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保守作業用端末装置
説明

保守作業用端末装置

【課題】保守作業用端末装置において、通信回線で集中管理装置に接続される複数の建物付帯設備の保守作業を行うに際し、ユーザに対するきめ細かな配慮を行うことで、保守作業をより効率的に実行できるようにすることである。
【解決手段】保守作業用端末装置70は、保守作業対象設備に対して、保守作業を行うための予め定めた保守作業指令を送信し、それと共に、保守作業対象設備の操作器に対し、現在保守作業中である旨の表示をさせる指示を送信する。また、ユーザが保守作業対象設備の操作器を操作したことを検出したときに、保守作業対象設備の操作器に対し、保守作業が終了する予定時間を明示してその間は操作を受け付けない旨の表示をさせる旨の指示を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守作業用端末装置に係り、特に通信回線で集中管理装置に接続される複数の建物付帯設備の保守作業を行うための保守作業用端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和システムを構成する多数の室内機や室外機について通信回線を介してメインコントローラに接続し、各室内機内のコントローラによりローカル制御を行わせる一方で、メインコントローラに空気調和システム全体の制御を行わせるようにした集中制御型空気調和システムが知られている。このようなシステムでは、室内機の数が増大すると、メインコントローラの処理が膨大となるので、複数の室内機をサブコントローラと通信回線を介してメインコントローラに接続し、システム全体の制御はメインコンローラが行うが、室内機の制御をユーザ側のサブコントローラに行わせることが提案されている。
【0003】
特許文献1には、従来技術として、メインコントローラとサブコントローラを有する集中制御型空気調和システムにおいて、各室内機にリモートコントロール装置が付設される場合、リモートコントロールによる運転項目である運転または停止の制御、冷暖房切替制御、室温設定制御等のうち、一部または全部を禁止するリモートコントロール禁止機能を有するものがあることを述べている。ここでは、禁止モードを固定化すると、ユーザ等にとって不便な場合があるので、予め複数の制御禁止運転項目を記憶装置に記憶し、これらの中のいずれか一を制御禁止運転項目として設定できることが開示されている。
【0004】
特許文献2には、リモコン装置で操作できる空調機本体について、保守業者が空調機の保守点検を行うために、リモコン装置の各種運転状態の操作や表示項目の有効無効に関する設定を行えるようにする方法が開示されている。ここでは、利用可能な運転指令についての利用可能情報を記憶した利用可能情報記憶カードを用い、リモコン装置に利用可能情報記憶カードの内容を読み取る無線通信部を備える。保守業者がこの利用可能情報記憶カードをリモコン装置の無線通信部にかざすと、利用可能情報がリモコン装置に移され、利用可能情報のみを有効にする設定が行われる。利用者は有効に設定された操作項目のみを操作できるので、保守業者の場合、保守点検の際に必要な項目を利用可能情報としておけばよいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−148381号公報
【特許文献2】特開2006−283999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建物付帯設備としての空調機の保守作業を行う場合、その間はユーザが自由に空調機の設定を行えないので不便である。ところで、空調機が複数あって、これらが通信回線を介して集中管理装置に接続されている空調システムの場合は、保守作業用端末装置をその通信回線に接続することで、各空調機に対して遠隔的に保守作業を行うことが可能である。しかし、遠隔的に保守作業が行われると、ユーザの側からすると、保守作業者が目の届く範囲にいないので、保守作業を行っているのかどうか、保守作業を行っているとしてどの程度の時間かかるのかが不明のことがある。そのような場合に、ユーザが誤って空調機の設定を変更することが生じ得る。このように、遠隔的に保守作業を行う場合に、効率的に保守作業を行うには、ユーザに対する配慮がより必要になる。
【0007】
