説明

保持シール材、及び、電気加熱式排ガス浄化装置

【課題】 電気加熱式排ガス浄化装置内に凝縮水が生じる環境下でも、良好な絶縁性を維持することができる保持シール材を提供すること。
【解決手段】 無機繊維が互いに絡み合って構成された無機繊維シートと、薄片状無機材料を含んで構成されている耐水性絶縁シートとを含むことを特徴とする保持シール材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持シール材、及び、電気加熱式排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガス浄化装置の構成部材として、シリカ繊維又はアルミナ繊維等の無機繊維から構成された不織布状の保持シール材が知られている。
【0003】
不織布状の保持シール材は、所定の反発力を有しており、円柱状の排ガス処理体と該排ガス処理体を収容する円筒状の金属ケーシングとの間に圧縮した状態で配置されている。
そのため、上記排ガス浄化装置では、不織布状の保持シール材により排ガス処理体が金属ケーシング内の所定の位置にしっかりと保持される。
また、不織布状の保持シール材が排ガス処理体と金属ケーシングとの間に配置されているので、排ガス浄化装置の使用時に振動等が加えられても排ガス処理体が金属ケーシングと接触しにくくなる。
さらに、不織布状の保持シール材は排ガス処理体と金属ケーシングとの間から排ガスを漏れにくくすることができる。
【0004】
上述した従来の不織布状の保持シール材を使用した排ガス浄化装置として、例えば、特許文献1及び2の電気加熱式排ガス浄化装置が開示されている。
【0005】
特許文献1及び2の電気加熱式排ガス浄化装置では、抵抗発熱体からなる排ガス処理体に電極部材が接続されており、電極部材を介して通電することにより排ガス処理体を急速加熱することができることが開示されている。
そのため、エンジン始動直後の排ガスの温度が低い状態であっても、通電により排ガス処理体の温度を触媒活性温度まで急速に上昇させることができるため、有害ガス等を効率的に除去することができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−269387号公報
【特許文献2】特開平06−81638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載された従来の電気加熱式排ガス浄化装置を構成する従来の不織布状の保持シール材は、排ガス処理体を保持する役割以外にも、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と金属ケーシングとの間の絶縁性を確保する役割を果している。
【0008】
ここで、エンジンの運転により発生した排ガスが電気加熱式排ガス浄化装置に導入されると、排ガスに含まれる水蒸気が、より温度の低い従来の不織布状の保持シール材に接触することで凝縮すると考えられる。
また、エンジンの運転停止により電気加熱式排ガス浄化装置が冷却されることによっても、排ガスに含まれる水蒸気が凝縮すると考えられる。
そのため、電気加熱式排ガス浄化装置の内部には、主に排ガスに含まれる水蒸気由来の凝縮水が生じると考えられる。
【0009】
しかしながら、従来の保持シール材は不織布状であり、水等を容易に吸着しやすい構造である。そのため、従来の保持シール材は、電気加熱式排ガス浄化装置の内部に生じた凝縮水を吸水しやすいと考えられる。
そのため、凝縮水を吸水した従来の保持シール材は、絶縁性が著しく低下すると考えられる。
そのため、従来の不織布状の保持シール材が吸水した状態で排ガス処理体に通電すると、電極部材及び排ガス処理体と金属ケーシングとの間の従来の保持シール材による絶縁性が保たれず、漏電すると考えられる。その結果、従来の保持シール材を電気加熱式排ガス浄化装置に用いる場合、排ガス浄化装置の漏電が生じやすいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、保持シール材の構成部材として耐水性絶縁シートを使用することにより、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時であっても、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と金属ケーシングとの間の絶縁性を保持シール材により保つことが可能となり、排ガス浄化装置の漏電を防止することができることを見出した。
本発明者らがかかる知見に基づいてさらに検討を続けた結果、上述した課題を解決することができる本発明の保持シール材を完成させた。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の保持シール材は、無機繊維が互いに絡み合って構成された無機繊維シートと、薄片状無機材料を含んで構成されている耐水性絶縁シートとを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の保持シール材では、電気加熱式排ガス浄化装置に使用した際に、電気加熱式排ガス浄化装置に排ガスが導入され、排ガスに含まれる水蒸気が凝縮することにより凝縮水が発生した場合、又は、電気加熱式排ガス浄化装置が冷却されることにより凝縮水が発生した場合であっても、耐水性を有する耐水性絶縁シートを凝縮水が透水しない。そのため、凝縮水が耐水性絶縁シートにより遮断されるので、保持シール材の全体が完全に吸水してしまうことはない。
従って、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と金属ケーシングとの間の絶縁性が保持シール材により保たれるので、排ガス処理体に通電したとしても排ガス浄化装置が漏電しにくく、安全性を高くすることができる。
【0013】
本発明の保持シール材では、上記耐水性絶縁シートが、薄片状無機材料を含んで構成されている。薄片状無機材料は、無機材料が層状に重なっており、層間で無機材料がずれることができるために、柔軟性に優れている。
そのため、保持シール材を円柱状等の所定形状を有する排ガス処理体の外周面等に巻き付けやすく、取り扱い性に優れている。
【0014】
請求項2に記載の保持シール材では、上記薄片状無機材料は、マイカ、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、スメクタイト及び層状チタン酸からなる群から選択される一種以上の材料である。
請求項3に記載の保持シール材では、上記薄片状無機材料はマイカである。
上記薄片状無機材料は、粘土系の無機材料であり、金属材料ではないため絶縁性に優れた材料として適している。また、無機材料であるため耐熱性が高く、高温になる電気加熱式排ガス浄化装置内に配置する用途に適している。
また、マイカは、耐水性に優れ、高湿度下であっても高い電気絶縁性を発揮することができるため特に適している。
【0015】
請求項4に記載の保持シール材において、上記耐水性絶縁シートは、接着剤を含んでいる。
請求項4に記載の保持シール材には耐水性絶縁シートに接着剤が含まれており、柔軟性を損なうことなく、薄片状無機材料同士をより強固に接着することができる。そのため、耐水性絶縁シートの強度ひいては保持シール材の強度が高くなる。また、薄片状無機材料同士を密に接着することができるので、耐水性が向上し、凝縮水が生じる環境下で良好な絶縁性を維持することができる。
請求項5に記載の保持シール材において、上記接着剤は、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、ポリオールエステル、アルキルナフタレン、ハロカーボン、ポリアリールアルカン、ポリフェニル、ケイ酸エステル及びポリフェニルエーテルからなる群から選択される一種以上の材料からなる。
請求項6に記載の保持シール材において、上記接着材は、シリコーンである。
【0016】
請求項7に記載の保持シール材では、上記無機繊維シートが、第一無機繊維シートと第二無機繊維シートとを含み、
上記耐水性絶縁シートが、上記第一無機繊維シートと上記第二無機繊維シートとの間に挟まれている。
請求項7に記載の保持シール材を電気加熱式排ガス浄化装置に使用する場合には、保持シール材の第一無機繊維シート側を金属ケーシング側とし、第二無機繊維シート側を排ガス処理体側に配置することができる。
このような構成を有する電気加熱式排ガス浄化装置では、不織布状であり、衝撃吸収性を有する第一無機繊維シートが金属ケーシングに接触しており、耐水性絶縁シートが金属ケーシングに直に接触していないので、金属ケーシングに外部から振動等の衝撃が加えられたとしても耐水性絶縁シートが破損しにくい。また、排ガスが流通することにより排ガス処理体が高温になっても、耐熱性に優れる第二無機繊維シートが排ガス処理体に接触しており、耐水性絶縁シートが排ガス処理体に直に接触していないので、耐水性絶縁シートが溶損しにくい。
【0017】
請求項8に記載の保持シール材では、上記無機繊維シートと上記耐水性絶縁シートとが無機接着剤により接着している。
請求項8に記載の保持シール材では、無機繊維シートと耐水性絶縁シートとが分離しにくく、電気加熱式排ガス浄化装置の製造時等において保持シール材の取り扱いに優れる。
【0018】
請求項9に記載の保持シール材では、上記無機繊維が、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維である。
請求項9に記載の保持シール材では、これらの無機繊維は耐熱性や反発力等の特性に優れているので、これらの無機繊維からなる保持シール材は耐熱性や保持力等に優れる。
また、保持シール材を構成する無機繊維に生体溶解性繊維が含まれる場合には、保持シール材の取り扱い時に生体溶解性繊維が飛散して体内に取り込まれたとしても溶解し、体外に排出されることになるため、人体に対する安全性に優れる。
【0019】
請求項10に記載の保持シール材は、有機バインダをさらに含む。
