保守部品配送支援システム,保守部品配送支援装置および保守部品配送支援プログラム
【課題】保守対象装置に不具合が発生した際に,戻入れによるコスト負担やキャッシュフローの悪化を抑制しつつ,装置のダウンタイムを低減するために迅速に保守部品の候補を手配し,保守現場に配送する保守部品配送支援システムを提供する。
【解決手段】製造装置や検査装置の保守作業を支援するために必要な保守部品の保守作業現場への配送手配情報を入力し、部品倉庫に出庫指示するための保守部品配送支援システムにおいて、保守対象装置を故障現象から復旧させるために必要な処置作業の候補および処置作業の候補を特定するための診断作業をTree状に構成した診断故障木情報を管理する診断故障木情報管理部312と、装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理部331と、戻入れコストの期待値に基づいて、保守部品の先行手配を行う指示を算出する保守部品配送支援情報管理部と、を備える。
【解決手段】製造装置や検査装置の保守作業を支援するために必要な保守部品の保守作業現場への配送手配情報を入力し、部品倉庫に出庫指示するための保守部品配送支援システムにおいて、保守対象装置を故障現象から復旧させるために必要な処置作業の候補および処置作業の候補を特定するための診断作業をTree状に構成した診断故障木情報を管理する診断故障木情報管理部312と、装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理部331と、戻入れコストの期待値に基づいて、保守部品の先行手配を行う指示を算出する保守部品配送支援情報管理部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,製造装置や検査装置の保守作業における保守現場への保守部品配送を支援するための保守部品配送支援システム,保守部品配送支援装置および保守部品配送支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造装置や検査装置を長期間にわたって品質維持していくためには,定期的あるいは故障発生時に部品交換などの保守作業を適切に行う必要がある。また,一定以上の稼動率や品質を保守契約において保証するサービス形態に対しては,不具合が発生した際の故障診断をいかに精度良く,効率良く行い,必要な部品交換等の保守作業を行うことによるダウンタイムを低減することによるサービスレベルの向上が受注競争力の向上に繋がり,それと同時に保守部品コストや作業コストの低減といった収益性の向上に直結する。
【0003】
MRI,CT,X線診断装置,超音波診断装置等の医療用画像診断装置を含む医療機器の消耗や劣化による不具合に対する故障復旧作業においては,サービス員やオペレータは,まず保守対象装置を故障現象から復旧させるために必要な処置作業の候補および処置作業の候補を特定するための診断故障木(診断用Fault Tree)に記載された所定の作業手順を辿る等の手段により部品交換や調整などの必要な処置を特定する。その上で処置に必要な保守部品を現場へ配送するように手配するという方法が一般的である。ここで,診断故障木とは,二分木構造であり,装置の故障現象を示すノードを最上位階層に保持し,それを復旧させるための処置作業の候補を示すノードを最下位階層に保持する。中間階層には故障現象に対する適切な処置作業を特定するための診断作業を示すノードを保持し,診断作業を示すノードは,YesまたはNoのいずれかの診断結果に対応する二つの子ノードを保持するものとする。しかしこの方法では,必要な保守部品の候補を精度よく配送手配することが可能である一方,保守現場に部品が到着するまでの時間を短縮し,より早く部品交換などの処置に取り掛かれるようにすることが課題となっている。
【0004】
この課題を解決する技術分野の背景技術として,特開2007−164724号公報(特許文献1)がある。この公報には,複写機などから送られるセンサ情報を活用して,故障予兆検知を行い,修理に必要な保守部品を故障発生時および定期点検時に合わせたタイミングで顧客サイトに自動的に配送手配するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−164724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において,次のような問題が残る。特許文献1の技術は,装置に設置されたセンサから取得されるセンサデータ等を利用して,故障予兆を検知した段階において,必要となる保守部品の候補を配送手配するものであり,故障予兆を検知した後に装置を復旧させるために必要な処置作業の候補を絞り込むための故障診断を行ったうえで保守部品の候補を配送手配することは想定されていない。そのため,配送した部品が故障原因にヒットせず戻入れが発生した際には,保守部品の単価が高い場合のコスト負担の他,グローバル拠点への配送のようにリードタイムが長い場合には部品の在庫基準が押上げられ,キャッシュフローを悪化させる要因となり,技術の適用が困難となる。
【0007】
そこで,本発明の課題は,保守対象装置に不具合が発生した際に,戻入れによるコスト負担やキャッシュフローの悪化を抑制しつつ,装置のダウンタイムを低減するために迅速に保守部品の候補を手配し,保守現場に配送する保守部品配送支援プログラム,およびこの方法を実現するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、装置の保守作業に必要な保守部品の配送を支援する保守部品配送支援システムであって、演算部と記憶部とを備え、 前記記憶部は、保守部品の配送を許可するか否かの戻入れコストの期待値の基準値である配送許可基準を保持し、前記演算部は保守作業の作業記録情報を入力することにより、保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を算出する部品ヒット率情報管理部と、保守部品が保守現場に配送された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出する保守部品手配コスト情報管理部と、 前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可する保守部品手配指示情報管理部とを備える構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,故障診断と部品配送の業務を並列化することを可能とし,作業時間を短縮することによる機器のダウンタイムを低減する効果がある。また,保守部品の戻入れの管理を高度化し,戻入れコストの予測精度が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の保守サービスモデルを説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態のシステム機能構成図である。
【図3】保守部品配送支援システムの情報端末のハードウェア構成を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態のシステムの処理ステップを説明する図である。
【図5】不具合情報受付処理のフローチャートである。
【図6】バランシング係数算出処理のフローチャートである。
【図7】部品ヒット率算出処理のフローチャートである。
【図8】保守部品配送手配指示算出処理のフローチャートである。
【図9】保守部品使用指示算出処理のフローチャートである。
【図10】受付情報記憶部41のデータ構造を説明する図である。
【図11】診断故障木情報記憶部42のデータ構造を説明する図である。
【図12】保守部品配送支援情報記憶部43のデータ構造を説明する図である。
【図13】保守作業情報記憶部44のデータ構造を説明する図である。
【図14】保守部品情報記憶部45のデータ構造を説明する図である。
【図15】センサ情報記憶部46のデータ構造を説明する図である。
【図16】アラーム情報記憶部47のデータ構造を説明する図である。
【図17】保守部品配送支援システムの処理概要を示す図である。
【図18】先行手配指示の出力画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,本発明に係る保守部品配送支援システムの一実施形態について説明する。
【0012】
「本発明の一実施形態の保守サービスモデル」
本実施形態の故障診断システムの適用対象として想定している保守サービスモデルについて,図1を用いて説明する。本発明は,MRI装置,X線CT装置,X線診断装置,超音波診断装置などの医療機器を主たる対象とする。ただし,対象はこの例に限定される訳ではなく,発電設備,プラント,建設機械,航空機,自動車,昇降機等の製造装置や光学顕微鏡等の検査装置にも適用が可能である。
【0013】
サポートセンタεでは,定期的あるいは,保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmのユーザから通報される不具合連絡27あるいは,センサデータ28の値によって保守対象装置が異常状態と判定された場合に自動的に発報されるアラーム情報26をトリガーとして保守作業の要否を判断する。保守作業が必要である場合には,保守作業対象の装置設置サイトβ1,β2,…,βmに対して倉庫γから保守部品52の部品配送指示22を行い,サービス拠点α1,α2,…,αnから保守作業員51の保守員出動指示24を行う。ここで,サービス拠点α1,α2,…,αnは各地域に配置されており,それぞれが複数の保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmの保守業務を担当している。保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmに配送され,使用されなかった保守部品52は返送され,再び倉庫γに戻入れされる。
【0014】
保守部品52の入出庫実績21や保守作業記録23はそれぞれ倉庫γ,サービス拠点α1,α2,…,αnにおいて保守部品配送支援システムに登録され,それらの蓄積された保守事例情報を活用してサポートセンタεで保守作業支援情報25を生成し,保守作業のサポートに役立てるため,サポートセンタεから保守作業員51に対して連絡され,保守作業員51はその保守作業支援情報25を参考にしながら,交換すべき保守部品22の選定を行う。
【0015】
「本発明の一実施形態の概要」
本実施形態の保守部品配送支援システムの処理概要について図17を用いて説明する。この保守部品配送支援システムは,保守対象装置に消耗や劣化による不具合が発生した際や,あるいは定期点検時において保守作業員が不具合の兆候を発見した際など,保守対象装置の復旧作業が必要となった場合において使用される。装置の故障診断情報に基づいて保守部品の交換によって装置が復旧する確率であるヒット率を逐次更新し,戻入れコストの期待値を算出することにより,ロスコスト発生のリスク考慮しながら故障診断中に保守部品の先行手配を行う指示,あるいは保守部品の使用指示を提示するシステムである。
【0016】
