説明

保守管理システム及び保守管理方法

【課題】保守管理並びに保守対応におけるミスを防止し、簡単にかつ短時間で作業開始から作業完了までの処理を行える保守管理システム及び方法を提供する。
【解決手段】サポートセンター30はコンピュータ装置10から障害発生情報を受信し、保守作業を指示する作業指示情報を生成して携帯電話20へ送信し、携帯端末2は作業指示情報を非接触型ICを用いてコンピュータ装置10へ送信し、コンピュータ装置10は作業指示情報を非接触型ICを用いて受信してサポートセンター30へ送信し、サポートセンター30は作業開始情報に対応する作業指示情報を確認した後携帯電話20へ作業開始許可を通知し、携帯電話20は作業開始許可が通知されたことを表示し、作業完了後に作業内容の入力を受け付け、受け付けた作業内容情報を非接触型ICを用いてコンピュータ装置10へ送信し、コンピュータ装置10は作業内容情報をサポートセンター30へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末を利用した作業管理方式及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置の作業方法に関しては、作業を実施する保守員が保有している携帯電話にサポートセンターから作業指示情報を受信させ、保守員が作業対象となるコンピュータ装置を確認し作業を行っていた。このような方法では、同じコンピュータ装置を多数設置しているユーザなどにおいて、作業対象となるコンピュータ装置以外を作業してしまうなどの作業ミス、間違いが生じることがあった。
【0003】
また、コンピュータ装置の作業開始と作業完了に関しては、電話などで担当者に報告したり、Web上やメールしたりするなどで報告することにより作業開始と作業完了により管理を行っていた。しかし、実際に作業を行っていない担当者が登録することによる登録ミスや、Web上やメールなどで報告する時間がなく後回しにすることにより登録漏れが生じることなど、作業開始と作業完了に関する信頼性は高くはなかった。
【0004】
さらに、作業対象となるコンピュータ装置の作業を実施したときにユーザ先への報告書提出や作業指示情報を送信したサポートセンターの担当者に電話などの報告か、または携帯電話から作業内容などを手入力しインターネットを介してWeb上で報告するか、メールなど送信することにより報告していた。このため、電話などで担当者に報告するときの伝達ミスや携帯電話からの人手による入力ミスや報告漏れが生じることなど作業確証としての信頼性が低いという問題があった。
【0005】
例えば、特許文献1には、保守運用管理装置から保守員の持つ保守作業者携帯端末に作業指示等を送信する保守運用システムが開示されている。また、特許文献2には、保守作業情報の転記作業や、コンピュータへのデータ入力作業のミスを防止する保守情報の処理方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−32069号公報
【特許文献2】特開平10−63690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、ユーザのコンピュータ装置内が障害情報を解析した障害解析情報を送信していた。このため、ユーザのコンピュータ装置内に障害を解析する構成を備える必要があった。また、特許文献1や特許文献2などの関連する技術では、ユーザのコンピュータ装置の保守作業において、作業指示、作業中及び作業終了後の報告という一連の作業を簡易に管理するシステムが提供されていなかった。
【0007】
このような課題を解決するため、保守管理並びに保守対応におけるミスを防止し、簡単にかつ短時間で作業開始から作業完了までの処理を行えるシステムが必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る保守管理システムの一態様は、サポートセンターが携帯端末を用いてコンピュータ装置を保守管理する保守管理システムであって、前記サポートセンターは、保守作業を指示する作業指示情報を格納する作業情報データベースを備え、前記コンピュータ装置から障害の発生を通知する障害発生情報を受信する受信手段と、前記障害発生情報に基づいて、保守作業を指示する作業指示情報を生成し、生成した作業指示情報を前記作業情報データベースへ格納し、前記作業指示情報を前記携帯端末へ送信させる障害情報解析手段と、前記コンピュータ装置から、前記作業指示情報に応じて作業開始を通知する作業開始情報を受信し、前記作業開始情報に基づいて前記作業情報データベースを検索し、前記作業開始情報に対応する前記作業指示情報が格納されていることを確認した後、前記携帯端末へ作業開始許可を通知する作業確認手段と、前記作業開始情報と、前記作業指示情報に基づいて実施された作業内容情報とを、前記作業情報データベースへ格納する格納手段と、を備え、前記携帯端末は、非接触型IC(integrated