説明

保守作業サポートシステム、保守部材管理方法、プログラム及び記録媒体

【課題】保守に用いる部材を倉庫から持ち出して使用後に返却するような場合に、保守作業に必要な部材を漏らさず保守作業者に携行させ、持ち出した部材を確実に倉庫に返却させるようにする。
【解決手段】保守作業サポートシステムは、顧客からの保守依頼を受け付ける第1端末装置、保守部材を管理する第2端末装置、倉庫に設置されるゲート装置、保守作業者に携帯される第3端末装置から構成され、第2端末装置は、部材情報及び顧客情報を第1端末装置から取得し、必要な保守部材、保守作業者、保守作業日時を含む保守情報をゲート装置に登録し、ゲート装置は、持ち出される保守部材及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付け、登録された保守情報に基づいて、保守に必要な保守部材が持ち出されたかを判定し、戻される保守部材及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付け、登録された保守情報に基づいて、持ち出された保守部材が返却されたかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守作業サポートシステム、保守部材管理方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に、顧客先からの保守依頼を受けて、部品交換作業時に使用する工具やツール等の備品、また交換する部品を保守作業者に携行させて確実に保守作業を行わせる保守作業管理に好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客先で保守作業を行う保守作業者をアサインする管理者は、作業予定システムと呼ばれるシステムを用いて、保守作業者にその日に必要となる部材(保守機材、備品等)の携行指示を出す。そして、保守作業者は管理者の指示に基づいて保守作業を行うが、一部の保守作業者は、指示に従ったものの部材を持ち忘れたり、指示そのものを見落としたりすることがある。
【0003】
そこで、各保守作業者に備品を配備し必ず携帯させて持ち忘れを防止する手法がある。しかし、備品を使用しない日でも備品を持ち歩かなければならず煩わしいし、備品を紛失するおそれがある。一方、保守機材と備品を1対1でマッチングさせ、保守作業員が顧客先へ作業しに行く日に保守機材と備品を一緒に自動配送させるという手法もあるが、修理をする顧客分の備品が必要になり配備コストが嵩む。また、顧客へその都度備品を配送しなければならないため輸送コストや管理コストがかかってしまう。
【0004】
上記問題をクリアする方式として、活動拠点毎に数個(例えば10個)を配備し、作業で必要になる日に限り持ち出すという手法が有効となるが、備品を長期に持ち続け戻入漏れをする人がいると全活動拠点に影響が及ぶという別問題が発生してしまう。
【0005】
例えば、部品発送システムの一例が特許文献1に、部品持ち出しシステムの一例が非特許文献1に記載されている。特許文献1の部品発送システムは、親倉庫からブランチ倉庫へツールを自動的に出庫するシステムを制御する方式であり、特に出荷単位の物品を自動倉庫から複数のブランチ出庫する際に、各ブランチ倉庫の出庫状況に応じ出庫指示を行う自動倉庫の出庫制御方式である。また、非特許文献1の部品持ち出しシステムは、ゲート型のRFIDリーダ、管理端末、マニュアルや鍵等のツールに取り付けたRFIDタグから構成され、誰がいつどのツールを持ち出し、返却したかを自動的に記録していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−19926号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“時間・担当者を自動記録:ANA、整備ツールの出納管理にUHF帯RFIDを活用”、[online]、平成21年2月5日、ITmedia、[平成21年6月16日検索]、インターネット<http://www.itmedia.co.jp/enterprise/ articles/0902/05/news064.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の部品発送システムは、返品や再利用がない場合には有効な発送方法であろうが、次のような場合には不都合が生じる。すなわち、一定期間(例えば1週間)だけ保守のために部品を使用してまた倉庫へ返却するような場合、本来十分な数の部品があるにもかかわらず、親倉庫からブランチ倉庫へツールを出庫しようとしたときに限りたまたま部品がないときでさえ、部品を送付してしまうおそれがあり過剰在庫に陥いてしまう。例えば、今月3台の部品が出庫されたと過程し来月以後も3台出庫されると予測して部品の送付を続けると、部品をリサイクルする場合にはブランチ倉庫には部品がどんどん溜まってしまう。