装置に不具合や不具合の兆候を発見した際には,装置の状態や装置に取り付けられたセンサデータの値を手掛かりとして,有効な復旧作業を特定するための故障診断を行う。保守部品の先行手配の指示算出においては,部品毎に保持する部品のヒット率に応じた部品単価や梱包費や配送費やキャッシュフローの悪化などの要因からなる戻入れコストの期待値の関係についての情報を保持している。この情報を用いて,部品手配基準を満たすヒット率を算出する。そして,逐次更新される装置の故障診断情報から算出されるヒット率が部品手配基準を満たした場合に指示が出される。
【0017】
また同様に,配送された保守部品について,交換に使用したうえで戻入れが発生した際には,部品交換作業費や戻し入れ時の品質テスト費などの追加コストが必要となることを考慮して,部品使用基準を満たすヒット率を算出し,それを満たした場合に保守部品の交換作業指示が出される。
【0018】
図17中の表は、横軸にヒット率、縦軸に部品名を示しており、部品毎に戻入れが発生にあたり戻入れコストの期待値情報に基づいた部品手配基準を示す表である。例えば、部品Cは戻入れコストが低いため、ヒット率が60%と低くても部品の先行手配を行うことを示す。一方、部品Bは戻入コストが高いため、部品の先行手配の基準となるヒット率を80%としている。各部品における先行手配が可能となるヒット率は、図17中のグラフに示すように、戻入れコストとヒット率の積によるコストの期待値を基準に求められる。
【0019】
また、ヒット率は、装置の故障診断を進めるにあたり、その数値は更新される。図17中の診断故障木は、診断が進むにつれて所定の部品のヒット率が更新されることを示す。例えば、診断が(1)、(2)と進むにあたり、ヒット率が5%から、18%、45%と上昇するが、45%となった場合に、当該部品を使用した場合の戻入コストが基準となるコストの期待値を下回ることとなり、この時点で当該部品の先行手配の指示を行う。
【0020】
保守部品の先行手配指示や交換作業指示を算出する過程において算出されるヒット率や戻入れコストの期待値は,例えばサービスセンタのオペレータが現地サービス員をナビゲーションする際に使用する図18のような操作画面上に表示される。この操作画面では、診断故障木が示され、各作業における該当する保守部品のヒット率や戻入コストの期待値が表示される。また、当該保守部品の配送可否及び使用可否についても表示されており、配送可とされた保守部品については、当該画面上で配送の手配を行うことができる。また、表示画面の左側には、診断故障木における各作業の作業内容が記載されており、作業結果をYes、Noで入力することができる。これらの作業結果の入力が進むにつれて、ヒット率が更新されていくことになる。
【0021】
必ずしも先行手配指示や交換作業指示がない場合でも,ヒット率や戻入れコストの期待値を確認しながら人の判断によって先行手配や保守部品交換の意思決定を行う運用形態とすることも可能である。
【0022】
ヒット率の算出においては,前処理として診断故障木の形状の歪さによって生じる各処置作業に対して蓄積される事例数の感度の差を補正する必要がある。この補正では,故障診断木中の処置作業の階層の深さに応じてバランシング係数を算出し,バランシング係数を事例数に掛け合わせることによって重み付けを行い,各処置作業に対する事例数の感度を均一化する。
【0023】
「本発明の一実施形態のシステム構成」
本実施形態の保守部品配送支援システムの構成について図2を用いて説明する。保守部品手配支援システムは,故障診断情報に基づいて戻入れコストの期待値を算出し,保守部品の先行手配を行う指示,あるいは保守部品の使用指示を算出する保守部品配送支援モジュール11と,保守作業に使用される保守部品の価格や配送費や在庫状況やヒット率毎の戻入れコストの期待値を管理する保守部品情報管理モジュール12と,装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理モジュール13と,保守部品の先行手配や部品使用の指示を各保守作業員に提示する保守作業支援端末に出力する表示端末モジュール14と,保守対象の装置に設置された各センサから取得されるデータを管理し,センサデータが異常値を示した際にサポートセンタに対してアラーム情報を送信するセンサデータ管理モジュール15とによって構成されており,それぞれサポートセンタεに保守部品配送支援モジュール11と表示端末モジュール14が,倉庫γに保守部品情報管理モジュール12が,サービス拠点α1,α2,…,αmに保守作業記録情報管理モジュール13が,保守作業員21が携帯する情報端末に表示端末モジュール14が,保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmにセンサデータ管理モジュール15が配置されている。各構成モジュール11から15はそれぞれネットワーク71に接続されており,各情報端末11から15は,相互にネットワーク71を介して,各種データ等を送受信できる。
【0024】
各情報端末11から15は,図3に示すように,いずれもコンピュータで,キーボードやマウス等の入力装置61と,ディスプレイ等の出力装置62と,補助記憶装置63と,保守部品配送支援プログラムなどの各種プログラムを実行する演算装置60と,を有する。演算装置60は中央演算処理装置(以下,CPU)64と,主記憶装置65と,インターフェース66と,を備えている。この演算装置60は,入力装置61,出力装置62および補助記憶装置63とインターフェース66を介して接続されている。
【0025】
本実施形態では,保守部品配送支援プログラムなどの各種プログラムの実行結果は,主記憶装置65に確保された記憶領域に記憶される。各種プログラムは,補助記憶装置63に予め記憶され,その後,主記憶装置65に読み込まれ,CPU64により実行される。このCPU64による各種プログラムの実行により,後述の各種機能が実現する。
【0026】
なお,本実施形態では,保守部品配送支援システムを構成する各情報端末が汎用情報処理装置とソフトウェアで実現される場合を例にとって説明するが,例えば,ハードワイヤードロジックを含むハードウェアや,このようなハードウェアと,予めプログラムされた汎用情報処理装置により実現してもよい。
【0027】
また,本実施形態では,保守部品配送支援システムを統合処理するシステムとして説明するが,本発明はこれに限定されるものではない。本発明は他の情報処理システムに組み込まれてそれらの一部として機能するように構成することも考えられる。また,それぞれの情報端末機能の一部を組み換えたり,小分けにしたり,まとめたりして実現してもよい。
【0028】
次に,保守部品配送支援システムを構成する各情報端末11から15の機能構成,及び各情報端末11から15が保持するデータについて,図2及び図10〜図16を用いて説明する。
【0029】
「本発明の一実施形態の機能構成及び保持データ内容」
本実施形態の故障診断システムの各管理モジュール11から15は,図2に示すように,各種プログラムを実行する311から318,321,331,341,351,352の演算部と,各種データが記憶される41から47の記憶部と,を有する。
【0030】
演算部は,不具合発生時におけるアラーム情報やユーザからの通報とそれらに対応する診断故障木の関係を管理する受付情報管理部311と,各不具合現象に対して復旧のために必要な処置作業の候補およびそれを特定するための診断作業の情報を含む診断故障木を管理する診断故障木情報管理部312と,故障診断情報に基づいて保守部品の先行手配を行う指示を算出する保守部品手配指示情報管理部313と,保守部品が保守現場に配送され,使用されずに戻入れされた場合に発生するコストの期待値を算出する保守部品手配コスト情報管理部314と,故障診断情報に基づいて保守部品の使用指示を算出する保守部品使用指示情報管理部315と,保守部品が保守現場に配送され,開封および部品交換して装置の動作確認が行われた後に戻入れされた場合に発生するコストの期待値を算出する保守部品使用コスト情報管理部316と,保守作業の作業記録情報を入力することにより,各保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を,故障診断作業の判定結果の精度を示す判定確信度の情報を用いて,逐次,自動的に算出する部品ヒット率情報管理部317と,故障診断に用いられる診断故障木の形状に応じた係数を算出し,事例学習の感度補正を行うバランシング係数情報管理部318と,保守作業に使用される保守部品のコスト情報や在庫状況やヒット率毎の戻入れコストの期待値を管理する保守部品情報管理部321と,装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理部331と,保守部品の先行手配や部品使用の指示を各保守作業員に提示する保守作業支援端末に出力する保守部品配送支援情報出力部341と保守対象の装置に設置された各センサから取得されるデータを管理するセンサデータ管理部351と,
センサデータが異常値を示した際にサポートセンタに対してアラーム情報を送信するアラームデータ管理部352と,を有する。
【0031】
演算部の各部311から318,321,331,341,351,352は,いずれも前述したように,CPU64が各種プログラムを実行することで機能する。これらの機能部の動作の詳細については,処理フローの説明の中で順を追って説明する。
【0032】
記憶部は,不具合発生時におけるアラーム情報とユーザからの通報中に含まれるキーワードとそれらに対応する診断故障木の対応情報が記憶される受付情報記憶部41と,各不具合現象に対して復旧のために必要な処置作業の候補およびそれを特定するための診断作業の情報を含む診断故障木が記憶される診断故障木マスタ情報記憶部42と,各保守作業の診断経過が記憶される保守部品配送支援情報記憶部43と,装置設置サイトで行われた保守作業内容情報が記憶される保守作業情報記憶部44と,保守作業に使用される保守部品のコスト情報や在庫状況が記憶される保守部品情報記憶部45と,保守対象装置の稼動状況を監視するために設置されたセンサのデータが記憶されるセンサデータ記憶部46と,センサデータが異常値を示した際に送信されたアラームのデータが記憶されるアラームデータ記憶部47と,を有する。
【0033】
受付情報記憶部41は,図10に示すように,アラームIDフィールド41aと,通報キーワードフィールド41bと,診断故障木 IDフィールド41cと,不具合現象説明フィールド41dと,を有する。
【0034】
診断故障木マスタ情報記憶部42は,図11に示すように,作業IDフィールド42aと,作業属性フィールド42bと,作業名フィールド42cと,作業内容/判定方法フィールド42dと,作業コストフィールド42eと,部品番号フィールド42fと,Next作業フィールド42gと,判定確信度フィールド42hと,階層フィールド42iと,階層差分フィールド42jと,バランシング係数フィールド42kと判定係数フィールド42lと,事例数フィールド42mと,事例ポイントフィールド42nと,を有する。
【0035】
