保守装置、保守方法および保守プログラム
【課題】画像形成装置等の情報処理装置の設定値に基づいてこの情報処理装置を保守できる保守装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置から設定情報を読み取る読取部と、前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する通信部と、前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する処理部とを備える保守装置。
【解決手段】情報処理装置から設定情報を読み取る読取部と、前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する通信部と、前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する処理部とを備える保守装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置又はPOS(point of sale system)端末等の情報処理装置の保守を行う保守装置、保守方法および保守プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の保守においては、画像形成装置に異常が発生した場合、ユーザからの電話によりサービスマンに状況が伝えられる。そしてサービスマンが設置先に出向き、状況を確認する。
【0003】
また、最近では、更なるサービス性の向上を図るため、オンライン状態(インターネット等の通信回線に接続されている状態)の機体は、異常を検知した際、通信回線を利用して機体情報やエラー情報をサービスセンタに自動的に送信する方法が取られている。また、同時に機種、機番、発生時刻、機体状況、エラーメッセージなどの機体情報を連絡して、これらの情報を利用することで、サービス性を向上させることが可能になる。
【0004】
しかしながら、市場においては、オフライン状態(インターネット等の通信回線に接続されていない状態)の機体が、いまだ相当数存在している。また、インターネット等の通信回線には接続されていてもセキュリティの問題から、機体情報を提供していない機体も多い(便宜上、この状態の機体についても以後“オフライン状態の機体”とする)。
【0005】
このようなオフライン状態の機体に対しては、サービスマンが所有するパソコンに画像形成装置の機体情報のデータをいったん格納し、サービスステーションに持ち帰った後、サーバを利用してデータの分析を行ったり、あるいは、データを格納した後パソコンをオンライン状態にすることで、サーバに接続し、その場で分析を行ったりする手法が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−34447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の画像形成装置の保守において、サービスマンは、機体の利用頻度や用途に合わせて、機体の設定を工場出荷時の状態から変更することができる。機体の設定とは、例えばスキャン位置の調整、用紙のマージン調整、モータの速度調整などの、画像形成装置の動作に関わる設定項目である。このとき、誤って意図していない値に設定してしまったり、あまり一般的でない値に設定したりしてしまうことがある。どのような値でも設定値として入力されてしまうと、これ自体はエラーとはいえず、設定した当人は気付きにくい。
【0008】
しかし、設定値の組合せによっては、その状態で動作させ続けることで、結果として潜在的に機体がエラーを引き起こすことがある。これを未然に防ぐために、機体の設定値がどのくらい一般的でないかをユーザに示すことが有効となる。従来のシステムでは、画像形成装置の故障を診断できるが、設定値が一般的な設定から外れているかどうかを検出することは難しい。上記画像形成装置に限らず、様々な情報処理装置の設定値が一般的な設定から外れているかどうかを検出することは難しい。
【0009】
本発明の実施形態は、画像形成装置等の情報処理装置の設定値に基づいてこの情報処理装置の保守を行う保守装置、保守方法および保守プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するための一実施形態は、
情報処理装置から設定情報を読み取る読取部と、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する通信部と、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する処理部と、
を備える保守装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る保守装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】同じく画像形成装置と保守装置との関係の一例を示す外観図。
【図3】同じく画像形成装置と分析サーバとの関係の一例を示す説明図。
【図4】同じく保守装置の機体情報用テーブルT1の一例を説明する説明図。
【図5】同じく保守装置のエラー情報テーブルT2の一例を説明する説明図。
【図6】同じく保守装置のデータベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3の説明図。
【図7】同じく保守装置の機体設定リストT4の一例を説明する説明図。
【図8】同じく保守装置の統計データリストT5の一例を説明する説明図。
【図9】同じく保守装置の外れ値リストT6の一例を説明する説明図。
【図10】同じく保守装置が評価対象とする画像形成装置の設定項目のリストT7。
【図11】同じく保守装置の画面の遷移の一例を示す説明図。
【図12】同じく保守装置の初期画面D1の一例を示す説明図。
【図13】同じく保守装置の機体情報の取得画面D2の一例を説明する説明図。
【図14】同じく保守装置のサーバへ接続画面D3の一例を説明する説明図。
【図15】同じく保守装置の機体情報の分析画面D4の一例を説明する説明図。
【図16】同じく保守装置の設定の外れ値画面D5の一例を説明する説明図。
【図17】同じく保守装置の動作の概要の一例を説明するフローチャート。
【図18】同じく保守装置の『機体情報の取得』を説明するフローチャート。
【図19】同じく保守装置の『データの取得』を説明するフローチャート。
【図20】同じく保守装置の『エラー情報の挿入』を説明するフローチャート。
【図21】同じく保守装置の『機体情報の分析』を説明するフローチャート。
【図22】同じく保守装置の『サーバへの接続』を説明するフローチャート。
【図23】同じく保守装置の『統計データ取得処理』を説明するフローチャート。
【図24】同じく保守装置の『外れ値検出処理』を説明するフローチャート。
【図25】同じく保守装置の『外れ値表示処理』を説明するフローチャート。
【図26】同じく保守装置の現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態である保守装置10の構成の一例を図1を用いて、以下に説明する。保守装置10は、図1に示すように、CPU等の処理部11と、メモリ等の記憶部12と、HDD(Hard Disk Drive)、メモリ等の記録部13と、ディスプレイ等の表示装置18に表示させるための画像情報を生成し供給する表示装置接続部14と、マウス、キーボード等の入力装置19とのインターフェースである入力装置接続部15と、USB(Universal Serial Bus)メモリ1等の外部記憶媒体のインターフェースである外部記録装置接続部16と、インターネット等のネットワークと通信を行うインターネット接続部17を有している。
【0013】
ただし、本発明の実施形態である保守装置10は、サービスマンが機体設置先へ持ち運ぶことを前提としているため、サービスマンが持ち運びできる形態、例えば、ノートパソコンまたは同等の形態となっていることが望ましい。
【0014】
また、本発明の実施形態においては、図2に示すように、設定情報等は、LAN等のネットワークを介してオンラインで保守装置10等へ供給されるのではなく、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の着脱可能な記録媒体を介してオフラインで保守装置10等へ供給される場合を想定している。これは、現在の市場において、オフライン状態(インターネット等の通信回線に接続されていない状態)の画像形成装置等の情報処理装置が、いまだ相当数存在しており、また、インターネット等の通信回線には接続されていてもセキュリティの問題から、機体情報を提供していない機体も多いことを考慮したものである。
【0015】
また、本発明の実施形態に係る画像形成装置Mは、図3に示すように、ネットワークNにより接続された状態で、分析サーバSにより設定値を自動的に収集され蓄積されることで、分析サーバSにおいて、統計データが更新されていくものである。
【0016】
また、本発明の実施形態である保守装置10の記録部13には、以下のデータが格納されている。すなわち、画像形成装置用保守アプリケーション(以後“アプリケーション”)と、画像形成装置用保守アプリケーション用データベース(以後“データベース”)である。
【0017】
ここで、データベースは、一例として、以下のテーブルによって構成される。
すなわち、機体情報用テーブルT1、エラー情報テーブルT2、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3、機体設定リストT4、統計データリストT5、外れ値リストT6、評価対象となる設定項目リストT7である。
【0018】
機体情報用テーブルT1は、図4に示すように、一例として、以下のカラムによって構成される。一台一台の機体に固有の識別番号であり分析サーバSにより与えられるグローバルID(割当識別情報)、機体情報用テーブルT1内の整理番号であるローカルID、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号(機体識別情報)、その機種を特定するモデル名、その機体で検出されたエラー情報である。
【0019】
次に、エラー情報テーブルT2は、図5に示すように、以下のカラムによって構成される。一台一台の機体に固有の識別番号であり分析サーバSにより与えられるグローバルID、機体情報用テーブルT1内の整理番号であるローカルID、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号、その機種を特定するモデル名、その機体の駆動している時間である駆動時間、その機体が印刷した延べ印刷枚数または1日の印刷枚数である印刷枚数、その機体において用紙等がジャムを起こした発生回数を記録しているJam発生回数である。
【0020】
データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3は、図6に示すように、DB(データベース)カラム名と、ログデータタイトルのカラムによって構成される。
すなわち、駆動時間は、実行時間または実動時間に対応し、印刷枚数は、プリント枚数またはプリントカウンタに対応する。
