説明

便座装置及びトイレ装置

【課題】便蓋や便座を取り外した後に再装着を確実且つ容易に実行できる便座装置及びこれを備えたトイレ装置を提供する。
【解決手段】便器の上に設けられる本体部と、前記本体部に回動可能に軸支された便座と、前記本体部に回動可能に軸支された便蓋と、前記便座及び便蓋の少なくともいずれかを開閉させるモータと、前記モータからの駆動力を前記便座及び便蓋の少なくともいずれかに伝達する駆動軸と、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを開放端に向けて付勢する弾性体と、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを閉止端も開放端も含まない脱着角度に保持可能とした角度保持部と、を備え、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかは前記脱着角度において前記本体部から着脱可能とされ、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを取り外した後の前記駆動軸を前記角度保持部により前記脱着角度に保持可能としたことを特徴とする便座装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置及びトイレ装置に関し、より具体的には、便蓋及び便座の少なくともいずれかが着脱可能な便座装置及びこれを備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腰掛便器の便座を覆うように開閉自在の便蓋を設けると、蓋を閉じた状態ですっきりと見栄えがよいばかりでなく、ホコリや汚れなどがつきにくくなり、さらに例えば便座に暖房機能を付与した場合に待機状態における放熱を抑制して節電効果も得られる。また近年、モータにより便座や便蓋を自動開閉する装置も開発されている(特許文献1)。
【0003】
このような便座装置において、便蓋や便座を取り外しできると、清掃性などの点で便利である。一方、便座や便蓋の開閉を迅速に行うためには、これらをアシストバネにより開方向に付勢しておくとよい。しかし、アシストバネにより回転軸を付勢すると、便蓋や便座を取り外した後に、回転軸がアシストバネにより空転してしまう。その結果、取り外した便蓋や便座を再び装着することが困難になることがある。
【特許文献1】特開平1−270831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、便蓋や便座を取り外した後に再装着を確実且つ容易に実行できる便座装置及びこれを備えたトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、便器の上に設けられる本体部と、前記本体部に回動可能に軸支された便座と、前記本体部に回動可能に軸支された便蓋と、前記便座及び便蓋の少なくともいずれかを開閉させるモータと、前記モータからの駆動力を前記便座及び便蓋の少なくともいずれかに伝達する駆動軸と、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを開放端に向けて付勢する弾性体と、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを閉止端も開放端も含まない脱着角度に保持可能とした角度保持部と、を備え、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかは前記脱着角度において前記本体部から着脱可能とされ、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを取り外した後の前記駆動軸を前記角度保持部により前記脱着角度に保持可能としたことを特徴とする便座装置が提供される。
【0006】
また、本発明のさらに他の一態様によれば、便器と、前記便器の上に設けられた上記の便座装置と、を備えたことを特徴とするトイレ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、便蓋や便座を取り外した後に再装着を確実且つ容易に実行できる便座装置及びこれを備えたトイレ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置の模式斜視図である。 また、図2は、本具体例の便座装置において便蓋300が閉じた状態を表す。
本具体例の便座装置100は、洋式腰掛便器800の後方に設けられた本体部400を有する。本具体例のトイレ装置は、「水道直圧式」であり、便器に流す洗浄水を制御するためのバルブ機構が本体部400に内装されている。ただし、本発明はこの具体例には限定されず、いわゆる「ロータンク式」のトイレ装置にも同様に適用できる。
【0009】
本体部400には、便座200及び便蓋300がそれぞれ開閉自在に軸支されている。便座200は本体部400の相対的に前方に設けられた駆動軸により軸支され、一方、便蓋300は本体部400の相対的に後方に設けられた駆動軸により軸支されている。ただし、本発明はこの具体例には限定されず、便座200と便蓋300が同一の軸上で軸支されているものも包含する。
そして、本実施形態においては、これら便座200及び便蓋300の少なくともいずれかが、電動開閉機構により開閉可能とされ、且つ本体部400から脱着可能とされている。便座200や便蓋300を本体部400から取り外すことができれば、これらの掃除が楽になり、また本体部400の軸支部の周辺も十分に清掃することが可能となる。
【0010】
図3は、本具体例の便座装置において便蓋300を脱着する状態を例示する模式図である。
図3(a)は、便蓋300が全開の状態を表す。これに対して、便蓋300を脱着する際には、開角度を全開状態よりも小さくする。すなわち、図3(b)に表したように、全開の状態よりも閉じる方向に回転させた状態とする。この状態において、図3(c)に表したように便蓋300を駆動軸728から取り外し、また装着することができる。なお、便蓋300の取付部は、図3(b)及び(c)に表したような所定の角度においてのみ脱着が可能とされ、それ以外の角度においては脱着ができないようなストッパ機構を有する。この構造については、後に具体例を参照しつつ説明する。