請求項10に記載の有機バインダが含まれた保持シール材は、無機繊維同士が有機バインダで接着しており、圧縮されている。この保持シール材を電気加熱式排ガス浄化装置に用いると、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時には、高温の排ガスの熱により有機バインダが分解し、無機繊維の接着が解除され、保持シール材が膨張する。そのため、保持シール材が高い保持力を発揮することができる。
【0020】
請求項11に記載の保持シール材は、膨張材をさらに含む。
請求項11に記載の膨張材が含まれた保持シール材は、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時における高温の排ガスの熱により膨張材が膨張するので、高い保持力を発揮することができる。
【0021】
また、請求項12に記載の電気加熱式排ガス浄化装置は、
抵抗発熱体からなる排ガス処理体と、
上記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、
上記排ガス処理体と上記金属ケーシングとの間に配設され、上記排ガス処理体を保持する保持シール材とを備える電気加熱式排ガス浄化装置であって、
上記金属ケーシングと上記保持シール材とを貫通しており、第一端部が上記排ガス処理体に結合し、第二端部が上記金属ケーシング外に露出している第一電極と、
上記金属ケーシング及び上記保持シール材を貫通しており、第一端部が上記排ガス処理体に結合し、第二端部が上記金属ケーシング外に露出している第二電極とを備え、
上記保持シール材は、本発明の保持シール材であることを特徴とする。
【0022】
請求項12に記載の電気加熱式排ガス浄化装置では、耐水性に優れる本発明の保持シール材を使用しているため、電気加熱式排ガス浄化装置の内部に凝縮水が生じた場合であっても、保持シール材全体が完全に吸水してしまうことはない。
そのため、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時において、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と、金属ケーシングとの間の絶縁性が保持シール材により保たれるので、排ガス処理体に通電しても排ガス浄化装置が漏電しにくく、安全性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(a)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す本発明の保持シール材のA−A線断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置のB−B線断面図である。
【図3】図3(a)は、図2(a)に示した本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図2(a)に示した本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を構成する金属ケーシングを模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を組み込んだ排気系システムの一例を模式的に示す概略図である。
【図5】本発明の第一実施形態の保持シール材を巻き付けた排ガス処理体を、金属ケーシングに圧入する圧入工程を模式的に説明する斜視図である。
【図6】図6(a)は、絶縁抵抗測定試験器を模式的に示す側面図であり、測定用サンプルに水を含浸させる様子を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、絶縁抵抗を導通テスターで測定する様子を模式的に示す斜視図である。
【図7】実施例1及び比較例1で製造した保持シール材の絶縁抵抗測定試験の測定結果を示すグラフである。
【図8】図8(a)は、本発明の第二実施形態の保持シール材を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は、図8(a)に示す本発明の第二実施形態の保持シール材のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一実施形態)
以下、本発明の保持シール材、及び、電気加熱式排ガス浄化装置の一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1(a)は、本発明の第一実施形態の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す本発明の第一実施形態の保持シール材のA−A線断面図である。
【0026】
図1(a)に示す本実施形態の保持シール材1の形状は、所定の長さ(図1(a)中、矢印Lで示す)、幅(図1(a)中、矢印Wで示す)及び厚さ(図1(a)中、矢印Tで示す)を有する平面視略矩形状である。
本実施形態の保持シール材1は、第一主面10aと、第一主面10aに対向して位置している第二主面10bと、第一長側面20aと、第一長側面20aに対向して位置している第二長側面20bと、第一短側面30aと、第一短側面30aに対向して位置している第二短側面30bとを有している。
また、保持シール材1には、電極を貫通させるための貫通部11aおよび11bが設けられている。
【0027】
本実施形態の保持シール材1は、無機繊維シート40と、耐水性絶縁シート41とから構成されている。
図1(a)及び図1(b)に示す例では、第一無機繊維シート40aと、耐水性絶縁シート41と、第二無機繊維シート40bとがこの順で積層されており、第一無機繊維シート40aと第二無機繊維シート40bとの間に耐水性絶縁シート41が挟まれている。
即ち、耐水性絶縁シート41は、第一無機繊維シート40aの一の主面(下面)の全体を覆っており、第二無機繊維シート40bの一の主面(上面)の全体を覆っている。
なお、本発明の保持シール材は、無機繊維シートと耐水性絶縁シートとを含んで構成されていればよく、必ずしもこの順で積層されている必要はない。
【0028】
無機繊維シート40(第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40b)は、厚さが薄いこと以外は上述した保持シール材1と略同様の形状を有している。
無機繊維シート40は、シリカ繊維、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維等の無機繊維が絡み合って構成されており、不織布状を呈している。
そのため、無機繊維シート40は、絶縁性、柔軟性、衝撃吸収性、耐熱性等の特性に優れている。
【0029】
耐水性絶縁シート41は、厚さが薄いこと以外は、上述した保持シール材1と略同様の形状を有している。
本明細書において、耐水性絶縁シートとは、吸水率が0〜3%であり、常温での体積抵抗率が10Ωm〜1014Ωmであり、550℃、1時間加熱後の体積抵抗率の低下量が加熱前の体積抵抗率に比べて1/1000Ωm以下であり、主に無機物を含んで構成されたシートのことをいうものとする。
耐水性絶縁シート41は、絶縁性及び耐水性等の特性に優れている。
なお、耐水性絶縁シートの吸水率とは、耐水性絶縁シートを20℃の水に24時間浸漬させる浸漬処理を行うことにより求めた値である。具体的には、浸漬処理後の耐水性絶縁シートの重量から浸漬処理前の耐水性絶縁シートの重量を減じた値を浸漬処理前の耐水性絶縁シートの重量で除することにより得られる値に、100を乗じた値(%)である。
【0030】
上述した構成及び特性を有する無機繊維シート40及び耐水性絶縁シート41を備える本実施形態の保持シール材1は、絶縁性、柔軟性、衝撃吸収性、耐熱性、耐水性等の特性に優れている。
【0031】
なお、本実施形態の保持シール材1を後述する本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置に使用する場合には、保持シール材1の第一無機繊維シート40a側を金属ケーシング側に配置してもよいし、第二無機繊維シート40b側を金属ケーシング側に配置してもよい。
以下の説明では、保持シール材1の第一無機繊維シート40a側を金属ケーシング側に配置する場合を例にして説明を行うこととする。
また、保持シール材1には、電極を貫通させるための貫通部11aおよび11bが設けられている。
【0032】
第一無機繊維シート40aと耐水性絶縁シート41とは、無機接着剤により接着していてもよいし、物理的に積層されていてもよい。同様に、耐水性絶縁シート41と第二無機繊維シート40bとは、無機接着剤により接着していてもよいし、物理的に積層されていてもよい。
第一無機繊維シート40aと耐水性絶縁シート41と第二無機繊維シート40bとは、無機接着剤により接着していることが望ましい。
【0033】
無機接着剤としては、例えば、金属アルコキシドを含むセラミック接着剤、又は、アルミナゾルやシリカゾルを含むセラミック接着剤が挙げられる。
【0034】
本実施形態の保持シール材1の大きさは、長さ(L)100〜1000mm×幅(W)20〜500mm×厚さ(T)5〜30mmであることが望ましい。
上記の大きさであると、保持シール材を巻き付ける対象である排ガス処理体の大きさに整合するためである。
【0035】
本実施形態の保持シール材1の目付量(単位面積あたりの重量)は、400〜10000g/mであることが望ましく、1000〜6000g/mであることがより望ましく、900〜3000g/mであることがさらに望ましい。保持シール材1の目付量が上記範囲であると、保持シール材が適度な嵩を有し、適度な反発力を得ることができるからである。
また、保持シール材の目付量が900g/m未満であると、保持シール材の嵩が高すぎることがあり、保持シール材の目付量が3000g/mを超えると、保持シール材の嵩が低すぎることがある。
【0036】
本実施形態の保持シール材1の密度は、0.08〜0.30g/cmであることが望ましく、0.10〜0.20g/cmであることがより望ましい。
