説明

便座装置

【課題】快適な座り心地を得ることができ、便座の外観を損なうことがない便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ケーシングと、前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便座と、前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便蓋と、を備え、前記便座は、基材と、前記基材の上に設けられ弾力性を有するクッション部と、を有し、前記ケーシングおよび前記便蓋の少なくともいずれかは、前記便蓋を閉じた際に前記便蓋または前記ケーシングと接触することにより前記便蓋の閉止位置を規定する便蓋支持部を有することを特徴とする便座装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座装置に関し、具体的には洋式腰掛便器に設けられ、便座および便蓋を備える便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、便座の座面は、PP(polypropylene:ポリプロピレン)等の樹脂で製造されている。そのため、使用者が便座に座ったときに、硬い座り心地を与えている。また一方、冬場などの気温の低いときに冷えた便座に座ると、冷感を感じる。そこで、座り心地を向上させるために、ベース部材の材料よりも軟質の材料で形成され、使用者の着座にともなって弾性変形可能な被覆部材を備えた便座装置がある(特許文献1)。
【0003】
また、便蓋は、一般的に、閉じた状態で便蓋自身を支持する脚部を有する。ここで、例えば特許文献1に記載された被覆部材などのような弾性変形可能な部分は、弾力性を有するため、便座の着座面には便蓋に設けられた脚部の跡が残るおそれがある。この課題を解決するために、特許文献1に記載された便座装置では、ベース部材の上方部材の一部が被覆部材の開口穴から突出して、突出部を形成している。そして、その便座装置は、便蓋が閉じた状態において、便座の突出部と便蓋の当接部とが一致した箇所となるように構成されている。特許文献1に記載された便座装置によれば、便蓋の当接部は、便蓋が閉じられた状態では常にベース部材の上方部材の一部に設けられた突出部の表面に当接するため、被覆部材に圧痕などが生ずるおそれがない。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された便座装置では、ベース部材の上方部材の一部に設けられた突出部が表面に露出するため、着座した使用者のおしりや腿が突出部と当接するおそれがある。そうすると、使用者は、座り心地の悪化を感ずるおそれがある。また、ベース部材の上方部材の一部に設けられた突出部が表面に露出するため、便座の外観が損なわれるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−253721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、快適な座り心地を得ることができ、便座の外観を損なうことがない便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、ケーシングと、前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便座と、前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便蓋と、を備え、前記便座は、基材と、前記基材の上に設けられ弾力性を有するクッション部と、を有し、前記ケーシングおよび前記便蓋の少なくともいずれかは、前記便蓋を閉じた際に前記便蓋または前記ケーシングと接触することにより前記便蓋の閉止位置を規定する便蓋支持部を有することを特徴とする便座装置である。
【0008】
この便座装置によれば、クッション部は、基材の上に設けられ弾力性を有するため、使用者が便座に座ったときの座り心地を向上させることができる。また、ケーシングおよび便蓋の少なくともいずれかに設けられた便蓋支持部は、便蓋を支持することができ、便蓋を閉じた際に前記便蓋または前記ケーシングと接触することにより便蓋の閉止位置を規定することができる。そのため、閉じた状態の便蓋から荷重を受けることによっては、クッション部に便蓋の脚部の圧縮痕が残ることはなく、便座の表面に圧縮痕が残ることはない。そのため、便座の外観が損なわれることはない。また、便座の表面には圧縮痕などの凹凸が生じないため、使用者は、便座の表面を清掃しやすい。そのため、便座の防汚性をより高めることができる。
【0009】
また、第2の発明は、ケーシングと、前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便座と、前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便蓋と、を備え、前記便座は、基材と、前記基材の上に設けられ弾力性を有するクッション部と、を有し、前記便座が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍および前記便蓋の少なくともいずれかは、前記便蓋を閉じた際に前記便蓋、または前記便座が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍と接触することにより前記便蓋の閉止位置を規定する便蓋支持部を有し、前記便蓋が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍は、前記クッション部が設けられていない部分、または前記便座の着座部におけるクッション部の厚さよりも薄い厚さのクッション部が設けられた部分であることを特徴とする便座装置である。
【0010】
この便座装置によれば、クッション部は、基材の上に設けられ弾力性を有するため、使用者が便座に座ったときの座り心地を向上させることができる。また、便座が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍および便蓋の少なくともいずれかに設けられた便蓋支持部は、便蓋を支持することができ、便蓋を閉じた際に前記便蓋、または便座が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍と接触することにより便蓋の閉止位置を規定することができる。そのため、閉じた状態の便蓋から荷重を受けることによっては、クッション部に便蓋の脚部の圧縮痕が残ることはなく、便座の表面に圧縮痕が残ることはない。そのため、便座の外観が損なわれることはない。また、便座の表面には圧縮痕などの凹凸が生じないため、使用者は、便座の表面を清掃しやすい。そのため、便座の防汚性をより高めることができる。
【0011】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記便蓋支持部は、前記閉じた状態の前記便蓋が外部から荷重を受けると、圧縮変形することにより前記便蓋の閉止位置を下方へ移動させることを特徴とする便座装置である。
