説明

保守支援システム、保守支援方法、及びプログラム

【課題】機器の保守計画を立てる為の保守支援情報として、正確かつ十分な情報を提供する。
【解決手段】推定残存率31、実績設置台数32、実績修理件数33は、それぞれ、取得処理61a、61b、61cによって取得されるデータである。推定残存台数算出処理62は、推定残存率31及び実績設置台数32に基づき、経過期間ごとに推定残存台数41を算出する。推定ハザード関数算出処理63は、推定残存台数41及び実績修理件数33に基づき、推定ハザード関数42を算出する。定累積修理率算出処理64は、推定ハザード関数42に基づき、推定累積修理率43を算出する。予測処理65aは、学習期間23の範囲内のデータを用いて、推定累積修理率43に対して予測モデル22を適用し、予測累積修理率51を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭において使用される機器の保守を支援する保守支援システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種機器の保守業務においては、故障発生時に迅速に対応するとともに、重大な故障が発生しないように適切な保守計画を立てておくことが求められる。保守計画の具体的な内容としては、機器の販売中止、部品の保管年限、保証期間の延長、設計の変更など、多岐にわたる。
【0003】
特許文献1には、一般家庭において使用されるガス機器の品質管理方法について開示されている。特許文献1に記載の品質管理方法では、まず、顧客所有機器データ記憶部に登録されている全ての所有機器に対し、実際に使用された単位期間の長さに応じた機器台数を機器型式別に計数して機器型式別使用期間別台数を算出する。次に、部品使用実績データに基づいて、機器型式別且つ使用期間別に使用部品毎の使用数を導出し、これを機器型式別使用期間別台数で除算することで、使用期間を経験した全ての所有機器のうち、単位期間内で使用部品が必要となる台数の割合を、同部品毎に、機器型式別使用期間別に規定した値である部品使用率を、品質管理指標として算出する。
【0004】
特許文献2には、機器の交換時期及びメンテナンス時期の推定作業を支援する保守支援プログラムが開示されている。特許文献2の保守支援プログラムは、コンピュータに、以下の機能を実現させるためのプログラムである。
(1)出荷情報データベースに記憶されており保守対象の機器の識別情報と機器の出荷先を示す顧客識別情報とを関連付けた出荷情報に基づいて、所定の出荷先へ出荷された機器の集合であり所定の出荷先で信頼性解析時点までに故障の発生している機器と所定の出荷先で信頼性解析時点までに故障の発生していない機器とを含む母集団の台数Niを求める母集団演算機能。
(2)設備保全情報データベースに記憶されており機器の識別情報、機器を用いる顧客を示す顧客識別情報、機器の故障発生時間情報を関連付けた設備保全情報に基づいて、母集団内において信頼性解析時点までに発生している機器の故障実績である累積ハザード値(H(t)=所定の出荷先で信頼性解析時点までに故障の発生している機器の故障台数/Ni)を求め、累積ハザード値と使用環境データベースに記載されており顧客識別情報と機器の使用環境とを関連付けた環境情報に基づいて、累積ハザード関数近似、信頼度関数の演算、不信頼度関数の演算、故障発生確率密度関数の演算、ワイブル関数の演算のうちの少なくとも一つを含む信頼性解析を使用環境に応じた重み補正を実行しつつ行い、所定の出荷先についての信頼性解析の結果を示す信頼性解析情報を信頼性解析データベースに記録する解析機能。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−231376号公報
【特許文献2】特許第4309803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、顧客所有機器データ記憶部に登録される「抹消日」(機器が取り外されたことを保守業者が認識した日)に基づいて、「実際に使用された単位期間の長さに応じた機器台数」等を求めている。そうすると、販売・設置後に修理などの連絡をせずに、顧客自らが機器を廃棄したり、使用せずに放置したりしている場合については、正常に稼働している機器としてカウントされてしまう。従って、特許文献1において算出される部品使用率は、正確な実態把握に基づいた品質管理指標とは言えない。更に、特許文献1では、品質管理指標として部品使用率を算出するところまでに留まり、適切な保守計画を立てるための情報としては不十分である。
【0007】
また、特許文献2では、出荷情報から信頼性解析時点までの故障情報を差し引くことによって、信頼性解析時点の稼働台数を算出している。そうすると、前述した通り、販売・設置後に修理などの連絡をせずに、顧客自らが機器を廃棄したり、使用せずに放置したりしている場合については、正常に稼働している機器としてカウントされてしまう。従って、特許文献2において算出される信頼性解析情報も、正確な実態把握に基づいた品質管理指標とは言えない。また、特許文献2では、故障個所が異なったり、故障個所が同一であっても経過年月が異なったりする「性質が異なる故障」を切り分けて考えていないので、適切な保守計画を立てるための情報としては不十分である。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、機器の保守計画を立てる為の保守支援情報として、正確かつ十分な情報を提供することが可能な保守支援システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために第1の発明は、コンピュータによって構成され、機器の保守業務を支援する保守支援システムであって、前記機器の設置時点からの経過期間ごとに、前記機器が現実に稼働している割合の推定値である推定残存率を記憶する記憶手段と、前記機器の実績設置台数を前記経過期間ごとに取得し、前記機器の実績修理件数を発生時点ごとに取得する取得手段と、前記推定残存率及び前記実績設置台数に基づき、前記経過期間ごとに、前記機器が現実に残存している台数の推定値である推定残存台数を算出する推定残存台数算出手段と、前記実績修理件数及び前記推定残存台数に基づき、前記機器のハザード関数の推定値である推定ハザード関数を算出する推定ハザード関数算出手段と、前記推定ハザード関数に基づき、前記機器の累積修理率の推定値である推定累積修理率を算出する推定累積修理率算出手段と、を具備することを特徴とする保守支援システムである。
【0010】
第1の発明によって、保守支援システムは、機器の保守計画を立てる為の保守支援情報として、正確な情報を提供することができる。特に、記憶手段に記憶される推定残存率が、例えば、機器が設置されている一般家庭などを定期的に巡回して行う定期保安調査の結果を反映したものであれば、保守支援システムは、正確な実態把握に基づいた保守支援情報を提供することができる。
【0011】
第1の発明は、学習期間の選択を受け付ける受付手段と、前記学習期間の範囲内のデータを用いて、前記推定累積修理率に対して所定の予測モデルを適用し、前記機器の将来の累積修理率の予測値である予測累積修理率を算出する予測処理を行う予測手段と、を更に具備することが望ましい。これによって、ユーザは、学習期間を動的に変更し、保守支援情報(例えば、予測累積修理率)を得ることができる。従って、ユーザは、過去の事例(例えば、故障や修理などの事例)等に応じて適切な学習期間を選択し、正確な保守支援情報を得ることができる。
【0012】
第1の発明における前記予測処理では、更に、前記機器の将来の残存台数の予測値である予測残存台数、前記機器の将来のハザード関数の予測値である予測ハザード関数、前記機器の将来の修理率の予測値である予測修理率、及び、前記機器の将来の修理件数の予測値である予測修理件数を算出することが望ましい。これによって、ユーザは、保守支援情報として、様々な情報を得ることができる。
【0013】
第1の発明における前記記憶手段は、更に、前記機器に関する保守実施情報を発生時点ごとに記憶し、前記保守実施情報を表示する表示手段、を更に具備することが望ましい。これによって、ユーザは、保守実施情報を確認しながら、適切な学習期間を選択することができる。
【0014】
第1の発明における前記受付手段は、更に、前記保守実施情報に基づき、前記学習期間の選択可能範囲を制限する機能を有することが望ましい。これによって、保守支援システムは、過去の事例から学習期間に含めるべきではない期間を選択不可とすることができる。例えば、販売済の全ての機器を対象とした部品交換などを行い、故障や修理の発生傾向が大きく変化している場合、保守支援システムは、部品交換時期よりも前の期間を選択不可とすることによって、正確な保守支援情報を算出することができる。
【0015】