また、本発明においては、便座200を脱着自在とした際にも、同様に全開の角度よりも小さい開角度において取り外し、装着可能とする。
【0011】
図4は、本具体例において、便蓋300を電動で回動させるために設けることができる便蓋開閉ユニット(電動開閉機構)を例示するブロック図である。
本具体例の便蓋開閉ユニット720は、本体部400に内蔵可能であり、その駆動軸728をモータ721により回動可能とされている。その駆動機構は、モータ721の回転出力を減速させる減速機構722、負荷される最大トルクを規制するトルクリミッタ723、駆動軸728の回転角度を脱着状態に保持する角度保持部710、駆動軸728の回転角度を検出する角度検出部725、そして、駆動軸728に付勢力を作用させるアシストバネ(弾性体)726を有する。減速機構722は、回転検出部722A、斜歯車722B、ウォーム歯車722C、平歯車722D、遊星歯車722Eなどを有する。
【0012】
この便蓋開閉ユニット720を用いることにより、便蓋300を電動により開閉させることができる。また、この便蓋開閉ユニット720を取り付けた状態で、便蓋300を手動により開閉することもできる。そして、電動による場合も手動による場合も、アシストバネ726を設けることにより、モータ721で開く場合でも便蓋300を迅速且つ円滑に開くことができ、手動で開く場合も便蓋300を軽く開くことができる。
【0013】
また、回転検出部722Aと角度検出部725は、例えばホールICなどにより構成できる。そして、回転検出部722Aは、駆動軸728の回転角度を検出するために用いることができる。つまり、回転検出部722Aは駆動軸が1°回転する毎に、例えば1パルスを発生するように構成することができる。一方、角度検出部725は、駆動軸728が全閉の角度から全開の角度までの間のどの角度エリアにあるかを検知するために用いることができる。
【0014】
図5は、便蓋300の回転角度範囲と便蓋開閉ユニット720の駆動軸の回転可能範囲を例示する模式図である。
すなわち、便蓋300は、閉止した状態θ0(閉止端)から開端角度θ1(開放端)までの範囲で開閉が可能とされている。便蓋300の開端角度は、後に詳述するように、例えば、本体部400にストッパなどを設けることにより機械的に規制することができる。 一方、便蓋開閉ユニット720は、その内部に設けられている角度ストッパに便蓋300を介して過度の負荷がかからないように、回転可能範囲が便蓋300の回転範囲よりも広く設定されている。すなわち、 便蓋開閉ユニット720の開端角度θ2は、θ1よりも大きい。なお、便蓋開閉ユニット720の駆動軸をθ1からθ2の範囲で回転させるためには、便蓋300に対して空転するような機構を適宜設ければよい。
【0015】
一方、このような便蓋300を本体部400から着脱可能とする角度θ3は、一定の角度範囲内に限定することが望ましい。これは、あらゆる角度で便蓋300が取り外し可能であると、通常の使用時に不用意に外れてしまうという問題が生ずることがあるからである。また一方、便蓋300を本体部400から着脱可能とする角度範囲は、その開端角度θ1の近傍ではないことが望ましい。これは、後に詳述するように、便蓋300の開端角度は、設置する現場により変わることがあるからである。
【0016】
これに対して、本実施形態においては、便蓋開閉ユニット720に設けられた角度保持部710により、便蓋300を取り外した後の駆動軸728を、便蓋300を脱着可能とする角度θ3に保持可能とされている。
図6は、便蓋開閉ユニット720に設けられた角度保持部710の構造を表す模式断面図である。
便蓋300を開閉させる駆動軸728には、回転体712が固定されている。また、回転体712に隣接して、板バネ714が便蓋開閉ユニット720のハウジング724に固定されている。板バネ714には突起714Aが設けられ、回転体712に突起712Aが設けられている。モータ721が駆動軸728を回転させて便蓋300を開く時には、突起712Aが突起714Aを乗り越えて、開端角度θ1まで便蓋300を開くことができる。同様に、モータ721が駆動軸728を回転させて便蓋300を閉じる時にも、突起712Aが突起714Aを乗り越えて、便蓋300を閉じることができる。
【0017】
一方、便蓋300を脱着する時には、便蓋300を脱着角度θ3に移動させた状態で、図6に表したように突起712Aと714Aとが当接する。この状態においては、駆動軸728には、アシストバネ726による開方向への付勢力が作用している。また一方、モータ721が停止しているので、そのコギングトルクが駆動軸728の回転を阻止するように作用する。従って、図6に表したように、回転体712の突起712Aと、板バネ714の突起714Aと、が当接した状態において、アシストバネ726による付勢力からモータ721のコギングトルクを差し引いた力によって突起714Aが突起712Aを乗り越えないようにすれば、脱着角度θ3が保持される。
【0018】
また、本具体例においては、角度保持部710に駆動軸の728の回転角度を規制するためのストッパ機構も併設されている。すなわち、回転体には突起712Bが設けられている。この突起712Bは、ハウジング724に設けられた突起724A及び724Bとそれぞれ当接することにより、駆動軸728の回転範囲が規制されている。なお、図5に関して前述したように、これら突起712B、724A及び724Bにより規制される回転角度範囲は、図5に表したθ0〜θ1の範囲よりも広く設定することが望ましい。このようにすれば、これら突起712B、724A及び724Bに過度の力がかかることがなく、ストッパ機構の破壊を防止できる。
【0019】
なお、本具体例においては、角度保持部710を便蓋開閉ユニット720に設けたが本発明はこれには限定されない。すなわち、角度保持部710は、便蓋開閉ユニット720とは別体の要素として設けることもでき、このように構成された便座装置も本発明の範囲に包含される。また、角度保持部710を便蓋開閉ユニット720とは別体として設けた場合には、突起712B、724A及び724Bなどからなるストッパ機構は、別途、便蓋開閉ユニット720の内部に設けることができる。
【0020】
