説明

便座装置

【課題】化粧カバーをベース部材に着脱する際の作業性低下を回避する。
【解決手段】便座装置Aは、便器本体Bの台座部Cの上面に取り付けられるベース部材10と、ベース部材10に揺動可能に支持された便座14と、ベース部材10に対して離脱可能に取り付けられ、台座部Cの上面よりも下方に配置される機能部材を覆う化粧カバー16と、ベース部材10に対し直接的に取り付けられたスピーカー10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーを備えた便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スピーカーを備えた便座装置が開示されている。この便座装置は、便器本体における便鉢の後方位置に取り付けられるベース部材と、揺動可能な便座と、ベース部材に対して離脱可能に取り付けられてベース部材よりも下方に配置された機能部材を覆う化粧カバーと、スピーカーとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−307482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の便座装置では、スピーカーが化粧カバーに取り付けられているのであるが、スピーカーから延びた電線は、ベース部材に設けた回路基板に接続されており、電線とスピーカーを介してベース部材とベース部材が繋がった状態となっている。そのため、機能部材のメンテナンス等のために化粧カバーをベース部材から外したときには、化粧カバーを自由に取り回すことができず、化粧カバーの置き場所に困ることが懸念される。また、化粧カバーをベース部材に取り付ける際には、電線を、挟み込まないように所定の空間内に納める必要があるため、作業が円滑に進まないという事態も考えられる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、化粧カバーをベース部材に対して着脱する際の作業性の低下回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、後端部に台座部が形成されている便器本体と、前記台座部の上面に取り付けられるベース部材と、揺動可能な便座と、前記ベース部材に対して離脱可能に取り付けられ、前記台座部の上面よりも下方に配置される機能部材を覆う化粧カバーと、前記ベース部材に対し直接的に取り付けられたスピーカーとを備えているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ベース部材と前記スピーカーには、締結部材を介して互いに締結されることで、前記ベース部材に対して前記スピーカーを固定する固定部と、前記固定部が締結されていない状態において、互いに係止することで、前記スピーカーを前記ベース部材における所定の固定位置に保持する仮止め部とが設けられているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記ベース部材は、前記台座部に載置される水平な板状取付部を有し、前記スピーカーは、前記板状取付部の上面よりも下方の位置に配置され、前記板状取付部には、上下に貫通する形態の貫通孔と、前記貫通孔の近傍に位置する前記固定部が形成され、前記スピーカー側の前記固定部は、前記板状取付部の下方から前記貫通孔内に進入して前記ベース部材側の前記固定部の上面に載置されるような突起状の形態であるところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記板状取付部には、前記スピーカー側の前記固定部を前記貫通孔に差し込んで前記ベース部材側の前記固定部に載置させる過程で、前記スピーカーを所定の固定位置に案内するガイド部が形成されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記スピーカーは、音の発生機能を備えた本体と、前記本体を包囲するケースとから構成されており、前記固定部と前記仮止め部が、前記ケースに形成されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記機能部材は、前記化粧カバーの裏面に対して近接して対向する対向外面を有しており、前記化粧カバーで覆われる領域内には、前記対向外面に隣接するように位置し、前記化粧カバーの裏面に向かって開口する凹部が設けられており、前記凹部内には、前記スピーカーが、その正面を前記化粧カバーに向ける姿勢で配置されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
