説明

保冷庫及び保冷用物品収納容器

【課題】
保存の必要な物品に対する冷却処理乃至冷凍処理を保存の必要な物品に変色や悪臭が発生しないように行うる
【解決手段】
冷却温度または冷凍温度になされる保冷用室を有し、その壁面に沿って触媒層形成板が配され、その触媒層が光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、保冷用室に臨んで上記触媒層を光照射する光源が配され、保冷用室内に物品載置用棚板が配され、その物品載置用棚板がプラズマ電極板を兼ねまたは物品載置用棚板上にプラズマ電極板が配され、上記保冷用室内に上記プラズマ電極板の対電極板が配されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫、冷凍庫などの保冷庫、及び保存の必要な物品を収容して保冷庫内に入れて用いられる保冷用物品収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食材、生鮮果実、生花などの生鮮品や、生鮮食材に加工が施されて得られた食品などの保存の必要な物品を保存しようとする場合、その保存の必要な物品を冷蔵庫や冷凍庫などの保冷庫内に入れ、その庫内で、保存の必要な物品に対し、冷却処理または冷凍処理を施すことによって、保存の必要な物品から冷却処理または冷凍処理の施された物品を得、その冷却処理または冷凍処理の施された物品を以って保存の必要な物品を保冷庫に保存することが広くなされている。
【0003】
また、保冷庫内で、上述したようにして冷却処理または冷凍処理の施された物品に対し冷却解除処理または解凍処理を施すことによって、冷却処理または冷凍処理の施された物品を冷却処理または冷凍処理の施される前すなわち保冷庫内に保存される前の保存の必要な物品と同様の物品の状態に戻すことも広くなされている。
【0004】
なお、冷却処理または冷凍処理の施された物品を保冷庫外に取り出し、その保冷庫外に取り出された冷却処理または冷凍処理の施された物品に対し、種々の冷却解除処理手段または解凍処理手段乃至方法を用いて、冷却解除処理または解凍処理を施し、冷却処理または冷凍処理の施された物品を冷却処理または冷凍処理の施される前すなわち保冷庫内に保存される前の保存の必要な物品と同様の物品の状態に戻すことも広くなされているが、本発明では保冷庫、または保存の必要な物品を収容して保冷庫内に入れて用いられる保冷用物品収納容器を用いることであるので、このように保冷庫外で冷却処理または冷凍処理の施された物品に対し冷却解除処理または解凍処理を施すことについては、これ以上の詳細説明を省略する。
【0005】
ところで、上述したようにして、保存の必要な物品に対し冷却処理または冷凍処理を施して冷却処理または冷凍処理の施された物品を得、その冷却処理または冷凍処理の施された物品を以って保存の必要な物品を保冷庫に保存する場合、その保存されている冷却処理または冷凍処理の施された物品からそれに対して冷却解除処理または解凍処理を施して冷却処理または冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を得た場合にその物品を変色や悪臭の発生がないまたは変色や悪臭の発生がほとんどない冷却処理または冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の品質を有するものとして効果的に得る、とうことが困難であった。
【0006】
また、上述したようにして、冷却処理または冷凍処理の施された物品に対し冷却解除処理または解凍処理を施すことによって冷却処理または冷凍処理の施された物品を冷却処理または冷凍処理の施される前すなわち保冷庫内に保存される前の保存の必要な物品と同様の物品の状態に戻す場合、その物品を変色や悪臭の発生が冷却処理または冷凍処理の施された物品のそれから進んでいないまたは変色や悪臭の発生が冷却処理または冷凍処理の施された物品のそれからほとんど進んでいない保冷庫内に保存される前の保存の必要な物品と同様の品質を有するものとして効果的に得る、とうことが困難であった。
【0007】
以上のことから、従来、[特許文献1]にもみられるように、保存の必要な物品に対し冷却処理または冷凍処理を施すに当り、保存の必要な物品を交番磁場内に配して保存の必要な物品に交番磁場による微振動を与えることによって保存の必要な物品内に微振動を与えながら、保存の必要な物品に冷却処理または冷凍処理を施し、また、冷却処理または冷凍処理の施された物品に対し冷却解除処理または解凍処理を施すに当り、いま述べた冷却処理または冷凍処理の場合に準じて、冷却処理または冷凍処理の施された物品を交番磁場内に配して冷却処理または冷凍処理の施された物品に交番磁場による微振動を与えることによって冷却処理または冷凍処理の施された物品内に微振動を与えながら、冷却解除処理または解凍処理を施すことがなされている。
【0008】
しかしながら、そのように冷却処理または冷凍処理、乃至冷却解除処理または解凍処理を施したとしても、そして、それによって、保存の必要な物品、乃至冷却処理または冷凍処理の施された物品に、幾分かの活力が与えられるとしても、「冷却処理または冷凍処理の施された物品から冷却処理または冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を変色や悪臭の発生がないまたは変色や悪臭の発生がほとんどない、乃至変色や悪臭の発生が進んでいないまたはほとんど進んでいない冷却処理または冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の品質を有するものとして効果的に得る、とうことが困難であった。」と上述したその困難が解決されるというには程遠いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−61729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、本発明は、「冷却処理または冷凍処理の施された物品から冷却処理または冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を変色や悪臭の発生がないまたは変色や悪臭の発生がほとんどない、乃至変色や悪臭の発生が進んでいないまたはほとんど進んでいない冷却処理または冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の品質を有するものとして効果的に得る、とうことが困難であった。」