図7は、便蓋300を脱着する動作の第1の具体例を例示するフローチャートである。 まず、便蓋300を取り外すために、使用者は、リモコンなどを操作して便蓋300を全開角度まで回転させる(ステップS102)。あるいは、手動にて便蓋300を全開の角度まで開いてもよい。この際に、突起712Aは突起714Aを乗り越え、図6において突起712Aが突起714Aよりも左側に移動した状態となる。
【0021】
次に、便蓋開閉ユニット720のモータ721が停止した状態において、使用者は、手動にて便蓋300をその脱着角度θ3(図5参照)まで戻す(ステップS104)。この時、突起712Aが突起714Aを再び乗り越える。そして、使用者は便蓋300を引き抜くなどの動作により本体部400から取り外す(ステップS106)。なお、便蓋300を本体部400の駆動軸に固定する機械的なロック機構を設け、このロック機構を解除してから便蓋300を取り外すようにしてもよい。
【0022】
便蓋300を取り外した後は、アシストバネ726の付勢力により、図6に表したように突起712Aと突起714Aとが当接した状態となる。この状態においては、駆動軸728には、アシストバネ726による付勢力からモータ721のコギングトルクを差し引いた力が開く方向に作用しているが、この力では突起712Aは714Aを乗り越えることができず、脱着角度θ3が保持される(ステップS108)。
【0023】
したがって、使用者は、その後便蓋300を再び本体部400に取り付けることができる(ステップS110)。
便蓋300を再装着した後は、モータ721または手動により便蓋300を閉じればよい。あるいは、後に詳述するように、「オート開閉機能」を利用して自動的に便蓋300を閉じるようにしてもよい。
【0024】
図8は、便蓋300を脱着する動作の第2の具体例を例示するフローチャートである。 本具体例においては、便蓋300が閉じた状態から、便蓋300を取り外すために、使用者は、手動で便蓋300をその脱着角度θ3(図5参照)まで開く(ステップS202)。そして、使用者は、便蓋300を引き抜くなどの動作により本体部400から取り外す(ステップS204)。
【0025】
この後は、図7に関して前述した具体例と同様であり、便蓋300を取り外した後は、アシストバネ726の付勢力により、図6に表したように突起712Aと突起714Aとが当接して、脱着角度θ3が保持される(ステップS206)。
したがって、使用者は、その後便蓋300を再び本体部400に取り付けることができる(ステップS208)。
図9は、便蓋300を脱着する動作の第3の具体例を例示するフローチャートである。 本具体例においては、便蓋300が閉じた状態から、便蓋300を取り外すために、使用者は、リモコンなどに設けられたスイッチを操作し、便蓋300を脱着する脱着モードを開始する(ステップS302)。すると、便蓋開閉ユニット720のモータ721が駆動して便蓋300をその脱着角度θ3(図5参照)まで開き停止する(ステップS304)。その後、使用者は、便蓋300を引き抜くなどの動作により本体部400から取り外す(ステップS306)。
【0026】
便蓋300を取り外した後は、アシストバネ726の付勢力により、図6に表したように突起712Aと突起714Aとが当接して、脱着角度θ3が保持される(ステップS208)。
したがって、使用者は、その後便蓋300を再び本体部400に取り付けることができる(ステップS310)。
便蓋300を再装着した後は、例えば、リモコンなどに設けられているスイッチを操作することにより脱着モードを終了させる(ステップS312)。あるいは、電動または手動により便蓋300を閉じてもよいし全開にしてもよい。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、角度保持部710を設けることにより、便蓋300を取り外した後に駆動軸がアシストバネ726の付勢力で回転してまうことを防止し、確実且つ容易に便蓋300を再装着することができる。
【0028】
図10は、回転体712に設けられる突起712Aの具体例を表す拡大図である。
本実施形態においては、突起712Aを非対称に形成することができる。図10に表した具体例の場合、突起712Aは、その一方が緩傾斜面712Aaを有し、他方が急傾斜面712Abを有する。そして、便蓋300を開く方向に駆動軸728が回転する時に、急傾斜面712Abが板バネ714の突起714Aと当接する。このようにすると、アシストバネ726の付勢力のみによっては、突起712Aが突起714Aを乗り越えにくくなる。従って、便蓋300を脱着する際に、脱着角度θ3(図5参照)をより確実に保持することが容易となる。
【0029】
一方、便蓋300を閉じる時には、アシストバネ726の付勢力に対抗してモータ721が駆動軸728を閉方向に回転させる。この時には、突起712Aの緩傾斜面712Aaが板バネ714の突起714Aに当接するので、容易に乗り越えることができ、閉動作を円滑に実行させることができる。
【0030】
なお、本具体例とは逆に、板バネ714の突起714Aを非対称に形成してもよい。すなわち、便蓋300が開く方向に回転するときに、回転体712の突起712Aが板バネ714の突起714Aの急傾斜面に当接し、一方、便蓋300が閉じる方向に回転するときには、回転体712の突起712Aが板バネ714の突起714Aの緩傾斜面に当接するようにしても、同様の作用効果が得られる。
またさらに、突起712Aと突起714をいずれも非対称に形成してもよい。
【0031】
図11は、角度保持部710の第2の具体例を表す一部拡大断面図である。
本具体例においては、回転体712の突出部に磁性体713が設けられている。一方、これに対向する支持部には、磁石715が設けられている。磁性体713と磁石715との間に作用する引力により、アシストバネ726の付勢力に対抗して駆動軸728を脱着角度θ3(図5参照)に保持することが可能となる。磁石715として例えばネオジウム磁石を用いるとコンパクトで大きな磁力を得ることが容易となる。一方、便蓋300をモータ721により開閉する時には、これら磁性体713と磁石715との間に作用する引力に打ち勝って駆動軸728を回転させることができる。
【0032】
なお、本具体例においては、全開まで開いた便蓋300が、磁性体713と磁石715との間に作用する引力により戻らないようにするため、脱着角度θ3(図5参照)を開端角度θ1(図5参照)から閉止角度θ0に向けてやや遠ざけることが望ましい場合もある。