【0009】
また、非特許文献1の部品持ち出しシステムは、誰がいつどの部品を持ち出しかを明確にするだけの場合には有効であるが、必要部品を持ち出したかのチェックはしないため、部品を携帯するのを忘れた場合には対応ができない。
【0010】
そこで、本発明は、保守に用いる部材を倉庫から持ち出して使用後に返却するような場合に、保守作業に必要な部材を漏らさず保守作業者に携行させるとともに、持ち出した部材を確実に倉庫に返却させるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面である保守作業サポートシステムは、顧客からの保守依頼を受け付けるための第1端末装置と、保守作業に用いる保守部材を管理するための第2端末装置と、保守部材が保管された倉庫に設置されるゲート装置と、保守作業者に携帯される第3端末装置と、から構成され、第2端末装置は、保守に必要な保守部材に関する部材情報及び保守依頼を行った顧客に関する顧客情報を第1端末装置から取得するとともに、保守に必要な保守部材、保守作業者、保守作業の日時を含む保守情報をゲート装置に登録し、ゲート装置は、持ち出される保守部材の識別情報及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、登録された保守情報に基づいて、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否かを判定する部材持ち出し処理を行うとともに、戻される保守部材の識別情報及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、登録された保守情報に基づいて、持ち出された保守部材の返却が行われたか否かを判定する部材返却処理を行う。
【0012】
本発明の一側面である保守部材管理方法は、顧客からの保守依頼を受け付けるための第1端末装置と、保守作業に用いる保守部材を管理するための第2端末装置と、保守部材が保管された倉庫に設置されるゲート装置と、保守作業者に携帯される第3端末装置と、から構成される保守作業サポートシステムにおいて、第2端末装置は、保守に必要な保守部材に関する部材情報及び保守依頼を行った顧客に関する顧客情報を第1端末装置から取得するとともに、保守に必要な保守部材、保守作業者、保守作業の日時を含む保守情報をゲート装置に登録し、ゲート装置は、持ち出される保守部材の識別情報及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、登録された保守情報に基づいて、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否かを判定する部材持ち出し処理を行うとともに、戻される保守部材の識別情報及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、登録された保守情報に基づいて、持ち出された保守部材の返却が行われたか否かを判定する部材返却処理を行う。
【0013】
本発明の一側面であるプログラムは、顧客からの保守依頼を受け付けるための第1端末装置と、保守作業に用いる保守部材を管理するための第2端末装置と、保守部材が保管された倉庫に設置されるゲート装置と、保守作業者に携帯される第3端末装置と、から構成される保守作業サポートシステムに用いられ、第2端末装置に、第1端末装置から取得した保守に必要な保守部材に関する部材情報及び保守依頼を行った顧客に関する顧客情報を用いて、保守に必要な保守部材、保守作業者、保守作業の日時を含む保守情報をゲート装置に登録させ、ゲート装置に、持ち出される保守部材の識別情報及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、登録された保守情報に基づいて、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否かを判定する部材持ち出し処理を行わせるとともに、戻される保守部材の識別情報及び第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、登録された保守情報に基づいて、持ち出された保守部材の返却が行われたか否かを判定する部材返却処理を行わせる。
【0014】
本発明の一側面である記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保守に用いる部材を倉庫から持ち出して使用後に返却するような場合に、保守作業に必要な部材を漏らさず保守作業者に携行させるとともに、持ち出した部材を確実に倉庫に返却させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る保守作業サポートシステムのシステム構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る保守作業サポートシステムにおける各装置の構成を示した図である。
