説明

便座装置

【課題】電池の消耗を抑制して長期間使用でき、非接触操作による衛生的で使い勝手の良いリモートコントローラを提供すること。
【解決手段】便器110上に設置された本体200と、電池450を電源とするリモートコントローラ400とを含み、リモートコントローラ400は照度センサ440備え、照度センサ440の検出電圧の変動により、非接触で使用者の操作動作を検出する制御部500を備え、制御部500はアナログ検出部530とデジタル検出部520とを備え、待機中はアナログ検出部530を駆動し、使用者の近接を検出したらデジタル検出部520を駆動することにより、待機中はアナログ検出部530で電池の消耗を抑制し、操作中はデジタル検出部520で精度の高い操作を行うことにより高い省エネルギ性と操作精度が高く衛生的で使い勝手の良い便座装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で操作を行うリモートコントローラを備えた便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の非接触で操作を行うリモートコントローラを備えた便座装置は、非接触スイッチに近接した使用者の手をセンサで検出することによりスイッチ操作を行い便座の開動作を行っており、非接触スイッチの検出センサとしては、発光素子と受光素子を備えた光検出センサを使用し、発光素子から発光した光を非接触スイッチに近づけた使用者の手で反射させて受光素子で受光することによりスイッチ操作を行っている。
【0003】
また別の検出センサとしては、送信アンテナと受信アンテナを備えたマイクロ波センサを使用し、送信アンテナから送信したマイクロ波を使用者の手で反射させて受信アンテナで受信することによりスイッチ操作を行っている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また別の非接触スイッチの例としては、トイレの使用音をカモフラージュする擬音を発生させる音声合成装置の非接触スイッチとして、トイレルーム全体の照度を検出する環境照度センサと使用者が近づけた手による照度の変化を検出する近接照度センサとの2個の照度センサを異なった位置に配置し、2個の照度センサによって発生する電圧差を検出してスイッチ操作を行うことにより、トイレルームの明るさが変化しても誤動作が発生し難いようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−168719号公報
【特許文献2】特開平2−194220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、使用者の近接した手を検出するセンサの構成は、発光と受光、送信と受信、環境と近接のように2個の構成要素を組み合わせたものである。このような構成の場合、それぞれの構成要素とそれに対応する制御回路で電力消費を行うため、リモートコントローラ全体の消費電力が大きくなる傾向があり、電池で駆動するリモートコントローラとしては電池寿命が短くなり、使い勝手とランニングコストの面で未だ改良の余地があった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、誤動作の少ない高精度の非接触スイッチを少ない構成要素で実施し、消費電力の低減を図ることにより電池寿命を延長することでランニングコストが低く、高精度で使い勝手がよいリモートコントローラを備えた便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、便器上に設置され、複数の電動機能を内蔵する本体と、本体とは別体で、電動機能を操作する電池を電源とするリモートコントローラとを含み、リモートコントローラは照度センサ備え、照度センサの検出電圧の変動により、使用者の身体部位の近接を検出し、電動機能の操作動作を検出する制御部と、制御部の制御信号を本体に送信する送信部とを備え、制御部は、照度センサの検出
信号をアナログ信号の状態で検出するアナログ検出部と、検出信号をデジタル変換するA/Dコンバータを備えたデジタル検出部とを備え、照度センサが使用者の近接を検出しない状態ではアナログ検出部を駆動し、アナログ検出部が使用者の近接を検出したらデジタル検出部を駆動することを特徴としたものである。
【0009】
これにより、使用者はリモートコントローラに直接手を触れずに便座装置の操作ができることにより衛生的である。また、使用者が便座装置を使用しない待機中は消費電力の少ないアナログ検出部で検出を継続し、使用者の近接を検出したとき検出精度の高いデジタル検出部で検出することが可能となり、通期の消費電力を低減することでリモートコントローラの電池の消耗を抑制することが可能であり、また使用時には精度の高い検出を行うことができるので、高い省エネルギ性でランニングコストが低く、衛生的で使い勝手の良い便座装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の便座装置は、電池の消耗を抑制して長期間使用でき、非接触操作による衛生的で使い勝手の良いリモートコントローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における便座装置の外観を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における便座装置の制御系のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1におけるリモートコントローラの外観を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態1におけるリモートコントローラのフロントパネルを開放した状態の正面図
【図5】図3に示すAA断面図
【図6】本発明の実施の形態1におけるリモートコントローラの制御系のブロック図
【図7】本発明の実施の形態1における感度調整抵抗の検出電圧値の例を示す模式図