保守部品配送支援情報記憶部43は,図12に示すように,部品番号フィールド43aと,ヒット率フィールド43bと,戻入れコストフィールド43cと,配送基準フィールド43dと,使用基準フィールド43eと,配送可否フィールド43fと,使用可否フィールド43gと,を有する。
【0036】
保守作業情報記憶部44は,図13に示すように,保守IDフィールド44aと,サイト番号フィールド44bと,作業日フィールド44cと,製品番号フィールド44dと,アラーム種類/キーワードフィールド44eと,トリガー情報属性フィールド44fと,診断故障木フィールド44gと,作業Noフィールド44hと,作業IDフィールド44iと,判定結果フィールド44jと,判定確信度フィールド44kと,を有する。
【0037】
保守部品情報記憶部45は,図14に示すように,部品番号フィールド45aと,部品単価フィールド45bと,配送費フィールド45cと,在庫数フィールド45dと,ヒット率毎の戻入れコスト期待値(部品未使用時)フィールド45eと,ヒット率毎の戻入れコスト期待値(部品使用時)フィールド45fと,を有する。
【0038】
センサデータ記憶部46は,図15に示すように,製品番号フィールド46aと,サイト番号フィールド46bと,日時フィールド46cと,センサ番号フィールド46dと,を有する。
【0039】
アラーム情報記憶部47は,図16に示すように,製品番号フィールド47aと,サイト番号フィールド47bと,日時フィールド47cと,アラーム種類フィールド47dと,を有する。
【0040】
「保守部品配送支援システムの全体処理の流れ」
保守部品配送支援システムで行われる処理は,図4に示すように,不具合が発生した際に保守対象装置から送信されるアラームやユーザからの通報といった受付情報の内容から対象のFault Treeを選択する不具合情報受付処理S1と,診断故障木の形状に応じて生じる事例数の感度の差を均一化するための係数であるバランシング係数を算出するバランシング係数算出処理S2と,装置の故障診断情報に基づいて保守部品の交換によって装置が復旧する確率であるヒット率を逐次更新する部品ヒット率算出処理S3と,先行手配した部品がヒットせず,開封されずに返送された場合に発生する戻入れコストを考慮しながら,故障診断中に保守部品の先行手配を行うべきか否かの指示を算出する保守部品配送手配指示算出処理S4と,先行手配した部品がヒットせず,開封および使用した上で返送された場合に発生する戻入れコストを考慮しながら,故障診断中に保守部品の先行手配を行うべきか否かの指示を算出する保守部品使用指示算出処理S5と,である。また,保守部品配送支援システムの実行結果はサポートセンタのオペレータに提示するために保守作業支援端末に出力される。最終的にはオペレータにより部品配送の手配が行われるが、保守部品配送支援システムの実行結果に基づき自動的に部品配送の手配を行っても良い。以上の処理内容はフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0041】
「不具合情報受付処理S1」
不具合情報受付処理S1の処理の流れを図5に示すフローチャートに従って説明する。まず,アラーム情報記憶部47より受信したアラーム情報,あるいはユーザから通報された不具合連絡について,保守作業情報管理部331が、作業が発生するものを対象に保守IDを採番し,トリガー情報として保守作業記録情報記憶部44に登録し(S101),トリガー情報がアラーム発報であったかユーザからの通報であったかを判定する(S102)。
【0042】
トリガー情報がアラーム発報であった場合には,保守作業情報管理部331は、診断故障木情報管理部312が、受付情報記憶部41を参照し,作業のトリガーとなるアラームIDに対応する診断故障木を選択した結果を,保守作業情報記憶部44の当該の保守IDについて登録する(S103)。 トリガー情報がユーザからの通報であった場合には,保守作業情報管理部331は、受付情報管理部311が、受付情報記憶部41を参照し,通報キーワードに対応する診断故障木を選択した結果を,保守作業情報記憶部44に登録する(S104)。
【0043】
なお、センサデータ管理部351では、装置に設置されたセンサから取得したデータを、センサが設置された対象の製品番号やサイト番号などの属性情報と合わせてセンサデータ記憶部46に格納する。
【0044】
また、アラームデータ管理部352では、センサデータ記憶部に格納されたデータを参照し、例えば、あるセンサデータの値がアラーム発報のための基準として設定された閾値を超えた場合に、サービスセンタのオペレータに対してアラームメールを発報し、アラームに関連する、対象の製品番号やサイト番号や、発報日時やアラーム種類といった情報をアラーム情報記憶部47に格納する。
【0045】
「バランシング係数算出処理S2」
最適作業算出処理S2の処理の流れを図6に示すフローチャートに従って説明する。まず,バランシング係数情報管理部318では、不具合情報受付処理S1で選択された診断故障木について,診断故障木情報記憶部42を読込み,作業IDがA1からAnの処置作業の階層(h)の最大値を算出し,hmaxに代入する。なお,階層は診断故障木における最上位の診断作業の階層を1とし,その一つ下の作業の階層を2として順次カウントするものとする(S201)。 続いて,診断故障木情報記憶部42を読込み,診断故障木の処置作業数をnに代入し,(S202),i=1とセットし(S203),診断故障木情報記憶部42より,作業IDがAiの処置作業の階層(hi)を取得し,(S204),次に,処置作業Aiの階層hiと階層の最大値hmaxの差分(gAi)をgAi=hmax−hiにより算出し,診断故障木情報記憶部42の階層差分に登録し(S205),処置作業Aiのバランシング係数biを(式1)により算出し,診断故障木情報記憶部42に登録し(S206),
(式1) bAi=2gi
i=nであるかを判定し(S207),i=nではない場合,iにi+1を代入し,S204からS207の処理を繰返し行う(S208)。i=nの場合には,バランシング係数算出処理S2を終了する。
【0046】
「部品ヒット率算出処理S3」
部品ヒット率算出処理S3の処理の流れを図7に示すフローチャートに従って説明する。まず,部品ヒット率情報管理部317では、診断故障木情報記憶部42を参照し,作業IDがA1からAnのすべての処置作業の判定係数(di)の値に1を登録し,j=1とセットし(S301),続いて,保守作業情報記憶部44より作業Noがkの作業の作業IDと判定結果を取得し(S302),
S302で取得した判定結果がYesかNoかを判定し(S303),判定結果がYesの場合には,作業Noがkの作業の作業IDについて,診断故障木情報記憶部42より当該の作業IDのNo側の判定確信度を取得し,pkに代入し(S304),
判定結果がNoの場合には,作業Noがkの作業の作業IDについて,診断故障木情報記憶部42より当該の作業IDのYes側の判定確信度を取得し,pkに代入し(S305),。
【0047】
次に,診断故障木情報記憶部42のNext作業を参照して,判定結果の反対側にぶら下がる処置作業を抽出し,判定係数(di)にdi×pkを代入することにより更新して診断故障木情報記憶部42に登録し(S306),実施した全ての作業情報を取得したかどうかを判定し(S307),全ての作業情報を取得していない場合には,保守作業情報記憶部43の次の作業情報を参照しS302からS307の処理を繰返し行い(S308),
さらに,診断故障木情報記憶部42の部品番号を参照し,保守部品の部品番号の種類数をmに代入し(S309),全ての作業情報を取得している場合には,各処置作業に使用される保守部品Pjのヒット率(HPpj)を(式2)により算出し(S310),
(式2) HPpj=Σ(保守部品を含む作業のヒット率)/ΣCPAi
j=mであるかを判定し(S311),j=mではない場合,jにj+1を代入し,S310からS311の処理を繰返し行う(S312)。j=mの場合には,部品ヒット率算出処理S3を終了する。
【0048】
上記のように部品ヒット率情報管理部317は、保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新することとなる。
【0049】
「保守部品配送手配指示算出処理S4」
保守部品配送手配指示算出処理S4の処理の流れを図8に示すフローチャートに従って説明する。まず,保守部品手配指示情報管理部313では、j=1とセットし(S401),保守部品情報記憶部45より,保守部品の部品番号Pjの配送手配を許可するか否かの戻入れコスト期待値の基準値である配送許可基準(DPj)を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S402),続いて,保守部品配送支援情報記憶部43より,保守部品Pjのヒット率を取得し(S403),次に,保守部品情報管理部321によって逐次、更新される保守部品の単価や配送費や在庫数などの情報を元に、ヒット率に対応する部品未使用時の戻入れコストを管理する保守部品手配コスト情報管理部314が、保守部品情報記憶部45より,S403で取得した保守部品Pjのヒット率に対応する戻入れコストの期待値RCPjを探索した結果を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S404),RCPj≦DPjであるかを判定し(S405),RCPj≦DPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否に“可”と登録し(S406),RCPj>DPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否に“不可”と登録し(S407),保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否を保守部品配送支援情報出力部341によってサポートセンタのオペレータが保守作業支援を実行する際に参照するPC画面などに出力し、(S408),j=mであるかを判定し(S409),j=mではない場合,jにj+1を代入し,S402からS408の処理を繰返し行う(S410)。j=mの場合には,保守部品配送指示算出処理S4を終了する。
【0050】
部品手配指示情報管理部313は、逐次更新される部品ヒット率に基づき、逐次部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可することとなる。
【0051】
「保守部品使用指示算出処理S5」