Circuit)を用いて前記コンピュータ装置へ前記作業開始情報を送信する非接触型送信手段と、前記サポートセンターから前記作業開始許可が通知されたことを保守員に通知する作業開始指示手段と、前記保守員によって入力される作業完了を待ち受け、作業完了後に作業内容の入力を受け付け、受け付けた作業内容情報を前記コンピュータ装置へ前記非接触型送信手段を用いて送信させる情報入力手段と、を備え、前記コンピュータ装置は、前記携帯端末から前記作業指示情報と、前記作業内容情報とを非接触型ICを用いて受信する非接触型受信手段と、前記障害発生情報、前記作業開始情報、及び前記作業内容情報を、前記サポートセンターへ送信する送信手段と、を備える。
【0009】
また、本発明に係る保守管理方法の一態様は、サポートセンターが携帯端末を用いてコンピュータ装置を保守管理する保守管理方法であって、前記サポートセンターは、保守作業を指示する作業指示情報を格納する作業情報データベースを備え、前記コンピュータ装置から障害の発生を通知する障害発生情報を受信し、前記障害発生情報に応じて、保守作業を指示する作業指示情報を生成し、生成した作業指示情報を前記作業情報データベースへ格納し、前記作業指示情報を前記携帯端末へ送信し、前記携帯端末は、前記作業指示情報を、非接触型ICを用いて前記コンピュータ装置へ送信し、前記コンピュータ装置は、前記作業指示情報を、非接触型ICを用いて受信し、少なくとも前記作業指示情報と自装置に関する情報とを含む作業開始情報を前記サポートセンターへ送信し、前記サポートセンターは、前記作業開始情報に基づいて前記作業情報データベースを検索し、前記作業開始情報に対応する前記作業指示情報が格納されていることを確認した後、前記作業情報データベースに作業開始情報を記録し、前記携帯端末へ作業開始許可を通知し、前記携帯端末は、前記サポートセンターから作業開始許可が通知されたことを表示し、前記保守員によって入力される作業完了を待ち受け、作業完了後に作業内容の入力を受け付け、受け付けた作業内容情報を非接触型ICを用いて前記コンピュータ装置へ送信し、前記コンピュータ装置は、前記作業内容情報を前記サポートセンターへ送信し、前記サポートセンターは、前記作業内容情報を前記作業情報データベースへ格納する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、保守管理並びに保守対応におけるミスを防止し、簡単にかつ短時間で作業開始から作業完了までの処理を行えるシステムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1のシステム構成例を示すブロック図である。図1に示す通り、コンピュータ装置10、携帯電話(携帯端末)20、及び、サポートセンター30から構成され、ネットワーク100を利用する。コンピュータ装置10と携帯電話20とは非接触型IC入出力機能を利用して情報の送受信を行う。コンピュータ装置10、携帯電話20、及び、サポートセンター30はネットワーク100を介して接続される。
【0013】
まず、図1を用いて、本実施形態の概略を説明する。コンピュータ装置10に障害発生したときに、コンピュータ装置10はネットワーク100を介してサポートセンターにユーザコードと装置型番と障害情報を送信する。
【0014】
サポートセンター30は、コンピュータ装置10から受信したユーザコードと装置型番と障害情報から保守作業指示の作成と作業指示Noと非接触型ICにより情報の送受信を行うアプリケーションを、ネットワーク100を介して障害対応が可能な技術力を保持する保守員が保有している携帯電話20に送信する。また、ユーザコードと装置型番からコンピュータ装置に関する障害を防止するために必要な改善作業に関して未実施作業がある場合には、サポートセンターで改善作業指示の作成と作業指示Noと非接触型ICにより情報の送受信を行うアプリケーションを、ネットワークを介して改造作業が可能な技術力を保持する保守員が保有している携帯電話に送信する。
【0015】
携帯電話20を保有している保守員は作業指示情報を確認し、携帯電話の非接触型IC出力部を作業を実施しようとしているコンピュータ装置に外付け又は内蔵している非接触型IC読み取り部にかざす。携帯電話20では、作業開始を送信するためのアプリケーションが立ち上がり、携帯電話20の非接触型IC出力部から携帯電話20を保有している保守員IDと作業指示Noをコンピュータ装置10に外付け又は内蔵している非接触型IC読み取り部に送信する。
【0016】