【0021】
機体設定リストT4は、図7に示すように、以下のカラムによって構成される。
すなわち、機体設定リストT4内の整理番号であるローカルID、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、この設定項目に設定された値である設定値である。
【0022】
統計データリストT5は、図8に示すように、以下のカラムによって構成される。
すなわち、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、統計を作成する際に使用したサンプルの数を意味するサンプル数、サンプルの値の平均値である平均値、サンプル中の最も多かった値を意味する最頻値、サンプルの標準偏差、その設定値をはずれ値とするか否かの判断に用いる閾値である。
【0023】
外れ値リストT6は、図9に示すように、以下のカラムによって構成される。すなわち、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、この設定項目に設定された値である設定値、サンプルの値の平均値である平均値、サンプル中の最も多かった値を意味する最頻値である。
【0024】
また、評価対象となる設定項目リストT7は、図10に示すように、分類上、プロセスに関する設定項目、スキャナに関する設定項目、プリンタに関する設定項目、システムに関する設定項目がある。
【0025】
すなわち、プロセスに関する設定項目は、
『帯電グリッドバイアス調整、高圧手動調整 帯電、高圧手動調整 カラー現像、高圧手動調整 1次転写定電圧、高圧手動調整 2次転写定電圧、高圧手動調整 除電ブレード、高圧手動調整 2次転写定電流、帯電グリッド校正電圧値、現像バイアス校正電圧値、レーザパワー校正光量値、レーザパワー校正光基準D/A値、Voセンサ出力、Voセンサシャッター閉時の電位センサ出力、レーザパワー出力調整、1次転写バイアス標準モード実行値、1次転写抵抗検知オフセット、1次転写先後端バイアス実行値、1次転写先後端バイアス補正係数、2次転写バイアスカラー実行値、2次転写バイアスモノクロ実行値、用紙表面バイアスオフセット、用紙表面 2次先後端バイアス補正係数、用紙裏面 2次先後端バイアス補正係数、1次転写定電流トランス調整値、1次転写定電圧トランス調整値、2次転写定電流トランス調整値、2次転写定電圧トランス調整値、除電バイアス調整値、高圧手動調整 除電ブレード(高)、高圧手動調整 1次転写定電流、定着温度(ヒートローラ)、ヒータ強制ON時間、定着温度(プレスローラ)、1stプリントプレラン動作時間、異常処理開始定着温度設定、強制ヒータON枚数閾値、レディ許可温度範囲、Readyプレラン 定着モータ減速、レディ時プレラン動作時間、レディ時定着温度、レディ温度降下切替時間、プリント開始許可温度範囲、プリント終了時プリント動作温度保持時間設定、定着制御温度下限値、プリント温度降下切替時間、予熱復帰時レディ許可温度補正、スリープ/予熱復帰時時間制限設定、プリント速度切替え温度、電力可変下限値、電力可変幅、電力降下時下限保持温度幅、予熱時加熱時間、スリープ復帰時制御温度保持時間、予熱時定着温度移行時間、予熱移行時定着温度増分』が存在する。
【0026】
また、スキャナに関する設定項目は、
『CCD主走査ずれ、スキャナ副走査ずれ、スキャナ副走査倍率、ディストーション、シェーディング位置調整、ADFアライニング量、ADF搬送速度微調整、ADF横ずれ、ADF先端位置調整、ADF読取時のキャリッジ位置調整』が存在する。
【0027】
プロセスプリンタに関する設定項目は、
『ポリゴンモータ回転微調整、レーザ打ち出し位置、ADU搬送モータ速度微調整、カセット横ずれ調整、ADU横ずれ調整、トップマージン、レフトマージン、ライトマージン、ボトムマージン、トップマージン、レフトマージン、ライトマージン、ボトムマージン、先端位置調整 CST1調整値、先端位置調整 CST2調整値、先端位置調整 CST3調整値、先端位置調整 CST4調整値、先端位置調整 手差し調整値、先端位置調整 ADU調整値、先端位置調整 TLCF調整値、先端位置調整 OLCF調整値、第1カセット アライニング量、第2カセット アライニング量、手差し給紙アライニング量、第3カセット アライニング量、第4カセット アライニング量、ADU給紙アライニング量、タンデムLCF給紙アライニング量、手差し後押し量調整、ドラムモータ速度微調整、レジストモータ速度微調整、転写ベルトモータ速度微調整、ヒートローラ速度微調整、給紙モータ速度微調整、定着排紙モータ速度微調整、スキューズレ量調整値、ポリゴンモータ停止時間、給紙リトライ回数設定値、マニュアルステイプルタイムアウト時間、位置合わせ用 連続印字中断指定時間[分]』が存在する。
【0028】
また、システムに関する設定項目は、『電源投入時の白紙判定調整閾値のデフォルト設定値』が存在する。
【0029】
なお、上述した本発明の一実施形態の構成は、ほんの一例であり、実際の実装はこの構成に限るものではない。たとえばデータベースは、単一のテーブルによって構成されても、複数のテーブルから(リレーショナルデータモデルに基づいて)構成されても、csvファイルなどデータベースの代替となるもので構成されてもよい。
【0030】
また、シリアル番号とモデル名を主キーとすることで、サーバSを含めた管理下にある画像形成装置を自社製品・他社製品にかかわらず、一意に決定することができる。このほかの組み合わせとしては、シリアル番号とメーカー名などが可能である。
【0031】
(保守装置の操作画面)
次に、本発明の一実施形態である保守装置10は、図11に示すように、初期画面D1から遷移する複数の操作画面を有している。当該アプリケーションの画面は、図11に示すように、初期画面D1において、機体情報の取得51が選択されたら機体情報の取得画面D2へ、機体情報の分析52が選択されたら機体情報の分析画面D4へ、サーバへ接続53が選択されたらサーバへ接続画面D3へとそれぞれ遷移する。
【0032】
初期画面D1には、図12に示すように、“機体情報の取得”51、“機体情報の分析”52、“サーバへ接続”53の3つのメニュが用意され、ユーザはこの中から実行したいメニュを入力装置19を操作して選択する。操作情報は、入力装置接続部15を通して保守装置10へ入力される。
【0033】
なお、ここでいう『機体』とは画像形成装置Mを指し、画像形成装置Mは複合機、プリンタ、スキャナ、ファックス等により成っている。
【0034】
機体情報の取得画面D2の例を図13に示す。機体のデータを格納した外部記録装置を指定するドライブ選択54と、初期画面D1に戻るボタン56と、どの機体のデータをデータベースに入力するかを指定させる機体選択リスト55を備える。
【0035】
サーバSへ接続画面の例を図14に示す。サーバSへ接続ボタン61と統計データ取得ボタン62があり、選択されるとそれぞれの処理を実行する。初期画面D1へ戻るボタン63が選択されると初期画面D1へ遷移する。
【0036】
機体情報の分析画面D4の例を図15に示す。ここでは表示ボタン72が押されるとリスト71で選択された機体のエラー情報や印刷枚数などのカウンタ情報を分析・集計し、機体のエラーの傾向や利用状況を分析結果表示部73に図表で提示する。初期画面D1へ戻るボタン74が入力されると初期画面D1へ遷移する。設定の外れ値ボタン75が入力されると、設定の外れ値画面D5へと遷移する。表示できる機体が複数ある場合は、リスト71から選択させる。
【0037】
(評価装置の動作)
本発明の一実施形態である評価装置の動作について、以下にフローチャートを用いて詳細に説明する。図17は、同じく保守装置の動作の概要の一例を説明するフローチャート、図18は、『機体情報の取得』を説明するフローチャート、図19は、『データの取得』を説明するフローチャート、図20は、『エラー情報の挿入』を説明するフローチャート、図21は、『機体情報の分析』を説明するフローチャート、図22は、『サーバへの接続』を説明するフローチャート、図23は、『統計データ取得処理』を説明するフローチャート、図24は、『外れ値検出処理』を説明するフローチャート、図25は、『外れ値表示処理』を説明するフローチャート、図26は、保守装置の現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図である。
【0038】
すなわち、本発明の一実施形態である保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図17のフローチャートに示すように、アプリケーションが起動すると、初期画面D1を表示装置接続部14を介して表示装置18に表示し(ステップS11)、ユーザの入力装置19からの入力を待つ。初期画面D1において、“機体情報の取得”を特定する操作があれば、処理部11は“機体情報の取得”を実行する(ステップS12)。また、初期画面D1において、“機体情報の分析”を特定する操作があれば、処理部11は“機体情報の分析”を実行する(ステップS13)。また、初期画面D1において、“サーバへの接続”を特定する操作があれば、処理部11は“サーバへの接続”を実行する(ステップS14)。
【0039】
次に、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図17のフローチャートに示すように、ユーザが“機体情報の取得”を選択した場合(ステップS12)、機体情報の取得画面D2を表示する(ステップS21)。初期画面D1へ戻るボタンが選択されると(ステップS22)、初期画面D1へ戻る。
【0040】
ステップS22で初期画面D1へ戻るボタンが押されなければ、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、ドライブ選択54で外部記録装置を指定させ、アプリケーションは外部記録装置接続部16にUSBメモリ等の外部記録装置の接続を促して(ステップS23)、外部記録装置1の中にデータベースに追加できるデータがあるか調べる(ステップS24)。データは機体ごとに取り出せるように格納されており、データ取得は各機体のデータごとに行う。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、追加できるデータがある場合は、データ取得できるデータをもつ機体のシリアル番号とモデル名を機体選択リスト55へ追加する(ステップS25)。
【0041】
データ取得できるデータが1件以上ある場合は(ステップS27)、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、取得画面D2に機体選択リスト55を提示し(ステップS28)、どのデータを取得するか選択させる(ステップS29)。取得できるデータがない場合はその旨をポップアップウィンドウで伝え(ステップS26)、ユーザが了承したら初期画面D1へ戻る。
【0042】
取得するデータが決定したら、選択された機体のシリアル番号、モデル名、エラー情報を取得する(ステップS31)。このうちシリアル番号およびモデル名をもとに、データベース内の機体情報用テーブルT1を走査し(ステップS32)、取得するデータと同じ機体のデータが存在するか調べる(ステップS33)。
【0043】