保守部品使用指示算出処理S5の処理の流れを図9に示すフローチャートに従って説明する。まず,保守部品使用指示情報管理部315では、j=1とセットし(S501),保守部品情報記憶部45より,配送された保守部品の部品番号Pjの開封および使用を許可するか否かの戻入れコスト期待値の基準値である使用許可基準(UPj)を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S502),続いて,保守部品配送支援情報記憶部43より,保守部品Pjのヒット率を取得し(S503),次に,保守部品情報管理部321によって逐次、更新される保守部品の単価や配送費や在庫数などの情報を元に、ヒット率に対応する部品使用時の戻入れコストを管理する保守部品使用コスト情報管理部316が、保守部品情報記憶部45より,S503で取得した部品番号Pjのヒット率に対応する戻入れコストの期待値RCPjを探索した結果を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S504),RCPj≦UPjであるかを判定し(S505),RCPj≦UPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの使用可否に“可”と登録し(S506),
RCPj>UPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの使用可否に“不可”と登録し(S507),保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否を保守部品配送支援情報出力部341によってサポートセンタのオペレータが保守作業支援を実行する際に参照するPC画面などに出力し、(S508),
j=mであるかを判定し(S509),j=mではない場合,jにj+1を代入し,S502からS508の処理を繰返し行う(S510)。j=mの場合には,保守部品使用指示算出処理S5を終了する。
【0052】
尚、上記「保守部品使用指示算出処理S5」は必ずしも「保守部品配送手配指示算出処理S4」の後に行われる必要は無く、それ単独で適用することも可能である。
【0053】
以上のように本発明では、故障診断を進めながら部品配送の業務も並列化して行うことができ、作業時間を短縮することによる機器のダウンタイムを低減することができる。また,保守部品の戻入れの管理を高度化し,戻入れコストの予測精度が向上させることができる。
【符号の説明】
【0054】
11,12,13,14,15・・・保守部品配送支援システムの各構成モジュール,
21,22,23,24,25,26,27,28・・・各拠点間で送受信されるデータ,
311〜318,321,331,341,351,352・・・各種演算機能,
41,42,43,44,45,46,47・・・各種記憶機能,
51・・・保守作業員,52・・・保守部品,
60・・・演算装置,61・・・入力装置,62・・・出力装置,63・・・補助記憶装置,
64・・・中央演算処理装置(CPU),65・・・主記憶装置,66インターフェース,
71・・・ネットワーク,
S1からS5,S101から104,S201からS208,S301からS312,S401からS410,S501からS510・・・各種処理ステップ,
410,420,430,440,450,460,470,・・・各種記憶部のレコード,
41a〜41d,42a〜42n,43a〜43g,44a〜44k,45a〜45f,46a〜46d,47a〜47d・・・各種記憶部のフィールド
【技術分野】
【0001】
本発明は,製造装置や検査装置の保守作業における保守現場への保守部品配送を支援するための保守部品配送支援システム,保守部品配送支援装置および保守部品配送支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造装置や検査装置を長期間にわたって品質維持していくためには,定期的あるいは故障発生時に部品交換などの保守作業を適切に行う必要がある。また,一定以上の稼動率や品質を保守契約において保証するサービス形態に対しては,不具合が発生した際の故障診断をいかに精度良く,効率良く行い,必要な部品交換等の保守作業を行うことによるダウンタイムを低減することによるサービスレベルの向上が受注競争力の向上に繋がり,それと同時に保守部品コストや作業コストの低減といった収益性の向上に直結する。
【0003】
MRI,CT,X線診断装置,超音波診断装置等の医療用画像診断装置を含む医療機器の消耗や劣化による不具合に対する故障復旧作業においては,サービス員やオペレータは,まず保守対象装置を故障現象から復旧させるために必要な処置作業の候補および処置作業の候補を特定するための診断故障木(診断用Fault Tree)に記載された所定の作業手順を辿る等の手段により部品交換や調整などの必要な処置を特定する。その上で処置に必要な保守部品を現場へ配送するように手配するという方法が一般的である。ここで,診断故障木とは,二分木構造であり,装置の故障現象を示すノードを最上位階層に保持し,それを復旧させるための処置作業の候補を示すノードを最下位階層に保持する。中間階層には故障現象に対する適切な処置作業を特定するための診断作業を示すノードを保持し,診断作業を示すノードは,YesまたはNoのいずれかの診断結果に対応する二つの子ノードを保持するものとする。しかしこの方法では,必要な保守部品の候補を精度よく配送手配することが可能である一方,保守現場に部品が到着するまでの時間を短縮し,より早く部品交換などの処置に取り掛かれるようにすることが課題となっている。
【0004】
この課題を解決する技術分野の背景技術として,特開2007−164724号公報(特許文献1)がある。この公報には,複写機などから送られるセンサ情報を活用して,故障予兆検知を行い,修理に必要な保守部品を故障発生時および定期点検時に合わせたタイミングで顧客サイトに自動的に配送手配するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−164724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において,次のような問題が残る。特許文献1の技術は,装置に設置されたセンサから取得されるセンサデータ等を利用して,故障予兆を検知した段階において,必要となる保守部品の候補を配送手配するものであり,故障予兆を検知した後に装置を復旧させるために必要な処置作業の候補を絞り込むための故障診断を行ったうえで保守部品の候補を配送手配することは想定されていない。そのため,配送した部品が故障原因にヒットせず戻入れが発生した際には,保守部品の単価が高い場合のコスト負担の他,グローバル拠点への配送のようにリードタイムが長い場合には部品の在庫基準が押上げられ,キャッシュフローを悪化させる要因となり,技術の適用が困難となる。
【0007】
そこで,本発明の課題は,保守対象装置に不具合が発生した際に,戻入れによるコスト負担やキャッシュフローの悪化を抑制しつつ,装置のダウンタイムを低減するために迅速に保守部品の候補を手配し,保守現場に配送する保守部品配送支援プログラム,およびこの方法を実現するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、装置の保守作業に必要な保守部品の配送を支援する保守部品配送支援システムであって、演算部と記憶部とを備え、 前記記憶部は、保守部品の配送を許可するか否かの戻入れコストの期待値の基準値である配送許可基準を保持し、前記演算部は保守作業の作業記録情報を入力することにより、保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を算出する部品ヒット率情報管理部と、保守部品が保守現場に配送された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出する保守部品手配コスト情報管理部と、 前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可する保守部品手配指示情報管理部とを備える構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,故障診断と部品配送の業務を並列化することを可能とし,作業時間を短縮することによる機器のダウンタイムを低減する効果がある。また,保守部品の戻入れの管理を高度化し,戻入れコストの予測精度が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の保守サービスモデルを説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態のシステム機能構成図である。
【図3】保守部品配送支援システムの情報端末のハードウェア構成を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態のシステムの処理ステップを説明する図である。
【図5】不具合情報受付処理のフローチャートである。
【図6】バランシング係数算出処理のフローチャートである。
【図7】部品ヒット率算出処理のフローチャートである。
【図8】保守部品配送手配指示算出処理のフローチャートである。
【図9】保守部品使用指示算出処理のフローチャートである。
【図10】受付情報記憶部41のデータ構造を説明する図である。
【図11】診断故障木情報記憶部42のデータ構造を説明する図である。
【図12】保守部品配送支援情報記憶部43のデータ構造を説明する図である。
【図13】保守作業情報記憶部44のデータ構造を説明する図である。
【図14】保守部品情報記憶部45のデータ構造を説明する図である。
【図15】センサ情報記憶部46のデータ構造を説明する図である。
【図16】アラーム情報記憶部47のデータ構造を説明する図である。
【図17】保守部品配送支援システムの処理概要を示す図である。
【図18】先行手配指示の出力画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,本発明に係る保守部品配送支援システムの一実施形態について説明する。
【0012】
「本発明の一実施形態の保守サービスモデル」
本実施形態の故障診断システムの適用対象として想定している保守サービスモデルについて,図1を用いて説明する。本発明は,MRI装置,X線CT装置,X線診断装置,超音波診断装置などの医療機器を主たる対象とする。ただし,対象はこの例に限定される訳ではなく,発電設備,プラント,建設機械,航空機,自動車,昇降機等の製造装置や光学顕微鏡等の検査装置にも適用が可能である。
【0013】
サポートセンタεでは,定期的あるいは,保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmのユーザから通報される不具合連絡27あるいは,センサデータ28の値によって保守対象装置が異常状態と判定された場合に自動的に発報されるアラーム情報26をトリガーとして保守作業の要否を判断する。保守作業が必要である場合には,保守作業対象の装置設置サイトβ1,β2,…,βmに対して倉庫γから保守部品52の部品配送指示22を行い,サービス拠点α1,α2,…,αnから保守作業員51の保守員出動指示24を行う。ここで,サービス拠点α1,α2,…,αnは各地域に配置されており,それぞれが複数の保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmの保守業務を担当している。保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmに配送され,使用されなかった保守部品52は返送され,再び倉庫γに戻入れされる。
【0014】
