説明

保持シート及び切断装置

【課題】寸法の測定を不要としながらも、被切断物を保持シートに応じた適切な寸法に簡単に合わせることができる保持シート、及び切断装置を提供する。
【解決手段】保持シート10は、その外縁から所定距離内側の領域に設けられ、被切断物6を剥離可能に保持する粘着部10aを備える。保持シート10には、粘着部10aを囲う位置に複数の穴部31a〜34bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで前記切断刃が被切断物を切断する切断装置にセットされる保持シート、及び切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば紙シートを自動的に切断するカッティングプロッタが知られている。前記紙シートは、表面に粘着層を有する保持シートとしての基材に貼り付けられる。そして、カッティングプロッタは、基材における左右の縁部分を駆動機構の駆動ローラ及びピンチローラで上下方向から挟んで第1方向へ移動させると共に、切断刃を有するキャリッジを前記第1方向と直交する第2方向へ移動させて紙シートを切断する。
前記基材は、例えばプラスチックシートからなり、その表面に基準マークや格子状の方眼目盛を付与したものが供されている。このものでは、基材の粘着層に紙シートを貼り付ける際、紙シートを基準マークに合わせ、或は紙シートの縁部を方眼目盛に沿わせて位置決めを行う(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−205539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記カッティングプロッタを使用する場合、ユーザは、はさみを用いて紙シートを基材の両縁部よりも内側に収まる大きさに切る必要がある。即ち、紙シートを基材に応じた適切な大きさに合わせて切る必要がある。この場合、ユーザは、基材に適合する寸法を測り、その寸法を基に紙シートにペンで外形線を引き、はさみで切る、という作業が必要であり面倒であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、寸法の測定を不要としながらも、被切断物を保持シートに応じた適切な寸法に簡単に合わせることができる保持シート、及び切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1の保持シートは、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで前記切断刃が前記被切断物を切断する切断装置にセットされる平板状のものであり、前記保持シートにおける外縁から所定距離内側の領域に設けられ、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着部を備え、前記保持シートにおける前記粘着部を囲う位置に複数の穴部を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記構成の保持シートを被切断物の上に重ねたとき、被切断物が粘着部の領域より大きい場合には、保持シートの複数の穴部から被切断物が見える。従って、保持シートの穴部を通じてペンで被切断物に印を付けることで、粘着部を囲う大きさの指標とすることができる。これにより、保持シートの寸法の測定を不要としながらも、被切断物を粘着部の大きさに簡単に合わせることができる。よって、各種の被切断物について、保持シートを利用して適切な寸法に合わせ、切断装置で好適な切断を行うことができる。
【0008】
請求項2の保持シートは、請求項1の発明において、前記粘着部は、矩形形状の領域を形成するように設けられ、前記穴部は、矩形形状をなす前記粘着部の角部近傍に設けたことを特徴とする。
請求項3の保持シートは、請求項2の発明において、前記穴部は、前記粘着部の周辺に沿ってスリット状に形成された細長穴であることを特徴とする。
請求項4の保持シートは、請求項3の発明において、前記細長穴は、矩形形状をなす前記粘着部の頂点を除いた周辺部分に設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の保持シートは、請求項2の発明において、前記穴部は、矩形形状をなす前記粘着部の頂点部分に設けられたことを特徴とする。
請求項6の保持シートは、請求項1から5の何れかの発明において、前記保持シート及び前記粘着部は、透明材料から形成されていることを特徴とする。
請求項7の保持シートは、請求項6の発明において、前記粘着部の表面を覆う剥離シートを備え、前記剥離シートは、透明材料から形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項8の保持シートは、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで前記切断刃が前記被切断物を切断する切断装置にセットされる平板状のものであり、前記保持シートにおける外縁から所定距離内側の領域に設けられ、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着部と、前記粘着部の表面全体を覆い、前記粘着部の領域よりも大きく形成された平板状の剥離シートとを備え、前記剥離シートにおいて前記粘着部を囲う位置に対応する位置に複数の穴部を設けたことを特徴とする。
【0011】