<請求項1の発明>
スピーカーは、化粧カバーに取り付けられているのではなく、ベース部材に対し直接的に取り付けられているので、スピーカーをベース部材に取り付けた状態のままで、化粧カバーをベース部材に対して着脱することができる。したがって、化粧カバーの着脱に際しては、スピーカーから延びた電線の存在に起因する不具合が生じることがなく、作業性に優れている。
【0013】
<請求項2の発明>
スピーカーをベース部材に取り付ける際には、仮止め部によりスピーカーを所定の固定位置に保持し、その後、スピーカーをベース部材に締結する作業を行えばよい。スピーカーを締結するときに、スピーカーを手で押さえておく必要がないので、作業性がよい。
【0014】
<請求項3の発明>
スピーカーは、台座部に載置される板状取付部の上面よりも下方に配置されているので、スピーカーを化粧カバーで覆い隠すことができる。また、ベース部材における固定部の近傍に貫通孔を形成して、スピーカー側の固定部をベース部材側の固定部の上面に載置させるようにしたので、仮止め状態におけるスピーカーの姿勢や位置が安定する。
【0015】
<請求項4の発明>
スピーカー側の固定部を、貫通孔に差し込んでベース部材側の固定部の上面に載置する過程では、スピーカーが所定の固定位置に案内されることにより、スピーカー側の仮止め部がベース部材側の仮止め部に対して確実に係止するので、作業性に優れている。
【0016】
<請求項5の発明>
スピーカーを、音の発生機能を備えた本体と、スピーカーをベース部材に取り付けるための機能を備えたケースとによって構成しているので、音の発生機能とベース部材への取付け機能の両機能を高いレベルで向上させることが可能である。
【0017】
<請求項6の発明>
化粧カバーをベース部材に取り付けた状態では、スピーカーの正面は化粧カバーで覆い隠される。また、化粧カバーを外した状態では、スピーカーは、機能部材に隣接する凹部内に収容されているので、機能部材の外面からは突出しない。したがって、スピーカーの正面に配置される振動板や保護ネットが、他部材や人との干渉によって損傷する虞はない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の側面図
【図2】化粧カバーを外した状態をあらわす便座装置の一部切欠部分拡大側面図
【図3】スピーカーの取付け構造をあらわす部分拡大平面図
【図4】スピーカーをベース部材から外した状態をあらわす部分拡大平面図
【図5】図3のX−X線断面図
【図6】スピーカーをベース部材から外した状態をあらわす断面図
【図7】スピーカーをベース部材に取り付ける過程をあらわす断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の便座装置Aは、洋風の便器本体Bに取り付けられた状態で使用され、この便座装置Aと便器本体Bとによって便器装置が構成されている。便器本体Bは、上面が開放された便鉢(図示省略)と、便鉢の後方に一体に形成された台座部Cとを備えた周知の形態のものである。
【0020】
便座装置Aは、ベース部材10、便座14、便蓋15、複数の機能部材、左右一対の化粧カバー16を備えて構成される。ベース部材10は、便器本体Bの台座部Cの上面に固定される合成樹脂製の支持部材11と、支持部材11に対して昇降可能に支持された昇降部材38とを備えて構成される。
【0021】
支持部材11の略前半領域は、台座部Cに載置した状態で固定される板状取付部12となっており、支持部材11のうち台座部Cよりも後方へ突出した略後半領域には、台座部Cの上面よりも下方に位置する複数の機能部材が取り付けられている。この台座部Cの上面よりも下方に位置する機能部材としては、スピーカー40を含むオーディオ装置、温風発生装置13、開閉弁装置、定流量弁装置、ストレーナー、逆止弁装置、ブースター装置等がある。
【0022】
昇降部材38には、便座14と便蓋15が揺動可能に取り付けられている。昇降部材38に取り付けられる機能部材としては、図示は省略するが、局部洗浄装置、便座暖房装置、便座開閉装置、便蓋開閉装置等がある。