と上述したその困難を効果的に解決することができる、新規な保冷庫及び保冷用物品収納容器を提案せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願第1番目の発明による保冷庫は、(i)内部の温度が、物品冷却温度または物品冷凍温度になされ、または物品冷却温度または物品冷凍温度になされ且つ物品冷却解除温度または物品解凍温度になされる保冷用室を有し、(ii)上記保冷用室の壁面に沿って、絶縁性表面を有する基板の絶縁性表面上に触媒層を形成している触媒層形成板が配され、または上記保冷用室の壁面が絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上に触媒層が形成され、(iii)上記触媒層が、光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、表面に、上記光触媒粉粒体の表面と上記金属触媒粉粒体の表面とを露呈させており、(iv)上記保冷用室に臨んで、上記触媒層を光照射する光源が配され、(v)上記保冷用室内に、物品載置用棚板が配され、(vi)上記物品載置用棚板が、導電性表面を有していてプラズマ電極板を兼ねており、または絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上にプラズマ電極板が配され、(vii)上記保冷用室内に、上記プラズマ電極板の対電極板が配されている、という構成を有する。
【0012】
本願第2番目の発明による保冷用物品収納容器は、(i)内壁面に沿って絶縁性表面を有する基板の絶縁性表面上に触媒層を形成している触媒層形成板が配され、または内壁面が絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上に触媒層が形成され、(ii)上記触媒層が、光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、表面に、上記光触媒粉粒体の表面と上記金属触媒粉粒体の表面とを露呈させており、(iii)内部に臨んで、上記触媒層を光照射する光源が配され、(iv)内部に、プラズマ電極板とそのプラズマ電極板の対電極板とが配されている、という構成を有する。
【発明の効果】
【0013】
本願第1番目の発明による保冷庫によれば、それを用いて、(i)保存の必要な物品に対し冷却処理を施して保存の必要な物品から冷却処理の施された物品を得、その冷却処理の施された物品を以って保存の必要な物品を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、長期間に亘って、保存の必要な物品として保存された冷却処理の施された物品に冷却解除処理を施して冷却処理の施された物品から冷却処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を得た場合にその物品を変色や悪臭の発生がないまたは変色や悪臭の発生がほとんどないものとして、効果的に保存することができ、また、(ii)冷却処理の施された物品から、冷却処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、より変色や悪臭の発生がないまたはより変色や悪臭の発生がほとんどないものとして、効果的に得ることができる。
【0014】
さらに、(iii)保存の必要な物品に対し冷凍処理を施して保存の必要な物品から冷凍処理の施された物品を得、その冷凍処理の施された物品を以って保存の必要な物品を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、長期間に亘って、保存の必要な物品として保存された冷凍処理の施された物品に解凍処理を施してその冷凍処理の施された物品から冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を得た場合にその物品を変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がないまたは変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がほとんどないものとして、効果的に優れた保存環境で保存することができ、さらに、(iv)冷凍処理の施された物品から、冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、より変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がないまたはより変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がほとんどないものとして、効果的に得ることができるとともに、物品が生鮮果実や生鮮肉である場合、冷却処理乃至冷凍処理にプラズマにより物品の熟成の進行速度を速くすることができる。
【0015】
本願第2番目の発明による保冷庫用物品収納容器によれば、本願第2番目の発明による保冷庫で上述したと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による保冷庫の一例を示す、その前扉(図示せず)側からみた一部が断面図示されている略線図である。
【図2】本発明による保冷用物品収納容器の一例を示す略線的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(i)内部の温度が、物品冷却温度または物品冷凍温度になされ、または物品冷却温度または物品冷凍温度になされ且つ物品冷却解除温度または物品解凍温度になされる保冷用室を有し、(ii)上記保冷用室の壁面に沿って、絶縁性表面を有する基板の絶縁性表面上に触媒層を形成している触媒層形成板が配され、または上記保冷用室の壁面が絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上に触媒層が形成され、(iii)上記触媒層が、光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、表面に、上記光触媒粉粒体の表面と上記金属触媒粉粒体の表面とを露呈させており、(iv)上記保冷用室に臨んで、上記触媒層を光照射する光源が配され、(v)上記保冷用室内に、物品載置用棚板が配され、(vi)上記物品載置用棚板が、導電性表面を有していてプラズマ電極板を兼ねており、または絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上にプラズマ電極板が配され、(vii)上記保冷用室内に、上記プラズマ電極板の対電極板が配されている、という構成を有する本願第1番目の発明による保冷庫を用いて、保存の必要な物品に対し冷却処理または冷凍処理を施して保存の必要な物品から冷却処理または冷凍処理の施された物品を得、その冷却処理または冷凍処理の施された物品を以って保存の必要な物品を、本願第1番目の発明による保冷庫によらない場合に比し、長期間に亘って、保存の必要な物品として保存された冷却処理または冷凍処理の施された物品に冷却解除処理または解凍処理を施してその冷却処理または冷凍処理の施された物品から冷却処理または冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の物品を得た場合にその物品を変色や悪臭の発生がなくまたは変色や悪臭の発生がほとんどないまたは変色や悪臭の発生及び旨み成分(ドリップ)の外部流出がなくまたは変色や悪臭の発生及び旨み成分(ドリップ)の外部流出がほとんどないものとして、効果的に保存する。