上記構成において、粘着部から剥がした剥離シートを被切断物の上に重ねる。被切断物が粘着部の領域より大きい場合には、剥離シートの複数の穴部から被切断物が見える。従って、剥離シートの穴部を通じてペンで被切断物に印を付けることで、粘着部を囲う大きさの指標とすることができる。これにより、保持シートの寸法の測定を不要としながらも、被切断物を粘着部の大きさに簡単に合わせることができる。よって、各種の被切断物について、剥離シートを利用して適切な寸法に合わせ、切断装置で好適な切断を行うことができる。
【0012】
請求項9の保持シートは、請求項8の発明において、剥離シートは、平板形状が維持できる剛性を有する樹脂材料から形成されていることを特徴とする。
請求項10の切断装置は、請求項1から9までの何れかに記載の保持シートを備えたものである。よって、上記した請求項1から9までの発明と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の保持シートによれば次の効果を奏する。先ず、保持シートを被切断物の上に重ねた場合、被切断物が粘着部の領域より大きいときには、保持シートの複数の穴部から被切断物が見える。従って、保持シートの穴部を通じてペンで被切断物に印を付けることで、粘着部を囲う大きさの指標とすることができる。これにより、保持シートの寸法の測定を不要としながらも、被切断物を粘着部の大きさに簡単に合わせることができる。よって、各種の被切断物について、保持シートを利用して適切な寸法に合わせることができ、切断装置で好適な切断を行うことができる。
【0014】
請求項2の保持シートによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、穴部を、矩形形状をなす粘着部の角部近傍に設けることで、被切断物を粘着部と同じ寸法の矩形形状に合わせ、粘着部に適切に貼り付けることができる。また、これによれば、被切断物に矩形形状の指標として必要且つ充分な印を付けることができる。
請求項3の保持シートによれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、被切断物に対して、細長穴に沿って直線状の印を付けることができる。また、被切断物に付けた印は、適度な長さの指標となるため視認し易いものとなる。
【0015】
請求項4の保持シートによれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、細長穴は、矩形形状をなす粘着部の頂点を除いた周辺部分に設けられているため、保持シートの前記頂点部分における局所的な強度の低下を抑制して破損や変形を防止することができる。
請求項5の保持シートによれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、被切断物に対して、矩形形状の頂点部分に対応する印を付けることができると共に、保持シートに形成する穴部を極力小さなものとすることができる。
【0016】
請求項6の保持シートによれば、請求項1から5までの何れかの発明の効果に加え、保持シートを透して被切断物を視認することができ、保持シートを捲らずに被切断物に対する位置合せを行うことができる。また、例えば被切断物に図柄が印刷されている場合、保持シートを透して被切断物の図柄を視認することができ、図柄を見ながら位置合せを行うことができる。
請求項7の保持シートによれば、請求項6に記載の発明の効果に加え、粘着部の表面を剥離シートで覆った状態でも、剥離シートを透して被切断物を視認することができる。また、粘着部に触れることなくペンで印を付けることができ、使い勝手のよいものとすることができる。
【0017】
請求項8の保持シートによれば次の効果を奏する。先ず、粘着部から剥がした剥離シートを被切断物の上に重ねた場合、被切断物が粘着部の領域より大きいときには、剥離シートの複数の穴部から被切断物が見える。従って、剥離シートの穴部を通じてペンで被切断物に印を付けることで、粘着部を囲う大きさの指標とすることができる。これにより、保持シートの寸法の測定を不要としながらも、被切断物を粘着部の大きさに簡単に合わせることができる。よって、各種の被切断物について、剥離シートを利用して適切な寸法に合わせ、切断装置で好適な切断を行うことができる。
【0018】
請求項9の保持シートによれば、請求項8に記載の発明の効果に加え、剥離シートは、外力により容易に変形することなく元の平板形状が維持される。このため、被切断物に対するテンプレートとして正確に印を付けることができると共に、使い勝手のよいものとすることができる。
請求項10の切断装置は、請求項1から9までの何れかに記載の保持シートを備えたものである。よって、上記した請求項1から9までの発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における保持シートを切断装置の内部構造と共に示す斜視図
【図2】被切断物の切断時におけるカッタ先端の近傍部の拡大図
【図3】保持シートを被切断物上に重ねる際の斜視図
【図4】(a)は保持シートの平面図、(b)は被切断物に印を付けた後の図
【図5】本発明の第2実施形態を示す図4相当図
【図6】本発明の第3実施形態を示すもので、(a)は図4(a)相当図、(b)及び(c)は、被切断物に印を2回に分けて付けた場合の説明図
【図7】本発明の第4実施形態を示す図4(a)相当図
【図8】本発明の第5実施形態を示す剥離シートの平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、切断装置1は、筐体としての本体カバー2と、本体カバー2内に配設されたプラテン3と、カッタホルダ5とを備えると共に、カッタホルダ5のカッタ4(図2参照)と被切断物6とを相対的に移動させるための第1及び第2移動手段7,8を備えている。本体カバー2は横長な矩形箱状をなしており、前面部には、プラテン3上面部に被切断物6を保持した保持シート10をセットするための横長な開口部2aが形成されている。尚、以下の説明では、切断装置1に対しユーザが位置する側を前方とし、その反対側を後方とする。そして、前後方向をY方向とし、Y方向と直交する左右方向をX方向とする。