【0023】
左右一対の化粧カバー16は、台座部Cの上面よりも下方に配置される機能部材(温風発生装置13を含む)を左右両側から挟むように配置され、これらの機能部材を覆う。化粧カバー16の上端縁には、上方へ突出するリブ状取付部(図示省略)が形成され、化粧カバー16の内面のうち上下方向における略中央位置には、フック部材(図示省略)が取り付けられている。化粧カバー16は、リブ状取付部を支持部材11の左右両側面の取り付け溝(図示省略)に嵌入することにより前後左右方向に位置決めされるとともに、フック部材を機能部材の左右両側面に形成した突起部に嵌合させることにより、上下方向への移動を規制され且つ側方への離脱を規制された状態で、支持部材11に取り付けられている。
【0024】
化粧カバー16の上端部には、前後方向に細長い複数のスリット状開口部17が整列して配置されている。化粧カバー16をベース部材10に取り付けた状態では、スリット状開口部17は機能部材と対応する。具体的には、スピーカー40の正面と対応するともに、温風発生装置13の温風吹き出し口18と対応する。 温風発生装置13の外側面のうち温風吹き出し口18が開口している領域は、化粧カバー16の裏面に対して近接して対向する対向外面19となっている。また、温風発生装置13の外側面のうち温風吹き出し口18の前方に隣接する領域は、化粧カバー16から離間するように凹んだ形態、即ち化粧カバー16の裏面に向かって開口した形態の凹部20となっている。この凹部20内にはスピーカー40が収容されている。
【0025】
次に、ベース部材10におけるスピーカー40の取付け構造と、スピーカー40について説明する。
ベース部材10の板状取付部12の左右両端部は、台座部Cから外側方へ突出しており、この突出した左右両端部には、上下方向に貫通する一対の貫通孔21が形成されている。貫通孔21の開口形状は、左右方向に長い方形であり、その前後方向の開口幅は、一定である。
【0026】
板状取付部12には、貫通孔21のうち左右方向における中央側(化粧カバー16から遠い側)の端縁に隣接するように固定用受け部22(本発明の構成要件であるベース部材10側の固定部)が形成されている。固定用受け部22は、板状取付部12の下面から下方へ突出した形態であり、板状取付部12の上面には、固定用受け部22と対応する方形の領域を凹ませた形態の切欠部23が形成されている。
【0027】
この切欠部23の前後方向の開口幅は、貫通孔21の開口幅と同じ寸法である。そして、貫通孔21内の前面と切欠部23内の前面は、互いに面一状に連続した形態であってガイド面24(本発明の構成要件であるガイド部)を構成し、貫通孔21内の後面と切欠部23内の後面も、互いに面一状に連続した形態であってガイド面24(本発明の構成要件であるガイド部)を構成する。
【0028】
また、切欠部23の底面、即ち固定用受け部22の上面は、左右方向において板状取付部12の外側(化粧カバー16に近い側)に向かって下り勾配となったガイド斜面25(本発明の構成要件であるガイド部)となっている。そして、固定用受け部22には、軸線を上下方向に向けてガイド斜面25に開口するビス止め孔26が形成されている。
【0029】
板状取付部12には、仮止め部27が形成されている。仮止め部27は、板状取付部12の外側縁部を切欠した形態の逃がし部28と、前後一対の板状受け部29と、前後一対の突起状受け部30とから構成されいる。逃がし部28は、前後方向において貫通孔21と対応する位置に形成されている。この逃がし部28内には、一対の板状受け部29が配置されている。
【0030】
前側の板状受け部29は、水平な方形板状をなし、板状取付部12の上面よりも低い位置に配されており、逃がし部28内の側縁における前端部と逃がし部28の前縁とに連なっている。後側の板状受け部29は、水平な方形板状をなし、板状取付部12の上面よりも低い位置に配されており、逃がし部28内の側縁における後端部と逃がし部28の後縁とに連なっている。各板状受け部29には、夫々、その前後方向の側縁に沿って上方へリブ状に突出した形態の突起状受け部30が形成されている。
【0031】
