説明

保存性に優れた皮剥きヤマノイモ類及びその製造方法

【課題】皮剥き状態において長期保存した後においても、美味しさ・生食感、そして風味を維持することが可能であり、開封後も2〜3時間は変色しないヤマノイモ類及びその製造方法を提供すること
【解決手段】ヤマノイモ類を次の工程で処理することを特徴とする保存性に優れた皮剥きヤマノイモ類の製造方法。
1 水洗
2 次亜塩素酸ソーダ液に接触させる工程、
3 皮剥き
4 次亜塩素酸ソーダ液又は焼成カルシウム液に接触させる工程
5 水中に、乳酸とカテキン類とプロシアニジン類とL−アスコルビン酸と有機酸とを含有する含有する鮮度保持用液に接触させる工程
6 水洗する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存性に優れた皮剥きヤマノイモ類及びその製造方法に係る。より詳細には、皮を剥いたヤマノイモ類の長期間鮮度保持に関するもので、特に、カット状態あるいはとろろ状態であっても保存性に優れている皮剥きヤマノイモ類及びその製造方法に関するものである。ここで、ヤマノイモ類とは、自然薯、ナガイモ(イセイモ、イチョウイモ)、ツクネイモ(ジカミオモ)などがあげられる。
【背景技術】
【0002】
ヤマノイモ類は、独特の食感や味が好まれている他、古来から滋養強壮、疲労回復に繋がる健康にいい野菜として認知されている。
主な栄養素は、炭水化物、カリウム、ビタミンB1、食物繊維で、その他にコリン(循環器系と脳の機能、及び細胞膜の構成と補修に不可欠な水溶性の栄養素)、サポニン(漢方薬などの生薬にはサポニンを含むものが多く、陽性対照薬として使用されている)を含むという栄養素が微量含まれており、これらの栄養素は疲労回復に効果があるといわれている。
【0003】
ヤマノイモ類の中でも特に長いもは、粘り成分のムチン(一般的に強い粘性(ぬめり)を持ち、保水性も非常に高い)が含まれている為に胃壁の保護の効果がある。胃壁の保護だけでなく体内の粘膜保護も行える為、風邪の予防も行える。ムチンはたんぱく質の吸収を促進する作用もある。
【0004】
また、近年、長いもに含まれているタンパク質(デオスコリンA)の成分に抗ウィルス活性があることが発表され、マスコミ等により長いもが「新型インフルエンザ」に効果的との報道がなされる等、長いも自体に対する注目が高まってきている。
【0005】
一方、ヤマノイモ類の一般的な調理方法としては「すりおろしにしてとろろにして食べる」ことが多いが、調理しないで手軽に食べられ体に良い食物が単身世帯の増加から若年世代に定着しつつある中、長いもを購入し皮を剥いてすり下ろして食べる調理自体が負担になってきつつあるのが現状である。例えば、ホテル関係の料理担当者に対するヒアリングでは、「長いもはめんどうくさい。皮を剥きするのは大変。鮮度保持もむずかしい」等の回答が寄せられている。
【0006】
消費者サイドからは、皮剥きを行わずにそのまま食に供することができるような状態で流通させ販売することが要望されている。
【0007】
ただ、長いも類は、一旦皮剥きを行うと、鮮度が低下し、また、変色をもたらすという問題がある。
【0008】
そこで、かかる問題を解決しようとうする試みが提案されている。その一つとして特許文献1に記載された技術がある。特許文献1に記載された技術は、冷凍で長期間保存しても、保存後のものを解凍して食する状態としたとき、その状態が冷凍保存前とほぼ同様の良好な粘性及び糸引き性等の物性を有し、かつ風味が良好な冷凍とろろを提供する技術として、
pH調整材を含有させてpH6.2以上としてある冷凍とろろ。さらにDE30以下の澱粉加水分解物を含有させてなる冷凍とろろである(特開2004−33155号公報:特許文献1)。
【0009】
しかし、この技術は、冷凍を必要とすること、鮮度として長いも類特有のシャキシャキ感が得られないこと、解凍後すぐに食に供する必要があること、解凍後すぐに変色が生じること、pH調整材として長いも類以外のものを含んでいること、等の問題を有している。