【0021】
本体カバー2の右側には、ユーザに対して必要なメッセージ等の表示を行う表示手段としての液晶ディスプレイ(LCD)9が設けられると共に、ユーザが各種の指示や選択、入力の操作を行うための複数の操作スイッチ(図示略)が設けられている。
前記プラテン3は、前後一対の板材3a,3bからなり、上面部が水平面たるXY平面をなすように構成されている。プラテン3には、被切断物6を保持する保持シート10が載置されるようにセットされ、被切断物6の切断の際、保持シート10をプラテン3で受ける。詳しくは後述するが、保持シート10の上面には、周縁部101〜104を除いた内側の領域に粘着剤が塗布された粘着部10aが形成されており、粘着部10aに被切断物6が貼り付けられて保持される。
【0022】
プラテン3における前側の板材3a上面には、保持シート10のX方向(左右方向)の位置決め手段として、例えば左右一対の位置決めラインE1,E2が設けてある。位置決めラインE1,E2は、保持シート10の左右方向の幅寸法と略同じ寸法、又はそれより僅かに大きい寸法の間隔で形成され、前記開口部2aから視認することができる。従って、位置決めラインE1,E2は、保持シート10の幅方向たるX方向の位置決めを行うための目印となる。
【0023】
前記第1移動手段7は、プラテン3の上面側で保持シート10をY方向(第1方向)へ移動させるものである。即ち、切断装置1における左右の側壁部11a,11bには、プラテン3の板材3a,3bの間に位置させて、駆動ローラ12とピンチローラ13が設けられている。駆動ローラ12とピンチローラ13は、上下に並べて配置されると共に、何れもX方向に延びて側壁部11a,11bに対して回動可能に支持されている。駆動ローラ12は、セットされる保持シート10に対してプラテン3側(下側)に配置され、上側のピンチローラ13は、図示しないバネ手段により駆動ローラ12側へ付勢されている。詳しい図示は省略するが、ピンチローラ13には、保持シート10の左右両方の縁部101,102に接触して押圧する押圧部13a,13bが設けられている。押圧部13a,13bは、ピンチローラ13の他の部分よりも外径が少し大きく形成されており、その外周面にローレット加工が施されている。同様に、駆動ローラ12にも、押圧部13a,13bに対応する位置に、ローレット加工が施された押圧部12a,12bが形成されている。
【0024】
右側壁部11bの外側には、駆動ローラ12を駆動させるY軸モータ15及び第1減速ギヤ機構(図示略)が配設されている。ここで、駆動ローラ12とピンチローラ13は、前記バネ手段の付勢力により、保持シート10を上下方向から押圧挟持する。そして、Y軸モータ15を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が前記第1減速ギヤ機構を介して駆動ローラ12に伝わることで、保持シート10を被切断物6と共に後方或いは前方へ移動させる。これら駆動ローラ12、ピンチローラ13、Y軸モータ15、第1減速ギヤ機構、前記圧縮コイルバネ等は、第1移動手段7を構成する。
【0025】
前記第2移動手段8は、カッタホルダ5を支持するキャリッジ16を、X方向(第2方向)へ移動させるものである。詳細には、左右の側壁部11a,11b間には、後端部に位置させて、左右方向に延びるガイド軸17とガイドフレーム18が配設されている。ガイド軸17は、プラテン3の直ぐ上側で、キャリッジ16下部(後述の貫通孔部16a)を貫通している。ガイドフレーム18は、側壁部11a,11bの上端部に固定され、下方へ折り返された前縁部18aでキャリッジ16上部(後述の被ガイド体16b)をガイドする。
【0026】
切断装置1の後部には、右側壁部11bの外側に位置して、X軸モータ19と第2減速ギヤ機構(図示略)が配設されている。前記第2減速ギヤ機構にはプーリが設けられており、左側壁部11aの外側にプーリ20が回転自在に取付けられている。第2減速ギヤ機構のプーリとプーリ20との間には、キャリッジ16の後端部(後述の取付部)に連結された無端状のタイミングベルト21が掛装されている。
ここで、X軸モータ19を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が第2減速ギヤ機構及び前記プーリを介してタイミングベルト21に伝わることで、キャリッジ16をカッタホルダ5ごと左方或いは右方へ移動させる。こうして、キャリッジ16とカッタホルダ5は、被切断物6を移動させるY方向と直交するX方向に移動する。上記のガイド軸17、ガイドフレーム18、X軸モータ19、第2減速ギヤ機構、タイミングベルト21、キャリッジ16等は、第2移動手段8を構成する。
【0027】
前記カッタホルダ5は、キャリッジ16に対して前面側に配置され、Z方向たる上下方向(第3方向)への移動が可能に支持されている。キャリッジ16は、後面側が開放された略矩形箱状をなす。キャリッジ16の上壁部には、ガイドフレーム18の前縁部18aを挟む被ガイド体16bが設けられている。キャリッジ16の下端部には、ガイド軸17に挿通される貫通孔部16aが形成されている。また、キャリッジ16の底壁部には、前記タイミングベルト21に連結される取付部(図示略)が後方へ突出するように設けられている。こうして、キャリッジ16は、貫通孔部16aに挿通されるガイド軸17によって左右方向へ摺動可能に支持されると共に、被ガイド体16bで挟まれるガイドフレーム18によってガイド軸17の回りに回転しないように支持される。