スピーカー40は、本体41の外周にケース42を嵌合した形態である。本体41は、振動板(図示省略)と、振動板を振動させるための駆動部(図示省略)とを備えており、音を発生させる機能を有する。本体41は、全体として円形をなし、その正面には、振動板を保護するための保護ネット(図示省略)が取り付けられている。本体41の外周面からは、駆動部に通電するための電線(図示省略)が導出されている。電線は、オーディオ装置の回路に接続されている。ケース42は、合成樹脂製であり、本体41に対しその外周と背面を覆うように組み付けられている。
【0032】
スピーカー40をベース部材10に取り付けた状態では、スピーカー40の正面が、化粧カバー16の裏面と対向する向きであって、斜め下方を向いた姿勢で取り付けられるため、以下の説明における前後左右の向きは、ベース部材10に取り付けた状態を基準とする。
【0033】
ケース42には、仮止め部43が一体に形成されている。仮止め部43は、ケース42の上面から上方に突出した形態の立上り部44と、前後一対の板状部45と、前後一対の突起状係止部46とから構成されている。一対の板状部45は、立上り部44の上端縁から前方と後方へ水平に突出した形態であり、この一対の板状部45の背面側(化粧カバー16とは反対側)の端縁には、前後方向に細長く下方へリブ状に突出した形態の突起状係止部46が形成されている。
【0034】
同じくケース42には、固定アーム部47(本発明の構成要件であるスピーカー40側の固定部)が形成されている。固定アーム部47は、ケース42の外周上端面のうち仮止め部43よりも背面側の位置から、背面側へ斜め上向きに突出した形態である。固定アーム部47の幅寸法(前後方向の寸法)は、貫通孔21の前後方向の開口寸法と同じかそれよりも僅かに小さい寸法である。固定アーム部47の突出端部の上面は、水平に形成されていて、この水平な領域には、上下方向に貫通するビス孔48が形成されている。
【0035】
次に、本実施形態の作用を説明する。スピーカー40をベース部材10に取り付ける際には、化粧カバー16をベース部材10から外し、板状取付部12の下方にスピーカー40を位置させ、固定アーム部47を貫通孔21内に進入させるようにする。この間、固定アーム部47の前後両側縁が、前後両ガイド面24に間に挟まれることにより、スピーカー40は、前後方向への相対移動を規制され、所定の姿勢に保持される。
【0036】
スピーカー40の取り付け作業を進めていくと、固定アーム部47の突出端部の下面がガイド斜面25上に摺接するようになり、スピーカー40は、斜め上方へ誘導され、所定の固定位置に向かって誘導される。この間、スピーカー40側の仮止め部43が、ベース部材10側の仮止め部27に接近していく。
【0037】
そして、スピーカー40が所定の固定位置に到達すると、立上り部44が前後一対の板状受け部29の間に嵌合するとともに、突起状係止部46と突起状受け部30とが係止する。これにより、スピーカー40側の仮止め部43とベース部材10側の仮止め部27とが係止状態となり、この係止作用により、スピーカー40は所定の固定位置及び固定姿勢に保持される。
【0038】
この後は、上方からビス49(本発明の構成要件である締結部材)をビス孔48に差込み、ビス止め孔26にねじ込めば、スピーカー40は、ベース部材10に対しその板状取付部12の上面よりも下方の位置に締結状態で固定される。この状態では、板状部45の上面は板状取付部12の上面とほぼ同じ高さに位置するが、固定アーム部47の上面は板状取付部12の上面よりも低い高さとなる。そして、スピーカー40を固定した後は、化粧カバー16をベース部材10に取り付ける。
【0039】
上述のように本実施形態においては、スピーカー40は、化粧カバー16に取り付けられているのではなく、ベース部材10に対して直接的に取り付けられているので、スピーカー40をベース部材10に取り付けた状態のままで、化粧カバー16をベース部材10に対して着脱することができる。したがって、化粧カバー16の着脱に際しては、スピーカー40から延びた電線の存在に起因する不具合が生じることがなく、作業性に優れている。
【0040】