このときアプリケーションは、取得するデータとデータベース内のデータそれぞれのシリアル番号とモデル名を走査する。この2項が取得するデータとデータベース内のデータで一致するものがある場合(ステップS33)、これを上記“同じ機体”と判定し、下記“同じ機体が存在する場合”の処理を行う。一致するものが無い場合、下記“同じ機体が存在しない場合”の処理を行う。
【0044】
同じ機体が存在する場合は、取得するデータに既存のデータと同じグローバルIDおよびローカルIDを発行し(ステップS34)、既存のレコードを削除(ステップS35)後、新たなレコードを作成し(ステップS36)、取得するレコードのローカルID、グローバルID、シリアル番号、モデル名を機体情報用テーブルT1へ挿入する(ステップS37、ステップS38)。
【0045】
同じ機体が存在しない場合は(ステップS33)、新たにローカルIDを発行する(ステップS39)。このときローカルIDは、アプリケーション内で重複することがないように決定する。たとえばローカルIDは正の整数値を取り、新たにローカルIDが発行される場合そのローカルIDは、発行したローカルIDのうち最大のものに+1とする。この手法ではローカルIDは発行するたびに1ずつ増えていくことになり、ローカルIDが重複することは無い。機体情報用テーブルT1に新たなレコードを作成後(ステップS40)、取得するデータのローカルID、シリアル番号、モデル名を挿入する(ステップS41、ステップS38)。
【0046】
続いて、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図20に従って、エラー情報を挿入する。エラー情報はモデルやメーカーによって異なることが想定されるものの、データの規格化も進んでおり、ある程度の情報は各機体共通で取得できるものと思われる。そこでより多くの情報を取得するため、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3を用い、機体間の誤差を吸収しながらエラー情報を取得する(ステップS31)。
【0047】
なお、エラー情報とはシリアル番号、モデル名以外のデータを指し、駆動時間や印刷枚数などエラーとは直接関係のないデータも含まれる可能性がある。またエラー情報はタイトル(データの種類)とデータ(値)で構成されるものとする。
【0048】
まず、エラー情報の中でチェックしていないデータが存在するか判定する(ステップS51)。これは、エラー情報の配列の長さに対する自身の位置などから判断する。チェックしていないデータが存在する場合、そのデータのタイトルを取得(チェック)する(ステップS52)。取得したタイトルがエラー情報テーブルT2のカラム名に存在するタイトルと同一でないなら(ステップS53)、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3を参照して(ステップS56)、対応テーブルT3にタイトルが存在すれば(ステップS57)、データの挿入先を対応するカラムに変更する(ステップS58)。
【0049】
対応テーブルにタイトルが存在しなければ、ステップS51に進み、データを取得せずに、チェックしていないデータが存在するかどうかの判定へ進む。
【0050】
なお上記対応テーブルにはデータベースのカラム名と、それに対応するエラー情報のタイトルが記録されており、これを参照することでエラー情報のタイトルの違いを修正することができる。
【0051】
チェックしていないデータが存在しなければ、エラー情報のチェックを終了し初期画面D1へ戻る。取得したタイトルに対応するデータを取得し、データの型がデータ挿入先のカラムのデータ型と一致すれば(ステップS54)、データを挿入し(ステップS55)、
データの型がデータ挿入先のカラムのデータ型と一致しないなら(ステップS54)、取得したデータをデータ挿入先のカラムのデータ型に変換(ステップS59)した後に、データを挿入する(ステップS55)。そして、ステップS51に戻り、チェックしていないデータが存在するかどうかの判定を行う。
【0052】
(機体情報の分析)
次に、機体情報の分析処理について、図21のフローチャートを用いて以下に説明する。ユーザが、初期画面D1において、“機体情報の分析”52を選択した場合(ステップS13)、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図15に示すような機体情報の分析画面D4を表示する(ステップS61)。すなわち、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、データベース内の機体情報用テーブルT1を走査し(ステップS62)、分析できるデータがあるかを調べる(ステップS63)。分析できるデータが1件以上ある場合は、表示ボタン72が押されたら(ステップS65)、選択されているリスト71の値を取得し(ステップS66)、選択された機体のデータを分析し(ステップS67)、選択された機体の分析結果を表示する(ステップS68)。
【0053】
分析結果には初期画面D1へ戻るボタン74が配置され、これが押されると(ステップS69)初期画面D1へ戻る。設定の外れ値ボタン75が押された場合は(ステップS70)、図24のフローチャートに進み、図16が示す設定の外れ値画面D5へ遷移する。
【0054】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図24のフローチャートに示すように、設定の外れ値画面D5を表示し(ステップS101)、図25のフローチャートを用いて後述される外れ値検出処理を実行する(ステップS102)。さらに、戻るボタン74が押されると(ステップS103)、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、機体情報の分析画面D4へと復帰する。
【0055】
(サーバSへの接続処理)
次に、サーバSへの接続処理について、図22のフローチャートを用いて以下に説明する。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図12の初期画面D1において、ユーザが“サーバSへ接続”を選択した場合(ステップS14)、サーバSへ接続画面D3を表示する(ステップS71)。ここで、統計データを取得ボタン62が選択されると(ステップS81)、統計データ取得処理を行う(ステップS82)。また、初期画面D1へ戻るボタン63が選択されると(ステップS83)、初期画面D1へ戻る。また、サーバSへ接続ボタン61が選択されると(ステップS72)、アプリケーションはインターネット接続部17を通して、データ収集用のサーバSへアクセスできることを確認する(ステップS73)。
【0056】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、ステップS73でアクセスできることを確認できなければ、サーバSに接続できないことをポップアップで表示して(ステップS80)、初期画面D1へ戻る。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、アクセスできることを確認できれば、データベース内の機体情報用テーブルT1を検索し(ステップS74)、グローバルIDがまだ割り振られていないデータがあるか調べる(ステップS75)。グローバルIDがまだ割り振られていないデータがある場合、アプリケーションはサーバSへシリアル番号とモデル名をアップロードするとともに、グローバルIDの発行を要求する(ステップS76)。サーバSからグローバルIDが発行されたら、それを受信して、グローバルIDカラムへ挿入する(ステップS77)。
【0057】
また、ステップS75において、アプリケーション自身にIDが振られている場合、あるいは、MACアドレスなど何らかの方法でサーバSがサーバSにアクセスしているアプリケーションを識別できる場合、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、シリアル番号とモデル名をアップロードする代わりに、ローカルID(とアプリケーションを認識するための情報)をアップロードすることでもグローバルIDを要求することができる。
【0058】
しかし、同一機体を複数のサービスマンが訪問した場合などを考慮すると、シリアル番号とモデル名など、アプリケーションに依存せず機体を特定できる情報をアップロードすることが好ましい。
【0059】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、全ての機体にグローバルIDが振られたら、アップロードしていない機体があるかどうかを判断し(ステップS78)、アップロードしていない機体が残っていれば、グローバルIDとエラー情報をサーバSへアップロードする(ステップS79)。エラー情報のほかに、機体の設定情報もアップロードすることができる。機体の設定とは、例えばスキャン位置の調整、用紙の上下左右のマージン調整、モータの速度調整などの、画像形成装置の動作に関わる設定項目である。あるいは、ファームウェアのバージョンのような、機体の状態を表す項目も含む。ユーザは、機体の利用頻度や用途に合わせて、これらの設定値を工場出荷時の状態から変更することができる。
【0060】
このとき、誤って意図していない設定値に設定してしまったり、あまり一般的でない設定値に設定したりしてしまうことがある。どのような値でも設定として反映されてしまった以上、これ自体はエラーとはいえず、設定した当人は気付きにくい。しかし、その状態で動作させ続けることで、設定値の組合せによっては結果として、潜在的に機体がエラーを引き起こす可能性が高まっていく。
【0061】
図26は、保守装置の現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図である。図26において、(1)現像バイアス電位、(2)中間長の露光電位、また、(2)ベタ画像の露光電位としたとき、(1)<(2)の場合は現像が行われるが、(1)>(2)となれば現像されない場合が生じる。このような設定値が不適切であると不具合を生じる場合があるが、これを未然に防ぐために、機体の設定値がどのくらい一般的な設定方法から外れているかをユーザに示したい。
【0062】
機体の設定情報は保守装置10のデータベースでは、図7に示す機体設定リストT4のようなテーブル構造で保存される。機体設定リストT4は、ローカルIDとモデル名と設定コードと設定値で構成される。個々の設定項目は設定コードで表現され、ある設定項目はモデル名と設定コードで一意に定まる。
【0063】
設定の外れ値(即ち外れ度)を決定するためには、まず、平均的な設定値を知る必要があり、これは分析サーバSから統計データとして取得する。分析サーバSは、図3に示すように市場の画像形成装置MとネットワークNで接続されており、設置先の許可が得られている画像形成装置Mについて、エラー情報および設定情報を機体のメーカー名やシリアル番号など定期的に収集している。統計データは、ネットワークN経由で収集した市場の機体データと、保守装置10を用いてネットワーク非接続の機体から収集したデータに基づいて、分析サーバS上で予め計算しておくものであり、定期的に更新される。
