説明

便座装置

【課題】清潔な状態をより容易に維持することができる便座装置を得る。
【解決手段】局部洗浄装置20を装置本体21に備える便座装置3において、装置本体21に回動自在に連結される便座22の便座連結部30を、装置本体21の側面24aの側方に配置した。したがって、対峙面28aを容易に掃除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部洗浄装置を備える便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、局部洗浄装置を備える便座装置は、局部洗浄装置が設けられた装置本体と、この装置本体に開閉自在に支持された便座などから構成されている。
【0003】
このような装置本体の前面には、便器に設けられたボウルの上方空間に対峙する対峙面が形成されている。そして、この対峙面には、保持部が突設されており、この保持部の左右の端部に便座の便座連結部が回動自在に連結されている。保持部の幅は、対峙面よりも幅狭に形成されており、これにより、装置本体の対峙面の一部は、便座の便座連結部によって覆われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−202199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような便座装置では、ボウルから跳ねた汚水が装置本体の対峙面に付着することがある。便座の便座連結部の裏側に位置する装置本体の対峙面に汚水が付着した場合には、便座連結部が邪魔になって、掃除が面倒であり、汚れが残存しやすいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、清潔な状態をより容易に維持することができる便座装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明の便座装置は、局部洗浄装置を有する装置本体と、前記装置本体に設けられ当該装置本体の外面を構成するカバー部材と、前記カバー部材において当該カバー部材の左右一対の側面に跨設され、便器に設けられたボウルの上方空間に対峙する対峙面と、前記カバー部材の側面の側方に配置され前記装置本体に対して回動自在に連結された便座連結部を有し、開閉自在な便座と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の便座装置において、前記便座が開状態のときには、前記対峙面の左右の縁よりも前記便座連結部全体の方が、前記ボウルに形成された上開口から離間している。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の便座装置において、前記カバー部材の側面の側方に配置され前記装置本体に対して回動自在に連結された便蓋連結部を有し、閉状態で前記便座及び前記ボウルを覆う開閉自在な便蓋を備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の便座装置において、前記便蓋が開状態のときには、前記対峙面の左右の縁よりも前記便蓋連結部全体の方が、前記ボウルに形成された上開口から離間している。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の便座装置において、前記便座と前記便蓋との回動軸心は、同一直線上に位置している。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか一つに記載の便座装置において、前記便座内に配設された電気機器と、前記便座を前記装置本体に対して回動自在とすると共に内部に前記電気機器用の配線が配索されている支軸と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、便座の便座連結部が装置本体のカバー部材の側面の側方に配置されていることにより、便座連結部が装置本体の対峙面に設けられている場合に比べて装置本体の対峙面をより露出させることができるので、装置本体の対峙面を容易に掃除することができ、便座装置の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、便座が開状態のときには、対峙面の左右の縁よりも便座連結部全体の方が、ボウルに形成された上開口から離間していることにより、ボウルから跳ねた汚水が便座連結部にかかることを対峙面によって抑制することができるので、便座装置の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、便蓋の便蓋連結部が装置本体のカバー部材の側面の側方に配置されていることにより、便蓋連結部が装置本体の対峙面に設けられている場合に比べて装置本体の対峙面をより露出させることができるので、装置本体の対峙面を容易に掃除することができ、便座装置の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、便蓋が開状態のときには、対峙面の左右の縁よりも便蓋連結部全体の方が、ボウルに形成された上開口から離間していることにより、ボウルから跳ねた汚水が便蓋連結部にかかることを対峙面によって抑制することができるので、便座装置の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、便座と便蓋との回動軸心が同一直線上に位置していることにより、便座連結部と便蓋連結部との前後を共に露出させることができるので、便座連結部と便蓋連結部とを容易に掃除することができ、便座装置の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、支軸に配線が配索されていることにより、美観の向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図1ないし図5に基づいて説明する。