本発明の目的は、通信回線で集中管理装置に接続される複数の建物付帯設備の保守作業を行うに際し、ユーザに対するきめ細かな配慮を行うことを可能として、保守作業をより効率的に実行できる保守作業用端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る保守作業用端末装置は、複数の建物付帯設備と、それぞれの建物付帯設備と通信回線を介して接続される集中制御装置を有する設備管理システムの保守作業を行うために用いられる保守作業用端末装置であって、設備管理システムの予め定めた所定接続点に接続される通信制御部と、設備管理システムを構成する少なくとも1つの建物付帯設備を保守作業対象設備として、通信制御部を介して保守作業対象設備に対して、保守作業を行うための予め定めた保守作業指令を送信する作業指令送信処理部と、保守作業指令送信と共に、保守作業対象設備の操作器に対し、現在保守作業中である旨の表示をさせる指示を送信する表示指示送信処理部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る保守作業用端末装置において、表示指示送信処理部は、ユーザが保守作業対象設備の操作器を操作したことを検出したときに、保守作業対象設備の操作器に対し、保守作業が終了する予定時間を明示してその間は操作を受け付けない旨の表示をさせる旨の指示を送信することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る保守作業用端末装置において、ユーザが操作器を操作したユーザ操作内容を取得し、保守作業終了まで記憶する記憶部と、保守作業終了時に記憶部からユーザ操作内容を読み出し、保守作業対象設備の操作器に対し、その内容に従って操作器の設定を行わせる旨の指示を送信するユーザ操作内容送信処理部と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る保守作業用端末装置において、同じ設備管理システムに対し他の保守作業用端末装置と共に共同して保守作業を行うときに、同じ設備管理システムの他の所定接続点に接続された他の保守作業用端末装置から、保守作業中である旨の情報が既に送信されてきた保守作業対象設備については、重ねて保守作業を行わないこととして調整する重複作業調整処理部を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る保守作業用端末装置において、建物付帯設備は空調機であり、設備管理システムは空調管理システムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成により、保守作業用端末装置は、保守作業対象設備に対して、保守作業を行うための予め定めた保守作業指令を送信し、それと共に、保守作業対象設備の操作器に対し、現在保守作業中である旨の表示をさせる指示を送信する。これにより、ユーザは的確に保守作業中であることを認識でき、ユーザに対するきめ細かな配慮が可能となる。これによってユーザが誤って設定操作等を行うことを防止でき、保守作業を効率的に実行できる。
【0014】
また、保守作業用端末装置において、ユーザが保守作業対象設備の操作器を操作したことを検出したときに、保守作業対象設備の操作器に対し、保守作業が終了する予定時間を明示してその間は操作を受け付けない旨の表示をさせる。ユーザが誤って操作器を操作したとき、その操作は受け付けられないが、ユーザは、操作を受け付けない予定時間を知ることができるので、保守作業を効率的に実行しながら、ユーザに対するきめ細かな配慮が可能となる。
【0015】
また、保守作業用端末装置において、ユーザが操作器を操作したユーザ操作内容を取得して保守作業終了まで記憶し、保守作業終了時に、保守作業対象設備の操作器に対し、その内容に従って操作器の設定を行わせる旨の指示を送信する。このように、保守作業が終了すれば、それまでに操作を受け付けられなかった内容がそのまま設定されるので、ユーザに対するきめ細かな配慮が可能となる。
【0016】
また、保守作業用端末装置において、他の保守作業用端末装置と共に共同して保守作業を行うときに、他の保守作業用端末装置が既に保守作業中である保守作業対象設備については、重ねて保守作業を行わないように調整がなされる。これによって、保守作業が効率的に実行され、ユーザにとっても、保守作業対象設備に対して設定操作等が制約される期間が短縮される。
【0017】
