説明

便座装置

【課題】蓄電装置の大型化やコストアップを招くことなく、わずかな時間に大きな電力を消費する負荷に大電力を適切に供給することができる便座装置を提供する。
【解決手段】電力を蓄える蓄電装置42と、商用電源7と蓄電装置42の双方から得た電力を温水ヒータ21に供給する電源供給部44と、電源供給部44から温水ヒータ21への電力供給を制御する制御回路22とを備える。わずかな時間に大きな電力を消費する温水ヒータ21に対して、商用電源7と蓄電装置42の双方から得られる電力が供給され、この電力供給は制御回路22により制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、わずかな時間に大きな電力を消費する負荷を備えた便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、使用者の洗浄対象部位に温水を噴出する温水洗浄型の便座装置においては、電力を消費する負荷として、温水を生成するためのヒータが備えられている。この種の便座装置としては、ヒータで水を加熱することにより温水を予め生成して貯めておく貯留式の便座装置と、使用時のみにヒータで水を瞬時的に加熱して温水を生成する瞬間式の便座装置とがある。
【0003】
貯留式の便座装置では、小さな電力(約350W)を消費するヒータで水を加熱するため、瞬時における消費電力が小さいが、温水の温度を一定に維持すべくヒータのオン/オフが常時繰り返されるため、消費電力の総量が多くなってしまう。
これに対して、瞬間式の便座装置では、瞬時に温水を生成すべく、わずかな時間に大きな電力(約1200W)を消費するヒータで水を加熱する構成であるので、当該大電力は使用時のみに瞬時に消費され、消費電力の総量を少なくすることができる。
【0004】
ところが、このような瞬間式の便座装置を例えばビルなどにおいて多数設置する場合、各便座装置の消費電力が大きいことから、配電系統(配線やブレーカなど)の総容量を大きくする必要があり設置コストがかかる。また、瞬間式の便座装置を一般家庭に設置する場合、家庭用の配電系統の容量には定格(15A,100V)があることから、他の家電製品と併用した場合にブレーカが切れるおそれがある。
このような事情により、瞬間式の便座装置は、貯留式の便座装置に比べ消費電力の総量を少なくできランニングコストを抑えることができるにもかかわらず、配電系統に係る施工上の制約から、実用に導入するには課題が残るものであった。
【0005】
ところで、使用時のみに温水を生成する給湯システムとして、二次電池やキャパシタからなる蓄電装置を備え、温水を生成するためのヒータ(セラミックヒータ)に当該蓄電装置から電力を供給する方法が考えられている(例えば特許文献1参照)。このような給湯システムを上記のような瞬間式の便座装置に適用すれば、蓄電装置に電力を蓄えておき、当該蓄電装置に蓄えられた電力を必要な時(温水使用時)にヒータに供給することで温水を生成することができる。従って、配電系統の総容量を大きくする必要がなく、また、配電系統の容量の制約を受けにくい。
【特許文献1】特開2004−53098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、瞬間式(瞬時式)の便座装置においては、上記したように大電力を必要とするヒータが用いられることから、蓄電装置から当該ヒータに十分な電力を供給可能とするためには、当該蓄電装置の蓄電容量を大きくしなければならない。そのため、蓄電装置の大型化やコストアップを招いてしまい、当該蓄電装置を便座装置に搭載することが困難となる。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電装置の大型化やコストアップを招くことなく、わずかな時間に大きな電力を消費する負荷に大電力を適切に供給することができる便座装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の便座装置は、わずかな時間に大きな電力を消費する負荷を備えた便座装置において、電力を蓄える蓄電装置と、商用電源と前記蓄電装置の双方から得た電力を前記負荷に供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記負荷への電力供給を制御する制御手段とを備えたことに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便座装置によれば、わずかな時間に大きな電力を消費する負荷に対して、電源供給部は商用電源と蓄電装置の双方から得られる電力を供給し、この電源供給部から負荷への電力供給は制御手段により制御される。これにより、電力供給対象となる負荷に、蓄電装置から得られる電力に商用電源から得られる電力を加えた大電力を、わずかな時間に適切に供給することができる。
