説明

便座装置

【課題】着座検知手段として赤外線センサーを用いず、便座への着座を確実に検知することができる便座装置を提供する。
【解決手段】便座1の下方に面する被押圧部21を上方に押圧することでONとなるスイッチ2を便座1に設ける。上方に開口する略箱状をしたゴムからなる弾性部材3をスイッチ2を覆うように便座1の下板部1bに形成された挿通孔16に係止して下面に取り付ける。下板部1b上へ露出するスイッチ2の端子22を覆って絶縁を行い且つ弾性部材3の挿通孔16への係止を接着により固定するための絶縁性接着剤を塗布する。弾性部材3の被押圧部21に対応する部分を弾性変形により押圧する押圧部31とする。押圧部31は、便座1を便器のリム上に載置し弾性部材3に便座1の自重のみが掛かった時には被押圧部21を押圧せずスイッチ2はOFFであり、便座1に使用者が着座した時に被押圧部21を押圧してスイッチ2をONにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動洗浄機能等を備えた便器装置に設ける便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動洗浄機能等を備えた便器装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような便器装置には、使用者の着座を検知する着座検知手段が設けてあり、着座を検知した時に、便座等の暖房を開始したり、あるいは脱臭を開始したり、あるいは離座を検知した時に、暖房を停止したり脱臭を停止したり、あるいは便器の自動洗浄を行ったりするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−109758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで着座検知手段としては、赤外線センサーを設けたものがよく用いられているが、掃除等している場合に、着座していなくても便座の上面近辺に身体が位置していると誤検知してしまうことがあった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、着座検知手段として赤外線センサーを用いず、便座への着座を確実に検知することができる便座装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に係る便座装置にあっては、上面が着座面となる上板部1aと便器のリム上に載置される下板部1bとで便座1を構成し、便座1の下方に面する被押圧部21が押圧されることでONとなるスイッチ2を便座1に設け、上方に開口する略箱状をしたゴムからなる弾性部材3を前記スイッチ2を覆うように便座1の下板部1bに形成された挿通孔16に係止して取り付け、スイッチ2の下板部1b上へ露出する端子22を覆って絶縁を行い且つ弾性部材3の挿通孔16への係止を接着により固定するための絶縁性接着剤を塗布し、弾性部材3の前記スイッチ2の被押圧部21に対応する部分を該弾性部材3の弾性変形により被押圧部21を押圧する押圧部31とし、前記押圧部31は、便座1を便器のリム上に載置し弾性部材3に便座1の自重のみが掛かった時には被押圧部21を押圧せずスイッチ2はOFFであり、便座1に使用者が着座した時に被押圧部21を押圧してスイッチ2をONにすることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、下板部1bのスイッチ2に対応する位置に該スイッチ2を挿通させて配置する挿通口11を設け、下板部1bの挿通口11の周囲の下面から略筒状をした防水シート保持リブ15を下方に突設し、防水シート保持リブ15内に防水シート4を装着して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便座装置にあっては、着座検知手段として赤外線センサーを用いず、便座への着座を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の要部断面図である。
【図2】同上の要部の分解斜視図である。
【図3】便座の斜視図である。
【図4】便座の下板部を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図5】便座の下板部のスイッチを設けた部分を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0012】
便器装置は、図示しないが、便器の後部上面に設置したり便器の後部に内蔵されるもので、使用者が用を足した後に自動で洗浄を行う自動洗浄機能や、便座を暖房する暖房機能や、脱臭を行う脱臭機能や、局部洗浄を行う局部洗浄機能や、局部の温風による乾燥を行う温風乾燥機能等を適宜選択して備えている。この便器装置は、以下に説明する便座装置の着座検知手段による着座の検知により、各種動作が自動で行われるようになっている。
【0013】
便座装置は、図2に示すように、便座1に着座検知手段としてのスイッチ2を設けて構成される。便座1は、後端部が便器のボウル部の後部上端に枢支され、前端部を上側にして起立させたり、便器のリム上に載置して倒した状態としたりするものである。本実施形態では、便座1は、上面が着座面となる上板部1aと(図3参照)、便器のリム上に載置される下板部1bとからなる二枚板構造で構成している。また、便座1の上側に便蓋(図示せず)が設けてあり、この便蓋も便座1と同様に後端部が便器のボウル部の後部上端に枢支されて、起倒自在となっている。
【0014】