【0028】
図示は省略するが、キャリッジ16内にはZ軸モータが配置されると共に、キャリッジ16とカッタホルダ5との間には、Z軸モータの回転運動を減速し且つカッタホルダ5の上下方向の移動に変換して伝達する伝達機構(第3減速機構)が設けられている。Z軸モータを正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が伝達機構を介して上下方向の運動に変換されて、カッタホルダ5を前記カッタ4ごと上昇位置或いは下降位置へ昇降させる。上記の伝達機構、Z軸モータは、カッタホルダ5を上下方向へ移動させる第3移動手段を構成する。
【0029】
カッタホルダ5内には、Z軸方向を指向するカッタ軸4b(図2参照)が、図示しない軸受により当該軸線4zの回りに回動可能に支持されている。詳細には、カッタ4は、丸棒状のカッタ軸4bと、そのカッタ軸4bの下端部に形成された刃部4aとを一体に有する。図2に示すように、刃部4aは略三角形状をなし、最下端の刃先4cが、カッタ軸4bの中心軸線4zから距離dだけ偏心した位置に形成されている。こうして、カッタ4は、被切断物6の表面たるXY平面に対して直交するZ方向から刃先4cが圧接する。また、カッタ4は、カッタホルダ5が下降位置へ移動された時に、図2に示すように刃先4cが保持シート10上の被切断物6を貫通し、且つプラテン3の板材3b上面に到達しない高さに設定してある。一方、カッタ4は、カッタホルダ5が上昇位置へ移動されることに伴い、刃先4cも上方へ移動して被切断物6から離間する。
【0030】
尚、カッタホルダ5には、被切断物6を押圧するための押圧装置22が設けられている。詳しい図示は省略するが、押圧装置22は、カッタホルダ5に下向きに取付けられたソレノイドと、刃部4aの周囲で被切断物6に接触する押圧部材22aとを備える。カッタホルダ5の下降位置でソレノイドが駆動されると、そのプランジャと共に押圧部材22aが下方へ移動して被切断物6を所定の押圧力で押圧する。これに対し、ソレノイドの非駆動時には、プランジャが上方に位置して押圧部材22aが被切断物6に対する押圧力を解除する。
切断装置1全体の制御を司る制御手段は、切断制御プログラムの実行により切断データに基づいて、Y軸モータ15、X軸モータ19、前記Z軸モータ、ソレノイド等の各種アクチュエータを制御し、保持シート10上の被切断物6に対する切断動作を自動で実行させる。
【0031】
さて、本実施形態の被切断物6としては、紙、布、樹脂フィルム等、各種のシート材を用いることができる。また、予め用意した被切断物6が保持シート10より大きくても、保持シート10を利用して適切な寸法に合わせることができる。保持シート10の構成について、図3、図4も参照しながら詳述する。
【0032】
保持部材としての保持シート10は、図4(a)に示すように平面視にて略正方形形状をなす平板部材である。保持シート10は、比較的高強度で剛性のある透明樹脂材料(例えばポリプロピレン等)から形成されている。保持シート10は、カッタ4との対向面つまり上面に、透明な粘着部10aを有する。
粘着部10aは、保持シート10における外縁から所定距離内側(同図のW1、W2参照)の領域に形成されており、平面視にて正方形形状をなす。粘着部10aは、粘着性を有する透明材料から形成された粘着剤層であり(図2参照)、各種の被切断物6を剥離可能に保持する。また、粘着部10aの粘着力は、被切断物6を粘着部10aから剥がす際、当該被切断物6が破れることがなく且つ簡単に剥がせるよう比較的小さい値に設定されている。尚、粘着部10aの形成領域と保持シート10の形状は、前記の矩形形状(正方形形状を含む)に限らず、例えばA4サイズの矩形形状の粘着部と、その粘着部よりも幅広な矩形形状の保持シートで構成してもよい。
【0033】
保持シート10の周縁部には、粘着部10aの無い領域として左縁部101及び右縁部102と、後縁部103及び前縁部104とが設けられている。左縁部101及び右縁部102は、駆動ローラ12とピンチローラ13によって上下両側から挟まれて支持される被支持部である。左縁部101及び右縁部102の夫々の幅寸法W1は、ピンチローラ13の押圧部13a,13bの幅寸法(軸方向寸法)W0よりも若干大きく設定されている(W1>W0)。後縁部103及び前縁部104の夫々の幅寸法W2は、左縁部101及び右縁部102の幅寸法W1と略同じ大きさに設定されている。
【0034】
保持シート10には、粘着部10aを囲う位置に複数の穴部31a〜34bが設けられている。詳細には、保持シート10の左縁部101に、その長手方向(前後方向)に延びる一対の細長穴31a,31bが形成され、右縁部102に、同方向に延びる一対の細長穴32a,32bが形成されている。また、保持シート10の後縁部103に、その長手方向(左右方向)に延びる一対の細長穴33a,33bが形成され、前縁部104に、同方向に延びる一対の細長穴34a,34bが形成されている。これら細長穴31a〜34bは、粘着部10aを直ぐ外側で囲う位置にある。また、細長穴31a〜34bは、何れも保持シート10の板厚方向に貫通し、且つ粘着部10aの周辺に沿ってスリット状に形成されている。
【0035】
細長穴31a〜34bは、何れも粘着部10aの隅部である角部近傍に位置し、且つ粘着部10aの頂点P1〜P4を除いた周辺部に設けられている。即ち、粘着部10aの頂点P1近傍で、相互に直交する方向に延びる細長穴31aと細長穴33aは、何れも頂点P1から間隔を置いて非連続となるように形成されている。これと同様に、他の頂点P2〜P4の近傍における、細長穴31bと細長穴34a、細長穴34bと細長穴32b、細長穴32aと細長穴33bは、夫々対応する頂点P2〜P4から間隔を置いて非連続となる位置関係にある。これにより、保持シート10は、細長穴31a〜34bを粘着部10aの角部近傍に設けた構成にあって、頂点P1〜P4における局所的な強度の低下が抑制される。
