説明

便採取容器

【課題】コストが安く、検査の精度および再現性の良い、特に液状の下痢便を採取するのに適した採便容器を提供する。さらに、ウイルスや細菌に感染する虞がない便採取容器も提供することを目的とする。
【解決手段】基端に把持部11を有し、先端に便採取部12を有し、かつ、管状部材に挿通される採便棒1と、前記採取棒1を進退自在に挿通する両端の開放した管状部材2と、先端に容易に開放可能な閉鎖手段43で閉鎖された滴下部33を備えた容器本体3とを含み、前記採便棒外壁と前記管状部材内壁が液密に係合するとともに、前記管状部材2の先端部と前記容器本体3の基端部が液密に係合する便採取容器であって、前記採取棒1の便採取部12に略円筒管状の液吸収部材121を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査用試料、特に潜血や酵素、ウイルス等を検出するための試料として用いられる便を採取し、かつその定量を容器内の便溶解用緩衝液に入れて懸濁液にした状態で輸送するのに便利な採便容器に関する。
【背景技術】
【0002】
便潜血検査は、大腸癌や直腸癌のスクリーニングのために広く利用されている。一般には、家庭で採取された便を基に、病院で検体を作って検査している。ラテックスを用いた定性的な分析では、検体作成に際して便の量の規制があるため、指定された採便棒を利用しているが、採便棒を用いても正確な量の便を採取することが難しく、従来は便を採取した後、採便棒を紙などで拭いたりして余分の便を取り去っていた。
【0003】
しかしながら、便は汚く、また臭いが強いものであり、紙などで拭き取る際に間違って便が手などに付着することがあり、また検体容器のキャップを開けて採便棒に採るため検体の作成者は悪臭に悩まされることが多く問題であった。また、便溶解用緩衝液の収容された従来の検体容器では、特に高齢者などの一部の被験者の場合、便採取後に蓋体を閉めたつもりでも、完全に閉め切れず、輸送の途中で液漏れが発生することがあった。
【0004】
そこで上記の様な問題を解決するものとして、実開平2−140468号公報に示される採便容器が提案されている。この採便容器は、先端に滴下部を有する細長い容器本体をスティック付きの蓋体で密封したものであり、容器本体の内部にスティック挿通孔を有するゴム栓を固定し、蓋体と容器本体の間をOリングでシールし、滴下部の内部にモルトとフィルターを設けたことを特徴としており、ゴム栓の挿通孔にスティックを挿通してスティックに付着している余分な便を拭い取るようになっている。しかし、この採便容器も、ゴム栓が高価な上、わざわざ容器本体内にゴム栓を固定しなければならないため、採便容器のコストが高くなること、便の懸濁液を滴下する際に滴下部の密封部を穿孔機で穿孔する必要があるため、手間が掛かる上、手を汚す虞があること、また穿孔機を一回毎に洗浄する必要があること、などの欠点を有している。
【0005】
そこで、上記実開平2−140468号公報の採便容器の欠点を改良するものとして、特開平6−186227号公報に示されるような、液体を含む容器本体と、採便棒を備えた蓋体と、滴下部とを含んでなり、容器本体の上部に設けた分離壁で採便棒の余分な便試料を拭い去ることができるようにするとともに、滴下部の先端の薄肉端面を穿孔することにより、液体で溶解された便試料を容器本体の下部に設けたフィルターで濾過し、定量的に滴下できるようにした採便容器や、特開平8−292189号公報に示されるような、中間部が薄膜で閉鎖された液体を含む容器本体と、試料採取手段と、容器本体の下部を閉鎖するキャップ部材を含んでなり、薄膜を試料採取手段の試料採取部によって突き破った時に試料採取手段の余分な便試料を拭い去ることができるようにするとともに、キャップ部材に設けたノズルの閉鎖部を除去することにより、定量的に検体濾過液を判定用クロマト上に滴下できるようにした採便容器が提案されている。また、特開平11−316222号公報に、ウイルスや細菌に感染する虞がなく、検査の精度および再現性の良い便採取容器が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの採便容器は、何れも固形状の便の採取には適しているが、液状の下痢便を採取するのには適しておらず、特に細菌に感染して下痢をしている患者の細菌を検出するのに適した採便容器が必要になっている。
また、これらの採便容器は、便の付着した採便棒の先端が露出した状態になっているため、便試料を採取後懸濁液で懸濁するまでの間に作業者の手や周囲を汚す虞があり、また、便の付着した採便棒を懸濁液の収容された容器に挿入する際に誤って容器の外壁に便を付着させてしまうことがあるため、手間が掛かるものである上、不潔であり、ウイルスや細菌に感染する虞があった。
【特許文献1】特開平6−186227号