【0064】
統計データは機体の種別ごとの設定コードごとに、平均値、標準偏差、サンプル数を集計したものが基本である。他に、設定値が連続値でない場合、例えば属性が名義尺度であるときは、平均値は求められないので、最頻値を求めておく。また、外れ値を判定するために、設定ごとに予め指定された閾値(上限、下限)がある。これは画像形成装置の設計時に想定した設定範囲であるか、経験的に決められる値である。平均値は設定項目の性質によっては算術平均でなく中央値であってもよい。複数の設定が互いに関連を持つなら、設定値間の共分散を求めて統計データに含めることで、後述するマハラノビス距離による外れ値検出に利用することも可能である。
【0065】
外れ値の検出精度を上げるために、統計データでなく、集約する前の膨大な生データなど、より多くのデータをサーバSから取得することはもちろん可能である。しかし、保守装置10はサービスマンが持ち運ぶモバイル端末であり、CPUや記憶容量などの機能に制限があることを考えると、サーバSからダウンロードして保管するデータはより少ないほうが好ましい。
【0066】
保守装置10が分析サーバSから統計データを取得する手順を、図23に示すフローチャートに従って説明する。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、サーバSへ接続画面D3において統計データ取得ボタン62が入力されると、統計データ取得処理を開始する。最初に機体設定リストT4に含まれるすべてのモデル名を、重複を除いてリストとして取得する(ステップS91)。そして、モデル名リストと統計データ取得要求を分析サーバSに送信する(ステップS92)。分析サーバSは受信したモデル名リストに該当するモデル名について、予め計算されている統計データリストを送信し、保守装置10でこれを受信する(ステップS93)。既存の統計データリストT5を新たに取得した統計データリストで更新する(ステップS94)。以上で統計データ取得処理は終了する。
【0067】
設定値の統計データリストT5の構造を図8に示す。ここではモデル名、設定コード、サンプル数、平均値、最頻値、標準偏差、閾値で構成されている。サンプル数はこれらの統計データを計算するのに用いた機体数である。
【0068】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、機体情報の分析画面D4で設定の外れ値ボタン75が選択されると、図24に示す外れ値検出処理を実行し、図16に示す設定の外れ値画面へ遷移する。外れ値検出処理は、外部記録装置から機体情報を取り込むのと平行して実行してもよいし、既に取り込んでいるデータに対してユーザが任意に実行してもよい。ここでは後者の場合について説明する。
【0069】
外れ値検出処理は、機体設定リストT4に含まれるすべてのデータを対象として実施する。以下、外れ値検出処理の手順を図25のフローチャートにしたがって説明する。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図7の機体設定リストT4からローカルIDとモデル名と設定コードと設定値を取り出す(ステップS111)。また、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、統計データリストT5から、モデル名と設定コードが一致する行を検索する(ステップS112)。もし一致する行があれば(ステップS113のY)、平均値と標準偏差と閾値を取得し、外れ値検出手法を適用する(ステップS114)。一致する行がなかった場合は(ステップS113のN)、ステップS111へ戻り、次の設定コードの処理に移る。
【0070】
ステップS114では、もし設定項目が名義尺度で平均値が計算されていなければ最頻値を取得し、設定値が最頻値に一致しなければ、これを外れ値とする。ステップS114で外れ値を判定したら(ステップS115のY)機体情報用テーブルT1からローカルIDに一致する行を検索し、シリアル番号を取得し、シリアル番号とモデル名と設定コードと設定値と最頻値とを図9に示すような外れ値リストT6に追加する(ステップS116)。このような処理を未処理の設定値がなくなるまで継続する(ステップS117)。
【0071】
ここで、設定値に平均値があるなら、外れ値検出手法を適用する。外れ値検出手法については後述する。もし、設定値が外れ値であるなら機体情報用テーブルT1からローカルIDに一致する行を検索し、シリアル番号を取得する。そして、シリアル番号とモデル名と設定コードと設定値と平均値と最頻値とを外れ値リストT6に追加する。ここまでの過程を、機体設定リストT4に登録されているすべてのモデル名と設定コードについて実施する。
【0072】
ここで、外れ値の検出方法について説明する。
設定値が正規分布に従うと仮定して、設定値が平均値より標準偏差の3倍より大きければ外れ値とみなす方法がある。設定値をx、平均をμ、標準偏差をσとすると、次の条件式を満たした設定値が外れ値となる。
【0073】
|x−μ|/σ>3
この手法は外れ値検出として一般的であり、通常はこの手法を用いる。標準偏差の3倍ではなく、2倍にすることもあり、そうするとより多くの設定値を外れ値として取り出すことができる。
【0074】
外れ値検出にマハラノビス距離を用いてもよい。マハラノビス距離DMは式1のように定義される。
【数1】
【0075】
ここで、Σは分散共分散行列を表す。複数の設定値に互いに関係があり、分散共分散行列を予め分析サーバSで計算していた場合はこの式を使うと良い。互いに関係のある設定値はなく、単独の設定値を評価するときのマハラノビス距離は下記式2となる。
【数2】
【0076】
これが閾値を超えたら、xを外れ値と決定する。
【0077】
各設定項目には設計段階で決まる推奨設定の範囲があり、この範囲を超えたものを外れ値とみなすことができる。閾値の下限をθl、閾値の上限をθhとすると、次の式を満たす設定値xが外れ値となる。
【0078】
x<θl, θh<x
以上、3種類の外れ値検出手法を例示したが、手法はこれだけに限定されるものではない。例えば、スミルノフ・グラブス検定のような、統計的に外れ値を選択する手法を採用することも可能である。
【0079】
外れ値検出処理が終わったら、外れ値リストT6の内容を外れ値表示部76に表示して、ユーザに注意を促す。このとき、平均値を持たない設定コードは、代わりに最頻値を表示する。設定の外れ値画面の表示例を図16に示す。このようにして、機体ごとに一般的でない設定をした設定項目を列挙し、設定の参考となる指標を示すことで、ユーザに設定値を見直すことを促し、潜在的なエラーを未然に防ぐことができる。
【0080】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る保守装置10においては、サーバSで収集した市場データの統計情報に基づいて、機体設定の統計値と機体設定を比較して、外れ値(比較結果)を検出し、保守装置10の画面に提示する。これにより、サービスマンが設置先で画像形成装置を保守するときに、機体設定の外れ値を検出して提示する手段を提供でき、その場で設定を調整することでエラーの発生を未然に防止することが可能となる。
【0081】
また、上述した実施形態が示す処理は、ハードウェアにより実現されてもよいし、CPU等の処理部11が実行するメモリ等の記録部13に格納されるコンピュータプログラム(保守プログラム)で実現することもできる。従って、本発明の実施形態は、電子回路等のハードウェアとして捉えることも可能であるし、コンピュータプログラムとして捉えることも可能となる。上記説明では、本実施形態が示す処理を実現するコンピュータプログラムが保守装置に予め記録(インストール)されている場合について説明をしたが、これに限らず、保守装置が、コンピュータプログラムをネットワークからダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを記録(インストール)しても良いし、保守装置が、記憶媒体からコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラム記録(インストール)してもよい。記録媒体としては、コンピュータプログラムを記憶でき、かつ保守装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。また、保守装置は、装置内部に記憶されたOS(オペレーティング・システム)等と記録(インストール)されたコンピュータプログラムとの協働により、本実施形態が示す処理を実現することもできる。
【0082】
なお、本実施の形態では、保守装置が保守対象とする機体として画像形成装置を一例として説明したが、保守装置が保守対象とする機体は画像形成装置に限定されるものではない。保守装置は、様々な情報処理機器を保守対象とすることができる。例えば、保守装置は、商業施設等に設置されるPOS(point of sale system)端末を保守対象とすることができる。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10…保守装置、11…処理部、12…記憶部、13…記録部、14…表示装置接続部、15…入力装置接続部、16…外部記憶装置接続部、17…インターネット接続部、18…表示装置、19…入力装置、M…画像形成装置、N…ネットワーク、S…分析サーバ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置又はPOS(point of sale system)端末等の情報処理装置の保守を行う保守装置、保守方法および保守プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の保守においては、画像形成装置に異常が発生した場合、ユーザからの電話によりサービスマンに状況が伝えられる。そしてサービスマンが設置先に出向き、状況を確認する。
【0003】
また、最近では、更なるサービス性の向上を図るため、オンライン状態(インターネット等の通信回線に接続されている状態)の機体は、異常を検知した際、通信回線を利用して機体情報やエラー情報をサービスセンタに自動的に送信する方法が取られている。また、同時に機種、機番、発生時刻、機体状況、エラーメッセージなどの機体情報を連絡して、これらの情報を利用することで、サービス性を向上させることが可能になる。
【0004】
しかしながら、市場においては、オフライン状態(インターネット等の通信回線に接続されていない状態)の機体が、いまだ相当数存在している。また、インターネット等の通信回線には接続されていてもセキュリティの問題から、機体情報を提供していない機体も多い(便宜上、この状態の機体についても以後“オフライン状態の機体”とする)。
【0005】