【0036】
次に、上記構成の作用について説明する。尚、被切断物6としては、図3に例示するような網掛けの図柄6aが印刷された紙を使用する。
ユーザは、切断装置1で切断する被切断物6として用意した紙が粘着部10aの領域からはみだす大きなものの場合には、次のようにして寸法を合わせる。先ず、図3に示すように、図柄6aの印刷面を表(おもて)にした被切断物6に対して、粘着部10aを表にした保持シート10を上側から重ねる。この場合、保持シート10及び粘着部10aは透明材料から形成されているため、下側の被切断物6や図柄6aを透かして視認することができる。よって、ユーザは、保持シート10を捲らずに被切断物6の縁部や図柄6aを見ながら、被切断物6において所望する領域を細長穴31a〜34bで囲うように保持シート10の位置を調整する。
【0037】
こうして、被切断物6に対する保持シート10の位置決めを行った後、チャコペンやボールペン等の筆記具で、夫々の細長穴31a〜34bをなぞるようにして、当該細長穴31a〜34bを通じて被切断物6上に線を描く。こうして、図4(b)に示すように、被切断物6には、8箇所の細長穴31a〜34bに夫々対応する8本の直線L1a〜L4bが付与される。これらの直線L1a〜L4bは、粘着部10aに対応する正方形形状の角部を画する基準線である。この基準線を基に、ユーザは、はさみを用いて直線L1a,L1bと、直線L2a,L2bと、直線L3a,L3bと、直線L4a,L4bとを夫々の直線の方向に延長して切断する。これにより、粘着部10aと同じ寸法に合わせた正方形形状の被切断物6を切り抜くことができる。
【0038】
ユーザは、切り抜いた被切断物6を粘着部10aに貼り付けるようにして保持シート10に保持させる。この場合、被切断物6の縁部を粘着部10aの縁部に沿わせるようにして、粘着部10aからはみでないように位置決めを行い、適切に貼り付けることができる。そして、保持シート10を、切断装置1の開口部2aから挿入してセットする。このとき、ユーザは、保持シート10の左右方向の位置を、位置決めラインE1,E2に合わせながら後方(図1の矢印方向)へ移動させる。そして、保持シート10の左縁部101及び右縁部102を、駆動ローラ12とピンチローラ13の押圧部12a〜13b間に挿入して挟持させる。
【0039】
こうしてセットが完了すると、ユーザは、前記操作スイッチを操作して、例えば切断装置1に備えられた記憶装置(図示略)に記憶されている切断データの中から所望の切断データを選択して切断動作を実行させる。被切断物6は、前述したように適切な寸法に設定され、保持シート10上において左右の縁部101,102側にはみださないように貼り付けられている。従って、切断時に、保持シート10の縁部101,102で被切断物6がピンチローラ13等に巻き込まれることが無く、且つ被切断物6の厚みに関係無く、保持シート10を安定して移動させることができる。
【0040】
以上のように本実施形態の保持シート10は、外縁101〜104から所定距離W1、W2内側の領域に設けられ、被切断物6を剥離可能に保持する粘着部10aを備え、保持シート10における粘着部10aを囲う位置に、複数の穴部(例えば細長穴31a〜34b)を設けた。
これによれば、保持シート10を被切断物6の上に重ねた状態において、被切断物6が粘着部10aの領域より大きい場合には、保持シート10の複数の穴部から被切断物6が見える。従って、保持シート10の穴部を通じて、ペンで被切断物6に印を付けることで、粘着部10aを囲う大きさの指標とすることができる。これにより、保持シート10の寸法の測定を不要としながらも、被切断物6を粘着部10aの大きさに簡単に合わせることができる。よって、各種の被切断物6について、保持シート10を利用して適切な寸法に合わせ、切断装置1で好適な切断を行うことができる。
【0041】
粘着部10aは、矩形形状の領域を形成するように設けられ、穴部は、矩形形状をなす粘着部10aの角部近傍に設けた。これによれば、被切断物6を粘着部10aと同じ寸法の矩形形状に合わせ、粘着部10aに適切に貼り付けることができる。また、これによれば、被切断物6に矩形形状の指標として必要且つ充分な印を付けることができる。
前記穴部は、粘着部10aの周辺に沿ってスリット状に形成された細長穴31a〜34bである。これによれば、被切断物6に対して、細長穴31a〜34bに沿って直線状の印L1a〜L4bを付けることができる。また、被切断物6に付けた印L1a〜L4bは、適度な長さの指標となるため視認し易いものとなる。
【0042】
細長穴31a〜34bは、矩形形状をなす粘着部10aの頂点P1〜P4を除いた周辺部分に設けられている。これによれば、保持シート10の頂点P1〜P4部分における局所的な強度の低下を抑制して破損や変形を防止することができる。
保持シート10及び粘着部10aは、透明材料から形成されている。これによれば、保持シート10を透して被切断物6を視認することができ、保持シート10を捲らずに被切断物6に対する位置合せを行うことができる。また、例えば被切断物6に図柄が印刷されている場合、保持シート10を透して被切断物6の図柄6aを視認することができ、図柄6aを見ながら位置合せを行うことができる。
【0043】
<その他の実施形態>
図5〜図8は、本発明の第2〜第5実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる点につき説明する。