第1の発明における前記受付手段は、更に、前記保守実施情報に基づき、最適な前記学習期間を自動的に決定する機能を有することが望ましい。これによって、保守支援システムは、ユーザの手間を省くことができるとともに、システムに精通していないユーザに対しても正確な保守支援情報を提供することができる。例えば、販売済の全ての機器を対象とした部品交換などを行い、故障や修理の発生傾向が大きく変化している場合、保守支援システムは、部品交換時期以降の期間を学習期間として決定することによって、正確な保守支援情報を算出することができる。
【0016】
第1の発明における前記受付手段は、複数の前記学習期間の選択を受け付け、前記予測手段は、複数の前記学習期間ごとに、複数の前記予測処理を行い、予測結果を比較出力することが望ましい。これによって、ユーザは、複数の学習期間による予測結果を比較することができる。従って、ユーザは、過去に傾向変化をもたらすような保守作業が行われていることを見つけ出すことができる。
【0017】
第1の発明における前記受付手段は、過去の予測期間の選択を受け付け、前記予測手段は、前記過去の予測期間に対する前記予測処理を行い、前記予測処理によって算出された前記過去の予測期間に対する予測値と、前記過去の予測期間と同一期間における実績値との比較を行い、前記実績値からの外れ度合を算出する外れ度合算出手段、を更に具備することが望ましい。これによって、ユーザは、実績値からの外れ度合を確認することができる。従って、ユーザは、予測処理に用いられる予測モデルや学習期間の妥当性を検証することができる。
【0018】
第1の発明における前記外れ度合算出手段によって算出された前記外れ度合が、所定の閾値以上か否かを判定する判定手段、を更に具備し、前記判定手段によって前記外れ度合が所定の閾値以上と判定された場合には、前記受付手段が前記学習期間の再選択を受け付け、前記判定手段によって前記外れ度合が所定の閾値未満と判定された場合には、前記予測手段が、予測結果の信頼区間を算出することが望ましい。これによって、ユーザ自身は、学習期間などを変えて、更に予測処理を保守支援システムに実行させるべきか否かの判断を行う必要がない。更に、ユーザは、予測結果の信頼区間を確認することができる。従って、保守支援システムは、ユーザに対して保守支援情報に対する納得感を与えることができる。
【0019】
第1の発明における前記予測手段は、更に、取り得る全ての期間から前記学習期間を1つずつ決定して前記予測処理を繰り返し、最適な前記学習期間を決定する機能を有することが望ましい。これによって、保守支援システムは、取り得る全ての期間に対して予測処理を行い、予測結果から最適な学習期間を自動的に決定することができる。
【0020】
第1の発明における前記記憶手段は、更に、前記機器の故障現象、故障原因、修理箇所及び修理方法を含む修理情報を記憶し、前記受付手段は、更に、前記予測処理に用いられるデータ範囲の絞り込み条件として、前記故障現象、前記故障原因、前記修理箇所、及び前記修理方法のいずれか1つ又は複数の値の選択を受け付け、前記予測手段は、前記受付手段によって受け付けられた前記絞り込み条件に従って絞り込まれるデータを用いて前記予測処理を行うことが望ましい。これによって、ユーザは、故障現象、故障原因、修理箇所、及び修理方法のいずれか1つ又は複数の値を選択してデータ範囲を絞り込み、予測支援情報を得ることができる。ひいては、ユーザは、保守作業の目的に応じた様々な予測支援情報を得ることができる。
【0021】
第1の発明における前記受付手段は、前記予測モデルの選択を受け付け、前記予測手段は、前記受付手段によって受け付けられた前記予測モデルを適用して、前記予測処理を行うことが望ましい。これによって、ユーザは、学習期間に加えて予測モデルも選択し、予測支援情報を得ることができる。
【0022】
第2の発明は、コンピュータが実行し、機器の保守業務を支援する保守支援方法であって、前記コンピュータが、前記機器の設置時点からの経過期間ごとに、前記機器が現実に稼働している割合の推定値である推定残存率を記憶する記憶ステップと、前記機器の実績設置台数を前記経過期間ごとに取得し、前記機器の実績修理件数を発生時点ごとに取得する取得ステップと、前記推定残存率及び前記実績設置台数に基づき、前記経過期間ごとに、前記機器が現実に残存している台数の推定値である推定残存台数を算出する推定残存台数算出ステップと、前記実績修理件数及び前記推定残存台数に基づき、前記機器のハザード関数の推定値である推定ハザード関数を算出する推定ハザード関数算出ステップと、前記推定ハザード関数に基づき、前記機器の累積修理率の推定値である推定累積修理率を算出する推定累積修理率算出ステップと、を含むことを特徴とする保守支援方法である。第2の発明によって、機器の保守計画を立てる為の保守支援情報として、正確な情報を提供することができる。
【0023】
第2の発明は、学習期間の選択を受け付ける受付ステップと、前記学習期間の範囲内のデータを用いて、前記推定累積修理率に対して所定の予測モデルを適用し、前記機器の将来の累積修理率の予測値である予測累積修理率を算出する予測処理を行う予測ステップと、を更に含むことが望ましい。これによって、ユーザは、学習期間を動的に変更し、保守支援情報を得ることができる。従って、ユーザは、過去の事例等に応じて適切な学習期間を選択し、正確な保守支援情報を得ることができる。
【0024】
第3の発明は、コンピュータに、機器の保守業務を支援する保守支援方法を実行させるためのプログラムであって、前記機器の設置時点からの経過期間ごとに、前記機器が現実に稼働している割合の推定値である推定残存率を記憶する記憶ステップと、前記機器の実績設置台数を前記経過期間ごとに取得し、前記機器の実績修理件数を発生時点ごとに取得する取得ステップと、前記推定残存率及び前記実績設置台数に基づき、前記経過期間ごとに、前記機器が現実に残存している台数の推定値である推定残存台数を算出する推定残存台数算出ステップと、前記実績修理件数及び前記推定残存台数に基づき、前記機器のハザード関数の推定値である推定ハザード関数を算出する推定ハザード関数算出ステップと、前記推定ハザード関数に基づき、前記機器の累積修理率の推定値である推定累積修理率を算出する推定累積修理率算出ステップと、を含む処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラムである。第3の発明をコンピュータにインストールすることによって、第1の発明の保守支援システムを得ることができる。ひいては、機器の保守計画を立てる為の保守支援情報として、正確な情報を提供することができる。
【0025】
第3の発明は、学習期間の選択を受け付ける受付ステップと、前記学習期間の範囲内のデータを用いて、前記推定累積修理率に対して所定の予測モデルを適用し、前記機器の将来の累積修理率の予測値である予測累積修理率を算出する予測処理を行う予測ステップと、を更に含む処理を前記コンピュータに実行させることが望ましい。これによって、ユーザは、学習期間を動的に変更し、保守支援情報を得ることができる。従って、ユーザは、過去の事例等に応じて適切な学習期間を選択し、正確な保守支援情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、機器の保守計画を立てる為の保守支援情報として、正確かつ十分な情報を提供することが可能な保守支援システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】保守支援システム1の概要を示す図
【図2】端末2(サーバ3)のハードウエア構成図
【図3】保守支援システム1のデータの流れを示すデータフロー
【図4】機器設置情報70の1例
【図5】推定残存率情報80の1例
【図6】修理情報90の1例
【図7】保守実施情報100の1例
【図8】保守支援システム1の処理の流れを示すフローチャート
【図9】保守実施情報100及び学習期間23の選択可能範囲の表示例
【図10】変形例2の処理を示すフローチャート
【図11】変形例3の処理を示すフローチャート
【図12】グラフデータ56の出力例
【図13】変形例4の処理を示すフローチャート
【図14】変形例5の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下では、主に一般家庭において使用される機器として、ガス機器を例に挙げて説明する。但し、本発明の適用範囲はガス機器に限らない。本発明は、前述した課題がある機器に対して適用すれば、同様の効果を奏する。
【0029】
図1は、保守支援システム1の概要を示す図である。図1に示すように、保守支援システム1は、例えば、端末2とサーバ3がネットワーク6を介して接続されている。ネットワーク6は、例えば、インターネット又はLAN(Local Area Network)等である。端末2は、例えば、PC(Personal