本実施形態は、便器装置に一体的に設けられた便座装置への適用例である。ここで、図1は、本実施形態にかかる便器装置を示す斜視図、図2は、便器装置を示す分解斜視図、図3は、便座装置を示す正面図、図4は、便座装置を示す分解正面図、図5は、便座装置の第1ピポッド部分を示す正面断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態の便器装置1は、便器2と、この便器2の後部における上部に連設された便座装置3とから構成されている。
【0020】
便器2は、便器部11と、この便器部11の後端に連設された樹脂製の後カバー12とを備えている。便器部11は、上方に開口する上開口13が形成されこの上開口13から排泄物を受け入れるボウル14と、このボウル14の外周を覆うスカート部15と、を備えている。ボウル14は、ボウル本体部16と、このボウル本体部16の上端部に設けられた環状のリム部17とを備えた構成である。そして、ボウル本体部16、リム部17、スカート部15は、別体の樹脂成形品であり、互いに溶着等によって接続されて、便器部11を構成している。
【0021】
リム部17は、便器部11の上面を構成しており、このリム部17の後端には、便座装置3の後述する樹脂製の前部カバー26が一体成形されている。即ち、リム部17は、前部カバー26とによって、単一の樹脂成形品を構成している。
【0022】
次に、便座装置3を説明する。便座装置3は、装置本体21、この装置本体21に回動自在に連結されて開閉自在な便座22及び便蓋23を備えている。
【0023】
装置本体21は、人体の局部を温水で洗浄可能な局部洗浄装置20を備えている。局部洗浄装置20の筐体24内には、局部洗浄装置20の構成部品である温水タンクや、バルブ装置、制御回路部等(いずれも図示せず)が収納されていると共に、筐体24の下部には、温水洗浄ノズル(図示せず)が装着されている。この局部洗浄装置20の筐体24は、装置本体21の外面を構成するカバー部材としても機能している。
【0024】
筐体24は、筐体本体25と、この筐体本体25の前端に連設された後面開口の前部カバー26とから構成されている。
【0025】
前部カバー26には、便器2のリム部17の後縁から後方に延出して設けられた傾斜部27と、この傾斜部27の後縁に連設された立上げ部28とが設けられている。
【0026】
傾斜部27には、後方斜め上方に向けて緩やかに傾斜した傾斜面27aが形成されており、この傾斜面27aは、傾斜面27a上の汚水をボウル14の上開口13に導く。
【0027】
立上げ部28の前面は、筐体24の左右一対の側面24aに跨設され、ボウル14の上方空間に対峙する対峙面28aとなっている。詳しくは、この対峙面28aは、傾斜部27の傾斜面27aの後縁から上方に立上げ形成されており、略鉛直方向に沿った面に形成されている。また、この対峙面28aは、その幅方向の中央部が後方へ凹まされて形成されている。この対峙面28aは、筐体24の横幅方向の全域に亘って形成されている。また、対峙面28aと傾斜面27aとの接続部は、滑らかな曲面で形成されている。
【0028】
また、対峙面28aの上縁には、後方へ延出する上面28bが接続されている。また、前部カバー26の左右の側面26a(図面では、一方の側面のみが示されている)は、立上げ部28及び傾斜部27に亘って連続して形成されており、これらの側面26aは、筐体24の側面24a、即ち、装置本体21の側面24aを構成している。
【0029】
図1ないし図4に示すように、便座22は、環状の座部29と、この座部29から突出形成された左右一対の便座連結部30とを備えている。この便座22は、伏せ状態(図示せず)となる位置であって該座部29への使用者の着座を許容する閉位置と、起立状態となる位置である開位置(図1、図3及び図4)との間で回動自在に設けられている。具体的には、便座連結部30が、装置本体21部の両側部に設けられた左右一対の第1支持部31に、支軸である第1ピポッド32を介して軸支されている。左右の便座連結部30は、装置本体21の側面24aの外方にそれぞれ位置していると共に、便座22が開位置に位置した状態においては、便座連結部30全体は、装置本体21の対峙面28aの左右の縁よりも後方に位置する。この構造によって、便座22が開状態のときには、対峙面28aの左右の縁よりも便座連結部30全体の方が、ボウル14の上開口13から離間した状態となる。
【0030】