図5(a)に示す第2実施形態の保持シート40は、第1実施形態の保持シート10とは以下の点について相違する。即ち、保持シート40には、粘着部10aにおける左側後半部の領域を区画するように、スリット状をなす細長穴31c,32c,32d,33c,34c,34dが追加的に形成されている。このうち、細長穴32c,32dは、粘着部10aを左右方向における略中央部で二分する位置に前後方向に延びるように形成されている。細長穴34c,34dは、粘着部10aを前後方向における略中央部で二分する位置に左右方向に延びるように形成されている。これにより、細長穴32c,32d,34c,34dは、夫々の直ぐ内側で延設方向に延びる仮想直線(図5(a)の二点鎖線参照)により、粘着部10aの左側後半部を矩形(正方形)形状Aに区画する配置とされている。これら細長穴32c,32d,34c,34dは、保持シート40と粘着部10aの層とを板厚方向に貫通している。
【0044】
保持シート40の左縁部101の細長穴31cは、細長穴31a,31bと同様に粘着部10aの左縁に沿って前後方向に延びている。後縁部103の細長穴33cは、細長穴33a,33bと同様に粘着部10aの後縁に沿って左右方向に延びている。これら細長穴31c,33cは、保持シート40を板厚方向に貫通し、他の細長穴31a,32c,32d,33a,34c,34dと共に矩形形状A用の細長穴(以下、符号31a〜34dで表す)を構成する。
【0045】
図5(a)に示すように矩形形状Aは、頂点をP1,P12,P13,P14とし、各辺の長さを粘着部10aの辺の長さの半分にした大きさである。この場合、頂点P12近傍で相互に直交する方向に延びる細長穴31cと細長穴34cは、何れも頂点P12から間隔を置いて非連続となるように形成されている。これと同様に、他の頂点P13,P14の近傍における、細長穴34dと細長穴32d、細長穴32cと細長穴33cは、夫々対応する頂点P13,P14から間隔を置いて非連続となる位置関係にある。これにより、前記矩形形状Aの角部近傍に細長穴31a〜34dを設けた構成にあって、頂点P1,P12,P13,P14における局所的な強度の低下を抑制することができる。
【0046】
ユーザは、切断装置1で切断データに基づき切断する模様が、粘着部10aの大きさに比べて小さい場合には、次のようにして予め被切断物6の寸法を合わせる。
先ず、第1実施形態と同様に、被切断物6上に保持シート40を上側から重ねる。次いで、被切断物6において所望する領域を矩形形状A用の細長穴31a〜34dで囲うように保持シート40の位置を調整する。そして、ペンで夫々の細長穴31a〜34dをなぞるようにして被切断物6上に線を描く。こうして、図5(b)に実線で示すように、被切断物6には、8箇所の細長穴31a〜34dに夫々対応する8本の直線L1a、L1c、L2c、L2d、L3a、L3c、L4c、L4dが付与される。これらの直線L1a〜L4dは、前述した矩形形状Aの角部を画する基準線である。この基準線を基に、ユーザは、はさみを用いて直線L1a、L1cと、直線L2c、L2dと、直線L3a、L3cと、直線L4c、L4dとを夫々の直線の方向に延長して切断する。これにより、保持シート40における矩形形状Aと同じ寸法の被切断物6を切り抜くことができる。切り抜いた被切断物6は、粘着部10aの左後側の縁部に沿わせて貼り付けられ、保持シート40と共に切断装置1にセットされる。
【0047】
以上のように保持シート40は、粘着部10aの一の角部を共通にする、粘着部10aよりも小さな矩形形状Aを囲う位置に細長穴31a〜34dを設けた。これによれば、被切断物6の大きさに係らず、切断装置1で切断する模様の大きさに応じて保持シート40に適合する矩形形状の寸法に簡単に合わせることができる。特に、切断装置1で切断データに基づき切断する模様が比較的小さい場合には、被切断物6を矩形形状Aの大きさに合わせることで、切断装置1で模様を切断するときの被切断物6の無駄を少なくすることができる。また、細長穴31a〜34dを、矩形形状Aの頂点P1,P12,P13,P14を除いた周辺部分に設けたので、これら頂点P1〜P14部分における局所的な強度の低下を抑制することができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
図6に示す第3実施形態の保持シート50は、第1実施形態の保持シート10と以下の点で相違する。
即ち、保持シート50には、図6(a)に示すように矩形形状Aの頂点P1,P12,P14に対応する丸穴51,52,53が設けられている。これら丸穴51〜53は、何れの比較的小さな径寸法に設定され、保持シート50の板厚方向に貫通している。また、丸穴51〜53は、保持シート50の周縁部101,103において、粘着部10aの外縁よりも外側へ離間した位置に形成されている。ここで、丸穴51と丸穴52との離間距離は、頂点P1,P12間の長さ寸法と一致させ、丸穴51と丸穴53との離間距離は、頂点P1,P14間の長さ寸法と一致させてある。
【0049】
保持シート50では、3箇所の丸穴51〜53を利用して、被切断物6を矩形形状Aと同じ寸法に合わせることができる。この場合、先ず、前述したように被切断物6上に保持シート40を上側から重ね、被切断物6において所望する領域を3箇所の丸穴51〜53を目安に保持シート40の位置を調整する。そして、ペンにより夫々の丸穴51〜53を通じて被切断物6上に小さな丸印(或は点)を付す。これにより、図6(b)に示すように、被切断物6には、3箇所の丸穴51〜53に夫々対応する3つの小さな丸印P51,P52,P53が付与される。更に、図6(a)に示すように、丸穴52と丸穴53とを結ぶ仮想直線の中間点Oを中心として、保持シート50を被切断物6上で180度回転させる。このとき、被切断物6の丸印P53と保持シート40の丸穴52とが一致し、被切断物6の丸印P52と保持シート40の丸穴53とが一致した状態となる。この状態で、ユーザは保持シート40の丸穴51を通じて、ペンにより被切断物6上に図6(c)に示す丸印P51aを新たに付与することができる。