Computer、以下「コンピュータ」)や携帯端末(携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等)等、ネットワーク6に接続し、データ通信(HTTP通信、TCP/IP通信など)が可能であれば、どのような機器でも良い。サーバ3も、端末2と同様に、ネットワーク6に接続し、データ通信が可能であれば良いが、望ましくは高性能なサーバ用コンピュータが良い。
【0030】
端末2には、本発明の一形態である保守支援プログラム4がインストールされている。また、サーバ3には、本発明の実施形態において利用される各種のデータを記憶するデータベース(以下「DB」)5が構築されている。本発明の実施形態では、端末2が、保守支援プログラム4に従って各種の手段として機能し、機器の保守計画を立てる為に必要な保守支援情報をユーザに提示する。端末2は、必要に応じて、データの要求命令をサーバ3に送信する。サーバ3は、データの要求に対してDB5を検索し、要求されたデータを端末2に送信する。
【0031】
尚、保守支援システム1の構成は、図1に示す例に限らない。例えば、保守支援システム1は、端末2のみで構成されても良い。つまり、端末2が、DB5を備えるようにしても良い。
【0032】
また、保守支援プログラム4は、サーバ3にインストールされていても良い。つまり、サーバ3が、保守支援プログラム4に従って各種の手段として機能し、保守支援情報をユーザに提示するようにしても良い。この場合、端末2は、ユーザとのインタフェースの役割を果たす。つまり、端末2は、ユーザから入力されるデータをサーバ3に送信し、サーバ3から受信するデータを出力(表示や印刷など)する。
【0033】
また、DB5に代えて、単なるファイルとしてデータを記憶しても良い。また、DB5に記憶されているデータは、外部のサーバから取得するようにしても良い。
【0034】
図2は、端末2(サーバ3)を実現するコンピュータのハードウエア構成図である。尚、図2のハードウエア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0035】
端末2(サーバ3)を実現するコンピュータは、制御部11、記憶部12、メディア入出力部13、通信制御部14、入力部15、表示部16、周辺機器I/F部17等が、バス18を介して接続される。
【0036】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。CPUは、記憶部12、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス18を介して接続された各装置を駆動制御し、コンピュータが行う後述する処理を実現する。ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは、揮発性メモリであり、記憶部12、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部11が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0037】
記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、制御部11が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating System)等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0038】
メディア入出力部13(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)等のメディア入出力装置を有する。通信制御部14は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク6間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク6を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。ネットワーク6は、有線、無線を問わない。
【0039】
入力部15は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。入力部15を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。表示部16は、液晶パネル、有機EL等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。尚、入力部15及び表示部16は、タッチパネルディスプレイのように、一体となっていても良い。
【0040】
周辺機器I/F(インタフェース)部17は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部17を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部17は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。バス18は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0041】
図3は、保守支援システム1のデータの流れを示すデータフローである。図3では、データの流れについて説明し、データの具体例や処理内容については後述する。
【0042】
以下では、実績値がDB5に登録されている期間を「過去」とし、実績値がDB5に登録されていない期間を「将来」とし、「過去」と「将来」の境界を「現在」とする。つまり、本発明の実施の形態における時間軸は、現実の時間を基準とするのではなく、DB5に実績値が登録されているか否かを基準とする。
【0043】
予測対象(機器・部品・修理箇所等)21、予測モデル22、学習期間23は、ユーザが、所望の保守支援情報を得る為に、端末2の入力部15を介して入力するデータである。
【0044】
予測対象21は、予測の対象とする機器、部品、修理箇所等を含む。ユーザは、予測対象21として、少なくとも、予測の対象とする機器(型番等の機器コードによって特定。)を入力する。
【0045】
予測モデル22は、端末2が予測処理65aにおいて用いる統計モデルである。統計モデルとしては、例えば、ワイブル分布を利用するワイブルモデル、最小二乗法を利用する線形モデル等が挙げられる。
【0046】
学習期間23は、端末2が予測処理65aにおいて予測モデル22の当てはめを行うデータの範囲である。学習期間23は、機器の設置時点からの経過期間(以下、単に「経過期間」と言うこともある。)として定義される。経過期間としては、1年、2年、・・・というように年単位でも良いし、1か月、2か月、・・・というように月単位でも良い。
【0047】
推定残存率31、実績設置台数32、実績修理件数33は、それぞれ、取得処理61a、61b、61cによって取得されるデータである。
【0048】
推定残存率31は、機器の設置時点からの経過期間ごとにDB5に登録される、機器が現実に稼働している割合の推定値である。取得処理61aは、予測対象21を検索条件としてDB5を検索し、推定残存率31を取得する。例えば、図1に示す保守支援システム1の構成であれば、端末2が予測対象21の選択を受け付けて、サーバ3に送信する。サーバ3は、受信する予測対象21を検索条件としてDB5を検索し、推定残存率31を端末2に送信する。
【0049】
推定残存率31は、例えば、機器が設置されている一般家庭などを定期的に巡回して行う定期保安調査の結果を反映したものである。これによって、保守支援システム1は、正確な実態把握に基づいた保守支援情報を提供することができる。
【0050】
実績設置台数32は、過去に販売または設置した機器の経過期間ごとの台数である。例えば、図1に示す保守支援システム1の構成であれば、端末2が予測対象21の選択を受け付けて、サーバ3に送信する。サーバ3は、受信する予測対象21を検索条件としてDB5を検索し、機器の販売数を経過期間ごとに集計し、実績設置台数32を算出する。そして、サーバ3は、実績設置台数32を端末2に送信する。
【0051】
実績修理件数33は、現実に機器の修理を行った発生時点ごとの件数である。例えば、図1に示す保守支援システム1の構成であれば、端末2が予測対象21の選択を受け付けて、サーバ3に送信する。サーバ3は、受信する予測対象21を検索条件としてDB5を検索し、機器の修理件数を発生時点(例えば、月単位)ごとに集計し、実績修理件数33を算出する。そして、サーバ3は、実績修理件数33を端末2に送信する。
【0052】
