説明

便秘治療薬およびその製造方法

【課題】プランタゴオバタの種皮を有効成分とする便秘治療薬でありながらも、腸内に溜まった老廃物(滞留便)をスムーズに排出することのできるものを提供すること。
【解決手段】 次の成分(a)および(b)
(a)プランタゴオバタの種皮
(b)下記式(1)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
【化1】
HO−(CO)−(CO)−(CO)−H (1)
(式中、a+cは3〜200、bは5〜67である。)
を含有することを特徴とする便秘治療薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便秘治療薬およびその製造方法に関し、更に詳細には、腸内に溜まった老廃物(滞留便)をスムーズに排出するための便秘治療薬およびその製造方法である。
【背景技術】
【0002】
デトックス(解毒)は一般的に体内の有害なミネラルや毒素を排泄して体内を浄化することをいう。このデトックスは、便秘の解消、サプリメントの摂取、絶食、マッサージ、入浴等により行われる。
【0003】
上記デトックスの一つである便秘の解消には、各種の便秘治療薬が使用されるが、特に近年では、健康志向に伴い、植物由来の成分が利用されてきている。そのような植物由来の成分としては、プランタゴオバタ(Plantago ovata)の種皮が挙げられる。
【0004】
このプランタゴオバタはオオバコ属(Plantaginaceae)オオバコ科(Plantago)の植物で、主にヨーロッパの地中海地方やインド、アメリカで栽培されており、春から秋にかけて白い穂状をつけ秋に黒褐色の種子をつける多年草で、種子の表面(種皮)は粘液質に富み、水気にあたると膨潤する性質を持っている(非特許文献1)。そのためプランタゴオバタの種皮は便秘の治療に好ましいものと考えられている。
【0005】
しかし、膨潤することによって腸壁を刺激し排便を誘導するというプランタゴオバタ種皮の性質上、他の刺激成分と異なり、ただ腸管内に到達するだけでなく製剤が均一に水を吸収し、より高い膨潤性を発揮することがスムーズに排便を行うためには必須であると考えられた。そこで水分散性を良くするための工夫として、例えば、水分散性や速効性を改善するために、糖類を添加したもの(特許文献1)、水溶性高分子及びケイ酸化合物を含有するもの(特許文献2)、油脂中に分散させる方法(特許文献3)、酸化マグネシウムなどを配合するもの(特許文献4)などが知られているが、いずれも充分なものではなく、腸内に溜まった老廃物(滞留便)のスムーズな排出にはさらなる改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平4−30925号公報
【特許文献2】特開2001−220352号公報
【特許文献3】特公平6−72106号公報
【特許文献4】特開2001−199894号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】AlternativeMedline Review, 7(2), 155-159 (2002).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明はプランタゴオバタの種皮を有効成分とする便秘治療薬でありながらも、腸内に溜まった老廃物(滞留便)をスムーズに排出することのできるものを提供することをその課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、プランタゴオバタの種皮と特定の界面活性剤を組み合わせることにより、すばやく均一に水を吸収し、より高い膨潤性を発揮することを見出した。また、本発明者らは、プランタゴオバタの種皮と上記界面活性剤とを混合して便秘治療薬を製造することにより製剤の成型性や製造速度が改善されることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は次の成分(a)および(b)
(a)プランタゴオバタの種皮
(b)下記式(1)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
[化3]
HO−(CO)−(CO)−(CO)−H (1)
(式中、a+cは3〜200、bは5〜67である。)
を含有することを特徴とする便秘治療薬である。
【0011】
また、本発明は プランタゴオバタの種皮と下記式(1)
[化4]
HO−(CO)−(CO)−(CO)−H (1)
(式中、a+cは3〜200、bは5〜67である。)