また、保守作業用端末装置において、建物付帯設備は空調機であり、設備管理システムは空調管理システムである。したがって、空調機の保守作業について、ユーザに対するきめ細かな配慮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施の形態の保守作業用端末装置が用いられる空調システムの構成図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、保守作業用端末装置と室内機と操作器との間の交信のやり取りの内容を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態における操作器の表示を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、複数の保守作業用端末を用いて保守作業を実行する際の重複作業調整の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、建物付帯設備を空調機とし、設備管理システムを空調システムとして説明するが、空調機以外であっても、通信回線で集中管理装置に接続される建物付帯設備であればよい。例えば、集中管理される複数の照明器具、集中管理される複数のセキュリティ設備、運行等が集中管理される複数の昇降設備等であってもよい。
【0020】
以下では、空調システムとして、1台の集中管理装置に5台の室外機が接続され、1台の室外機に2台の室内機が接続されるものを述べるが、これらは説明のための例示であって、集中管理装置が複数あってもよく、1台の集中管理装置当たりの室外機の数が5台以外であってもよく、1台の室外機当たりの室内機の数が2台以外であってもよい。また、1台の室外機当たり1台の操作器としたが、これを1台の室内機当たり1台の操作器としてもよい。
【0021】
また、空調システム全体の保守作業を2台の保守作業用端末装置が協働して行うものとしたが、これは、重複作業の調整の説明のためであり、3台以上の保守作業用端末装置が協働するものとしてもよい。また、空調システム全体の保守作業を1台の保守作業用端末設備で行うものとしてもよい。この場合には、重複作業の調整は不要である。
【0022】
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0023】
図1は、保守作業用端末装置70,90を用いて保守作業が行われる空調システム10の構成を示す図である。この空調システム10は、1台の集中管理装置12に、通信回線14を介して5台の室外機20,30,40,50,60がそれぞれ接続され、1台の室外機に2台の室内機が接続され、1台の操作器が設けられる。例えば、室外機20について、通信回線22を介して、2台の室内機24,26がそれぞれ接続され、操作器28が接続される。
【0024】
同様に、室外機30では、通信回線32を介して2台の室内機34,36と操作器38が接続される。室外機40では、通信回線42を介して2台の室内機44,46と操作器48が接続される。室外機50では、通信回線52を介して2台の室内機54,56と操作器58が接続される。室外機60では、通信回線62を介して2台の室内機64,66と操作器68が接続される。
【0025】
集中管理装置12は、空調システム10を全体として統括して制御し、管理する機能を有する。その集中管理装置12の管理範囲内において、操作器28,38,48,58,68は、それぞれ対応する室外機20,30,40,50,60の動作を介して、対応する2台の室内機24,26、2台の室内機34,36、2台の室内機44,46、2台の室内機54,56、2台の室内機64,66を、それぞれ1組として同じ空調条件で設定できる機能を有する。
【0026】
例えば、室外機20を例にとると、操作器28の設定操作によって、室内機24,26の空調条件の1つである空調モードを、暖房または冷房または送風に選択できる。空調モードは、2台の室内機24,26について、同じモードで設定される。一方の室内機24を暖房に、他方の室内機26を冷房に、とすることは、1台の室外機20ではできない。また、操作器28の設定操作によって、室内機24,26の設定温度を変更できる。設定温度の変更は、2台の室内機24,26について、同じ温度で設定される。例えば、一方の室内機24の設定温度を28℃に、他方の室内機26の設定温度を25℃に、とすることは、1台の室外機20ではできない。
【0027】
このように、操作器28,38,48,58,68の操作で、空調モードの変更、設定温度の変更を行うことができる。これら以外に、運転または停止の切替、風向の変更、風量の変更、タイマー設定等を操作器28,38,48,58,68の操作で設定できる。集中管理装置12は、これらの設定項目について、空調システム10の全体で統一的に管理が必要な項目について設定を行うことができる。例えば、設定温度の上下限を定め、運転時間範囲を定め、タイマーの設定を夜間に限定することができる。集中管理装置12で設定した内容に反する設定を操作器28,38,48,58,68の操作で行うことはできない。
【0028】
