説明

便座装置

【課題】外力による便蓋の脱落を抑制し、安全性の高い便座装置を提供すること。
【解決手段】本体200に回動機構500を介して枢支された便蓋400の開放位置を規制する規制手段510を備え、規制手段510は同心の円弧で形成された小径部521と大径部522との境界に形成された段差面523を備え、大径部522の外周と段差面523とを鋭角で交差するように形成したものである。
これにより、便蓋400の開放状態において、それ以上開放する方向に外力が加えられた場合、段差面523に対する外力の作用は、段差面523と大径部522の外周との接点の方向に移動させる方向に作用し、段差面523がより強固に圧接することとなり、段差面523の変形や損傷の発生を抑制することができ、外力による便蓋400の脱落を抑制することができ、安全性の高い便座装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便蓋の開閉位置を規制する規制手段を備えた便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の便座装置は便蓋の回動機構における開閉範囲を規制する規制手段としては、便蓋の回転軸を小径部と大径部を備えた異形形状とし、小径部と大径部との境界に段差面を形成し、回転軸を枢支する軸受穴を小径部と大径部とを備えた異形穴とし、小径部と大径部との境界に段差面を形成し、軸受穴に回転軸を挿入することにより便蓋が開閉可能な回動機構を構成し、回転軸の段差面と軸受穴の段差面が所定の回転角度で当接することにより、便蓋の開閉範囲を規制している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来の便座装置の便蓋の回動機構を示すものである。図12に示すように、便蓋と一体に形成された回転軸1は大径部2と小径部3を備え、大径部2と小径部3の両方の接合部には段差面4、5が形成されている。段差面4、5はいずれも段差面4、5と大径部2との交差点における接線Aに対して直角に交差するように形成されている。
【0004】
また、回転軸1が挿入される軸受穴6は、大径部7と小径部8を備え、大径部7と小径部8の両方の接合部には段差面9と段差面10が形成されている。回転軸1と同様に、段差面9、10はいずれも段差面9、10と大径部7との交差点における接線Bに対して直角に交差するように形成されている。
【0005】
図12は便蓋を開放した状態の回動機構を示すものであり、回転軸1の段差面4と軸受穴6の段差面9が当接し、便蓋がこれ以上開かないように規制されている。便蓋を閉蓋したときには、回転軸1の段差面5と軸受穴6の段差面10が当接して便蓋を所定位置に停止させることができる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−035711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、便蓋を開放した状態で無理にそれ以上開けようとする外力が加えられて回転軸または軸受穴が僅かでも変形した場合、回転軸の段差面と軸受孔の段差面が相互に移動する滑りが発生し、一般的に滑りの方向は相互の段差面の当接が外れる方向となる。すべりが発生することにより相互の段差面の当接面積が減少し当接部に加わる圧力が高まり、段差面が変形したり一部が損傷することがあり、最悪の場合回転軸が軸受穴から抜け落ち便蓋が便座装置の本体から脱落するという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、便蓋の開放状態で無理な外力が加えられた場合でも段差面の変形や損傷の発生を抑制し、便蓋の脱落を防止し安全性の高い便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、便器の上面に戴置される本体と、本体に回動機構を介して枢支された便蓋と、便蓋の少なくとも開放位置を規制する規
制手段と、を含み、規制手段は、便蓋に設置され、同心の円弧で形成された小径部と大径部と小径部と大径部との境界に形成された段差面を備えた異形形状の可動規制部と、本体に設置され、同心の円弧で形成された小径部と大径部と小径部と大径部との境界に形成された段差面を備えた異形形状の固定規制部とを備え、便蓋の開放位置において、可動規制部の段差面と固定規制部の段差面を当接させることにより、便蓋の開放位置を規制する構成とし、可動規制部の大径部の外周と段差面との交点において外周の接線と段差面とが鋭角で交差し、固定規制部の大径部の内周と段差面との交点において内周の接線と段差面とが鋭角で交差するように形成したものである。
【0010】