で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを混合することを特徴とする便秘治療薬の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の便秘治療薬は、服用性に優れ、当該治療薬の膨潤速度や膨潤倍率が高いものであるので腸内に溜まった老廃物(滞留便)をスムーズに排出することができる。また、本発明の便秘治療薬は、スカトールの吸着性にも優れているので、腸内に留まった有害物質の低減とともに排便時の臭いを低減することができる。
【0013】
従って、本発明の便秘治療薬は便秘の治療やデトックスに好適に用いることができる。
【0014】
また、本発明の便秘治療薬の製造方法は、製剤の成型性や製造速度が改善できるので、効率良く便秘治療薬を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の便秘治療薬の成分(a)は、プランタゴオバタの種皮である。このプランタゴオバタの種皮は、水分を吸収して便を適度なやわらかさにし、量(かさ)を増やしてスムーズに排出することができるという作用を有する。このプランタゴオバタの種皮は、本発明の便秘治療薬に成人1回当たりの投与量が、0.375〜5.5g、好ましくは2.0〜5.0gとなるように配合する。
【0016】
また、本発明の便秘治療薬の成分(b)は下記式(1)
[化5]
HO−(CO)−(CO)−(CO)−H (1)
で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである。式中のa+cは3〜200、好ましくは105〜160であり、bは5〜67、好ましくは5〜30である。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、例えば、日油株式会社から販売されているプロノン(登録商標)シリーズや三洋化成工業株式会社から販売されているPEPシリーズが挙げられ、この中でもポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールおよびポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコールが好ましく、特にポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールが好ましい。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、本発明の便秘治療薬中に成人1回当たりの投与量が、1〜333mg、好ましくは10〜50mgとなるように配合する。
【0017】
上記成分(b)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、成分(a)のプランタゴオバタの種皮に対し、質量比で0.002〜0.025で含有させることが好ましい。これらの成分を上記比率で本発明の便秘治療薬に含有させることにより腸内に溜まった老廃物(滞留便)の排出がスムーズとなる。
【0018】
また、本発明の便秘治療薬には、上記成分の他に、更に、次の成分(c)〜(e)
(c)アロエ
(d)ジュウヤク
(e)センナ
からなる群から選ばれる生薬またはその抽出物の少なくとも1種、好ましくは全てを含有させることが好ましい。なお、本明細書において、生薬の抽出物とは、上記生薬から日本薬局方等に記載の常法に従い抽出される液状の抽出物やそれを乾燥させたもの、すなわち、(乾燥)エキス、チンキ等である。
【0019】
上記生薬のうち成分(c)のアロエは、アロエ科(Aloaceae)アロエ属(Aloe)のケープアロエ(Cape Aloe)(アロエフェロックスミラー(Aloe ferox Miller)ともいう)又はこれとアロエ・アフリカーナミラー(Aloe africana Miller)又はアロエスピカータベイカー(Aloe spicata Baker)の雑種の葉から得た液汁を乾燥したものである。このアロエは本発明の便秘治療薬に配合することにより、腸の蠕動運動を亢進し、便をスムーズに排出する作用を付与することができる。また、このアロエは本発明の便秘治療薬中に成人1回当たりの投与量が、原生薬換算(エキス)で150〜380mg、好ましくは185〜375mgとなるように配合する。
【0020】
また、成分(d)のジュウヤクは、ドクダミ科(Saururaceae)ドクダミ属(Houtuynia Thunberg)のドクダミ(Houttuynia cordata)の花期の地上部である。このジュウヤクは本発明の便秘治療薬に配合することにより、老廃物の排出をサポートし、肌荒れを改善する作用を付与することができる。また、このジュウヤクは本発明の便秘治療薬中に成人1回当たりの投与量が、50〜2500mg、好ましくは200〜600mgとなるように配合する。
【0021】