【図8】本発明の実施の形態1におけるジェスチャ操作のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態1における照度センサのジェスチャ操作における出力の時間的変化を示すグラフ
【図10】本発明の実施の形態1におけるリモートコントローラの待機状態におけるフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、便器上に設置され、複数の電動機能を内蔵する本体と、前記本体とは別体で、前記電動機能を操作する電池を電源とするリモートコントローラとを含み、前記リモートコントローラは照度センサ備え、前記照度センサの検出電圧の変動により、使用者の身体部位の近接を検出し、前記電動機能の操作動作を検出する制御部と、前記制御部の制御信号を前記本体に送信する送信部とを備え、前記制御部は、前記照度センサの検出信号をアナログ信号の状態で検出するアナログ検出部と、前記検出信号をデジタル変換するA/Dコンバータを備えたデジタル検出部とを備え、前記照度センサが使用者の近接を検出しない状態では前記アナログ検出部を駆動し、前記アナログ検出部が使用者の近接を検出したら前記デジタル検出部を駆動することを特徴とした便座装置である。
【0013】
これにより、使用者はリモートコントローラに直接手を触れずに便座装置の操作ができることにより衛生的である。また、使用者が便座装置を使用しない待機中は消費電力の少ないアナログ検出部で検出を継続し、使用者の近接を検出したとき検出精度の高いデジタル検出部で検出することが可能となり、通期の消費電力を低減することでリモートコントローラの電池の消耗を抑制することが可能であり、また使用時には精度の高い検出を行うことができるので、省エネルギ性が高く、衛生的で使い勝手の良い便座装置を提供することができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記リモートコントローラは、少なくとも2個の照度センサをセットとして備え、前記制御部は前記照度センサの検出電圧の変動と時間差により、使用者の身体部位の接近と動きの方向を検出し、前記電動機能を操作することを特徴としたものである。
【0015】
これにより、駆動に方向性のある電動機能の操作を、使用者の手の動きにより操作することが可能となり、操作方法が使用者の直感的な意識に近づくため、より使い勝手が向上する。
【0016】
第3の発明は、特に第2の発明において、前記本体は、便座を回動させる便座駆動機構と、洗浄ノズルの洗浄位置を移動させるノズル駆動機構と、洗浄水の噴出強度を変化させる流量調節機構のうち少なくとも1個の電動機能を備え、前記照度センサの検出電圧の変動と時間差により、使用者の身体部位の接近と動きの方向を検出し、対応する前記電動機能を設定した方向に駆動することを特徴としたものである。
【0017】
これにより、便座は回動による上下の動きと、洗浄ノズルは前後の動きと、洗浄水は噴出強度の強弱の変動とを、使用者の操作時における手の動きの方向と一致させることにより、これらの電動機能を直感的に操作することができ、使い勝手をより向上させることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における便座装置を便器上に設置した状態の外観の斜視図を示し、図2は制御系のブロック図を示すものである。
【0020】
<1>便座装置の構成
図1に示すように、便座装置100は、本体200、便蓋210、便座220、人体検知センサ300、リモートコントローラ400により構成され、本体200、便蓋210、便座220は一体で構成され便器110の上面に設置される。
【0021】
なお、本実施の形態においては便座装置100の本体200の設置側を後方、便座220の設置側を前方とし、前方に向かって右側を右側、前方に向かって左側を左側として各構成要素の配置を説明する。
【0022】
本体200には、便蓋210および便座220が便座便蓋回動機構215を介して開閉可能に取り付けられている。図1に示すように便蓋210を開放した状態においては、便蓋210は便座装置100の最後部に位置するように起立する。また、便蓋210を閉成すると便座220の上面を隠蔽する。便座220は便座ヒータ221を内蔵しており、便座の着座面が快適な温度になるように加熱する。
【0023】
便座便蓋回動機構215は直流モータと複数のギアで構成されており、便蓋210と便座220を個別または同時に開閉することができる。
【0024】
本体200の内部には、洗浄水供給機構(図示せず)、熱交換器(図示せず)、洗浄ノズル231等で構成された人体の局部を洗浄する洗浄機構230と、洗浄後の局部を乾燥する乾燥装置(図示せず)と、本体制御部240等が内蔵されている。
【0025】
本体200の下部中央には洗浄ノズル231が設置されている。洗浄機構230の主な構成は、本体200の内部に設置された洗浄水供給機構(図示せず)と洗浄水を加熱する熱交換器(図示せず)と洗浄水の流量を調整する流量調節機構(図示せず)が洗浄ノズル231に接続されており、水道配管から供給される洗浄水を熱交換器で加熱した温水を洗浄ノズル231に供給し、洗浄ノズル231から使用者の局部に向けて温水を噴出し、使用者の局部を洗浄するものである。
【0026】
洗浄ノズル231はお尻を洗浄するお尻洗浄ノズル部と女性の局部を洗浄するビデノズル部を備えている。また、洗浄ノズル231は本体200内に収容した収納位置と本体200から突出して洗浄動作を行う洗浄位置との間を進退移動するノズル駆動機構(図示せず)を備えている。
【0027】
本体200の前面コーナ部には着座検知センサ250が設置されている。この着座検知センサ250は反射型の赤外線センサであり、赤外線を発光して人体で反射された赤外線を受光することにより便座220上に使用者が存在することを検出する。
【0028】