【0010】
また、電力の供給源として商用電源と蓄電装置を併用する形態となるので、蓄電装置の蓄電容量を大きくしなくとも負荷に大電力を供給することができ、当該蓄電装置の大型化やコストアップを抑えることができる。
また、配電系統の総容量を大きくする必要がなく、また、配電系統の容量の制約を受けにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。図2は、便座装置1の外観を示す斜視図である。便座装置1の本体部2は、便器3の上面に着脱可能に固定されるようになっている。この本体部2にはコントロールパネル4が付設されており、このコントロールパネル4には、お尻洗浄スイッチ、ビデスイッチ、停止スイッチ、水温スイッチ、噴出圧スイッチ、便座温スイッチなど各種の操作スイッチ5(図3参照)が操作可能に設けられている。便座装置1には、電源コード6を介して商用電源7(AC100V,50Hzまたは60Hz、図1参照)から電力が供給されるようになっている。
【0012】
本体部2には、合成樹脂材料からなる便座8および蓋9がヒンジ部10により取り付けられている。これら便座8および蓋9は左右方向に水平な軸10aを中心に回動可能となっている。便座8は便器3の上面にほぼ水平に接触する使用状態(図2に示す状態)と便器3の上面から上方に傾斜状に離間する非使用状態との間で回動可能となっており、蓋9は便座8から離間する開放状態(図2に示す状態)と便座8に接触する閉鎖状態との間で回動可能となっている。便座8は、使用者が使用状態に倒して臀部を載せるものであり、この便座8の内部には便座ヒータ11(図3参照)のヒータ線(図示せず)が埋設されている。この便座ヒータ11は使用者が便座8に臀部を載せたときに冷感を感じないように便座8を内部から加熱し温めるものである。
【0013】
本体部2には、電磁弁12(図3参照)およびホース13を介して分岐栓14が接続されている。この分岐栓14は水道管(図示せず)に接続されており、分岐栓14からホース13と電磁弁12を順に通して後述の洗浄ノズル18に水道水(使用者の洗浄対象部位(肛門や局部など)や便器3を洗浄するための洗浄水)が注入されるようになっている。なお、分岐栓14は、便器3内の排泄物を排出するための洗浄水を貯留するロータンク(図示せず)にホース15を介して接続されている。
【0014】
本体部2のほぼ中央部には、前後方向へ直線的に延びる筒状の洗浄ノズル18が設けられている。洗浄ノズル18の内部には、本体部2内の洗浄水を流通可能な直線状の流通路(図示せず)が形成され、洗浄ノズル18の前端部には、使用者の洗浄対象部位に洗浄水を噴出する噴出口(図示せず)が形成されている。洗浄ノズル18は、ノズルモータ19(図3参照)の回転量に応じて、図2に示す前進位置(便器3内に向けて突出し使用者の洗浄対象部位に洗浄水を噴出可能な位置)と後退位置(便座8の下方に収容された位置)との間で前後方向に移動するようになっている。
【0015】
洗浄ノズル18は、流量調整バルブ(図示せず)を介して本体部2に接続されている。流量調整バルブの開度は、流量調整バルブモータ20(図3参照)の回転量に応じて調整されるようになっており、調整後の流量調整バルブの開度に応じた噴出圧で洗浄ノズル18から洗浄水が噴出されるようになっている。この洗浄ノズル18には、温水ヒータ21(図3参照)のヒータ線(図示せず)が巻き付けてある。この温水ヒータ21は、わずかな時間(例えば使用者の洗浄対象部位の洗浄時)に大きな電力(例えば1200W)を消費して洗浄ノズル18内を流通する洗浄水を加熱し温水化するものであり、負荷に相当するものである。
【0016】
次に、上記した便座装置1の電気的構成について図3を参照して説明する。
制御回路22(制御手段に相当)は、CPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータを主体として構成されたものであり、この制御回路22には、操作スイッチ5、電源ゼロクロス検出回路23、便座用サーミスタ24、温水用サーミスタ25、着座スイッチ26が接続されている。また、制御回路22には、便座ヒータ11、電磁弁12、ノズルモータ19、流量調整バルブモータ20、温水ヒータ21、LED27、ブザー28、脱臭ファン29、乾燥ファン30がそれぞれ駆動回路31〜39を介して接続されている。
【0017】
電源ゼロクロス検出回路23は、商用電源7から供給される電圧が0Vとなるゼロクロス点を検出してゼロクロス信号を出力する。便座用サーミスタ24は、便座ヒータ11により温められた便座8の温度を検出して温度信号を出力するものであり、温水用サーミスタ25は、温水ヒータ21により温められた温水の温度を検出して温度信号を出力するものである。