本実施形態の保持シール材1の密度が0.08〜0.30g/cmであると、無機繊維同士がよく絡み合うので無機繊維の剥離が生じにくく、保持シール材の形状を所定の形状に保つことができる。また、保持シール材が適度な柔軟性を有するため、排ガス処理体への巻き付け性が高くなる。
これに対して、保持シール材の密度が0.08g/cm未満であると、無機繊維の絡み合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、保持シール材の形状を所定の形状に保ちにくくなる。また、保持シール材の密度が0.30g/cmを超えると、保持シール材が硬くなり、排ガス処理体への巻き付け性が低下する。
【0037】
第一無機繊維シート40aの厚さは、1〜50mmであることが望ましく、第二無機繊維シート40bの厚さは、1〜50mmであることが望ましく、耐水性絶縁シート41の厚さは、0.005〜5mmであることが望ましく、1〜3mmであることがより望ましい。
第一無機繊維シート40aの厚さが、1mm未満であると、第一無機繊維シート40aの厚さが薄すぎて、電気加熱式排ガス浄化装置に使用した際、金属ケーシングに外部から振動等の衝撃が加えられると耐水性絶縁シート41が破損しやすくなる。
第一無機繊維シート40aの厚さが、50mmを超えると、第一無機繊維シート40aの厚さが厚すぎて、巻き付けが困難であり、保持シール材が割れやすくなる。
第二無機繊維シート40bの厚さが、1mm未満であると、第二無機繊維シート40bの厚さが薄すぎて、電気加熱式排ガス浄化装置に使用した際、排ガス処理体が高温になった場合に耐水性絶縁シート41に熱が伝わりやすく、耐水性絶縁シート41が溶損しやすくなる。
第二無機繊維シート40bの厚さが、50mmを超えると、第二無機繊維シート40bの厚さが厚すぎて、巻き付けが困難であり、保持シール材が割れやすくなる。
耐水性絶縁シート41の厚さが、0.005mm未満であると、耐水性絶縁シート41の厚さが薄すぎて、耐水性及び絶縁性が低くなることがある。
耐水性絶縁シート41の厚さが、5mmを超えると、耐水性絶縁シート41の厚さが厚すぎて、柔軟性が低くなり、耐水性絶縁シートが割れやすくなる。
なお、第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bの厚さは、それぞれ略同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
本実施形態の保持シール材1の第一短側面30aには凸部34aが形成されており、第二短側面30bには保持シール材1を丸めて第一短側面30aと第二短側面30bとを当接させた際に凸部34aと嵌合する形状の凹部34bが形成されている。
なお、保持シール材1の凸部34aと凹部34bとは必要に応じて形成されていればよく、形成されていなくともよい。保持シール材1の凸部34aと凹部34bとが形成されていない場合、第一短側面30aと第二短側面30bは、ともに平坦な面となる。
【0039】
保持シール材1の凸部34a及び凹部34bの形状は、凸部34aと凹部34bとが嵌合することができる形状であれば特に限定されないが、第一短側面30aの一部に幅10mm×長さ10mm〜幅200mm×長さ200mmの大きさに渡って突出した凸部34aが形成されており、第二短側面の一部にそれに嵌合する形状の凹部34bが形成されていることが望ましい。排ガス処理体や保持シール材の寸法バラツキを凹凸間の隙間で調整して、かつ、保持シール材によるシール性を保つことができるためである。
【0040】
第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bは、それぞれ無機繊維が互いに絡み合って構成されている。
第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bを構成する無機繊維は、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維であることが望ましい。
第一無機繊維シート40aを構成する無機繊維の種類と、第二無機繊維シート40bを構成する無機繊維の種類とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
第一無機繊維シート40aを金属ケーシング側に配置し、第二無機繊維シート40bを排ガス処理体側に配置する場合には、弾性に優れたシリカ繊維等を用いて第一無機繊維シート40aを形成し、耐熱性に優れたアルミナ繊維やアルミナ−シリカ繊維等を用いて第二無機繊維シート40bを形成することが望ましい。
排ガス処理体側は金属ケーシング側に比べて温度が高くなるため耐熱性が高い繊維を用いることが好ましく、金属ケーシング側はそれほど温度が高くならないため、巻き付け性を高めるために弾性が高い繊維を用いることが好ましいためである。
【0041】
アルミナ繊維には、アルミナ以外に、例えば、CaO、MgO、ZrO等の添加剤が含まれていてもよい。
アルミナ−シリカ繊維の組成比としては、重量比で、Al:SiO=60:40〜80:20であることが望ましく、Al:SiO=70:30〜74:26であることがより望ましい。
このような組成比であると、ムライト結晶を生成しやすく、ムライト結晶が形成されると耐熱性、繊維強度が向上するためである。
シリカ繊維には、シリカ以外に、例えば、CaO、MgO、ZrO等の添加剤が含まれていてもよい。
生体溶解性繊維は、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び、ホウ素化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる無機繊維である。
生体溶解性繊維は、人体に取り込まれても溶解しやすいので、生体溶解性繊維が互いに絡み合って構成された無機繊維シートを含む保持シール材は、人体に対する安全性に優れている。上記アルカリ金属化合物としては、例えば、Na、Kの酸化物等が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、Mg、Ca、Baの酸化物等が挙げられる。上記ホウ素化合物としては、Bの酸化物等が挙げられる。
【0042】
生体溶解性繊維の具体的な組成は、シリカ60〜85重量%、並びに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物15〜40重量%を含む組成が挙げられる。
上記シリカとは、SiO又はSiOのことをいう。
また、上記アルカリ金属化合物としては、例えば、Na、Kの酸化物等が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、Mg、Ca、Baの酸化物等が挙げられる。上記ホウ素化合物としては、Bの酸化物等が挙げられる。
【0043】
生体溶解性繊維の組成において、シリカの含有量が、60重量%未満では、ガラス溶融法では作製しにくく、繊維化しにくい。
また、シリカの含有量が60重量%未満では、柔軟性を有するシリカの含有量が少ないために構造的にもろく、また、生理食塩水に溶け易い、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の割合が相対的に高くなるので生体溶解性繊維が生理食塩水に溶け易くなりすぎる傾向にある。
一方、シリカの含有量が85重量%を超えると、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の割合が相対的に低くなるので生体溶解性繊維が生理食塩水に溶けにくくなりすぎる傾向にある。
なお、シリカの含有量は、SiO及びSiOの量をSiOに換算して算出したものである。
【0044】
また、生体溶解性繊維の組成においてアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が、15〜40重量%であることが望ましい。アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が15重量%未満であると、生体溶解性繊維が生理食塩水に溶けにくくなりすぎる傾向にある。
一方、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が40重量%を超えると、ガラス溶融法では作製しにくく、繊維化しにくい。また、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が40重量%を超えると構造的にもろく、生体溶解性繊維が生理食塩水に溶け易くなりすぎる傾向にある。
【0045】
上記生体溶解性繊維の生理食塩水に対する溶解度は、30ppm以上であることが望ましい。生体溶解性繊維の溶解度が30ppm未満では、無機繊維が体内に取り込まれた場合に、体外へ排出されにくく、健康上好ましくないからである。
なお、溶解度は、下記方法で測定することができる。
【0046】
(I)まず、2.5gの無機繊維を蒸留水中に、食品用ブレンダーを用いて懸濁させた後、静置して無機繊維を沈殿させ、さらにデカンテーションにより上澄み液を除去した後、110℃で乾燥することにより、残りの液体を除去し、無機繊維試料を調製する。
【0047】
(II)塩化ナトリウム6.780g、塩化アンモニウム0.540g、炭酸水素ナトリウム2.270g、リン酸水素二ナトリウム0.170g、クエン酸ナトリウム二水和物0.060g、グリシン0.450g、及び、硫酸(比重1.84)0.050gを蒸留水で1リットル(l)に希釈し、生理食塩水溶液を調製する。
【0048】
(III)(I)で調製した無機繊維試料0.50gと(II)で調製した生理食塩水溶液25cmとを遠心チューブに入れ、良く振盪した後、37℃、20サイクル/分の振盪インキュベータで5時間処理する。
その後、遠心チューブを取り出し、4500rpmで、5分間遠心分離し、その上澄みを注射器で取り出す。
【0049】
