説明

保冷材を備えた生鮮魚介類用保冷容器及び保冷材の繰返し使用可能な回数の増加方法

【課題】0℃より高く10℃未満の範囲に適冷温度を有する被保冷物の保冷に使用され、(1)保冷する物品(以下「被保冷物」という)に望ましい適切な温度又は温度範囲に応じた相変化温度(融点)を有し、(2)潜熱量が大きく、(3)保冷剤の液体状態における比熱が大きく、(4)凝固融解の繰返しにより相分離が生じたり性能が低下したりせず、(5)融解温度の変化ができるだけ小さく、(6)不燃性である、といった特性を充足する保冷剤を容器に充填した保冷材を備えた生鮮魚介類保冷容器、及び保冷材の繰返し使用可能な回数を増加させる方法を提供する。
【解決手段】第4級アンモニウム塩水和物を主成分とし、融解温度が0〜10℃の範囲である保冷剤を容器に充填した保冷材を、周壁部、底部、蓋部のうち少なくとも一つに着脱可能に装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮魚介類の流通時や貯蔵時にこれらを低温で保冷する用途に用いられる保冷材を備えた生鮮魚介類用保冷容器及び保冷材の繰返し使用可能な回数の増加方法に関する。
なお、本明細書においては、保冷機能を有する物質を「保冷剤」と称し、該保冷剤が容器、袋体等に充填されて保冷に供される形態になったものを「保冷材」と称する。
【背景技術】
【0002】
生鮮魚介類は死後変化が大きく、鮮度低下も速いため、鮮度保持の良否がその商品価値を大きく左右する。特に死直後から完全硬直までを「生き」と称し、消費市場では活魚と同等の商品価値がある。そのため、生食のための生鮮魚介類の温度管理としては、漁獲後、速やかに活けしめし硬直の進行を遅延させるため0〜10℃、特に望ましくは5〜10℃に保持し、完全硬直後は解硬を遅延させるため0℃にて保持することが、生食する際の食味の低下を防ぐ上で望ましいとされている。
【0003】
従来、生鮮魚介類の流通時や貯蔵時に低温で保冷するためには、氷を用いる氷蔵といわれる簡便な方法が多用され、発泡スチロール製の箱に生鮮魚介類とともに氷を入れて保冷されていた。この場合には氷の融点である0℃で生鮮魚介類は保冷されており、0〜10℃、特に望ましい温度範囲である5〜10℃で保冷することができなかった。
また、一般に保冷剤を袋体等に充填した保冷材を断熱性のある容器に被保冷物とともに収納して保冷することが行われるが、生鮮魚介類の流通時の保冷に保冷材を用いた事例は少ない。
【0004】
一方、相変化に伴う潜熱を利用した組成物からなる潜熱保冷剤が種々採用されている。あらかじめ冷却されて凝固している潜熱保冷剤は、潜熱を有するため一定の融解温度で融解するため、被保冷物を低温に維持することができる。
【0005】
ここで、潜熱保冷剤に求められる性質について説明する。潜熱保冷剤に求められる性質としては、以下に列挙するものがある。
(1)保冷する物品(以下「被保冷物」という)に望ましい適切な温度又は温度範囲(以下「適冷温度」という)に応じた相変化温度(融点)であること
すなわち、凝固した保冷剤が融解して蓄熱した冷熱を放出し終わるまでに維持される融解温度(融点に相当する)又は融解温度範囲が被保冷物の適冷温度に対応していることが望ましい。
(2)潜熱量が大きいこと
潜熱量が大きいと、凝固した保冷剤が融解して蓄熱した冷熱を放出し終わるまでの時間が長い。すなわち、融解温度に維持される時間が長いので、適冷温度に維持される時間が長くなり好ましいのである。
(3)保冷剤の液体状態における比熱が大きいこと
凝固した保冷剤が融解して冷熱の放出が終了した後、液体状態の保冷剤の温度が上昇するが、保冷剤の液体状態における比熱が大きいと、該保冷剤の温度がその雰囲気温度に達するまでの時間が長く、被保冷物を適冷温度により近い温度により長時間保持することができ、被保冷物の鮮度、品質、性能、効用等の劣化を遅延させることができる。
(4)凝固融解の繰返しにより相分離が生じたり性能が低下したりしないこと
保冷剤には、凝固融解の繰返し使用に耐え得るという性質が求められる。それ故、潜熱の蓄積と放出を繰り返す凝固融解の繰返しにより、融解時に一部融解せずに固相のまま残留する相分離現象が生じたり蓄熱性能が劣化したりしないことが必要である。