コンピュータ装置10は、携帯電話の非接触型IC出力部から受信した保守員ID、作業指示No及びユーザコードと装置型番を、ネットワーク100を介してサポートセンター30に送信する。
【0017】
サポートセンター30は、携帯電話20から受信した情報と、障害情報としてコンピュータ装置から送信したユーザコード及び装置型番とを比較し、作業対象のコンピュータ装置10として正しいか確認し、正しい場合は作業管理データベースに記録する。
【0018】
保守作業完了後、保守員はコンピュータ装置10が正常稼働しているか判断するため診断プログラムを実施する。保守員は、コンピュータ装置10が正常稼働していることを確認した後に、携帯電話20に作業内容を登録し、携帯電話20の非接触型IC出力部をコンピュータ装置10に外付け又は内蔵している非接触型IC読み取り部にかざす。携帯電話20では、作業完了を送信するためのアプリケーションが立ち上がり、携帯電話20の非接触型IC出力部から携帯電話20を保有している保守員ID、作業指示No及び登録した作業内容をコンピュータ装置10に外付け又は内蔵している非接触型IC読み取り部に送信する。
【0019】
コンピュータ装置10は、携帯電話20の非接触型IC出力部から受信した保守員ID、作業指示No、作業内容及び診断プログラムの結果を、ネットワークを介してサポートセンター30に送信する。
サポートセンター30は、携帯電話20から送信された作業完了を作業確証として作業管理データベースに記録する。
【0020】
続いて図2〜図4を用いて、本実施形態の各構成要素の具体的な構成例を説明する。図2はコンピュータ装置10、図3は携帯電話20、図4はサポートセンター30の構成例を示すブロック図であり、一例として、次のような構成を示している。図2に示すコンピュータ装置10は、制御部101、情報送受信部102、障害情報送信部103、及び、非接触型IC(Integrated Circuit)読み取り部(非接触型受信手段)104を備える。図3に示す携帯電話20は、制御部201、情報送受信部202、情報入力部203、及び、非接触型IC出力部(非接触型送信手段)204を備える。図4に示すサポートセンター30は、制御部301、情報送受信部(通信部)302、障害情報解析部303、作業指示No採番部304、アプリケーション管理部305、顧客情報データベース306、作業情報データベース307、保守作業解析データベース308、及び、改善作業指示データベース309を備える。以下、各構成の詳細を説明する。
【0021】
コンピュータ装置10は、業務処理をするために稼働している通常のコンピュータ装置であり、障害発生時にはネットワーク100を介してサポートセンター30にユーザコードと装置型番と障害情報を送信する機能と、コンピュータ装置10に非接触型IC読み取り部104が外付け又は内蔵されており、非接触型IC読み取り部104で情報受信を行う機能とを備えたものである。
【0022】
制御部101は、コンピュータ装置10の演算処理部分であり、情報送受信部102と障害情報送信部103と非接触型IC読み取り部104を制御する。
情報送受信部102は、ネットワーク100を介してサポートセンター30と接続し、情報を送受信する受信手段及び送信手段である。
【0023】
障害情報送信部103は、コンピュータ装置10が障害発生したときにユーザコードと装置型番と障害情報(システムエラーコードなど)と、コンピュータ装置10が正常稼働しているか確認するために実施する診断プログラムの結果を収集し、ネットワーク100を介してサポートセンター30に送信する。
【0024】
非接触型IC読み取り部104は、コンピュータ装置10に外付け又は内蔵されており、携帯電話20の非接触型IC出力部204から保守員IDと作業指示Noと作業開始時は作業開始を、作業完了後は作業内容に関する作業完了を受信する。
【0025】
携帯電話20は、保守員が保有しており、作業指示Noと作業指示情報をネットワーク100を介してサポートセンター30から受信し表示する機能と、保守員が作業内容を入力する機能と、非接触型IC出力部204から保守員IDと作業指示Noと作業開始時は作業開始と、作業完了後は作業内容をサポートセンター30から受信したアプリケーションにより送信を行う機能とを備えたものである。また、携帯電話20は、表示画面、入力キー、スピーカ、マイクなどの一般的な機能を備える。
【0026】
制御部201は、携帯電話20の演算処理部分であり、情報送受信部202と情報入力部203と非接触型IC出力部204を制御する。また、本実施形態では、作業開始指示手段(これについては後述する)を実行する。作業開始指示手段は、例えば、ソフトウェア、あるいは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ等によって実現し、制御部201が実行を制御するものであってもよい。例えば、プログラムで実現する場合、制御部201は、メモリに格納されたプログラムをロードし、実行させる。