【0033】
図12は、角度保持部710の第3の具体例を表す一部拡大断面図である。
本具体例においては、回転体712には、突起712Aが設けられている。一方、これに対向して、突起716Aが設けられている。突起716Aは、スプリング716Bにより回転体712に向けて付勢されている。本具体例においても、図6に関して前述した具体例と同様に、突起712Aが突起716Aに当接することにより、脱着角度θ3(図5参照)が保持される。また、スプリング716Bの付勢力に対抗して突起712Aが突起716Aを乗り越えることにより、駆動軸728が全開状態または全閉状態まで回転する。
【0034】
なお、本具体例においても、図10に関して前述したように、突起712Aと突起716Aの少なくともいずれかを非対称に形成してもよい。
【0035】
図13は、角度保持部710の第4の具体例を表す一部拡大断面図である。
本具体例においては、回転体712には、突起712Aが設けられている。一方、これに対向して、トレランスリング717が設けられている。トレランスリング717は、例えば弾性体などによりブレーキがかけられた状態にあり、回転させるためには一定以上のトルクが必要とされる。そして、トレランスリング717には、回転体712の突起712Aと噛み合う歯車717Aが設けられている。
【0036】
回転体712が脱着角度θ3(図5参照)まで回転すると、突起712Aがトレランスリング717の歯車717Aと噛み合い、アシストバネ726の付勢力のみではトレランスリング717を回転できない状態となる。このようにして、脱着角度θ3を保持することができる。一方、モータ721が駆動した時には、トレランスリング717を回転させることができ、脱着角度θ3を超えて便蓋300を開くことも閉じることもできる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態において設けることができる角度保持部について説明した。
【0038】
以下、本実施形態の便座装置100の各部の構成について、具体的な実施例を参照しつつさらに詳細に説明する。
図14は、本実施例において便蓋300の回転角度範囲と便蓋開閉ユニット720の駆動軸の回転可能範囲を例示する模式図である。
本実施例においては、回転角度範囲を閉止状態(0°)から順にAエリア、Bエリア、Cエリア、Dエリア、Eエリアの5つのエリアに区分している。これら5つのエリアの境界となる角度は、それぞれ20°、80°、95°、110°である。便蓋開閉ユニット720の駆動軸がどのエリアにいるかは、便蓋開閉ユニット720に内蔵された角度検出部725(図4参照)により検知可能とされている。
【0039】
そして、便蓋300の開端角度は、97°すなわちDエリア内に設定されている。つまり、便蓋300は、本体部400に設けられたストッパにより97°で停止される。一方、便蓋開閉ユニット720の駆動軸は、120°すなわちEエリアまで回転可能とされている。そして、便蓋300を本体部400に脱着可能な角度θ3(図5参照)は、80°〜90°すなわちCエリアの中に設定されている。
【0040】
図15及び図16は、便蓋300の取り付け部の構造を表す模式図である。すなわち、図15(a)は本体部400のケースカバー430を表し、図15(b)は(a)におけるA部の拡大図である。また、図16(a)は便蓋300を表し、図16(b)は(a)におけるA部の拡大図である。
【0041】
図15に表したように、本体部400からは、便蓋300の駆動軸728が横方向に突出している。駆動軸728の先端には、回転軸に対して垂直な方向に延在した結合部が形成されている。また、駆動軸728の下方には突出壁482が設けられ、さらにその下方にはストッパ480が設けられている。
【0042】
一方、便蓋300には、図16に表したように、スリット状に開口した軸支部370が設けられている。本体部400から突出した駆動軸728の先端の結合部は、この軸支部370に挿入され、駆動軸728から回転駆動力が便蓋300に伝達される。
【0043】
また、便蓋300の軸支部370を取り囲むように、環状壁371が設けられている。環状壁371には、開口端372、372に挟まれた切り欠き374が設けられている。便蓋300を本体部400から着脱する際には、本体部400の突出壁482が切り欠き374を通過するように便蓋300の向きを調節する必要がある。この際の角度が、図5に関して前述した角度θ3に対応する。便蓋300を装着した後に、便蓋300を開方向または閉止方向に回転させると、本体部482の突出壁482の下方に便蓋300の環状壁371が回り込む。従って、脱着角度θ3以外の角度範囲において便蓋300を本体部400から取り外そうとしても、環状壁371と突出壁482とが当接して取り外すことはできない。本具体例によれば、このようにして所定の角度のみで便蓋300の脱着を可能とし、通常の使用時に便蓋300が不用意に外れてしまうという問題を解消している。
【0044】
図17及び図18は、便蓋300の開き角度を規制するストッパを表す部分拡大模式図である。
図15にも表したように、本体部400からは、駆動軸728が横方向に突出している。便蓋300にはスリット状に開口した軸支部370が設けられ、この軸支部370に駆動軸728を挿入することにより、便蓋300は本体部に回動自在に軸支される。一方、本体部400の駆動軸728の下方には、ストッパ480が設けられている。便蓋300を開くと、図18に表したように、便蓋300の開口端372がストッパ480に当接し、開端角度が規制される。このようにして、図5及び図14に表したように便蓋300の開端角度を確実に規制することができる。
なお、図17及び図18に表したように、本体部400の駆動軸728の後方には、受光窓580が設けられている。これは、後に詳述するように、リモコンから送信される赤外線信号を受けるための窓部である。
【0045】
図19は、本具体例の便座装置100が搭載されたトイレ装置がトイレに設置された状態を例示する模式図である。
図19(a)は、便蓋300がその開端角度まで開いた状態を例示する。
一方、図19(b)は、便蓋300の開端角度が、外部から規制されている状態を例示する。