【0012】
この便座装置によれば、例えば、閉じた状態の便蓋に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合でも、便蓋支持部は、圧縮変形することにより便蓋の閉止位置を下方へ移動させることができる。そのため、荷重を受けた便蓋を便座により安定的に支持することができ、ケーシングや便蓋や便座や便蓋支持部などが、変形したり破損したりすることを抑えることができる。これにより、ケーシングや便蓋や便座や便蓋支持部などを修理したり交換したりする手間を省くことができる。
【0013】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記ケーシングは、前記便蓋を開閉可能に支持するヒンジ部を内蔵し、前記便蓋支持部は、前記ヒンジ部に設けられたことを特徴とする便座装置である。
【0014】
この便座装置によれば、便蓋支持部は、ケーシングに内蔵されたヒンジ部に設けられているため便座装置の外観に露出しない。そのため、便座装置の意匠性を確保しつつ、便座の表面に圧縮痕が残ることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の態様によれば、快適な座り心地を得ることができ、便座の外観を損なうことがない便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を例示する平面模式図である。
【図2】図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
【図3】本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を上側から眺めた平面模式図である。
【図4】本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を表す平面模式図である。
【図5】本実施形態の便蓋が開いた状態における便蓋支持部を表す拡大模式図である。
【図6】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合の便座装置を表す平面模式図である。
【図7】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
【図8】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合の便座装置を表す平面模式図である。
【図9】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を例示する平面模式図である。
【図11】本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を上側から眺めた平面模式図である。
【図12】本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を表す平面模式図である。
【図13】本実施形態の便蓋が開いた状態における便蓋支持部を表す拡大模式図である。
【図14】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合の便座装置を表す平面模式図である。
【図15】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
【図16】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合の便座装置を表す平面模式図である。
【図17】閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
【図18】本発明のさらに他の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を例示する平面模式図である。
【図19】便蓋が閉じた状態の便蓋支持部を表す拡大模式図である。
【図20】本発明のさらに他の実施の形態にかかる便座装置を例示する平面模式図である。
【図21】本実施形態にかかる便座装置のヒンジ部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図22】本実施形態の変形例にかかる便座装置のヒンジ部を例示するブロック図である。
【図23】本実施形態の他の変形例にかかる便座装置のヒンジ部を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を例示する平面模式図である。
また、図2は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
また、図3は、本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を上側から眺めた平面模式図である。
【0018】
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器800と、その上に設けられた便座装置100と、を備える。便座装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0019】
便座200は、図2に表したように、ヒータ210と、基材230と、弾力性(クッション性)を有するクッション部240と、クッション部240の上面や側面を覆う表面部250と、ヒータ210の上に隣接して設けられた熱伝導体260と、を有する。基材230は、上板231と底板233とを有する。但し、基材230は、一体的に形成されていてもよい。また、表面部250の表面は、着座面として機能する。なお、本願明細書において「弾力性(クッション性)」とは、荷重を受けて圧縮変形したり、荷重を受けて厚みが変化する性質をいう。
【0020】
基材230は、例えばPP(polypropylene:ポリプロピレン)等の樹脂から形成されている。クッション部240は、基材230よりも柔らかい材料により形成され、使用者が便座200に着座すると、その体重に応じて変形して体重を分散させる。クッション部240は、基材230の上に設けられクッション性を有するため、使用者が便座200に座ったときの座り心地を向上させることができる。
【0021】
なお、便座200は、ヒータ210および熱伝導体260を必ずしも有していなくともよい。便座200がヒータ210を有する場合には、ヒータ210は、通電されて発熱することにより、便座200を暖めることができる。つまり、ヒータ210は、便座200の表面(着座面)に伝えられる熱を発生することができる。
【0022】
ヒータ210としては、いわゆる「チュービングヒータ」や、「シースヒータ」、「ハロゲンヒータ」、「カーボンヒータ」などを用いることができる。また、ヒータ210の形状は、ワイヤ状やシート状やメッシュ状などのいずれであってもよい。