【図3】本発明の実施形態における倉庫決定画面の例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態における作業指示メールの例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態における部品ラベルの例を示した図である。
【図6】本発明の実施形態における督促メールの例を示した図である。
【図7】本発明の実施形態におけるデータ入力画面の例を示した図である。
【図8】本発明の実施形態における保守部品管理処理のフローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明では、保守機材や備品等の保守作業に用いる保守部材を倉庫から持ち出す日時を、あらかじめ倉庫の前に設置したセキュリティーゲートに登録する。そして、倉庫から保守作業員が顧客先へ保守部材を持ち出すとき、梱包箱に張られたID情報を埋め込んだタグ(例えばICタグ) を翳さないと持ち出せないようにし、万一持ち出し漏れがあった場合にはゲートが保守作業員に対して保守部材の携帯を促す注意アナウンスを行う。これにより保守部材の持ち忘れを防止する。また、ゲートは、部材持ち出し時間及び保守作業者を自動記録し、24時間以上返却がなかった場合には保守部材が戻入されるまで督促をする。これにより保守部材の持ち帰り防止を図る。以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る保守作業サポートシステムのシステム構成を示した図である。本実施形態の保守作業サポートシステムは、備品/装備配備端末10、備品/装備倉庫端末20、作業者携帯電話30、ゲート40を有して構成されている。これらの装置はプログラム制御により動作し、LANやインターネット等のネットワーク100を介し相互に接続されている。また、備品/装備配備端末10には倉庫DB50、備品/装備倉庫端末20には倉庫の入り口に設置されたゲート40が接続されている。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る保守作業サポートシステムにおける各装置の構成を示した図である。備品/装備配備端末10は、ワークステーションやサーバ等の情報処理装置の情報処理装置であり、主にコールセンタにいるオペレータが操作する端末である。備品/装備配備端末10は、データ入力処理部11、サーバ表示部12、電文送信処理部13を有して構成される。
【0020】
データ入力処理部11は、障害が起きている顧客からの問い合わせを受け、オペレータの操作により修理に必要となる保守部材(修理交換する保守機材、備品)と顧客情報の入力を受け付ける機能を有する。サーバ表示部12は、倉庫DB50にアクセスをして顧客に近い倉庫を検索し、その倉庫内の対象となる保守部材の在庫状況一覧を作成して表示する機能を持っている。在庫状況一覧の表示例を図7に示す。電文送信処理部13は、コールセンタにいるオペレータが決定した顧客先に最も近い場所にある倉庫(パーツセンタ)の備品/装備倉庫端末20へネットワーク100を介して部材情報を送信する機能、オペレータの決定したパーツセンタに保守に必要な保守部材の在庫がない場合に対象倉庫に向けて部材配送指示する機能を有する。部材情報を送信する際の倉庫決定画面例を図3に示す。
【0021】
備品/装備倉庫端末20は、お客さま先へ最も近い場所に設けられたパーツセンタと呼ばれる地方ブランチ倉庫にあるワークステーションやサーバ等の情報処理装置であり、主に部材管理者が操作する端末である。備品/装備倉庫端末20は、受信処理部21、ドア開閉処理部22、作業指示処理部23、戻入品処理部24を有して構成される。
【0022】
受信処理部21は、備品/装備配備端末10が送信した部材情報を受信する機能、部材管理者の操作により当該倉庫に在庫がないときに補充のために配送される保守部材の入庫処理を行う機能を有する。ドア開閉処理部22は、部材管理者の操作により顧客先で保守作業を行う日時、保守作業者、顧客情報等の保守情報を登録する機能、ゲート40からの入出庫情報(「誰が」、「いつ」、「どの部材」)を管理する機能を有する。作業指示処理部23は、顧客先で保守作業を行う日時を保守作業員に伝える機能、保守作業員が保守部材の返却漏れをしているときは返却指示を行う機能を有する。作業指示メールの例を図4に、返却督促メールの例を図6に示す。戻入品処理部24は、保守作業員が保守部材の返却をした旨を作業者携帯電話30から受け取る機能を有する。
【0023】