本体200の右側には本体200と一体に袖部260が突出して形成されており、袖部260の上面には本体操作部261と、人体検知センサ300とリモートコントローラ400から送信される赤外線信号を受信する赤外線受信部262が配置されており、本体操作部261には便座装置100の最も重要な機能である電源スイッチ261aと、洗浄機能の中で最も使用頻度の高いお尻洗浄機能を操作するお尻洗浄スイッチ261bが配置されている。
【0029】
人体検知センサ300は本体200とは別体で構成されており、トイレルームの壁面等に取り付けられる。人体検知センサ300は、人体から放出される赤外線を受光する焦電センサ310と、焦電センサ310の信号で人体の検出を判定するセンサ制御部320と、センサ制御部320からの人体検知信号を本体200の本体制御部240に赤外線で送信する赤外線送信部330で構成されている。
【0030】
リモートコントローラ400は本体200とは別体で構成されており、便座220上に着座した使用者が操作のしやすいトイレルームの壁面等の場所に取り付けられる。リモートコントローラ400には便座装置100の各機能の操作と設定を行う複数のスイッチ機能と表示機能が配置されている。なお、リモートコントローラ400の詳細な構成および作用については後述する。
【0031】
本発明の便座装置100はトイレルームに使用者が存在しない場合は、便座ヒータ221への通電を停止、もしくは20℃程度の待機温度で保温している。トイレルームに使用者が入室すると、人体検知センサ300からの信号を受け、便座ヒータ221に通電を行う。便座ヒータは800W程度の非常に高出力のヒータであり、使用者がトイレルームに入室してから便座に着座するまでの6秒から10秒程度の間に、便座220の着座面を40℃程度の設定温度に昇温する。
【0032】
便座が設定温度に達した後は、便座ヒータ221への通電を50W程度の低ワットに下げて設定温度を保つ。使用者がトイレルーム内から出ると、便座ヒータへの通電を停止、もしくは20℃程度の待機温度となる。つまり、トイレルームに使用者がいないときの電力を大幅に削減した便座装置である。
【0033】
なお、洗浄ノズル231等からなる洗浄機構230と乾燥装置は便座装置100の必須の構成要素ではなく、これらの構成要素を備えておらない便座装置100であってもよい。
【0034】
<2>便座装置の動作および作用
人体検知センサ300が人体を検出すると、人体検知センサ300は人体検知信号を赤外線送信部330より送信し、本体200の赤外線受信部262で受信した人体検知信号は本体制御部240に送信され、本体制御部240は便座便蓋回動機構215を駆動して便蓋210を開放するするとともに、便座220の便座ヒータ221への通電を開始して便座220の着座面が着座に適した40℃程度になるように、10秒以内に昇温させる。
【0035】
使用者が、便座220に着座すると、着座検知センサ250が着座を検出し、本体制御部240が着座信号を受信することにより、本体200のお尻洗浄スイッチ261bおよびリモートコントローラ400の洗浄機能の操作が可能となる。
【0036】
使用者が用便を終了し、洗浄機構230により局部の洗浄を終了した後に使用者が便座220から立ち上がってトイレルームから退出し、人体検知センサ300からの人体検知信号の送信が停止すると、本体制御部240は人体検知終了してから所定時間経過後(本実施の形態においては3分後)に、便座便蓋回動機構215を駆動させて便蓋210を自動的に閉塞させるとともに、便座ヒータ221への通電を停止し、その後待機温度まで降下したら待機温度を維持するように制御を行う。
【0037】
使用者が男子小用の場合は、使用者がトイレルームに入室し、人体検知センサ300の信号により便蓋210が開放された状態で、使用者がリモートコントローラ400で便座220を起立させる操作を行うことにより、本体制御部240は便座便蓋回動機構215を駆動させて便座220を起立させるとともに、便座ヒータ221への通電を停止し、その後待機温度まで降下したら待機温度を維持する制御する。
【0038】
使用者が男子小用を終了し、トイレルームから退出して人体検知センサ300からの人体検知信号の送信が終了したら、本体制御部240は所定時間経過後(本実施の形態においては3分後)に、便座便蓋回動機構215を駆動させて便蓋210と便座220を閉塞させる。
【0039】
なお、リモートコントローラ400の詳細な構成および作用については後述する。
【0040】
<3>リモートコントローラの構成
図3はリモートコントローラの使用状態における外観を示す斜視図であり、図4はリモートコントローラのフロントパネルを開放した状態を示す正面図であり、図5は図3に示すAA断面図である。
【0041】
図3に示すように、リモートコントローラ400の全体形状は薄い直方体に形成されており、樹脂材料で成形された箱状のリモコン本体401とリモコン本体の前面を覆うフロントパネル402で構成されており、フロントパネル402はリモコン本体401の前面下端部に開閉自在に枢支されており、通常の使用時には、図3に示すようにフロントパネル402を閉塞した状態で使用し、リモートコントローラ400の設定操作を行うときは、図4に示すようにフロントパネル402を開放して使用する。
【0042】
図4に示すように、リモコン本体401の前面には、主に上部には便座装置100の使用時に操作する操作スイッチ410と、主に下部には便座装置100の機能の設定を行う複数の設定スイッチ420と、中央部には非接触による操作で使用する2個の照度センサ440が配設されている。これらの操作スイッチ410と設定スイッチ420はスイッチの操作部に直接接触して操作する接触スイッチであるタクトスイッチを使用している。
【0043】
操作スイッチ410としては、女性の局部洗浄を開始するビデ洗浄スイッチ411と、お尻を洗浄するお尻洗浄スイッチ412と、洗浄後の臀部の乾燥を開始する乾燥スイッチ413と、ビデ洗浄スイッチ411とお尻洗浄スイッチ412と乾燥スイッチ413で開始した動作を停止させる停止スイッチ414と、便座220を起立する便座開スイッチ415と、便座220を倒置する便座閉スイッチ416が配置されている。便座開スイッチ415と便座閉スイッチ416は同一垂線上に間隔をあけて配設されている。