(IV)次に、上記上澄み液をフィルタ(0.45μmセルロースニトレートメンブレンフィルタ)でろ過し、得られた試料について、原子吸光分析により、シリカ、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムの生理食塩水溶液に対する溶解度を測定する。
【0050】
本実施形態の保持シール材1において、第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bを構成する無機繊維の平均繊維長は、0.5〜100mmであることが望ましい。上記無機繊維の平均繊維長が0.5〜100mmであると、第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bの強度が高くなり、保持シール材1の強度をより高くすることができる。
無機繊維の平均繊維長が0.5mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎて、無機繊維同士の交絡が不充分となり、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シートの強度が低くなる。また、無機繊維の平均繊維長が100mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎて、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シートの作製時における無機繊維の取り扱い性が低下する。
【0051】
第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bを構成する無機繊維の平均繊維径は、3〜10μmであることが望ましく、5〜7μmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維径が3〜10μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高く、保持シール材のせん断強度を向上させることができる。
無機繊維の平均繊維径が3μm未満であると、無機繊維が細く切れやすいので、無機繊維の引張強度が不充分となる。一方、無機繊維の平均繊維径が10μmを超えると、無機繊維が曲がりにくいため、柔軟性が不充分となる。
【0052】
耐水性絶縁シート41は、薄片状無機材料が接着剤により接着されたシートであることが望ましい。
上記薄片状無機材料は、マイカ、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、スメクタイト及び層状チタン酸からなる群から選択される一種以上の材料からなることが望ましい。また、上記接着剤は、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、ポリオールエステル、アルキルナフタレン、ハロカーボン、ポリアリールアルカン、ポリフェニル、ケイ酸エステル及びポリフェニルエーテルからなる群から選択される一種以上の材料からなることが望ましい。
耐水性絶縁シート41は、マイカがシリコーンで接着されることにより形成されたマイカシートであることがより望ましい。
【0053】
耐水性絶縁シート41の吸水率は、3%以下であることが望ましく、0〜3%がより望ましく、0〜2%であることがさらに望ましい。
耐水性絶縁シート41の吸水率が3%を超えると、耐水性が低く、凝縮水が耐水性絶縁シートを通過する可能性があるため、排ガス処理体に通電した場合に排ガス浄化装置が漏電しやすくなる。
【0054】
耐水性絶縁シート41の絶縁抵抗は、常温での体積抵抗率が10Ωm〜1014Ωmであることが望ましく、550℃、1時間加熱後の体積抵抗率の低下量が加熱前の体積抵抗率に比べて1/500Ωm以下であることが望ましい。耐水性絶縁シート41の絶縁抵抗及び550℃、1時間加熱後の体積抵抗率の低下量が上記範囲であると、かかる耐水性絶縁シートを使用した保持シール材は、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時に良好な絶縁性を確保することができる。
【0055】
本実施形態の保持シール材1には、有機バインダが含まれていてもよい。
本実施形態の保持シール材1に有機バインダが含まれていると、第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bを構成する無機繊維同士を接着することができ、保持シール材を圧縮することができる。この保持シール材を電気加熱式排ガス浄化装置に用いると、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時には、排ガスの熱により有機バインダが分解し、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シートを構成する無機繊維の接着が解除され、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シートが膨張するので、高い保持力を発揮することができる。
【0056】
有機バインダは、例えば、アクリル系樹脂、アクリルゴム等のゴム、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等であってもよい。これらの中では、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが特に望ましい。
【0057】
本実施形態の保持シール材1全体に含まれる有機バインダの合計量は、保持シール材1全体の重量の0.5〜20重量%であることが望ましい。
上記有機バインダの合計量が保持シール材全体の重量の0.5〜20重量%であると、無機繊維同士をより強固に接着することができるので、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シート(保持シール材)の強度を向上させることができる。また、上記有機バインダの合計量が保持シール材全体の重量の0.5〜20重量%であると、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シート(保持シール材)の嵩を適度に低くすることができ、適度な反発力を得ることができる。
一方、保持シール材全体に含まれる有機バインダの合計量が、保持シール材全体の重量の0.5重量%未満であると、有機バインダの量が少なすぎて、無機繊維が飛散しやすくなり、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シート(保持シール材)の強度が低下しやすくなる。
また、保持シール材全体に含まれる有機バインダの合計量が、保持シール材全体の重量の20重量%を超えると、保持シール材を電気加熱式排ガス浄化装置に用いた場合に、排出される排ガス中の、有機バインダに由来して排出される有機成分の量が増加することになるので、環境に負荷がかかりやすくなる。
【0058】
本実施形態の保持シール材1を電気加熱式排ガス浄化装置に使用した際に、電気加熱式排ガス浄化装置に排ガスが導入され、排ガスに含まれる水蒸気が凝縮することにより凝縮水が発生した場合、又は、電気加熱式排ガス浄化装置が冷却されることにより凝縮水が発生した場合であっても、耐水性を有する耐水性絶縁シート41を凝縮水が透水しない。そのため、凝縮水が耐水性絶縁シート41により遮断されるので、保持シール材1全体が完全に吸水してしまうことはない。
従って、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と金属ケーシングとの間の絶縁性が保持シール材1により保たれるので、排ガス処理体に通電したとしても排ガス浄化装置が漏電しにくく、安全性を高くすることができる。
【0059】
次に、本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置の構成について、図面を用いて説明する。
【0060】
図2(a)は、本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置のB−B線断面図である。
図3(a)は、図2(a)に示した本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図2(a)に示した本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を構成する金属ケーシングを模式的に示す斜視図である。
図4は、本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を組み込んだ排気系システムの一例を模式的に示す概略図である。
【0061】
図2(a)及び図2(b)に示すように、電気加熱式排ガス浄化装置160は、排ガス処理体140と、排ガス処理体140を収容する金属ケーシング150と、排ガス処理体140及び金属ケーシング150の間に配設され、排ガス処理体140を保持する保持シール材1と、第一電極151及びその外周部を覆っている第一絶縁部材153と、第二電極152及びその外周部を覆っている第二絶縁部材154とから構成されている。
【0062】
本実施形態の保持シール材1の第一無機繊維シート40aは、金属ケーシング150に接触しており、保持シール材1の第二無機繊維シート40bは、排ガス処理体140に接触している。
【0063】
図2(b)及び図3(a)に示す排ガス処理体140は、多数の貫通孔141が隔壁142を隔てて長手方向に並設された柱状体である。
【0064】
排ガス処理体140は、例えば、炭化ケイ素、コージェライト、金属(鉄、アルミ又はステンレス)等の抵抗発熱体から構成されている。
【0065】
排ガス処理体140の外周には、排ガス処理体140の外周部を補強したり、形状を整えたり、排ガス処理体140の断熱性を向上させたりする目的で、コート層144が設けられている。