ゲート40は、ブランチ倉庫の入り口に設置されたICタグリーダ付きの自動ロックドアであり、持ち出し処理部41、メッセージ部42、開閉部43、ICタグリーダ44、スピーカ45を有して構成される。
【0024】
持ち出し処理部41は、部材管理者が保守部材の梱包箱に張られたICタグ付き部品ラベルをICタグリーダ44に翳すことでの入庫処理を行う機能、保守作業員が倉庫内から保守部材を持ち出すときに保守部材の梱包箱に張られたICタグ付き部品ラベルをICタグリーダ44に翳すことで持ち出し処理を行う機能、保守作業員が倉庫内に保守部材を返却するときに保守部材の梱包箱に張られたICタグ付き部品ラベルをICタグリーダ44に翳すことで返却処理を行う機能、保守作業員が作業者携帯電話30をICタグリーダ44に翳すことで保守作業員の名前を記録する機能を有する。
【0025】
メッセージ部42は、備品/装備倉庫端末20が送信した保守情報を受け付け、保守作業員が保守部材を持ち忘れそうになったときに携帯するようスピーカ45から自動アナウンス(例えば、「備品Aを持ち忘れているので持参して下さい」)する機能、保守作業員が保守部材の返却忘れをしているときに返却するようスピーカ45から自動アナウンス(例えば、「備品Bを返却し忘れているので返却して下さい」)する機能を有する。開閉部43は、自動ロックドアで、適正に保守部材を持ち出す場合にのみ開く機能を有する。ICタグリーダ44は、通常のICタグリーダで、ICタグ付き部品ラベル及び作業者携帯電話30のICタグを読み取る機能を有する。本実施形態で用いられるICは非接触ICを想定しているが、もちろん接触ICであってもよい。スピーカ45は、メッセージ部42からの音声情報を音声にするもので、通常のスピーカの構成である。
【0026】
作業者携帯電話30は、メール送受信機能及びICタグ機能を有する通常の携帯電話で、顧客先へ故障修理を行う保守作業員が携帯する。ある。作業者携帯電話30は、備品/装備倉庫端末20から作業指示メールと部材返却指示メールを受信し、備品/装備倉庫端末20へ部材返却メールを送信するために用いられる。また、ゲート40での保守作業員の識別に用いられる。
【0027】
倉庫で管理され保守作業員により持ち出される保守部材が入っている梱包箱は、図5に示すように、ICタグ付き部品ラベルが貼られており、ICタグ付き部品ラベルは保守部材の持ち出し返却の管理に用いられる。
【0028】
次に、本実施形態において各装置で行われる動作について、図8のフローを参照しながら説明する。
【0029】
まず、備品/装備配備端末10は、コールセンタのオペレータの操作により保守部材(保守機材、備品)を登録する(ステップA1)と、顧客先に近い倉庫(パーツセンタ)を検索し、そのパーツセンタ内の対象となる保守部材の在庫状況を載せた倉庫端末一覧を表示する(ステップA2)。オペレータがパーツセンタを決定する(ステップA3、図3)すると、備品/装備配備端末10は、ネットワーク100を介して部材情報を備品/装備倉庫端末20へ送信する(ステップA4)。このとき、決定したパーツセンタに必要な保守部材の在庫がない場合には、部材配送指示する。
【0030】
備品/装備倉庫端末20は、備品/装備配備端末10が送った部材情報を受信したら(ステップB1)、配送されてくる保守部材がある場合には、翌日にパーツセンタへ届いた保守部材の梱包箱に付いているICタグ付き部品ラベルをICタグリーダ44に翳して取得された情報を用いて入庫処理を行う(ステップB2)。続いて、備品/装備倉庫端末20は、ゲート40に必要な保守部材、保守作業者、保守作業日時を含む保守情報を登録し(ステップB3)、さらに保守作業日時を作業者携帯電話30に通知して保守作業指示を出す(ステップB4、図4)。
【0031】
作業者携帯電話30は、備品/装備倉庫端末20からの保守作業指示を受信する(ステップC1)。続いて、保守作業員は部材管理者が指定した日時に顧客先に出向くために、倉庫から保守部材を取りに行く。このとき、ICタグリーダ44は、保守作業員により翳された梱包箱のICタグ付き部品ラベル及び作業者携帯電話30のICタグから各種情報を取得し、持ち出し処理部41は保守部材持ち出し処理を行う(ステップB5)。保守部材持ち出し処理で、ゲート40は、登録された保守情報(必要な保守部材、保守作業者、保守作業日時)とICタグリーダ44で取得した各種情報(保守部材、保守作業者、情報取得日時を比較し(ステップB6)、必要部材の持ち忘れないかをチェックする。
【0032】
持ち忘れがない場合、ゲート40は開閉部43によりドアを開く。万一持ち忘れがある場合には、ゲート40は、開閉部43によりドアを閉じた状態とするとともに、スピーカ45からアナウンスを行って、保守作業者に必要部材を携帯するように促す(ステップB7)。保守作業者が持ち忘れに気づいて再度梱包箱のICタグ付き部品ラベル及び作業者携帯電話30のICタグをICタグリーダ44に翳し、保守部材の持ち忘れが解消されたことが確認されたとき開閉部43によりドアを開く(ステップB8)。