【0027】
情報送受信部202は、ネットワーク100を介してサポートセンター30と接続し、情報を送受信する受信手段及び送信手段である。
情報入力部203は、コンピュータ装置10の作業完了後に保守員が作業内容を入力する。
【0028】
非接触型IC出力部204は、コンピュータ装置10に外付け又は内蔵されている非接触型IC読み取り部104に保守員IDと作業指示No、及び、作業開始時は作業開始を、作業完了後は作業内容を送信する部分であり、サポートセンター30から受信したアプリケーションにより送信する。
【0029】
なお、本実施形態では携帯電話を用いて説明するが、これに限らず、携帯型の通信端末であって、非接触型IC読み取り部104の機能を備える(搭載可能な)端末であればその他の端末であってもよい。
【0030】
サポートセンター30は、コンピュータ装置10に関するユーザコードと装置型番と障害情報を、ネットワーク100を介して受信し保守作業指示の作成と作業指示Noを発行する機能と、ユーザコードと装置型番からコンピュータ装置10に関する障害を防止するために必要な改善作業に関して未実施作業がある場合には改善作業指示の作成と作業指示Noを発行する機能と、保守員IDと作業指示No、及び、作業開始時は作業開始を、作業完了後は作業内容を携帯電話の非接触型IC出力部204からコンピュータ装置10に外付け又は内蔵されている非接触型IC読み取り部104に送信するアプリケーションを携帯電話20に送信する機能とを備えている。
【0031】
制御部301は、サポートセンター30の演算処理部分であり、情報送受信部302、障害情報解析部303、作業指示No採番部304、アプリケーション管理部305、顧客情報データベース306、作業情報データベース307、保守作業解析データベース308、及び、改善作業指示データベース309を制御する。また、本実施形態では、作業確認手段、格納手段(これらについては後述する)を実行する。作業確認手段及び格納手段は、例えば、ソフトウェア、あるいは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ等によって実現し、制御部301が実行を制御するものであってもよい。例えば、プログラムで実現する場合、制御部301は、メモリに格納されたプログラムをロードし、実行させる。
【0032】
情報送受信部302は、ネットワーク100を介してコンピュータ装置10と携帯電話20と接続し、情報を送受信する受信手段及び送信手段である。
障害情報解析部303は、コンピュータ装置10に関するユーザコードと装置型番と障害情報を受信したときに障害内容の解析を行う。
【0033】
作業指示No採番部304は、コンピュータ装置10に関する保守作業ならびに改善作業が発生したときに、各作業を識別するためにユニークにNoを採番する。
アプリケーション管理部305は、コンピュータ装置10に外付け又は内蔵されている非接触型IC読み取り部104と携帯電話の非接触型IC出力部204間で情報の送受信を行うためのアプリケーションを管理している。
【0034】
顧客情報データベース306は、作業指示情報を作成するときに必要なコンピュータ装置10に関するユーザコードと装置型番とユーザ名と住所と担当部署と連絡先とを管理しているデータベースであり、内蔵の固定ディスク(HDD)などで管理されている。
【0035】
作業情報データベース307は、コンピュータ装置10に関する保守作業ならびに障害を防止するために必要な改善作業が発生したときに作業指示No採番部304で付けられたNoと共に作業開始と作業完了を記録するデータベースであり、内蔵の固定ディスクなどで管理されている。
【0036】
保守作業解析データベース308は、障害情報解析部303で障害内容の解析をするために必要なコンピュータ装置10に関する保守作業指示情報を記録しているデータベースであり、内蔵の固定ディスク(HDD)などで管理されている。
【0037】
改善作業指示データベース309は、コンピュータ装置10に関する障害を防止するために必要な改善作業指示情報を記録しているデータベースであり、内蔵の固定ディスクなどで管理されている。
【0038】
次に図1から図11を用いて、本発明の動作を詳細に説明する。図5,図6は、本実施形態の作業管理方式及び方法の動作例を示すフローチャートである。図7〜図11は、各データベースの構成例を示した図であり、図7は顧客情報データベース306、図8は作業情報データベース307、図9は保守作業解析データベース308、図10は改善作業指示データベース309の構成例を示す。
【0039】