スイッチ2は、図1に示すように、便座1の下方に面する被押圧部21を備え、この被押圧部21が上方に押圧された時にONとなる。本実施形態では、下板部1bのスイッチ2を設ける位置に、該スイッチ2が挿通する挿通口11を設け、該挿通口11に上方より挿通させたスイッチ2を係止して支持するスイッチ係止部13を設けてある。挿通口11は、図4に示すように、便座1の前部の左右の二箇所に形成され、その周囲には図5に示すように下板部1bの上面から略筒状をしたリブ14が上方に突設してあり、リブ14に囲まれた部分の中央に挿通口11が形成してある。そして、挿通口11の縁から下方に向けて、略筒状をしたスイッチ保持リブ12が突設してあり、その下端にスイッチ係止部13が挿通口11の内側に向けて突設してある。
【0015】
また、下板部1bの挿通口11の周囲には、図1に示すように、下面から略筒状をした防水シート保持リブ15が下方に突設してあり、この防水シート保持リブ15内に防水シート4が装着してあり、スイッチの下面側の防水を行っている。そして、スイッチ2及び防水シート4を下方より覆うように弾性部材3が設けられる。
【0016】
弾性部材3は、図1、図2に示すように、上方に開口する略箱状をしたゴムからなり、スイッチ2を覆うように便座1の下面に取り付けられる。そして、弾性部材3のスイッチ2の被押圧部21に対応する部分を、該弾性部材3の弾性変形により被押圧部21を押圧する押圧部31とするものである。本実施形態では、弾性部材3の上端部の一部に上方に向けて弾性部材係止部32を突設し、便座1の下板部1bの前記弾性部材係止部32に対応する位置に、該弾性部材係止部32が挿通して下板部1bの上面に係止するための挿通孔16が形成してある。挿通孔16は、リブ14に囲まれた部分で挿通口11以外の箇所に形成してある。
【0017】
そして、スイッチ2を下板部1bの挿通口11に上方より挿通させてスイッチ係止部13に係止すると共に、下板部1bの下方より、弾性部材係止部32を挿通孔16に挿通させて下板部1bの上面側に係止して弾性部材3を下板部1bに取り付けてある。
【0018】
また、スイッチ2の下板部1b上へ露出する端子22を覆うように絶縁材を塗布して、前記端子22の絶縁を行なっている。本実施形態では、前記端子22を覆うと共に、弾性部材係止部32の挿通孔16への係止を接着により固定するための絶縁性接着剤を塗布するもので、具体的には、図5に示すようにリブ14に囲まれる部分5にホットメルト等からなる絶縁性接着剤を充填しており、これにより、端子22の絶縁と、弾性部材係止部32が係止される挿通孔16を埋めて水の浸入の防止を図ることができる。
【0019】
便座1を便器のリム上に載置した状態で、便座1に使用者が着座せず弾性部材3に便座1の自重のみが掛かっている時には、押圧部31が被押圧部21を押圧せずスイッチ2はOFFであり、便座1に使用者が着座した時に、押圧部31が被押圧部21を押圧してスイッチ2をONになるように、弾性部材3の弾性力を設定してある。
【0020】
上記のような構成とすることで、直接的に着座を検知することが可能となり、従来の赤外線センサーを設けた着座検知手段のように、掃除等の場合に身体が便座1の上面近辺に位置した時に着座が誤検知されるといったことを防止することができる。
【0021】
また本実施形態では、リブ14に囲まれる部分5にホットメルト等からなる絶縁性接着剤を充填しているため、スイッチ2の下板部1b上へ露出する端子22を覆って絶縁する絶縁材と、弾性部材係止部32の挿通孔16への係止を接着により固定する接着剤とを兼ねることができて、一工程で施工できて製造工程の削減を行っている。
【符号の説明】
【0022】
1 便座
1a 上板部
1b 下板部
11 挿通口
12 スイッチ保持リブ
13 スイッチ係止部
14 リブ
15 防水シート保持リブ
16 挿通孔
2 スイッチ
21 被押圧部
22 端子
3 弾性部材
31 押圧部
32 弾性部材係止部
4 防水シート
5 リブに囲まれる部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が着座面となる上板部と便器のリム上に載置される下板部とで便座を構成し、便座の下方に面する被押圧部が押圧されることでONとなるスイッチを便座に設け、上方に開口する略箱状をしたゴムからなる弾性部材を前記スイッチを覆うように便座の下板部に形成された挿通孔に係止して取り付け、スイッチの下板部上へ露出する端子を覆って絶縁を行い且つ弾性部材の挿通孔への係止を接着により固定するための絶縁性接着剤を塗布し、弾性部材の前記スイッチの被押圧部に対応する部分を該弾性部材の弾性変形により被押圧部を押圧する押圧部とし、前記押圧部は、便座を便器のリム上に載置し弾性部材に便座の自重のみが掛かった時には被押圧部を押圧せずスイッチはOFFであり、便座に使用者が着座した時に被押圧部を押圧してスイッチをONにすることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
下板部のスイッチに対応する位置に該スイッチを挿通させて配置する挿通口を設け、下板部の挿通口の周囲の下面から略筒状をした防水シート保持リブを下方に突設し、防水シート保持リブ内に防水シートを装着して成ることを特徴とする請求項1載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−506(P2012−506A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219181(P2011−219181)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【分割の表示】特願2008−138646(P2008−138646)の分割
【原出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】