また、熱伝導体260としては、例えばアルミシートやカーボンシートなどが挙げられる。
【0023】
便蓋300は、図1および図3に表したように、便蓋300自身を支持可能な脚部310を有する。
ここで、便蓋300を閉じた状態で脚部310が常に便座200の表面と接触し便蓋300を支持すると、クッション部240は弾力性を有するため、脚部310の圧縮痕が便座200の表面に残るおそれがある。例えば、便蓋300の開閉が繰り返されたり、あるいは便蓋300を閉じた状態が長い間続くと、クッション部240は弾力性を有するため、脚部310の圧縮痕が便座200の表面に残るおそれがある。そうすると、座り心地が低下したり、便座200の外観が損なわれるおそれがある。
【0024】
これに対して、本実施形態にかかる便座装置100のケーシング400には、図1および図3に表したように、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定する便蓋支持部410が設けられている。そして、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、脚部310は、便座200の表面とは接触しない。一方、例えば閉じた状態の便蓋300に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、脚部310は、便座200の表面と接触することにより便蓋300を支持することができる。
【0025】
次に、便蓋支持部410および脚部310について、図面を参照しつつさらに説明する。
図4は、本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を表す平面模式図である。
また、図5は、本実施形態の便蓋が開いた状態における便蓋支持部を表す拡大模式図である。
つまり、図5は、図4に表した領域A1を拡大して眺めた拡大模式図である。
【0026】
便蓋300の一部には、便蓋300が閉じた状態において便蓋支持部410と接触し支持される接触部320が設けられている。便蓋300が開いた状態では、図4に表したように、便蓋300の接触部320と、ケーシング400に設けられた便蓋支持部410と、は接触していない。
【0027】
本実施形態の便蓋支持部410は、図5に表したように、基部411と、案内部413と、弾性体415と、支持体417と、を有する。基部411は、ケーシング400に適宜固定されている。弾性体415は、例えば「ばね」などであり、案内部413の内部に設けられている。また、弾性体415は、基部411と支持体417との間に設けられ、支持体417を上方へ付勢している。便蓋300が開いた状態では、図5に表したように、支持体417は、案内部413およびケーシング400から上方へ突出している。
【0028】
図6は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合の便座装置を表す平面模式図である。
また、図7は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
なお、図7(a)は、図6に表した領域A2を拡大して眺めた拡大模式図であり、図7(b)は、図6に表した領域A3を拡大して眺めた拡大模式図である。また、図7(b)は、便蓋が閉じた状態の図3に表した切断面B−Bにおける断面模式図に相当する。
【0029】
閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図6に表したように、便蓋300の接触部320と、ケーシング400に設けられた便蓋支持部410と、は接触している。より具体的には、便蓋300が閉じると、図7(a)に表したように、支持体417は、便蓋300の接触部320と接触し、便蓋300の自重により弾性体415の付勢力に逆らいつつ下方へ移動する。そして、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、支持体417は、便蓋300から受ける力と、弾性体415から受ける付勢力と、が釣り合った位置において静止する。つまり、便蓋支持部410は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定することができる。
【0030】
また、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図7(b)に表したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、は接触していない。つまり、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間D1が存在する。そのため、便座200は、便蓋300の脚部310から荷重を受けることはない。あるいは、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、が接触しても、便座200の表面にかかる圧力は、便蓋支持部410が設けられていない場合よりも小さい。
【0031】
これによれば、ケーシング400に設けられた便蓋支持部410は、外部から荷重を受けていない便蓋300を支持することができる。また、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間D1が存在する。あるいは、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、が接触していても、便座200の表面にかかる圧力はより小さい。そのため、閉じた状態の便蓋300から荷重を受けることによっては、クッション部240に脚部310の圧縮痕が残ることはない。
【0032】
したがって、閉じた状態の便蓋300から受ける荷重によっては、便座200の表面に圧縮痕が残ることはない。そのため、本実施形態の便座200の外観が損なわれることはない。また、本実施形態によれば、クッション部240は、基材230の上に設けられクッション性を有するため、使用者が便座200に座ったときの座り心地を向上させることができる。さらに、便座200の表面には圧縮痕などの凹凸が生じないため、使用者は、便座200の表面を清掃しやすい。そのため、便座200の防汚性をより高めることができる。
【0033】
なお、便座200がヒータ210を有する場合には、本実施形態にかかる便座装置100は、省エネルギー化を図ることができる。つまり、脚部310が便座200の表面と接触すると、ヒータ210の熱は、脚部310を介して便蓋300の表面から放熱しやすくなる。これに対して、本実施形態では、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、便蓋300の脚部310と便座200の表面とは接触しないため、ヒータ210の熱が便蓋300の表面から放熱することを抑えることができる。そのため、無駄な消費電力を削減し、省エネルギー化を図ることができる。
【0034】
図8は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合の便座装置を表す平面模式図である。