保守部品52の入出庫実績21や保守作業記録23はそれぞれ倉庫γ,サービス拠点α1,α2,…,αnにおいて保守部品配送支援システムに登録され,それらの蓄積された保守事例情報を活用してサポートセンタεで保守作業支援情報25を生成し,保守作業のサポートに役立てるため,サポートセンタεから保守作業員51に対して連絡され,保守作業員51はその保守作業支援情報25を参考にしながら,交換すべき保守部品22の選定を行う。
【0015】
「本発明の一実施形態の概要」
本実施形態の保守部品配送支援システムの処理概要について図17を用いて説明する。この保守部品配送支援システムは,保守対象装置に消耗や劣化による不具合が発生した際や,あるいは定期点検時において保守作業員が不具合の兆候を発見した際など,保守対象装置の復旧作業が必要となった場合において使用される。装置の故障診断情報に基づいて保守部品の交換によって装置が復旧する確率であるヒット率を逐次更新し,戻入れコストの期待値を算出することにより,ロスコスト発生のリスク考慮しながら故障診断中に保守部品の先行手配を行う指示,あるいは保守部品の使用指示を提示するシステムである。
【0016】
装置に不具合や不具合の兆候を発見した際には,装置の状態や装置に取り付けられたセンサデータの値を手掛かりとして,有効な復旧作業を特定するための故障診断を行う。保守部品の先行手配の指示算出においては,部品毎に保持する部品のヒット率に応じた部品単価や梱包費や配送費やキャッシュフローの悪化などの要因からなる戻入れコストの期待値の関係についての情報を保持している。この情報を用いて,部品手配基準を満たすヒット率を算出する。そして,逐次更新される装置の故障診断情報から算出されるヒット率が部品手配基準を満たした場合に指示が出される。
【0017】
また同様に,配送された保守部品について,交換に使用したうえで戻入れが発生した際には,部品交換作業費や戻し入れ時の品質テスト費などの追加コストが必要となることを考慮して,部品使用基準を満たすヒット率を算出し,それを満たした場合に保守部品の交換作業指示が出される。
【0018】
図17中の表は、横軸にヒット率、縦軸に部品名を示しており、部品毎に戻入れが発生にあたり戻入れコストの期待値情報に基づいた部品手配基準を示す表である。例えば、部品Cは戻入れコストが低いため、ヒット率が60%と低くても部品の先行手配を行うことを示す。一方、部品Bは戻入コストが高いため、部品の先行手配の基準となるヒット率を80%としている。各部品における先行手配が可能となるヒット率は、図17中のグラフに示すように、戻入れコストとヒット率の積によるコストの期待値を基準に求められる。
【0019】
また、ヒット率は、装置の故障診断を進めるにあたり、その数値は更新される。図17中の診断故障木は、診断が進むにつれて所定の部品のヒット率が更新されることを示す。例えば、診断が(1)、(2)と進むにあたり、ヒット率が5%から、18%、45%と上昇するが、45%となった場合に、当該部品を使用した場合の戻入コストが基準となるコストの期待値を下回ることとなり、この時点で当該部品の先行手配の指示を行う。
【0020】
保守部品の先行手配指示や交換作業指示を算出する過程において算出されるヒット率や戻入れコストの期待値は,例えばサービスセンタのオペレータが現地サービス員をナビゲーションする際に使用する図18のような操作画面上に表示される。この操作画面では、診断故障木が示され、各作業における該当する保守部品のヒット率や戻入コストの期待値が表示される。また、当該保守部品の配送可否及び使用可否についても表示されており、配送可とされた保守部品については、当該画面上で配送の手配を行うことができる。また、表示画面の左側には、診断故障木における各作業の作業内容が記載されており、作業結果をYes、Noで入力することができる。これらの作業結果の入力が進むにつれて、ヒット率が更新されていくことになる。
【0021】
必ずしも先行手配指示や交換作業指示がない場合でも,ヒット率や戻入れコストの期待値を確認しながら人の判断によって先行手配や保守部品交換の意思決定を行う運用形態とすることも可能である。
【0022】
ヒット率の算出においては,前処理として診断故障木の形状の歪さによって生じる各処置作業に対して蓄積される事例数の感度の差を補正する必要がある。この補正では,故障診断木中の処置作業の階層の深さに応じてバランシング係数を算出し,バランシング係数を事例数に掛け合わせることによって重み付けを行い,各処置作業に対する事例数の感度を均一化する。
【0023】
「本発明の一実施形態のシステム構成」
本実施形態の保守部品配送支援システムの構成について図2を用いて説明する。保守部品手配支援システムは,故障診断情報に基づいて戻入れコストの期待値を算出し,保守部品の先行手配を行う指示,あるいは保守部品の使用指示を算出する保守部品配送支援モジュール11と,保守作業に使用される保守部品の価格や配送費や在庫状況やヒット率毎の戻入れコストの期待値を管理する保守部品情報管理モジュール12と,装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理モジュール13と,保守部品の先行手配や部品使用の指示を各保守作業員に提示する保守作業支援端末に出力する表示端末モジュール14と,保守対象の装置に設置された各センサから取得されるデータを管理し,センサデータが異常値を示した際にサポートセンタに対してアラーム情報を送信するセンサデータ管理モジュール15とによって構成されており,それぞれサポートセンタεに保守部品配送支援モジュール11と表示端末モジュール14が,倉庫γに保守部品情報管理モジュール12が,サービス拠点α1,α2,…,αmに保守作業記録情報管理モジュール13が,保守作業員21が携帯する情報端末に表示端末モジュール14が,保守対象装置設置サイトβ1,β2,…,βmにセンサデータ管理モジュール15が配置されている。各構成モジュール11から15はそれぞれネットワーク71に接続されており,各情報端末11から15は,相互にネットワーク71を介して,各種データ等を送受信できる。
【0024】
各情報端末11から15は,図3に示すように,いずれもコンピュータで,キーボードやマウス等の入力装置61と,ディスプレイ等の出力装置62と,補助記憶装置63と,保守部品配送支援プログラムなどの各種プログラムを実行する演算装置60と,を有する。演算装置60は中央演算処理装置(以下,CPU)64と,主記憶装置65と,インターフェース66と,を備えている。この演算装置60は,入力装置61,出力装置62および補助記憶装置63とインターフェース66を介して接続されている。
【0025】
本実施形態では,保守部品配送支援プログラムなどの各種プログラムの実行結果は,主記憶装置65に確保された記憶領域に記憶される。各種プログラムは,補助記憶装置63に予め記憶され,その後,主記憶装置65に読み込まれ,CPU64により実行される。このCPU64による各種プログラムの実行により,後述の各種機能が実現する。
【0026】
なお,本実施形態では,保守部品配送支援システムを構成する各情報端末が汎用情報処理装置とソフトウェアで実現される場合を例にとって説明するが,例えば,ハードワイヤードロジックを含むハードウェアや,このようなハードウェアと,予めプログラムされた汎用情報処理装置により実現してもよい。
【0027】
また,本実施形態では,保守部品配送支援システムを統合処理するシステムとして説明するが,本発明はこれに限定されるものではない。本発明は他の情報処理システムに組み込まれてそれらの一部として機能するように構成することも考えられる。また,それぞれの情報端末機能の一部を組み換えたり,小分けにしたり,まとめたりして実現してもよい。
【0028】
次に,保守部品配送支援システムを構成する各情報端末11から15の機能構成,及び各情報端末11から15が保持するデータについて,図2及び図10〜図16を用いて説明する。
【0029】
「本発明の一実施形態の機能構成及び保持データ内容」
本実施形態の故障診断システムの各管理モジュール11から15は,図2に示すように,各種プログラムを実行する311から318,321,331,341,351,352の演算部と,各種データが記憶される41から47の記憶部と,を有する。
【0030】
演算部は,不具合発生時におけるアラーム情報やユーザからの通報とそれらに対応する診断故障木の関係を管理する受付情報管理部311と,各不具合現象に対して復旧のために必要な処置作業の候補およびそれを特定するための診断作業の情報を含む診断故障木を管理する診断故障木情報管理部312と,故障診断情報に基づいて保守部品の先行手配を行う指示を算出する保守部品手配指示情報管理部313と,保守部品が保守現場に配送され,使用されずに戻入れされた場合に発生するコストの期待値を算出する保守部品手配コスト情報管理部314と,故障診断情報に基づいて保守部品の使用指示を算出する保守部品使用指示情報管理部315と,保守部品が保守現場に配送され,開封および部品交換して装置の動作確認が行われた後に戻入れされた場合に発生するコストの期待値を算出する保守部品使用コスト情報管理部316と,保守作業の作業記録情報を入力することにより,各保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を,故障診断作業の判定結果の精度を示す判定確信度の情報を用いて,逐次,自動的に算出する部品ヒット率情報管理部317と,故障診断に用いられる診断故障木の形状に応じた係数を算出し,事例学習の感度補正を行うバランシング係数情報管理部318と,保守作業に使用される保守部品のコスト情報や在庫状況やヒット率毎の戻入れコストの期待値を管理する保守部品情報管理部321と,装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理部331と,保守部品の先行手配や部品使用の指示を各保守作業員に提示する保守作業支援端末に出力する保守部品配送支援情報出力部341と保守対象の装置に設置された各センサから取得されるデータを管理するセンサデータ管理部351と,
センサデータが異常値を示した際にサポートセンタに対してアラーム情報を送信するアラームデータ管理部352と,を有する。
【0031】
演算部の各部311から318,321,331,341,351,352は,いずれも前述したように,CPU64が各種プログラムを実行することで機能する。これらの機能部の動作の詳細については,処理フローの説明の中で順を追って説明する。
【0032】
記憶部は,不具合発生時におけるアラーム情報とユーザからの通報中に含まれるキーワードとそれらに対応する診断故障木の対応情報が記憶される受付情報記憶部41と,各不具合現象に対して復旧のために必要な処置作業の候補およびそれを特定するための診断作業の情報を含む診断故障木が記憶される診断故障木マスタ情報記憶部42と,各保守作業の診断経過が記憶される保守部品配送支援情報記憶部43と,装置設置サイトで行われた保守作業内容情報が記憶される保守作業情報記憶部44と,保守作業に使用される保守部品のコスト情報や在庫状況が記憶される保守部品情報記憶部45と,保守対象装置の稼動状況を監視するために設置されたセンサのデータが記憶されるセンサデータ記憶部46と,センサデータが異常値を示した際に送信されたアラームのデータが記憶されるアラームデータ記憶部47と,を有する。