排ガス処理体140としては、図3(a)に示したように一体的に形成された1つのハニカム焼成体からなる排ガス処理体であってもよいし、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体を主にセラミックを含む接着剤層を介して複数個結束してなる排ガス処理体であってもよい。
【0066】
排ガス処理体140には、CO、HC又はNOx等の有害なガス成分を除去することができる触媒が担持されている。
【0067】
上記触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、CeO等の金属酸化物等が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なお、排ガス処理体140に高比表面積のアルミナ膜からなる触媒担持層を形成し、上記触媒担持層を介して上記触媒を担持させてもよい。
【0068】
金属ケーシング150について説明する。
図3(b)に示す金属ケーシング150は、主にステンレス等の金属からなり、その形状は、略円筒状である。
その内径は、排ガス処理体140に保持シール材1が巻き付けられた状態の巻付体の直径より若干短くなっており、その長さは、排ガス処理体140の長手方向における長さと略同一となっている。
また、第一電極151と、第一電極151の外周部を覆っている第一絶縁部材153とが貫通する第一貫通孔155が形成されている。
第二電極152と、第二電極152の外周部を覆っている第二絶縁部材154とが貫通する第二貫通孔156が形成されている。
【0069】
金属ケーシング150の材質は、耐熱性を有する材料であれば、上述したステンレスに限られず、アルミニウム、鉄等の金属類であってもよい。
また、上記金属ケーシングとしては、略円筒状の金属ケーシングを長手方向に沿って複数の金属ケーシング片に分割した金属ケーシング(即ちクラムシェル)、長手方向に沿って延びるスリット(開口部)を1箇所にのみ有する断面C字状又はU字状の円筒状の金属ケーシング、排ガス処理体に巻き付けられた保持シール材の外周に巻き締められることにより円筒状の金属ケーシングとなる金属板等であってもよい。
また、金属ケーシング150の端部には、必要に応じて、エンジンから排出された排ガスを導入する導入管と電気加熱式排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されていてもよい。
【0070】
本実施形態の保持シール材1の構成については、既に説明したので省略する。
【0071】
図2(a)及び図2(b)に示すように、第一電極151の外周部は、第一電極151と金属ケーシング150との間の絶縁性を確保するための第一絶縁部材153で覆われている。
第一電極151及び第一絶縁部材153は、金属ケーシング150の第一貫通孔155に嵌め込まれており、第一電極151は保持シール材1の貫通部11bを貫通している。
第一電極151の第一端部151aは、排ガス処理体140に接触しており、第一電極151の第二端部151bは、金属ケーシング150外に露出している。
【0072】
第二電極152の外周部は、第二電極152と金属ケーシング150との間の絶縁性を確保するための第二絶縁部材154で覆われている。
第二電極152及び第二絶縁部材154は、金属ケーシング150の第二貫通孔156に嵌め込まれており、第二電極152は保持シール材1の貫通部11aを貫通している。
第二電極152の第一端部152aは、排ガス処理体140に接触しており、第二電極152の第二端部152bは、金属ケーシング150外に露出している。
よって、第一電極151、第二電極152及び排ガス処理体140は、第一電極151の第二端部151b及び第二電極152の第二端部152bを電源に接続することにより通電可能である。
一方、保持シール材1、第一絶縁部材153及び第二絶縁部材154により、第一電極151、第二電極152及び排ガス処理体140と金属ケーシング150とは、絶縁性が保たれている。
【0073】
上述した構成を有する電気加熱式排ガス浄化装置160で排ガスが浄化される理由について、図2(b)、図4を用いて以下に説明する。
【0074】
図4に示す排気系システム200は、燃料タンク210から燃料が供給されるエンジン220と、エンジン220の燃焼室221に一端が接続しており、他端が本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置160の排ガス流入側の端部に接続している第一排気管213と、電気加熱式排ガス浄化装置160と、電気加熱式排ガス浄化装置160の排ガス流出側の端部に一端が接続しており、他端が図示しないマフラー等に連結している第二排気管214とから主に構成されている。
また、電気加熱式排ガス浄化装置160の第一電極151と第二電極152とは、スイッチ216を備える電源217に接続されている。
エンジン220の燃焼室221から排出され、第一排気管213を通って排ガス流入側の端部から電気加熱式排ガス浄化装置160内に導入された排ガスは、電気加熱式排ガス浄化装置160を通過した後、排ガス流出側の端部から第二排気管214を介して外部に排出される。
【0075】
電気加熱式排ガス浄化装置160内に導入された排ガスの流れについて、図2(b)を用いてより詳細に説明する。
図2(b)に示すように、電気加熱式排ガス浄化装置160に流入した排ガス(図2(b)、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体140の排ガス流入側端面140aに開口した貫通孔141に流入し、貫通孔141を隔てる隔壁142と接触しながら、排ガス流出側端面140bに開口した貫通孔141から流出する。
この過程で、排ガス処理体140の隔壁142に担持された触媒により、排ガス中の有害ガス等が改質されて除去される。
【0076】
また、本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置160では、エンジンの始動直後に、排ガス処理体1を急速加熱することにより排ガス浄化効率を向上させることができる。
具体的には、図4に示すスイッチ216を入れて第一電極151及び第二電極152を介して排ガス処理体140に通電することにより、抵抗発熱体である排ガス処理体140を急速加熱することができる。
これにより、エンジン始動直後の排ガスの温度が低い状態であっても、排ガス処理体140の温度を触媒活性温度まで急速に上昇させることができるため、有害ガス等を効率的に除去することができる。
【0077】
なお、排ガス処理体140の各々の貫通孔におけるいずれか一方の端部は、封止材によって目封じされたセルであってもよい。このような排ガス処理体は、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれるパティキュレートマター(以下、単にPMともいう)を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としても機能することができる。
この場合、ディーゼルエンジンから排出され、電気加熱式排ガス浄化装置に流入した排ガスは、排ガス処理体の排ガス流入側端面に開口した一のセルに流入し、セルを隔てるセル壁を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。
浄化された排ガスは、排ガス流出側端面に開口した他のセルから流出し、外部に排出される。
【0078】
次に、本実施形態の保持シール材を製造する方法と、電気加熱式排ガス浄化装置を製造する方法について説明する。
【0079】
本実施形態の保持シール材は、以下の工程(1)〜(4)を経て製造する。
ここでは、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シートを構成する無機繊維として、ともにアルミナ−シリカ繊維を使用する場合について説明するが、本実施形態の保持シール材を構成する無機繊維については、アルミナ−シリカ繊維に限られるものではなく、上述したアルミナ繊維等の種々の組成の無機繊維であってもよい。
【0080】
(1)第一無機繊維シート作製工程
(1−1)無機繊維作製工程
Al含有量、及び、AlとClとの原子比が所定の値となるように調製された塩基性塩化アルミニウム水溶液に、焼成後の無機繊維における組成比が、例えば、Al:SiO=60:40〜80:20(重量比)となるようにシリカゾルを添加する。さらに、成形性向上を目的として有機重合体を適量添加して混合液を調製する。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して所定の平均繊維径及び平均繊維長を有する無機繊維前駆体を作製する。
ブローイング法とは、エアーノズルから吹き出す高速のガス流(空気流)の中に、紡糸用混合物供給用ノズルから押し出される紡糸用混合物を供給することによって無機繊維前駆体の紡糸を行う方法のことをいう。
【0081】
(1−2)圧縮工程
次に、無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続した長尺シートを作製する。
圧縮工程は、例えば、下記に詳述するクロスレイヤー法により行うことができる。
クロスレイヤー法では、一定方向に搬送駆動するベルトコンベアと、ベルトコンベアの搬送駆動方向に対して直交する方向にベルトコンベア上を往復移動可能であって、薄層シート状に集綿された無機繊維前駆体(前駆体ウェブ)を供給するアームとから構成された積層装置を使用する。
この積層装置を使用してクロスレイヤー法によりシートを作製する場合には、まず、ベルトコンベアを搬送駆動させる。この状態で、ベルトコンベアの搬送駆動方向に対して直交する方向にアームを往復移動させながら、前駆体ウェブをアームからベルトコンベア上に連続して供給する。そうすると、前駆体ウェブは、ベルトコンベア上で複数回折り畳まれて積層されながら、ベルトコンベアにより一定の方向に連続して搬送される。積層された前駆体ウェブの長さが取り扱いに適した適当な長さになったところで切断し、所定の大きさのシートを作製する。