また、図9は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
なお、図9(a)は、図8に表した領域A4を拡大して眺めた拡大模式図であり、図9(b)は、図8に表した領域A5を拡大して眺めた拡大模式図である。また、図9(b)は、便蓋が閉じた状態の図3に表した切断面B−Bにおける断面模式図に相当する。
【0035】
例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者700が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便蓋支持部410は、便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。より具体的には、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けると、図9(a)に表したように、弾性体415は、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合よりも圧縮変形する。そして、支持体417は、弾性体415の付勢力に逆らいつつ、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合よりも下方へさらに移動する。
【0036】
そうすると、図9(b)に表したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触する。つまり、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間が存在しなくなる。そのため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便座200は、その荷重を受けることができる。
【0037】
これによれば、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者700が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合でも、弾性体415がさらに圧縮変形することにより、便蓋支持部410は、便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。そして、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触することにより、便座200は、その荷重を受けることができる。そのため、便蓋300やケーシング400や便蓋支持部410などが、変形したり破損したりすることを抑えることができる。これにより、便蓋300やケーシング400や便蓋支持部410などを修理したり交換したりする手間を省くことができる。すなわち、本実施形態の便蓋支持部410を設けたことにより生ずる新たな課題を解決することができる。閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けている状態は長く続くものではないので、もちろん、クッション部240に脚部310の圧縮痕が残ることはない。
【0038】
次に、本発明の他の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図10は、本発明の他の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を例示する平面模式図である。
また、図11は、本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を上側から眺めた平面模式図である。
【0039】
本実施形態の便蓋300は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定する便蓋支持部330を有する。便蓋支持部330は、例えば「ゴム」などであり、弾性力を有する。また、本実施形態の便蓋支持部330は、図11に表したように、便蓋300がケーシング400に軸支された部分の近傍に設けられている。つまり、本実施形態では、便蓋支持部330は、ケーシング400ではなく便蓋300に設けられている。また、本実施形態の便蓋300には、図4に関して前述した接触部320は設けられていない。その他の構造は、図1〜図3に関して前述した便座装置の構造と同様である。
【0040】
図12は、本実施形態の便蓋が開いた状態の便座装置を表す平面模式図である。
また、図13は、本実施形態の便蓋が開いた状態における便蓋支持部を表す拡大模式図である。
つまり、図13は、図12に表した領域A6を拡大して眺めた拡大模式図である。
【0041】
本実施形態の便蓋300には、図10および図11に関して前述したように、弾性力を有する便蓋支持部330が設けられている。便蓋支持部330は、閉じた状態の便蓋300がケーシング400および便座200に対向する側の面に付設されている。つまり、便蓋支持部330は、閉じた状態の便蓋の下側の面に付設されている。そして、便蓋300が開いた状態では、図13に表したように、便蓋300の便蓋支持部330と、ケーシング400と、は接触していない。
【0042】
図14は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合の便座装置を表す平面模式図である。
また、図15は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けていない場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
なお、図15(a)は、図14に表した領域A7を拡大して眺めた拡大模式図であり、図15(b)は、図14に表した領域A8を拡大して眺めた拡大模式図である。また、図15(b)は、便蓋が閉じた状態の図11に表した切断面C−Cにおける断面模式図に相当する。
【0043】
閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図14に表したように、便蓋300の便蓋支持部330と、ケーシング400の表面401と、は接触している。より具体的には、便蓋300が閉じると、図15(a)に表したように、便蓋支持部330は、ケーシング400の表面401と接触し、便蓋300の自重により圧縮変形する。そして、便蓋支持部330は、便蓋300から受ける力と、便蓋支持部330自身の弾性力と、が釣り合った位置において便蓋300を支持することができる。つまり、便蓋支持部330は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定することができる。
【0044】