【0006】
以上要すれば、(1)適冷温度に応じた融点であり、(2)潜熱量が大きく、(3)液体状態における比熱が大きく、(4)繰り返し使用に耐え得ることが保冷剤として使用される潜熱保冷剤が有すべき重要な性質であるといえる。
また、(5)あらかじめ冷却されて凝固している潜熱保冷剤が融解する際に、融解の進行に伴って融解温度が変化せず一定温度で融解するか、融解温度の変化ができるだけ小さいと、被保冷物をほぼ一定温度で低温に維持することができるのでさらに好ましい。
またさらに、(6)不燃性も求められる。
以上のような特性を充足できる保冷剤を容器に充填して取扱いを容易にした保冷材を収納した保冷容器を用いて、生鮮魚介類の保冷流通に供することが求められている。
【0007】
ところで、空調の分野で潜熱を利用した蓄冷材として、氷、パラフィン、無機塩水和物、包接水和物等を主剤とするものがあり、これらを潜熱保冷剤として用いることが考えられる。
包接水和物を主剤とする潜熱蓄冷剤としては、トリメチロールエタン(TME)水和物が知られており、TME−水−尿素の三成分系を中心とした検討がなされている(特許文献1参照)。
また、包接水和物を主剤とする潜熱蓄冷剤の他の例として、第4級アンモニウム化合物の水和物がある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−256659号公報)
【特許文献2】特許3641362号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生鮮魚介類は、前記したように0〜10℃の範囲に適冷温度を有する。この温度範囲に融点を有する潜熱蓄冷剤としては、上記したように例えば、氷、パラフィン、無機塩水和物、包接水和物等を主剤とするものがある。
氷は鮮魚の流通時の保冷に一般的に用いられているが、0℃で保冷されるため、活魚と同等の高い商品価値のある死直後から完全硬直までの「生き」と称される状態を保持するのに適した5〜10℃の範囲で保冷できない。このため、高い商品価値の「生き」鮮魚を流通させるために要望される0℃より数度高い温度範囲の保冷剤としては用いることができない。
【0009】
また、パラフィンは可燃性であるので、保冷剤として用いるには問題がある。
さらに、無機塩水和物は、凝固融解の繰返しにより相分離が生じたり性能が低下したりしないことという上記の条件(4)を充足せず、保冷剤としては不向きである。例えば、硫酸ナトリウム十水塩に融点調整剤として塩化アンモニウム等を添加した蓄冷剤は融点9℃の無機塩水和物蓄冷剤として知られているが、凝固融解を繰返すと相分離を起こし易く、この点で問題がある。
【0010】
特許文献1の包接水和物を主剤とする蓄熱材組成物は、凝固融解を100回繰返しても相分離は生じないとされているが、融点は10℃より高いので、0〜10℃の範囲に適冷温度を有する被保冷物、特に5〜10℃の範囲で保冷することが要望される「生き」鮮魚の保冷には適さない。
また、特許文献2の第4級アンモニウム化合物の包接水和物を主剤とする潜熱蓄冷剤のうち、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)を例に説明すると、調和融点を与える濃度である40重量%程度のTBAB水溶液の融点(調和融点)は約12℃であり、この温度で相分離することなく蓄熱と放熱を繰り返す。しかし、繰り返し使用に耐え得るという保冷剤の条件は充足するものの、0〜10℃の範囲に適冷温度を有する被保冷物の保冷剤には使用できない。(調和融点については後述する。)
【0011】
以上のように、これまでに実用化あるいは提案されてきた潜熱保冷剤には、生鮮魚介類を0〜10℃の範囲に保冷する保冷剤としてはそれぞれ問題点があり、その保冷剤を充填した保冷材を備えた保冷容器も問題があった。
【0012】
