に洗浄剤を供給する洗浄剤供給源と、
前記噴射部が前記基台の前記基台通路での移動と連動するように、前記基台と前記噴射部とを接続する接続部と、
を有する便座洗浄装置。
【請求項2】
請求項1の便座洗浄装置において、
前記接続部は、前記便座の外側を経由する便座洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2の便座洗浄装置において、
内蓋と外蓋の二重構造の蓋を備える便蓋と、前記噴射部と前記洗浄剤供給源とを接続する洗浄剤供給管と、を更に有し、
前記洗浄剤供給管は、前記噴射部から前記内蓋を貫通して、前記内蓋と前記外蓋との間を経由して前記洗浄剤供給源に接続される便座洗浄装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの便座洗浄装置において、
前記基台が前記基台通路に沿って移動するとき、前記噴射部が前記便座の上方で回転可能である便座洗浄装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの便座洗浄装置において、
前記駆動機構は、前記基台に接続され、前記基台通路を周回するベルトと、前記便座の奥側に設置され、前記ベルトと連動する定滑車と、前記定滑車を動かす動力源とを備える便座洗浄装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの便座洗浄装置において、
前記基台は、前記便座の奥側に移動可能である便座洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−422(P2012−422A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153410(P2010−153410)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【特許番号】特許第4654466号(P4654466)
【特許公報発行日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(507297374)
【Fターム(参考)】