また、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図15(b)に表したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、は接触していない。つまり、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間D1が存在する。そのため、便座200は、便蓋300の脚部310から荷重を受けることはない。あるいは、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、が接触しても、便座200の表面にかかる圧力は、便蓋支持部330が設けられていない場合よりも小さい。
【0045】
これによれば、より簡略化された構造を有する便蓋支持部330を設けることにより、便座200の表面に圧縮痕が残ることを抑えることができる。つまり、図6および図7に関して前述したように、閉じた状態の便蓋300から受ける荷重によっては、便座200の表面に圧縮痕が残ることはない。そのため、本実施形態の便座200の外観が損なわれることはない。また、本実施形態によれば、クッション部240は、基材230の上に設けられクッション性を有するため、使用者が便座200に座ったときの座り心地を向上させることができる。また、その他の効果についても、図6および図7に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0046】
図16は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合の便座装置を表す平面模式図である。
また、図17は、閉じた状態の便蓋が外部から荷重を受けた場合における便蓋支持部および脚部を表す拡大模式図である。
なお、図17(a)は、図16に表した領域A9を拡大して眺めた拡大模式図であり、図17(b)は、図16に表した領域A10を拡大して眺めた拡大模式図である。また、図17(b)は、便蓋が閉じた状態の図11に表した切断面C−Cにおける断面模式図に相当する。
【0047】
例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者700が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便蓋支持部330は、便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。より具体的には、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けると、図17(a)に表したように、便蓋支持部330は、弾力性を有するため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合よりもさらに圧縮変形する。その結果、便蓋300は、外部から荷重を受けていない場合よりも下方へさらに移動する。
【0048】
そうすると、図17(b)に表したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触する。つまり、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間が存在しなくなる。そのため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便座200は、その荷重を受けることができる。
【0049】
これによれば、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者700が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合でも、便蓋支持部330は、さらに圧縮変形することにより便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。そして、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触することにより、便座200は、その荷重を受けることができる。そのため、より簡略化された構造を有する便蓋支持部330を設けることにより、便蓋300やケーシング400や便蓋支持部330などが、変形したり破損したりすることを抑えることができる。また、その他の効果についても、図8および図9に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0050】
次に、本発明のさらに他の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図18は、本発明のさらに他の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を例示する平面模式図である。
また、図19は、便蓋が閉じた状態の便蓋支持部を表す拡大模式図である。
なお、図19は、図18に表した領域A11を拡大して眺めた拡大模式図である。
【0051】
本実施形態の便座200は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定する便蓋支持部270を有する。便蓋支持部270は、弾性力を有する。また、本実施形態の便蓋支持部270は、図18および図19に表したように、便座200がケーシング400に取り付けられた部分(取付部)すなわち軸支された部分の近傍に設けられている。このように、本実施形態では、便蓋支持部270は、ケーシング400や便蓋300ではなく便座200に設けられている。
【0052】
便蓋支持部270が設けられた部分の便座200の内部には、図2に関して前述したクッション部240は設けられていない。あるいは、便蓋支持部270が設けられた部分の便座200の内部には、着座部におけるクッション部240の厚さよりも薄い厚さのクッション部が設けられている。その他の構造は、図1〜図3に関して前述した便座装置の構造と同様である。
【0053】
便蓋300が開いた状態では、便座200の便蓋支持部270と、便蓋300と、は接触しない。
一方、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図19に表したように、便座200の便蓋支持部270と、便蓋300と、は接触している。より具体的には、便蓋300が閉じると、図19に表したように、便蓋支持部270は、便蓋300と接触し、便蓋300の自重により圧縮変形する。そして、便蓋支持部270は、便蓋300から受ける力と、便蓋支持部270自身の弾性力と、が釣り合った位置において便蓋300を支持することができる。つまり、便蓋支持部270は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定することができる。
【0054】