クロスレイヤー法により作製されたシートでは、大部分の無機繊維前駆体が第一主面及び第二主面に略平行な方向に沿って配列し、互いに緩く絡み合うことになる。
【0082】
(1−3)切断工程
次に、長尺シートを所定の大きさに切断することにより、第一前駆体シートを作製する。
【0083】
(1−4)焼成工程
続いて、第一前駆体シートを最高温度1000〜1600℃で焼成することにより、無機繊維前駆体を無機繊維に転換し、第一無機繊維シートを作製する。
作製された第一無機繊維シートは、平面視略矩形状であり、第一主面と第一主面の反対側に位置する第二主面とを有しており、無機繊維が互いに絡み合って構成されたシートである。
【0084】
(2)第二無機繊維シート作製工程
第一無機繊維シート作製工程(1)における工程(1−1)〜(1−4)と同様の工程を経ることにより、第一無機繊維シートと略同様の構成を有する第二無機繊維シートを作製する。
作製された第二無機繊維シートは、平面視略矩形状であり、第一主面と上記第一主面の反対側に位置する第二主面とを有しており、無機繊維が互いに絡み合って構成されたシートである。
なお、第一無機繊維シートの厚みや、第二無機繊維シートの厚みを所望の値に調整するには、使用する無機繊維前駆体の量を減らしたり、無機繊維前駆体の圧縮の程度を変更したりすればよい。
【0085】
(3)積層工程
別途、耐水性絶縁シートを準備する。
耐水性絶縁シートとしてマイカシートを使用する場合、マイカシートは次のようにして作製する。
まず、マイカ原鉱(軟質マイカ又は硬質マイカ)を粉砕して所定の粒度に調整した後、水等に分散させる。得られた分散液を紙状に抄くことにより、集成マイカを作製する。
作製した集成マイカをシリコーンからなる接着剤で接着し、乾燥させることによりマイカシートを作製する。
【0086】
次に、第一無機繊維シートの主面と耐水性絶縁シートの一方の主面とが互いに接するように、耐水性絶縁シートを第一無機繊維シートの上に積層する。
そして、耐水性絶縁シートの他方の主面と第二無機繊維シートの主面とが互いに接するように、第二無機繊維シートを耐水性絶縁シートの上に積層する。
各シートを積層する場合には、互いに接触することになる第一無機繊維シートの主面、耐水性絶縁シートの主面及び第二無機繊維シートの主面に、予め無機接着剤を塗布しておいてもよい。
以上の積層工程を経ることにより、積層シートを作製する。
【0087】
(4)成形切断工程
作製した積層シートを切断して所定の大きさを有する保持シール材を作製する。この際、保持シール材の端面のうち、第一短側面の一部に凸部が形成され、第二短側面の一部に凸部と嵌合する形状の凹部が形成されるようにして切断する。
具体的には、ピストンの先端に取り付けられており、上下方向に往復運動可能な打ち抜き板と、打ち抜き板と対向し、保持シール材を載置可能な載置板とを備える打ち抜き装置を使用することにより保持シール材を作製する。
【0088】
打ち抜き板には、作製する保持シール材の外形に対応する形状の打ち抜き刃と、伸縮自在なゴム等からなる弾性部材とが固定されている。また、載置板には、打ち抜き板が載置板に接近した場合に、打ち抜き刃が載置板と接触しないよう、打ち抜き刃に対応する位置に貫通孔が設けられている。
【0089】
このような打ち抜き装置を用いて保持シール材を打ち抜く場合には、積層シートの第一主面が打ち抜き板側に、第二主面が載置板側に位置するように、載置板上に積層シートを載置し、打ち抜き板を上下方向に運動させる。
上記のようにすることで、弾性部材が積層シートに押し付けられて積層シートの厚さ方向に収縮し、これと同時に、打ち抜き刃が積層シートの第一主面側から積層シートの内部に侵入し、積層シートを打ち抜き刃が貫通することにより、積層シートが図1(a)に示したような所定形状に打ち抜かれ、保持シール材が作製される。
なお、凸部及び凸部が短側面に形成されていない保持シール材を作製する場合には、成形切断工程を行う必要はない。
【0090】
また、保持シール材に貫通部を形成する場合の方法としては、保持シール材を作製し、作製した保持シール材を打ち抜き刃を用いて所定の形状に打ち抜くことにより貫通部を形成する方法、及び、上記保持シール材の成形切断工程の際に貫通部も合わせて打ち抜く方法等が挙げられる。
【0091】
作製した保持シール材に有機バインダを付与する場合には、下記工程(5)により行う。
【0092】
(5)有機バインダ付与工程
有機バインダを付与した保持シール材を製造する場合には、次の工程(A)〜(C)を行うことにより有機バインダが付与された保持シール材を作製することができる。
【0093】
(A)含浸工程
まず、上述した有機バインダを含む有機バインダ溶液をフローコート等により保持シール材全体に均一に含浸させることにより、含浸保持シール材を作製する。
なお、有機バインダ溶液は、水や有機溶媒等の溶媒に有機バインダを溶解させたり、水等の分散媒に有機バインダを分散させることにより作製することができる。
また、有機バインダ溶液の濃度については、後の工程を経て作製される、バインダが付与された保持シール材全体に含まれる有機バインダの合計量が、バインダが付与された保持シール材全体の重量の0.5〜20重量%となるように適宜調整することが望ましい。
【0094】
(B)吸引工程
次に、含浸保持シール材から、吸引装置等を用いて過剰な有機バインダ溶液を吸引除去する。
なお、吸引工程については、必ずしも行う必要はなく、例えば、含浸保持シール材に含まれる有機バインダ溶液の量が少ないのであれば、含浸工程の後、得られた含浸保持シール材を下記乾燥工程に直接供してもよい。
【0095】
(C)乾燥工程
その後、含浸保持シール材に残留した有機バインダ溶液に含まれる溶媒等を、熱風乾燥機等を用いて含浸保持シール材を圧縮しながら揮発させる。
以上の工程を経て、バインダが付与された保持シール材を作製することができる。
【0096】
次に、本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を製造する工程について、図面を用いて説明する。
本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置は、下記する工程(1)、(2)を経て製造する。
【0097】
図5は、本発明の第一実施形態の保持シール材を巻き付けた排ガス処理体を、金属ケーシングに圧入する圧入工程を模式的に説明する斜視図である。
【0098】
(1)圧入工程
円柱状の排ガス処理体140の外周に、凸部34aと凹部34bとが嵌合するようにして保持シール材1を巻き付ける。
そして、図5に示したように、保持シール材1を巻き付けた排ガス処理体140(巻付体)を金属ケーシング150に圧入する。
圧入の際には、金属ケーシングの貫通孔の位置と保持シール材の貫通部の位置を合わせる。また、圧入後に金属ケーシングの貫通孔の位置と保持シール材の貫通部の位置がズレていた場合には、電極がケーシング及び保持シール材を貫通できるようにそれらの位置を合わせる。
なお、金属ケーシング150の内径は、巻付体の直径より若干短い。
【0099】
(2)電極取付工程
次に、第一電極151及び第一絶縁部材153を、第一貫通孔155に取り付ける。
同様に、第二電極152及び第二絶縁部材154を、第二貫通孔156に取り付ける。
この際、第一電極151と第二電極152とがそれぞれ保持シール材1の貫通部11a又は11bを貫通し、排ガス処理体140に接触するように取り付ける。また、第一電極151及び第二電極152と金属ケーシング150との間の絶縁性が、第一絶縁部材153及び第二絶縁部材154により保たれるように各部材を取り付ける。
以上の圧入工程を経て、図2(a)及び図2(b)に示す本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置160を作製する。
【0100】
以下、本発明の第一実施形態の保持シール材、及び、電気加熱式排ガス浄化装置の作用効果を列挙する。
【0101】
(1)本実施形態の保持シール材は、絶縁性及び耐水性に優れている耐水性絶縁シートを使用しており、絶縁性及び耐水性に優れている。
そのため、本実施形態の保持シール材を使用した電気加熱式排ガス浄化装置では、凝縮水が発生しても耐水性絶縁シートにより遮断されるので、保持シール材全体が完全に吸水してしまうことはない。
従って、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と金属ケーシングとの間の絶縁性が保持シール材により保たれるので、排ガス処理体に通電したとしても排ガス浄化装置が漏電しにくい。
【0102】
(2)本実施形態の保持シール材は、柔軟性に富む無機繊維シートを含んでいるため、優れた柔軟性を有している。
それゆえ、本発明の保持シール材は、円柱状等の所定形状を有する排ガス処理体の外周面に巻き付けやすく、取り扱い性に優れている。
【0103】
(3)本実施形態の保持シール材では、上記耐水性絶縁シートが薄片状無機材料を含んで構成されており、薄片状無機材料がマイカ、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、スメクタイト及び層状チタン酸からなる群から選択される一種以上の材料からなる。
かかる耐水性絶縁シートは、絶縁性及び耐水性に特に優れているため、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と金属ケーシングとの間の絶縁性が保持シール材により保たれる。そのため、排ガス処理体に通電したとしても排ガス浄化装置が漏電しにくいという作用効果を好適に享受することができる。
なお、薄片状無機材料は、マイカであることがさらに望ましい。
【0104】
(4)本実施形態の保持シール材では、耐水性絶縁シートが接着剤を含んでおり、上記接着剤が、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、ポリオールエステル、アルキルナフタレン、ハロカーボン、ポリアリールアルカン、ポリフェニル、ケイ酸エステル及びポリフェニルエーテルからなる群から選択される一種以上の材料からなる。