コンピュータ装置10は、障害が発生し(ステップA1)、コンピュータ装置10に関するユーザコードと装置型番と障害情報(システムエラーコードなど)を、ネットワーク100を介してサポートセンター30に送信する(ステップA2)。
【0040】
サポートセンター30において、障害情報解析部303は、コンピュータ装置10から受信したユーザコードと装置型番から顧客情報データベース306にある情報と比較し、コンピュータ装置10に関するユーザ名と住所と担当部署と連絡先を取得する(ステップA3)。障害情報解析部303は、コンピュータ装置10から受信した障害情報(システムエラーコードなど)を保守作業解析データベース308にある情報と比較し障害解析を行う(ステップA4)。
障害情報解析部303は、取得したユーザ名と住所と担当部署と連絡先と障害解析した情報から、保守に関する作業指示を作成する。(ステップA5)。作業指示No採番部304は、ステップA5で作成した作業指示の作業指示Noを採番する(ステップA6)。作業指示と作業指示Noとを対応づけて作業指示情報を作成する。
【0041】
また、サポートセンター30において、障害情報解析部303は、コンピュータ装置10から受信した装置型番と改善作業指示データベース309にある装置型番と比較し、一致した装置型番がある場合には作業情報データベース307のユーザコードと装置型番をキーにして過去に改善作業を実施したか検索する。一致したユーザコードと装置型番がない場合は、改善作業が未実施のためステップA8に進む。一致したユーザコードと装置型番がある場合は、過去に改善作業が実施済みのためステップA10に進む(ステップA7)。
【0042】
障害情報解析部303は、装置型番をキーにして改善作業指示データベース309を比較し、一致した情報から改善に関する作業指示情報を作成する(ステップA8)。作業指示No採番部304は、ステップA8で作成した作業指示情報の作業指示Noを採番する(ステップA9)。障害情報解析部303は、作業指示Noと作業指示を作業情報データベース307に記録する(ステップA10)。ここでは、ステップA5、6で作成した作業指示情報と、ステップ8、9で作成した作業指示情報とを合わせて改善作業指示データベース309へ記録する。
【0043】
情報送受信部302は、作業指示情報(作業指示No、作業指示)及び非接触型ICにて送受信を行うアプリケーションを、コンピュータ装置10の作業を実施する保守員の携帯電話20にネットワーク100を介して送信する。サポートセンター30は、作業を実施する保守員を、技術力と今から作業を実施することが可能かなどを考慮し自動的に選定する。本選定方法は、例えば、特開2006−4225に記載している保守員選定方法部分を用いることができる。(ステップA11)。
【0044】
携帯電話20において、情報送受信部202は、サポートセンター30から作業指示No、作業指示及び非接触型ICにて送受信を行うアプリケーションを受信する。作業指示Noと作業指示とは、表示画面に表示される。保守員が、作業指示部分を選択することにより、表示画面は、詳細な作業手順を表示する(ステップA12)。図11に作業指示画面の一例を示している。この作業指示では、図5の顧客情報データベースのユーザコードA123456と保守契約を結んでいる場合であり、コンピュータ装置10の装置型番PC−123456、作業指示No00001及び00002の例を示している。例えば、表示画面で、C001−Kを保守員がクリックすることによって、詳細な作業手順を表示する画面に展開することになる。また、保守員がOKをクリックすることによって、情報入力部203は、作業開始であることを受け付け、作業開始日時が決定されることになる。
【0045】
携帯電話20は、保有している保守員によって、携帯電話20の非接触型IC出力部204がコンピュータ装置10の非接触型IC読み取り部104にかざされる。このとき、携帯電話20では、サポートセンター30から受信した非接触型ICにて送受信を行うアプリケーションが起動する(ステップA13)。
【0046】
携帯電話20は、起動された非接触型IC出力部203からコンピュータ装置10の非接触型IC読み取り部104に保守員IDと作業指示Noを送信する(ステップA14)。コンピュータ装置10は、受信した保守員ID、作業指示No、ユーザコード、及び、装置型番とを作業開始情報としてサポートセンター30にネットワーク100を介して送信する(ステップA15)。
【0047】