また、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図7(b)および図15(b)に関して前述したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、は接触していない。そのため、便座200は、便蓋300の脚部310から荷重を受けることはない。あるいは、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、が接触しても、便座200の表面にかかる圧力は、便蓋支持部270が設けられていない場合よりも小さい。
【0055】
これによれば、クッション部240が設けられていない部分の便蓋支持部270、あるいは、着座部におけるクッション部240の厚さよりも薄い厚さのクッション部が設けられた部分の便蓋支持部270により、便蓋300は支持される。そのため、閉じた状態の便蓋300から受ける荷重によっては、便座200の表面に圧縮痕が残ることはない。そのため、本実施形態の便座200の外観が損なわれることはない。また、本実施形態によれば、クッション部240は、基材230の上に設けられクッション性を有するため、使用者が便座200に座ったときの座り心地を向上させることができる。また、その他の効果についても、図6および図7に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0056】
続いて、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便蓋支持部270は、便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。より具体的には、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けると、便蓋支持部270は、弾力性を有するため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合よりもさらに圧縮変形する。その結果、便蓋300は、外部から荷重を受けていない場合よりも下方へさらに移動する。
【0057】
そうすると、図9(b)および図17(b)に関して前述したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触する。つまり、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間が存在しなくなる。そのため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便座200は、その荷重を受けることができる。
【0058】
これによれば、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合でも、便蓋支持部270は、さらに圧縮変形することにより便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。そして、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触することにより、便座200は、その荷重を受けることができる。そのため、便座200や便蓋300や便蓋支持部270などが、変形したり破損したりすることを抑えることができる。また、その他の効果についても、図8および図9に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0059】
次に、本発明のさらに他の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図20は、本発明のさらに他の実施の形態にかかる便座装置を例示する平面模式図である。
また、図21は、本実施形態にかかる便座装置のヒンジ部を拡大して眺めた拡大模式図である。
なお、図21は、図20に表した領域A12を拡大して眺めた拡大模式図である。また、図21(a)は、本実施形態の便蓋が開いた状態のヒンジ部を例示する拡大模式図であり、図21(b)は、本実施形態の便蓋が閉じた状態のヒンジ部を例示する拡大模式図である。
【0060】
本実施形態のケーシング400の内部には、図20に表したように、ケーシング400に対して便蓋300を開閉自在に軸支するヒンジ部420が設けられている。ヒンジ部420は、図21に表したように、便蓋開閉部421と、支持軸423と、第1の支持部(便蓋支持部)425と、第2の支持部(便蓋支持部)427と、を有する。つまり、本実施形態の便蓋支持部は、ヒンジ部420に設けられている。
【0061】
便蓋開閉部421は、例えば図示しない制御部からの信号により駆動し、便蓋300を開閉することができる。より具体的には、例えば、ケーシング400の内部には、トイレ室に入室する使用者を検知する図示しない入室検知手段が設けられている。そして、入室検知手段は、トイレ室に入室する使用者を検知すると、図示しない制御部に信号を送信する。制御部は、入室検知手段から送信された信号を受信することにより、便蓋開閉部421を駆動し、便蓋300を開閉させることができる。なお、便蓋開閉部421は、必ずしも設けられていなくともよい。つまり、本発明の範囲には、使用者が手動により便蓋300を開閉する場合が包含される。
【0062】
支持軸423の一端は、便蓋開閉部421に接続され、支持軸423の他端は、便蓋300に接続されている。第1および第2の支持部425、427の少なくともいずれかは、弾性力を有する。また、第1の支持部425は、ケーシング400に固定されている。一方、第2の支持部427は、支持軸423に固定されている。そのため、第2の支持部427は、支持軸423と共に回転し、一方で、第1の支持部425は、支持軸423と共には回転しない。その他の構造は、図1〜図3に関して前述した便座装置の構造と同様である。
【0063】
便蓋300が開いた状態では、図21(a)に表したように、第1の支持部425と、第2の支持部427と、は接触していない。
一方、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図21(b)に表したように、第1の支持部425と、第2の支持部427と、は接触している。より具体的には、便蓋300が閉じると、第2の支持部427は、支持軸423と共に回転し、ケーシング400に固定された第1の支持部425と接触する。
【0064】
そうすると、第1および第2の支持部425、427の少なくともいずれかは、弾性力を有するため、便蓋300の自重により圧縮変形する。そして、第1および第2の支持部425、427は、互いから受ける力が釣り合った位置において静止する。その結果、第2の支持部427が付設された支持軸423の回転は停止する。つまり、第1および第2の支持部425、427は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定することができる。
【0065】