更に、成分(e)のセンナは、ジャケツイバラ科(Caesalpiniaceae)センナ属(Sennna)のカッシアアングスティホリアバール(Cassia angustifolia Vahl)又はカッシアアングスティホリアデリレ(レグミノサエ)(Cassia angustifolia Delile(Leguminosae))の小葉である。このセンナは本発明の便秘治療薬に配合することにより、腸の蠕動運動を亢進し、便をスムーズに排出することができる。また、このセンナは本発明の便秘治療薬中に成人1回当たりの投与量が、センノシドA・Bとして1〜24mg、好ましくは6〜16mgとなるように配合する。
【0022】
また更に、本発明の便秘治療薬には上記成分(a)〜(e)の他に、サンキライ、ガジュツ等の生薬またはその抽出物の1種または2種以上を含有させてもよい。これら生薬のうち、サンキライはサルトリイバラ科(Smilacaceae)シオデ属(Smilax)サンキライ(Smilax glabra)の塊茎であり、吹き出物、肌荒れ等に効果があることが知られている。また、ガジュツはショウガ科(Zingiberaceae)ウコン属(Curcuma)ガジュツ(Curcuma zedoaria)の塊茎であり、食欲不振、消化不良、胃弱、食べ過ぎ、胸焼け等に効果があることが知られている。これらの生薬またはその抽出物を本発明の便秘治療薬に配合することにより、更に、本発明の便秘治療薬は優れたものとなる。また、これらの生薬またはその抽出物は本発明の便秘治療薬中に成人1回当たりの投与量が、30〜3000mg、好ましくは100〜750mgとなるように配合すればよい。
【0023】
上記成分を含有する本発明の便秘治療薬は、上記成分の成人1回当たりの投与量を含むようにする以外は常法により製造することができる。また、これらの製造においては、必要に応じて公知の製剤添加剤などを混合することができる。
【0024】
公知の製剤添加剤としては、アスパルテーム、グリチルリチン酸二カリウム、スクラロース、カンゾウ末等の甘味料、ヒドロキシプロピルセルロース、D−ソルビトール、D−マンニトール、クエン酸ナトリウム水和物、結晶セルロース、還元麦芽糖、白糖、乳糖等の賦形剤、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等の流動化剤、L−メントール等の香料、カラメル、タール色素等の着色料が挙げられる。
【0025】
また、本発明の便秘治療薬の剤形としては、経口製剤であれば特に制限されないが、例えば、カプセル剤、細粒剤、錠剤、速崩壊性剤、散剤、顆粒剤等が挙げられ、特に顆粒剤とすることが好ましい。特に本発明の便秘治療剤の剤形を顆粒剤とする場合には、上記成分(a)と成分(b)を混合した後、押し出し造粒することが好ましく、このように製造された顆粒剤は、すばやく均一に水を吸収し、より高い膨潤性を発揮するものである。
【0026】
斯くして得られる本発明の便秘治療薬は、1日1〜2回、空腹時に服用することにより、便秘を改善することができる。
【0027】
本発明の便秘治療薬の特に好ましい例としては、1日分量として以下のものを含むものが挙げられる。この便秘治療薬は、1日分量を数回分に分けてもよい。
(a)プランタゴオバタの種皮 2〜5g
(b)ポリオキシエチレン(160)ポリ 10〜50mg
オキシプロピレン(30)グリコール
(c)アロエエキス 185〜375mg
(原生薬換算として370〜750mg)
(d)ジュウヤク末 200〜600mg
(e)センノサイドカルシウム 16.5〜44mg
(センノサイドA・Bとして6〜16mg)
【0028】
本発明の便秘治療薬が、上記配合であると、主薬(プランタゴオバタの種皮、アロエおよびセンナ)および佐薬(ジュウヤク)の配合係数が従来の市販便秘薬よりも18〜50%程度高くなり、より強い排便効果が期待できる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、この実施例により本発明は何ら制約されるものではない。
【0030】
実 施 例 1
便秘治療薬の製造(1):
下記表1の処方(1日分)に従い、下記製造方法にて各便秘治療薬を製造した。また、製造した各便秘治療薬の断面を電子顕微鏡で観察した。各便秘治療薬の断面の電子顕微鏡写真を図1〜4に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
<製造方法>
プランタゴオバタ種皮、アロエエキス、センノサイドカルシウム、ジュウヤク末、甘味料の一部、賦形剤の一部を均一に混合し、深江ハイスピードミキサーFS−GS・200E(深江パウレック製)に投入し、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、賦形剤の残りをエタノール、精製水の混合溶媒に溶解した溶液を添加し、3分間練合した。