これにより、便蓋の開放状態において、無理にそれ以上開放する方向に外力が加えられた場合、当接している可動規制分の段差面と固定規制部の段差面に対する外力の作用は、段差面と外周との接点の方向に相互に近接するように移動させる方向となり、相互の段差面がより強固に圧接することとなり、段差面の変形や損傷の発生を抑制することができ、外力による便蓋の脱落を抑制することができ、安全性の高い便座装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の便座装置は、便蓋の不用意な脱落を防止し、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における便座装置の外観を示す斜視図
【図2】同便座装置の便蓋を取り外した状態の斜視図
【図3】同便蓋回動機構の規制手段の可動規制部を示す斜視図
【図4】同便蓋回動機構の規制手段の固定規制部を示す斜視図
【図5】(a)は便蓋の開放状態における可動規制部と固定規制部の位置関係を示す模式図、(b)は便蓋の閉蓋状態における可動規制部と固定規制部の位置関係を示す模式図
【図6】同規制手段の組み立て状態を示す断面図
【図7】同便蓋回動機構の減速手段の可動減速部を示す斜視図
【図8】同便蓋回動機構の減速手段の固定減速部を示す斜視図
【図9】同減速手段の組み立て状態を示す断面図
【図10】同便蓋の閉蓋状態における規制手段の断面図
【図11】同便蓋の開放状態における規制手段の断面図
【図12】従来の便座装置の便蓋回動機構の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、便器の上面に戴置される本体と、前記本体に回動機構を介して枢支された便蓋と、前記便蓋の少なくとも開放位置を規制する規制手段と、を含み、前記規制手段は、前記便蓋に設置され、同心の円弧で形成された小径部と大径部と前記小径部と前記大径部との境界に形成された段差面を備えた異形形状の可動規制部と、前記本体に設置され、同心の円弧で形成された小径部と大径部と前記小径部と前記大径部との境界に形成された段差面を備えた異形形状の固定規制部とを備え、前記便蓋の前記開放位置において、前記可動規制部の前記段差面と前記固定規制部の前記段差面を当接させることにより、前記便蓋の開放位置を規制する構成とし、前記可動規制部の前記大径部の外周と前記段差面との交点において前記外周の接線と前記段差面とが鋭角で交差し、前記固定規制部の前記大径部の内周と前記段差面との交点において前記内周の接線と前記段差面とが鋭角で交差するように形成した便座装置である。
【0014】
これにより、便蓋の開放状態において、無理にそれ以上開放する方向に外力が加えられた場合、当接している可動規制分の段差面と固定規制部の段差面に対する外力の作用は、
段差面と外周との接点の方向に相互に近接するように移動させる方向となり、相互の段差面がより強固に圧接することとなり、段差面の変形や損傷の発生を抑制することができ、外力による便座の脱落を抑制することができ、安全性の高い便座装置を提供することができる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記便蓋は上面部と前記上面部から略垂直に垂下する側面部とを弾性を有する樹脂材料で一体に形成し、前記可動規制部は前記側面部の後端部に形成し、前記樹脂材料の弾性により前記可動規制部を前記本体の固定規制部に着脱可能としたものである。
【0016】
これにより、便蓋開放時に開放方向に無理な力が加えられても容易に脱落することがなく、便蓋の側面部を押し広げることにより、便蓋を本体から着脱することが可能となり、便蓋を容易に清掃することが可能となり、安全で使い勝手のよい便座装置を提供することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における便座装置を便器上に設置し便蓋を開放した状態の外観の斜視図を示し、図2は便蓋本体から取り外した状態の外観の斜視図を示すものである。
【0019】
<1>便座装置の構成
図1に示すように、便座装置100は、本体200、便座300、便蓋400により構成され、便器700の上面に設置される。
【0020】
以下本実施の形態においては、便座装置100の本体200を配置した方を後方とし、便座を配置した方を前方とし、前方から後方に向いた状態で右側を右、左側を左として説明を行う。
【0021】
本体200には、便座300および便蓋400が回動機構を介して開閉可能に取り付けられている。図1に示すように便蓋400を開放した状態においては、便蓋400は便座装置100の最後部に位置するように起立し、便蓋400を閉蓋した状態では便座300の上面と本体200の一部を隠蔽する。また、図2に示すように便蓋400は弾性を利用して工具を使わずに本体から着脱可能な構成となっている。
【0022】