また、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図7(b)および図15(b)に関して前述したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、は接触していない。そのため、便座200は、便蓋300の脚部310から荷重を受けることはない。あるいは、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、が接触しても、便座200の表面にかかる圧力は、第1および第2の支持部425、427が設けられていない場合よりも小さい。
【0066】
これによれば、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定する第1および第2の支持部425、427(便蓋支持部)は、ヒンジ部420に設けられているため便座装置100の外観に露出しない。そのため、本実施形態によれば、便座装置100の意匠性を確保しつつ、便座200の表面に圧縮痕が残ることを抑えることができる。また、その他の効果についても、図6および図7に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0067】
続いて、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、第1および第2の支持部425、427の少なくともいずれかは、便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。より具体的には、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けると、第1および第2の支持部425、427の少なくともいずれかは、弾力性を有するため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合よりもさらに圧縮変形する。その結果、便蓋300は、外部から荷重を受けていない場合よりも下方へさらに移動する。
【0068】
そうすると、図9(b)および図17(b)に関して前述したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触する。つまり、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間が存在しなくなる。そのため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便座200は、その荷重を受けることができる。
【0069】
これによれば、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合でも、第1および第2の支持部425、427の少なくともいずれかは、さらに圧縮変形することにより便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。そして、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触することにより、便座200は、その荷重を受けることができる。そのため、便座200や便蓋300やヒンジ部420などが、変形したり破損したりすることを抑えることができる。また、その他の効果についても、図8および図9に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0070】
次に、本実施形態の変形例について、図面を参照しつつ説明する。
図22は、本実施形態の変形例にかかる便座装置のヒンジ部を例示するブロック図である。
また、図23は、本実施形態の他の変形例にかかる便座装置のヒンジ部を例示するブロック図である。
【0071】
図22に表したヒンジ部430は、モータ431と、複数の歯車433と、出力軸435と、ストッパ(便蓋支持部)437と、を有する。本変形例のヒンジ部430は、図20および図21に関して前述したヒンジ部420と同様に、ケーシング400の内部に設けられている。また、本変形例の便蓋支持部は、図20および図21に関して前述した便蓋支持部と同様に、ヒンジ部430に設けられている。
【0072】
モータ431の回転速度は、複数の歯車433により所定の減速比で減速され、出力軸435へ伝達される。また、出力軸435は、便蓋300に適宜接続されている。そのため、モータ431は、複数の歯車433および出力軸435を介して便蓋300を開閉することができる。ここで、複数の歯車433のうちには、便蓋300が開閉したときの回転数が1回転よりも少ない歯車433が存在する場合がある。このような歯車433は、例えば、出力軸435により近い位置に設けられた歯車433である。
【0073】
そして、本変形例のストッパ(便蓋支持部)437は、便蓋300が開閉したときの回転数が1回転よりも少ない歯車433に設けられている。また、本変形例のストッパ437は、弾性力を有する。そのため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、ストッパ437は、便蓋300の自重により圧縮変形し、歯車433の回転を停止させることができる。その結果、ストッパ437は、便蓋300を支持することができる。つまり、ストッパ437は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定することができる。
【0074】
なお、ストッパ437が設けられる歯車433は、出力軸435により近い位置に設けられた歯車433に限定されるわけではない。ストッパ437が設けられる歯車433は、例えば図23に表した変形例のヒンジ部440のように、モータ431により近い位置に設けられた歯車434であってもよい。図23に表した変形例のヒンジ部440には、モータ431の回転速度が出力軸435へ伝達される系統とは別の系統を形成する歯車434が設けられている。
【0075】
ここで、歯車434と噛み合う歯車433では、便蓋300が開閉したときの回転数が1回転よりも多いが、別の系統を形成する歯車434では、より大きな減速比で減速されることにより、便蓋300が開閉したときの回転数が1回転よりも少ない。このように、ストッパ437は、モータ431の回転速度が出力軸435へ伝達される系統とは別の系統を形成する歯車434に設けられていてもよい。この場合でも、ストッパ437は、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定することができる。
【0076】
図22に戻って説明を続けると、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合には、図7(b)および図15(b)に関して前述したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、は接触していない。そのため、便座200は、便蓋300の脚部310から荷重を受けることはない。あるいは、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、が接触しても、便座200の表面にかかる圧力は、ストッパ437が設けられていない場合よりも小さい。
【0077】