本発明は、これらの課題を解決すべくなされたもので、0℃より高く10℃未満の範囲に適冷温度を有する被保冷物の保冷に使用され、上記(1)乃至(6)を充足する保冷剤を容器に充填した保冷材を備えた生鮮魚介類保冷容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る保冷材を備えた生鮮魚介類用保冷容器は、第4級アンモニウム塩水和物を主成分とし、融解温度が0〜10℃の範囲である保冷剤を容器に充填した保冷材を、周壁部、底部、蓋部のうち少なくとも一つに着脱可能に装着したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係る保冷材の繰返し使用可能な回数の増加方法は、融解温度が0〜10℃の範囲にある保冷剤を容器に充填した保冷材の繰返し使用可能な回数の増加方法であって、前記保冷剤は第4級アンモニウム塩水和物を主成分とするものとすることを特徴とするものである。
【0015】
第4級アンモニウム塩の水溶液を冷却して形成される包接水和物は融解時の潜熱量が大きい特性を有する。第4級アンモニウム塩としては、テトラアルキルアンモニウム塩があり、アルキルとして、nブチル、nペンチル、isoペンチル、nプロピル、isoプロピル、エチル、メチル、nヘキシル、isoヘキシル、nヘプチル、isoヘプチル、isoブチル等が挙げられる。また、アンモニウム塩として、臭化アンモニウム塩、塩化アンモニウム塩、弗化アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩、亜硝酸アンモニウム塩、塩素酸アンモニウム塩、過塩素酸アンモニウム塩、臭素酸アンモニウム塩、よう素酸アンモニウム塩、炭酸アンモニウム塩、りん酸アンモニウム塩、タングステン酸アンモニウム塩、硫酸アンモニウム塩、水酸化アンモニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩、ジカルボン酸アンモニウム塩、スルホン酸アンモニウム塩、ジスルホン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、第4級アンモニウム塩水和物を主成分とし、融解温度が0〜10℃の範囲である保冷剤を容器に充填した保冷材を、周壁部、底部、蓋部のうち少なくとも一つに着脱可能に装着したことにより、0℃より高く10℃未満の範囲に適冷温度を有する被保冷物の保冷に好適な生鮮魚介類用保冷容器となる。
また、本発明においては、融解温度が0〜10℃の範囲にある保冷剤を容器に充填した保冷材において、保冷剤は第4級アンモニウム塩水和物を主成分とするものとしたので、保冷材の繰返し使用可能な回数を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施の形態においては保冷剤である第4級アンモニウム塩水和物として臭化テトラnブチルアンモニウム水和物を例示して説明する。
以下においては臭化テトラnブチルアンモニウム水和物を主成分とし、融解温度が0〜10℃の範囲である保冷剤として、まず、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)水和物の調和融点を与える濃度(以下調和濃度という)未満の臭化テトラnブチルアンモニウムを含む水溶液を主成分とする保冷剤について説明する。
【0018】
調和濃度未満の臭化テトラnブチルアンモニウムを含む水溶液を冷却して臭化テトラnブチルアンモニウムの調和濃度未満の水和物を生成して該水和物を主成分とする保冷剤とすることができる。
調和融点とは水和物を生成するゲスト化合物の水溶液を冷却して水和物を生成する際、水溶液(液相)から水和物(固相)に変相する前後の組成が変わらない場合(例えばもとの水溶液中のゲスト化合物濃度と同じゲスト化合物濃度の水和物を生じる)の温度をいう。
なお、縦軸を融点温度、横軸をゲスト化合物濃度とした状態図では極大点が調和融点となる。本明細書においては調和融点を与える濃度を調和濃度という。
【0019】
調和濃度の水溶液を冷却すると、調和融点で水和物が生成しはじめ、水溶液が全て水和物になるまでこの融点温度で温度は一定になる。融解時も同様にこの一定の融点温度で融解する。
一方、調和濃度より濃度が低くいかあるいは高い場合には、融解温度は調和融点よりも低くなる。
臭化テトラnブチルアンモニウムの調和濃度は40%であり、調和融点は12℃であるため、このままでは保冷温度0〜10℃のための保冷剤としては採用できない。