【0044】
また、設定スイッチ420としては、洗浄水の強度を2個のスイッチで設定する洗浄強度スイッチ421と、洗浄位置を2個のスイッチで設定する洗浄位置スイッチ422と、洗浄水の温度を設定する温水温度スイッチ423と、便座の温度を設定する便座温度スイッチ424と、乾燥装置の温度を設定する乾燥温度スイッチ425と、便蓋210および便座220の自動開閉を設定する自動開閉スイッチ426と、ノズルの高温除菌を設定するノズル除菌スイッチ427と、非使用時の節電を設定する節電スイッチ428と、非接触の操作を設定する非接触設定スイッチ429が配設されている。
【0045】
また、洗浄強度スイッチ421の近傍には洗浄強度表示灯431と、洗浄位置スイッチの422近傍には洗浄位置を表示する洗浄位置表示等432、温水温度スイッチ423の近傍には温水温度の設定を表示する温水温度表示灯433と、便座温度スイッチ424の近傍には便座温度の設定を表示する便座温度表示灯434と、乾燥温度スイッチ425の近傍には乾燥温度の設定を表示する乾燥温度表示灯435と、電池の消耗状態を表示する電池表示灯436が配設されている。
【0046】
また、便座開スイッチ415の下方に近接して第一照度センサ441と、便座閉スイッチ416の下方に近接して第二照度センサ442が配設されている。第一照度センサ441と第二照度センサ442は非接触スイッチとして使用されるものであり、第一照度センサ441と第二照度センサ442に近接して使用者が手を移動させることにより、照度の変化を検出して、移動の方向を判定し移動方向により便座220を起倒するものである。
【0047】
使用者が下から上に手を移動させ、第二照度センサ442から第一照度センサ441の順に照度変化を検出した場合は便座220を起立させ、第一照度センサから第二照度センサの順に検出した場合は便座220を倒置させる。
【0048】
本実施の形態においては、使用者が1個の照度センサ440に近接して手をかざすことで操作することを非接触操作と称し、使用者が2個の照度センサ440に亘って近接して手を動かすことをジェスチャと称し、ジェスチャによる操作をジェスチャ操作と称する。
【0049】
リモコン本体401の上面コーナ部には、操作情報および設定情報を本体200の袖部260に設置された赤外線受信部262に送信する発光素子439が配置されている。発光素子439は赤外発光ダイオードである。
【0050】
図4および図5に示すように、フロントパネル402は、略平板状の樹脂製のパネル枠402aと、裏蓋402bと、リモコン本体401に設置した操作スイッチ410をフロントパネル402の表面から操作する複数の操作ボタン403で構成されている。
【0051】
第一照度センサ441と第二照度センサ442と洗浄強度表示灯431と電池表示灯436に対応する部分には透明な樹脂材料で形成された透過部404が配設されている。これにより、表面から洗浄強度表示灯431と電池表示灯436を視認することができるとともに、第一照度センサ441と第二照度センサ442は照度変化を検出することができる構成となっており、フロントパネル402を閉塞した状態でジェスチャ操作が可能な構成となっている。
【0052】
図5は図3のAA断面を示すものであり、第一照度センサ441と、第二照度センサ442と、便座開スイッチ415と、便座閉スイッチ416の設置状態を示すものである。リモコン本体401の内部には基板405上に第一照度センサ441と、第二照度センサ442が間隔を開けて配置されており、第一照度センサ441の上方近傍にタクトスイッチの便座開スイッチ415が設置されており、第二照度センサ442の上方近傍にはタクトスイッチの便座閉スイッチ416が設置されている。
【0053】
第一照度センサ441と第二照度センサ442に対応するフロントパネル402には透明な透過部404が配設されており、透過部404を介して照度の変化を検出できるようになっている。また、便座開スイッチ415と便座閉スイッチ416に対応するフロントパネル402にはそれぞれ操作ボタン403が設置されており、それぞれの操作ボタン403を押すことにより便座開スイッチ415と便座閉スイッチ416を操作することができる。
【0054】
<4>リモートコントローラの制御系の構成
図6はリモートコントローラの制御系を示すブロック図である。
【0055】
図6に示すように、リモートコントローラ400には、操作情報の入力手段として操作スイッチ410と、設定スイッチ420と、ジェスチャ操作の操作情報の入力手段として第一照度センサ441と第二照度センサ442を備えており、出力手段としては本体200に制御情報を赤外線で送信する発光素子439と、制御情報を表示する表示灯430を備えている。また、リモートコントローラ400の駆動源として電池450を備えている。
【0056】
リモートコントローラ400の各種操作情報を処理するリモコン制御部500には、操作信号を検出する手段として、操作スイッチ410と設定スイッチ420のスイッチ操作を検出するスイッチ操作検出部510と、第一照度センサ441と第二照度センサ442からのジェスチャ操作信号をデジタル信号化して検出するデジタル検出部520と、ジェスチャ操作信号をアナログ信号として検出するアナログ検出部530とを備えている。デジタル検出部520とアナログ検出部530の詳細は後述する。
【0057】
また、ジェスチャ操作の検出を実施するための他の機能としては、照度センサ440を駆動するセンサ駆動部540と、照度センサ440の感度を調整する感度調整部550を備えている。感度調整部の詳細は後述する。
【0058】