【0010】
一方、特許文献2には、りんごについてであるが、皮剥き後の変色を防止する技術が提案されている。
【0011】
この技術は、りんごを洗浄又は消毒し、りんごの皮を剥き芯を抜き、0.02〜0.05%アスコルビン酸の酸化防止剤溶液を付着させ、次いで所定の大きさにカットしたカットりんごを、質量%で、カテキン類:0.0015〜0.3%、プロシアニジン類:0.002〜0.5%、L−アスコルビン酸:0.025〜3.0%、有機酸類:0.005〜0.5%及び塩類:0.015〜2.0%を含有する純水又は蒸留水の鮮度保持溶液を付着させた後、カットりんごと脱酸素剤とをガス不透過性の袋又は容器に一緒に収納し、該袋又は容器内に1〜99vol%の炭酸ガスを含む窒素ガスを充填し密封し、密封した該袋又は容器を1〜10℃で冷蔵保存する当技術である。
しかし、この技術を皮剥きナマモイモ類に適用しても鮮度のあるナマモイモ類は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−33155号公報
【特許文献2】特開2006−191824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、皮剥き状態において長期保存した後においても、美味しさ・生食感、そして風味を維持することが可能であり、開封後も2〜3時間は変色しないヤマノイモ類及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、ヤマノイモ類を次の工程で処理することを特徴とする保存性に優れた皮剥きヤマノイモ類の製造方法である。
1 水洗
2 次亜塩素酸ソーダ液に接触させる工程
3 皮剥き
4 次亜塩素酸ソーダ液又は焼成カルシウム液に接触させる工程
5 水中に、乳酸とカテキン類とプロシアニジン類とL−アスコルビン酸と有機酸とを含有する含有する鮮度保持用液に接触させる工程
6 水洗する工程
請求項2に係る発明は、前記鮮度保持用液の濃度は次の組成とする請求項1記載ヤマノイモ類の製造方法である。
乳酸:50cc以上/水10L
L−アスコルビン酸:5g以上/水10L
プロシアニジン類:0.1g以上/水10ヤマノイモ類の製造方法。
カテキン類:0.1g以上/水10L
請求項3に係る発明は、皮剥き後の次亜塩素酸ソーダに接触させる時間は5分以上である請求項1又は2記載ヤマノイモ類の製造方法である。
請求項4に係る発明は、前記水洗工程の後に、スライス状又はとろろ状として、容器に封入する請求項1乃至3のいずれか1項記載のヤマノイモ類の製造方法である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか1項記載のヤマノイモ類の製造方法により製造したヤマノイモ類である。
【発明の効果】
【0015】
皮剥き状態で長期保存しても、シャリシャリ感が保持され、美味しさ、生食感、そして風味が維持され、さらに容器開封後においても2〜3時間の間変色しない皮剥きヤマノイモ類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための形態を述べる
本形態は、ヤマノイモ類を次の工程で処理する。
1 事前洗浄
2 次亜塩素酸ソーダ液に接触させる工程、
3 皮剥き
4 次亜塩素酸ソーダ液又は焼成カルシウム液に接触させる工程
5 水中に、乳酸とカテキン類とプロシアニジン類とL−アスコルビン酸とを含有する含有する鮮度保持用液に接触させる工程
6 最終洗浄
以下、本形態をより詳細に説明する。
【0017】
(ヤマノイモ類)
「ヤマノイモ類」とは、自然薯、ナガイモ(イセイモ、イチョウイモ)、ツクネイモ(ジカミオモ)等があげられる。
とろろとして常用されるナガイモが好ましく、特に青森県産のナガイモがより好ましい。