そこで、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の濃度を調和濃度未満にして水和物を生成する。ここで生成される水和物は、その融解温度を0〜10℃の温度範囲にすることができ、保冷温度0〜10℃のための保冷剤として用いることができる。
また、調和濃度未満で臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の濃度を調整することにより、融解温度を0〜10℃の範囲で所望温度に調整した保冷剤を得ることができる。
【0020】
以下においては、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液を調和濃度未満にした具体例について説明する。
臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)の調和濃度未満である22重量%水溶液(実施例1)は、冷却されると水和物を生成し、水和物の融解温度は7〜9℃である。したがって、保冷温度0〜10℃のための保冷剤として用いることができる。
また、上記水和物の融解潜熱量は140J/gであり、大きい潜熱量を有している。したがって、凝固した水和物が融解して蓄熱した冷熱を放出し終わるまでの時間が長く、融解温度に維持される時間が長い。よって、これを保冷剤として用いた場合に被保冷物を適冷温度に維持する時間が長く保冷剤として優れている。
【0021】
また、上記水和物が融解した水溶液の比熱は3.8J/g・Kであり、比熱が大きいため水溶液は昇温しにくく、水溶液の温度がその雰囲気温度に達するまでの時間が長い。したがって、これを保冷剤として用いた場合に被保冷物を適冷温度に近い温度に長時間保持することができ、この点でも保冷剤として優れている。
また、凝固融解を少なくとも1000回繰返しても相分離や蓄熱性能の低下がないことを確認した。
さらに、臭化テトラnブチルアンモニウム水和物は、毒性もなくこの点でも好ましい。
以上のように、臭化テトラnブチルアンモニウムの調和濃度未満の水和物は上記のような特性を有しているため、0℃より高く10℃未満の範囲に適冷温度を有する被保冷物の保冷剤として好適である。
【0022】
次に、臭化テトラnブチルアンモニウム水和物を主成分とし、融解温度が0〜10℃の範囲である保冷剤として、臭化テトラnブチルアンモニウム水和物に融点降下剤を添加した保冷剤について説明する。
臭化テトラnブチルアンモニウムの水溶液に融点降下剤を添加することにより、臭化テトラnブチルアンモニウム水和物の融解温度を低くすることができる。そして、融点降下剤の種類、添加量を適宜選定することにより、所望の融解温度領域の保冷剤として用いることができる。
【0023】
融点降下剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチルアルコールなど融点が0℃以下のものを、臭化テトラnブチルアンモニウムの水溶液に添加することにより、臭化テトラnブチルアンモニウム水和物の融解温度領域を0〜10℃の範囲に設定できる。
以下具体例について説明する。
【0024】
臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)の調和濃度(40%)水溶液にエチルアルコールを重量比97:3となるように添加して保冷剤を調製した(実施例2)。融解温度は8〜10℃であり、保冷温度0〜10℃のための保冷剤として用いることができる。
また、上記水和物の融解潜熱量は162J/gであり、大きい潜熱量を有している。したがって、これを保冷剤として用いた場合に被保冷物を適冷温度に維持する時間が長く保冷剤として優れている。
また、水和物が融解した水溶液の比熱は3.6J/g・Kであり、大きい。したがって、これを保冷剤として用いた場合に被保冷物を適冷温度に近い温度に長時間保持することができ、この点でも保冷剤として優れている。
また、凝固融解を少なくとも1000回繰返しても相分離や蓄熱性能の低下がないことを確認した。