便座300は金属で形成した着座部を備えた上部便座ケーシングと、樹脂材料で形成した下部便座ケーシングを上下に結合した構成であり、内部に着座部を加熱する便座ヒータ(図示せず)を備えている。
【0023】
また、本体200には、図示しない洗浄水供給機構(図示せず)、熱交換器(図示せず)、洗浄ノズル201等からなる洗浄機構と、乾燥ユニット(図示せず)と、制御部(図示せず)等が内蔵される。
【0024】
本体200の前面部には着座センサ202が設置してある。この着座センサ202は非接触式着座センサであり反射型の赤外線センサである。すなわち、発光部から赤外線を発光し人体によって反射された赤外線を受光部が受光検出することにより、便座300上に使用者が着座していることを検知する。
【0025】
また、洗浄水供給機構と熱交換器は洗浄ノズル201に接続されており、水道配管から
供給される洗浄水を熱交換器で加熱することにより温水を洗浄ノズルに供給し、洗浄ノズル201から使用者の局部に向けて洗浄水を噴出し、使用者の局部を洗浄するものである。洗浄ノズル201はお尻を洗浄するお尻洗浄ノズル部と女性の局部を洗浄するビデノズル部を備えている。
【0026】
また、乾燥ユニットは洗浄水により濡れた局部に向けて温風を噴出し、局部を乾燥することができる。
【0027】
なお、洗浄機構と乾燥ユニットは便座装置の必須構成要素ではなく、これらの構成要素を具備しない便座装置でもよい。
【0028】
また、本体200の側部より前方に突出するように袖部210が設けてあり、袖部210の上面には操作部211が設けてあり便座装置の各機能を操作する複数の操作スイッチ212と表示手段213が設置されている。
【0029】
<2>便蓋回動機構の構成
図1および図2に示すように、便蓋400の後端部は便蓋回動機構500を介して本体200の側面に回動自在に枢支されている。便蓋回動機構500は便蓋400を本体200に枢支する機能に加え、便蓋400の回動範囲を規制する規制手段510と便蓋400の閉蓋動作時の速度を減速する減速手段540とを備えている。規制手段510と減速手段540は便蓋回動機構500の左右に分かれて配置されており、左側に規制手段510が右側に減速手段540が配置されている。また、規制手段と減速手段は枢支機能を兼ね備えている。
【0030】
規制手段510の構成は、図3に示す便蓋400の側面部402に設けられた可動規制部520と、図4に示す本体200の側部に設けられた固定規制部530で構成されている。
【0031】
図2に示すように便蓋400は弾性を備えた樹脂材料で一体に成型されており、樹脂の弾性を利用して本体200に着脱可能な構成となっている。便蓋400は外形が略馬蹄形状の上面部401と上面部401の両側部と前面部に略垂直に垂下する側面部402を備えており、側面部402の後端部には便蓋回動機構500の可動規制部520の部材が一体に成型されている。
【0032】
図3に示すように、便蓋400の側面部402の左側後端部には、可動規制部520が内方に突出するように一体に成型されている。可動規制部520は、小径部521と、大径部522と、小径部521と大径部522の境界に形成された2つの段差面523、524で構成された異形の筒状をなしている。
【0033】
図5(a)に示すように、可動規制部520の一方の段差面523と大径部522との交点における接線Cと段差面523とがなす角度Dは80度であり鋭角をなして交差している。また、図5(b)に示すように、他方の段差面524と大径部522との交点における接線Eと段差面524とがなす角度Fは90度であり直角で交差している。鋭角で交差している段差面523は便蓋400を開放した場合の回動角度を規制する手段として作用するものであり、直角で交差する段差面524は便蓋400を閉蓋した場合の規制手段として作用するものである。
【0034】
図4に示すように、本体200の左側の側面には、固定規制部530が形成されている。固定規制部530は本体200の側面から凹陥するように形成されており、固定規制部530の周辺部は同心の円弧状の小径部531と大径部532と、小径部531と大径部
532との境界に形成された2つの段差面533、534で構成されている。また、固定規制部530の底部中央に突出する固定軸535が形成されている。固定軸535の中心は小径部531と大径部532と同心である。本実施の形態においては固定軸535は本体200と一体に形成されているが、別部品として所定位置に設置してもよい。
【0035】
段差面533と大径部532との交点における接線と交差する角度は、可動規制部520で説明したのと同様に一方の段差面533が80度の鋭角で交差し、他方の段差面534は直角で交差する形状をなしている。
【0036】