【0018】
着座スイッチ26は、ヒンジ部10付近に備えられたメカニカルスイッチであり、便座8に着座した使用者の重みによりヒンジ部10が若干移動することでオン状態となり着座信号を出力する。なお、この着座スイッチ26の代用として、例えば赤外線センサからなる人感センサを用いてもよい。
【0019】
LED27は、便座装置1の動作状態に応じて点灯あるいは点滅するものであり、ブザー28は、便座装置1の動作状態に応じて警告音などを発するものである。脱臭ファン29は、便座装置1の使用中あるいは使用後の臭気を除去するためのものであり、乾燥ファン30は、洗浄後の使用者の洗浄対象部位に温風を供給して乾燥するためのものである。
【0020】
制御回路22は、操作スイッチ5、電源ゼロクロス検出回路23、便座用サーミスタ24、温水用サーミスタ25、着座スイッチ26から入力される各種信号に基づいて、便座ヒータ11、電磁弁12、ノズルモータ19、流量調整バルブモータ20、温水ヒータ21、LED27、ブザー28、脱臭ファン29、乾燥ファン30の駆動をそれぞれ駆動回路31〜39を介して制御するようになっている。
【0021】
具体的な制御内容としては、例えば、制御回路22は着座スイッチ26からの着座信号の有無に基づいて、使用者が便座8に臀部を載せたか否かを判断する。また、制御回路22はコントロールパネル4の噴出圧スイッチの操作内容に応じて流量調整バルブモータ20を回転させ、洗浄ノズル18から噴出する洗浄水の勢いを制御する。また、制御回路22はコントロールパネル4の水温スイッチの操作内容に応じて目標水温を設定し、温水用サーミスタ25からの温度信号が目標水温に収束するように温水ヒータ21の駆動を制御する。
【0022】
次に、上記した温水ヒータ21の駆動回路35およびその周辺の電気的構成について図1を参照して説明する。駆動回路35は、AC/DC変換部40(AC/DC変換手段に相当)、充電装置41、放電装置43、電源供給部44、ヒータスイッチ45とから構成されている。
【0023】
AC/DC変換部40は、商用電源7、充電装置41、電源供給部44に接続されており、ダイオードブリッジと平滑コンデンサ(何れも図示せず)を用いて、商用電源7から得た交流電力を直流電力に変換して充電装置41および電源供給部44に供給する。この場合、AC/DC変換部40は、AC100Vの交流電力をDC140Vの直流電力に変換する。
【0024】
充電装置41は、便座装置1に備えられた蓄電装置42に接続されており、AC/DC変換部40から得た直流電力を基に蓄電装置42に充電する。充電装置41は、AC/DC変換部40から得た直流電力の電圧を昇圧あるいは降圧させる回路を備えており、便座装置1の制御回路22から出力される充電制御信号(詳しくは後述する)に基づいて、蓄電装置42への充電電圧を変更可能となっている。この場合、充電装置41は、AC/DC変換部40から得たDC140Vの直流電力をDC280V(蓄電装置42に適した充電電圧)の直流電力に昇圧して蓄電装置42に充電する。なお、蓄電装置42に適した電圧は、当該蓄電装置42の最大充電電流などに応じて定まるものであり、例えば最大充電電流が1.5Aであれば、充電電流が1.5Aを超えないように充電電圧をDC280Vよりも低い電圧に変更する。これにより、蓄電装置42に最大充電電流を上回る電流が流れてしまうことを防止する電流制限が可能となる。
【0025】
蓄電装置42は、例えばキャパシタからなるものであり、商用電源7からAC/DC変換部40および充電装置41を介して得た直流電力を蓄える。
放電装置43は、便座装置1の制御回路22から出力される放電制御信号(詳しくは後述する)に基づいて、蓄電装置42の放電を入り/切りするスイッチである。制御回路22は、この放電装置43の駆動を制御することにより、蓄電装置42に蓄えられている電力を適切な放電タイミングで放電し温水ヒータ21に直流電力を供給する。また、制御回路22は、この温水ヒータ21への電力供給に際して、供給電力、供給電圧あるいは供給電流をそれぞれ一定にする信号を放電制御信号として出力可能となっている。
【0026】
電源供給部44は、整流素子たる2つのダイオード46,47から構成されており、ダイオード46のアノードはAC/DC変換部40に接続され、ダイオード47のアノードは放電装置43に接続されている。また、これらダイオード46,47のカソードは何れもヒータスイッチ45に接続されている。
【0027】
ヒータスイッチ45は、スイッチ部品(例えばリレーやゲートターンオフ型のトライアックなど)から構成されており、温水ヒータ21に接続されている。ヒータスイッチ45は、便座装置1の制御回路22から出力されるヒータ制御信号(詳しくは後述する)に基づいて、電源供給部44から温水ヒータ21への電力供給を入り/切りするものであり、制御回路22は、このヒータスイッチ45の駆動を制御することにより、当該温水ヒータ21により生成される温水の温度が設定された目標水温になるように調整する。