【0033】
その後、作業員は顧客先での作業を終えパーツセンタに帰って来たら、持ち出した保守部材の返却を行う。ICタグリーダ44は、梱包箱のICタグ付き部品ラベル及び作業者携帯電話30のICタグから各種情報を取得し、持ち出し処理部41は保守部材持ち帰り処理を行う(ステップB9)。保守部材持ち帰り処理で、ゲート40は、持ち出し処理された保守部材と持ち帰り処理された保守部材とを比較し(ステップB10)、両部材が一致しない場合にはその旨を備品/装備倉庫端末20に通知し、備品/装備倉庫端末20は作業者携帯電話30に対し部材返却指示メールを送信する(ステップB11、図6)。また、ゲート40は、保守部品持ち出し処理結果を検索して当日に部材返却がなされていない(その日より前に保守部材持ち出し処理がされ、その日にいまだ保守部材持ち帰り処理がなされていない)場合(ステップB10)にも、同様に備品/装備倉庫端末20に通知し、備品/装備倉庫端末20は作業者携帯電話30に対し部材返却指示メールを送信する(ステップB11、図6)。
【0034】
作業者携帯電話30は、備品/装備倉庫端末20から部材返却指示メールを受信する(ステップC2)。部材返却指示メールを見た保守作業者は、保守部材の返却漏れに気づき、パーツセンタから持ち出した保守部材を返却するために帰る。そして、ICタグリーダ44は、梱包箱のICタグ付き部品ラベル及び作業者携帯電話30のICタグから各種情報を取得し、持ち出し処理部41により保守部材の返却処理(保守部材持ち帰り処理)を行う(ステップC3)。ゲート40は、持ち出し処理された保守部材と持ち帰り処理された保守部材とを比較し(ステップB10)、両部材が一致すれば保守部材却は適正に行われたこととなり、作業が完了する。
【0035】
本実施形態によれば、コストを最小限に抑えて保守作業者の部材持ち出し漏れを防止することができる。その理由は、必要となる台数分だけの保守部材を保守作業者に顧客先へ持参させるためである。また、保守作業者の部材持ち帰り漏れを防止することができる。その理由は、セキュリティーゲートの活用により万一の持ち帰り漏れを防止できるためである。
【0036】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0037】
すなわち、例えば本実施形態における備品/装備倉庫端末20で実行されるプログラムは、実際のハードウエアを用いて具体的手段を実現する。すなわち、コンピュータ(CPU)が所定の記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各部(受信処理部21、ドア開閉処理部22、作業指示処理部23、戻入品処理部24)が主記憶装置上にロードされて生成される。また、例えばゲート40では、CPUが所定の記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各部(持ち出し処理部41、メッセージ部42、開閉部43)が主記憶装置上にロードされて生成される。
【0038】
本実施形態における備品/装備倉庫端末20やゲート40で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供あるいは配布するように構成してもよい。
【0039】
また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD、不揮発性のメモリカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムは、ROM等にあらかじめ組み込んで提供するように構成してもよい。
【0040】
この場合、上記記録媒体から読み出された又は通信回線を通じてロードし実行されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになる。そして、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成する。
【符号の説明】
【0041】
10 備品/装備配備端末
11 データ入力処理部
12 サーバ表示部
13 電文送信処理部
20 備品/装備倉庫端末
21 受信処理部
22 ドア開閉処理部
23 作業指示処理部
24 戻入品処理部
30 作業者携帯電話
40 ゲート
41 持ち出し処理部
42 メッセージ部
43 開閉部
44 ICタグリーダ
45 スピーカ
50 倉庫DB
100 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からの保守依頼を受け付けるための第1端末装置と、保守作業に用いる保守部材を管理するための第2端末装置と、前記保守部材が保管された倉庫に設置されるゲート装置と、保守作業者に携帯される第3端末装置と、から構成され、