図5(a)および(b)に示すように、可動規制部520と固定規制部530の段差面は、段差面523と段差面533が、段差面524と段差面534が当接する構成となっており、対応するそれぞれの角度は等しい角度であり、段差面全面が当接する構成となっている。
【0037】
可動規制部520の小径部521と大径部522の外径は、固定規制部530の小径部531と大径部532の内径より僅かに小さい寸法であり、固定軸535の外径は可動規制部520の小径部521の内径より僅かに小さい寸法に形成されており、可動規制部520を固定規制部530に挿入した状態で可動規制部520がスムーズに回動できる寸法関係となっている。
【0038】
図6は可動規制部520を固定規制部530に取り付けた状態の断面を示すものであり、図に示すように、可動規制部520を固定規制部530に取り付けた状態で、可動規制部520の小径部521と大径部522の外周が固定規制部530の小径部531と大径部532の内周の沿うように挿入され、可動規制部520の小径部521の内周に固定規制部530の固定軸535が挿入される。
【0039】
減速手段540は、図7に示す便蓋400の側面部402に設けられた減速軸受部550と、図8に示す本体200の側部に設けられた減速支持部560で構成されている。
【0040】
図7に示すように、便蓋400の右側の側面部402には、減速軸受部550が後端部より内方に突出するように一体に成型されている。減速軸受部550は外周筒551と内周筒552の2重の筒形状であり、外周筒551は円筒形状であり、内周筒552の断面形状が円形の一部に対向する平面を配設した筒状をなしている。
【0041】
図8に示すように、本体200の右側の側面には円形の凹陥状の減速支持部560が設置されている。減速支持部560の中央には、本体200内に設置されたダンパ561の減速軸562が突出してしている。ダンパ561の減速軸562は円柱の一部に対向する平面を配設した回り止めが形成されている。ダンパ561は一方の回転方向に対して制動力を発揮し、他方の回転方向に対しては制動力を発揮しない機能を備えたものである。
【0042】
また、減速支持部560の外周部の後方下部には本体200の側面より突出する円弧形状の脱落防止片563がねじ564により固定されている。脱落防止片563は便蓋400の開放状態において無理な外力が加えられた場合に減速軸受部550が減速支持部560から不用意に外れることを防止する機能を備えたものである。
【0043】
減速軸受部550の外周筒551の外径は減速支持部560の内径より僅かに小さい寸法であり、減速軸受部550は減速支持部560内でスムーズに回動できる寸法関係となっている。また、減速軸受部550の内周筒552の内径はダンパ561の減速軸562より僅かに大きい寸法であり、減速軸受部550とダンパ561の減速軸562が確実に固定される寸法関係となっている。
【0044】
図9は減速軸受部550を減速支持部560に取り付けた状態の断面を示すものであり、図に示すように、減速軸受部550を減速支持部560に取り付けた状態で、減速軸受部550の外周筒551は減速支持部560内に挿入され、減速軸受部550の内周筒552の内部にダンパ561の減速軸562が挿入される。
【0045】
<3>便蓋回動機構の動作および作用
図10は便蓋を閉蓋した状態における便蓋回動機構の規制手段の断面図を示し、図11は便蓋を開放した状態における便蓋回動機構の規制手段の断面図を示すものである。
【0046】
図2に示すように、本体200から取り外された状態の便蓋400は両側の側面部402を押し広げて本体200に設置する。取り付けに際しては、便蓋400をほぼ開放した角度で便蓋400の可動規制部520の大径部522を本体200の固定規制部530の大径部532の内部に挿入、便蓋400の減速軸受部550の内周筒552にダンパ561の減速軸562を挿入することにより、本体200と便蓋400に設置された便蓋回動機構500のそれぞれの部材が結合され、便蓋回動機構500の規制手段510と減速手段540の機能を発揮することが可能となる。
【0047】
便蓋400を閉蓋状態から開放状態に開放動作を行うときは、減速手段540のダンパ561の制動力は作用せずスムーズに開放動作を行うことができる。
【0048】
一方、便蓋400を開放状態から閉蓋状態に閉蓋動作を行うときは、減速手段540のダンパ561の制動力が発揮し、ダンパ561の減速軸562から便蓋400の減速軸受部550に制動力が伝達され、便蓋400は手を離した状態でもゆっくりと閉蓋し、閉蓋時に衝撃や音を発することがない。
【0049】
図10に示すように、便蓋400を閉蓋した状態においては、便蓋回動機構500の規制手段510は可動規制部520の段差面524と固定規制部530の段差面534が当接した状態となっており便蓋400の回動が規制されている。このとき便蓋400の前端部は便座300の上面に当接しており、便蓋400は便座300の上面全体と側面の一部を閉塞した状態となっている。