次に、練合物を縦型造粒機にて押し出し造粒を行い、不二パウダル通気式乾燥機(不二パウダル製)にて乾燥し、徳寿式振動篩(徳寿工作所製)にて粒子を整え、流動化剤、甘味料の残り、香料など加え、よく混合し、目的の造粒物を得た。なお、比較品はポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールを無添加、あるいはショ糖ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステルに代える以外は本発明品1と同様にして製造した。
【0033】
本発明品1は、プランタゴオバタの種皮とポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールとを混合して製造することにより、界面活性剤が無添加の比較品1や異なる界面活性剤を配合した比較品2および3と比較して成形性、製造速度が改善されていた。
【0034】
また、各便秘治療薬の断面の電子顕微鏡観察によれば、本発明品1は界面活性剤の入っていない比較品1、異なる界面活性剤を配合した比較品2および3と比較して、顆粒断面積の空洞が大きくふんわりとしたソフトな顆粒であることがわかった。
【0035】
試 験 例 1
官能試験:
実施例1で製造した各便秘治療薬(本発明品1および比較品1〜3)の服用感を3名のパネラーで自由評価した。
【0036】
<服用感の評価方法>
実施例1で製造した便秘治療薬4品の各1包(1/4日分量)をそれぞれ別のコップに100mLの水にて懸濁し、1分後に鼻をコップに近づけて臭いを嗅いで評価を行った。また、実施例1で製造した便秘治療薬4品の各1包を飲んでもらい飲みやすさの評価を行った。
【0037】
本発明品1は、異臭もなく、異なる界面活性剤を配合した比較品2および3と比較して口腔内での歯などへの付着が改善され、快適な服用感が得られた。一方、比較品2は無臭であるものの口腔内で歯に付着し、服用感が悪く、更に、比較品3は、特有のプラスチック臭があり、口腔内で歯に付着し、服用感が特に悪かった。
【0038】
試 験 例 2
膨潤試験(1):
実施例1で製造した各便秘治療薬(本発明品1および比較品1〜3)について、下記方法により膨潤試験を行った。その結果を図5に示した。
【0039】
<膨潤試験方法>
各便秘治療薬をそれぞれ、30号篩に入れ、フタをして3分間水平に揺り動かしながら時々軽くたたいて振るった。続いて、篩上に残留した資料0.5gを20mLのメスシリンダーに入れ、軽くたたいた後、容量(V1)を読み取った。これに水15mLを壁に伝わらせてメスシリンダーに入れ、軽くたたいて脱気した。その後、1分後、5分後、10分後、20分後および30分後に再び容量(V2)を読み取った。これらの読み取った値から、下記式により膨潤倍率を求めた。
【0040】
[数1]
膨潤倍率=V2/V1
【0041】
図5より、本発明品1は30分後の膨潤倍率が4.2倍であったが、比較品1は3.6倍、比較品2は3.5倍および比較品3は3.5倍であった。また、全便秘治療薬の膨潤倍率は30分後からは時間が経過しても変化しなかった。更に、比較品1〜3が前記膨潤倍率になるのに30分かかったのに対し、本発明品1は比較品1〜3と同等の膨潤倍率になるのに5分程度であった。
【0042】
従って、本発明品1は界面活性剤の入っていない比較品1や界面活性剤の種類が異なる比較品2〜3と比べて膨潤速度や膨潤倍率が高いものであった。
【0043】
試 験 例 3
膨潤試験(2):
実施例1で製造した本発明品1と市販便秘治療薬1および2を用いて実施例1と同様に膨潤倍率の測定を行った。膨潤倍率の測定の結果を図6に示した。なお、市販便秘治療薬1および2は1日量としてプランタゴオバタの種皮2000〜5000mgとセンノシドA・Bとして30〜50mgを含むものである。なお、どちらの市販便秘治療薬にもアロエエキス、ジュウヤク末および界面活性剤は配合されていない。
【0044】
図6より、開始時から30秒ほどで全便秘治療薬はかなり膨潤したが、本発明品1の膨潤速度は市販便秘治療薬1および2よりも高かった。また、全便秘治療薬の膨潤倍率は30分後からは時間が経過しても変化しなかった。30分後の膨潤倍率を比較した結果、本発明品1は市販便秘治療薬1に比べて約1.7倍、市販便秘薬2に比べて約1.2倍膨潤することがわかった。
【0045】
試 験 例 4
スカトールの吸着試験:
実施例1で製造した本発明品1と市販便秘治療薬1および2を用いて下記方法により臭の一つであるスカトールの吸着試験を行った。その結果を図7に示した。
【0046】
<スカトール吸着試験>
50mLのシリコンコートを施したガラス製遠沈管にそれぞれ各便秘治療薬(各々プランタゴオバタ600mg相当量を含有する量に統一)を入れ、スカトール100mgをメタノールにて溶解し20mLとした後、マッキルベイン(McIlvaine)緩衝液(pH7.4)にてスカトール15μg/mLに希釈したもの50mLをガラス製遠沈管に加え、37℃下に1時間ローテーションした。その後、ガラス製遠沈管は2,000rpmで20分間遠心分離を行い、その上清5mLはネジつき試験管に量り取り、さらに、3,000rpmで30分間遠心した。ここで得た上清は0.45μmフィルターでろ過し、ろ液はマッキルベイン緩衝液(pH7.4)にて10倍稀釈した。その100μLに、内標準物質として2−メチルインドール3μg/mLを100μL加えHPLCにてスカトールを定量した。