【0028】
なお、商用電源7は、上記したAC/DC変換部40とは別に備えられたAC/DC変換部48にも接続されており、このAC/DC変換部48により変換された直流電力がDC/DC変換部49によりDC5V(必要に応じてDC15V)の直流電力に変換され、便座装置1に供給されるようになっている。この場合、図3に示した各負荷のうち、制御回路22、操作スイッチ5、電源ゼロクロス検出回路23、便座用サーミスタ24、温水用サーミスタ25、着座スイッチ26、LED27、ブザー28は、商用電源7からAC/DC変換部48およびDC/DC変換部49を介して供給されるDC5V(必要に応じてDC15V)の直流電力により動作する。
【0029】
一方、便座ヒータ11、電磁弁12、ノズルモータ19、流量調整バルブモータ20、脱臭ファン29、乾燥ファン30は、商用電源7から供給されるAC100Vの交流電力により動作する。制御回路22は、電源ゼロクロス検出回路23からのゼロクロス信号に基づいて、これら交流電力により駆動される負荷の駆動回路をゼロクロス点付近でオン駆動する。これにより、負荷を動作させた瞬間に当該負荷に供給される電流が小さくなり、故障の発生が抑えられる。
【0030】
次に、本実施形態の作用について図4を参照しながら説明する。図4は、温水ヒータ21の使用時(蓄電装置42の放電時)および不使用時(蓄電装置42の充電時)における温水ヒータ21の消費電力(実線A参照)、商用電源7から供給される電力(実線B参照)、蓄電装置42の電圧(実線C参照)、AC/DC変換部40の出力電圧(一点鎖線D参照)、蓄電装置42の電流(破線E参照)の変化を示すものである。
【0031】
制御回路22は、洗浄ノズル18から温水を噴出する温水ヒータ21使用時には、放電装置43を動作させる信号を放電制御信号として出力するとともに、ヒータスイッチ45を動作させる信号をヒータ制御信号として出力する。また、充電装置41を停止させる信号を充電制御信号として出力する。これにより、蓄電装置42に蓄えられているDC280Vの直流電力が電源供給部44のダイオード47を介して温水ヒータ21に供給され、この蓄電装置42が放電している間は充電装置41による当該蓄電装置42への充電が停止する。
【0032】
このとき、電源供給部44のダイオード46に接続されているAC/DC変換部40の出力電圧がDC140Vであることから、蓄電装置42から放電が開始された初期の段階では、温水ヒータ21には、商用電源7からの電流(商用電源7からAC/DC変換部40およびダイオード46を介して供給される電流)は流れず、蓄電装置42からの大きな電流(蓄電装置42から放電装置43およびダイオード47を介して放電される電流)が流れる。つまり、蓄電装置42に蓄えられているDC280Vの直流電力が、電源供給部44から温水ヒータ21に供給される(放電開始時における実線Aの点a参照)。
【0033】
蓄電装置42から直流電力が放電されるにつれて、当該蓄電装置42の電圧(出力電圧)は徐々に低下する(期間bにおける実線Cの変化参照)。このとき、蓄電装置42の電流(出力電流)も、当該蓄電装置42の出力電圧が低下することに伴って徐々に低下する(期間bにおける破線Eの変化参照)。従って、温水ヒータ21に供給される直流電力も蓄電装置42の出力電圧および出力電流が低下することに伴って徐々に低下していく(期間bにおける実線Aの変化参照)。
【0034】
そして、蓄電装置42の出力電圧がAC/DC変換部40の出力電圧(DC140V)付近まで低下すると、温水ヒータ21には、当該AC/DC変換部40からも直流電力が供給されるようになる。このとき、蓄電装置42の出力電圧とAC/DC変換部40の出力電圧がDC140V付近でほぼ均衡した状態のまま、当該蓄電装置42およびAC/DC変換部40の双方からそれぞれ温水ヒータ21に電流が流れることとなる(期間cにおける破線Eおよび実線Bの変化参照)。なお、制御回路22は、温水用サーミスタ25からの温度信号に基づいて温水ヒータ21により生成される温水の温度が設定値より高くなったことを検出すると、ヒータスイッチ45を遮断する信号をヒータ制御信号として出力し、洗浄ノズル18から噴出される温水の温度制御をおこなう。
【0035】
