説明

促進耐候性試験方法及び促進耐候性試験装置

【課題】促進耐候性試験の光照射以外の各種の要件からの影響をなくし、精度と再現性の良い促進耐候性試方法、及び促進耐候性試験装置を提供すること。
【解決手段】筐体の内部に試料を配置して人工光源からの照射によって促進耐候性試験を行う促進耐候性試験方法において、経時的に照度値を測定し、該経時的な照度値のデータより積算光量を経時的に算出し続け、試験の完了に係る該人工光源の消灯を、事前に設定した一定値に該積算光量が至った際に行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は促進耐候性試方法、及び促進耐候性試験装置に関するものであり、特には、高精度で再現性の高い促進耐候性試方法、及び促進耐候性試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外で用いる製品の耐候性を測定するために、筐体の内部に製品の試料をおいて、一定の強度の光を照射、加熱、結露、各種水の噴射等を一定のプログラムにより行う促進耐候性試験装置が知られている。
このような装置では、光源から試料への光の照射はおおよそ人工光源からなされるが、その照度は前記光照射以外の各種の要件により影響するので、試料側の照度センサーにより照度を測定しつつ、この値を人工光源の制御装置にフィードバックし、人工光源の照度を一定に保つようにすることが知られている。
【0003】
しかし照度センサーにより測定される照度は単位時間当たりの光エネルギー量で示されるため何らかの要因で試験中に照度が変動した場合、瞬間的な照度変動しかとらえられず、変動してから照度が調整されるので結果として照度変動そのものは試料に影響してしまい、試験開始から試験完了までに試料に照射される光エネルギー量の総和を一定に保つことが難しい。そのため、やはり精度と再現性に問題があるということが本発明者らの繰り返し実験により問題であることが判明した。
【特許文献1】特開平9−152398号公報
【特許文献2】特開2006−23169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、促進耐候性試験の光照射以外の各種の要件からの影響をなくし、精度と再現性の良い促進耐候性試方法、及び促進耐候性試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、筐体の内部に試料を配置して人工光源からの照射によって促進耐候性試験を行う促進耐候性試験方法において、経時的に照度値を測定し、該経時的な照度値のデータより積算光量を経時的に算出し続け、試験の完了に係る該人工光源の消灯を、事前に設定した一定値に該積算光量が至った際に行うことを特徴とする促進耐候性試験方法である。
【0006】
またその請求項2記載の発明は、人工光源と、該人工光源の点灯/消灯信号を制御する人工光源制御部と、該点灯/消灯信号を該人工光源制御部から該人工光源に伝達する点灯/消灯信号伝達経路と、試験開始情報を出力する入力装置と、該試験開始情報を該入力装置から該人工光源制御部に伝達する第1試験開始情報伝達経路と、照度値を測定する照度センサーと、該試験開始情報と該照度値から実測積算光量を算出可能とし、試験設定時間と人工光源に設定されている照度値から算出した論理的積算光量を入力可能とし、該実測積算光量と該論理的積算光量が等値となった際に、試験完了情報を出力可能な積算光量計と、該照度値を該照度計から該積算照度計に伝達する照度情報伝達経路と、該試験開始情報を該入力装置から該積算照度計に伝達する第2試験開始情報伝達経路と、該実測積算光量を該人工光源制御部に伝達する実測積算光量情報伝達経路と、該試験完了情報を該積算光量計から該人工光源制御部に伝達する試験完了情報伝達経路と、を有することを特徴とする促進耐候性試験装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、その請求項1,2記載の発明により、本発明に係る促進耐候性試験方法及び促進耐候性試験装置を使用する場合、試験中に照度変動があっても試験開始から試験完了までに試料に照射される光エネルギー量の総和を一定に保つことができるため、精度と再現性に優れたものとなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図面に基づき説明する。図1に本発明の促進耐候性試験装置の一実施例の概要を示す。人工光源1(高圧放電灯、メタルハライドランプなど)は人工光源制御部2と人工光源点灯/消灯信号伝達経路3で接続されており、人工光源制御部2から出力された点灯/消灯信号で点灯/消灯する。