【0018】
また、(i)内壁面に沿って絶縁性表面を有する基板の絶縁性表面上に触媒層を形成している触媒層形成板が配され、または内壁面が絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上に触媒層が形成され、(ii)上記触媒層が、光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、表面に、上記光触媒粉粒体の表面と上記金属触媒粉粒体の表面とを露呈させており、(iii)内部に臨んで、上記触媒層を光照射する光源が配され、(iv)内部に、プラズマ電極板とそのプラズマ電極板の対電極板とが配されている、という構成を有する本願第2番目の発明による保冷用物品収納容器をそれに保存の必要な物品を収容して保冷庫内に入れて用いことで、保存の必要な物品を、本願第1番目の発明による保冷庫を用いる場合で上述したと同様に、保存する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明による保冷庫の一例を全体として符号1で示し、その保冷庫1は、いずれも断熱性を有する左壁1Lと右壁1Rと後壁1Bと底壁1Gと前扉1F(図示せず)と頂壁1Tとを有し、左壁1L及び右壁1R間に、保冷用室2と機器等設置用室3とを機器等設置用室3を上側にして画成するように延長している、ただし保冷用室2及び機器等設置用室3をそれらの前方及び後方で連通させる前後幅を以って延長している棚板4が配されている。
【0020】
保冷用室2内には、保冷庫1の左壁1L、右壁1R及び後壁1Bに沿って、左触媒層形成板5L、右触媒層形成板5R及び後触媒層形成板5Bがそれぞれ配されている。
【0021】
左触媒層形成板5L、右触媒層形成板5R及び後触媒層形成板5Bのそれぞれは、絶縁性表面を有する基板6の絶縁性表面上に触媒層7を形成している構成を有し、その触媒層7が保冷用室2の内側になるように保冷用室2内に配されている。
【0022】
左触媒層形成板5L、右触媒層形成板5R及び後触媒層形成板5Bの触媒層7は、光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、表面に、光触媒粉粒体の表面と金属触媒粉粒体の表面とを露呈させている構成を有する。
【0023】
左触媒層形成板5L、右触媒層形成板5R及び後触媒層形成板5Bの触媒層7の光触媒粉粒体は、二酸化チタン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化銀、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化ストロンチウムなどの金属酸化物の粉粒体、望ましくは二酸化チタンの粉粒体でなり、また、金属触媒粉粒体は、白金、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、亜鉛などの金属の粉粒体、望ましくは白金の粉粒体でなる。
【0024】
また、保冷用室2内には、上述した棚板4に沿って、上述した左触媒層形成板5L、右触媒層形成板5R及び後触媒層形成板5Bの触媒層7をその表面に露呈している光触媒粉粒体が光触媒作用を呈すべく光照射するための光を放射する光発光ダイオード(LED)、蛍光灯などの光源9が、保冷用室2に臨んでいるものとして、配されている。
【0025】
さらに、保冷用室2内には、左前支柱10LFP及び左後支柱10LBPの組と右前支柱10RFP及び右後支柱10RBPの組と、それら左前支柱10LFP及び左後支柱10LBPの組と右前支柱10RFP及び右後支柱10RBPの組とを用いて懸架支持されて左右に延長している複数の物品載置用棚板10Sとを有する物品載置用棚10が設置されている。
【0026】
この場合、物品載置用棚10の複数の物品載置用棚板10Sのそれぞれは、導電性材を用いて、プラズマ電極板15を兼ねるものとして製出されている。また、左前支柱10LFP、左後支柱10LBP、右前支柱10RFP及び右後支柱10RBPも、ともに導電性材で製出され、保冷庫1の底壁1G上に、左前絶縁用材11LF、左後絶縁用材11LB、右前絶縁用材11RF及び右後絶縁用材11RBをそれぞれ介して直立している。
【0027】
なおさらに、保冷用室2内には、保冷庫1の後壁1Bに沿った上部位置において、物品載置用棚10の物品載置用棚板10Sが兼ねているプラズマ電極板15の対電極板(接地電極板)16が配されている。
【0028】
一方、上述した機器等設置用室3内には、上述した棚板4上において、上述した保冷用室2に臨んでいる光源9に駆動用電源を供給するための光源駆動用電源13と、上述したプラズマ電極板15及び対電極板16間にプラズマ発生用交流電源(例えば1000V〜15000V の範囲内の電圧を有する)を供給するためのプラズマ発生用交流電源14とが配され、そして、保冷用室1に臨んでいる光源9が光源駆動用電源13に接続され、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10の物品載置用棚板10Sでなるプラズマ電極板15及び保冷用室1内に配されている対電極板(接地電極板)16がプラズマ発生用交流電源14のホット端子及び接地端子にそれぞれ接続されている。
【0029】