【特許文献2】特開平8−292189号
【特許文献3】特開平11−316222号
【特許文献4】実開平2−140468号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、従来のものよりコストが安く、検査の精度および再現性の良い、特に液状の下痢便を採取するのに適した採便容器を提供することを目的とする。さらに、ウイルスや細菌に感染する虞がない便採取容器も提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、従来の採便棒に液吸収部材を備えることに想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、両端が開口した先端に滴下部を有する管状の容器本体と、基端に把持部を有し先端に便採取部を有する採便棒と、先端に前記採便棒で刺通可能な閉鎖膜が設けられ、基端が前記採取棒を進退および着脱自在にするよう開口している管状の管状部材とを含んでなり、前記容器本体の内部に便溶解用緩衝液室を設けるために、前記容器本体の後端部が前記管状部材の先端部により液密に連結され、前記容器本体の滴下部が閉鎖手段により液密に閉鎖される便採取容器において、前記便採取部が、先端が閉鎖膜を刺通するための突起と、前記突起に隣接して基端側に回動自在に取り付けられた略円筒管状の液吸収部材、とから成ることを特徴とする便採取容器である。
【0009】
ここで、液吸収部材は、可撓性の連続発泡成形体であっても、可撓性の焼結成形体であっても、吸水性繊維であっても良い。また、液吸収部材が採取棒の便採取部に回動自在に取り付けられている。さらに、管状部材の先端部が採便棒で刺通可能な閉鎖膜で閉鎖されている。または、容器本体の基端部が採便棒で刺通可能な閉鎖膜で閉鎖されている。加えて、採取棒の先端に閉鎖膜を刺通するための突起を設けた。また、滴下部の閉鎖手段は容易に破断可能な薄膜であっても、脆弱部で容易に捩り切り可能な閉鎖体であっても、キャップであっても良い。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、本発明の便採取容器を採用することにより、1種類の便採取容器で硬い便から液状の下痢便まで採取することができるので便利である。また、従来検出の難しかった細菌に感染して下痢をしている患者についても、下痢便を採取して細菌の検出をすることができる。また、採便棒に備えられる液吸収性部材が回動するので、硬い便の表面から効率よく便を採取することが出来る。更には、採便棒を管状部材の中で前進または後退させることにより便採取部を管状部材から露出または管状部材に収容することができるので、便採取後に管状部材を容器本体に取り付けるまでの間、便採取部を管状部材内に収容することにより、便試料による汚染を回避することができる。また、容器本体の閉鎖膜を刺通して採便棒の便採取部を容器本体内に挿入するようになっているので、便採取部が閉鎖膜を刺通する間に、採取された余分な便試料が除去されて定量の便試料が容器本体内に採取される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の便採取容器を、図面を用いて具体的に説明する。図1は本発明の便採取容器における第1の実施例を示す縦断面図であり、図2は図1に示す採便棒の側面図、図3は図2のA部分の拡大断面図、図4は図1に示す便採取容器の、採便棒により閉鎖膜を刺通した状態を表す縦断面図、図5は本発明の便採取容器における第2の実施例を示す縦断面図であり、図6は図5に示す採便棒と管状部材の便採取時における状態を示す図である。図7は図6において採便棒を後退させた状態を示す図である。図8は図5において採便棒を容器本体内に挿入させた状態を示す図である。図9は本発明の便採取容器における滴下部の他の実施例を示す断面図である。図10は本発明の便採取容器における滴下部の他の実施例を示す断面図である。図11は本発明の便採取容器における採便棒の突起を示す側面図である。
【実施例1】
【0012】
本発明の便採取容器は、採便棒(1)と管状部材(2)と容器本体(3)を含んでなり、管状部材(2)は採便棒(1)を進退自在に挿通可能なように基端が開放しており先端が採便棒(1)で刺通可能な閉鎖膜(25)で閉鎖され、容器本体(3)は先端には容易に開放可能な閉鎖手段(4)で閉鎖された滴下部(33)を備えている。そして採便棒(1)の外壁と管状部材(2)の内壁、および管状部材(2)の先端部と容器本体(3)の基端部はそれぞれ液密に係合するようにされている。
【0013】