このようなオフライン状態の機体に対しては、サービスマンが所有するパソコンに画像形成装置の機体情報のデータをいったん格納し、サービスステーションに持ち帰った後、サーバを利用してデータの分析を行ったり、あるいは、データを格納した後パソコンをオンライン状態にすることで、サーバに接続し、その場で分析を行ったりする手法が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−34447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の画像形成装置の保守において、サービスマンは、機体の利用頻度や用途に合わせて、機体の設定を工場出荷時の状態から変更することができる。機体の設定とは、例えばスキャン位置の調整、用紙のマージン調整、モータの速度調整などの、画像形成装置の動作に関わる設定項目である。このとき、誤って意図していない値に設定してしまったり、あまり一般的でない値に設定したりしてしまうことがある。どのような値でも設定値として入力されてしまうと、これ自体はエラーとはいえず、設定した当人は気付きにくい。
【0008】
しかし、設定値の組合せによっては、その状態で動作させ続けることで、結果として潜在的に機体がエラーを引き起こすことがある。これを未然に防ぐために、機体の設定値がどのくらい一般的でないかをユーザに示すことが有効となる。従来のシステムでは、画像形成装置の故障を診断できるが、設定値が一般的な設定から外れているかどうかを検出することは難しい。上記画像形成装置に限らず、様々な情報処理装置の設定値が一般的な設定から外れているかどうかを検出することは難しい。
【0009】
本発明の実施形態は、画像形成装置等の情報処理装置の設定値に基づいてこの情報処理装置の保守を行う保守装置、保守方法および保守プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するための一実施形態は、
情報処理装置から設定情報を読み取る読取部と、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する通信部と、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する処理部と、
を備える保守装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る保守装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】同じく画像形成装置と保守装置との関係の一例を示す外観図。
【図3】同じく画像形成装置と分析サーバとの関係の一例を示す説明図。
【図4】同じく保守装置の機体情報用テーブルT1の一例を説明する説明図。
【図5】同じく保守装置のエラー情報テーブルT2の一例を説明する説明図。
【図6】同じく保守装置のデータベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3の説明図。
【図7】同じく保守装置の機体設定リストT4の一例を説明する説明図。
【図8】同じく保守装置の統計データリストT5の一例を説明する説明図。
【図9】同じく保守装置の外れ値リストT6の一例を説明する説明図。
【図10】同じく保守装置が評価対象とする画像形成装置の設定項目のリストT7。
【図11】同じく保守装置の画面の遷移の一例を示す説明図。
【図12】同じく保守装置の初期画面D1の一例を示す説明図。
【図13】同じく保守装置の機体情報の取得画面D2の一例を説明する説明図。
【図14】同じく保守装置のサーバへ接続画面D3の一例を説明する説明図。
【図15】同じく保守装置の機体情報の分析画面D4の一例を説明する説明図。
【図16】同じく保守装置の設定の外れ値画面D5の一例を説明する説明図。
【図17】同じく保守装置の動作の概要の一例を説明するフローチャート。
【図18】同じく保守装置の『機体情報の取得』を説明するフローチャート。
【図19】同じく保守装置の『データの取得』を説明するフローチャート。
【図20】同じく保守装置の『エラー情報の挿入』を説明するフローチャート。
【図21】同じく保守装置の『機体情報の分析』を説明するフローチャート。
【図22】同じく保守装置の『サーバへの接続』を説明するフローチャート。
【図23】同じく保守装置の『統計データ取得処理』を説明するフローチャート。
【図24】同じく保守装置の『外れ値検出処理』を説明するフローチャート。
【図25】同じく保守装置の『外れ値表示処理』を説明するフローチャート。
【図26】同じく保守装置の現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態である保守装置10の構成の一例を図1を用いて、以下に説明する。保守装置10は、図1に示すように、CPU等の処理部11と、メモリ等の記憶部12と、HDD(Hard Disk Drive)、メモリ等の記録部13と、ディスプレイ等の表示装置18に表示させるための画像情報を生成し供給する表示装置接続部14と、マウス、キーボード等の入力装置19とのインターフェースである入力装置接続部15と、USB(Universal Serial Bus)メモリ1等の外部記憶媒体のインターフェースである外部記録装置接続部16と、インターネット等のネットワークと通信を行うインターネット接続部17を有している。
【0013】
ただし、本発明の実施形態である保守装置10は、サービスマンが機体設置先へ持ち運ぶことを前提としているため、サービスマンが持ち運びできる形態、例えば、ノートパソコンまたは同等の形態となっていることが望ましい。
【0014】
また、本発明の実施形態においては、図2に示すように、設定情報等は、LAN等のネットワークを介してオンラインで保守装置10等へ供給されるのではなく、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の着脱可能な記録媒体を介してオフラインで保守装置10等へ供給される場合を想定している。これは、現在の市場において、オフライン状態(インターネット等の通信回線に接続されていない状態)の画像形成装置等の情報処理装置が、いまだ相当数存在しており、また、インターネット等の通信回線には接続されていてもセキュリティの問題から、機体情報を提供していない機体も多いことを考慮したものである。
【0015】
また、本発明の実施形態に係る画像形成装置Mは、図3に示すように、ネットワークNにより接続された状態で、分析サーバSにより設定値を自動的に収集され蓄積されることで、分析サーバSにおいて、統計データが更新されていくものである。
【0016】
また、本発明の実施形態である保守装置10の記録部13には、以下のデータが格納されている。すなわち、画像形成装置用保守アプリケーション(以後“アプリケーション”)と、画像形成装置用保守アプリケーション用データベース(以後“データベース”)である。
【0017】
ここで、データベースは、一例として、以下のテーブルによって構成される。
すなわち、機体情報用テーブルT1、エラー情報テーブルT2、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3、機体設定リストT4、統計データリストT5、外れ値リストT6、評価対象となる設定項目リストT7である。
【0018】
機体情報用テーブルT1は、図4に示すように、一例として、以下のカラムによって構成される。一台一台の機体に固有の識別番号であり分析サーバSにより与えられるグローバルID(割当識別情報)、機体情報用テーブルT1内の整理番号であるローカルID、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号(機体識別情報)、その機種を特定するモデル名、その機体で検出されたエラー情報である。
【0019】
次に、エラー情報テーブルT2は、図5に示すように、以下のカラムによって構成される。一台一台の機体に固有の識別番号であり分析サーバSにより与えられるグローバルID、機体情報用テーブルT1内の整理番号であるローカルID、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号、その機種を特定するモデル名、その機体の駆動している時間である駆動時間、その機体が印刷した延べ印刷枚数または1日の印刷枚数である印刷枚数、その機体において用紙等がジャムを起こした発生回数を記録しているJam発生回数である。
【0020】
データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3は、図6に示すように、DB(データベース)カラム名と、ログデータタイトルのカラムによって構成される。
すなわち、駆動時間は、実行時間または実動時間に対応し、印刷枚数は、プリント枚数またはプリントカウンタに対応する。
【0021】
機体設定リストT4は、図7に示すように、以下のカラムによって構成される。
すなわち、機体設定リストT4内の整理番号であるローカルID、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、この設定項目に設定された値である設定値である。
【0022】
統計データリストT5は、図8に示すように、以下のカラムによって構成される。
すなわち、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、統計を作成する際に使用したサンプルの数を意味するサンプル数、サンプルの値の平均値である平均値、サンプル中の最も多かった値を意味する最頻値、サンプルの標準偏差、その設定値をはずれ値とするか否かの判断に用いる閾値である。
【0023】
外れ値リストT6は、図9に示すように、以下のカラムによって構成される。すなわち、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、この設定項目に設定された値である設定値、サンプルの値の平均値である平均値、サンプル中の最も多かった値を意味する最頻値である。
【0024】
また、評価対象となる設定項目リストT7は、図10に示すように、分類上、プロセスに関する設定項目、スキャナに関する設定項目、プリンタに関する設定項目、システムに関する設定項目がある。
【0025】
すなわち、プロセスに関する設定項目は、
『帯電グリッドバイアス調整、高圧手動調整 帯電、高圧手動調整 カラー現像、高圧手動調整 1次転写定電圧、高圧手動調整 2次転写定電圧、高圧手動調整 除電ブレード、高圧手動調整 2次転写定電流、帯電グリッド校正電圧値、現像バイアス校正電圧値、レーザパワー校正光量値、レーザパワー校正光基準D/A値、Voセンサ出力、Voセンサシャッター閉時の電位センサ出力、レーザパワー出力調整、1次転写バイアス標準モード実行値、1次転写抵抗検知オフセット、1次転写先後端バイアス実行値、1次転写先後端バイアス補正係数、2次転写バイアスカラー実行値、2次転写バイアスモノクロ実行値、用紙表面バイアスオフセット、用紙表面 2次先後端バイアス補正係数、用紙裏面 2次先後端バイアス補正係数、1次転写定電流トランス調整値、1次転写定電圧トランス調整値、2次転写定電流トランス調整値、2次転写定電圧トランス調整値、除電バイアス調整値、高圧手動調整 除電ブレード(高)、高圧手動調整 1次転写定電流、定着温度(ヒートローラ)、ヒータ強制ON時間、定着温度(プレスローラ)、1stプリントプレラン動作時間、異常処理開始定着温度設定、強制ヒータON枚数閾値、レディ許可温度範囲、Readyプレラン 定着モータ減速、レディ時プレラン動作時間、レディ時定着温度、レディ温度降下切替時間、プリント開始許可温度範囲、プリント終了時プリント動作温度保持時間設定、定着制御温度下限値、プリント温度降下切替時間、予熱復帰時レディ許可温度補正、スリープ/予熱復帰時時間制限設定、プリント速度切替え温度、電力可変下限値、電力可変幅、電力降下時下限保持温度幅、予熱時加熱時間、スリープ復帰時制御温度保持時間、予熱時定着温度移行時間、予熱移行時定着温度増分』が存在する。