また、機器等設置用室3内には、同様に棚板4上において、作動させることによって、機器等設置用室3内の空気を前面から取込みその空気にプログラム制御を含むそれ自体公知の種々の制御によって制御された熱交換を施して制御された温度と制御された流速乃至流量とを有する冷気を生成しその冷気を後面から機器等設置用室3内に導出するそれ自体は公知の冷気発生機(熱交換機)17が配されている。なお、冷気発生機(熱交換機)17の後面から機器等設置用室3内に導出した冷気は、棚板4の後方を通って保冷用室2内に拡がって下降し、次で上昇し、次で棚板4の前方を通って機器等設置用室3内に戻り、次で冷気発生機(熱交換機)17にその前面から取込まれる。
【0030】
以上が本発明による保冷庫の一例の構成である。
このような構成を有する本発明による保冷庫の一例によれば、それを用いて、次に述べる作用効果を得ることができる。
(1)冷却保存
【0031】
(i)機器等設置用室3内に配されている冷気発生機(熱交換機)17を作動させる。しかるときは、その冷気発生機(熱交換機)17が、その前面から機器等設置用室3内の空気を取込みその空気に制御された熱交換を施して制御された温度と制御された流速乃至流量とを有する冷気を生成し、その冷気を後面から機器等設置用室3内に導出する。その冷気は、棚板4の後方を通って保冷用室2内に拡がって下降し、次で上昇し、次で棚板4の前方を通って機器等設置用室2内に戻り、冷気発生機(熱交換機)17によってその前面から取込まれ。よって、保冷用室1内に、冷気流が得られている状態が得られる。
【0032】
(ii)そして、そのように冷気流が得られている状態が得られてからまたはそのような状態が得られる前から、通常はそのような状態が得られてから、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10の物品載置用棚板10S上に保存の必要な物品20を載置した状態とする。しかるときは、その保存の必要な物品20に対し冷却処理が施され、それによって、保存の必要な物品20から冷却処理の施された物品21を得ることができ、そして、その冷却処理の施された物品21を以って、保存の必要な物品20を保存することができる。
【0033】
(iii)この場合、冷気発生機(熱交換機)17を、その後面から導出される制御された温度と制御された流速乃至流量とを有する冷気が保冷用室1内で予定の設定温度(通常は、プラス13℃〜マイナス5℃の範囲内の温度)で得られるように予め設定しておけば、保存の必要な物品20に対し、それが予定の設定温度またはそれに近い温度になるように冷却処理を施すことができ、それによって、保存の必要な物品20からそのように予定の設定温度またはそれに近い温度になるように冷却処理の施された物品を冷却処理の施された物品21として得ることができ、そしてその冷却処理の施された物品21を以って保存の必要な物品20を保存することができる。
【0034】
(iv)また、物品載置用棚10の物品載置用棚板10S上に保存の必要な物品20を載置した状態にするのに前後して、プラズマ発生用交流電源14を作動させる。しかるときは、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10の物品載置用棚板10Sが兼ねているプラズマ電極板15と保冷用室2に配された対電極板6との間に振動するプラズマが発生し、またそのブラズマ発生に基づき、保冷用室2内に振動電場が発生するとともに、オゾンや負のイオンが発生する。このため、いま、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10のプラズマ電極板15を兼ねている物品載置用棚板10S上に保存の必要な物品20が載置されその保存の必要な物品20が冷却処理の施されている状態であるとすれば、その冷却処理の施されている状態の保存の必要な物品20が、プラズマ発生に基づく振動電場に曝されるとともにその振動電場によって内部微振動し、また、オゾンや負のイオンに曝される。よつて、冷却処理の施されている状態の保存の必要な物品20に活力が与えられる。
【0035】
(v)さらに、保冷用室2内に左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bが配され、その触媒層6の表面に金属触媒粒状体が露呈しているので、いま、保存の必要な物品20が上述した冷却処理の施されている状態であるとし、そして、その冷却処理の施されている状態の保存の必要な物品20のまわりにその保存の必要な物品20に変色や悪臭を発生せしめる有機化合物( H、C、O で構成されている)が存在しているとすれば、触媒層6の表面に露呈している金属触媒粉粒体が、いま保存の必要な物品20のまわりに存在していると述べた有機化合物の分子を吸着してその分子を原子粒(H、C、O の粒子)に分解する。そして、その原子粒が金属触媒粉粒体8のまわりに付着させんとする。一方、このときに先立ち、光源駆動用電源13を作動させる。しかるときは、光源9から保冷用室1内に光が放射され、その光によって、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体が照射される。このため、保冷用室2内の冷却処理の施されている状態である保存の必要な物品20のまわりの空気中の酸素が分解して活性酸素が生成する。そして、その活性酸素が金属触媒粉粒体のまわりに付着せんとしている上述した有機化合物の分子の分解により得られた原子粒と結合し、炭酸ガス(CO)や水(HO)の分子が生成する。従って、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6によって、保存の必要な物品20に変色や悪臭を発生せしめる有機化合物が冷却処理を施されている状態である保存の必要な物品20のまわりに存在しているという状態をなくす触媒作用を得ることができる。
【0036】
(vi)また、上記(iv)で述べたように、保冷用室2内にオゾンや負のイオンが発生し、また上記(v)で上述した触媒作用を得ることができることから、保冷用室2内を抗菌状態、制菌状態、滅菌状態とすることができるので、上記(iii)で上述した冷却処理の施された物品21を以って保存の必要な物品20の保存を、優れた保存環境で長期に亘って行うことができる。
【0037】
(vii)なおさらに、上記(iii)で上述した予定の設定温度(通常はプラス30℃〜マイナス5℃の範囲内の温度)を予定の設定温度の範囲内の氷点(0℃)以下の温度に設定すれば、保存の必要な物品20内に氷結結晶が生じ、それによって保存の必要な物品20に体積膨張が生じ、それによって、保存の必要な物品20に変色や悪臭を発生せしめる有機化合物の発生及び旨み成分の外部流出の原因となる細胞破壊乃至細胞分子配列歪が生ぜんとする。しかしながら、それを、上記(iv)で上述した振動電場による保存の必要な物品20内の内部微振動によって、効果的に抑止することができる。