容器本体(3)は、図1によれば、採便棒(1)により採取された便試料を溶解するための便溶解用緩衝液(図示していない)を収容した管状の容器であり、図1に示すように、基端および先端に各々管状部材(2)の連結部および滴下部(33)を備えている。便溶解用緩衝液室を区画するために基端部及び先端部には液密に管状部材(2)および滴下口用のキャップ(43)が取り付けられ、採取した便が溶解されているかを確認出来る様になっている。採取した便を溶解抽出するための便溶解用緩衝液としては、通常、保存剤として微量のアジ化ナトリウムや塩化アンモニウムを含んだ溶液が採用される。便試料を溶解抽出した検体液は、容器本体(3)の側部を軽くスクイズすることで滴下部(33)を通じて滴下される。筒状部材(2)の先端部と液密に連結するよう、基端部に係合部(32)が設けられており、凹部又は凸部の嵌合するためのアンダーカットやリブが設けられていることが好ましい。また、この連結部は螺合されていても良い。
【0014】
滴下部(33)は、容易に開放可能な閉鎖手段で閉鎖されていれば良く、閉鎖手段は使用時に除去することができるようになっているものであれば良い。このような閉鎖手段としては、図1に示すようなゴムキャップ(43)や、図9に示すような脆弱部(421)で破断可能な閉鎖体(42)、図10に示すような薄膜(41)等が好適に用いられる。尚、キャップ(43)については、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリエステル等の可撓性樹脂の他、ブチルゴムやイソプレンゴム等が採用可能である。
容器本体(3)には好ましくは滴下部(33)に隣接して基端側にフィルタ(34)が設けられており、採取された便試料の中の固形成分を濾過するようになっている。このような部材の材質としては、通常、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリエステル等の透明な可撓性樹脂が好適に採用される。
【0015】
管状部材(2)は、基端が開口し先端が閉鎖膜(25)で閉鎖された管状の部材であり、容器本体(3)と胴径が略同じになるよう形成されることが好ましい。容器本体(3)の基端部と液密に連結するよう、先端部に、容器本体(3)の係合部(32)と係合する係合部(22)が設けられており、凹部又は凸部の嵌合するためのアンダーカットやリブが設けられていることが好ましい。また、この連結部は螺合されていても良い。基端側は採便棒(1)が進退かつ着脱自在に取り付けられることが出来、採便棒(1)により便試料を採取した後に採便棒(1)の先端にある閉鎖膜(15)を容易に刺通することが出来るように、採便棒(1)との連結はねじ構造であることが好ましい。詳しくは、図1によれば通常、管状部材(2)の基端部には採便棒(1)の雄ネジ(13)と螺合する雌ネジ(21)が内壁から突出して設けられており、便採取時および容器本体(3)への便採取部(12)収容時には雄ネジ(13)と雌ネジ(21)が螺合するようになっている。このような部材の材質としては、通常、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリエステル等の透明な軟質の可撓性樹脂が好適に採用される。
【0016】
採便棒(1)は、図2〜3に示すように、基端に便採取に際して手で把持する部分である相対的に大径の把持部(11)を有し、先端に便試料を付着させて採取するための相対的に小径の便採取部(12)を有している。把持部(11)と便採取部(12)の間の部分は管状部材(2)の内径よりやや小さな外径を有しており、その外壁には管状部材(2)の内壁に設けられた後述の雌ネジ(21)と螺合する雄ネジ(13)が設けられている。雌ネジ(21)と雄ネジ(13)の螺合により、採便棒(1)外壁と管状部材(2)内壁の間が液密にシールされる。
便採取部(12)は、便をこすり取る際に折れたり降伏しない程度でありかつ閉鎖膜(25)を刺通可能な、適度に弾性があり、硬度があればよい。
【0017】
便採取部(12)は、先端に突起(15)と、突起(15)に隣接して基端側に回動自在に取り付けられた略円筒管状の液吸収部材(121)から構成される。突起(15)は、閉鎖膜(25)を刺通するために先端が鋭利になっている方が好ましい。突起(15)は、より詳しくは、便採取部が閉鎖膜を刺通する間に採取された余分な便試料が除去(拭い取ら)されて定量の便試料が容器本体内に採取されるために、閉鎖膜を刺通して採便棒の便採取部を容器本体内に挿入するように切開部分を押し拡げる構造になっている。このような構造としては、単純な円錐に限らず、図11に示すように、(a)横断面が十字であったり、(b)星形であったり、(c)切欠や孔が、好適に用いられる。この切欠や孔を適切に設定することにより、硬い便を適量、採取することが出来る。
把持部(11)は、通常、管状部材(2)との間のねじ構造による着脱をスムーズに行うために、つまみ易くするよう把持部(11)の外周壁上に一定間隔隔てて軸方向にリブが設けられている。