また、ベース部材10の固定用受け部22とスピーカー40の固定アーム部47は、ビス49を介して互いに締結されることで、ベース部材10に対してスピーカー40を固定するのであるが、ベース部材10とスピーカー40には、固定用受け部22と固定アーム部47が締結されていない状態において、互いに係止することで、スピーカー40をベース部材10における所定の固定位置に保持するための仮止め部27,43が設けられている。したがって、仮止め部27,43によって、スピーカー40を所定の固定位置に保持しておけば、スピーカー40をベース部材10に締結する際に、スピーカー40を手で押さえておく必要がなく、作業性に優れている。
【0041】
また、ベース部材10は、台座部Cに載置される水平な板状取付部12を有し、スピーカー40は、板状取付部12の上面よりも下方の位置に配置され、板状取付部12には、上下に貫通する形態の貫通孔21と、貫通孔21の近傍に位置する固定用受け部22が形成され、スピーカー40の固定アーム部47は、板状取付部12の下方から貫通孔21内に進入して固定用受け部22の上面に載置されるような突起状の形態となっている。
【0042】
この構成によれば、スピーカー40は、台座部Cに載置される板状取付部12の上面よりも下方に配置されているので、スピーカー40を化粧カバー16で覆い隠すことができる。また、ベース部材10には固定用受け部22の近傍に貫通孔21を形成して、スピーカー40側の固定アーム部47を固定用受け部22の上面に載置させるようにしたので、仮止め状態におけるスピーカー40の姿勢や位置が安定する。
【0043】
また、板状取付部12には、スピーカー40の固定アーム部47を貫通孔21に差し込んで固定用受け部22に載置させる過程で、スピーカー40を所定の固定位置に案内するガイド面24とガイド斜面25とが形成されている。このガイド面24とガイド斜面25で案内されることにより、スピーカー40の仮止め部43がベース部材10の仮止め部27に対して確実に係止するので、作業性に優れている。
【0044】
また、スピーカー40を、音の発生機能を備えた本体41と、スピーカー40をベース部材10に取り付けるための機能(固定アーム部47と仮止め部43)を備えたケース42とによって構成しているので、音の発生機能とベース部材10への取付け機能の両機能を高いレベルで向上させることが可能である。
【0045】
また、機能部材のうち温風発生装置13は、化粧カバー16の裏面に対して近接して対向する対向外面19を有し、化粧カバー16で覆われる領域内には、対向外面19に隣接するように位置するとともに、化粧カバー16の裏面に向かって開口する凹部20が設けられている。そして、この凹部20内に、スピーカー40が、その正面を化粧カバー16に向ける姿勢で配置されている。
【0046】
この構成によれば、化粧カバー16をベース部材10に取り付けた状態において、スピーカー40の正面が化粧カバー16で覆い隠され、また、化粧カバー16を外した状態では、スピーカー40は、機能部材(温風発生装置13)に隣接する凹部20内に収容されているので、機能部材の対向外面19からは突出しない。したがって、スピーカー40の正面に配置される振動板や保護ネットが、他部材や人との干渉によって損傷する虞はない。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態ではスピーカーを板状取付部の上面よりも下方の位置に配置したが、本発明によれば、スピーカーを板状取付部の上面よりも上方に配置してもよい。
(2)上記実施形態ではスピーカーを化粧カバーで覆うようにしたが、本発明によれば、スピーカーは化粧カバーで覆われない形態であってもよい。
(3)上記実施形態ではスピーカーを機能部材の対向外面に隣接する凹部内に収容したが、スピーカーは、機能部材の対向外面よりも突出した形態で配置されていてもよい。
(4)上記実施形態ではベース部材とスピーカーに仮止め部を設けたが、本発明によれば、このような仮止め部を設けず、スピーカーをベース部材に取り付ける際には、スピーカーを手で保持しながらビス止めを行ってもよい。
(5)上記実施形態では、スピーカーが、容易に離脱可能な本体とケースとを組み付けた構造とした上で、ケースに固定部(固定アーム部)と仮止め部を形成したが、本発明によれば、本体から容易に離脱可能なケースを設けず、本体の筐体に固定部と仮止め部を形成してもよい。
(6)上記実施形態ではスピーカー側の固定アーム部(固定部)に貫通させたビス(締結部材)をベース部材側の固定用受け部(固定部)にねじ込むようにしたが、本発明によれば、ベース部材側の固定部に貫通させたビスをスピーカー側の固定部にねじ込むようにしてもよい。