【0018】
(事前洗浄)
次亜塩素酸ソーダ液による処理前にヤマノイモ類の水洗を行う。水洗は、水道水により洗浄する。この洗浄は、ヤマノイモ類の表面に付着している土着物を除去する。もちろん、純水あるいは蒸留水による洗浄でもよい。流水中での洗浄が好ましい。
【0019】
(次亜塩素酸ソーダ液処理)
皮を剥く前の状態、すなわち皮がついたままの状態でヤマノイモ類を次亜塩素酸ソーダ液で処理する。処理は、例えば、次亜塩素酸ソーダ液へヤマノイモ類の浸漬、次亜塩素酸ソーダ液のヤマノイモ類への塗布などにより行えばよい。
この処理を行うことにより、後に皮剥きを行い、皮剥き状態で保存したとしても、
鮮度の保持と褐変防止が可能となり、ひいては美味しさ、生食感、風味が長時間保持される。
【0020】
次亜塩素酸ソーダ液による処理により、ヤマノイモ類に付着している土壌菌が滅菌されるものと推測される。
次亜塩素酸ソーダ液の濃度は、0.1ml/L以上が好ましく、1ml/L以上がより好ましい。
処理時間は5分以上が好ましい。
【0021】
なお、次亜塩素酸ソーダ液に代えて焼成カルシウム液(純水や蒸留水に焼成カルシウムを溶解させた液)を用いた場合には、他の工程を同じにしたとしても美味しさ、生食感そして風味を長時間維持することはできない。
次亜塩素酸ソーダ液処理後は、表面に付着している次亜塩素酸ソーダの除去あるいは50倍以上の希釈を行うために洗浄を行う。この洗浄は、純水あるいは海洋深層水により行えばよい。
【0022】
(皮剥き)
皮は、ヤマノイモ類の実の表層部も除去されるように、少し厚めに剥くことが好ましい。例えば、実の表面から5mm〜7mm位の除去を行う。
5mm以上に厚めに剥くことにより、よりよく菌を除去することとなる。なお、7mm以上では効果が飽和する。
【0023】
(皮剥き後次亜塩素酸ソーダ液・焼成カルシウム液処理)
皮剥き後に次亜塩素酸ソーダ液による処理を行う。
この工程はヤマノイモ類に菌を残さないための工程である。
この工程は、皮剥き後のヤマノイモ類をさらにカット(例えば厚さ5〜20cm)した状態で行ってもよい。
【0024】
次亜塩素酸ソーダ液は、前工程で使用したものと同様のものを用いればよい。
この処理は土壌菌を滅菌するための工程である。皮剥き前には次亜塩素酸ソーダの使用が必須であり、焼成カルシウムの使用では所定の効果は達成できないが、この工程では、次亜塩素酸ソーダに代えて焼成カルシウム液を用いてもよい。焼成カルシウムは、青森県産のホタテ貝殻を原料とする焼成カルシウムが最適である。
この処理の後は純水又は蒸留水による洗浄を行う。
【0025】
(鮮度保持用液処理)
皮剥き後の次亜塩素酸ソーダ液あるいは焼成カルシウム液による処理後、鮮度保持用液による処理を行う。
この処理は、適度の大きさ(例えば厚さ5〜10cm)に輪切りにカットして行ってもよいし、カットせずにそのままの大きさで行ってもよい。
この処理は、浸漬あるいは吹きつけにより行えばよい。
処理時間としては、10分〜15分が好ましい。
【0026】
鮮度保持溶液としては、特許文献2において開示されている鮮度保持用液を基本組成としてそれに乳酸をさらに含有した液を用いる。
【0027】
特許文献2に開示されている鮮度保持用液は次なる組成を有している。%は重量%である。本明細書においても同様である。
カテキン類 0.0015〜0.3%、
プロシアニジン類 0.002〜0.5%、
L−アスコルビン酸 0.025〜3.0%、
有機酸類 0.005〜0.5%、
塩類 0.015〜2.0%
純水又は蒸留水 残部
【0028】
本発明では、上記組成に乳酸を添加する。なお、塩類は含有させてもさせなくてもよい。有機酸は必ずしも添加する必要はない。
例えば、次なる組成とすればよい。
乳酸:50cc以上/水10L
L−アスコルビン酸:5g以上/水10L
プロシアニジン類:0.1g以上/水10ヤマノイモ類の製造方法。