そのため、柔軟性を損なうことなく、薄片状無機材料同士をより強固に接着することが可能であり、保持シール材の強度が高くなる。また、薄片状無機材料同士を密に接着することができるので耐水性が向上し、電極部材及び電極部材を介して通電される排ガス処理体と金属ケーシングとの間の絶縁性が保持シール材により保たれる。そのため、排ガス処理体に通電したとしても排ガス浄化装置が漏電しにくいという作用効果を好適に享受することができる。
なお、上記接着剤は、シリコーンであることがさらに望ましい。
【0105】
(5)本実施形態の保持シール材では、第一無機繊維シートと第二無機繊維シートとの間に耐水性絶縁シートが挟まれている。
そのため、本実施形態の保持シール材を使用した電気加熱式排ガス浄化装置では、衝撃吸収性を有する第一無機繊維シートが金属ケーシングに接触し、耐水性絶縁シートが金属ケーシングに直に接触していない構成とすることができる。かかる構成を有する電気加熱式排ガス浄化装置では、金属ケーシングに外部から振動等の衝撃が加えられたとしても耐水性絶縁シートが破損しにくい。また、耐熱性に優れる第二無機繊維シートが排ガス処理体に接触し、耐水性絶縁シートが排ガス処理体に直に接触していない構成とすることができる。かかる構成を有する電気加熱式排ガス浄化装置では、排ガスが流通することにより排ガス処理体が高温になっても、耐水性絶縁シートが溶損しにくい。
これに対して、少なくとも一方の主面が耐水性絶縁シートから構成されている保持シール材では、耐水性絶縁シートを金属ケーシングに接触させて使用すると、金属ケーシングに外部から振動等の衝撃が加えられることにより耐水性絶縁シートが破損しやすくなる。
また、耐水性絶縁シートを排ガス処理体に接触させて使用すると、排ガスが流通することにより排ガス処理体が高温になるので、耐水性絶縁シートが溶損しやすくなる。
【0106】
(6)本実施形態の保持シール材において、第一無機繊維シートと耐水性絶縁シートと第二無機繊維シートとが無機接着剤により接着している場合には、各シート同士が分離しにくく、電気加熱式排ガス浄化装置の製造時等において保持シール材の取り扱いに優れることとなる。
【0107】
(7)本実施形態の保持シール材において、第一無機繊維シートと第二無機繊維シートとを構成する無機繊維が、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維である場合には、保持シール材が耐熱性や保持力等に優れることとなる。
また、上記無機繊維が生体溶解性繊維である場合には、保持シール材の取り扱い時に生体溶解性繊維が飛散して体内に取り込まれたとしても溶解し、体外に排出されることになるため、人体に対する安全性に優れる。
【0108】
(8)本実施形態の保持シール材に有機バインダが含まれている場合、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時には、高温の排ガスの熱により有機バインダが分解し、無機繊維の接着が解除され、保持シール材が膨張する。排ガス浄化装置内で膨張した保持シール材は高い反発力を有するため、高い保持力を発揮することができる。
【0109】
(9)本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置は、上述した本実施形態の保持シール材を使用しているので、排ガス浄化装置が漏電しにくく、安全性が高くなる。
【0110】
(10)本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置では、第一電極及び第二電極を介して通電することにより、排ガス処理体を急速に加熱することができる。
これにより、排ガス処理体の温度を触媒活性温度まで急速に上昇させることが可能となり、エンジン始動直後の排ガスの温度が低い状態であっても、触媒を活性化し、有害ガス等を効率的に除去することができる。
【実施例】
【0111】
(実施例1)
以下の工程(1)〜(4)を経ることにより、実施例1の保持シール材を作製した。
【0112】
(1)第一無機繊維シート作製工程
(1−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して無機繊維前駆体を作製した。
【0113】
(1−2)圧縮工程
上記工程(1−1)で得られた無機繊維前駆体をクロスレイヤー法により圧縮し、所定の大きさの連続した長尺シートを作製した。
【0114】
(1−3)切断工程
次に、長尺シートを所定の大きさに切断することにより、第一前駆体シートを作製した。
【0115】
(1−4)焼成工程
続いて、第一前駆体シートを、最高温度1250℃で焼成することにより、第一無機繊維シートを作製した。
作製された第一無機繊維シートは、平面視略矩形状であり、長さ150cm×幅150cm×厚さ6.3mmであり、単位面積あたりの重量が1400g/mであった。
【0116】
(2)第二無機繊維シート作製工程
第一無機繊維シート作製工程(1)における工程(1−1)〜(1−4)と同様の工程を経ることにより、第一無機繊維シートと略同様の構成を有する第二無機繊維シートを作製した。
作製された第二無機繊維シートは、平面視略矩形状であり、長さ150cm×幅150cm×厚さ6.3mmであり、単位面積あたりの重量が1400g/mであった。
【0117】
(3)積層工程
別途、軟質集成マイカをシリコーンで接着してなるマイカシート(株式会社岡部マイカ工業所製、D581A)を準備した。マイカシートは、平面視略矩形状であり、長さ150mm×幅150mm×厚さ0.4mm、密度が2.04×10kg/m、曲げ強度が186MPaであった。また、吸水率は0.28%であり、常温での体積抵抗率が5×10Ωmであり、550℃、1時間加熱後の体積抵抗率が7×10Ωmであった。
次に、第一無機繊維シートと、マイカシートと、第二無機繊維シートとをこの順で積層し、無機接着剤を介してこれらのシートを接着することにより、積層シートを作製した。
なお、無機接着剤としては、シリコーンを使用した。
【0118】
(4)成形切断工程
打ち抜き装置を使用して保持シール材を所定の形状に切断することにより、保持シール材を作製した。
この際、保持シール材の端面のうち、第一短側面の一部に凸部が形成され、第二短側面の一部に凸部と嵌合する形状の凹部が形成されるようにして切断した。
製造した保持シール材は、長さ(L)350mm×幅(W)80mm×厚さ(T)9mmであって、単位面積あたりの重量は0.15g/mであり、密度は1400g/cmであった。
第一短側面の一部には、幅30mm×長さ35mmの大きさに渡って突出した凸部が形成されており、第二短側面の一部には、それに嵌合する形状の凹部が形成されていた。
また、第一無機繊維シートの厚みは、9mmであり、第二無機繊維シートの厚みは、9mmであり、マイカシートの厚みは、0.5mmであり、第一無機繊維シートの厚みと、第二無機繊維シートの厚みと、マイカシートの厚みとの比は、9:0.5:9であった。
【0119】
(比較例1)
比較例1では、実施例1の工程(1)で使用した第一無機繊維シートと同様の材質であって、その厚さが18.5mmであるもののみを成形切断工程に供して保持シール材を製造し、耐水性絶縁シート及び第二無機繊維シートを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして保持シール材を作製した。
【0120】
実施例1及び比較例1で製造した保持シール材について、絶縁抵抗測定試験を行った。
【0121】
(絶縁抵抗測定試験)
絶縁抵抗測定試験は、図6(a)及び図6(b)に示す絶縁抵抗測定試験器を用いて行った。
【0122】
図6(a)は、絶縁抵抗測定試験器を模式的に示す側面図であり、測定用サンプルに水を含浸させる様子を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、絶縁抵抗を導通テスターで測定する様子を模式的に示す斜視図である。
【0123】
図6(a)及び図6(b)に示す絶縁抵抗測定試験器290は、万力300と、万力300の上端に取り付けられた絶縁上板301と、万力300の下端に取り付けられた絶縁下板302と、絶縁上板301に取り付けられた2枚のステンレス製(SUS製)上板303と、SUS製上板303と対向しており、絶縁下板302に取り付けられた2枚のSUS製下板304とから構成されている。
絶縁抵抗測定試験器290を用いた絶縁抵抗の測定は、次のようにして行った。
【0124】
まず、製造した保持シール材を平面視寸法40×40mmに打ち抜き、絶縁抵抗測定用サンプル306とした。
測定用サンプル306をSUS製上板303とSUS製下板304との間に挟み込み、測定用サンプル306の厚さが5mmになるまで万力300を締めつけた。
【0125】
次いで、図6(a)に示すように、シリンジ305を用い、凝縮水を模した水を測定用サンプル306の内部に所定量注入した。
【0126】
5分後、図6(b)に示すように、SUS製上板303とSUS製下板304との間の絶縁抵抗を、導通テスター(株式会社ADVANTEST製、R8340)307を用いて、500V、微小電流の測定モードで測定した。
この測定を、測定用サンプルに注入した水の量(含水量)を0.3ml、2.7ml、5.4ml(水が滴る直前)と変化させながら、各含水量につき5回ずつ測定を行い、その平均値を求めた。
また、測定用サンプルに水を注入しない場合の絶縁抵抗についても、5回ずつ測定を行い、その平均値を求めた。
【0127】
実施例1及び比較例1で製造した保持シール材の構成と絶縁抵抗測定試験の結果(5回の平均値)を、表1に示す。
また、図7には、実施例1及び比較例1で製造した保持シール材の絶縁抵抗測定試験の結果(5回の平均値)のグラフを示す。
【0128】
【表1】

【0129】