すなわち、本具体例のトイレ装置は、いわゆる「水道直圧式」であるので、ロータンクは設けられてない。従って、トイレ装置をトイレの後壁950に寄せて設置することが可能である。この時、例えば、トイレの後壁950に、例えば、窓枠や飾り額縁などの突出体960が設けられていると、便蓋300は突出体960と干渉し、所定の開端角度まで開くことができない場合もあり得る。
【0046】
従って、便蓋300を本体部400から着脱可能とする角度範囲が便蓋300の開端角度の近傍であると、図19(b)に表したように便蓋300の開端が規制された時に、便蓋300の脱着が困難となる。
このため、例えば、図5に表したように、便蓋300を本体部400から着脱可能とする角度θ3は、開端角度θ1から閉止側に離れた所定の角度範囲(装着エリア)Xとすることが望ましい。
【0047】
一方、閉じた状態の便蓋300を迅速に開くためには、便蓋300の重量モーメントによるトルクを軽減する必要がある。このためには、便蓋300を開く方向に付勢する弾性体を設けることが望ましい。これは、例えば、一般的に便蓋300よりも重量がある便座200を開く場合にも同様である。このため、本具体例の便座装置100は、図6に関して前述したように、便蓋300を開く方向に付勢するアシストバネ726を有する。つまり、便蓋開閉ユニット720のモータにより開く駆動力または閉じる駆動力が適宜与えられ、一方、アシストバネにより、開こうとする付勢力が常に与えられている。
【0048】
図20は、本具体例の便座装置100の便蓋300が閉じた状態及び開く状態を表す模式図である。
また、図21は、便蓋300の開き角度と、便蓋300の重量により駆動軸728に負荷されるトルクとの関係を例示するグラフ図である。
図20(a)に表したように、本具体例の便座装置100の場合、便蓋300を閉じた状態において、その重心Gは、駆動軸Cにおける水平線Hよりも鉛直下方にある。従って、この状態から便蓋300を開いていくと、重心Gが水平線Hの上にきた時に、便蓋300の重量のモーメントによる駆動軸728でのトルクは最大値Tmaxをとる。便蓋300をさらに開くと、その重量モーメントによるトルクは徐々に減少し、アシストバネ726が設けられていない場合には、重心Gが駆動軸728の鉛直上方すなわち鉛直線V(図16(a))の上にきた時(θv)に、トルクはゼロとなる。つまり、この角度θvで便蓋300は中立を維持できる。
【0049】
これに対して、本実施形態においては、図6に表したアシストバネ726が、便蓋300が開く方向に駆動軸728を付勢している。アシストバネ726は、便蓋300の開き角度に対して図21に破線で表したように徐々に低下するトルクを発生させる。このようなアシストバネ726を設けることにより、便蓋300の重量モーメントによるトルクは軽減される。つまり、便蓋300の重量モーメントによるトルクからアシストバネ726のトルクを差し引いた残りが、便蓋300の開閉に必要とされるトルクとなる。従って、両者がバランスする角度θbにおいては、便蓋300は中立を維持できる。そして、便蓋300をθbよりも開くと、駆動軸728には開く方向のトルクが負荷される。つまり、便蓋300をθbよりも開くと、その後は便蓋300は自動的に開端角度まで開く。
【0050】
本実施形態においては、図5及び図14に表した便蓋300の最大開き角度をこの角度θbよりも大きい角度とすることができる。つまり、便蓋300がストッパ480(図17、図18)により停止された状態において、便蓋300の重量モーメントによるトルクよりもアシストバネ726の付勢力によるトルクのほうが大きい。このようにすれば、便蓋300は全開の状態において、アシストバネ726によりストッパ480に向けて付勢されており、前方に倒れることなく全開姿勢を維持できる。
【0051】
なお、図6には、電動式の便蓋開閉ユニット720にアシストバネ726を内蔵させた具体例を表したが、本発明はこれには限定されない。すなわち、アシストバネ726は、便蓋開閉ユニット720の外側に設けてもよい。
【0052】
なお、図6に表した便蓋開閉ユニット720は、その減速機構722に設けられた回転検出部722Aと、駆動軸728の角度を検出する角度検出部725を利用することにより、便蓋300の開端角度を学習可能とすることができる。例えば、便蓋300を開いたときに開端角度に達すると、モータ721の回転が停止するので減速機構722の回転検出部722Aがこれを検知する。また、角度検出部725により、便蓋300の開き角度を学習できる。従って、その次に便蓋300を開く時に、その開き角度に近づくにつれて便蓋300の速度が低下し、ゆっくりと開端角度に達するように制御できる。
【0053】
このようにすると、例えば、図19(b)に関して前述した突出体960の突出量が大きいトイレに本具体例のトイレ装置をトイレに設置し、最初に動作させる際に、便蓋300の開き角度を学習させることかできる。そして、その次の動作からは、突出体960に勢いよく衝突することを防止できる。また同様に、本具体例のトイレ装置を設置して使用を開始した後、トイレの後壁に突出量の大きい飾り額縁などを増設したような場合も、便座装置100は、便蓋300の開き角度を新たに学習し、次回の動作からはこれに勢いよく衝突しないように便蓋300の開き動作を制御できる。
【0054】
図22は、本具体例の便座装置の要部構成を例示するブロック図である。
本実施形態の便座装置100は、便蓋開閉ユニット720及び便座開閉ユニット780の少なくともいずれかを備える。便蓋開閉ユニット720は、図6に関して前述したように、内蔵するモータにより便蓋300を開閉するユニットである。便座開閉ユニット780は、内蔵するモータにより便座200を開閉するユニットである。これらユニットの動作は、制御部640により制御される。
【0055】
また、本具体例の便座装置100は、衛生洗浄装置としての機能部も併せ持つ。すなわち、便座装置100は、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴出する吐水ノズル615を有する洗浄機能部610を備える。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。便座装置100は、さらに、便座暖房ユニット210、室内暖房ユニット740、便器洗浄ユニット730、照明ユニット790などの付加機能部を備える。なお、これらの他にも、例えば、便座に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥ユニットや、便器のボウル内の空気を吸い込み、フィルタや触媒などを介して臭気成分を低減させる脱臭ユニットなどを設けてもよい。