推定残存台数41、推定ハザード関数42、推定累積修理率43は、それぞれ、推定残存台数算出処理62、推定ハザード関数算出処理63、推定累積修理率算出処理64によって算出されるデータである。特に、これらのデータは、推定値及び実績値から直接導出されるデータである。
【0053】
推定残存台数41は、機器が現実に残存している経過期間ごとの台数の推定値である。推定残存台数算出処理62は、推定残存率31及び実績設置台数32に基づき、経過期間ごとに推定残存台数41を算出する。推定残存台数算出処理62の詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0054】
推定ハザード関数42は、機器のハザード関数の推定値である。「ハザード関数」は統計用語である。本発明の実施の形態では、「ハザード関数」とは、時刻tまで正常稼働しているという仮定のもとで、時間t<x<t+△tで故障する確率(故障率)を示す。
【0055】
推定ハザード関数算出処理63は、推定残存台数41及び実績修理件数33に基づき、推定ハザード関数42を算出する。推定ハザード関数算出処理63の詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0056】
推定累積修理率43は、機器の累積修理率の推定値である。推定累積修理率算出処理64は、推定ハザード関数42に基づき、推定累積修理率43を算出する。推定残存台数算出処理62の詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0057】
予測累積修理率51、予測残存台数52、予測ハザード関数53、予測修理率54、予測修理件数55(以下、総称するときは「予測結果50」)は、それぞれ、予測処理65a、65b、65c、65d、65e(以下、総称するときは「予測処理65」)によって算出されるデータである。特に、これらのデータは、予測モデル22を用いた当てはめを行い、実績値がない範囲、或いは実績値があっても利用しない範囲のデータを予測することによって算出される。
【0058】
予測累積修理率51は、機器の将来の累積修理率の予測値である。尚、予測範囲が過去に設定された場合、予測累積修理率51は、機器の過去の累積修理率の予測値となる。予測範囲が過去に設定される場合の詳細は後述するが、予測範囲を過去に設定することによって、算出された予測値と実績値とを比較することが可能となる。予測範囲が過去に設定された場合の意義については、予測残存台数52、予測ハザード関数53、予測修理率54、予測修理件数55も同様である。
【0059】
予測処理65aは、学習期間23の範囲内のデータを用いて、推定累積修理率43に対して予測モデル22を適用し、予測累積修理率51を算出する。予測処理65aの詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0060】
予測残存台数52は、機器の将来の残存台数の予測値である。予測処理65bは、推定残存台数41及び予測累積修理率51に基づき、予測残存台数52を算出する。予測処理65bの詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0061】
予測ハザード関数53は、機器の将来のハザード関数の予測値である。予測処理65cは、予測累積修理率51に基づき、予測ハザード関数53を算出する。予測処理65cの詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0062】
予測修理率54は、機器の将来の修理率の予測値である。予測処理65dは、予測累積修理率51に基づき、予測修理率54を算出する。予測処理65dの詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0063】
予測修理件数55は、機器の将来の修理件数の予測値である。予測処理65eは、予測残存台数52、予測ハザード関数53、及び予測修理率54に基づき、予測修理件数55を算出する。予測処理65eの詳細は、図8を参照しながら後述する。
【0064】
グラフデータ56は、予測処理65の結果である予測結果50をグラフ表示するためのデータである。結果出力処理66は、予測結果50に基づき、グラフデータ56を出力する。出力先は、例えば、記憶部12、メディア入出力部13、通信制御部14、表示部16、周辺機器I/F部17等である。
【0065】
端末2が、グラフデータ56を表示部16に出力したり、周辺機器I/F部17等を介してプリンタ等に出力したりすることによって、ユーザは、グラフデータ56を確認することができる。そして、ユーザは、グラフデータ56を確認しながら、保守支援システム1に再度予測処理を実行させるか否かを判断する。再度予測処理を実行させる場合には、ユーザは、端末2の入力部15を介して、予測対象21、予測モデル22、学習期間23等の選択を行う。
【0066】
図4〜図7は、DB5に登録されているデータの詳細を示している。尚、説明の都合上、4つのテーブルに分けて図示したが、1つのテーブルに纏めても良いし、より多くのテーブルに分けても良い。また、図4〜図7は、本発明の実施形態の説明に必要なデータを簡略化して示しているに過ぎず、より詳細なデータを用いても良い。
【0067】
図4は、機器設置情報70の1例である。機器設置情報70は、過去に機器を設置した顧客や設置時期などを示す情報である。図4に示すように、機器設置情報70は、例えば、データを一意に識別するNo71、機器の型番等を一意に識別する機器コード72、機器の種類を示す機種73、顧客を一意に識別する顧客コード74、機器を設置した日を示す設置年月日75等を含む。尚、機種73に代えて、機器の種類を一意に識別する機種コードとしても良い。
【0068】
図5は、推定残存率情報80の1例である。推定残存率情報80は、推定残存率31を示す情報である。図5に示すように、推定残存率情報80は、例えば、データを一意に識別するNo81、機器の種類を示す機種82、機器の設置時点からの経過期間を示す経過期間83、推定残存率31等を含む。尚、機種82に代えて、機器の種類を一意に識別する機種コードとしても良い。
【0069】
図6は、修理情報90の1例である。修理情報90は、過去に実施した機器の修理内容を示す情報である。図6に示すように、修理情報90は、例えば、データを一意に識別するNo91、機器の型番等を一意に識別する機器コード92、機器の種類を示す機種93、機器を修理した日を示す修理年月日94、機器の故障現象を示す故障現象95、機器の修理箇所を示す修理箇所96、機器の故障原因を示す故障原因97、機器の修理方法を示す修理方法98、部品交換によって修理されたときの交換された部品を示す部品コード99等を含む。尚、機種93に代えて、機器の種類を一意に識別する機種コードとしても良い。同様に、故障現象95、修理箇所96、故障原因97、及び修理方法98をコード化しても良い。
【0070】
図7は、保守実施情報100の1例である。保守実施情報100は、過去に実施した機器に関する保守の内容を示す情報である。図7に示すように、保守実施情報100は、例えば、データを一意に識別するNo101、機器の型番等を一意に識別する機器コード102、保守を実施した時期を示す保守実施月103、保守の実施内容を示す保守実施内容104等を含む。尚、保守実施内容104をコード化しても良い。
【0071】
図8は、保守支援システム1の処理の流れを示すフローチャートである。保守支援システム1では、様々なデータ加工処理を行う。図8に示す処理は、保守支援システム1における主要な処理の一部である。
【0072】
図8に示すように、端末2の制御部11は、予測対象21、予測モデル22、学習期間23の選択を受け付ける(S1)。つまり、ユーザが、入力部15を介して、予測対象21、予測モデル22、学習期間23の選択を行うと、端末2の制御部11は、選択された予測対象21、予測モデル22、学習期間23を後述する処理に用いるデータとして入力する。
【0073】
端末2の制御部11は、予測対象21に基づき、推定残存率31、実績設置台数32、及び実績修理件数33を取得する(S2)。
【0074】
まず、推定残存率31の取得処理の1例について説明する。端末2の制御部11は、予測対象21として選択された機器コードをサーバ3に送信する。サーバ3の制御部11は、端末2から受信した機器コードから機種を特定する。サーバ3は、図示しない機器基本情報(少なくとも機器コードと機種とが対応付けて記憶されている情報)などを検索することによって、機種を特定する。次に、サーバ3の制御部11は、特定した機種を検索条件として、推定残存率情報80を検索する。そして、サーバ3の制御部11は、検索結果として得られた推定残存率情報80の経過期間83及び推定残存率84のリストデータを端末2に送信する。例えば、推定残存率情報80が月単位に登録されている場合、経過期間83及び推定残存率84のリストデータも月単位となる。端末2に送信されるデータが、経過期間(月単位)ごとの推定残存率31である。