【0033】
受付情報記憶部41は,図10に示すように,アラームIDフィールド41aと,通報キーワードフィールド41bと,診断故障木 IDフィールド41cと,不具合現象説明フィールド41dと,を有する。
【0034】
診断故障木マスタ情報記憶部42は,図11に示すように,作業IDフィールド42aと,作業属性フィールド42bと,作業名フィールド42cと,作業内容/判定方法フィールド42dと,作業コストフィールド42eと,部品番号フィールド42fと,Next作業フィールド42gと,判定確信度フィールド42hと,階層フィールド42iと,階層差分フィールド42jと,バランシング係数フィールド42kと判定係数フィールド42lと,事例数フィールド42mと,事例ポイントフィールド42nと,を有する。
【0035】
保守部品配送支援情報記憶部43は,図12に示すように,部品番号フィールド43aと,ヒット率フィールド43bと,戻入れコストフィールド43cと,配送基準フィールド43dと,使用基準フィールド43eと,配送可否フィールド43fと,使用可否フィールド43gと,を有する。
【0036】
保守作業情報記憶部44は,図13に示すように,保守IDフィールド44aと,サイト番号フィールド44bと,作業日フィールド44cと,製品番号フィールド44dと,アラーム種類/キーワードフィールド44eと,トリガー情報属性フィールド44fと,診断故障木フィールド44gと,作業Noフィールド44hと,作業IDフィールド44iと,判定結果フィールド44jと,判定確信度フィールド44kと,を有する。
【0037】
保守部品情報記憶部45は,図14に示すように,部品番号フィールド45aと,部品単価フィールド45bと,配送費フィールド45cと,在庫数フィールド45dと,ヒット率毎の戻入れコスト期待値(部品未使用時)フィールド45eと,ヒット率毎の戻入れコスト期待値(部品使用時)フィールド45fと,を有する。
【0038】
センサデータ記憶部46は,図15に示すように,製品番号フィールド46aと,サイト番号フィールド46bと,日時フィールド46cと,センサ番号フィールド46dと,を有する。
【0039】
アラーム情報記憶部47は,図16に示すように,製品番号フィールド47aと,サイト番号フィールド47bと,日時フィールド47cと,アラーム種類フィールド47dと,を有する。
【0040】
「保守部品配送支援システムの全体処理の流れ」
保守部品配送支援システムで行われる処理は,図4に示すように,不具合が発生した際に保守対象装置から送信されるアラームやユーザからの通報といった受付情報の内容から対象のFault Treeを選択する不具合情報受付処理S1と,診断故障木の形状に応じて生じる事例数の感度の差を均一化するための係数であるバランシング係数を算出するバランシング係数算出処理S2と,装置の故障診断情報に基づいて保守部品の交換によって装置が復旧する確率であるヒット率を逐次更新する部品ヒット率算出処理S3と,先行手配した部品がヒットせず,開封されずに返送された場合に発生する戻入れコストを考慮しながら,故障診断中に保守部品の先行手配を行うべきか否かの指示を算出する保守部品配送手配指示算出処理S4と,先行手配した部品がヒットせず,開封および使用した上で返送された場合に発生する戻入れコストを考慮しながら,故障診断中に保守部品の先行手配を行うべきか否かの指示を算出する保守部品使用指示算出処理S5と,である。また,保守部品配送支援システムの実行結果はサポートセンタのオペレータに提示するために保守作業支援端末に出力される。最終的にはオペレータにより部品配送の手配が行われるが、保守部品配送支援システムの実行結果に基づき自動的に部品配送の手配を行っても良い。以上の処理内容はフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0041】
「不具合情報受付処理S1」
不具合情報受付処理S1の処理の流れを図5に示すフローチャートに従って説明する。まず,アラーム情報記憶部47より受信したアラーム情報,あるいはユーザから通報された不具合連絡について,保守作業情報管理部331が、作業が発生するものを対象に保守IDを採番し,トリガー情報として保守作業記録情報記憶部44に登録し(S101),トリガー情報がアラーム発報であったかユーザからの通報であったかを判定する(S102)。
【0042】
トリガー情報がアラーム発報であった場合には,保守作業情報管理部331は、診断故障木情報管理部312が、受付情報記憶部41を参照し,作業のトリガーとなるアラームIDに対応する診断故障木を選択した結果を,保守作業情報記憶部44の当該の保守IDについて登録する(S103)。 トリガー情報がユーザからの通報であった場合には,保守作業情報管理部331は、受付情報管理部311が、受付情報記憶部41を参照し,通報キーワードに対応する診断故障木を選択した結果を,保守作業情報記憶部44に登録する(S104)。
【0043】
なお、センサデータ管理部351では、装置に設置されたセンサから取得したデータを、センサが設置された対象の製品番号やサイト番号などの属性情報と合わせてセンサデータ記憶部46に格納する。
【0044】
また、アラームデータ管理部352では、センサデータ記憶部に格納されたデータを参照し、例えば、あるセンサデータの値がアラーム発報のための基準として設定された閾値を超えた場合に、サービスセンタのオペレータに対してアラームメールを発報し、アラームに関連する、対象の製品番号やサイト番号や、発報日時やアラーム種類といった情報をアラーム情報記憶部47に格納する。
【0045】
「バランシング係数算出処理S2」
最適作業算出処理S2の処理の流れを図6に示すフローチャートに従って説明する。まず,バランシング係数情報管理部318では、不具合情報受付処理S1で選択された診断故障木について,診断故障木情報記憶部42を読込み,作業IDがA1からAnの処置作業の階層(h)の最大値を算出し,hmaxに代入する。なお,階層は診断故障木における最上位の診断作業の階層を1とし,その一つ下の作業の階層を2として順次カウントするものとする(S201)。 続いて,診断故障木情報記憶部42を読込み,診断故障木の処置作業数をnに代入し,(S202),i=1とセットし(S203),診断故障木情報記憶部42より,作業IDがAiの処置作業の階層(hi)を取得し,(S204),次に,処置作業Aiの階層hiと階層の最大値hmaxの差分(gAi)をgAi=hmax−hiにより算出し,診断故障木情報記憶部42の階層差分に登録し(S205),処置作業Aiのバランシング係数biを(式1)により算出し,診断故障木情報記憶部42に登録し(S206),
(式1) bAi=2gi
i=nであるかを判定し(S207),i=nではない場合,iにi+1を代入し,S204からS207の処理を繰返し行う(S208)。i=nの場合には,バランシング係数算出処理S2を終了する。
【0046】
「部品ヒット率算出処理S3」
部品ヒット率算出処理S3の処理の流れを図7に示すフローチャートに従って説明する。まず,部品ヒット率情報管理部317では、診断故障木情報記憶部42を参照し,作業IDがA1からAnのすべての処置作業の判定係数(di)の値に1を登録し,j=1とセットし(S301),続いて,保守作業情報記憶部44より作業Noがkの作業の作業IDと判定結果を取得し(S302),
S302で取得した判定結果がYesかNoかを判定し(S303),判定結果がYesの場合には,作業Noがkの作業の作業IDについて,診断故障木情報記憶部42より当該の作業IDのNo側の判定確信度を取得し,pkに代入し(S304),
判定結果がNoの場合には,作業Noがkの作業の作業IDについて,診断故障木情報記憶部42より当該の作業IDのYes側の判定確信度を取得し,pkに代入し(S305),。
【0047】
次に,診断故障木情報記憶部42のNext作業を参照して,判定結果の反対側にぶら下がる処置作業を抽出し,判定係数(di)にdi×pkを代入することにより更新して診断故障木情報記憶部42に登録し(S306),実施した全ての作業情報を取得したかどうかを判定し(S307),全ての作業情報を取得していない場合には,保守作業情報記憶部43の次の作業情報を参照しS302からS307の処理を繰返し行い(S308),
さらに,診断故障木情報記憶部42の部品番号を参照し,保守部品の部品番号の種類数をmに代入し(S309),全ての作業情報を取得している場合には,各処置作業に使用される保守部品Pjのヒット率(HPpj)を(式2)により算出し(S310),
(式2) HPpj=Σ(保守部品を含む作業のヒット率)/ΣCPAi
j=mであるかを判定し(S311),j=mではない場合,jにj+1を代入し,S310からS311の処理を繰返し行う(S312)。j=mの場合には,部品ヒット率算出処理S3を終了する。
【0048】
上記のように部品ヒット率情報管理部317は、保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新することとなる。
【0049】
「保守部品配送手配指示算出処理S4」
保守部品配送手配指示算出処理S4の処理の流れを図8に示すフローチャートに従って説明する。まず,保守部品手配指示情報管理部313では、j=1とセットし(S401),保守部品情報記憶部45より,保守部品の部品番号Pjの配送手配を許可するか否かの戻入れコスト期待値の基準値である配送許可基準(DPj)を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S402),続いて,保守部品配送支援情報記憶部43より,保守部品Pjのヒット率を取得し(S403),次に,保守部品情報管理部321によって逐次、更新される保守部品の単価や配送費や在庫数などの情報を元に、ヒット率に対応する部品未使用時の戻入れコストを管理する保守部品手配コスト情報管理部314が、保守部品情報記憶部45より,S403で取得した保守部品Pjのヒット率に対応する戻入れコストの期待値RCPjを探索した結果を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S404),RCPj≦DPjであるかを判定し(S405),RCPj≦DPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否に“可”と登録し(S406),RCPj>DPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否に“不可”と登録し(S407),保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否を保守部品配送支援情報出力部341によってサポートセンタのオペレータが保守作業支援を実行する際に参照するPC画面などに出力し、(S408),j=mであるかを判定し(S409),j=mではない場合,jにj+1を代入し,S402からS408の処理を繰返し行う(S410)。j=mの場合には,保守部品配送指示算出処理S4を終了する。