センサ駆動部540は、2個の照度センサ440を間隔をあけて個別に駆動する機能を備えたものである。第一照度センサ441の駆動をT1の時間実施し、その後T2の時間空けて、第二照度センサ442の駆動をT1の時間実施する。次に再びT2の時間空け第一照度センサ441の駆動を行い、このような駆動を繰り返す。センサ駆動部540の時間の計測はリモコン制御部500のタイマ575を用いて行う。照度センサ440の駆動は、使用者がジェスチャ操作をいつされるか分からないため、常に上記の駆動を継続する。
【0059】
上記のように2個の照度センサを同時に駆動する時間が存在しないことにより、それぞれの照度センサ440ごとに操作情報を検出することができるとともに、センサの駆動時間を短くすることでき、消費電流を抑えることが可能となり電池450の消耗を抑制することができる。
【0060】
また、電池450の残量を検出する電池検査部560と、制御情報を表示する表示灯4
30を駆動する表示灯駆動部565と、発光素子439を介して本体200に制御情報を送信する赤外線送信部570と、計時情報を提供するタイマ575を備えており、リモコン制御部500の情報処理機能として主にマイコンで構成される情報処理部580を備えている。
【0061】
上記構成のリモートコントローラ400は、操作手段である操作スイッチ410と設定スイッチ420と第一照度センサ441と第二照度センサ442から入力された入力情報により、どのような操作がされたかを情報処理部で判定し、表示灯駆動部565により所定の表示灯430を点灯させる。また、赤外線送信部570から発光素子439を介して本体200に制御信号を送信し、本体制御部240が便座装置100の各種機能の制御を実施する。
【0062】
<5>感度調整部の構成と作用
図7は感度調整抵抗ごとの検出電圧値の例を示す模式図である。
【0063】
照度センサ440は、明るさの変化に伴って増減する抵抗値の変化を利用して出力電圧値の変化を検出するセンサであるため、実際の操作による明るさの変化だけではなく、トイレルームの明るさの変化、例えば昼間と夜間の時間経過による明るさの変化、電球の種類、物の影や光の当たり方などの要因によって照度センサ440の検出電圧値や感度が大きく変化する。また、照度センサ440自体のバラツキよっても検出電圧値が異なる。
【0064】
トイレルームが暗い時は照度センサ440の出力電圧値が低くなるため、照度センサ440による操作の検出が難しくなる。したがって、感度を決められた一定範囲に保つ必要がある。そのために実際の操作の検出を行う前に基準となる基準電圧を一定範囲に保つように制御することで感度調整を行う。
【0065】
感度調整部550は、照度センサ440の検出情報とセンサ駆動部540の駆動情報により照度センサごとに感度の調整を行うことにより、トイレルームの明るさの変化や照度センサごとの影や光の当たり方による検出電圧のバラツキを補正して検出感度を一定範囲に保つように調整する機能を備えたものである。
【0066】
図6に示すように、感度調整部550は、第一感度調整抵抗551、第二感度調整抵抗552、第三感度調整抵抗553の3個の感度調整抵抗と、感度調整抵抗駆動部554と、検出感度調整部555で構成されている。
【0067】
第一感度調整抵抗551、第二感度調整抵抗552、第三感度調整抵抗553の3個の感度調整抵抗を回路上に実装し、感度調整抵抗駆動部554によって電流を流す抵抗を順番に切り替えながら、それぞれの抵抗使用時にA/Dコンバータ521を介して検出電圧のデジタルデータを検出感度調整部555が取得する。
【0068】
検出感度調整部555は、検出電圧が一定の範囲内であるかを判定し、範囲内にあればその時の検出電圧を基準電圧に設定する。範囲内になければ、感度調整抵抗駆動部554が抵抗値の異なる感度調整抵抗を選択し、再び検出感度調整部555で照度センサ440の出力電圧が範囲内にあるかの判定を行う。本実施の形態においては、3Vから4Vの範囲に検出電圧値があれば、感度調整完了としている。
【0069】
検出電圧値が3Vから4Vの範囲に収まった場合に検出電圧値を駆動した照度センサ440の基準電圧とする。この処理を第一照度センサ441と第二照度センサ442に対して順次行うことで、照度センサ440ごとに使用する感度調整抵抗550と基準電圧を設定することができる。
【0070】
図7は、トイレルームの明るさが少し暗い場合における感度調整抵抗ごとの検出電圧値の例を示すものである。
【0071】
この明るさの場合、第一感度調整抵抗551を使用した場合の出力値は4V以上であり、第二感度調整抵抗552を使用した場合の出力値は約3.8Vであり、第三感度調整抵抗553を使用した場合の出力値は3V以下となっている。
【0072】
したがって、検出感度調整部555は第二感度調整抵抗552を使用した場合の3.8Vを範囲内であると判定し、基準電圧が3.8Vと設定される。
【0073】
また、基準電圧が3.8Vに設定されるとともに、ジェスチャ操作の判定に使用される閾値は基準電圧より1V低い、2.8Vに設定される。
【0074】
トイレルーム内で想定できる様々な照度状況や照度センサ440のバラつきから感度の最低条件と最高条件を算出し、その範囲に収まるように、実装している第一感度調整抵抗551、第二感度調整抵抗552、第三感度調整抵抗553の3個の抵抗値を設定している。
【0075】
しかしながら、照度センサ440のバラツキや、想定以上の使用環境の場合で3Vから4Vの範囲の規定範囲に入らない場合は、最も近い感度調整抵抗550を使用する。
【0076】
このように、デジタル検出部520と感度調整部550によって、様々な要因によって刻一刻と照度環境が変化するトイレルームにおいて、照度センサを用いた非接触操作を誤認知することなく検出可能とすることができる。
【0077】
<6>アナログ検出部の構成と作用
アナログ検出部530は、リモートコントローラ400が使用されない待機状態において電力消費の大きいA/Dコンバータ521をできるだけ休止させることにより消費電力を低減させ、電池450の消耗を抑制することを目的とするものである。
【0078】