以上のように、臭化テトラnブチルアンモニウムに融点降下剤としてエチルアルコールを添加したものは、0℃より高く10℃未満の範囲に適冷温度を有する被保冷物の保冷剤として好適である。
【0025】
上記の実施例1,2の保冷材の特性をまとめた表を以下に示す。
【表1】

【0026】
上記実施例1,2の保冷剤としての特性を確認するために、実施例1、2と比較例としてパラフィン(nテトラデカン)それぞれ3kgをポリエチレン製袋に充填した保冷材を、0℃に冷却して凝固させ、この保冷材を真空断熱材を用いた容量20lの保冷箱の底面に装着した。そして、この保冷箱を30℃の恒温室に置き、保冷箱内部の温度の経時変化を測定した。
図1、図2はこの結果を示すグラフであり、図1が実施例1、2を示し、図2が比較例を示している。図1、図2においては縦軸が温度、横軸が経過日数を示している。
【0027】
図1に示すように、実施例1では8時間経過後には7℃で、3日経過後には9℃となり、その後、保冷剤の融解が終了して温度がゆっくりと上昇した。
また、実施例2では8時間経過後には8℃で、3日経過後には10℃となり、その後、保冷剤の融解が終了して温度がゆっくりと上昇した。
他方、図2に示すように、比較例では6℃で推移し、2.5日経過後には、保冷剤の融解が終了して温度が急激に上昇した。パラフィン(nテトラデカン)の液の比熱は2.3J/g・Kであり、実施例1、2に比べて小さいことによる。
図1、図2から分かるように、実施例1,2は比較例にくらべて、保冷時間が長く、また融解後の温度上昇が小さく保冷剤として好適である。
【0028】
保冷剤を充填する容器または袋体としては、保冷材容器として用いられている公知のものを用いることができる。金属箔(アルミニウム箔など)をラミネートした合成樹脂フィルムからなるフレキシブルな材質のシートで形成された袋体や容器(ゼリー飲料や詰め替え用シャンプーが入っているような袋・パック)、プラスチック成形容器などが挙げられる。
保冷剤をプラスチック製容器や袋体に充填して保冷材を作成して、予めこの保冷材を冷却しておき、断熱性の優れた保冷容器に生鮮魚貝類と共に収納して運搬、保存に供する。
【0029】
また、保冷材を装着する保冷容器としては、断熱性の優れた材質、例えば発泡スチロールや真空断熱材を用いたものが好ましい。
また、保冷材の保冷容器への装着方法としては、保冷容器の周壁部、底部、蓋部のうち少なくとも一つに着脱可能に装着するようにする。そのために、保冷容器の周壁等の内壁面に保冷材を着脱可能に取付け手段、例えば、収納袋、凹状空間、保持部等を設ける。
なお、保冷容器内の温度むらが生じないように、被保冷物と保冷材との配置を考慮して保冷材を装着するようにする。
また、保冷材の装着場所に対応した保冷剤の特性を調整する。例えば蓋、底用には周壁用より潜熱量の大きい保冷材を用いるようにすれば、保冷容器の置かれる状況に適した保冷性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1,2の保冷剤としての特性を示すグラフである。
【図2】比較例の保冷剤としての特性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アンモニウム塩水和物を主成分とし、融解温度が0〜10℃の範囲である保冷剤を容器に充填した保冷材を、周壁部、底部、蓋部のうち少なくとも一つに着脱可能に装着したことを特徴とする保冷材を備えた生鮮魚介類用保冷容器。
【請求項2】
融解温度が0〜10℃の範囲にある保冷剤を容器に充填した保冷材の繰返し使用可能な回数の増加方法であって、前記保冷剤は第4級アンモニウム塩水和物を主成分とするものとすることを特徴とする保冷材の繰返し使用可能な回数の増加方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−163045(P2007−163045A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360515(P2005−360515)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【出願人】(593065556)芙蓉海洋開発株式会社 (7)
【Fターム(参考)】