【0026】
また、スキャナに関する設定項目は、
『CCD主走査ずれ、スキャナ副走査ずれ、スキャナ副走査倍率、ディストーション、シェーディング位置調整、ADFアライニング量、ADF搬送速度微調整、ADF横ずれ、ADF先端位置調整、ADF読取時のキャリッジ位置調整』が存在する。
【0027】
プロセスプリンタに関する設定項目は、
『ポリゴンモータ回転微調整、レーザ打ち出し位置、ADU搬送モータ速度微調整、カセット横ずれ調整、ADU横ずれ調整、トップマージン、レフトマージン、ライトマージン、ボトムマージン、トップマージン、レフトマージン、ライトマージン、ボトムマージン、先端位置調整 CST1調整値、先端位置調整 CST2調整値、先端位置調整 CST3調整値、先端位置調整 CST4調整値、先端位置調整 手差し調整値、先端位置調整 ADU調整値、先端位置調整 TLCF調整値、先端位置調整 OLCF調整値、第1カセット アライニング量、第2カセット アライニング量、手差し給紙アライニング量、第3カセット アライニング量、第4カセット アライニング量、ADU給紙アライニング量、タンデムLCF給紙アライニング量、手差し後押し量調整、ドラムモータ速度微調整、レジストモータ速度微調整、転写ベルトモータ速度微調整、ヒートローラ速度微調整、給紙モータ速度微調整、定着排紙モータ速度微調整、スキューズレ量調整値、ポリゴンモータ停止時間、給紙リトライ回数設定値、マニュアルステイプルタイムアウト時間、位置合わせ用 連続印字中断指定時間[分]』が存在する。
【0028】
また、システムに関する設定項目は、『電源投入時の白紙判定調整閾値のデフォルト設定値』が存在する。
【0029】
なお、上述した本発明の一実施形態の構成は、ほんの一例であり、実際の実装はこの構成に限るものではない。たとえばデータベースは、単一のテーブルによって構成されても、複数のテーブルから(リレーショナルデータモデルに基づいて)構成されても、csvファイルなどデータベースの代替となるもので構成されてもよい。
【0030】
また、シリアル番号とモデル名を主キーとすることで、サーバSを含めた管理下にある画像形成装置を自社製品・他社製品にかかわらず、一意に決定することができる。このほかの組み合わせとしては、シリアル番号とメーカー名などが可能である。
【0031】
(保守装置の操作画面)
次に、本発明の一実施形態である保守装置10は、図11に示すように、初期画面D1から遷移する複数の操作画面を有している。当該アプリケーションの画面は、図11に示すように、初期画面D1において、機体情報の取得51が選択されたら機体情報の取得画面D2へ、機体情報の分析52が選択されたら機体情報の分析画面D4へ、サーバへ接続53が選択されたらサーバへ接続画面D3へとそれぞれ遷移する。
【0032】
初期画面D1には、図12に示すように、“機体情報の取得”51、“機体情報の分析”52、“サーバへ接続”53の3つのメニュが用意され、ユーザはこの中から実行したいメニュを入力装置19を操作して選択する。操作情報は、入力装置接続部15を通して保守装置10へ入力される。
【0033】
なお、ここでいう『機体』とは画像形成装置Mを指し、画像形成装置Mは複合機、プリンタ、スキャナ、ファックス等により成っている。
【0034】
機体情報の取得画面D2の例を図13に示す。機体のデータを格納した外部記録装置を指定するドライブ選択54と、初期画面D1に戻るボタン56と、どの機体のデータをデータベースに入力するかを指定させる機体選択リスト55を備える。
【0035】
サーバSへ接続画面の例を図14に示す。サーバSへ接続ボタン61と統計データ取得ボタン62があり、選択されるとそれぞれの処理を実行する。初期画面D1へ戻るボタン63が選択されると初期画面D1へ遷移する。
【0036】
機体情報の分析画面D4の例を図15に示す。ここでは表示ボタン72が押されるとリスト71で選択された機体のエラー情報や印刷枚数などのカウンタ情報を分析・集計し、機体のエラーの傾向や利用状況を分析結果表示部73に図表で提示する。初期画面D1へ戻るボタン74が入力されると初期画面D1へ遷移する。設定の外れ値ボタン75が入力されると、設定の外れ値画面D5へと遷移する。表示できる機体が複数ある場合は、リスト71から選択させる。
【0037】
(評価装置の動作)
本発明の一実施形態である評価装置の動作について、以下にフローチャートを用いて詳細に説明する。図17は、同じく保守装置の動作の概要の一例を説明するフローチャート、図18は、『機体情報の取得』を説明するフローチャート、図19は、『データの取得』を説明するフローチャート、図20は、『エラー情報の挿入』を説明するフローチャート、図21は、『機体情報の分析』を説明するフローチャート、図22は、『サーバへの接続』を説明するフローチャート、図23は、『統計データ取得処理』を説明するフローチャート、図24は、『外れ値検出処理』を説明するフローチャート、図25は、『外れ値表示処理』を説明するフローチャート、図26は、保守装置の現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図である。
【0038】
すなわち、本発明の一実施形態である保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図17のフローチャートに示すように、アプリケーションが起動すると、初期画面D1を表示装置接続部14を介して表示装置18に表示し(ステップS11)、ユーザの入力装置19からの入力を待つ。初期画面D1において、“機体情報の取得”を特定する操作があれば、処理部11は“機体情報の取得”を実行する(ステップS12)。また、初期画面D1において、“機体情報の分析”を特定する操作があれば、処理部11は“機体情報の分析”を実行する(ステップS13)。また、初期画面D1において、“サーバへの接続”を特定する操作があれば、処理部11は“サーバへの接続”を実行する(ステップS14)。
【0039】
次に、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図17のフローチャートに示すように、ユーザが“機体情報の取得”を選択した場合(ステップS12)、機体情報の取得画面D2を表示する(ステップS21)。初期画面D1へ戻るボタンが選択されると(ステップS22)、初期画面D1へ戻る。
【0040】
ステップS22で初期画面D1へ戻るボタンが押されなければ、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、ドライブ選択54で外部記録装置を指定させ、アプリケーションは外部記録装置接続部16にUSBメモリ等の外部記録装置の接続を促して(ステップS23)、外部記録装置1の中にデータベースに追加できるデータがあるか調べる(ステップS24)。データは機体ごとに取り出せるように格納されており、データ取得は各機体のデータごとに行う。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、追加できるデータがある場合は、データ取得できるデータをもつ機体のシリアル番号とモデル名を機体選択リスト55へ追加する(ステップS25)。
【0041】
データ取得できるデータが1件以上ある場合は(ステップS27)、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、取得画面D2に機体選択リスト55を提示し(ステップS28)、どのデータを取得するか選択させる(ステップS29)。取得できるデータがない場合はその旨をポップアップウィンドウで伝え(ステップS26)、ユーザが了承したら初期画面D1へ戻る。
【0042】
取得するデータが決定したら、選択された機体のシリアル番号、モデル名、エラー情報を取得する(ステップS31)。このうちシリアル番号およびモデル名をもとに、データベース内の機体情報用テーブルT1を走査し(ステップS32)、取得するデータと同じ機体のデータが存在するか調べる(ステップS33)。
【0043】
このときアプリケーションは、取得するデータとデータベース内のデータそれぞれのシリアル番号とモデル名を走査する。この2項が取得するデータとデータベース内のデータで一致するものがある場合(ステップS33)、これを上記“同じ機体”と判定し、下記“同じ機体が存在する場合”の処理を行う。一致するものが無い場合、下記“同じ機体が存在しない場合”の処理を行う。
【0044】
同じ機体が存在する場合は、取得するデータに既存のデータと同じグローバルIDおよびローカルIDを発行し(ステップS34)、既存のレコードを削除(ステップS35)後、新たなレコードを作成し(ステップS36)、取得するレコードのローカルID、グローバルID、シリアル番号、モデル名を機体情報用テーブルT1へ挿入する(ステップS37、ステップS38)。
【0045】
同じ機体が存在しない場合は(ステップS33)、新たにローカルIDを発行する(ステップS39)。このときローカルIDは、アプリケーション内で重複することがないように決定する。たとえばローカルIDは正の整数値を取り、新たにローカルIDが発行される場合そのローカルIDは、発行したローカルIDのうち最大のものに+1とする。この手法ではローカルIDは発行するたびに1ずつ増えていくことになり、ローカルIDが重複することは無い。機体情報用テーブルT1に新たなレコードを作成後(ステップS40)、取得するデータのローカルID、シリアル番号、モデル名を挿入する(ステップS41、ステップS38)。
【0046】
続いて、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図20に従って、エラー情報を挿入する。エラー情報はモデルやメーカーによって異なることが想定されるものの、データの規格化も進んでおり、ある程度の情報は各機体共通で取得できるものと思われる。そこでより多くの情報を取得するため、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3を用い、機体間の誤差を吸収しながらエラー情報を取得する(ステップS31)。
【0047】
なお、エラー情報とはシリアル番号、モデル名以外のデータを指し、駆動時間や印刷枚数などエラーとは直接関係のないデータも含まれる可能性がある。またエラー情報はタイトル(データの種類)とデータ(値)で構成されるものとする。
【0048】
まず、エラー情報の中でチェックしていないデータが存在するか判定する(ステップS51)。これは、エラー情報の配列の長さに対する自身の位置などから判断する。チェックしていないデータが存在する場合、そのデータのタイトルを取得(チェック)する(ステップS52)。取得したタイトルがエラー情報テーブルT2のカラム名に存在するタイトルと同一でないなら(ステップS53)、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3を参照して(ステップS56)、対応テーブルT3にタイトルが存在すれば(ステップS57)、データの挿入先を対応するカラムに変更する(ステップS58)。