サポートセンター30において、制御部301(作業確認手段)は、受信したユーザコードと装置型番をステップA10で記録した作業情報データベース307のデータと比較し、比較した結果を携帯電話20に送信する。このとき、携帯電話20をかざしたコンピュータ装置10が作業情報データベース307に記録されていない場合は、保守員に正しい作業対象のコンピュータ装置10を確認するよう促すため、作業対象のコンピュータ装置10ではないことを通知し、再度ステップA13に戻る。携帯電話20をかざしたコンピュータ装置10が作業情報データベース307に記録している場合は、保守員に正しい作業対象のコンピュータ装置10なので作業開始可能であることを通知(作業開始許可を通知)し、ステップ17に進む(ステップA16)。
【0048】
制御部301(格納手段)は、検索して一致した作業指示Noの作業について、コンピュータ装置10から送信された時間(保守員がOKをクリックすることによって作業開始となった日時)を作業開始時間として作業情報データベース307に記録する(ステップA17)。
【0049】
携帯電話20において、情報送受信部202が作業許可通知を受信すると、制御部201(作業開始指示手段)は、作業開始可能であることを保守員へ通知し、携帯電話20に表示されている作業指示情報が基に作業が開始される(ステップA18)。保守員によって、コンピュータ装置10が正常稼働しているかコンピュータ装置10に搭載している診断プログラムが実行される。診断プログラムの実行結果は、コンピュータ装置10の障害情報送信部103に格納される(ステップA19)。保守員によるコンピュータ装置10の保守管理作業が完了する(ステップA20)。
【0050】
携帯電話20を保有している保守員によって、コンピュータ装置10に関して行った作業内容が携帯電話20に入力される。登録内容は、作業指示に記載している作業内容部分についてチェック項目として携帯電話20に表示され、それ以外に行った作業についてはその他の項目に直接入力される(ステップA21)。図12に作業完了画面の一例を示している。この作業完了では、図11に示した作業指示を完了した状態を示す。作業指示に記載されている作業内容については、情報入力部203は、保守員からの入力を受け付ける。具体的には、実施した作業内容にチェックが入力されたことを受け付け、その他の作業については、例えば、「HDD接続ケーブル交換」のように具体的に入力されたデータを受け付ける。また、作業完了確認をクリックすることにより、作業完了日時として受け付けられる。
【0051】
また、当該保守員によって、携帯電話20の非接触型IC出力部203がコンピュータ装置10の非接触型IC読み取り部104にかざされる。このとき、携帯電話20において、サポートセンター30から受信した非接触型ICにて送受信を行うアプリケーションが起動される(ステップA22)。非接触型IC出力部203は、コンピュータ装置10の非接触型IC読み取り部に保守員IDと作業指示Noと作業内容を送信する(ステップA23)。
【0052】
コンピュータ装置10において、情報送受信部102は、受信した保守員ID、作業指示No、作業内容、及び、診断プログラムの結果を作業内容情報としてサポートセンター30にネットワーク100を介して送信する(ステップA24)。
【0053】
サポートセンター30において、制御部301(格納手段)は、受信した作業内容情報に含まれる保守員ID、作業指示No、作業内容を作業情報データベース307に記録している作業指示Noをキーにして検索する(ステップA25)。制御部301は、検索して一致した作業指示Noの作業について、保守員が実施した作業内容のうち、指示していた作業については完了マークを、保守員が「その他」として追加した作業がある場合は送信してきた作業内容、および作業完了時間としてコンピュータ装置10から送信された時間(情報入力部203が作業完了日時として受け付けた日時)を作業情報データベース307に記録する(ステップA26)。また、必要に応じて診断プログラムの結果を記録する。
【0054】
以上説明したように、本発明は、コンピュータ機器などの保守業務を実施している会社における保守支援に関し、特に、作業開始から作業終了までの保守管理と、該当するコンピュータ装置の作業を間違いなく行う保守対応とにおけるミス防止し、簡単にかつ短時間で処理を行うシステム及び方法に関するものである。本発明の好適な実施形態では、例えば、コンピュータ装置の障害発生時にインターネットやイントラネットなどのネットワーク(以下、ネットワーク)を介して送信した通報からサポートセンターにて作成した保守作業指示と作業指示No、また障害を防止するために必要な改善作業に関して未実施作業がある場合にサポートセンターにて作成した改善作業指示と作業指示Noと非接触型IC部にて情報の送受信を行うためのアプリケーションを、保守業務を実施しようとしている作業者(以下、保守員)が保有している携帯電話に送信する。
【0055】