また、この便座22は、電気機器であるヒータ(図示せず)を内蔵しており、図5に示すように、このヒータへ電力を供給する配線33が装置本体21から第1支持部31及び第1ピポッド32の内部を通ってヒータに接続されている。
【0031】
また、図1ないし図4に示すように、便蓋23は、蓋本体34と、この蓋本体34から突出形成された左右一対の便蓋連結部35と、を備えている。この便蓋23は、伏せ状態(図示せず)となる位置であって便器部11及び便座22の上方を覆う閉位置と、起立状態となる位置である開位置との間で回動自在に設けられている。具体的には、便蓋連結部35が、便座22の基端部の便座連結部30に設けられた左右一対の第2支持部36に、第2ピポッド37を介して軸支されている。左右の便蓋連結部35は、装置本体21の側面24aの外方にそれぞれ位置していると共に、便蓋23が開位置に位置した状態においては、便蓋連結部35は、装置本体21の対峙面28aの左右の縁よりも後方に位置する。この構造により、便蓋23が開状態のときには、対峙面28aの左右の縁よりも便蓋連結部35全体の方が、ボウル14の上開口13から離間した状態となる。ここで、第1支持部31、第1ピポッド32、第2支持部36、第2ピポッド37は、同一軸心上に配設されている。
【0032】
このような構成において、便座22及び便蓋23を開いた状態での男性の小用の際等に、ボウル14から汚水が対峙面28aに跳ねる等して対峙面28aが汚れた場合には、便座22及び便蓋23を開状態とすることで、使用者等が対峙面28aを清掃することができる。
【0033】
このとき、本実施形態では、便座22の便座連結部30が装置本体21のカバー部材である筐体24の側面24aの側方に配置されていることにより、便座連結部が装置本体の対峙面に設けられている場合に比べて装置本体21の対峙面28aをより露出させることができるので、装置本体21の対峙面28aを容易に掃除することができ、便座装置3の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0034】
また、本実施形態では、便座22が開状態のときには、対峙面28aの左右の縁よりも便座連結部30全体の方が、ボウル14の上開口13から離間している(後方に位置している)ことにより、ボウル14から跳ねた汚水が便座連結部30にかかることを対峙面28aによって抑制することができる。したがって、便座装置3の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0035】
また、本実施形態では、便蓋23の便蓋連結部35が装置本体21のカバー部材である筐体24の側面24aの側方に配置されていることにより、便蓋連結部が装置本体の対峙面に設けられている場合に比べて装置本体21の対峙面28aをより露出させることができるので、装置本体21の対峙面28aを容易に掃除することができ、便座装置3の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0036】
また、本実施形態では、便蓋23が開状態のときには、対峙面28aの左右の縁よりも便蓋連結部35全体の方が、ボウル14の上開口13から離間している(後方に位置している)ことにより、ボウル14から跳ねた汚水が便蓋連結部35にかかることを対峙面28aによって抑制することができる。したがって、便座装置3の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0037】
また、本実施形態では、便座22と便蓋23との回動軸心が同一直線上に位置していることにより、便座連結部30と便蓋連結部35との前後を共に露出させることができるので、便座連結部30と便蓋連結部35とを容易に掃除することができ、便座装置3の清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0038】
また、本実施形態では、支軸である第1ピポッド32に配線33が配索されていることにより、美観の向上が図られる。
【0039】
また、本実施形態では、対峙面28aと傾斜面27aとの接続部が滑らかな曲面で形成されていることにより、対峙面28aと傾斜面27aとの接続部に汚れが溜まり難いと共に、その接続部を雑巾などで拭き掃除するときには、雑巾などがその接続部にフィットし易いので、その接続部の汚れを拭き掃除で容易に落とすことができる。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。なお、前述した実施形態と同じ部分は、同一符号で示し説明も省略する(以降の実施形態でも同様)。図6は、本実施形態にかかる便器装置を示す斜視図、図7は、便器装置を示す分解斜視図である。
【0041】
本実施形態は、図6及び図7に示すように、便器装置1Aにおいて、便蓋23Aが便座22Aを介さずに、単体で装置本体21Aに取り付けられている点が第1の実施の形態に対して異なる。具体的には、装置本体21Aにおける筐体24Aの筐体本体25Bにおいて、第2ピポッド37を介して便蓋23Aを回動自在に保持する第2支持部36Bが、第1支持部31の後方に設けられている。
【0042】