保守作業用端末装置70,90は、空調システム10について、その全体動作、構成要素である集中管理装置12、室外機20,30,40,50,60、室内機24,26,34,36,44,46,54,56,64,66、操作器28,38,48,58,68の動作等を点検し、不都合があるときは適切な手当てを行うときに用いられる装置である。具体的には、保守作業項目を表示し、保守作業点検結果の入力を取得して記憶し、手当を行った場合にその内容の入力を取得して記憶する。また、記憶した内容について統計処理等を行い、その結果を出力する。保守作業報告書を作成して出力する機能を持たせることもできる。
【0029】
かかる保守作業用端末装置70,90は、保守作業者が持ち運びに便利なように、携帯型コンピュータで構成される。図1において、2台の保守作業用端末装置70,90が示されているのは、空調システム10が多数の構成要素を有しているので、保守作業を短時間で済ませるように、2台で協働して行うこととするためである。なお、保守作業用端末装置70,90の内容は同じであるので、保守作業用端末装置70,90の機能については、図1で拡大して示すように、保守作業用端末装置70に代表させて説明を続ける。
【0030】
空調システム10の全体の動作状態、あるいは個別の構成要素の動作状態を自動的に取得するために、保守作業用端末装置70,90は、通信回線74,94を介して、空調システム10に接続される。空調システム10との接続のインタフェースとして、変換部72,92が設けられる。変換部72,92は、信号レベルの調整等を行う機能を有する。
【0031】
保守作業用端末装置70,90は、空調システム10において予め定めた所定接続点で接続される。図1の例では、室外機20,50に設けられる接続点で、通信回線74,94がそれぞれ接続される。これ以外に、操作器28,38,48,58,68に接続点を設けて、そこに通信回線74,94がそれぞれ接続されるものとしてもよい。あるいは、集中管理装置12に接続点を設けて、そこに通信回線74,94のいずれか一方が接続されるものとしてもよい。
【0032】
保守作業用端末装置70,90が通信回線74,94で空調システム10に接続されることで、保守作業用端末装置70,90は、空調システム10の構成要素のそれぞれにアクセスすることが可能となり、各構成要素の動作条件を設定でき、その動作条件の下における実際の動作状態を取得することができる。動作条件の設定は、条件設定指令の形式で、各構成要素に送信することで行われる。また、動作状態の取得は、動作状態データの伝送を要求してそれに応じて返信されるデータを受信することで行われる。
【0033】
空調システム10に変換部72,92を介して接続し、空調システム10の各構成要素と交信する機能は、図1で保守作業用端末装置70について示されるように、通信制御部76によって実行される。
【0034】
このように、保守作業用端末装置70,90を用いて空調システム10の保守作業を行うときは、空調システム10の各構成要素に対し、動作条件設定指令を送信し、その動作条件で各構成要件を動作させ、その動作状態を取得することになる。例えば、室外機20に対し、その動作を運転と停止の間で切り替え、あるいは、室内機24,26の設定温度を任意の温度に変更する。このように各構成要素の動作を制御しているときに、操作器28,38,48,58,68によって、設定条件が変更されると、保守作業が進まない。
【0035】
そこで、保守作業中は、操作器28,38,48,58,68による設定を無効とし、設定変更を禁止することが行われる。その場合に、ユーザがそのことを知らないと、操作器28,38,48,58,68を操作して設定を変更しようとすることが生じ得る。しかし、ユーザが操作器28,38,48,58,68を操作しても、保守作業中であるので、操作通りに室外機、室内機は動作しない。そこでユーザはなおも設定を変更し、希望通りの動作をさせようとする。このようなユーザの操作が行われると、保守作業を効率よく進めることができない。
【0036】
そこで、保守作業用端末装置70,90は、上記の通信制御部76の機能の他に、特に以下の機能を有する。すなわち、図1で保守作業用端末装置70について示されるように、保守作業を行うための保守作業指令を送信する作業指令送信処理部78、保守作業指令送信と共に、操作器に対し、現在保守作業中である旨の表示をさせる指示を送信する表示指示送信処理部80の機能を有する。また、表示指示送信処理部80は、ユーザが操作器を操作したことを検出したときに、操作器に対し、保守作業が終了する予定時間を明示してその間は操作を受け付けない旨の表示をさせる旨の指示を送信する機能も有する。