【0009】
人工光源制御部2は入力装置4と第1試験開始情報伝達経路5で接続されており、入力装置4から入力された試験開始情報によって人工光源点灯/消灯信号伝達経路3にオン信号を出力する。
【0010】
照度センサー6は人工光源1から照射される光の照度が測定可能であるように適宜設置されている。照度センサー6自体が促進耐候性試験の光照射以外の各種の要件からの影響を受けないように、かつ試料11と同等の照射条件であるように、試料の近くでかつ透光性のカバーで覆うのが好適であるが、特に方法は限定されない。照度センサー6は積算光量計7と照度情報伝達経路8で接続されており、照度センサー6で測定された照度値は照度情報伝達経路8を通じて積算光量計7に入力される。積算光量計7は入力装置4と第2試験時間情報伝達経路9で接続されており入力装置4から入力された試験時間情報は第2試験時間情報伝達経路9を通じて積算光量計7に入力される。
【0011】
積算光量計7は入力された試験時間情報と人工光源の理論的な照度値から試験開始から試験完了までに照度センサー6に照射される光エネルギー量の総和を算出し、その算出値と測定して得られた照度値を積算した値を比較し、両者が等しくなった時点で積算光量計7と人工光源制御部2を接続している試験完了情報伝達経路10に試験完了情報を出力する機能を有する。積算光量計7から出力された試験完了情報が試験完了情報伝達経路10を通じて人工光源制御部2に入力されると人工光源制御部2は人工光源点灯/消灯信号伝達経路3にオフ信号を出力する。
【0012】
試料11は人工光源1が照射する光エネルギーを効率よく受けるよう適宜設置され、筐体12は係る装置類を適切に運転し維持できるように適宜組み立てられる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の促進耐候性試験及び促進耐候性試験装置は、照度の変動が試験結果の変動を招くことが懸念される促進耐候試験において、試験精度の向上を目指す用途に特に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における促進耐候試験装置の一実施例の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0015】
1…人工光源
2…人工光源制御部
3…人工光源点灯/消灯信号伝達経路
4…入力装置
5…第1試験開始情報伝達経路
6…照度センサー
7…積算光量計
8…照度情報伝達経路
9…第2試験時間情報伝達経路
10…試験完了情報伝達経路
11…試料
12…筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に試料を配置して人工光源からの照射によって促進耐候性試験を行う促進耐候性試験方法において、経時的に照度値を測定し、該経時的な照度値のデータより積算光量を経時的に算出し続け、試験の完了に係る該人工光源の消灯を、事前に設定した一定値に該積算光量が至った際に行うことを特徴とする促進耐候性試験方法。
【請求項2】
筐体の内部に試料を配置して人工光源からの照射によって促進耐候性試験を行う促進耐候性試験装置において、該人工光源の点灯/消灯信号を制御する人工光源制御部と、該点灯/消灯信号を該人工光源制御部から該人工光源に伝達する点灯/消灯信号伝達経路と、試験開始情報を出力する入力装置と、該試験開始情報を該入力装置から該人工光源制御部に伝達する第1試験開始情報伝達経路と、照度値を測定する照度センサーと、該試験開始情報と該照度値から実測積算光量を算出可能とし、試験設定時間と人工光源に設定されている照度値から算出した論理的積算光量を入力可能とし、該実測積算光量と該論理的積算光量が等値となった際に、試験完了情報を出力可能な積算光量計と、該照度値を該照度計から該積算照度計に伝達する照度情報伝達経路と、該試験開始情報を該入力装置から該積算照度計に伝達する第2試験開始情報伝達経路と、該実測積算光量を該人工光源制御部に伝達する実測積算光量情報伝達経路と、該試験完了情報を該積算光量計から該人工光源制御部に伝達する試験完了情報伝達経路と、を有することを特徴とする促進耐候性試験装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−109454(P2009−109454A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284821(P2007−284821)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】