前記第2端末装置は、保守に必要な保守部材に関する部材情報及び保守依頼を行った顧客に関する顧客情報を前記第1端末装置から取得するとともに、前記保守に必要な保守部材、保守作業者、保守作業の日時を含む保守情報を前記ゲート装置に登録し、
前記ゲート装置は、持ち出される保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、前記登録された保守情報に基づいて、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否かを判定する部材持ち出し処理を行うとともに、戻される保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、前記登録された保守情報に基づいて、持ち出された前記保守部材の返却が行われたか否かを判定する部材返却処理を行うことを特徴とする保守作業サポートシステム。
【請求項2】
前記第2端末装置は、
前記第1端末装置から取得した前記部材情報及び前記顧客情報に基づいて前記保守情報を前記ゲート装置に登録する保守情報登録部と、
保守作業員に対する保守作業指示及び部品返却指示を前記第3端末装置に通知する作業指示処理部と、
を有し、
前記ゲート装置は、
前記保守情報登録部により登録された前記保守情報を保持する保守情報保持部と、
保守作業者による前記保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて取得する識別情報取得部と、
前記保守情報保持部に保持された前記保守情報と前記識別情報取得部で取得された前記識別情報とを比較して、前記部材持ち出し処理及び前記部材返却処理を行う持ち出し返却判定部と、
前記持ち出し返却判定部による判定結果に基づいてドアの開閉動作を行うドア開閉部と、
前記持ち出し返却判定部による判定結果に基づいて保守作業者に対するアナウンスを行うアナウンス部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の保守作業サポートシステム。
【請求項3】
前記ゲート装置は、持ち出し時に識別情報が取得された保守部材と登録された前記保守情報に含まれる保守に必要な保守部材とが一致しない場合に、持ち出すべき保守部材の持ち忘れと判定し、保守作業者に対して前記保守部材の持ち出しを督促するアナウンスを行うとともに、ドアの閉状態にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の保守作業サポートシステム。
【請求項4】
前記ゲート装置は、返却時に識別情報が取得された保守部材と登録された前記保守情報に含まれる保守に必要な保守部材とが一致しない場合に、返却すべき保守部材の戻し忘れと判定し、保守作業者に対して前記保守部材の返却を督促するアナウンスを行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の保守作業サポートシステム。
【請求項5】
前記ゲート装置は、返却時に識別情報が取得された保守部材と登録された前記保守情報に含まれる保守に必要な保守部材とが一致しない場合に、返却すべき保守部材の戻し忘れと判定し、前記判定結果を前記第2端末装置に送信し、
前記第2端末装置は、前記ゲート装置から受信した前記判定結果に基づいて、前記第3端末装置に保守作業者に対する前記保守部材の返却指示を通知することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の保守作業サポートシステム。
【請求項6】
顧客からの保守依頼を受け付けるための第1端末装置と、保守作業に用いる保守部材を管理するための第2端末装置と、前記保守部材が保管された倉庫に設置されるゲート装置と、保守作業者に携帯される第3端末装置と、から構成される保守作業サポートシステムにおいて、
前記第2端末装置は、保守に必要な保守部材に関する部材情報及び保守依頼を行った顧客に関する顧客情報を前記第1端末装置から取得するとともに、前記保守に必要な保守部材、保守作業者、保守作業の日時を含む保守情報を前記ゲート装置に登録し、
前記ゲート装置は、持ち出される保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、前記登録された保守情報に基づいて、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否かを判定する部材持ち出し処理を行うとともに、戻される保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、前記登録された保守情報に基づいて、持ち出された前記保守部材の返却が行われたか否かを判定する部材返却処理を行うことを特徴とする保守部材管理方法。
【請求項7】