ジェスチャ操作の初期段階において、比較回路を用いてアナログ処理により使用者の非接触操作を検出し、アナログ検出部で非接触操作が検出された場合にはデジタル検出部520を起動させてジェスチャ操作を正確に検出するものである。
【0079】
なお、アナログ検出部で非接触操作を検出する検出モードを「低速モード」と称し、デジタル検出部でジェスチャ操作を検出する検出モードを「高速モード」と称する。
【0080】
図6に示すように、アナログ検出部530は、比較回路531と、動作モード切替判定部532と、3個の閾値調整抵抗533と、閾値調整抵抗駆動部534で構成されている。
【0081】
駆動中の照度センサ440と照度センサごとに設定されている低速モードに切り替わる直前の感度調整抵抗550によって、図6に示す比較回路531の反転入力端子531bに照度センサ440の検出電圧が入力される。一方、非反転入力端子531aには、非接触操作を検出する検出閾値が入力される。
【0082】
比較回路531は、反転入力端子531bにかかる電圧が、非反転入力端子531aにかかる電圧より低くなったことを検出できるため、非反転入力端子531aにかかる電圧を非接触操作の検出閾値とすることで、非接触操作が行われたことを検出できる。
【0083】
検出電圧が非接触操作の検出閾値以下になった場合、比較回路531の出力が変化し、その出力を動作モード切替判定部532が受け、情報処理部580に高速モードに切り替わるよう命令を出す。その後、後述のデジタル検出部520を使用した高速モードでジェスチャ検出を行う。
【0084】
反転入力端子531bに入力されている照度センサ440の検出電圧は、<5>感度調整部の構成と作用の項で記載したように、トイレルームの明るさや照度センサ440のバラツキ等によって変化する。検出電圧が変化した場合、非反転入力端子531aに入力される検出閾値も同様に変化させる必要がある。検出閾値を変化させなければ、環境変化によって検出電圧が低くなった場合、検出閾値よりも照度センサ440の検出電圧が低くなり、非接触操作されたと誤検知する可能性がある。
【0085】
アナログ検出部530には上記課題を解決するために、閾値調整機能を備えている。閾値調整機能は3個の閾値調整抵抗533と閾値調整抵抗駆動部534で構成されており、電流を流す閾値調整抵抗533を閾値調整抵抗駆動部534で選択することによって、非反転入力端子531aへの入力電圧を変化させている。
【0086】
本実施の形態では、前述の感度調整部550で3V〜4Vの範囲に出力電圧が入るように調整している。したがって、感度調整後の照度センサ440の出力電圧は最大で1Vの幅を持っている。そのため、検出閾値は基準電圧より1V低い2V〜3Vの範囲となるように閾値調整抵抗駆動部534で閾値調整抵抗533を選択する。
【0087】
また、便座装置を使用しない待機状態においては、タイマ575を用いて1時間の間隔でに動作モードを低速モードから高速モードに切り替え、感度調整部550で照度センサ440の感度調整を行い、感度調整部550による感度調整が終了した後に、照度センサ440の出力電圧から閾値調整抵抗駆動部534で適切な閾値調整抵抗533を選択する。
【0088】
図7において、基準電圧が変化すれば検出閾値も同様に変化させることで、高速モードのデジタル検出部520と同じように低速モードでも非接触操作の検出が可能となることを示している。
【0089】
電圧が基準電圧よりもちょうど1V低くなる抵抗が無い場合は、最も近い値になるものを選択する。
【0090】
<7>デジタル検出部の構成と作用
図8はジェスチャ操作認識のフローチャートである。図9は照度センサのジェスチャ操作による出力電圧の時間的変化を示すグラフである。
【0091】
図6に示すように、デジタル検出部520はA/Dコンバータ521とジェスチャ操作検出部522で構成されている。
【0092】
ジェスチャ操作を検出する高速モードでは、センサ駆動部540、照度センサ440、複数の感度調整抵抗550、感度調整抵抗駆動部554、デジタル検出部520を使用してジェスチャ操作の検出を行う。
【0093】
図8および図9に示すように、ジェスチャ操作検出部522が第一照度センサ441の電圧が基準電圧から1V下がったことを検出した時点(図9のA点)で、タイマ575をカウント開始し、電圧が1Vより低い時間がT3(本実施の形態の場合、1/1000秒
)持続した時点(図9のB点)で、第一照度センサ441に対する非接触操作が行われたことが確定する。第一照度センサ441の非接触操作が確定すると同時に、タイマ575がB点から再びカウント開始する。
【0094】
次に第二照度センサ442が第一照度センサ441と同様に、出力電圧が基準電圧より1V下がったことを検出した時点(図9のC点)で、タイマ575をカウント開始し、電圧が1Vより低い時間がT3(本実施の形態の場合、1/1000秒)持続した時点(図9のD点)で、第二照度センサ442が第一照度センサ441の後に非接触操作されたことが確定する。
【0095】
先に反応した第一照度センサ441の非接触操作確定時(図9のB点)から、後に反応した第二照度センサ442の非接触操作確定時(図9のD点)までの時間T4が、所定の時間T5〜T6(本実施の形態においては、1/100秒以上で5/100秒未満)に該当した場合はジェスチャ操作がされたことを確定する。
【0096】
T4の時間は、第一照度センサ441と第二照度センサ442が同時に非接触操作されておらず、ジェスチャ操作がされているかを確認するために設定している。第一照度センサ441の非接触操作確定から第二照度センサ442の非接触操作確定までの期間がT5(本実施の形態においては、1/100秒)以下となる場合、ジェスチャ操作ではないと判定する。また、第一照度センサと第二照度センサの検出の時間差がT6(本実施の形態においては、5/100秒)以上の場合も、ジェスチャ操作されたのではないと判断する。
【0097】