カテキン類:0.1g以上/水10L
pH調整剤:pH4以下
水 残部
【0029】
[乳酸]
ヤマノイモ類の場合、乳酸をすると皮剥き後の褐変が著しく防止される。また、カットするときにポルフェノール(ねばねばの素)が生じることを押さえる効果もあり、ヤマノイモ類の取り扱い作業が著しく向上することがわかった。従って、量産においては、乳酸の添加がより効果を発揮する。
乳酸には、L体とDL体があり、L体は融点 53 ℃ の無色個体、DL体は融点が16.8 ℃ で、常温で粘り気のある液体として存在する。どちらを使用してもよい。
【0030】
[カテキン類]
カテキン類には、カテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン及びエピカテキンがあり、エピカテキンの単量体はお茶に多く含まれていて、多量体は
りんごの果皮に600〜700mg、果肉に150〜180mg含まれている成 分であって、特に、エピカテキンの多量体は抗酸化作用に優れ、水に強 く、熱にも強い性質を有していることが知られている。このため、カテキン
類としては、エピカテキンの多量体を含むカテキン類を用いることが好ましい。
【0031】
[pH調整剤]
本発明においては、pHの調整を行ってもよい。好ましくはpHを6以下の酸性領域とする。pH調整は、特許文献2と同様に有機酸で行ってもよい。有機酸類としては、ク
エン酸、りんご酸等の有機カルボン酸が用いられる。
純水あるいは蒸留水の代わりに、水素イオンを含有する電解イオン水を用いれば、有機酸を不使用あるいは少量化することができる。
鮮度保持液による処理後は、純水あるいは蒸留水により簡単な洗浄を行う。
【実施例1】
【0032】
長さ10cm、直径5cm、重さ200gの青森県産の長芋を用いた。
このナガイモを水道水を流しながら洗浄した。
次に、皮がついたままの状態で長芋を次亜塩素酸ソーダ液で処理した。処理は、次亜塩素酸ソーダ液中にヤマノイモ類を浸漬して行った。
次亜塩素酸ソーダ液は、純水20L中に20mlの次亜塩素酸ソーダを添加して作成したものである。
浸漬時間は15分とした。
【0033】
次亜塩素酸ソーダ液から長芋を取り出し、液の滴りが無くなってから流水となる純水中に浸漬して、次亜塩素酸ソーダを希釈した。
【0034】
次に皮剥きを行った。
皮は実の表層部も除去されるように、実の表面から5mm〜7mm位の部分の除去も行った。
皮剥き後、再度次亜塩素酸ソーダ液による処理を行った。
この処理は、皮剥き前と同じ条件で行った。
処理後は、水道水により十分表面の洗浄を行った。
【0035】
次に鮮度保持液処理を行った。
鮮度保持液は、10Lの純水に次の成分を含有する液を用いた。
プロシアニジン類 2g
L−アスコルビン酸 14g
有機酸類 2g、
サンフード末30(*1) 2g
50%発酵乳酸 200cc
*1 三共ライフテック社製の商品名(カテキン30%)
上記鮮度保持液に15分浸漬した。
【0036】
次いで、純水で軽く洗浄した。
洗浄後、千切りした。
この千切りした長芋をポリエチレン製の袋に充填し、入り口を封止した。
この袋を、10℃の冷蔵庫に保存した。
5℃の冷蔵庫に一定期間保管後各種の検査を行った。
【0037】
[検査事項]
(1)微生物検査
袋充填前と、所定期間保管後に、一般生菌数と、大腸菌、黄色ブドウ球菌を検査した。
(2)生食感
所定期間保管後に試食を行い、特にシャリシャリ感の有無を調べた。
(3)褐変
所定期間保管後、開封し、色の変化を観察した。
【0038】
[検査結果]
(1)微生物検査 風味
一般生菌 大腸菌 黄色ブドウ球菌 風味
(CFU/g)
充填前 300未満 陰性 陰性 ○
5日 300未満 陰性 陰性 ○
7日 300未満 陰性 陰性 ○
12日 10 陰性 陰性 ○
15日 10 陰性 陰性 ○
20日 10 陰性 陰性 ×