前記第2端末装置が、前記第1端末装置から取得した前記部材情報及び前記顧客情報に基づいて前記保守情報を前記ゲート装置に登録する保守情報ステップと、
前記第2端末装置が、前記第1端末装置から取得した前記部材情報及び前記顧客情報に基づいて、保守作業員に対する保守作業指示を前記第3端末装置に通知する作業指示通知ステップと、
前記ゲート装置が、前記保守情報登録ステップで登録された前記保守情報を保持する保守情報保持ステップと、
前記ゲート装置が、保守作業者による前記保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて取得する識別情報取得ステップと、
前記ゲート装置が、前記保守情報保持ステップで保持された前記保守情報と前記識別情報取得ステップで取得された前記識別情報とを比較して、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否か及び持ち出された前記保守部材の返却が行われたか否かの判定を行う持ち出し返却判定ステップと、
前記ゲート装置が、前記持ち出し返却判定ステップによる判定結果に基づいてドアの開閉動作を行うドア開閉ステップと、
前記ゲート装置が、前記持ち出し返却判定ステップによる判定結果に基づいて保守作業者に対するアナウンスを行うアナウンスステップと、
前記第2端末装置が、前記持ち出し返却判定ステップによる判定結果に基づいて保守作業員に対する部品返却指示を前記第3端末装置に通知する返却指示通知ステップと、
を有することを特徴とする請求項6に記載の保守部材管理方法。
【請求項8】
顧客からの保守依頼を受け付けるための第1端末装置と、保守作業に用いる保守部材を管理するための第2端末装置と、前記保守部材が保管された倉庫に設置されるゲート装置と、保守作業者に携帯される第3端末装置と、から構成される保守作業サポートシステムに用いられ、
前記第2端末装置に、前記第1端末装置から取得した保守に必要な保守部材に関する部材情報及び保守依頼を行った顧客に関する顧客情報を用いて、前記保守に必要な保守部材、保守作業者、保守作業の日時を含む保守情報を前記ゲート装置に登録させ、
前記ゲート装置に、持ち出される保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、前記登録された保守情報に基づいて、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否かを判定する部材持ち出し処理を行わせるとともに、戻される保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて、前記登録された保守情報に基づいて、持ち出された前記保守部材の返却が行われたか否かを判定する部材返却処理を行わせることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記第2端末装置のコンピュータに、
前記第1端末装置から取得した前記部材情報及び前記顧客情報に基づいて前記保守情報を前記ゲート装置に登録する保守情報ステップと、
前記第1端末装置から取得した前記部材情報及び前記顧客情報に基づいて、保守作業員に対する保守作業指示を前記第3端末装置に通知する作業指示通知ステップと、
前記ゲート装置から取得した保守部材返却の判定結果に基づいて、保守作業員に対する部品返却指示を前記第3端末装置に通知する返却指示通知ステップと、
前記ゲート装置のコンピュータに、
前記保守情報登録ステップで登録された前記保守情報を保持する保守情報保持ステップと、
保守作業者による前記保守部材の識別情報及び前記第3端末装置の識別情報の入力を受け付けて取得する識別情報取得ステップと、
前記保守情報保持ステップで保持された前記保守情報と前記識別情報取得ステップで取得された前記識別情報とを比較して、保守に必要な保守部材の持ち出しが行われたか否か及び持ち出された前記保守部材の返却が行われたか否かの判定を行う持ち出し返却判定ステップと、
前記持ち出し返却判定ステップによる判定結果に基づいてドアの開閉動作を行うドア開閉ステップと、
前記持ち出し返却判定ステップによる判定結果に基づいて保守作業者に対するアナウンスを行うアナウンスステップと、
を実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のプログラムを記録しコンピュータ読み取り可能なことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−8331(P2011−8331A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148630(P2009−148630)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)