【0018】
液吸収部材(121)は柔軟性がある方が好ましく、水様便や下痢便などの液状便を効率よく採取するために、連続発泡成形体や、焼結成形体、紙などの吸水性繊維体が好適に用いられる。このものの形状は円筒状が好ましいが、突起(15)を通過して組み付けが困難な場合には切り込みがあっても良い。また、連続発泡体や焼結成形体の実質的な吸水部である空隙は人種による便の違い等も予想されるので自由に選択することが出来る。採便棒(1)の材質としては、通常、ポリエチレン、ポリプロピレンやポリエステル、ABS等の可撓性樹脂が好適に採用される。また、液吸収性部材(121)は、高分子量ポリエチレンやポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースなどの繊維等が好適に用いられる。
尚、採便棒(1)は使用前には便採取部が閉鎖膜(25)を刺通しない位置に保持されるように、管状部材(2)の基端部の外周壁と採便棒(1)の把持部(11)との外周壁をまたぐように覆うシール等(図示していない)で固定されているのが好ましい。
【0019】
次に本発明の便採取容器の使用について図面を用いて説明する。
懸濁液の調製に際しては、まず採便棒(1)を固定しているシール等(図示していない)を便採取容器から取り外し、採便棒(2)の把持部(11)を回転させて採便棒(1)の雄ネジ(13)を管状部材(2)の雌ネジ(21)から外す。次に、便採取部(12)を下に向けて、検査の対象となる便の表面に宛ってこするようにして便を採取する。
次いで、管状部材(2)の基端の開口部を上に向けてから、採便棒(1)の便採取部(12)を注意深く挿し入れ、採便棒(1)の雄ネジ(14)と管状部材(2)の雌ネジ(21)を螺合して採便棒(1)を前進させ、採便棒(1)で管状部材(2)の閉鎖膜(25)を刺通すれば、便採取部(12)に付着した余分な便試料は拭い取られるので、容器本体(3)内に定量の便試料が採取される。
採便棒(1)の雄ネジ(13)と管状部材(2)の雌ネジ(21)を螺合させれば(図4参照)、採便棒(1)の外壁と管状部材(2)の内壁の間が液密にシールされるので、内部の便溶解用緩衝液で自然溶解され懸濁液にされた便試料(以下、検体という)が漏洩することが無い。滴下部(33)からキャップ(43)を取り外せば、検体を滴下部(33)から滴下させて検査に使用することができる。
【実施例2】
【0020】
本発明の他の便採取容器を、図面を用いて具体的に説明する。
図5に示すように、本発明の便採取容器は、採便棒(1)と管状部材(2)と容器本体(3)を含んでなり、管状部材(2)は採便棒(1)を進退自在に挿通可能なように両端が開放しており、容器本体(3)は基端が採便棒(1)で刺通可能な閉鎖膜(31)で閉鎖され、先端には容易に開放可能な閉鎖手段(4)で閉鎖された滴下部(33)を備えている。そして採便棒(1)の外壁と管状部材(2)の内壁、および管状部材(2)の先端部と容器本体(3)の基端部はそれぞれ液密に係合するようにされている。
【0021】
図1に示される便採取容器とは、閉鎖膜が管状部材(2)ではなく容器本体(3)に備えられており、管状部材(2)が採便棒(1)と一体に着脱自在にされて、便採取部(12)を進退自在に操作することが可能な点で相違する。
懸濁液の調製に際しては、まず管状部材(2)を容器本体(3)から取り外す。次いで、採便棒(1)を固定しているシール等(図示していない)を便採取容器から取り外し、採便棒(2)の把持部(11)を回転させて便採取部(12)を前進させて露出させる。次に、便採取部(12)を下に向けて、検査の対象となる便の表面に宛ってこするようにして便を採取する。続いて、採便棒(1)の雄ネジ(13)を管状部材(2)の雌ネジ(21)から外し、採便棒(1)を後退させて雄ネジ(14)と雌ネジ(21)を螺合すると、図7の様に便採取部(12)が略管状部材(2)の中に収容される。この際、管状部材(2)の便採取部(12)が後退する位置よりも基端側の内壁に環状突起(23)を設けていれば、余分な便が管状部材(2)の基端側に流れてくる虞はない。
【0022】
次に、図5に示すように管状部材(2)の係合部(22)を容器本体(3)の係合部(32)と係合させ(この時管状部材(2)の外壁と容器本体(3)の内壁の間は液密となる)、次いで採便棒(1)の雄ネジ(14)と管状部材(2)の雌ネジ(21)の螺合を外して採便棒(1)を前進させ、採便棒(1)で容器本体(3)の閉鎖膜(31)を刺通すれば、便採取部(12)に付着した余分な便試料は拭い取られるので、容器本体(3)内に定量の便試料が採取される。採便棒(1)の雄ネジ(13)と管状部材(2)の雌ネジ(21)を螺合させれば(図8参照)、採便棒(1)の外壁と管状部材(2)の内壁の間が液密となるので、内部の便溶解用緩衝液で自然溶解され懸濁液にされた便試料(以下、検体という)が漏洩することが無い。滴下部(33)の薄膜41を専用のスパイク(図示していない)等で破断すれば、検体を滴下部(33)から滴下させて検査に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の便採取容器における第1の実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す採便棒の側面図である。