【0050】
部品手配指示情報管理部313は、逐次更新される部品ヒット率に基づき、逐次部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可することとなる。
【0051】
「保守部品使用指示算出処理S5」
保守部品使用指示算出処理S5の処理の流れを図9に示すフローチャートに従って説明する。まず,保守部品使用指示情報管理部315では、j=1とセットし(S501),保守部品情報記憶部45より,配送された保守部品の部品番号Pjの開封および使用を許可するか否かの戻入れコスト期待値の基準値である使用許可基準(UPj)を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S502),続いて,保守部品配送支援情報記憶部43より,保守部品Pjのヒット率を取得し(S503),次に,保守部品情報管理部321によって逐次、更新される保守部品の単価や配送費や在庫数などの情報を元に、ヒット率に対応する部品使用時の戻入れコストを管理する保守部品使用コスト情報管理部316が、保守部品情報記憶部45より,S503で取得した部品番号Pjのヒット率に対応する戻入れコストの期待値RCPjを探索した結果を取得し,保守部品配送支援情報記憶部43に登録し(S504),RCPj≦UPjであるかを判定し(S505),RCPj≦UPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの使用可否に“可”と登録し(S506),
RCPj>UPjである場合には,保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの使用可否に“不可”と登録し(S507),保守部品配送支援情報記憶部43の保守部品Pjの配送可否を保守部品配送支援情報出力部341によってサポートセンタのオペレータが保守作業支援を実行する際に参照するPC画面などに出力し、(S508),
j=mであるかを判定し(S509),j=mではない場合,jにj+1を代入し,S502からS508の処理を繰返し行う(S510)。j=mの場合には,保守部品使用指示算出処理S5を終了する。
【0052】
尚、上記「保守部品使用指示算出処理S5」は必ずしも「保守部品配送手配指示算出処理S4」の後に行われる必要は無く、それ単独で適用することも可能である。
【0053】
以上のように本発明では、故障診断を進めながら部品配送の業務も並列化して行うことができ、作業時間を短縮することによる機器のダウンタイムを低減することができる。また,保守部品の戻入れの管理を高度化し,戻入れコストの予測精度が向上させることができる。
【符号の説明】
【0054】
11,12,13,14,15・・・保守部品配送支援システムの各構成モジュール,
21,22,23,24,25,26,27,28・・・各拠点間で送受信されるデータ,
311〜318,321,331,341,351,352・・・各種演算機能,
41,42,43,44,45,46,47・・・各種記憶機能,
51・・・保守作業員,52・・・保守部品,
60・・・演算装置,61・・・入力装置,62・・・出力装置,63・・・補助記憶装置,
64・・・中央演算処理装置(CPU),65・・・主記憶装置,66インターフェース,
71・・・ネットワーク,
S1からS5,S101から104,S201からS208,S301からS312,S401からS410,S501からS510・・・各種処理ステップ,
410,420,430,440,450,460,470,・・・各種記憶部のレコード,
41a〜41d,42a〜42n,43a〜43g,44a〜44k,45a〜45f,46a〜46d,47a〜47d・・・各種記憶部のフィールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の保守作業に必要な保守部品の配送を支援する保守部品配送支援システムであって、
演算部と記憶部とを備え、
前記記憶部は、保守部品の配送を許可するか否かの戻入れコストの期待値の基準値である配送許可基準を保持し、
前記演算部は、
保守作業の作業記録情報を入力することにより、保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を算出する部品ヒット率情報管理部と、
保守部品が保守現場に配送された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出する保守部品手配コスト情報管理部と、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可する保守部品手配指示情報管理部と、
を備えることを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記記憶部は、配送された保守部品の開封及び使用を許可するか否かの戻入れコストの基準値である使用許可基準を保持し、
前記演算部は、
保守部品が保守現場で使用された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出する保守部品使用コスト情報管理部と、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に前記保守部品の使用を許可する保守部品使用指示情報管理部と、
を備えていることを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記部品ヒット率情報管理部は、保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新することを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品手配指示情報管理部は、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を逐次許可することを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項5】
請求項2に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前 記部品ヒット率情報管理部は、保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新し、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品使用指示情報管理部は、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に前記保守部品の使用を逐次許可することを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記部品ヒット率情報管理部では、前記記憶部に記憶された二分木構造を有する診断故障木情報であって,装置の故障現象を示すノードを最上位階層に保持し,中間階層には故障現象に対する処置作業を特定するための診断作業を示すノードを保持し、装置を復旧させるための処置作業の候補を示すノードを最下位階層に保持する診断故障木情報を参照し、当該診断故障木情報から得られる当該作業の判定確信度に基づき部品ヒット率を算出することを特徴とする保守作業部品配送支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記診断故障木の形状に応じた係数を算出し、事例学習の感度補正を行うバランシング係数情報管理部を備えていることを特徴とする保守作業部品配送支援システム。
【請求項8】
演算部と記憶部とを備える保守部品配送支援システムにおいて実行され、装置の保守作業に必要な保守部品の配送を支援する保守部品配送支援プログラムであって、
前記記憶部から、保守部品の配送を許可するか否かの戻入れコストの期待値の基準値である配送許可基準を取得するステップと、
保守作業の作業記録情報を入力することにより、保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を算出するステップと、
保守部品が保守現場に配送された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出するステップと、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可するステップと、
を備えることを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
前記記憶部から、配送された保守部品の開封及び使用を許可するか否かの戻入れコストの基準値である使用許可基準を取得するステップと、
保守部品が保守現場で使用された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出するステップと、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に前記保守部品の使用を許可するステップと、
を備えていることを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項10】
請求項8に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新することを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に逐次前記保守部品の配送を許可することを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項12】
請求項9に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新し、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に逐次前記保守部品の使用を許可することを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項13】
請求項8に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
前記記憶部に記憶された二分木構造を有する診断故障木情報であって,装置の故障現象を示すノードを最上位階層に保持し,中間階層には故障現象に対する処置作業を特定するための診断作業を示すノードを保持し、装置を復旧させるための処置作業の候補を示すノードを最下位階層に保持する診断故障木情報を参照し、当該診断故障木情報から得られる当該作業の判定確信度に基づき前記部品ヒット率を算出することを特徴とする保守作業部品配送支援プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
前記診断故障木の形状に応じた係数を算出し、事例学習の感度補正を行うステップを備えていることを特徴とする保守作業部品配送支援プログラム
【請求項15】