【0050】
以上のように保持シート50の周縁部101,103に、粘着部10aの外縁よりも外側に離間した位置に、矩形形状Aに対応する穴部として3つの丸穴51、52、53を設けた。これによれば、保持シート50の3つの丸穴51〜53を利用して、被切断物6に対して4箇所に丸印P51,P52,P51a,P53を付与することができる。よって、被切断物6における4箇所の丸印P51〜P53を直線状に辿るように、はさみで切って、被切断物6を粘着部10aよりも小さい矩形形状Aの寸法に合わせることができる。しかも、粘着部10aの領域内に穴部を形成していないため、粘着部10aに貼り付けた被切断物6を切断装置1で切断する際に、カッタ4の刃先4cが穴部に引っ掛かることがない。
【0051】
また、保持シート50に対して、丸穴51〜53を矩形形状Aの頂点部分に対応するように設けたので、保持シート50に形成する穴部を極力小さなものとすることができる。また、穴部の形状を丸穴51〜53とすることで、穴部を形成することに伴う保持シート50の強度低下を極力抑制することができる。
尚、図示は省略するが、第1実施形態の保持シート10において、細長穴31a〜34bに代えて各頂点P1〜P4に第3実施形態のような丸穴を形成してもよい。
【0052】
図7に示す第4実施形態の保持シート60は、第1実施形態の保持シート10と異なり、細長穴31a〜34bが省略される一方、「L」字状をなす複数の穴部61〜67が設けられている。
これら穴部61〜67は、保持シート60の周縁部101,103において、粘着部10aの外縁よりも外側へ離間した位置に形成されている。このうち穴部61,62,64,66は粘着部10aの左辺部に沿って前後方向に等間隔で並び、穴部61,63,65,67は粘着部10aの後縁部に沿って左右方向に等間隔で並ぶ。この場合、穴部61,66は、粘着部10aの頂点P1,P2に対応し、穴部61,67は、粘着部10aの頂点P1,P4に対応するように設定されている。
【0053】
従って、保持シート60では、3箇所の穴部61,62,63を利用した図7に符号Sで示す小サイズの矩形形状と、3箇所の穴部61,64,65を利用した符号Mで示す中サイズの矩形形状と、3箇所の穴部61,66,67を利用した符号Lで示す大サイズの矩形形状との何れかの寸法に合わせることが可能である。つまり、保持シート60の3箇所の穴部61,62,63と、穴部61,64,65と,穴部61,66,67との何れかを利用して、被切断物6にS〜Lの何れかの矩形形状の角部に対応する4箇所の印を付すことができる。この方法については、第3実施形態と同様に行うことができ(図6(b)(c)参照)、その説明を省略する。
【0054】
以上のように保持シート60の周縁部101,103に、粘着部10aの周辺部において互いに直交する一対の辺部のうち、一方の辺部に沿う方向へ複数の穴部61,62,64,66を所定間隔で並べて配置すると共に、他方の辺部に沿う方向へ複数の穴部61,63,65,67を前記所定間隔で並べて配置した。これにより、穴部61〜67の数、或は間隔を適宜設定することで、被切断物6を切断装置1で切断する模様の大きさ等に応じて、被切断物6の矩形形状の寸法を段階的に合わせることができる。
【0055】
図示は省略するが、第1〜第4実施形態の保持シート10,40,50,60は、夫々粘着部10aの表面を覆う剥離シートを備える。
剥離シートは、保持シート10,40,50,60の不使用時に粘着部10aに触れない、又は埃等が付着しないように保護し、粘着性能を維持するために用いられる。剥離シートは、適度に剛性のある透明樹脂材料として、例えばシリコン処理が施されたPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成されている。また、剥離シートは、粘着部10aと同じ大きさの矩形形状に設定された平板状をなす。従って、粘着部10aの表面を剥離シートで覆った状態でも、保持シート10,40,50,60を透して被切断物6を視認することができる。また、ユーザは、粘着部10aに触れることなくペンで印を付けることができ、使い勝手のよいものとすることができる。
尚、第2実施形態の保持シート40において、粘着部10a領域内の穴部32c,32d,34c,34dを使って印を付ける場合には、前記剥離シートを剥がして使用する。
【0056】
これに対し、図8は、第5実施形態の剥離シート70を示している。
剥離シート70は、平板形状が維持できる程度に剛性を有する前記透明樹脂材料から形成されており、保持シート(図示略)の粘着部10aの領域よりも大きく形成された平板状をなす。本第5実施形態の保持シートには前記穴部が形成されておらず、剥離シート70に、第2実施形態の保持シート40の穴部と同様の穴部が形成されている。具体的には剥離シート70において、粘着部10aを囲う位置に対応する位置に細長穴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bが形成されると共に、前記矩形形状Aを囲う位置に対応する位置に細長穴31c,32c,32d,33c,34c,34dが形成されている。
【0057】