【0056】
便座暖房ユニット210は、便座を暖める付加機能部である。室内暖房ユニット740は、便座装置が設置されているトイレ空間を暖房する付加機能部である。便器洗浄ユニット730は、便座装置が設けられたトイレ装置の便器ボウルに洗浄水を自動的に流す付加機能部である。照明ユニット790は、便座装置またはトイレ装置の一部あるいは全体を照明する付加機能部である。
【0057】
これらの付加機能部の動作は、制御部640により制御される。制御部640には、操作部(リモコン)900からの指令が入力され、使用者の操作によりそれぞれの付加機能部の動作を制御することができる。
【0058】
ただし、本発明においては、吐水ノズル615やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよく、便蓋開閉ユニット720及び便座開閉ユニット780の少なくともいずれかが設けられていればよい。
【0059】
また、便器洗浄ユニット730は、便座装置100と一体的に設けてもよいが、便座装置100とは別体とし、例えば水洗トイレのロータンクに取り付けてもよい。この場合にも、便座装置100と便器洗浄ユニット730とを接続することにより、制御部640から出力される制御信号によってロータンクに取り付けられた便器洗浄ユニット730の動作を制御することができる。
【0060】
制御部640には、さらに焦電センサ500、人体検知センサ420、着座センサ422からの信号が適宜入力される。そして、制御部640は、焦電センサ500の出力に基づいて、便蓋開閉ユニット720や便座暖房ユニット210などの付加機能部を制御する。ただし、本発明においては、これらセンサ500、420、422を必ずしも備えている必要はない。
【0061】
図23及び図24は、本具体例の便座装置100を操作可能なリモコンを表す模式図である。
本具体例のリモコン900は、本体部902とこれに開閉自在に蝶支されたカバー904とを有する。図23は、カバー904を閉じた状態を表し、図24はカバー904を開けた状態を表す。
【0062】
本体部902及びカバー904にはそれぞれスイッチが設けられ、使用者がこれらスイッチを操作することにより、便座装置100の動作を制御することができる。そして、例えば、図9に関して前述した脱着モードの開始・終了を指示するスイッチを本体部902に設けることができる。または、例えば、本体部902の上面に設けられた便蓋の「開」スイッチを5秒以上押すことにより、脱着モードの開始・終了を指示可能としてもよい。
【0063】
次に、本具体例の便座装置100の全体構成について説明する。
本具体例の便座装置100においては、図1及び図2に表したように、便座200の駆動軸と便蓋300の駆動軸は、前後方向に離間して設けられている。図1に表したように便蓋300が開いた状態においては、本体部400と便座200はほぼ完全に露出し、使用者は便蓋300に干渉することなく便座200に座ることができる。また、便蓋300を本体部400の後部で軸支することにより、便座200に座る使用者から便蓋300を遠ざけることができる。その結果として、便座200に座る使用者に開放感を与え、快適な使用感が得られる。
【0064】
一方、図2に表したように便蓋300が閉じると、便座200だけでなく本体部400もほぼ完全に便蓋300に覆われた状態となる。このように便蓋300で便座装置のほぼ全体を覆うようにすると、非常にスマート且つシンプルで見栄えがすっきりとする。また、便座装置100の全体を便蓋300で覆うことにより、使用されていない状態において便座200のみならず本体部400の上にも埃やチリなどが積もることはない。さらに、便蓋300を閉じた状態において、便座装置100の上面に「隙間」や「凹凸」などがなくなるため、濡らした雑巾などで拭き掃除をする際にも、便蓋300の上面全体を滑らかにサッと拭くことができ、清掃性が良好になる。
【0065】
また、本具体例の場合、本体部400の側面に段部405(図1)が形成されている。この段部405は、便蓋300が閉じた状態において、便蓋300の周囲に折れ曲がって立設されている側壁303の後部下端305と当接または近接した状態で整合し、本体部400の側面と便蓋300の側面とはほぼ連続した同一面を形成する。その結果として、便蓋300が閉じた状態において、便座装置100の側面にも便蓋300から本体部400に至る連続平面が形成され、さらに見栄えがすっきりとするとともにホコリや汚れが堆積することも防止できる。また、便蓋300を閉じた状態で便座装置100の側面を拭き掃除した場合にも、雑巾がひっかかることなく滑らかにサッと拭くことができる。
【0066】
図25は、本具体例の便座装置100の便蓋300と便座200を開いた状態を表す模式図である。
本具体例においては、本体部400が、便器800のボウル810の開口端に合わせて後退した形状を有する。すなわち、本体部400は、便器800の上部後方に設置され、その前面が、便器800のボウル810の開口端の形状に沿ってボウル810の開口端よりもボウル810の側にわずかに突出するように凹状に湾曲した湾曲凹面402とされている。湾曲凹面402の左右には、ボウル810の開口端に沿って前方に向けて延出した延出部404が設けられている。湾曲凹面402は、その中央付近が高く、左右の延出部404に近づくにしたがって次第に低くなる形状を有する。
【0067】
湾曲凹面402の中央付近の高い部分には、吐水ノズルを進出及び後退させる開口部及びその開口部を覆う閉止部材としてのノズルダンパー460が設けられ、その右側には、温風吹出口及び温風吹出口を覆う閉止部材として温風ダンパー470が設けられている。これらは、いずれも開閉自在に支持され、待機状態においては、いずれも閉じられた状態とされる。そして、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄するために吐水ノズルが進出すると、ノズルダンパー460が開く。また、温風乾燥ユニット620から使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付ける際には、温風ダンパー470が開く。