保守員は、作業開始時と作業完了後に携帯電話の非接触型IC出力部をコンピュータ装置に外付け又は内蔵されている非接触型IC読み取り部にかざす。これにより、携帯電話では、作業開始と作業完了を送信するためのアプリケーションが立ち上がり、携帯電話はコンピュータ装置に、作業開始時には作業指示Noと保守員IDを、作業完了時には作業指示Noと保守員IDと作業内容を送信する。また、コンピュータ装置は、ネットワークを介してサポートセンターに、作業開始時には作業指示Noと保守員IDとユーザコードと装置型番を作業確認として送信し、作業完了時には作業指示Noと保守員IDと作業内容と診断プログラムの結果を作業確証として送信する。これらにより、保守員が実施した作業報告を管理する。
【0056】
以上のように、本発明に係る好適な実施形態によれば、具体的に次のような効果が得られる。
1)保守員が保有している携帯電話でコンピュータ装置からサポートセンターへユーザコードと装置型番を送信してから作業を行うため、作業対象となるコンピュータ装置以外を作業してしまうという作業ミス、間違いが削減できる。
2)保守員が保有している携帯電話でコンピュータ装置の作業開始と作業完了を通知することができるため、作業内容の伝達ミスや登録漏れを削減することができる。
3)作業を実施したコンピュータ装置から保守員IDと作業指示Noと作業開始と作業内容と診断プログラムの結果を送信するため、作業確証として管理することができる。
4)保守員が保有している携帯電話から、非接触型ICの送受信を行うためのアプリケーションを使用して情報の送受信を行うため、より高いセキュリティを提供することができる。
【0057】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態1のシステム構成例を示すブロック図である
【図2】本発明の実施形態1のコンピュータ装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1の携帯電話の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態1のサポートセンターの構成例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態の作業管理方式及び方法の動作例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態の作業管理方式及び方法の動作例を示すフローチャートである。
【図7】顧客情報データベースの構成例を示す図である。
【図8】作業情報データベースの構成例を示す図である。
【図9】保守作業解析データベースの構成例を示す図である。
【図10】改善作業指示データベースの構成例を示す図である。
【図11】作業指示の画面例を示す図である。
【図12】作業完了の画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10 コンピュータ装置
20 携帯電話
30 サポートセンター
101 制御部
102 情報送受信部
103 障害情報送信部
104 非接触型IC読み取り部
201 制御部
202 情報送受信部
203 情報入力部
204 非接触型IC出力部
301 制御部
302 情報送受信部
303 障害情報解析部
304 作業指示No採番部
305 アプリケーション管理部
306 顧客情報データベース
307 作業情報データベース
308 保守作業解析データベース
309 改善作業指示データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポートセンターが携帯端末を用いてコンピュータ装置を保守管理する保守管理システムであって、
前記サポートセンターは、
保守作業を指示する作業指示情報を格納する作業情報データベースを備え、
前記コンピュータ装置から障害の発生を通知する障害発生情報を受信する受信手段と、
前記障害発生情報に基づいて、保守作業を指示する作業指示情報を生成し、生成した作業指示情報を前記作業情報データベースへ格納し、前記作業指示情報を前記携帯端末へ送信させる障害情報解析手段と、
前記コンピュータ装置から、前記作業指示情報に応じて作業開始を通知する作業開始情報を受信し、前記作業開始情報に基づいて前記作業情報データベースを検索し、前記作業開始情報に対応する前記作業指示情報が格納されていることを確認した後、前記携帯端末へ作業開始許可を通知する作業確認手段と、
前記作業開始情報と、前記作業指示情報に基づいて実施された作業内容情報とを、前記作業情報データベースへ格納する格納手段と、を備え、
前記携帯端末は、
非接触型IC(integrated Circuit)を用いて前記コンピュータ装置へ前記作業開始情報を送信する非接触型送信手段と、
前記サポートセンターから前記作業開始許可が通知されたことを保守員に通知する作業開始指示手段と、