上記のように、第一照度センサ441から第二照度センサ442の順で検出されたジェスチャ操作は、使用者が手を上から下に振り下ろしたジェスチャを検出したことになり、このジェスチャは使用者が便座220を倒置する操作であると判定し、情報処理部580は赤外線送信部570と発光素子439を介して、振り下ろしジェスチャの検出情報を本体200の本体制御部に240の送信し、本体制御部240は便座便蓋回動機構215を駆動して便座220を倒置させる。
【0098】
上記とは逆に、第二照度センサ442から第一照度センサ441の順でジェスチャ操作が検出された場合は、使用者が手を下から上に振り上げたジェスチャを検出したことになり、このジェスチャは使用者が便座220を起立させる操作であると判定し、情報処理部580は赤外線送信部570と発光素子439を介して、振り上げジェスチャの検出情報を本体200の本体制御部に240の送信し、本体制御部240は便座便蓋回動機構215を駆動して便座220を起立させる。
【0099】
<8>リモートコントローラの動作および作用
図10はリモートコントローラの待機状態におけるフローチャートである。
【0100】
待機状態においては、通常はA/Dコンバータ521を有するデジタル検出部520は休止させ、アナログ検出部530のみが動作する状態を維持し、1時間の間隔でデジタル検出部520を起動させて感度調整を実施する。
【0101】
図10に示すように、デジタル検出部520を起動させ、前回の感度調整から1時間経過しているかを確認する。1時間経過していなければ感度調整を終了する。
【0102】
1時間経過している場合は、A/Dコンバータ521によりA/D変換された照度センサ410の出力電圧を確認する。駆動中の照度センサ410(例えば、第一照度センサ411)が感度調整を完了しているかを判断し、感度調整が完了していれば、処理の先頭に
戻り、次の照度センサ410(例えば、第二照度センサ412)が感度調整を完了しているか確認する。
【0103】
第二照度センサ412の感度調整が完了しておらない場合、第二照度センサ412の出力電圧が3V〜4Vの範囲であれば、第二照度センサ412は感度調整が完了しているとして、感度調整抵抗駆動部で駆動する感度調整抵抗が決定される。
【0104】
一方、第二照度センサ412の出力電圧が3V〜4Vの範囲外にある場合で、出力電圧が3Vより低い場合、現在駆動させている感度調整抵抗(例えば、第二感度調整抵抗552)より抵抗値の大きい感度調整抵抗(例えば、第一感度調整抵抗551)を駆動する。なお、最も抵抗値が大きい第一感度調整抵抗551を選択しても出力電圧が3Vより低い場合は第一感度調整抵抗551を使用する感度調整抵抗として確定する。
【0105】
また、出力電圧が4Vより高い場合、現在駆動している感度調整抵抗(例えば、第二感度調整抵抗552)より抵抗値の小さい感度調整抵抗(例えば、第三感度調整抵抗553)を駆動する。なお、最も抵抗値が小さい第三感度調整抵抗553を選択しても出力電圧が4Vより高い場合は第三感度調整抵抗553を使用する感度調整抵抗として確定する。
【0106】
上記の動作により、出力電圧が3V〜4Vの範囲に入った状態で感度調整完了とし、アナログ検出部530のみが動作する「低速モード」の状態で待機する。
【0107】
使用者がトイレルームに入室し、リモートコントローラ400が操作された場合で、操作スイッチ410または設定スイッチ420が操作された場合は、スイッチ操作検出部510が操作内容を検出し、スイッチ操作検出部510の検出データを情報処理部580で判定し、判定した操作信号を赤外線送信部570と発光素子439を介して本体200に送信する。
【0108】
本体200の赤外線受信部262に受信した操作信号は、本体制御部で操作信号の内容を判定し、該当する衛生洗浄装置の機構を駆動または設定を実施する。
【0109】
一方、第一照度センサ441または第二照度センサ442のいずれかが、非接触操作を検出した場合、動作モード切替判定部532は切替情報を情報処理部580に送信し、情報処理部580はA/Dコンバータ521有するデジタル検出部522を起動させて「高速モード」に切り替え、ジェスチャ操作が検出可能な状態にする。
【0110】
この状態で、前記のように例えば手を下から上に振り上げたジェスチャを検出した場合、このジェスチャは使用者が便座220を開ける操作であると判定し、情報処理部580は赤外線送信部570と発光素子439を介して、振り上げジェスチャの検出情報を本体200の本体制御部に240の送信し、本体制御部240は便座便蓋回動機構215を駆動して便座220を起立させる。
【0111】
また、手を上から下に振り下ろしたジェスチャを検出したことになり、このジェスチャは使用者が便座220を閉じる操作であると判定し、情報処理部580は赤外線送信部570と発光素子439を介して、振り下ろしジェスチャの検出情報を本体200の本体制御部に240の送信し、本体制御部240は便座便蓋回動機構215を駆動して便座220を倒置させる。
【0112】
なお、便座220の開閉操作に関しては、上記ジェスチャ操作によらず、使用者が便座開スイッチ415または便座閉スイッチ416を操作した場合には、ジェスチャ操作より優先して実施される。
【0113】
なお、「低速モード」から「高速モード」への切り替えは、リモートコントローラ400に対して操作がなされた場合であり、上記の非接触操作を検出した場合と、操作スイッチ410および設定スイッチ420が操作された場合に切り替えられる。
【0114】
また、「高速モード」から「低速モード」への切り替えは、リモートコントローラ400の操作が終了してから3分後に切り替えられる。
【0115】
上記のように本実施の形態における衛生洗浄装置のリモートコントローラは、消費電力の大きいA/Dコンバータを有するデジタル検出部と、消費電力の小さい比較回路を有するアナログ検出部とを備え、待機状態においてはアナログ検出部のみを起動して電力消費を抑制し、操作時にはデジタル検出部を起動することにより非接触によるジェスチャ操作を正確に実施することにより、リモートコントローラの電源である電池の消耗を抑制し、ジェスチャ操作を長期間に亘り安定して実施することができる。