【0037】
保守作業指令が送信されると、その指令内容に従って室外機、室内機等は動作するが、その際に、ユーザが操作器を操作しないように、操作器において、現在保守作業中である旨の表示がされる。また、それでもユーザが操作器を操作したときは、保守作業が終了する予定時間を明示してその間は操作を受け付けない旨の表示がされる。このようにすることで、ユーザは保守作業中であることを認識できるので、操作器を知らずに操作することが防止できる。これによって、保守作業を効率的に進めることができる。
【0038】
また、保守作業用端末装置70,90は、ユーザが操作器を操作した内容であるユーザ操作内容を取得し、保守作業終了まで記憶する記憶部84と、保守作業終了時に記憶部84からユーザ操作内容を読み出し、その内容に従って操作器の設定を行わせる旨の指示を送信するユーザ操作内容送信処理部82を有する。このように、保守作業が終了すれば、それまでに操作を受け付けられなかった内容がそのまま設定されるので、ユーザに対するきめ細かな配慮が可能となる。
【0039】
また、図1に示されるように、2台の保守作業用端末装置70,90で空調システム10の全体の保守作業を協働して行うとき、保守作業用端末装置70,90のそれぞれに、保守作業が重複しないように調整する重複作業調整処理部86が設けられる。具体的には、他の保守作業用端末装置から、保守作業中である旨の情報が既に送信されてきた構成要素については、重ねて保守作業を行わないこととして調整する。これによって、保守作業の協働が効率的なものとなる。
【0040】
かかる機能は、ソフトウェアを実行することで実現される。具体的には、保守作業プログラムを実行することで実現できる。これらの機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
【0041】
上記構成の作用、特に、保守作業用端末装置70,90の各機能について、図2から図4を用いて詳細に説明する。図2は、保守作業用端末装置70と空調システム10の構成要素との間の交信の様子を示す図であるが、ここでは、室内機24と、操作器28との間の交信を例として説明する。図3は、操作器28の表示の様子を示す図である。図4は、2台の保守作業用端末装置70,90の間の重複作業の調整の手順を示すフローチャートである。
【0042】
図2において、縦軸は時間で、横軸には保守作業用端末装置70と室内機24と操作器28とがとられている。矢印は、保守作業用端末装置70と室内機24の間、室内機24と操作器28の間におけるそれぞれの指令または応答を示している。
【0043】
時間t0で保守作業用端末装置70が室外機20の接続点と通信回線74を介して接続されると、保守作業が開始する。ここで、順番として、室内機24の保守作業を行うものとする。このときには、保守作業用端末装置70は、変換部72−通信回線74−室外機20−通信回線22−室内機24のルートで、室内機24の制御部にアクセスする。そして、室内機24に対し、ユーザの運転操作禁止を指令する(S10)。この処理手順は、保守作業用端末装置70の表示指示送信処理部80の機能によって実行される。具体的には、操作器28からの設定を無視し、保守作業用端末装置70からの設定に従うように、設定切替を行い、それに対応する表示を操作器28にさせるように指令する。
【0044】
その指令を受けて、室内機24の制御部は、操作器28に対し、保守作業中である表示をするように指示を出す(S12)。具体的には、操作器28のモード選択表示において「保守作業中」の選択を行う。図3にその様子を示す。操作器28は、モード選択表示画面100と、ユーザがその選択を行うための選択ボタン104を備える。モード選択は、室内機24の空調モードを選択するもので、選択ボタン104を操作することで、冷房、暖房、送風のいずれかを選択できる。モード選択表示画面100は、選択されたモードを文字で表示する液晶ディスプレイである。
【0045】
図3の例では、冷房と暖房と送風の文字が消え、代わって「保守作業中」の文字が明るく表示されている。なお、図3では、冷房と暖房と送風の文字が消えていることを示すために、冷房等の文字を細い文字とし、消えている部分を破線で囲んだ。これは、選択ボタン104による選択ではなく、室内機24からの表示指示に基づくものである。なお、操作器28の他の表示画面と選択ボタンの内容については、後述するS26に関連して説明する。
【0046】
再び図2に戻り、保守作業中表示指示を行うと共に、室内機24は、操作器28に対し、操作禁止指令を送信する(S14)。これは、ユーザが選択ボタン104を操作しても、モード選択表示画面100の表示を変更しないように、選択ボタン104とモード選択表示画面100の連動性を遮断する指示である。これによって、モード選択表示画面100は、選択ボタン104の操作にかかわらず、「保守作業中」の表示に固定されることになる。
