説明

保守巡回作業表作成装置

【課題】作業表作成者による作業現場の所在地域の判別を容易にし、効率の良い巡回計画を作成できる保守巡回作業表作成装置を提供する。
【解決手段】所定期間内の保守作業の対象となる現場毎に当該作業員の出動拠点からの方角及び距離の情報を記憶する現場情報記憶部5と、当該作業員の出動拠点からの方角毎に画面表示色を定義した方角−色情報記憶部6と、当該作業員の出動拠点からの距離と色の階調を定義した距離−階調情報記憶部7と、前記現場情報から当該作業員の出動拠点からの方角、距離を判定し現場毎に所在地域の色及び階調を決定する色・階調判定処理部4と、決定した現場毎の色・階調情報を記憶させる現場−色・階調情報記憶部8と、色・階調判定処理や各情報記憶部の検索、画面表示等を実行する制御部3を備え、作業現場の前記出動拠点からの方角毎に色を、出動拠点からの距離毎に階調を変えて作業表部1および現場一覧部2に作業現場を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建造物(ビル)管理システムにおいて、保守契約が結ばれている顧客ビルの点検等を行うため作業員を定期的に巡回させる場合に、その巡回の作業表を予め作成するのに用いられるビル巡回保守作業表作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビル内にはエレベータ、エスカレータをはじめとする多種多様の設備が備えられている。ビル設備の保守会社では、専門の作業員を顧客ビルに定期的に巡回・させ、設備の点検、修理、整備等のサービスを提供している。このような定期的な巡回を行うためには、予め巡回すべきビル名および巡回日を各作業員に割り当てなければならない。このとき、巡回保守作業は同一地域毎に巡回した方が、作業効率が良いため、できるだけ同一地域のビルを巡回できるよう割り当てなければならず、作業表作成者は作業現場の所在地域を示すコード(英数字)で判別している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−223075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、作業現場の所在地域を示すコードを目視で見分ける手間があり、時間がかかるとともに、誤りも発生し易かった。また、誤りの防止として作業表作成後にシステムでチェックして警告表示をさせたとしても、やり直しの時間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、作業現場の所在地域(作業員の出勤拠点からの方角及び距離)の作業表作成者による判別を容易にし、効率の良い巡回計画を作成できる保守巡回作業表作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による保守巡回作業表作成装置は、上記目的を達成するために、作業現場を巡回して保守作業に当たる複数の作業員の名称と所定期間内の作業日とが縦横に配列され、それぞれの交差箇所に当該作業員が保守作業に当たる作業現場を表示する作業表部を有し、前記期間内に保守作業に当たる作業現場毎に当該作業員の出勤拠点からの方角及び距離などの現場情報を記憶する現場情報記憶部と、前記現場情報から当該作業員の出動拠点からの方角、距離を判定し現場毎に所在地域の色及び階調を決定する色・階調判定処理部と、決定した現場毎の色・階調情報を記憶させる現場−色・階調情報記憶部とを有し、作業現場の前記出動拠点からの方角毎に色を、前記出動拠点からの距離毎に階調を変えて作業表部に作業現場を表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、作業表作成者による作業現場の所在地域(作業員の出動拠点からの方角及び距離)の判別を容易にし、効率の良い巡回計画の作成を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態である保守巡回作業表作成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における現場一覧部表示処理のフローチャートである。
【図3】本実施形態における作業表部への現場表示処理のフローチャートである。
【図4】作業表部の例を示す図である。
【図5】作業現場情報の例を示す図である。
【図6】方角−色情報の例を示す図である。
【図7】距離−階調情報の例を示す図である。
【図8】現場−色・階調情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1は本発明の一実施形態である保守巡回作業表作成装置のシステム構成を示すブロック図である。図2は本実施形態における現場一覧部表示処理のフローチャートである。図3は本実施形態における作業表部への現場表示処理のフローチャートである。図4は表示部及び操作の例である。図5は作業現場情報の例である。図6は方角−色情報の例である。図7は距離−階調情報の例である。図8は現場−色・階調情報の例である。