【0075】
次に、実績設置台数32の取得処理の1例について説明する。サーバ3の制御部11は、端末2から受信した機器コードを検索条件として、機器設置情報70を検索する。そして、サーバ3の制御部11は、検索結果として得られたデータを、設置年月日75を用いて、例えば月単位に集計する。そして、サーバ3の制御部11は、集計結果として得られた月単位のデータを端末2に送信する。端末2に送信されるデータが、経過期間(月単位)ごとの実績設置台数32である。
【0076】
次に、実績修理件数33の取得処理の1例について説明する。サーバ3の制御部11は、端末2から受信した機器コードを検索条件として、修理情報90を検索する。そして、サーバ3の制御部11は、検索結果として得られたデータを、修理年月日94を用いて、例えば月単位に集計する。そして、サーバ3の制御部11は、集計結果として得られた月単位のデータを端末2に送信する。端末2に送信されるデータが、発生時点(月単位)ごとの実績修理件数33である。
【0077】
次に、端末2の制御部11は、推定残存率31及び実績設置台数32に基づき、推定残存台数41を算出する(S3)。
【0078】
推定残存台数41の算出処理の1例について説明する。例えば、2001年1月から販売している機器について、2011年1月の時点の推定残存台数41を算出する場合を考える。2001年1月の実績設置台数32が1万台、経過期間(月単位)が10年の推定残存率31が50%の場合、端末2の制御部11は、2011年1月の時点では、2001年1月に設置された1万台の機器のうち、1万台×50%=5千台、が残存していると推定する。同様に、2001年2月の実績設置台数32が2万台、経過期間(月単位)が9年11か月の推定残存率31が55%の場合、2011年1月の時点では、2001年2月に設置された2万台の機器のうち、2万台×55%=1万1千台、が残存していると推定する。以降、2010年12月まで同様の処理を繰り返し、全ての台数の総和を求めることによって、2011年1月の時点の推定残存台数41を算出する。また、端末2の制御部11は、経過期間ごとに加えて、更に、設置年月ごとに残存台数を推定し、それらの台数の総和も求め、2011年1月の時点の推定残存台数41を算出する。
【0079】
次に、端末2の制御部11は、推定残存台数41及び実績修理件数33に基づき、推定ハザード関数42を算出する(S4)。
【0080】
推定ハザード関数42の算出処理の1例について説明する。本発明の実施の形態では、故障しても修理されず撤去されてしまうケースを考慮しており、故障率≠修理率である。そして、本発明の実施の形態では、故障しても修理されず撤去されてしまうケースを推定残存率という形で加味していることが一つの特徴である。一般に、修理率は、経過期間ごとに、修理率=修理件数/実績設置台数(=初期台数)、によって求められる。但し、ここでの修理件数は、途中で設備撤去などが無い場合の件数を意味する。従って、途中撤去がある場合(或いは途中撤去を考慮する場合)、修理率は直接計算することができない。そこで、本発明の実施の形態では、まず、ハザード関数を算出し、次にハザード関数から累積修理率を推定し、最後に修理率を累積修理率の差分によって求める。そこで、例えば、端末2の制御部11は、まず経過期間(月単位)ごとに、推定ハザード関数42=実績修理件数33/(推定残存台数41×(1−前期までの累積修理率))、を算出する。ここでのハザード関数の分母は、ある期間に残存しており、かつ前期までに故障していない機器台数の推定数となっている。
【0081】
次に、端末2の制御部11は、推定ハザード関数42に基づき、推定累積修理率43を算出する(S5)。
【0082】
推定累積修理率43の算出処理の1例について説明する。推定ハザード関数42は、経過期間(月単位)ごとの前期まで健全だった機器が故障する確率なので、端末2の制御部11は、推定ハザード関数42の各経過期間(月単位)における値を、順次用いて推定累積修理率43を算出する。例えば、120ヶ月目の推定累積修理率は、1−(1−1ヶ月目の推定ハザード関数)×(1−2ヶ月目の推定ハザード関数)×・・・×(1−120ヶ月目の推定ハザード関数)、のように算出できる。
【0083】
次に、端末2の制御部11は、推定累積修理率43、予測モデル22、及び学習期間23に基づき、予測累積修理率51を算出する(S6)。
【0084】
予測累積修理率51の算出処理の1例について説明する。端末2の制御部11は、学習期間23の範囲内のデータを用いて、推定累積修理率43に対して予測モデル22を適用し、予測累積修理率51を算出する。学習期間23の範囲内のデータとは、S5において算出された推定累積修理率43のデータ群の中で、経過期間(月単位)が学習期間23の範囲内に含まれるデータである。予測モデル22としては、前述したワイブルモデルや線形モデルが挙げられる。端末2の制御部11は、公知の統計処理によって、学習期間23の範囲内に含まれる推定累積修理率43のデータを予測モデル22に当てはめて、予測期間の予測累積修理率51を算出する。予測期間は、ユーザが特に指定しなければ、実績値がない範囲、つまり将来となる。
【0085】
次に、端末2の制御部11は、予測累積修理率51及び推定残存台数41に基づき、予測残存台数52、予測ハザード関数53、及び予測修理率54を算出する(S7)。
【0086】
まず、予測残存台数52の算出処理の1例について説明する。端末2の制御部11は、例えば、推定残存台数41の算出処理に用いた推定残存率31を用いて、予測残存台数52を算出する。
【0087】
次に、予測ハザード関数53及び予測修理率54の算出処理の1例について説明する。予測累積修理率51から予測ハザード関数53を求める処理は、推定ハザード関数42から推定累積修理率43を求める処理の裏返しになる。つまり、端末2の制御部11は、隣り合う月同士の予測累積修理率51を用いることによって、予測ハザード関数53を算出する。例えば、130ヶ月目の予測ハザード関数は、(1−130ヶ月目の予測累積修理率)/(1−129ヶ月目の予測累積修理率)、によって算出できる。また、隣り合う月同士の予測累積修理率51の差分値が、経過期間(月単位)ごとの予測修理率54である。
【0088】
次に、端末2の制御部11は、予測残存台数52、及び、予測ハザード関数53又は予測修理率54に基づき、予測修理件数55を算出する(S8)。
【0089】
予測修理件数55の算出処理の1例について説明する。予測修理件数55を求める処理は、予測したい発生時点(月単位)における経過年月(月単位)ごとの予測残存台数52に(1−前期までの予測累積修理率51または推定累積修理率43)をかけて求められる予測したい発生時点の予測台数に、経過期間(月単位)ごとの予測ハザード関数53または推定ハザード関数42をかけ合わせて、全ての経過年月(月単位)について総和をとることで、予測したい発生時点(月単位)における予測修理件数55を算出する。実績がある経過期間については、推定累積修理率43および推定ハザード関数42を用いて、それ以外の期間は予測累積修理率51および予測ハザード関数53を用いることが原則だが、実績が存在する期間についてもスムージングのため予測累積修理率51および予測ハザード関数53を用いても良い。例えば、2011年1月時点の予測修理件数を求めるとすると、予測修理件数=(経過期間1ヶ月の予測ハザード関数または推定ハザード関数×2011年1月時点で経過期間1ヶ月の予測残存台数×(1−経過期間0ヶ月の予測累積修理率または推定累積修理率)+(経過期間2ヶ月の予測ハザード関数または推定ハザード関数×2011年1月時点で経過期間2ヶ月の予測残存台数×(1−経過期間1ヶ月の予測累積修理率または推定累積修理率)+・・・(収束する経過期間までの総和をとる)、となる。
【0090】
次に、端末2の制御部11は、各種グラフを表示する(S9)。例えば、端末2の制御部11が、予測結果50(予測累積修理率51、予測残存台数52、予測ハザード関数53、予測修理率54、予測修理件数55)と、対応する過去実績とを同一のグラフ内に表示するように制御することによって、ユーザは、予測の妥当性を目視によって確認することができる。ユーザは、確認した後、必要に応じて、予測対象21、予測モデル22、及び学習期間23の再選択を行い、当てはまりの良い予測となるように調整することができる。
【0091】
図8に示す処理によって、保守支援システム1は、機器の保守計画を立てる為の保守支援情報として、正確な情報をユーザに提供することができる。特に、DB5に記憶される推定残存率が、例えば、機器が設置されている一般家庭などを定期的に巡回して行う定期保安調査の結果を反映したものであれば、保守支援システム1は、正確な実態把握に基づいた保守支援情報をユーザに提供することができる。