(7)上記実施形態ではベース部材に貫通孔を形成して、スピーカー側の固定部(固定アーム部)をベース部材側の固定部(固定用受け部)の上面に載置させるようにしたが、本発明によれば、スピーカー側の固定部をベース部材側の固定部における上面以外の面(正面、側面、背面、下面)に当接させて固定してもよい。
(8)上記実施形態では締結部材としてビスを用いたが、本発明によれば、締結部材は、金属製のクリップ等のビス以外の部材であってもよい。
(9)上記実施形態ではビスの頭部が板状取付部の上面から僅かに突出するようになっているが、ビスの頭部が板状取付部の上面から上方へ突出しない形態としてもよい、このような形態にすれば、板状取付部の上面に他の機能部材や機器等を載置して設けるときに、ビスが邪魔にならずに済む。
【符号の説明】
【0048】
A…便座装置
B…便器本体
C…台座部
10…ベース部材
12…板状取付部
14…便座
13…温風発生装置(機能部材)
16…化粧カバー
19…対向外面
20…凹部
21…貫通孔
22…固定用受け部(ベース部材側の固定部)
24…ガイド面(ガイド部)
25…ガイド斜面(ガイド部)
27…ベース部材側の仮止め部
40…スピーカー
41…本体
42…ケース
43…スピーカー側の仮止め部
47…固定アーム部(スピーカー側の固定部)
49…ビス(締結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端部に台座部が形成されている便器本体と、
前記台座部の上面に取り付けられるベース部材と、
揺動可能な便座と、
前記ベース部材に対して離脱可能に取り付けられ、前記台座部の上面よりも下方に配置される機能部材を覆う化粧カバーと、
前記ベース部材に対し直接的に取り付けられたスピーカーとを備えていることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記ベース部材と前記スピーカーには、
締結部材を介して互いに締結されることで、前記ベース部材に対して前記スピーカーを固定する固定部と、
前記固定部が締結されていない状態において、互いに係止することで、前記スピーカーを前記ベース部材における所定の固定位置に保持する仮止め部とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記台座部に載置される水平な板状取付部を有し、
前記スピーカーは、前記板状取付部の上面よりも下方の位置に配置され、
前記板状取付部には、上下に貫通する形態の貫通孔と、前記貫通孔の近傍に位置する前記固定部が形成され、
前記スピーカー側の前記固定部は、前記板状取付部の下方から前記貫通孔内に進入して前記ベース部材側の前記固定部の上面に載置されるような突起状の形態であることを特徴とする請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
前記板状取付部には、前記スピーカー側の前記固定部を前記貫通孔に差し込んで前記ベース部材側の前記固定部に載置させる過程で、前記スピーカーを所定の固定位置に案内するガイド部が形成されていることを特徴とする請求項3記載の便座装置。
【請求項5】
前記スピーカーは、音の発生機能を備えた本体と、前記本体を包囲するケースとから構成されており、
前記固定部と前記仮止め部が、前記ケースに形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
前記機能部材は、前記化粧カバーの裏面に対して近接して対向する対向外面を有しており、
前記化粧カバーで覆われる領域内には、前記対向外面に隣接するように位置し、前記化粧カバーの裏面に向かって開口する凹部が設けられており、
前記凹部内には、前記スピーカーが、その正面を前記化粧カバーに向ける姿勢で配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−194107(P2010−194107A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42564(P2009−42564)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】