【0049】
対応テーブルにタイトルが存在しなければ、ステップS51に進み、データを取得せずに、チェックしていないデータが存在するかどうかの判定へ進む。
【0050】
なお上記対応テーブルにはデータベースのカラム名と、それに対応するエラー情報のタイトルが記録されており、これを参照することでエラー情報のタイトルの違いを修正することができる。
【0051】
チェックしていないデータが存在しなければ、エラー情報のチェックを終了し初期画面D1へ戻る。取得したタイトルに対応するデータを取得し、データの型がデータ挿入先のカラムのデータ型と一致すれば(ステップS54)、データを挿入し(ステップS55)、
データの型がデータ挿入先のカラムのデータ型と一致しないなら(ステップS54)、取得したデータをデータ挿入先のカラムのデータ型に変換(ステップS59)した後に、データを挿入する(ステップS55)。そして、ステップS51に戻り、チェックしていないデータが存在するかどうかの判定を行う。
【0052】
(機体情報の分析)
次に、機体情報の分析処理について、図21のフローチャートを用いて以下に説明する。ユーザが、初期画面D1において、“機体情報の分析”52を選択した場合(ステップS13)、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図15に示すような機体情報の分析画面D4を表示する(ステップS61)。すなわち、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、データベース内の機体情報用テーブルT1を走査し(ステップS62)、分析できるデータがあるかを調べる(ステップS63)。分析できるデータが1件以上ある場合は、表示ボタン72が押されたら(ステップS65)、選択されているリスト71の値を取得し(ステップS66)、選択された機体のデータを分析し(ステップS67)、選択された機体の分析結果を表示する(ステップS68)。
【0053】
分析結果には初期画面D1へ戻るボタン74が配置され、これが押されると(ステップS69)初期画面D1へ戻る。設定の外れ値ボタン75が押された場合は(ステップS70)、図24のフローチャートに進み、図16が示す設定の外れ値画面D5へ遷移する。
【0054】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図24のフローチャートに示すように、設定の外れ値画面D5を表示し(ステップS101)、図25のフローチャートを用いて後述される外れ値検出処理を実行する(ステップS102)。さらに、戻るボタン74が押されると(ステップS103)、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、機体情報の分析画面D4へと復帰する。
【0055】
(サーバSへの接続処理)
次に、サーバSへの接続処理について、図22のフローチャートを用いて以下に説明する。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図12の初期画面D1において、ユーザが“サーバSへ接続”を選択した場合(ステップS14)、サーバSへ接続画面D3を表示する(ステップS71)。ここで、統計データを取得ボタン62が選択されると(ステップS81)、統計データ取得処理を行う(ステップS82)。また、初期画面D1へ戻るボタン63が選択されると(ステップS83)、初期画面D1へ戻る。また、サーバSへ接続ボタン61が選択されると(ステップS72)、アプリケーションはインターネット接続部17を通して、データ収集用のサーバSへアクセスできることを確認する(ステップS73)。
【0056】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、ステップS73でアクセスできることを確認できなければ、サーバSに接続できないことをポップアップで表示して(ステップS80)、初期画面D1へ戻る。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、アクセスできることを確認できれば、データベース内の機体情報用テーブルT1を検索し(ステップS74)、グローバルIDがまだ割り振られていないデータがあるか調べる(ステップS75)。グローバルIDがまだ割り振られていないデータがある場合、アプリケーションはサーバSへシリアル番号とモデル名をアップロードするとともに、グローバルIDの発行を要求する(ステップS76)。サーバSからグローバルIDが発行されたら、それを受信して、グローバルIDカラムへ挿入する(ステップS77)。
【0057】
また、ステップS75において、アプリケーション自身にIDが振られている場合、あるいは、MACアドレスなど何らかの方法でサーバSがサーバSにアクセスしているアプリケーションを識別できる場合、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、シリアル番号とモデル名をアップロードする代わりに、ローカルID(とアプリケーションを認識するための情報)をアップロードすることでもグローバルIDを要求することができる。
【0058】
しかし、同一機体を複数のサービスマンが訪問した場合などを考慮すると、シリアル番号とモデル名など、アプリケーションに依存せず機体を特定できる情報をアップロードすることが好ましい。
【0059】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、全ての機体にグローバルIDが振られたら、アップロードしていない機体があるかどうかを判断し(ステップS78)、アップロードしていない機体が残っていれば、グローバルIDとエラー情報をサーバSへアップロードする(ステップS79)。エラー情報のほかに、機体の設定情報もアップロードすることができる。機体の設定とは、例えばスキャン位置の調整、用紙の上下左右のマージン調整、モータの速度調整などの、画像形成装置の動作に関わる設定項目である。あるいは、ファームウェアのバージョンのような、機体の状態を表す項目も含む。ユーザは、機体の利用頻度や用途に合わせて、これらの設定値を工場出荷時の状態から変更することができる。
【0060】
このとき、誤って意図していない設定値に設定してしまったり、あまり一般的でない設定値に設定したりしてしまうことがある。どのような値でも設定として反映されてしまった以上、これ自体はエラーとはいえず、設定した当人は気付きにくい。しかし、その状態で動作させ続けることで、設定値の組合せによっては結果として、潜在的に機体がエラーを引き起こす可能性が高まっていく。
【0061】
図26は、保守装置の現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図である。図26において、(1)現像バイアス電位、(2)中間長の露光電位、また、(2)ベタ画像の露光電位としたとき、(1)<(2)の場合は現像が行われるが、(1)>(2)となれば現像されない場合が生じる。このような設定値が不適切であると不具合を生じる場合があるが、これを未然に防ぐために、機体の設定値がどのくらい一般的な設定方法から外れているかをユーザに示したい。
【0062】
機体の設定情報は保守装置10のデータベースでは、図7に示す機体設定リストT4のようなテーブル構造で保存される。機体設定リストT4は、ローカルIDとモデル名と設定コードと設定値で構成される。個々の設定項目は設定コードで表現され、ある設定項目はモデル名と設定コードで一意に定まる。
【0063】
設定の外れ値(即ち外れ度)を決定するためには、まず、平均的な設定値を知る必要があり、これは分析サーバSから統計データとして取得する。分析サーバSは、図3に示すように市場の画像形成装置MとネットワークNで接続されており、設置先の許可が得られている画像形成装置Mについて、エラー情報および設定情報を機体のメーカー名やシリアル番号など定期的に収集している。統計データは、ネットワークN経由で収集した市場の機体データと、保守装置10を用いてネットワーク非接続の機体から収集したデータに基づいて、分析サーバS上で予め計算しておくものであり、定期的に更新される。
【0064】
統計データは機体の種別ごとの設定コードごとに、平均値、標準偏差、サンプル数を集計したものが基本である。他に、設定値が連続値でない場合、例えば属性が名義尺度であるときは、平均値は求められないので、最頻値を求めておく。また、外れ値を判定するために、設定ごとに予め指定された閾値(上限、下限)がある。これは画像形成装置の設計時に想定した設定範囲であるか、経験的に決められる値である。平均値は設定項目の性質によっては算術平均でなく中央値であってもよい。複数の設定が互いに関連を持つなら、設定値間の共分散を求めて統計データに含めることで、後述するマハラノビス距離による外れ値検出に利用することも可能である。
【0065】
外れ値の検出精度を上げるために、統計データでなく、集約する前の膨大な生データなど、より多くのデータをサーバSから取得することはもちろん可能である。しかし、保守装置10はサービスマンが持ち運ぶモバイル端末であり、CPUや記憶容量などの機能に制限があることを考えると、サーバSからダウンロードして保管するデータはより少ないほうが好ましい。
【0066】
保守装置10が分析サーバSから統計データを取得する手順を、図23に示すフローチャートに従って説明する。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、サーバSへ接続画面D3において統計データ取得ボタン62が入力されると、統計データ取得処理を開始する。最初に機体設定リストT4に含まれるすべてのモデル名を、重複を除いてリストとして取得する(ステップS91)。そして、モデル名リストと統計データ取得要求を分析サーバSに送信する(ステップS92)。分析サーバSは受信したモデル名リストに該当するモデル名について、予め計算されている統計データリストを送信し、保守装置10でこれを受信する(ステップS93)。既存の統計データリストT5を新たに取得した統計データリストで更新する(ステップS94)。以上で統計データ取得処理は終了する。
【0067】
設定値の統計データリストT5の構造を図8に示す。ここではモデル名、設定コード、サンプル数、平均値、最頻値、標準偏差、閾値で構成されている。サンプル数はこれらの統計データを計算するのに用いた機体数である。
【0068】
保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、機体情報の分析画面D4で設定の外れ値ボタン75が選択されると、図24に示す外れ値検出処理を実行し、図16に示す設定の外れ値画面へ遷移する。外れ値検出処理は、外部記録装置から機体情報を取り込むのと平行して実行してもよいし、既に取り込んでいるデータに対してユーザが任意に実行してもよい。ここでは後者の場合について説明する。
【0069】