一方、温水ヒータ21を使用しない時には、制御回路22は、放電装置43の動作を停止させる信号を放電制御信号として出力するとともに、充電装置41を動作させる信号を充電制御信号として出力する。これにより、商用電源7からの電流がAC/DC変換部40を介して蓄電装置42に流れ、当該蓄電装置42の電圧(充電電圧)は徐々に上昇していく(期間dにおける実線Cの変化参照、この場合、蓄電装置42の特性により充電電圧が上昇しにくくなる点eを有する)。つまり、蓄電装置42にDC280Vの直流電力が充電され、次回の温水ヒータ21使用時に当該温水ヒータ21に大電力を供給するための準備が行われる。
【0036】
以上に説明したように本実施形態によれば、わずかな時間に大きな電力を消費する温水ヒータ21に対して、電源供給部44は商用電源7と蓄電装置42の双方から得られる電力を供給し、この電源供給部44から温水ヒータ21への電力供給は制御回路22により制御される。これにより、電力供給対象となる温水ヒータ21に、蓄電装置42から得られる電力に商用電源7から得られる電力を加えた大電力を、わずかな時間に適切に供給することができる。
【0037】
また、電力の供給源として商用電源7と蓄電装置42を併用する形態となるので、蓄電装置42の蓄電容量を大きくしなくとも温水ヒータ21に大電力を供給することができ、当該蓄電装置42の大型化やコストアップを抑えることができる。
また、配線やブレーカなど配電系統の総容量を大きくする必要がなく、また、配電系統の容量の制約を受けにくい。
また、温水ヒータ21を使用しない時には、商用電源7からの小さな電力を基に蓄電装置42に充電されるので、瞬時的に大きな電力が消費されることがない。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図5および図6を参照して説明する。この第2の実施形態は、上記した第1の実施形態とは次の点が異なっている。
すなわち、図5に示すように、便座装置1には、わずかな時間に大きな電力を消費する温水ヒータとして、交流用ヒータ61と直流用ヒータ62とが備えられている。また、これら交流用ヒータ61および直流用ヒータ62の駆動回路63において、商用電源7は、AC/DC変換部40とヒータスイッチ45にそれぞれ接続されている。そして、交流用ヒータ61はヒータスイッチ45に接続されており、直流用ヒータ62は放電装置43に接続されている。この場合、商用電源7と交流用ヒータ61とを接続する電源供給ライン64と、放電装置43と直流用ヒータ62とを接続する電源供給ライン65とから電源供給部が構成されている。
【0039】
便座装置1の制御回路22は、ヒータスイッチ45に交流用ヒータ制御信号を出力して当該ヒータスイッチ45の駆動を制御することにより、商用電源7から交流用ヒータ61への交流電力の供給を入り/切りする。また、制御回路22は、放電装置43に放電制御信号を出力して当該放電装置43の駆動を制御することにより、蓄電装置42から直流用ヒータ62への直流電力の供給を入り/切りする。
【0040】
次に、本実施形態の作用について図6を参照しながら説明する。図6は、温水ヒータ(交流用ヒータ61および直流用ヒータ62)の使用時(蓄電装置42の放電時)および不使用時(蓄電装置42の充電時)における温水ヒータの消費電力(実線F参照)、商用電源7から供給される電力(実線G参照)、蓄電装置42の電圧(実線H参照)、蓄電装置42の電流(実線I参照)の変化を示すものである。
【0041】
制御回路22は、温水ヒータ使用時には、ヒータスイッチ45を動作させる信号をヒータ制御信号として出力して交流用ヒータ61に商用電源7の交流電力を供給するとともに、放電装置43を動作させる信号を放電制御信号として出力して直流用ヒータ62に蓄電装置42の直流電力を供給する。また、充電装置41を停止させる信号を充電制御信号として出力する。
【0042】
蓄電装置42から直流電力が放電されるにつれて、当該蓄電装置42の出力電圧は徐々に低下する(温水ヒータ使用時における実線Hの変化参照)。このとき、制御回路22は、直流用ヒータ62に供給される直流電力を一定にすべく、蓄電装置42の出力電圧が低下することに応じて当該蓄電装置42の出力電流を徐々に上昇させる信号を放電制御信号として出力する(温水ヒータ使用時における実線Iの変化参照)。また、交流用ヒータ61には、商用電源7から一定の交流電力が供給される(温水ヒータ使用時における実線Gの変化参照)。従って、温水ヒータに供給され消費される直流電力の総量も一定となる(温水ヒータ使用時における実線Fの変化参照)。
【0043】
一方、交流用ヒータ61および直流用ヒータ62を使用しない時には、制御回路22は、放電装置43の動作を停止させる信号を放電制御信号として出力するとともに、充電装置41を動作させる信号を充電制御信号として出力する。これにより、商用電源7からの電流がAC/DC変換部40を介して蓄電装置42に流れ、蓄電装置42に直流電力が充電される(温水ヒータ不使用時における実線Hの変化参照)。
【0044】