上記構成の剥離シート70を粘着部10aから剥がして被切断物6の上に重ねる。ここで、被切断物6が粘着部10aの領域より大きい場合には、剥離シート70において粘着部10aに対応する細長穴31a〜34bを通じてペンで被切断物6に印を付ける。これにより、剥離シート70を利用して被切断物6を粘着部10aの大きさに簡単に合わせることができる。一方、切断装置1で切断する模様が比較的小さい場合には、剥離シート70において前記矩形形状Aに対応する細長穴31a〜34dを通じてペンで被切断物6に印を付ける。これにより、剥離シート70を利用して被切断物6を矩形形状Aの大きさに簡単に合わせることができる。
【0058】
剥離シート70は、平板形状が維持できる程度に剛性を有する樹脂材料から形成されているため、外力により容易に変形することなく元の平板形状が維持される。このため、被切断物6に対するテンプレートとして正確に印を付けることができると共に、使い勝手のよいものとすることができる。また、剥離シート70は透明であるため、剥離シート70を透して被切断物6を視認することができ、剥離シート70を捲らずに被切断物6に対する位置合せを行うことができる。
【0059】
尚、本発明は上記しかつ図面に示す実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。本発明は、上記したカッティングプロッタとしての切断装置1に限られず、切断機能を備えた各種の装置にも適用できるものである。
前記保持シートの穴部は、上記した形状や配置構成に限定するものではなく、粘着部10aの領域を囲う位置、或は粘着部10aにおける所定の領域(例えば符号A、S、M、Lで示した領域)を囲う位置に設けたものであればよい。また、剥離シートの穴部も、粘着部10aの領域を囲う位置に対応する位置、或は粘着部10aにおける所定の領域を囲う位置に対応する位置に設けたものであればよい。従って、剥離シートに、第1〜第4実施形態に示した各種の穴部と同様の穴部を選択的に形成する等、適宜変更してもよい。
【0060】
前記保持シート、粘着部、及び剥離シートは、不透明材料を用いて構成してもよい。この場合、前記保持シート、粘着部、及び剥離シートを透して被切断物6は視認できないものの、保持シート或は剥離シートを被切断物6の上に重ねて、保持シート或は剥離シートの穴部から被切断物6を見て位置決めを行い、当該穴部を通じてペンで被切断物6に印を付けることができる。
前記保持シート或は粘着部の全体形状も矩形形状に代えて、各種の形状を採用することができる。また、保持シート上側の全面に粘着部10aを形成してもよい。この場合には、左右の縁部101,102に相当する部分に、例えば金属又は樹脂の薄板部材を貼り付けることで、被支持部として構成することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 切断装置
4 カッタ(切断刃)
6 被切断物
10,40,50,60 保持シート
31a〜31c,32〜32d,33a〜33c,34a〜34d 細長穴(穴部)
51〜53 丸穴(穴部)
61〜67 穴部
70 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで前記切断刃が前記被切断物を切断する切断装置にセットされる平板状の保持シートであって、
前記保持シートにおける外縁から所定距離内側の領域に設けられ、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着部を備え、
前記保持シートにおける前記粘着部を囲う位置に複数の穴部を設けたことを特徴とする保持シート。
【請求項2】
前記粘着部は、矩形形状の領域を形成するように設けられ、
前記穴部は、矩形形状をなす前記粘着部の角部近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載の保持シート。
【請求項3】
前記穴部は、前記粘着部の周辺に沿ってスリット状に形成された細長穴であることを特徴とする請求項2記載の保持シート。
【請求項4】
前記細長穴は、矩形形状をなす前記粘着部の頂点を除いた周辺部分に設けられたことを特徴とする請求項3記載の保持シート。
【請求項5】
前記穴部は、矩形形状をなす前記粘着部の頂点部分に設けられたことを特徴とする請求項2記載の保持シート。
【請求項6】
前記保持シート及び前記粘着部は、透明材料から形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の保持シート。
【請求項7】
前記粘着部の表面を覆う剥離シートを備え、
前記剥離シートは、透明材料から形成されていることを特徴とする請求項6記載の保持シート。
【請求項8】
切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで前記切断刃が前記被切断物を切断する切断装置にセットされる平板状の保持シートであって、
前記保持シートにおける外縁から所定距離内側の領域に設けられ、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着部と、
前記粘着部の表面全体を覆い、前記粘着部の領域よりも大きく形成された平板状の剥離シートとを備え、
前記剥離シートにおいて前記粘着部を囲う位置に対応する位置に複数の穴部を設けたことを特徴とする保持シート。
【請求項9】
前記剥離シートは、平板形状が維持できる剛性を有する樹脂材料から形成されていることを特徴とする請求項8記載の保持シート。
【請求項10】
請求項1から9の何れかに記載の保持シートを備えたことを特徴とする切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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