【0038】
(viii)また、上記(v)で上述した触媒作用が、上述したように、左触媒形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体を光源9からの光によって照射することによって得られるが、このとき上記(iv)で述べたプラズマが発生しているとするとき、そのプラズマも、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体を照射し、触媒作用を助成する。このため、この分、上述した光源9を作動させる光源駆動用電源13の電力を、有効に節減することができる。
【0039】
(ix)以上のことから、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によれば、それを用いて、保存の必要な物品20に対し冷却処理を施して保存の必要な物品20から冷却処理の施された物品21を得、その冷却処理の施された物品21を以って保存の必要な物品20を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、長期間に亘って、「(2)冷却解除」で後述するように、保存の必要な物品20として保存された冷却処理の施された物品21に冷却解除処理を施してその冷却処理の施された物品21から冷却処理の施される前の保存の必要な物品20と同様の物品を得た場合にその物品を変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がないまたは変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がほとんどない冷却処理の施される前の保存の必要な物品と同様の品質を有するものとして得ることができるものとして、効果的に優れた保存環境で保存することができる。
(2)冷却解除
【0040】
(i)「(1)冷却保存」(i)で述べている、機器等設置用室3内に配されている冷気発生機(熱交換機)17の作動によって、保冷用室1内に冷気流が得られている状態から、冷気発生機17を、後面から導出される制御された温度と制御された流速乃至流量とを有する空気が保冷用室1内で予定の冷却解除温度(例えばプラス20℃の温度)で得られるように設定すれば、保冷用室1内に予定の設定冷却解除温度またはそれに近い温度の気流が得られ、冷却処理の施された物品21に対し、それが予定の設定冷却解除温度またはそれに近い温度になるように冷却解除処理を施すことができ、それによって、冷却処理の施された物品21を、その冷却処理の施された物品21の冷却解除された、冷却処理の施される前すなわち保冷庫1の保冷用室2内に保存される前の保存の必要な物品20に対応した物品に、戻すことができ、この場合、「(1)冷却保存」(iv)で述べている、プラズマ発生用交流電源14の作動を継続させておけば、「(1)冷却保存」(iv)において述べたのに準じて、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10の物品載置用棚板10Sが兼ねているプラズマ電極板15と保冷用室2に配された対電極板6との間の発生しているブラズマに基づき、振動電場と、オゾンや負のイオンとが発生し、物品載置用棚10のプラズマ電極板15を兼ねている物品載置用棚板10S上に載置されている冷却処理の施された物品21が、振動電場に曝されるとともにその振動電場によって内部微振動し、また、オゾンや負のイオンに曝され、よつて、冷却処理の施されている物品21に活力が与えられる。
【0041】
(ii)また、いま、冷却処理の施された物品21のまわりに、「(1)冷却保存」(v)で上述したように、冷却処理の施された物品21に変色や悪臭を生ぜしめる有機化合物が存在していれば、「(1)冷却保存」(v)で述べたのに準じて、その有機化合物の分子を、保冷用室2内に配された左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6の表面に露呈している金属触媒粉粒体が吸着して、その分子を原子粒に分解する。そして、その原子粒が金属触媒粉粒体8のまわりに付着させんとする。一方、上記「(1)冷却保存」(v)で上述したように、このとき、「(1)冷却保存」(v)で述べている光源駆動用電源13の作動を継続させておけば、「(1)冷却保存」(v)で述べたと同様に、光源9から保冷用室1内に光が放射され、その光によって、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体が照射されているため、冷却処理の施されている物品21のまわりの空気中の酸素が分解して活性酸素を生成し、その活性酸素が金属触媒粉粒体のまわりに付着せんとしている有機化合物の分子の分解により得られた原子粒と結合し、炭酸ガス(CO)や水(HO)の分子を生成する。従って、上記「(1)冷却保存」(v)で上述したのに準じて、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6によって、冷却処理の施された物品21に変色や悪臭を生ぜしめるような有機化合物が冷却処理の施された物品21のまわりに存在しているという状態をなくす触媒作用を得ることができる。
【0042】
(iii)また、「(1)冷却保存」(vii)で上述したと同様に、予定の設定温度を氷点以下の温度に設定すれば、「(1)冷却保存」(vii)で述べたのに準じて、冷却処理の施された物品21内に氷結結晶が生じそれによって冷却処理の施された物品21に変色や悪臭を発生せしめる有機化合物の発生及び旨み成分の外部流出の原因となる細胞破壊乃至細胞分子配列歪が生ぜんとしても、上記(ii)で上述した冷却処理の施された物品の内部微振動によって効果的に抑止することができる。
【0043】
(iv)また、上記(iii)で上述した触媒作用を、上記(iii)で上述したように、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6の光触媒粉粒体に対する光源9からの光照射によって得ているとき、上記「(1)冷却保存」(iv)で述べたプラズマが発生しているものとすれば、上記「(1)冷却保存」(viii)で上述した理由で光源9を作動させる光源駆動用電源13の電力を有効に節減することかできる。
【0044】