外れ値検出処理は、機体設定リストT4に含まれるすべてのデータを対象として実施する。以下、外れ値検出処理の手順を図25のフローチャートにしたがって説明する。保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、図7の機体設定リストT4からローカルIDとモデル名と設定コードと設定値を取り出す(ステップS111)。また、保守装置10の処理部11が実行するアプリケーションは、統計データリストT5から、モデル名と設定コードが一致する行を検索する(ステップS112)。もし一致する行があれば(ステップS113のY)、平均値と標準偏差と閾値を取得し、外れ値検出手法を適用する(ステップS114)。一致する行がなかった場合は(ステップS113のN)、ステップS111へ戻り、次の設定コードの処理に移る。
【0070】
ステップS114では、もし設定項目が名義尺度で平均値が計算されていなければ最頻値を取得し、設定値が最頻値に一致しなければ、これを外れ値とする。ステップS114で外れ値を判定したら(ステップS115のY)機体情報用テーブルT1からローカルIDに一致する行を検索し、シリアル番号を取得し、シリアル番号とモデル名と設定コードと設定値と最頻値とを図9に示すような外れ値リストT6に追加する(ステップS116)。このような処理を未処理の設定値がなくなるまで継続する(ステップS117)。
【0071】
ここで、設定値に平均値があるなら、外れ値検出手法を適用する。外れ値検出手法については後述する。もし、設定値が外れ値であるなら機体情報用テーブルT1からローカルIDに一致する行を検索し、シリアル番号を取得する。そして、シリアル番号とモデル名と設定コードと設定値と平均値と最頻値とを外れ値リストT6に追加する。ここまでの過程を、機体設定リストT4に登録されているすべてのモデル名と設定コードについて実施する。
【0072】
ここで、外れ値の検出方法について説明する。
設定値が正規分布に従うと仮定して、設定値が平均値より標準偏差の3倍より大きければ外れ値とみなす方法がある。設定値をx、平均をμ、標準偏差をσとすると、次の条件式を満たした設定値が外れ値となる。
【0073】
|x−μ|/σ>3
この手法は外れ値検出として一般的であり、通常はこの手法を用いる。標準偏差の3倍ではなく、2倍にすることもあり、そうするとより多くの設定値を外れ値として取り出すことができる。
【0074】
外れ値検出にマハラノビス距離を用いてもよい。マハラノビス距離DMは式1のように定義される。
【数1】
【0075】
ここで、Σは分散共分散行列を表す。複数の設定値に互いに関係があり、分散共分散行列を予め分析サーバSで計算していた場合はこの式を使うと良い。互いに関係のある設定値はなく、単独の設定値を評価するときのマハラノビス距離は下記式2となる。
【数2】
【0076】
これが閾値を超えたら、xを外れ値と決定する。
【0077】
各設定項目には設計段階で決まる推奨設定の範囲があり、この範囲を超えたものを外れ値とみなすことができる。閾値の下限をθl、閾値の上限をθhとすると、次の式を満たす設定値xが外れ値となる。
【0078】
x<θl, θh<x
以上、3種類の外れ値検出手法を例示したが、手法はこれだけに限定されるものではない。例えば、スミルノフ・グラブス検定のような、統計的に外れ値を選択する手法を採用することも可能である。
【0079】
外れ値検出処理が終わったら、外れ値リストT6の内容を外れ値表示部76に表示して、ユーザに注意を促す。このとき、平均値を持たない設定コードは、代わりに最頻値を表示する。設定の外れ値画面の表示例を図16に示す。このようにして、機体ごとに一般的でない設定をした設定項目を列挙し、設定の参考となる指標を示すことで、ユーザに設定値を見直すことを促し、潜在的なエラーを未然に防ぐことができる。
【0080】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る保守装置10においては、サーバSで収集した市場データの統計情報に基づいて、機体設定の統計値と機体設定を比較して、外れ値(比較結果)を検出し、保守装置10の画面に提示する。これにより、サービスマンが設置先で画像形成装置を保守するときに、機体設定の外れ値を検出して提示する手段を提供でき、その場で設定を調整することでエラーの発生を未然に防止することが可能となる。
【0081】
また、上述した実施形態が示す処理は、ハードウェアにより実現されてもよいし、CPU等の処理部11が実行するメモリ等の記録部13に格納されるコンピュータプログラム(保守プログラム)で実現することもできる。従って、本発明の実施形態は、電子回路等のハードウェアとして捉えることも可能であるし、コンピュータプログラムとして捉えることも可能となる。上記説明では、本実施形態が示す処理を実現するコンピュータプログラムが保守装置に予め記録(インストール)されている場合について説明をしたが、これに限らず、保守装置が、コンピュータプログラムをネットワークからダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを記録(インストール)しても良いし、保守装置が、記憶媒体からコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラム記録(インストール)してもよい。記録媒体としては、コンピュータプログラムを記憶でき、かつ保守装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。また、保守装置は、装置内部に記憶されたOS(オペレーティング・システム)等と記録(インストール)されたコンピュータプログラムとの協働により、本実施形態が示す処理を実現することもできる。
【0082】
なお、本実施の形態では、保守装置が保守対象とする機体として画像形成装置を一例として説明したが、保守装置が保守対象とする機体は画像形成装置に限定されるものではない。保守装置は、様々な情報処理機器を保守対象とすることができる。例えば、保守装置は、商業施設等に設置されるPOS(point of sale system)端末を保守対象とすることができる。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10…保守装置、11…処理部、12…記憶部、13…記録部、14…表示装置接続部、15…入力装置接続部、16…外部記憶装置接続部、17…インターネット接続部、18…表示装置、19…入力装置、M…画像形成装置、N…ネットワーク、S…分析サーバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置から設定情報を読み取る読取部と、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する通信部と、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する処理部と、
を備える保守装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記情報処理装置の機種識別情報と前記設定情報の設定項目とに対応する前記統計情報を取得する請求項1記載の保守装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記統計情報により示される統計値に対する、前記設定情報により示される設定値の外れ度を示す外れ値を求め、前記外れ値に基づき前記設定情報を評価する請求項1又は2記載の保守装置。
【請求項4】
情報処理装置から設定情報を読み取り、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得し、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する保守方法。
【請求項5】
前記情報処理装置の機種識別情報と前記設定情報の設定項目とに対応する前記統計情報を取得する請求項4記載の保守方法。
【請求項6】
情報処理装置から設定情報を読み取る手順と、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する手順と、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する手順と、
をコンピュータに実行させるための保守プログラム。
【請求項7】
前記情報処理装置の機種識別情報と前記設定情報の設定項目とに対応する前記統計情報を取得する手順を備えた請求項6記載の保守プログラム。
【請求項1】
情報処理装置から設定情報を読み取る読取部と、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する通信部と、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する処理部と、
を備える保守装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記情報処理装置の機種識別情報と前記設定情報の設定項目とに対応する前記統計情報を取得する請求項1記載の保守装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記統計情報により示される統計値に対する、前記設定情報により示される設定値の外れ度を示す外れ値を求め、前記外れ値に基づき前記設定情報を評価する請求項1又は2記載の保守装置。
【請求項4】
情報処理装置から設定情報を読み取り、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得し、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する保守方法。
【請求項5】
前記情報処理装置の機種識別情報と前記設定情報の設定項目とに対応する前記統計情報を取得する請求項4記載の保守方法。
【請求項6】
情報処理装置から設定情報を読み取る手順と、
前記設定情報に関する統計情報を、ネットワークを介して外部装置から取得する手順と、
前記設定情報と前記統計情報とを比較し、比較結果に基づき前記設定情報を評価する手順と、
をコンピュータに実行させるための保守プログラム。
【請求項7】
前記情報処理装置の機種識別情報と前記設定情報の設定項目とに対応する前記統計情報を取得する手順を備えた請求項6記載の保守プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
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【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−80453(P2013−80453A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−176988(P2012−176988)
【出願日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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