【0047】
次に、保守作業用端末装置70は、室内機24に対し、保守作業のための運転指令を送信する(S16)。この処理手順は、保守作業用端末装置70の作業指令送信処理部78の機能によって実行される。具体的な運転指令の内容と手順は、保守作業用端末装置70のメモリに予め記憶されている。したがって、保守作業者は、保守作業用端末装置70の画面を見ながら、そこに示される手順と、保守作業の内容に従って、室内機24に対し指令を送信してその動作状態を変更し、その動作状態の変更に対応して室内機24から送信される動作状態データを取得する。このようにして、室内機24に関する保守作業が行われる。
【0048】
上記のように、保守作業中は、操作器28において、「保守作業中」と表示されているが、その表示を見逃す等によって、ユーザが操作器28を操作することが生じ得る。図2の時間t1は、そのようなことが生じたときを示す。すなわち、操作器28において、ユーザが操作器28を操作し(S20)、その情報が室内機24に伝送される。室内機24は、S10における指令に従っているので、その情報によって設定を変更することはしない。しかしながら、ユーザが何らかの理由で、室内機24の設定を変更したいと要求しているわけであるので、その要求を保守作業後に実現することが好ましい。
【0049】
そこで、そのような場合に備え、保守作業用端末装置70は、保守作業中の間、室内機24に対し、操作器28が操作された場合、その操作内容をそのまま、保守作業用端末装置70に送信するように要求する(S22)。この要求には、操作器28において、操作内容を受け取ったが、その操作内容を設定しないことをユーザに知らせることの指示も含まれる。この処理手順も、保守作業用端末装置70の表示指示送信処理部80の機能によって実行される。
【0050】
これに応じて、室内機24の制御部は、操作器28においてユーザが設定変更をした内容をそのまま保守作業用端末装置70に送信する(S24)。保守作業用端末装置70は、送信された操作内容を一旦記憶装置に記憶する。この記憶処理手順は、保守作業用端末装置70の記憶部84の機能によって実行される。
【0051】
室内機24では、操作器28の操作内容を保守作業用端末装置70に送信するとともに、操作器28に対し、保守作業予定時間を知らせその間は操作ができない旨を表示させる指示を送信する(S26)。具体的には、操作器28の表示画面に、保守作業はあとしばらくで終わるので、その間は操作ができない旨の表示をさせるようにする。
【0052】
図3に、その表示の例を示す。ここでは、現在の室温が30℃と高いので、ユーザが選択ボタン104を操作して冷房に切替え、設定温度を26℃とするように操作した場合が示されている。通常であれば、設定温度の変更は、設定ボタン106の操作で行うことができ、設定表示画面102に設定ボタン106の操作に応じて変更された設定温度が表示される。今の場合、選択ボタン104、設定ボタン106の操作は無視されることになっている。したがって、選択ボタン104を操作しても、モードは「保守作業中」のままで冷房モードには切り替わらない。設定ボタン106を操作しても設定温度は変更されない。
【0053】
このままでは、ユーザは、自分の操作が誤っているのでは、と再度、選択ボタン104の操作と設定ボタン106の操作を繰り返す恐れがある。そこで、設定温度の変更を表示せずに、代わって「操作はあと30分お待ちください」の文字メッセージを表示する。30分とは、室内機24に関する保守作業が終了するまでの予定所要時間である。この時間は、時間t1からの時間経過に応じて減少する。これにより、ユーザは、保守作業が続けられる期間を知り、また、その間は選択ボタン104と設定ボタン106を操作できないことをはっきりと認識できるようになる。その認識によってユーザによる操作器28の操作が行われなくなり、保守作業を効率的に進めることができる。なお、図3では、変更された設定温度である26℃と室温である30℃の文字が消えていることを示すために、26℃、30℃の文字を細い文字とし、消えている部分を破線で囲んだ。
【0054】
時間t2は、室内機24の保守作業が終了した時点である。ここでは、保守作業用端末装置70から室内機24の制御部に対し、保守作業終了につき、ユーザの運転操作禁止を解除する復帰指示が送信される(S30)。また、この送信と共に、記憶部84の機能によって記憶されているユーザ操作内容を読み出して、その内容を室内機24に送信し、その内容に従って、操作器28の設定を行わせる旨の指示を送信する(S32)。この処理手順は、保守作業用端末装置70のユーザ操作内容送信処理部82の機能によって実行される。室内機24は、この指示に従い、操作器28に対し、表示を切り替える指示を送信する(S34)。