(v)以上のことから、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によれば、それを用いて、冷却処理の施された物品21から、冷却処理の施される前の保存の必要な物品20と同様の物品を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、より変色や悪臭の発生がないまたはより変色や悪臭の発生がほとんどない冷却処理の施される前の保存の必要な物品と同様の品質を有するものとして、効果的に得ることができる。
(3)冷凍保存
【0045】
(i)「(1)冷却保存」(i)において述べたと同様に、機器等設置用室3内に配されている冷気発生機(熱交換機)17を作動させ、保冷用室1内に、冷気流を得、その冷気流を得てからまたはその前から、そして、「(1)冷却保存」(ii)において述べたのに準じて、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10の物品載置用棚板10S上に保存の必要な物品20を載置した状態とし、また、「(1)冷却保存」において述べたのに準じて、冷気発生機(熱交換機)17を、その後面から導出される制御された温度と制御された流速乃至流量とを有する冷気が保冷用室1内で予定の設定温度(通常は、マイナス15℃〜マイナス25℃の範囲内の温度)で得られるように設定しておけば、「(1)冷却保存」(iii)において述べたのに準じて、保存の必要な物品20に対し、それが予定の設定冷凍温度またはそれに近い温度になるように冷凍処理を施すことができ、それによって、保存の必要な物品20からそのように予定の設定冷凍温度またはそれに近い温度になるように冷凍処理の施された物品を冷凍処理の施された物品21として得ることができ、そして、その冷凍処理の施された物品21を以って保存の必要な物品20を保存することができる。
【0046】
(ii)また、この場合、「(1)冷却保存」(iv)において述べたと同様に、プラズマ発生用交流電源14を作動させれば、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10の物品載置用棚板10Sが兼ねているプラズマ電極板15と保冷用室2に配された対電極板6との間にプラズマが発生し、またそのブラズマ発生に基づき、保冷用室2内に振動電場が発生するとともに、オゾンや負のイオンが発生し、このため、いま、保冷用室2内に設置されている物品載置用棚10のプラズマ電極板15を兼ねている物品載置用棚板10S上に保存の必要な物品20が載置されているとすれば、「(1)冷却保存」(iv)において述べたのに準じて、その冷凍処理の施されている状態である保存の必要な物品20が、プラズマ発生に基づく振動電場に曝されるとともにその振動電場によって内部微振動し、また、オゾンや負のイオンに曝され、よつて、冷凍処理の施されている状態である保存の必要な物品20に活力が与えられる。
【0047】
(iii)さらに、「(1)冷却保存」(v)で上述したのと同様に、保冷用室2内に左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bが配され、その触媒層6の表面に金属触媒粒状体が露呈しているので、いま、上記(i)で述べたように保存の必要な物品20が上述した冷凍処理の施されている状態であるとし、そして、「(1)冷却保存」(v)で述べているように、その冷凍処理の施されている状態である保存の必要な物品20のまわりにその保存の必要な物品20に変色や悪臭の原因となる有機化合物が存在しているとすれば、「(1)冷却保存」(v)において述べたのに準じて、触媒層6の表面に露呈している金属触媒粉粒体が、保存の必要な物品20のまわりに存在している有機化合物の分子を吸着してその分子を原子粒に分解し、その原子粒が金属触媒粉粒体8のまわりに付着させんとする。しかしながら、このとき、「(1)冷却保存」(v)で述べたのと同様に、光源駆動用電源13が作動させられていれば、「(1)冷却保存」(v)で述べたのと同様に、光源9から保冷用室1内に光が放射されており、その光によって、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体が照射され、保冷用室2内の冷凍処理の施されている状態である保存の必要な物品20のまわりの空気中の酸素が分解して活性酸素を生成し、その活性酸素が上述した金属触媒粉粒体のまわりに付着せんとしている有機化合物の分子の分解により得られた原子粒と結合し、炭酸ガス(CO)や水(HO)の分子が生成し、よって、冷凍処理の施されている状態である保存の必要な物品20に変色や悪臭を生ぜしめるような有機化合物が冷凍処理の施されている状態である保存の必要な物品20のまわりに存在しているという状態をなくす触媒作用を得ることができる。
【0048】
(iv)なおさらに、上記(ii)で述べたように、保冷用室2内にオゾンや負のイオンが発生し、また上記(iii)で上述した触媒作用を得ることができることから、「(1)冷却保存」(vi)で上述したと同様に、保冷用室2内を抗菌状態、制菌状態、滅菌状態とすることができるので、上記(i)で上述した冷却処理の施された物品21を以って保存の必要な物品20の保存を、優れた保存環境で長期に亘って行うことができる。
【0049】
(iv)また、上記(ii)で述べたように、冷凍処理の施されている状態である保存の必要な物品20が、プラズマ発生に基づく振動電場に曝されるとともにその振動電場によって内部微振動しているので、「(1)冷却保存」(vii)で述べたのに準じて、冷凍処理の施されている状態にある保存の必要な物品20の温度が氷点(0℃)以下の温度になることによってその物品20内にその物品20内の水分の氷結による結晶が発生しそれによって冷凍処理の施されている状態にある保存の必要な物品20に体積膨張が生じ、それによって冷凍処理の施されている状態にある保存の必要な物品20に、変色や悪臭を発生せしめる有機化合物の発生及び旨み成分の外部流出の原因となる細胞破壊乃至細胞分子配列歪が発生せんとしても、それを効果的に抑止することができる。
【0050】
(vi)また、上記(iii)で上述した触媒作用が、上記(iii)で上述したように、左触媒形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体を光源9からの光によって照射することによって得られるが、「(1)冷却保存」(viii)で上述したのと同様に、このとき上記(ii)で述べたプラズマが発生しているとするとき、そのプラズマも、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体を照射し、触媒作用を助成し、この分、光源9を作動させる光源駆動用電源13の電力を、有効に節減することができる。
【0051】