【図3】図2のA部分の拡大断面である。
【図4】図1に示す便採取容器の、採便棒により閉鎖膜を刺通した状態を表す縦断面図である。
【図5】本発明の便採取容器における第2の実施例を示す縦断面図である。
【図6】図5に示す採便棒と管状部材の便採取時における状態を示す図である。
【図7】図6において採便棒を後退させた状態を示す図である。
【図8】図5において採便棒を容器本体内に挿入させた状態を示す図である。
【図9】本発明の便採取容器における滴下部の他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明の便採取容器における滴下部の他の実施例を示す断面図である。
【図11】本発明の便採取容器における採便棒の突起を示す側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 採便棒
11 把持部
12 便採取部
121 液吸収部材
13、14 雄ネジ
15 突起
2 管状部材
21 雌ネジ
22 係合部
23 環状突起
24 雌ネジ
25 閉鎖膜
3 容器本体
31 閉鎖膜
32 係合部
33 滴下部
34 フィルター
41 薄膜
42 閉鎖体
421 脆弱部
43 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端に把持部を有し、先端に便採取部を有し、かつ、管状部材に挿通される採便棒と、前記採取棒を進退自在に挿通する両端の開放した管状部材と、先端に容易に開放可能な閉鎖手段で閉鎖された滴下部を備えた容器本体とを含み、前記採便棒外壁と前記管状部材内壁が液密に係合するとともに、前記管状部材の先端部と前記容器本体の基端部が液密に係合する便採取容器であって、前記採取棒の便採取部に略円筒管状の液吸収部材を設けたことを特徴とする便採取容器。
【請求項2】
前記液吸収部材が、可撓性の連続発泡成形体であることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。
【請求項3】
前記液吸収部材が、可撓性の焼結成形体であることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。
【請求項4】
前記液吸収部材が、吸水性繊維であることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。
【請求項5】
前記液吸収部材が、前記採取棒の便採取部に回動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の便採取容器。
【請求項6】
前記管状部材の先端部が、前記採便棒で刺通可能な閉鎖膜で閉鎖されていることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。
【請求項7】
前記容器本体の基端部が、前記採便棒で刺通可能な閉鎖膜で閉鎖されていることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。
【請求項8】
前記採取棒の先端に、閉鎖膜を刺通するための突起を設けたことを特徴とする請求項1、5〜7のいずれかに記載の便採取容器。
【請求項9】
滴下部の閉鎖手段が、容易に破断可能な薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。
【請求項10】
滴下部の閉鎖手段が、脆弱部で容易に捩り切り可能な閉鎖体であることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。
【請求項11】
滴下部の閉鎖手段がキャップであることを特徴とする請求項1に記載の便採取容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−47042(P2007−47042A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232392(P2005−232392)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】