以上に説明したように本実施形態によれば、交流用ヒータ61に対しては、商用電源7からの交流電力を必要に応じて適宜供給することができ、直流用ヒータ62に対しては、蓄電装置42に蓄えられている直流電力を必要に応じて適宜供給することができる。従って、便座装置1全体として瞬時的に消費される商用電源7からの電力を低減ことができる。
また、本実施形態の構成は、温水ヒータを交流用ヒータ61と直流用ヒータ62とに分離して設け、これらを2本の電源供給ライン64,65からなる電源供給部に接続することで比較的容易に実現することができる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した各実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
蓄電装置42として二次電池を用いた場合、その蓄電電圧は一般的に低圧(例えばDC28V程度)である。この場合は、充電装置41においてDC140Vの直流電力をDC28Vの直流電力に降圧し、放電装置43においてDC28Vの直流電力をDC280Vの直流電力に昇圧するようにしてもよい。
【0046】
商用電源7と蓄電装置42の双方から得た電力を供給する負荷は、温水ヒータ21、交流用ヒータ61、直流用ヒータ62に限られるものではなく、わずかな時間に大きな電力を消費する負荷であれば、例えば便座ヒータ11に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すものであり、温水ヒータの駆動回路およびその周辺の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】便座装置の外観を示す斜視図
【図3】便座装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】温水ヒータの使用時および不使用時における作用を説明するための図
【図5】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図6】図4相当図
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は便座装置、7は商用電源、21は温水ヒータ(負荷、ヒータ)、22は制御回路(制御手段)、40はAC/DC変換部(AC/DC変換手段)、41は充電装置、42は蓄電装置、44は電源供給部、61は交流用ヒータ、62は直流用ヒータ、64,65は電源供給ライン(電源供給部)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
わずかな時間に大きな電力を消費する負荷を備えた便座装置において、
電力を蓄える蓄電装置と、
商用電源と前記蓄電装置の双方から得た電力を前記負荷に供給する電源供給部と、
前記電源供給部から前記負荷への電力供給を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記負荷としてヒータを備えたことを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記商用電源から直流電力を得るAC/DC変換手段を備え、
前記電源供給部は、
前記AC/DC変換手段と前記蓄電装置の双方から得た直流電力を前記ヒータに供給することを特徴とする請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
前記AC/DC変換手段から得た直流電力を基に前記蓄電装置に充電する充電装置を備え、
前記制御手段は、
前記蓄電装置が放電している間は前記蓄電装置への充電を停止させるように前記充電装置を制御することを特徴とする請求項3記載の便座装置。
【請求項5】
前記ヒータは、交流用ヒータと直流用ヒータとから構成され、
前記電源供給部は、
前記商用電源から得た交流電力を前記交流用ヒータに供給し、
前記蓄電装置から得た直流電力を前記直流用ヒータに供給することを特徴とする請求項2記載の便座装置。
【請求項6】
前記商用電源から直流電力を得るAC/DC変換手段と、
前記AC/DC変換手段から得た直流電力を基に前記蓄電装置に充電する充電装置を備え、
前記制御手段は、
前記蓄電装置が放電している間は前記蓄電装置への充電を停止させるように前記充電装置を制御することを特徴とする請求項5記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−41251(P2009−41251A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206768(P2007−206768)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】