(vi)以上のことから、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によれば、それを用いて、「(1)冷却保存」(ix)において述べたのに準じて、保存の必要な物品20に対し冷凍処理を施して保存の必要な物品20から冷凍処理の施された物品21を得、その冷凍処理の施された物品21を以って保存の必要な物品20を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、長期間に亘って、「(4)解凍」で後述するように、保存の必要な物品20として保存された冷凍処理の施された物品21に解凍処理を施してその冷凍処理の施された物品21から冷凍処理の施される前の保存の必要な物品20と同様の物品を得た場合にその物品を変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がないまたは変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がほとんどないものとして、冷凍処理の施される前の保存の必要な物品と同様の品質を有することができるものとして、効果的に優れた保存環境で保存することができる。
(4)解凍
【0052】
(i)「(2)冷却解除」(i)で述べたのに準じて、「(3)冷凍保存」(i)で述べている機器等設置用室3内に配されている冷気発生機(熱交換機)17の作動によって、保冷用室1内に冷気流が得られている状態に作動させている状態から、冷気発生機17を、後面から導出される制御された温度と制御された流速乃至流量とを有する空気が保冷用室1内で予定の設定解凍温度(例えばプラス20℃の温度)で得られるように設定すれば、「(2)冷却解除」(i)において述べたのに準じて、冷凍処理の施された物品21に対し、それが予定の設定解凍温度またはそれに近い温度になるように解凍処理を施すことができ、それによって、冷凍処理の施された物品21の解凍された、冷凍処理の施される前すなわち保冷庫1の保冷用室2内に保存される前の保存の必要な物品20に対応した物品に、戻すことができ、そして、この場合、「(3)冷凍保存」(iv)において述べたプラズマ発生用交流電源14の作動を継続させておけば、「(2)冷却解除」(ii)において述べたのに準じて、プラズマ電極板15と対電極板6との間の発生しているブラズマに基づき、振動電場と、オゾンや負のイオンとが発生し、物品載置用棚10の物品載置用棚板10S上に載置されている冷凍処理の施された物品21が、振動電場に曝されるとともにその振動電場によって内部微振動し、また、オゾンや負のイオンに曝され、よつて、冷凍処理の施されている物品21に活力が与えられる。
【0053】
(ii)さらに、いま、冷凍処理の施された物品21のまわりにその冷凍処理の施された物品21に変色や悪臭を生ぜしめる有機化合物が存在していれば、「(2)冷却解除」(iii)において述べたのに準じて、その有機化合物の分子を、保冷用室2内に配された左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6の表面に露呈している金属触媒粉粒体が吸着して、その分子を原子粒に分解し、そして、その原子粒が金属触媒粉粒体8のまわりに付着させんとする。しかし、このとき、「(3)冷凍保存」(v)において述べた光源駆動用電源13の作動を継続させておけば、「(2)冷却解除」(iii)において述べたのに準じて、光源9から保冷用室1内に光が放射され、その光によって、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6、従って、その触媒層6の表面に表面が露呈している光触媒粉粒体が照射されているため、冷凍処理の施されている物品21のまわりの空気中の酸素が分解されて活性酸素が生成され、その活性酸素が金属触媒粉粒体のまわりに付着せんとしている有機化合物の分子の分解により得られた原子粒と結合し、炭酸ガス(CO)や水(HO)の分子を生成し、よって、冷凍処理の施された物品21に変色や悪臭を生ぜしめるような有機化合物が冷凍処理の施された物品21のまわりに存在しているという状態をなくし、また、抗菌、制菌、滅菌を果たす、という触媒作用を得ることができる。
【0054】
(iii)また、「(1)冷却保存」(vii)で上述したと同様に、予定の設定温度を氷点以下の温度に設定すれば、「(1)冷却保存」(vii)で述べたのに準じて、冷却処理の施された物品21内に氷結結晶が生じそれによって冷却処理の施された物品21に変色や悪臭を発生せしめる有機化合物の発生及び旨み成分の外部流出の原因となる細胞破壊乃至細胞分子配列歪が生ぜんとしても、上記(ii)で上述した冷却処理の施された物品の内部微振動によって効果的に抑止することができる。
【0055】
(iv)また、上記(iii)で上述した触媒作用を、上記(iii)で上述したように、左触媒層形成板4L、右触媒層形成板4R及び後触媒層形成板4Bの触媒層6の光触媒粉粒体に対する光源9からの光照射によって得ているとき、上記「(1)冷却保存」(iv)で述べたプラズマが発生しているものとすれば、上記「(1)冷却保存」(viii)で上述した理由で光源9を作動させる光源駆動用電源13の電力を有効に節減することかできる。
【0056】
(iv)以上のことから、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によれば、それを用いて、冷凍処理の施された物品21から、冷凍処理の施される前の保存の必要な物品20と同様の物品を、上述した構成を有する本発明による保冷庫の一例によらない保冷庫を用いる場合に比し、より変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がないまたはより変色や悪臭の発生及び旨み成分の外部流出がほとんどないものとして、効果的に得ることができる。
【実施例2】
【0057】
図2は、本発明による保冷用物品収納容器の一例を全体として符号31で示し、その保冷用物品収納容器31は、絶縁性を有する例えば樹脂材で製出され、いずれも絶縁性を有する前板31Fと左板31Lと右板31Rと後板31Bと底板31Gと蓋板1Tとを有し、前板31F、左板31F、右板31R、後板31Bの絶縁性表面である内壁面上に、実施例1で上述した保冷庫1の保冷用室2内に配されている左触媒層形成板5L、右触媒形成板5R及び後触媒形成板5Bを構成している絶縁性表面を有する基板6の絶縁性表面上に形成されている触媒層7と同様の構成を有する触媒層37が形成されている。
【0058】