【0047】
図7より、本発明品1は20.4±1.8%、市販便秘治療薬1は17.8±0.8%および市販便秘治療薬2は12.9±1.1%のスカトール吸着率であった。Tukey型多重比較検定において、本発明品1は他の市販便秘治療薬より有意な吸着率を示した。
【0048】
試 験 例 5
服用試験:
便秘で悩んでいる10名のパネラーに、実施例1で製造した本発明品1を1日2回、1回1〜2包をコップ一杯の水またはぬるま湯と一緒に4日間服用してもらった。服用後、症状の改善の効果、効果の速効性、飲みやすさ、味、全体的なバランスについて評価してもらった。その結果を以下に示す。
【0049】
<症状の改善の効果評価>
(評価) (人数)
満足 2人
やや満足 6人
どちらでもない 1人
やや不満 1人
不満 0人
【0050】
<効果の速効性>
(評価) (人数)
満足 0人
やや満足 8人
どちらでもない 0人
やや不満 0人
不満 2人
【0051】
<飲みやすさ>
(評価) (人数)
飲みやすい 6人
普通 3人
飲みにくい 1人
【0052】
<味>
(評価) (人数)
好き 3人
普通 6人
変更して欲しい 1人
【0053】
<全体的なバランス>
(評価) (人数)
満足 2人
やや満足 7人
どちらでもない 0人
やや不満 1人
不満 0人
【0054】
以上の結果より、本発明の便秘治療薬は、症状の改善の効果、効果の速効性、飲みやすさ、味、全体的なバランスに優れたものであった。
【0055】
実 施 例 2
便秘治療薬の製造(2):
下記の処方(1日分)に従い、実施例1と同様にして便秘治療薬(本発明品2)を製造した。
【0056】
(処方)
成分 含有量(mg)
プランタゴオバタの種皮 4000
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン 20
(30)グリコール1)
アロエエキス2) 375
ジュウヤク末 500
センノサイドカルシウム3) 40
甘味料 100
賦型剤 500
流動化剤 24
香料 適量
1)プロノン♯188P(日油株式会社製)
2)原生薬換算として750mg
3)センノシドA・Bとして14.4mg
【0057】
本発明品2は本発明品1と同様に症状の改善の効果、効果の速効性、飲みやすさ、味、全体的なバランスに優れたものであった。また、本発明品2の膨潤試験を試験例2と同様にして行い、水を入れた後1分の膨潤倍率を求めたところ2.4倍であった。
【0058】
実 施 例 3
便秘治療薬の製造(3):
下記の処方(1日分)に従い、実施例1と同様にして便秘治療薬(本発明品3)を製造した。
【0059】
(処方)
成分 含有量(mg)
プランタゴオバタの種皮 3000
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン 15
(30)グリコール1)
アロエエキス2) 300
ジュウヤク末 500
センノサイドカルシウム3) 40
サンキライ末 150
甘味料 30
賦型剤 220
流動化剤 24
香料 適量
1)プロノン♯188P(日油株式会社製)
2)原生薬換算として600mg
3)センノシドA・Bとして14.4mg
【0060】
本発明品3は本発明品1と同様に症状の改善の効果、効果の速効性、飲みやすさ、味、全体的なバランスに優れたものであった。また、本発明品3の膨潤試験を試験例2と同様にして行い、水を入れた後1分の膨潤倍率を求めたところ2.2倍であった。
【0061】
実 施 例 4
便秘治療薬の製造(4):
下記の処方(1日分)に従い、実施例1と同様にして便秘治療薬(本発明品4)を製造した。
【0062】
(処方)
成分 含有量(mg)
プランタゴオバタの種皮 3000
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン 15
(30)グリコール1)
アロエエキス2) 300
ジュウヤク末 500
センノサイドカルシウム3) 40
甘味料 30
賦型剤 270
流動化剤 24
香料 適量
1)プロノン♯188P(日油株式会社製)
2)原生薬換算として600mg
3)センノシドA・Bとして14.4mg
【0063】
本発明品4は本発明品1と同様に症状の改善の効果、効果の速効性、飲みやすさ、味、全体的なバランスに優れたものであった。また、本発明品4の膨潤試験を試験例2と同様にして行い、水を入れた後1分の膨潤倍率を求めたところ2.4倍であった。
【0064】
実 施 例 5
便秘治療薬の製造(5):