前記保守員によって入力される作業完了を待ち受け、作業完了後に作業内容の入力を受け付け、受け付けた作業内容情報を前記コンピュータ装置へ前記非接触型送信手段を用いて送信させる情報入力手段と、を備え、
前記コンピュータ装置は、
前記携帯端末から前記作業指示情報と、前記作業内容情報とを非接触型ICを用いて受信する非接触型受信手段と、
前記障害発生情報、前記作業開始情報、及び前記作業内容情報を、前記サポートセンターへ送信する送信手段と、を備える保守管理方法。
【請求項2】
前記作業情報データベースは、作業指示内容を識別する作業指示番号、前記コンピュータ装置を所有するユーザのユーザコード、及び、作業対象となるコンピュータ装置を識別する装置型番を少なくとも含み、
前記作業開始情報は、前記作業指示番号、前記ユーザコード、及び、前記装置型番を少なくとも含み、
前記サポートセンターの作業確認手段は、前記作業開始情報が前記作業データベースに記録されているかを、前記作業指示番号、前記ユーザコード、及び、前記装置型番を用いて確認し、記録されている場合は、前記携帯端末へ前記作業開始許可を通知し、記録されていない場合、前記携帯端末へ作業指示不許可を通知し、
前記携帯端末の非接触型送信手段は、前記作業指示不許可を通知された場合、コンピュータ装置へ前記作業指示情報を再度送信することを特徴とする請求項1記載の保守管理システム。
【請求項3】
前記サポートセンターは、
前記前記コンピュータ装置に必要な改善作業を記録する改善作業指示データベースを、さらに備え、
前記障害情報解析手段は、前記改善作業指示データベースに、前記コンピュータ装置に対する未処理の改善作業が記録されている場合、前記作業指示情報へ前記改善作業を含めることを特徴とする請求項1または2記載の保守管理システム。
【請求項4】
前記障害発生情報は、システムエラーコードであり、
前記サポートセンターは、
前記システムエラーコードに基づいて障害内容を解析する障害情報データベースを、さらに備え、
前記障害情報解析手段は、システムエラーコートに基づいて障害内容を特定して、作業指示情報を作成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の保守管理システム。
【請求項5】
前記サポートセンターの障害情報解析手段は、前記作業指示情報とともに、前記非接触型ICを用いて情報を送受信するアプリケーションとを送信させ、
前記携帯端末の非接触型送信手段は、前記アプリケーションを起動することによって前記作業開始情報と前記作業内容情報との少なくとも一方を前記コンピュータ装置へ送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の保守管理システム。
【請求項6】
サポートセンターが携帯端末を用いてコンピュータ装置を保守管理する保守管理方法であって、
前記サポートセンターは、
保守作業を指示する作業指示情報を格納する作業情報データベースを備え、
前記コンピュータ装置から障害の発生を通知する障害発生情報を受信し、前記障害発生情報に応じて、保守作業を指示する作業指示情報を生成し、
生成した作業指示情報を前記作業情報データベースへ格納し、
前記作業指示情報を前記携帯端末へ送信し、
前記携帯端末は、
前記作業指示情報を、非接触型ICを用いて前記コンピュータ装置へ送信し、
前記コンピュータ装置は、
前記作業指示情報を、非接触型ICを用いて受信し、
少なくとも前記作業指示情報と自装置に関する情報とを含む作業開始情報を前記サポートセンターへ送信し、
前記サポートセンターは、
前記作業開始情報に基づいて前記作業情報データベースを検索し、前記作業開始情報に対応する前記作業指示情報が格納されていることを確認した後、前記作業情報データベースに作業開始情報を記録し、前記携帯端末へ作業開始許可を通知し、
前記携帯端末は、
前記サポートセンターから作業開始許可が通知されたことを表示し、前記保守員によって入力される作業完了を待ち受け、作業完了後に作業内容の入力を受け付け、受け付けた作業内容情報を非接触型ICを用いて前記コンピュータ装置へ送信し、
前記コンピュータ装置は、
前記作業内容情報を前記サポートセンターへ送信し、
前記サポートセンターは、
前記作業内容情報を前記作業情報データベースへ格納する、保守管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−175914(P2009−175914A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12319(P2008−12319)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)