また、保冷用物品収納容器31の底板31G上に絶縁性基板32が配され、その絶縁性基板32上に、例えばメッシュ状に形成されたプラズマ電極板38が配されている。
【0059】
また、保冷用物品収納容器31内に、上述した後板31Bの下部に沿って、プラズマ電極板38の対電極板36が配され、また、後板31Bの上部に触媒層37をその表面に露呈している光触媒粉粒体が光触媒作用を呈すべく光照射するための光を放射する光発光ダイオード(LED)、蛍光灯などの光源39が配されている。
【0060】
以上が本発明による保冷用物品収納容器の一例の構成である。
このような構成を有する本発明による保冷用物品収納容器31によれば、その保冷用物品収納容器31内に、保存の必要な物品20を、プラズマ電極板38上に載置して収納した状態で、その保冷用物品収納容器31を、図1で上述した保冷庫1の保冷用室2と機器等設置用室3と同様の保冷用室と機器等設置用室とを有し、その保冷用室内に例えば図1で上述した保冷用室2内に設置された、支柱に物品載置用棚板が懸架されている構成の物品載置用棚10と同様のただし支柱が導電性を有しなくてもよく、また物品載置用棚板がプラズマ電極板を兼ねていなくてもよい物品載置用棚の物品載置用棚板上に配して用いれば、保冷用物品収納容器31の触媒層37が、図1に示す保冷庫1の保冷用室2内に配された触媒層形成板の触媒層7に対応し、プラズマ電極板38が、図1に示す保冷庫1の保冷用室2内に設置された物品載置用棚10の物品載置用棚板が兼ねるプラズマ電極板に対応し、対電極板が、図1に示す保冷庫1の保冷用室2内に配された対電極板16に対応し、光源39が、図1に示す保冷庫1の保冷用室2に臨んでいる光源9に対応するので、詳細説明は省略するが、図1に示す保冷庫について述べた冷凍保存、冷却解除、冷凍保存及び解凍の作用効果にそれぞれ準じた作用効果を得ることができる。
【変型・変更】
【0061】
なお、上述においては、本発明による保冷庫及び保冷用物品収納容器のそれぞれについて1つの例を示したに留まり、図1に示す本発明による保冷庫において、その保冷用室2の壁面に沿って触媒層形成板5L、5R、5Bを配するのに代え、保冷用室2の壁面が絶縁性表面を有しているものとして、その絶縁性表面上に、触媒層形成板5L、5R、5Bの触媒層7と同様の触媒層を形成した構成とすることもでき、また保冷用室2内に設置された物品載置用棚10の物品載置用棚板10Sが導電性を有してプラズマ電極板15を兼ねているのに代え、その物品載置用棚板10Sを絶縁性表面を有するものとして、その絶縁性表面上に、プラズマ電極層を配した構成とすることもでき、また図2に示す保冷用物品収納容器において、その内面が絶縁性表面を有しているものとして、その絶縁性表面を有する基板の絶縁性表面上に触媒層を形成している触媒層形成板を配した構成とすることもでき、その他、種々の変型・変更をなし得ることは明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
業務用ばかりでなく家庭用の保冷庫及び保冷用物品収納容器に広く利用である。
【符号の説明】
【0063】
1 保冷庫
1B 後壁
1F 前扉
1G 頂壁
1G 底壁
1L 左壁
1R 右壁
1T 頂壁
2 保冷用室
3 機器等設置用室
4 棚板
5B 後触媒層形成板
5L 左触媒層形成板
5R 右触媒層形成板
6 基板
7 触媒層形成層
9 光源
10 物品載置用棚
10LFP 左前支柱
10LBP 左後支柱
10RFP 右前支柱
10RBP 右後支柱
10S 棚板
11LF、11LB、11RF、11RB 絶縁材
13 光源駆動用電源
14 プラズマ発生用交流電源
15 プラズマ電極板
16 対電極板(接地電極板)
17 冷気発生機(熱交換機)
20 保存の必要な物品
21 冷却処理の施された物品
31 保冷用物品収納容器
31F 前板
31L 左板
31R 右板
31B 後板
31G 底板
31T 蓋板
32 絶縁性基板
36 対電極板
37 触媒層
38 プラズマ電極板
39 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)内部の温度が、冷却温度または冷凍温度になされ、または冷却温度または冷凍温度になされ且つ冷却解除温度または解凍温度になされる保冷用室を有し、
(ii)上記保冷用室の壁面に沿って、絶縁性表面を有する基板の絶縁性表面上に触媒層を形成している触媒層形成板が配され、または上記保冷用室の壁面が絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上に触媒層が形成され、
(iii)上記触媒層が、光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、表面に、上記光触媒粉粒体の表面と上記金属触媒粉粒体の表面とを露呈させており、
(iv)上記保冷用室に臨んで、上記触媒層を光照射する光源が配され、
(v)上記保冷用室内に、物品載置用棚板が配され、
(vi)上記物品載置用棚板が、導電性表面を有していてプラズマ電極板を兼ねており、または絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上にプラズマ電極板が配され、
(vii)上記保冷用室内に、上記プラズマ電極板の対電極板が配されていることを特徴とする保冷庫。
【請求項2】
(i)内面に沿って絶縁性表面を有する基板の絶縁性表面上に触媒層を形成している触媒層形成板が配され、または内面が絶縁性表面を有していてその絶縁性表面上に触媒層が形成され、
(ii)上記触媒層が、光触媒粉粒体と金属触媒粉粒体とをバインダー剤とバインダー補助剤との溶液を用いて混和している触媒剤でなり、表面に、上記光触媒粉粒体の表面と上記金属触媒粉粒体の表面とを露呈させており、
(iii)内部に臨んで、上記触媒層を光照射する光源が配され、
(iv)内部に、プラズマ電極板とそのプラズマ電極板の対電極板とが配されていることを特徴とする保冷用物品収納容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−237109(P2011−237109A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108845(P2010−108845)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(510128144)ボストン・コム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】