このような構成においても、前述した実施形態と同様に、便座連結部が装置本体の対峙面に設けられている場合に比べて装置本体21Aの対峙面28aをより露出させることができるので、装置本体の対峙面28aを容易に掃除することができ、便座装置3Aの清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0043】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を図8に基づいて説明する。図8は、本実施形態にかかる便座装置を示す斜視図である。
【0044】
本実施形態は、前述した実施形態のいずれにも適用可能であるが、図8では、第2の実施形態に対して適用された例が示されている。
【0045】
本実施形態は、便器装置1Bにおいて、便座装置3B全体がユニット化されて便器2Bに対して別体となっている点が前述した実施形態に対して異なる。具体的には、前部カバー26Bが、便器2Bのリム部17Bとは独立して設けられており、この前部カバー26Bが筐体本体25Bに固定されて筐体24Bが構成されている。そして、このようにユニット化された便座装置3Bは、便器2Bの後部に配設されている。
【0046】
このような構成においても、前述した実施形態と同様に、便座連結部が装置本体の対峙面に設けられている場合に比べて装置本体21Bの対峙面28aをより露出させることができるので、装置本体の対峙面28aを容易に掃除することができ、便座装置3Bの清潔な状態をより容易に維持することができる。
【0047】
なお、本発明は、本実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる便器装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる便器装置を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる便座装置を示す正面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる便座装置を示す分解正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる便座装置の第1ピポッド部分を示す正面断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる便器装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる便器装置を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかる便座装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
2 便器
2B 便器
3 便座装置
3A 便座装置
3B 便座装置
13 上開口
14 ボウル
20 局部洗浄装置
21 装置本体
21A 装置本体
21B 装置本体
22 便座
22A 便座
23 便蓋
23A 便蓋
24 筐体(カバー部材)
24a 側面
24A 筐体(カバー部材)
24B 筐体(カバー部材)
28a 対峙面
30 便座連結部
33 配線
32 第1ピポッド(支軸)
35 便蓋連結部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部洗浄装置を有する装置本体と、
前記装置本体に設けられ当該装置本体の外面を構成するカバー部材と、
前記カバー部材において当該カバー部材の左右一対の側面に跨設され、便器に設けられたボウルの上方空間に対峙する対峙面と、
前記カバー部材の側面の側方に配置され前記装置本体に対して回動自在に連結された便座連結部を有し、開閉自在な便座と、
を備える便座装置。
【請求項2】
前記便座が開状態のときには、前記対峙面の左右の縁よりも前記便座連結部全体の方が、前記ボウルに形成された上開口から離間している請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記カバー部材の側面の側方に配置され前記装置本体に対して回動自在に連結された便蓋連結部を有し、閉状態で前記便座及び前記ボウルを覆う開閉自在な便蓋を備える請求項1又は2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記便蓋が開状態のときには、前記対峙面の左右の縁よりも前記便蓋連結部全体の方が、前記ボウルに形成された上開口から離間している請求項3に記載の便座装置。
【請求項5】
前記便座と前記便蓋との回動軸心は、同一直線上に位置している請求項3又は4に記載の便座装置。
【請求項6】
前記便座内に配設された電気機器と、
前記便座を前記装置本体に対して回動自在とすると共に内部に前記電気機器用の配線が配索されている支軸と、
を備える請求項1ないし5のいずれか一つに記載の便座装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−259921(P2007−259921A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85683(P2006−85683)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】