製造装置や検査装置の保守作業を支援するために必要な保守部品の保守作業現場への配送手配情報を入力し,部品倉庫に出庫指示するための保守部品配送支援装置において,
保守対象装置を故障現象から復旧させるために必要な処置作業の候補および処置作業の候補を特定するための診断作業をTree状に構成した診断故障木情報を管理する診断故障木情報管理手段と,
装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理手段と,
戻入れコストの期待値に基づいて,保守部品の先行手配を行う指示を算出する保守部品配送手配指示情報管理手段と,
保守部品が保守現場に配送され,使用されずに戻入れされた場合に発生するコストの期待値を出力する保守部品手配コスト情報管理手段と,
戻入れコストの期待値に基づいて,保守部品の使用指示を算出する保守部品使用指示情報管理手段と,
保守部品が保守現場に配送され,開封および部品交換して装置の動作確認が行われた後に戻入れされた場合に発生するコストの期待値を出力する保守部品使用コスト情報管理手段と,
保守作業の作業記録情報を入力することにより,各保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を逐次,自動的に算出する部品ヒット率情報管理手段と,
故障診断に用いられる診断故障木の形状に応じた係数を算出し,事例学習の感度補正を行うバランシング係数情報管理手段と,
部品ヒット率を算出する上で,故障診断作業の判定結果の精度を示す判定確信度の情報を用いてヒット率の算出を行う部品ヒット率情報管理手段と,
を備えていることを特徴とする保守部品配送支援装置。
【請求項1】
装置の保守作業に必要な保守部品の配送を支援する保守部品配送支援システムであって、
演算部と記憶部とを備え、
前記記憶部は、保守部品の配送を許可するか否かの戻入れコストの期待値の基準値である配送許可基準を保持し、
前記演算部は、
保守作業の作業記録情報を入力することにより、保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を算出する部品ヒット率情報管理部と、
保守部品が保守現場に配送された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出する保守部品手配コスト情報管理部と、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可する保守部品手配指示情報管理部と、
を備えることを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記記憶部は、配送された保守部品の開封及び使用を許可するか否かの戻入れコストの基準値である使用許可基準を保持し、
前記演算部は、
保守部品が保守現場で使用された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出する保守部品使用コスト情報管理部と、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に前記保守部品の使用を許可する保守部品使用指示情報管理部と、
を備えていることを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記部品ヒット率情報管理部は、保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新することを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品手配指示情報管理部は、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を逐次許可することを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項5】
請求項2に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前 記部品ヒット率情報管理部は、保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新し、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品使用指示情報管理部は、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に前記保守部品の使用を逐次許可することを特徴とする保守部品配送支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記部品ヒット率情報管理部では、前記記憶部に記憶された二分木構造を有する診断故障木情報であって,装置の故障現象を示すノードを最上位階層に保持し,中間階層には故障現象に対する処置作業を特定するための診断作業を示すノードを保持し、装置を復旧させるための処置作業の候補を示すノードを最下位階層に保持する診断故障木情報を参照し、当該診断故障木情報から得られる当該作業の判定確信度に基づき部品ヒット率を算出することを特徴とする保守作業部品配送支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の保守部品配送支援システムにおいて、
前記診断故障木の形状に応じた係数を算出し、事例学習の感度補正を行うバランシング係数情報管理部を備えていることを特徴とする保守作業部品配送支援システム。
【請求項8】
演算部と記憶部とを備える保守部品配送支援システムにおいて実行され、装置の保守作業に必要な保守部品の配送を支援する保守部品配送支援プログラムであって、
前記記憶部から、保守部品の配送を許可するか否かの戻入れコストの期待値の基準値である配送許可基準を取得するステップと、
保守作業の作業記録情報を入力することにより、保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を算出するステップと、
保守部品が保守現場に配送された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出するステップと、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に前記保守部品の配送を許可するステップと、
を備えることを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
前記記憶部から、配送された保守部品の開封及び使用を許可するか否かの戻入れコストの基準値である使用許可基準を取得するステップと、
保守部品が保守現場で使用された後に戻入れされたときに発生する前記部品ヒット率に対応するコストの期待値を算出するステップと、
前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に前記保守部品の使用を許可するステップと、
を備えていることを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項10】
請求項8に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新することを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記配送許可基準以下の場合に逐次前記保守部品の配送を許可することを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項12】
請求項9に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
保守作業の作業記録情報を逐次入力することにより、前記部品ヒット率を逐次更新し、
逐次更新される部品ヒット率に基づき、前記部品ヒット率に対応する戻入れコストの期待値が、前記使用許可基準以下の場合に逐次前記保守部品の使用を許可することを特徴とする保守部品配送支援プログラム。
【請求項13】
請求項8に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
前記記憶部に記憶された二分木構造を有する診断故障木情報であって,装置の故障現象を示すノードを最上位階層に保持し,中間階層には故障現象に対する処置作業を特定するための診断作業を示すノードを保持し、装置を復旧させるための処置作業の候補を示すノードを最下位階層に保持する診断故障木情報を参照し、当該診断故障木情報から得られる当該作業の判定確信度に基づき前記部品ヒット率を算出することを特徴とする保守作業部品配送支援プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の保守部品配送支援プログラムにおいて、
前記診断故障木の形状に応じた係数を算出し、事例学習の感度補正を行うステップを備えていることを特徴とする保守作業部品配送支援プログラム
【請求項15】
製造装置や検査装置の保守作業を支援するために必要な保守部品の保守作業現場への配送手配情報を入力し,部品倉庫に出庫指示するための保守部品配送支援装置において,
保守対象装置を故障現象から復旧させるために必要な処置作業の候補および処置作業の候補を特定するための診断作業をTree状に構成した診断故障木情報を管理する診断故障木情報管理手段と,
装置設置サイトで行われる保守作業の作業記録情報を管理する保守作業情報管理手段と,
戻入れコストの期待値に基づいて,保守部品の先行手配を行う指示を算出する保守部品配送手配指示情報管理手段と,
保守部品が保守現場に配送され,使用されずに戻入れされた場合に発生するコストの期待値を出力する保守部品手配コスト情報管理手段と,
戻入れコストの期待値に基づいて,保守部品の使用指示を算出する保守部品使用指示情報管理手段と,
保守部品が保守現場に配送され,開封および部品交換して装置の動作確認が行われた後に戻入れされた場合に発生するコストの期待値を出力する保守部品使用コスト情報管理手段と,
保守作業の作業記録情報を入力することにより,各保守部品を交換することにより装置が復旧する確率である部品ヒット率を逐次,自動的に算出する部品ヒット率情報管理手段と,
故障診断に用いられる診断故障木の形状に応じた係数を算出し,事例学習の感度補正を行うバランシング係数情報管理手段と,
部品ヒット率を算出する上で,故障診断作業の判定結果の精度を示す判定確信度の情報を用いてヒット率の算出を行う部品ヒット率情報管理手段と,
を備えていることを特徴とする保守部品配送支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−105221(P2013−105221A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247024(P2011−247024)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
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