【0010】
図1において、作業現場を巡回して保守作業に当たる複数の作業員の名称と所定期間内の作業日とが縦横に配列され、それぞれの交差箇所に当該作業員が保守作業に当たる作業現場を表示する作業表部1と、前記期間内の保守作業の対象となる現場一覧部2と、前記現場毎に当該作業員の出動拠点からの方角及び距離の情報を記憶する現場情報記憶部5と、前記出勤拠点からの方角毎に画面表示色を定義した方角−色情報記憶部6と、前記出動拠点からの距離と色の階調を定義した距離−階調情報記憶部7と、前記現場情報から当該作業員の出動拠点からの方角、距離を判定し現場毎に所在地域の色及び階調を決定する色・階調判定処理部4と、前記色・階調判定処理部4が決定した現場毎の色および階調を記憶する現場−色・階調情報記憶部8と、前記色・階調判定処理や各情報記憶部の検索、値の取得、画面表示を実行する制御部3とで構成される。
【0011】
図5に構成を示す現場情報記憶部5には設備番号、ビル名、作業員の出動拠点からの方角及び距離を予め記憶させておく。図6に構成を示す方角−色情報記憶部6には方角と方角毎の画面表示色を予め記憶させておく。図7に構成を示す距離−階調情報記憶部7には距離と距離毎の色の階調を予め記憶させておく。図8は現場−色・階調情報記憶部8の構成を示す。
【0012】
現場一覧部2を表示するとき、図2の手順により現場毎に色および階調を表示する。現場情報記憶部5から全現場の方角及び距離情報を取得する(手順Sl)。次に、方角−色情報記憶部6を手順Slで取得した方角で検索し(手順S2)、方角−色情報記憶部6から色情報を取得する(手順S3)。次に、距離−階調情報記憶部7を手順Slで取得した距離で検索し(手順S4)、距離−階調情報記憶部7から階調情報を取得する(手順S5)。
【0013】
さらに、手順S3、S5で取得した現場毎の色および階調情報を現場−色・階調情報記憶部8に記憶し(手順S6)、現場一覧部2に現場毎に色・階調を表示する(手順S7)。
【0014】
これにより作業表作成者は、現場毎の色及び階調により、作業現場の所在地域が同じであるか否かが一目で判別でき、現場一覧から所在地域が同じまたは近い現場を容易に選択できる。
【0015】
次に図4において、作業表作成者は現場一覧部2から作業現場を選択し(手順S8(図3))、続いて作業表部1上で作業員の名称と作業日が交差するマスを選択(手順S9(図3))したとき、図3の手順により現場毎に色および階調を表示する。すなわち、現場−色・階調情報記憶部8を手順S8で選択中の設備番号で検索し(手順S10)、現場−色・階調情報記憶部8から選択現場の色および階調を取得する(手順S11)。さらに、作業表部1で選択したマスにビル名、号機名、作業内容を表示するが、このとき、手順S11により得られた色及び階調により現場毎に色・階調表示する(手順S12)。
【0016】
これにより作業表作成者は、現場毎の色及び階調により、地域外の作業現場の有無が一目で判別でき、地域外の作業現場を作業表部のマスから排除できる。
【0017】
以上により、作業員および作業日毎に、できるだけ地域が近い作業現場を巡回できるよう割り当てを行え、効率の良い巡回計画を作成できる。
【符号の説明】
【0018】
1 作業表部
2 現場一覧部
3 制御部
4 色・階調判定処理部
5 現場情報記憶部
6 方角−色情報記憶部
7 距離−階調情報記憶部
8 現場−色・階調情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場を巡回して保守作業に当たる複数の作業員の名称と所定期間内の作業日とが縦横に配列され、それぞれの交差箇所に当該作業員が保守作業に当たる作業現場を表示する作業表部を有する保守巡回作業表作成装置において、
前記期間内に保守作業に当たる作業現場毎に当該作業員の出動拠点からの方角及び距離などの現場情報を記憶する現場情報記憶部と、前記現場情報から当該作業員の出動拠点からの方角、距離を判定し現場毎に所在地域の色及び階調を決定する色・階調判定処理部と、決定した現場毎の色・階調情報を記憶させる現場−色・階調情報記憶部とを有し、作業現場の前記出動拠点からの方角毎に色を、前記出動拠点からの距離毎に階調を変えて作業表部に作業現場を表示することを特徴とする保守巡回作業表作成装置。
【請求項2】
請求項1において、当該作業員の出動拠点からの方角毎に画面表示色を定義した方角−色情報記憶部を有したことを特徴とする保守巡回作業表作成装置。
【請求項3】
請求項1において、当該作業員の出動拠点からの距離と色の階調を定義した距離−階調情報記憶部を有したことを特徴とする保守巡回作業表作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−253380(P2011−253380A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127165(P2010−127165)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)