【0068】
本体部400の前面を後退させて湾曲凹面402を形成することにより、男性の立位での小用の際にも小水がかかりにくくなり、使用者に対して視覚的な狭窄感を与えることもない。また、湾曲凹面402の中央付近を高くすることにより、男性の立位の小用に際して本体部400に小水がかかったとしても、湾曲凹面402の中央付近の背の高い部分で小水を受けてボウル810に落下させることができる。つまり、小水が本体部400の傾斜面408などにかかることを抑制でき、小水による汚れを可及的に減らすことができる。
【0069】
また、このように本体部400を後退させることにより、本体部400の裏面への汚れの付着も抑制でき、清掃性も格段に改善できる。すなわち、本具体例によれば、便器800の前にしゃがんだ使用者の視線からみて、ボウル810の後端のリム部の上端付近まで見える。従って、使用者は、その姿勢のまま雑巾やブラシなどを用いてボウル810の後端まで清掃し、汚れが落ちてきれいになったことを確実且つ容易に確認できる。また、本実施形態においては、本体部400のボウル810の上への突出量が抑制されているので、その突出部の裏側に付着した汚れなどを清掃することも容易である。例えば、雑巾などで清掃する際にも、使用者が本体部400の裏側に雑巾をあてがった状態で、左右にサッと拭き取ることができる。
そして、本実施形態によれば、便蓋300や便座200を脱着可能とすることにより、これらの清掃が容易となり同時にこれらを軸支する本体部400も十分に清掃できる。さらに、角度保持部710を設けることにより、便蓋300や便座200を本体部400に確実且つ容易に再装着でき、清潔且つ便利な便蓋装置を提供できる。
【0070】
次に、本具体例の便座装置100の内部構造について詳細に説明する。
図26は、便座装置の本体部400の内部を前方から眺めた斜視図である。
本体部400は、筐体を構成するケースカバー430とケースプレート770とを有する。ケースカバー430の上面には、人体検知センサ500や表示部670が適宜設けられている。表示部670は、例えばトイレ装置に対する電源の投入状態などを適宜表示する役割を有する。また、ケースカバー430の前部の上部には、便座200を自動開閉させるための便座開閉ユニット780が突出して設けられている。
【0071】
一方、ケースカバー430の内部をみると、その前方には、ノズルユニット610、温風乾燥ユニット620、脱臭ユニット630、が併設されている。なお、温風ダンパー470を駆動するモータは、ノズルユニット610の下に設置されている。このようにすると、ノズルユニット610の下のスペースを有効に利用でき、また温風ダンパー470の近くから駆動力を伝達できる。
【0072】
ノズルユニット610は進退自在の吐水ノズルを有し、便座200に座った使用者の「おしり」などに水を噴射して洗浄する役割を有する。脱臭ユニット630は、便器800のボウル810内の空気を吸引し、脱臭して排気口440から排出する役割を有する。
【0073】
また、ケースカバー430の内部の前部上方には制御部640が設けられ、その後部には、バルブユニット650と熱交換ユニット660が設けられている。バルブユニット650から熱交換ユニット660に供給された水が加熱され、ノズルユニット610に併設されたポンプユニットで水に脈動を付与し、吐水ノズルにこの脈動水を供給する。
【0074】
また、ケースカバー430の側面には、補助操作ユニット(図示せず)が適宜設けられている。補助操作ユニットは、ノズルユニット610による「おしり」の洗浄などを操作するスイッチが設けられ、例えば、リモコン(図23、図24)による操作が不可能な状態においても衛生洗浄機能の動作を制御可能としたものである。
【0075】
一方、ケースカバー430の内部の後部には、便蓋開閉ユニット720と便器洗浄バルブユニット(給水制御部)730とが併設されている。便蓋開閉ユニット720は、便蓋300を開閉する役割を有する。便器洗浄バルブユニット730は、便器800に流す洗浄水の供給を制御する役割を有する。すなわち、本具体例のトイレ装置は、いわゆる「水道直結給水式」の構造を有し、ロータンクなどを設けずに、水道から供給される水を便器洗浄バルブユニット730を介して便器800に供給して洗浄を実施する。ただし、本発明はこれには限定されず、ロータンク式のトイレに取付可能な便座装置も包含する。
【0076】
一方、ケースカバー430の内部の最後部には、室内暖房ユニット740が設けられている。室内暖房ユニット740は、温風を排出口450(図1参照)から排出することによりトイレ装置が設置されたトイレ空間を暖房する役割を有する。
このような各種の機構を備えた本体部400の後端近くに便蓋300を軸支し、便座装置100のほぼ全体を覆うようにすると、外観がすっきりとし掃除もしやすくなる。そして、便蓋300や便座200を脱着可能とし、さらに、角度保持部710を設けることにより、便蓋300や便座200を本体部400に確実且つ容易に再装着でき、清潔且つ便利な便蓋装置を提供できる。
【0077】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、図1乃至図20に関して前述した各具体例は、技術的に可能な範囲において適宜組み合わせることができ、これらも本発明の範囲に包含される。
また、便座装置の構造や動作の内容についても、図1乃至図26に関して前述したものには限定されず、当業者が適宜設計変更することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができるものも本発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置の模式斜視図である。
【図2】本具体例の便座装置において便蓋300が閉じた状態を表す。
【図3】本具体例の便座装置において便蓋300を脱着する状態を例示する模式図である。
【図4】便蓋300を電動で回動させるために設けることができる便蓋開閉ユニットを例示するブロック図である。
【図5】便蓋300の回転角度範囲と便蓋開閉ユニット720の駆動軸の回転可能範囲を例示する模式図である。