【0055】
上記の例では、モード選択表示画面100の表示を「保守作業中」から「冷房」の表示に切替え、設定表示画面102の表示を「操作はあと・・分お待ちください」から、設定温度が「26℃」に切替えられる。そして、この表示が、ユーザの操作指示として室外機20に送信され、これによって、室外機20と室内機24,26がこの26℃を目標温度とする冷房運転を開始する。このようにして、保守作業中にユーザによって行われた設定変更について、保守作業終了後、自動的にその希望した設定に移動することが行われる。
【0056】
図4は、空調システム10の保守作業を複数台の保守作業用端末装置70,90で行うときに、重複する作業が生じないように調整する手順を示すフローチャートである。ここでは、保守作業用端末装置70,90の2台で協働して空調システム10の保守作業を行うものとし、予め分担を決めておくものとする。しかし、保守作業の対象の状況によって所要時間が長くなりあるいは短くなることがあるので、保守作業未着手の対象が残っている場合には、予め決めた分担にかかわらず、保守作業を進めることにしてあるものとする。
【0057】
図4は、保守作業用端末装置70についての調整手順を示すフローチャートである。なお、保守作業用端末装置70,90は予め定めた分担のことを除けば、空調システム10の保守作業については同様の実行責任を有するので、図4と同様の手順を保守作業用端末装置90も実行することになる。
【0058】
S40は、初期化であって、保守作業を行う複数の構成要素を区別するために、保守作業を行う順番を示す数字iを「1」とおく手順である。今の場合、室内機24について、「i=1」とおく。そして、他の保守作業用端末装置90からの作業指令がこの「i=1」である室内機24に送信されているか否かを確認する(S42)。
【0059】
S42の判断が肯定されると、保守作業用端末装置70としては、「i=1」の室内機24に対する保守作業を行わない(S46)。S42の判断が肯定されることはあまりないと考えられるが、例えば、保守作業用端末装置70の最初の設定に問題が生じ、室内機24の保守作業に取り掛かる前に、他の保守作業用端末装置90の保守作業がどんどん進み、保守作業用端末装置90がすでに室内機24の保守作業に取り掛かってしまった場合等が考えらえる。
【0060】
S42の判断が否定されると、保守作業用端末装置70として、「i=1」の室内機24に対する保守作業を実行する(S48)。そして、「i=1」の室内機24に対する保守作業が終了すると、「i=1」が、空調システム10の保守作業の対象の構成要素につけた番号の最大値か否かが判断される(S50)。つまり、他に保守作業の対象とする構成要素が残っていないか否かが判断される。S50の判断が肯定されるときは、他に保守作業の対象とする構成要素が残っていないときであるので、空調システム10の保守作業として、保守作業用端末装置70としての作業は終了する。
【0061】
S50の判断が否定されるときは、他に保守作業の対象とする構成要素が残っているときであるので、番号iを1つ増やして「iをi+1」とし(S52)、S42へ戻り、上記の手順を繰り返す。例えば、今の場合i=1である室内機24の保守作業が終了し、「i=i+1=2」として室内機26の保守作業をするものとする。ここでもS44の判断が行われ、保守作業用端末装置90による室内機26の保守作業が始まっていない場合には、保守作業用端末装置70による保守作業が進められる。
【0062】
保守作業用端末装置90においても、上記と同様に、予め定めた分担に従って、順次保守作業が進められる。2台の保守作業用端末装置70,90によって保守作業が進行するにつれ、保守作業が未だ行われていない構成要素の数が次第に少なくなる。そうすると、S44の判断が肯定されることが生じる。
【0063】
例えば、保守作業用端末装置70について予め定めた分担が「室内機24−室内機26−操作器28−室外機20−室内機34−室内機36−操作器38−室外機30」であり、保守作業用端末装置90について予め定めた分担が「室内機54−室内機56−操作器58−室外機50−室内機64−室内機66−操作器68−室外機60−室内機44−室内機46−操作器48−室外機40」であるとする。ここで、保守作業用端末装置70が自分の分担の最後の保守作業対象である室外機30の保守作業が終了すると、次に、予め定めた自分の分担ではないが、室内機44について保守作業をしようとして、S42の確認をする。