【0116】
また、本実施に形態のリモートコントローラは、照度センサの検出感度を補正する感度調整部を備え、感度調整部の抵抗を切り替え、周囲の照度変化に対応して検出電圧の基準電圧を変化させることにより、周囲の照度変化を検出する別の環境照度センサを使用しないで周囲の照度変化に対応することが可能となり、設置および駆動する照度センサの数を少なくすることができるので、照度センサが消費する電力を削減することが可能となるとともに部品点数を削減することができるため、省エネルギ性が高いリモートコントローラを簡単な構成で実施することができる。
【0117】
また、本実施に形態のリモートコントローラは、非接触によるジェスチャ操作と、手で直接操作する接触スイッチとを備え、どちらの操作でも同一の操作が可能としたことにより、非接触の操作方法を熟知している使用者は、非接触操作により衛生的に操作を行うことができる。また、非接触の操作方法を熟知していない使用者は、接触スイッチを使用してスイッチ操作を確実に行うことができるので、全ての使用者に使い勝手のより衛生洗浄装置を提供することができる。
【0118】
なお、本実施の形態においては、ジェスチャ操作は便座220の起倒操作を行う便座開スイッチ415および便座閉スイッチ416に対応する便座便蓋回動機構による便座駆動機構にのみ採用したが、これに限るものではなく、洗浄ノズル231の洗浄位置の前後移動の操作を行う洗浄位置スイッチ422に対応するノズル駆動機構の操作、洗浄水の噴出強度を変化させる洗浄強度スイッチ421に対応する流量調節機構等の他の電動機能に対しても採用することができる。
【0119】
上記他の電動機構の構成の場合、ジェスチャ操作時の手のジェスチャ方向は対応する電動機構の動作方向に関連させることが望ましく、例えば上記のノズル駆動機構の操作の場合は、照度センサ440を横方向に配置し、手の横方向の移動により洗浄ノズルを前後に移動させる。また、流量調整機構のジェスチャ操作の場合は、手を上方に移動させた場合は流量を多くし、下方に移動させた場合は流量を少なくする。
【0120】
また、本実施の形態においては、ジェスチャ操作は2個の照度センサ440で使用者の直線的なジェスチャを検出する構成としたが、これに限るものではなく、照度センサ440を3個以上使用し、例えば照度センサを直線ではない位置に配置し、曲線的なジェスチャを検出することにより、使用者のより高度な操作意思を検出することにより、電動機能の設定に使用してもよい。
【0121】
また、本実施の形態においては、感度調整部550の感度調整抵抗とアナログ検出部5
30の閾値調整抵抗533はそれぞれ3個としたが、これに限るものではなく、複数個であれば調整が可能である。抵抗の数を増やせば調整の精度を向上させることができるが、調整に要する時間の増加と部品点数の増加によるコストアップ等を勘案して本実施の形態ではそれぞれ3個を使用した。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、非接触操作を少ない消費電力で実施し電池の消耗を抑制することが可能となるので、電池を電源とする非接触操作を行う他の民生用機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0123】
100 便座装置
110 便器
200 本体
215 便座便蓋回動機構(便座回動機構、電動機能)
220 便座
231 洗浄ノズル(ノズル駆動機構、電動機能)
400 リモートコントローラ
440 照度センサ
441 第一照度センサ(照度センサ)
442 第二照度センサ(照度センサ)
450 電池
500 リモコン制御部(制御部)
520 デジタル検出部
521 A/Dコンバータ
530 アナログ検出部
570 赤外線送信部(送信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に設置され、複数の電動機能を内蔵する本体と、
前記本体とは別体で、前記電動機能を操作する電池を電源とするリモートコントローラと、を含み、
前記リモートコントローラは照度センサ備え、前記照度センサの検出電圧の変動により、使用者の身体部位の近接を検出し、前記電動機能の操作動作を検出する制御部と、前記制御部の制御信号を前記本体に送信する送信部と、を備え、
前記制御部は、前記照度センサの検出信号をアナログ信号の状態で検出するアナログ検出部と、前記検出信号をデジタル変換するA/Dコンバータを備えたデジタル検出部と、を備え、
前記照度センサが使用者の近接を検出しない状態では前記アナログ検出部を駆動し、前記アナログ検出部が使用者の近接を検出したら前記デジタル検出部を駆動することを特徴とした、
便座装置。
【請求項2】
前記リモートコントローラは、少なくとも2個の照度センサをセットとして備え、前記制御部は前記照度センサの検出電圧の変動と時間差により、使用者の身体部位の接近と動きの方向を検出し、前記電動機能を操作することを特徴とした、
請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記本体は、便座を回動させる便座駆動機構と、洗浄ノズルの洗浄位置を移動させるノズル駆動機構と、洗浄水の噴出強度を変化させる流量調節機構のうち少なくとも1個の電動機能を備え、
前記照度センサの検出電圧の変動と時間差により、使用者の身体部位の接近と動きの方向を検出し、対応する前記電動機能を設定した方向に駆動することを特徴とした、
請求項2に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−106754(P2013−106754A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253492(P2011−253492)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】