【図6】便蓋開閉ユニット720に設けられた角度保持部710の構造を表す模式断面図である。
【図7】便蓋300を脱着する動作の第1の具体例を例示するフローチャートである。
【図8】便蓋300を脱着する動作の第2の具体例を例示するフローチャートである。
【図9】便蓋300を脱着する動作の第3の具体例を例示するフローチャートである。
【図10】回転体712に設けられる突起712Aの具体例を表す拡大図である。
【図11】角度保持部710の第2の具体例を表す一部拡大断面図である。
【図12】角度保持部710の第3の具体例を表す一部拡大断面図である。
【図13】角度保持部710の第4の具体例を表す一部拡大断面図である。
【図14】本実施例において便蓋300の回転角度範囲と便蓋開閉ユニット720の駆動軸の回転可能範囲を例示する模式図である。
【図15】便蓋300の取り付け部の構造を表す模式図である。
【図16】便蓋300の取り付け部の構造を表す模式図である。
【図17】便蓋300の開き角度を規制するストッパを表す部分拡大模式図である。
【図18】便蓋300の開き角度を規制するストッパを表す部分拡大模式図である。
【図19】本具体例の便座装置100が搭載されたトイレ装置がトイレに設置された状態を例示する模式図である。
【図20】本具体例の便座装置100の便蓋300が閉じた状態及び開く状態を表す模式図である。
【図21】便蓋300の開き角度と、便蓋300の重量により駆動軸728に負荷されるトルクとの関係を例示するグラフ図である。
【図22】本具体例の便座装置の要部構成を例示するブロック図である。
【図23】本具体例の便座装置100を操作可能なリモコンを表す模式図である。
【図24】本具体例の便座装置100を操作可能なリモコンを表す模式図である。
【図25】本具体例の便座装置100の便蓋300と便座200を開いた状態を表す模式図である。
【図26】便座装置の本体部400の内部を前方から眺めた斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
100 便座装置、200 便座、210 便座暖房ユニット、300 便蓋、303 側壁、305 後部下端、370 軸支部、372 開口端、400 本体部、402 湾曲凹面、404 延出部、405 段部、408 傾斜面、420 人体検知センサ、422 着座センサ、430 ケースカバー、440 排気口、450 排出口、460 ノズルダンパー、470 温風ダンパー、480 ストッパ、500 焦電センサ、580 受光窓、610 ノズルユニット(洗浄機能部)、615 吐水ノズル、620 温風乾燥ユニット、630 脱臭ユニット、640 制御部、650 バルブユニット、660 熱交換ユニット、670 表示部、710 角度保持部、712 回転体、712A 突起、712A 突起、712Aa 緩傾斜面、712Ab 急傾斜面、712B 突起、713 磁性体、714 板バネ、714A 突起、715 磁石、716A 突起、716B スプリング、717 トレランスリング、717A 歯車、720 便蓋開閉ユニット、721 モータ、722 減速機構、722A 回転検出部、722B 斜歯車、722C ウォーム歯車、722D 平歯車、722E 遊星歯車、723 トルクリミッタ、724 角度ストッパ、725 角度検出部、726 アシストバネ(弾性体)、728 駆動軸、730 便器洗浄バルブユニット、740 室内暖房ユニット、770 ケースプレート、780 便座開閉ユニット、790 照明ユニット、800 便器、810 ボウル、900 リモコン、902 本体部、904 カバー、950 後壁、960 突出体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の上に設けられる本体部と、
前記本体部に回動可能に軸支された便座と、
前記本体部に回動可能に軸支された便蓋と、
前記便座及び便蓋の少なくともいずれかを開閉させるモータと、
前記モータからの駆動力を前記便座及び便蓋の少なくともいずれかに伝達する駆動軸と、
前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを開放端に向けて付勢する弾性体と、
前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを閉止端も開放端も含まない脱着角度に保持可能とした角度保持部と、
を備え、
前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかは前記脱着角度において前記本体部から着脱可能とされ、前記便座及び便蓋の前記少なくともいずれかを取り外した後の前記駆動軸を前記角度保持部により前記脱着角度に保持可能としたことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記角度保持部は、前記モータの駆動力が作用した時には前記脱着角度に保持せず、
前記モータの駆動力が作用しない時には前記弾性体による付勢力に対抗して前記脱着角度に保持することを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記駆動軸の回転範囲を規制するストッパ機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記角度保持部は、突起を有し前記駆動軸の回転に応じて回転する回転体と、前記回転体に対向して設けられ突起を有する板バネと、を有し、
前記回転体の前記突起と、前記板バネの前記突起と、が当接することにより、前記脱着角度に保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項5】
前記回転体の前記突起と前記板バネの前記突起の少なくともいずれかは、閉状態から開状態に向けて前記駆動軸が回転する時に互いに当接する面よりも、開状態から閉状態に向けて前記駆動軸が回転する時に互いに当接する面のほうが傾斜が緩やかであることを特徴とする請求項4記載の便座装置。
【請求項6】
便器と、
前記便器の上に設けられた請求項1〜5のいずれか1つに記載の便座装置と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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