【0092】
また、保守支援システム1は、学習期間23の選択を受け付けて、学習期間23の範囲内のデータを用いて、推定累積修理率43に対して予測モデル22を適用し、予測結果50を算出する予測処理を行うので、ユーザは、学習期間を動的に変更し、保守支援情報を得ることができる。従って、ユーザは、過去の事例(例えば、故障や修理などの事例)等に応じて適切な学習期間を選択し、正確な保守支援情報を得ることができる。
【0093】
また、保守支援システム1は、予測累積修理率51に加えて、予測残存台数52、予測ハザード関数53、予測修理率54、及び予測修理件数55を算出するので、ユーザは、保守支援情報として、様々な情報を得ることができる。
【0094】
以下では、本発明の実施の形態における各変形例を説明する。
【0095】
<変形例1>
変形例1では、保守支援システム1は、保守実施情報100を表示し、学習期間23の選択可能範囲を表示する。図9は、保守実施情報100及び学習期間23の選択可能範囲の表示例である。
【0096】
図9は、横軸が経過期間(経過月数)である。その機器の現物が設置された時点(以下、「現物設置時点」という。)を始点とし、現在は、「現物設置時点」から120カ月経過していることを示している。現在の時点よりも前の期間は、「実績値あり」の期間となる。一方、現在の時点よりも後の期間は、「予測期間」となる。
【0097】
図9では、保守実施情報100として、「現物設置時点」から60カ月経過した時点において、「事前メンテナンス開始」が表示されている。これは、予測対象の機器に対して、「現物設置時点」から60カ月経過した時点から、事前メンテナンスを開始したことを示している。
【0098】
学習期間の絞り込みを行う例としては、(1)ある機器について、知見として「60ヶ月目ごろから急激に劣化が進む」ことがわかった場合に、60ヶ月目以降のデータのみ用いて予測を行うというような場合や、(2)ある機器について設置から60ヶ月目時点の点検で全て予防措置を行っている場合に、60ヶ月目以降のデータを用いて予測を行うというような場合が考えられる。
【0099】
そこで、保守支援システム1は、例えば、保守実施情報100に基づき、学習期間23の選択可能範囲を制限する機能を有しても良い。これによって、保守支援システム1は、過去の事例から学習期間に含めるべきではない期間を選択不可とすることができる。例えば、販売済の全ての機器を対象とした部品交換などを行い、故障や修理の発生傾向が大きく変化している場合も、保守支援システムは、部品交換時期よりも前の期間を選択不可とすることによって、正確な保守支援情報を算出することができる。
【0100】
また、保守支援システム1は、保守実施情報100を端末2の表示部16に表示するだけでも良い。これによって、ユーザは、保守実施情報100を確認しながら、適切な学習期間を選択することができる。
【0101】
<変形例2>
変形例2では、保守支援システム1は、保守実施情報100に基づいて学習期間23を自動的に決定する。図10は、変形例2の処理を示すフローチャートである。以下、図10を参照しながら、変形例2について説明する。図8のフローチャートと同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0102】
端末2の制御部11は、予測対象21、予測モデル22の選択を受け付ける(S11)。S11の処理は、図8のS1の処理と同様である。
【0103】
次に、端末2の制御部11は、保守実施情報100に基づき、最適な学習期間23を決定する(S12)。
【0104】
学習期間23の決定処理の1例について説明する。前提として、端末2の記憶部12には、予めユーザによって指定された、学習期間23の選択可能範囲を制限する保守実施内容104(以下、「制限保守実施内容」)が記憶されているものとする。例えば、ユーザが、「事前メンテナンス開始」及び「部品交換」について学習期間23の選択可能範囲を制限したい場合、「事前メンテナンス開始」及び「部品交換」を制限保守実施内容として、端末2の記憶部12に記憶しておく。
【0105】
そして、端末2の制御部11は、予測対象21の機器コードをサーバ3に送信する。サーバ3の制御部11は、端末2から受信した機器コードを検索条件として、保守実施情報100を検索する。サーバ3の制御部11は、検索結果として得られた保守実施月103及び保守実施内容104を端末2に送信する。端末2の制御部11は、サーバ3から受信した保守実施内容104と、記憶部12に記憶されている制限保守実施内容とを比較し、一致する保守実施内容104については、その保守実施月103の時点から実績値ありの終点までの期間を、学習期間23として決定する。このように学習期間23を決定する理由は、故障や修理の発生傾向が異なるデータを除けば、予測処理65に用いるデータが多い程、予測精度が上がると考えられるからである。
【0106】
次に、端末2の制御部11は、実績設置台数32及び実績修理件数33を取得し(S13)、推定残存台数41、推定ハザード関数42、及び推定累積修理率43を算出し(S14)、S12において自動的に決定した学習期間23を用いて予測処理65を実行し(S15)、予測結果50を出力する(S16)。S13〜S16の処理は、図8のS2〜S9の処理と同様である。
【0107】
図10に示す処理によって、保守支援システム1は、ユーザの手間を省くことができるとともに、システムに精通していないユーザに対しても正確な保守支援情報を提供することができる。例えば、販売済の全ての機器を対象とした部品交換などを行い、故障や修理の発生傾向が大きく変化している場合、保守支援システムは、部品交換時期以降の期間を学習期間として決定することによって、正確な保守支援情報を算出することができる。
【0108】
<変形例3>
変形例3では、保守支援システム1は、複数の予測処理を行い、予測結果を比較出力する。図11は、変形例3の処理を示すフローチャートである。図12は、グラフデータ56の出力例である。以下、図11を参照しながら、変形例3について説明する。図8のフローチャートと同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0109】
端末2の制御部11は、予測対象21、予測モデル22の選択を受け付ける(S21)。S21の処理は、図8のS1の処理と同様である。
【0110】
次に、端末2の制御部11は、複数の学習期間23の選択を受け付ける(S22)。尚、端末2の制御部11は、複数の予測モデル22の選択を受け付けるようにしても良い。
【0111】
次に、端末2の制御部11は、実績設置台数32及び実績修理件数33を取得し(S23)、推定残存台数41、推定ハザード関数42、及び推定累積修理率43を算出する(S24)。S23、S24の処理は、図8のS2〜S5の処理と同様である。
【0112】
次に、端末2の制御部11は、S12において選択された学習期間23の1つを用いて予測処理65を実行する(S25)。S25の処理は、図8のS6〜S8の処理と同様である。
【0113】
次に、端末2の制御部11は、全ての学習期間23について予測処理65が終了したか否かを判定する(S26)。終了していない場合(S26のNo)、端末2の制御部11は、S25の処理を繰り返す。終了している場合(S26のYes)、端末2の制御部11は、複数の予測結果50を比較出力する(S27)。
【0114】
図12(a)は、機器Aの2005年時点の予測累積修理率51のグラフである。学習期間は、経過期間(月単位)が24か月〜60か月、発生時点(月単位)が2000年〜2005年である。予測期間は、経過期間(月単位)が60カ月以降である。
【0115】
図12(b)は、機器Aの2010年時点の予測累積修理率51のグラフである。学習期間は、経過期間(月単位)が60か月〜120か月、発生時点(月単位)が2006年〜2010年である。予測期間は、経過期間(月単位)が120カ月以降である。
【0116】
図12(c)は、機器Aの2005年時点の予測累積修理率51及び2010年時点の予測累積修理率51を同一のグラフに比較出力したものである。
【0117】
図12に示す例では、機器Aに対して、2005年に事前メンテナンスを開始し、2005年の前後間で故障や修理の発生傾向が大きく変化している。しかし、図12(a)及び図12(b)のように、1回ずつの結果出力では、このような傾向を読み取ることが難しい。一方、図12(c)のように比較出力することによって、両者の乖離を目視にて判断することができる。従って、2005年における傾向変化が未知の場合であっても、ユーザは、図12(c)のような比較出力を確認することによって、過去に傾向変化をもたらすような保守作業が行われていることを見つけ出すことができる。