○:シャリシャリ感がある。
×:シャリシャリ感なし
【0039】
(3)褐変
15日経過後の袋は、3時間経過して初めて褐変が生じた。
【0040】
(比較例1)
本例では、実施例1における皮剥き前の次亜塩素酸ソーダ液による処理の代わりに焼成カルシウム液による処理を行った。その他は実施例1と同様とした。

一般生菌 大腸菌 黄色ブドウ球菌 風味
(CFU/g)
充填前 300未満 陰性 陰性 ○
5日 10 陰性 陰性 ○
7日 10 陰性 陰性 ×
12日 10 陰性 陰性 ×
【実施例2】
【0041】
本例では、実施例1における皮剥き後の次亜塩素酸ソーダ液による処理の代わりに焼成カルシウム液による処理を行った。その他は実施例1と同様とした。

一般生菌 大腸菌 黄色ブドウ球菌 風味
(CFU/g)
充填前 300未満 陰性 陰性 ○
5日 300未満 陰性 陰性 ○
7日 300未満 陰性 陰性 ○
12日 10 陰性 陰性 ○
15日 10 陰性 陰性 ○
20日 10 陰性 陰性 ×
【実施例3】
【0042】
本例では、実施例1における皮剥き前の次亜塩素酸ソーダ液による処理時間を各種変化させて処理を行った。その他は実施例1と同様とした。
一般生菌数は次の通りであった。
3分 5分 7分 10分 15分
充填前 10 300未満 300未満 300未満 300未満
20日 10 10 10 10 10

風味は、5分以上のものがシャリシャリ感が保持されていた。ただ、15分のものには、次亜塩素酸ソーダの臭いがあった。
【実施例4】
【0043】
本例は、保存時の形態による影響を調べた。
実施例1において、鮮度保存液での処理後水洗し、その後とろろ、千切り、短冊切りをしてポリエチレン製の袋に充填した。開口部を封止し冷蔵庫にて保存した。
一般生菌が10(CFU/g)となる保管期限を調べたところ次の結果が得られた。
とろろ 11日
千切り 13日
短冊(0.5mm角) 16日
丸ごと 25日

所定期間保管後、開封し、色の変化を観察した。
いずれの思料も、開封後2〜3時間経過するまで褐変は生じなかった。
【実施例5】
【0044】
本例は、とろろと丸ごと(カットしない試料)につき、保管温度の影響を調査した。
(1)カップ入り生食とろろ60g
試料は、実施例4の方法で製造した。
カップ入りの生食とろろを10℃において7日間保存した。
なお、脱酸素材(エージレス)は使用しなかった。
検査結果
一般生菌数 10 CFU/g
大腸菌群 陰性
黄色ブドウ球菌 陰性

(2)皮無し長いも(カットなし) 200g
試料は実施例4の方法で製造した。
袋に収納し封入した状態で5℃〜10℃において7日間保存した。
検査結果
一般生菌数 300 CFU/g
大腸菌群 陰性
黄色ブドウ球菌 陰性
【実施例6】
【0045】
本例では、次亜塩素酸ソーダの濃度の影響を調べた。
次亜塩素酸ソーダの濃度が0.1ml/L以上において従来よりも優れた保存性を示したが、5ml/Lを超えると最終製品(スライス状態、とろろ状態の製品)においても次亜塩素酸ソーダの臭いがついていた。従って、5ml/L未満の濃度とすることが好ましい。
【実施例7】
【0046】
実施例1において、皮剥き時に、実の部分の除去厚さを変化させた。
5mm未満の場合、一般生菌数は、10のオーダーであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤマノイモ類を次の工程で処理することを特徴とする保存性に優れた皮剥きヤマノイモ類の製造方法。
1 水洗
2 次亜塩素酸ソーダ液に接触させる工程、
3 皮剥き
4 次亜塩素酸ソーダ液又は焼成カルシウム液に接触させる工程
5 水中に、乳酸とカテキン類とプロシアニジン類とL−アスコルビン酸と有機酸とを含有する含有する鮮度保持用液に接触させる工程
6 水洗する工程
【請求項2】
前記鮮度保持用液の濃度は次の組成とする請求項1記載ヤマノイモ類の製造方法。
乳酸:50cc以上/水10L
L−アスコルビン酸:5g以上/水10L
プロシアニジン類:0.1g以上/水10ヤマノイモ類の製造方法。
カテキン類:0.1g以上/水10L
有機酸: 以上/水10L
【請求項3】
に係る発明は、皮剥き後の次亜塩素酸ソーダに接触させる時間は5分以上である請求項1又は2記載ヤマノイモ類の製造方法である。時間は5分以上である請求項1又は2記載ヤマノイモ類の製造方法。
【請求項4】
前記水洗工程の後に、スライス状又はとろろ状として、容器に封入する請求項1乃至3のいずれか1項記載のヤマノイモ類の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至7のいずれか1項記載のヤマノイモ類の製造方法により製造したヤマノイモ類である。

【公開番号】特開2012−239413(P2012−239413A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111891(P2011−111891)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(500182747)有限会社増田屋袋店 (1)
【Fターム(参考)】