これによれば、便蓋300を閉じた際の便蓋300の閉止位置を規定するストッパ437(便蓋支持部)は、ヒンジ部430に設けられているため便座装置100の外観に露出しない。そのため、本変形例によれば、便座装置100の意匠性を確保しつつ、便座200の表面に圧縮痕が残ることを抑えることができる。また、その他の効果についても、図6および図7に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0078】
続いて、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、ストッパ437は、便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。より具体的には、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けると、ストッパ437は、弾力性を有するため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けていない場合よりもさらに圧縮変形する。その結果、便蓋300は、外部から荷重を受けていない場合よりも下方へさらに移動する。
【0079】
そうすると、図9(b)および図17(b)に関して前述したように、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触する。つまり、便座200の表面と、便蓋300の脚部310と、の間には隙間が存在しなくなる。そのため、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合には、便座200は、その荷重を受けることができる。
【0080】
これによれば、例えば、閉じた状態の便蓋300に使用者が座った場合などのように、閉じた状態の便蓋300が外部から荷重を受けた場合でも、ストッパ437は、さらに圧縮変形することにより便蓋300の閉止位置をさらに下方へ移動させることができる。そして、便蓋300の脚部310と、便座200の表面と、が接触することにより、便座200は、その荷重を受けることができる。そのため、便座200や便蓋300やヒンジ部430などが、変形したり破損したりすることを抑えることができる。また、その他の効果についても、図8および図9に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
なお、図23に表した変形例のヒンジ部440に関しても、図22に表した変形例のヒンジ部430の効果と同様の効果が得られる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座200や便蓋300やケーシング400などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや便蓋支持部410、330、270の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0082】
例えば、便座200と便蓋300とが、ケーシング400に対して同一の軸により開閉自在に軸支されている場合には、その軸の部分において便蓋支持部が設けられていてもよい。この場合には、便蓋支持部の設置位置は、例えば図20および図21に関して前述した便蓋開閉部421などのような駆動部が設けられた側の軸の部分でもよいし、駆動部が設けられていない側の軸の部分でもよい。
【0083】
また、例えば、便蓋支持部は、便蓋300がケーシング400に対して軸支された部分の後方のケーシング400に設けられていてもよい。これによれば、便蓋支持部は、便蓋300の閉止動作と伴って上昇する便蓋300の上面を支持することができる。つまり、この場合には、便蓋支持部は、便蓋300の上面を支持するストッパとして機能することができる。
【0084】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0085】
100 便座装置、 200 便座、 210 ヒータ、 230 基材、 231 上板、 233 底板、 240 クッション部、 250 表面部、 260 熱伝導体、 270 便蓋支持部、 300 便蓋、 310 脚部、 320 接触部、 330 便蓋支持部、 400 ケーシング、 401 表面、 410 便蓋支持部、 411 基部、 413 案内部、 415 弾性体、 417 支持体、 420 ヒンジ部、 421 便蓋開閉部、 423 支持軸、 425 第1の支持部、 427 第2の支持部、 430 ヒンジ部、 431 モータ、 433、434 歯車、 435 出力軸、 437 ストッパ、 440 ヒンジ部、 700 使用者、 800 洋式腰掛便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便座と、
前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便蓋と、
を備え、
前記便座は、
基材と、
前記基材の上に設けられ弾力性を有するクッション部と、
を有し、
前記ケーシングおよび前記便蓋の少なくともいずれかは、前記便蓋を閉じた際に前記便蓋または前記ケーシングと接触することにより前記便蓋の閉止位置を規定する便蓋支持部を有することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
ケーシングと、
前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便座と、
前記ケーシングに対して開閉可能に取り付けられた便蓋と、
を備え、
前記便座は、
基材と、
前記基材の上に設けられ弾力性を有するクッション部と、
を有し、
前記便座が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍および前記便蓋の少なくともいずれかは、前記便蓋を閉じた際に前記便蓋、または前記便座が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍と接触することにより前記便蓋の閉止位置を規定する便蓋支持部を有し、
前記便蓋が前記ケーシングに取り付けられた部分の近傍は、前記クッション部が設けられていない部分、または前記便座の着座部におけるクッション部の厚さよりも薄い厚さのクッション部が設けられた部分であることを特徴とする便座装置。
【請求項3】
前記便蓋支持部は、前記閉じた状態の前記便蓋が外部から荷重を受けると、圧縮変形することにより前記便蓋の閉止位置を下方へ移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記ケーシングは、前記便蓋を開閉可能に支持するヒンジ部を内蔵し、
前記便蓋支持部は、前記ヒンジ部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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