【0118】
図11に示す処理によって、ユーザは、複数の学習期間による予測結果を比較することができる。従って、ユーザは、過去に傾向変化をもたらすような保守作業が行われていることを見つけ出すことができる。
【0119】
<変形例4>
変形例4では、保守支援システム1は、予測処理65の外れ度合を算出し、再予測の要否判定を行う。図13は、変形例4の処理を示すフローチャートである。以下、図13を参照しながら、変形例4について説明する。図8のフローチャートと同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0120】
端末2の制御部11は、過去の予測期間の選択を受け付ける(S31)。過去の予測期間とは、実績値が存在し、本来であれば予測する必要がない期間を意味する。変形例4では、予測処理65に用いられる予測モデル22や学習期間23の妥当性を検証するため、敢えて過去の予測期間を選択して予測処理65を実行し、実績値と比較する。
【0121】
次に、端末2の制御部11は、予測対象21、予測モデル22、学習期間23の選択を受け付ける(S32)。S32の処理は、図8のS1の処理と同様である。
【0122】
次に、端末2の制御部11は、実績設置台数32及び実績修理件数33を取得し(S33)、推定残存台数41、推定ハザード関数42、及び推定累積修理率43を算出し(S34)、過去の予測期間に対する予測処理65を実行する(S35)。S33〜S35の処理は、図8のS2〜S8の処理と同様である。
【0123】
次に、端末2の制御部11は、サーバ3のDB5から、過去の予測期間と同一期間の実績値を取得し(S36)、外れ度合を算出する(S37)。
【0124】
外れ度合の算出処理の1例について説明する。外れ度合は、予測値と実績値との乖離であり、統計用語で言えば、予測値と実績値との「誤差」である。例えば、予測累積修理率51の外れ度合を算出する場合、端末2の制御部11は、算出された予測累積修理率51と、過去の予測期間と同一期間の実績累積修理率との誤差二乗平均の和を算出する。
【0125】
次に、端末2の制御部11は、外れ度合が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S38)。尚、所定の閾値は、予め記憶部12に記憶しておく。
【0126】
外れ度合が所定の閾値以上である場合(S38のYes)、端末2の制御部11は、S32の処理から繰り返す。外れ度合が所定の閾値未満である場合(S38のNo)、端末2の制御部11は、公知の統計処理によって、予測結果50の信頼区間を算出し(S39)、予測結果50の信頼区間とともに、予測結果50を出力する(S40)。
【0127】
図13に示す処理において、保守支援システム1は、過去の予測期間が受け付けられた場合には、過去の予測期間に対する予測処理65を行い、予測処理65によって算出された過去の予測値と、過去の予測期間と同一期間における実績値との比較を行い、実績値からの外れ度合を算出する。これによって、ユーザは、実績値からの外れ度合を確認することができる。従って、ユーザは、予測処理65に用いられる予測モデル22や学習期間23の妥当性を検証することができる。
【0128】
また、図13に示す処理において、保守支援システム1は、算出された外れ度合が、所定の閾値以上か否かを判定し、外れ度合が所定の閾値以上と判定された場合には、学習期間23の再選択を受け付け、外れ度合が所定の閾値未満と判定された場合には、予測結果50の信頼区間を算出する。これによって、ユーザ自身は、学習期間23などを変えて、更に予測処理65を保守支援システム1に実行させるべきか否かの判断を行う必要がない。更に、ユーザは、予測結果50の信頼区間を確認することができる。従って、保守支援システム1は、ユーザに対して保守支援情報に対する納得感を与えることができる。
【0129】
<変形例5>
変形例5では、保守支援システム1は、総当たりによって最適な予測モデル22及び学習期間23を決定する。図14は、変形例5の処理を示すフローチャートである。以下、図14を参照しながら、変形例5について説明する。図8のフローチャートと同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0130】
端末2の制御部11は、予測対象21の選択を受け付ける(S51)。次に、端末2の制御部11は、取り得る全ての予測モデル22、及び学習期間23を取得する(S52)。
【0131】
次に、端末2の制御部11は、推定残存率31、実績設置台数32及び実績修理件数33を取得し(S53)、推定残存台数41、推定ハザード関数42、及び推定累積修理率43を算出し(S54)、予測期間に対する予測処理65を実行する(S55)。予測期間は、変形例4と同様、実績値が存在する過去の予測期間である。S53〜S55の処理は、図8のS2〜S8の処理と同様である。
【0132】
次に、端末2の制御部11は、サーバ3のDB5から、予測期間と同一期間の実績値を取得し(S56)、実績値との誤差二乗平均の和を算出する(S57)。
【0133】
次に、端末2の制御部11は、全ての予測モデル22及び学習期間23について処理が終了したか否かを判定する(S58)。処理が終了していない場合(S58のNo)、端末2の制御部11は、S52の処理から繰り返す。処理が終了している場合(S58のYes)、端末2の制御部11は、誤差二乗平均の和が最小の予測モデル22及び学習期間23を最適な値として決定し(S59)、最適な予測モデル22及び学習期間23を出力する(S60)。
【0134】
図14に示す処理において、保守支援システム1は、取り得る全ての期間から学習期間23を1つずつ決定して予測処理65を繰り返し、最適な学習期間23を決定する。これによって、保守支援システム1は、取り得る全ての期間に対して予測処理65を行い、予測結果50から最適な学習期間23を自動的に決定することができる。
【0135】
<変形例6>
変形例6では、保守支援システム1は、故障現象95、故障原因97、修理箇所96、及び修理方法98を含む修理情報90を、予測処理65に用いられるデータ範囲の絞り込み条件として利用する。つまり、保守支援システム1は、故障現象95、故障原因97、修理箇所96、及び修理方法98のいずれか1つ又は複数の値の選択を受け付けて、予測対象21の絞り込み条件によって絞り込まれるデータを用いて予測処理65を行う。
【0136】
変形例6における絞り込み処理は、予測対象21の選択を受け付ける処理に含まれる。従って、変形例6における絞り込み処理は、前述した図8、図10、図11、図13、及び図14のフローチャートの全てにおいて適用可能である。
【0137】
変形例6における絞り込み処理によって、ユーザは、故障現象95、故障原因97、修理箇所96、及び修理方法98のいずれか1つ又は複数の値を選択してデータ範囲を絞り込み、予測支援情報を得ることができる。ひいては、ユーザは、保守作業の目的に応じた様々な予測支援情報を得ることができる。
【0138】
例えば、ある特定の機器に対して、故障現象95ごとの予測支援情報を得たい場合、変形例3に対して変形例6を適用すれば良い。具体的には、保守支援システム1は、図11のS22において、複数の学習期間23の選択を受け付けることに代えて、複数の故障現象95の選択(例えば、故障現象95の「全て」を選択)を受け付けて、故障現象95ごとに変形例6における絞り込み処理を行った後、予測処理65を実行すれば良い。
【0139】
また、例えば、ある特定の機器に対して、予測対象21の絞り込み条件の中で優先順位を付けて予測処理65を実行させ、外れ度合が所定の閾値未満になる予測支援情報を得たい場合、変形例4に対して変形例6を適用すれば良い。具体的には、図13のS32において、予測対象21の絞り込み条件(故障現象95、故障原因97、修理箇所96、及び修理方法98)の優先順位の選択を受け付けて、優先順位に従って変形例6における絞り込み処理を行った後、予測処理65を実行すれば良い。
【0140】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る保守支援システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0141】
1………保守支援システム
2………端末
3………サーバ
4………保守支援プログラム
5………データベース(DB)
6………ネットワーク
21………予測対象
22………予測モデル
23………学習期間
31………推定残存率
32………実績設置台数
33………実績修理件数
41………推定残存台数
42………推定ハザード関数
43………推定累積修理率
50………予測結果
51………予測累積修理率