下記の処方(1日分)に従い、実施例1と同様にして便秘治療薬(本発明品5)を製造する。
【0065】
(処方)
成分 含有量(mg)
プランタゴオバタの種皮 4000
ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン 20
(5)グリコール1)
アロエエキス2) 375
ジュウヤク末 500
センノサイドカルシウム3) 40
甘味料 112
賦型剤 500
流動化剤 24
香料 適量
1)PEP−101(三洋化成工業)
2)原生薬換算として750mg
3)センノシドA・Bとして14.4mg
【0066】
本発明品5は本発明品1と同様に症状の改善の効果、効果の速効性、飲みやすさ、味、全体的なバランスに優れたものとなる。
【0067】
実 施 例 6
便秘治療薬の製造(6):
下記の処方(1日分)に従い、実施例1と同様にして便秘治療薬(本発明品6)を製造する。
【0068】
(処方)
成分 含有量(mg)
プランタゴオバタの種皮 3000
ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン 15
(5)グリコール1)
アロエエキス2) 300
ジュウヤク末 500
センノサイドカルシウム3) 40
甘味料 30
賦型剤 270
流動化剤 24
香料 適量
1)PEP−101(三洋化成工業)
2)原生薬換算として600mg
3)センノシドA・Bとして14.4mg
【0069】
本発明品6は本発明品1と同様に症状の改善の効果、効果の速効性、飲みやすさ、味、全体的なバランスに優れたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の便秘治療薬は、腸内に溜まった老廃物(滞留便)をスムーズに排出することができるので、便秘の治療やデトックスに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1で製造した本発明品1の断面の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で製造した比較品1の断面の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で製造した比較品2の断面の電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で製造した比較品3の断面の電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例1で製造した本発明品1および比較品1〜3について膨潤倍率を測定 した結果を示す図面である。
【図6】実施例1で製造した本発明品1および市販便秘治療薬1および2について膨潤倍率を測定した結果を示す図面である。
【図7】実施例1で製造した本発明品1および市販便秘治療薬1および2についてスカトールの吸収試験を行った結果を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)および(b)
(a)プランタゴオバタの種皮
(b)下記式(1)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
[化1]
HO−(CO)−(CO)−(CO)−H (1)
(式中、a+cは3〜200、bは5〜67である。)
を含有することを特徴とする便秘治療薬。
【請求項2】
更に、次の成分(c)〜(e)
(c)アロエ
(d)ジュウヤク
(e)センナ
からなる群から選ばれる生薬またはその抽出物の少なくとも1種を含有するものである請求項1記載の便秘治療薬。
【請求項3】
成分(b)が、成分(a)に対し、質量比で0.002〜0.025で含有するものである請求項1または2記載の便秘治療薬。
【請求項4】
顆粒剤である請求項1ないし3の何れかに記載の便秘治療薬。
【請求項5】
プランタゴオバタの種皮と下記式(1)
[化2]
HO−(CO)−(CO)−(CO)−H (1)
(式中、a+cは3〜200、bは5〜67である。)
で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを混合することを特徴とする便秘治療薬の製造方法。


【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−106008(P2010−106008A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181512(P2009−181512)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(508293885)共栄製薬工業株式会社 (3)
【出願人】(000102496)エスエス製薬株式会社 (50)
【Fターム(参考)】