【0064】
このときに、S44の判断が肯定されるときは、既に保守作業用端末装置90の保守作業が室内機44に対して着手済みであるので、保守作業用端末装置70は室内機44に対して保守作業を実行しない。保守作業用端末装置70は、他に保守作業の残っている構成要素がないか、自分の分担以外の構成要素のすべてについて確認する。ここで、室内機46がまだ保守作業に未着手であることが分かると、保守作業用端末装置70は、予め定めた自分の分担ではないが、室内機46について保守作業を実行する。
【0065】
このように、新しい対象について保守作業を行う際に、S42の確認とS44の判断を行うことで、複数の保守作業用端末装置70,90による保守作業の重複を避ける調整を行うことができる。これらの処理手順は、保守作業用端末装置70,90のそれぞれの重複作業調整処理部86の機能によって実行される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る保守作業用端末装置は、通信回線で相互に接続される複数の建物付帯設備の保守作業に利用できる。
【符号の説明】
【0067】
10 空調システム、12 集中管理装置、14,22,32,42,52,62,74,94 通信回線、20,30,40,50,60 室外機、24,26,34,36,44,46,54,56,64,66 室内機、28,38,48,58,68 操作器、70,90 保守作業用端末装置、72,92 変換部、76 通信制御部、78 作業指令送信処理部、80 表示指示送信処理部、82 ユーザ操作内容送信処理部、84 記憶部、86 重複作業調整処理部、100 モード選択表示画面、102 設定表示画面、104 選択ボタン、106 設定ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物付帯設備と、それぞれの建物付帯設備と通信回線を介して接続される集中制御装置を有する設備管理システムの保守作業を行うために用いられる保守作業用端末装置であって、
設備管理システムの予め定めた所定接続点に接続される通信制御部と、
設備管理システムを構成する少なくとも1つの建物付帯設備を保守作業対象設備として、通信制御部を介して保守作業対象設備に対して、保守作業を行うための予め定めた保守作業指令を送信する作業指令送信処理部と、
保守作業指令送信と共に、保守作業対象設備の操作器に対し、現在保守作業中である旨の表示をさせる指示を送信する表示指示送信処理部と、
を備えることを特徴とする保守作業用端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保守作業用端末装置において、
表示指示送信処理部は、
ユーザが保守作業対象設備の操作器を操作したことを検出したときに、保守作業対象設備の操作器に対し、保守作業が終了する予定時間を明示してその間は操作を受け付けない旨の表示をさせる旨の指示を送信することを特徴とする保守作業用端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の保守作業用端末装置において、
ユーザが操作器を操作したユーザ操作内容を取得し、保守作業終了まで記憶する記憶部と、
保守作業終了時に記憶部からユーザ操作内容を読み出し、保守作業対象設備の操作器に対し、その内容に従って操作器の設定を行わせる旨の指示を送信するユーザ操作内容送信処理部と、
を備えることを特徴とする保守作業用端末装置。
【請求項4】
請求項1に記載の保守作業用端末装置において、
同じ設備管理システムに対し他の保守作業用端末装置と共に共同して保守作業を行うときに、同じ設備管理システムの他の所定接続点に接続された他の保守作業用端末装置から、保守作業中である旨の情報が既に送信されてきた保守作業対象設備については、重ねて保守作業を行わないこととして調整する重複作業調整処理部を備えることを特徴とする保守作業用端末装置。
【請求項5】
請求項1に記載の保守作業用端末装置において、
建物付帯設備は空調機であり、設備管理システムは空調管理システムであることを特徴とする保守作業用端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−24434(P2013−24434A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156882(P2011−156882)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】