52………予測残存台数
53………予測ハザード関数
54………予測修理率
55………予測修理件数
56………グラフデータ
61a、61b、61c………取得処理
62………推定残存台数算出処理
63………推定ハザード関数算出処理
64………推定累積修理率算出処理
65、65a、65b、65c、65d、65e………予測処理
66………結果出力処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって構成され、機器の保守業務を支援する保守支援システムであって、
前記機器の設置時点からの経過期間ごとに、前記機器が現実に稼働している割合の推定値である推定残存率を記憶する記憶手段と、
前記機器の実績設置台数を前記経過期間ごとに取得し、前記機器の実績修理件数を発生時点ごとに取得する取得手段と、
前記推定残存率及び前記実績設置台数に基づき、前記経過期間ごとに、前記機器が現実に残存している台数の推定値である推定残存台数を算出する推定残存台数算出手段と、
前記実績修理件数及び前記推定残存台数に基づき、前記機器のハザード関数の推定値である推定ハザード関数を算出する推定ハザード関数算出手段と、
前記推定ハザード関数に基づき、前記機器の累積修理率の推定値である推定累積修理率を算出する推定累積修理率算出手段と、
を具備することを特徴とする保守支援システム。
【請求項2】
学習期間の選択を受け付ける受付手段と、
前記学習期間の範囲内のデータを用いて、前記推定累積修理率に対して所定の予測モデルを適用し、前記機器の将来の累積修理率の予測値である予測累積修理率を算出する予測処理を行う予測手段と、
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の保守支援システム。
【請求項3】
前記予測処理では、更に、前記機器の将来の残存台数の予測値である予測残存台数、前記機器の将来のハザード関数の予測値である予測ハザード関数、前記機器の将来の修理率の予測値である予測修理率、及び、前記機器の将来の修理件数の予測値である予測修理件数を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の保守支援システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、更に、前記機器に関する保守実施情報を発生時点ごとに記憶し、
前記保守実施情報を表示する表示手段、を更に具備する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の保守支援システム。
【請求項5】
前記受付手段は、更に、前記保守実施情報に基づき、前記学習期間の選択可能範囲を制限する機能を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の保守支援システム。
【請求項6】
前記受付手段は、更に、前記保守実施情報に基づき、最適な前記学習期間を自動的に決定する機能を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の保守支援システム。
【請求項7】
前記受付手段は、複数の前記学習期間の選択を受け付け、
前記予測手段は、複数の前記学習期間ごとに、複数の前記予測処理を行い、予測結果を比較出力する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の保守支援システム。
【請求項8】
前記受付手段は、過去の予測期間の選択を受け付け、
前記予測手段は、前記過去の予測期間に対する前記予測処理を行い、
前記予測処理によって算出された前記過去の予測期間に対する予測値と、前記過去の予測期間と同一期間における実績値との比較を行い、前記実績値からの外れ度合を算出する外れ度合算出手段、を更に具備する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の保守支援システム。
【請求項9】
前記外れ度合算出手段によって算出された前記外れ度合が、所定の閾値以上か否かを判定する判定手段、を更に具備し、
前記判定手段によって前記外れ度合が所定の閾値以上と判定された場合には、前記受付手段が前記学習期間の再選択を受け付け、
前記判定手段によって前記外れ度合が所定の閾値未満と判定された場合には、前記予測手段が、予測結果の信頼区間を算出する
ことを特徴とする請求項8に記載の保守支援システム。
【請求項10】
前記予測手段は、更に、取り得る全ての期間から前記学習期間を1つずつ決定して前記予測処理を繰り返し、最適な前記学習期間を決定する機能を有する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項9のいずれかに記載の保守支援システム。
【請求項11】
前記記憶手段は、更に、前記機器の故障現象、故障原因、修理箇所及び修理方法を含む修理情報を記憶し、
前記受付手段は、更に、前記予測処理に用いられるデータ範囲の絞り込み条件として、前記故障現象、前記故障原因、前記修理箇所、及び前記修理方法のいずれか1つ又は複数の値の選択を受け付け、
前記予測手段は、前記受付手段によって受け付けられた前記絞り込み条件に従って絞り込まれるデータを用いて前記予測処理を行う
ことを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれかに記載の保守支援システム。
【請求項12】
前記受付手段は、前記予測モデルの選択を受け付け、
前記予測手段は、前記受付手段によって受け付けられた前記予測モデルを適用して、前記予測処理を行う
ことを特徴とする請求項2乃至請求項11のいずれかに記載の保守支援システム。
【請求項13】
コンピュータが実行し、機器の保守業務を支援する保守支援方法であって、
前記コンピュータが、
前記機器の設置時点からの経過期間ごとに、前記機器が現実に稼働している割合の推定値である推定残存率を記憶する記憶ステップと、
前記機器の実績設置台数を前記経過期間ごとに取得し、前記機器の実績修理件数を発生時点ごとに取得する取得ステップと、
前記推定残存率及び前記実績設置台数に基づき、前記経過期間ごとに、前記機器が現実に残存している台数の推定値である推定残存台数を算出する推定残存台数算出ステップと、
前記実績修理件数及び前記推定残存台数に基づき、前記機器のハザード関数の推定値である推定ハザード関数を算出する推定ハザード関数算出ステップと、
前記推定ハザード関数に基づき、前記機器の累積修理率の推定値である推定累積修理率を算出する推定累積修理率算出ステップと、
を含むことを特徴とする保守支援方法。
【請求項14】
学習期間の選択を受け付ける受付ステップと、
前記学習期間の範囲内のデータを用いて、前記推定累積修理率に対して所定の予測モデルを適用し、前記機器の将来の累積修理率の予測値である予測累積修理率を算出する予測処理を行う予測ステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の保守支援方法。
【請求項15】
コンピュータに、機器の保守業務を支援する保守支援方法を実行させるためのプログラムであって、
前記機器の設置時点からの経過期間ごとに、前記機器が現実に稼働している割合の推定値である推定残存率を記憶する記憶ステップと、
前記機器の実績設置台数を前記経過期間ごとに取得し、前記機器の実績修理件数を発生時点ごとに取得する取得ステップと、
前記推定残存率及び前記実績設置台数に基づき、前記経過期間ごとに、前記機器が現実に残存している台数の推定値である推定残存台数を算出する推定残存台数算出ステップと、
前記実績修理件数及び前記推定残存台数に基づき、前記機器のハザード関数の推定値である推定ハザード関数を算出する推定ハザード関数算出ステップと、
前記推定ハザード関数に基づき、前記機器の累積修理率の推定値である推定累積修理率を算出する推定累積修理率算出ステップと、
を含む処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
学習期間の選択を受け付ける受付ステップと、
前記学習期間の範囲内のデータを用いて、前記推定累積修理率に対して所定の予測モデルを適用し、前記機器の将来の累積修理率の予測値である予測累積修理率を算出する予測処理を行う予測ステップと、
を更に含む処理を前記コンピュータに実行させるための請求項15に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−114636(P2013−114636A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263180(P2011−263180)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)