【0050】
一方、図11に示すように、便蓋400を開放した状態においては、便蓋回動機構500の規制手段510は可動規制部520の段差面523と固定規制部530の段差面533が当接した状態となっており便蓋400の回動がそれ以上後方に回動することが規制され、便蓋400が本体200の後部に起立した状態で停止される。便蓋400の起立状態は鉛直より僅かに後方に傾いた状態で規制手段510により規制され、自重によりその姿勢が維持される。
【0051】
図11に示す開放状態で便蓋400をより開放するような外力が無理に加えられた場合、基本的には可動規制部520の段差面523と固定規制部530の段差面533の当接によりそれ以上の回動が規制されるが、便蓋400は弾性を備えた樹脂材料で成型したものであるため、一般的には便蓋400の変形により本体200から脱落する可能性があり、便蓋400の脱落にともない規制手段510が変形または損傷することが考えられる。
【0052】
本実施の形態における規制手段510は、可動規制部520の段差面523と固定規制部530の段差面533はともに大径部の接戦に対して鋭角となるように形成されている。そのため、当接部に外力が加えられた場合、可動規制部520の段差面523と大径部522の交差部が固定規制部530の段差面533と大径部532の交差部の方向に移動させるように応力が作用し、くさびが嵌合するように可動規制部520の段差面523と大径部522が固定規制部530の段差面533と大径部532により強固に押圧され、可動規制部520が固定規制部530から外れることを抑制することができる。また、可動規制部520が固定規制部530から外れることに伴って発生する規制手段の変形または損傷の発生を抑制することができる。
【0053】
一方、便蓋400右側の減速機能においては、開放状態で便蓋400をより開放するような外力が無理に加えられた場合、便蓋400の減速軸受部550は外周筒551が本体200の減速支持部560の外周に設置された脱落防止片563に当接することにより、便蓋400の減速軸受部550が本体200の減速支持部560から外れることを抑制することができる。
【0054】
以上にように、本実機の形態における便座装置は便蓋の開放状態において、より開放するような外力が無理に加えられた場合、便蓋が本体から脱落することを抑制するとともに、便蓋回動機構の変形および損傷を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、回動機構の脱落を防止することが可能となるので、各種機器に使用する回動機構等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0056】
100 便座装置
200 本体
400 便蓋
402 側面部
500 便蓋回動機構(回動機構)
510 規制手段
520 可動規制部
521 小径部
522 大径部
523 段差面
530 固定規制部
531 小径部
532 大径部
533 段差面
700 便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の上面に戴置される本体と、
前記本体に回動機構を介して枢支された便蓋と、
前記便蓋の少なくとも開放位置を規制する規制手段と、を含み、
前記規制手段は、前記便蓋に設置され、同心の円弧で形成された小径部と大径部と前記小径部と前記大径部との境界に形成された段差面を備えた異形形状の可動規制部と、前記本体に設置され、同心の円弧で形成された小径部と大径部と前記小径部と前記大径部との境界に形成された段差面を備えた異形形状の固定規制部とを備え、前記便蓋の前記開放位置において、前記可動規制部の前記段差面と前記固定規制部の前記段差面を当接させることにより、前記便蓋の開放位置を規制する構成とし、
前記可動規制部の前記大径部の外周と前記段差面との交点において前記外周の接線と前記段差面とが鋭角で交差し、前記固定規制部の前記大径部の内周と前記段差面との交点において前記内周の接線と前記段差面とが鋭角で交差するように形成したことを特徴とした、
便座装置。
【請求項2】
前記便蓋は上面部と前記上面部から略垂直に垂下する側面部とを弾性を有する樹脂材料で一体に形成し、
前記可動規制部は前記側面部の後端部に形成し、
前記樹脂材料の弾性により前記可動規制部を前記本体の固定規制部に着脱可能とした、
請求項1に記載の便座装置。

【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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