表1及び図7に示したように、実施例1で製造した保持シール材は、含水量を5.4mlに増やしても絶縁抵抗が2.73×10MΩと高く、規格値として設定した値(100MΩ)を大きく上回っていた。
規格値として設定した値(100MΩ)は、電気加熱式排ガス浄化装置において通常適用する電圧を印加した場合に漏電が生じないようにするための充分な絶縁抵抗値として設定した値である。
一方、比較例1で製造した保持シール材では、耐水性絶縁シートを使用していなかったため、含水量が0.3mlの時点で絶縁抵抗が1.00×10MΩ以下と著しく低く、上記規格値を大きく下回っていた。
そのため、比較例1で製造した保持シール材を電気加熱式排ガス浄化装置に使用した場合には、漏電するおそれがあると考えられる。
【0130】
(第二実施形態)
次に、本発明の一実施形態である第二実施形態について図面を用いて説明する。
本実施形態の保持シール材の構成は、一枚の無機繊維シートと一枚の耐水性絶縁シートとが積層された二層構造を有していること以外は、上述した本発明の第一実施形態の保持シール材と同様の構成を有しているので、重複する事項については説明を省略する。
また、本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置の構成は、上述した本実施形態の保持シール材を使用していること以外は、本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置と同様の構成を有しているので、重複する事項については説明を省略する。
【0131】
図8(a)は、本発明の第二実施形態の保持シール材を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は、図8(a)に示す本発明の第二実施形態の保持シール材のC−C線断面図である。
【0132】
図8(a)及び図8(b)に示す本実施形態の保持シール材2は、所定の長さ(図8(a)中、両矢印Lで示す)、幅(図8(a)中、両矢印Wで示す)及び厚さ(図8(a)中、両矢印Tで示す)を有する平面視略矩形状である。
【0133】
本発明の第二実施形態の保持シール材2は、無機繊維が互いに絡み合って構成された無機繊維シート440と、耐水性絶縁シート441とからなり、無機繊維シート440と耐水性絶縁シート441とが積層されている。
耐水性絶縁シート441は、無機繊維シート440の一の主面の全面を覆っている。
また、保持シール材2には、電極を貫通させるための貫通部411aおよび411bが設けられている。
なお、本実施形態の保持シール材2を電気加熱式排ガス浄化装置に使用する場合には、保持シール材2の無機繊維シート440側を金属ケーシング側に配置してもよいし、耐水性絶縁シート441側を金属ケーシング側に配置してもよい。
【0134】
無機繊維シート440の厚みと、耐水性絶縁シート441の厚みとの比は、1:1〜10000:1であることが望ましい。
【0135】
無機繊維シート440は、無機繊維が互いに絡み合って構成されている。
無機繊維の種類は、第一実施形態で説明した第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bを構成する無機繊維の種類と同様である。
無機繊維シート440のその他の構成については、本発明の第一実施形態で説明した第一無機繊維シート40a及び第二無機繊維シート40bの構成と略同様であるので、説明を省略する。
【0136】
耐水性絶縁シート441の構成は、本発明の第一実施形態で説明した耐水性絶縁シート41の構成と略同様であるので、説明を省略する。
【0137】
次に、本実施形態の保持シール材の製造方法について説明する。
本実施形態の保持シール材の製造方法は、第二無機繊維シートを使用しないこと以外は、上述した本発明の第一実施形態の保持シール材の製造方法と同様である。
即ち、本発明の第一実施形態の保持シール材の製造方法における第一無機繊維シート作製工程(1)と同様の工程を経ることにより第一無機繊維シートを作製し、積層工程(3)と同様の工程を経ることにより第一無機繊維シートと耐水性絶縁シートとを積層して積層シートを作製し、成形切断工程(4)と同様の工程を経ることにより積層シートを所定形状に切断して保持シール材を作製することができる。
また、必要に応じて有機バインダ付与工程(5)を行い、作製した保持シール材に有機バインダを付与することにより、有機バインダが付与された保持シール材を作製することができる。
【0138】
本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置の製造方法については、本実施形態の保持シール材を使用すること以外は、上述した本発明の第一実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置の製造方法と同様である。
即ち、本実施形態の保持シール材を使用して本発明の第一実施形態の圧入工程(1)及び電極取付工程(2)を経ることにより、本実施形態の電気加熱式排ガス浄化装置を製造することができる。
なお、圧入工程では、保持シール材の無機繊維シート側を外側(金属ケーシング側)にして保持シール材を排ガス処理体に巻き付けてもよいし、無機繊維シート側を内側(排ガス処理体側)にして保持シール材を排ガス処理体に巻き付けてもよい。
【0139】
本発明の第二実施形態の保持シール材及び電気加熱式排ガス浄化装置でも、本発明の第一実施形態で説明した効果(1)〜(4)及び(6)〜(10)と同様の効果を発揮することができる。
【0140】
(その他の実施形態)
本発明の保持シール材は、膨張材をさらに含んでいてもよい。
具体的には、本発明の保持シール材を構成する無機繊維シートに膨張材が含まれていてもよい。
膨張材が含まれた保持シール材では、電気加熱式排ガス浄化装置の使用時における高温の排ガスにより膨張材が膨張する。排ガス浄化装置内で膨張した保持シール材は高い反発力有するため、高い保持力を発揮することができる。
膨張材としては、例えば、膨張性バーミキュライト、ベントナイト、膨張性黒鉛等が挙げられる。
【0141】
本発明の保持シール材は、少なくとも一枚の無機繊維シートと、少なくとも一枚の耐水性絶縁シートとを含んでいればよく、複数枚の無機繊維シート又は複数枚の耐水性絶縁シートを含んでいてもよい。
具体的には、保持シール材は複数枚の無機繊維シートと複数枚の耐水性絶縁シートとからなり、無機繊維シートと耐水性絶縁シートとが交互に積層された保持シール材であってもよい。
そのような保持シール材としては、例えば、第一無機繊維シートと、第一耐水性絶縁シートと、第二無機繊維シートと、第二耐水性絶縁シートと、第三無機繊維シートとがこの順で積層されることにより構成された5層構造の保持シール材が挙げられる。
この場合、保持シール材のそれぞれの無機繊維シートと耐水性絶縁シートとは、無機接着剤により互いに接着されていてもよい。
また、保持シール材の複数枚の無機繊維シートは、それぞれ同じ種類の無機繊維から構成されていてもよいし、異なる種類の無機繊維から構成されていてもよい。
例えば、上記5層構造の保持シール材の場合、第一無機繊維シート及び第二無機繊維シートがアルミナ−シリカ繊維から構成されており、第三無機繊維シートがシリカ繊維から構成されていてもよい。アルミナ−シリカ繊維からなる無機繊維シートは耐熱性に優れており、シリカ繊維からなる無機繊維シートは保持力に優れているため、両者の長所を併せ持った保持シール材とすることができる。
また、かかる保持シール材を使用した電気加熱式排ガス浄化装置では、耐熱性により優れたアルミナ−シリカ繊維からなる第一無機繊維シートを排ガス処理体側に配置することが望ましい。
【0142】
本発明の保持シール材を構成する無機繊維シートは、ニードリング処理が施されたニードリングシートであってもよい。
ニードリング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を無機繊維シート又は第一前駆体シートに対して抜き差しする処理のことをいう。
ニードリング処理が施された無機繊維シートでは、比較的平均繊維長の長い無機繊維がより緻密に絡み合うため、無機繊維シートの嵩(体積)を適度に低くして、適度な反発力を得ることができる。
【0143】
本発明の保持シール材は、無機繊維が互いに絡み合って構成された無機繊維シートと、薄片状無機材料を含んで構成されている耐水性絶縁シートとを含むことが必須の構成要素であり、係る必須の構成要素に、本発明の第一実施形態、第二実施形態及びその他の実施形態で詳述した種々の構成(例えば、無機繊維の組成、無機繊維の繊維長、耐水性絶縁シートの組成等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0144】
保持シール材 1、2
無機繊維シート 40、440
耐水性絶縁シート 41、441

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機繊維が互いに絡み合って構成された無機繊維シートと、
薄片状無機材料を含んで構成されている耐水性絶縁シートを含むことを特徴とする保持シール材。
【請求項2】
前記薄片状無機材料は、マイカ、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、スメクタイト及び層状チタン酸からなる群から選択される一種以上の材料である請求項1に記載の保持シール材。
【請求項3】
前記薄片状無機材料は、マイカである請求項2に記載の保持シール材。
【請求項4】
前記耐水性絶縁シートは、接着剤を含んでいる請求項1〜3のいずれかに記載の保持シール材。
【請求項5】
前記接着剤は、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、ポリオールエステル、アルキルナフタレン、ハロカーボン、ポリアリールアルカン、ポリフェニル、ケイ酸エステル及びポリフェニルエーテルからなる群から選択される一種以上の材料からなる請求項4に記載の保持シール材。
【請求項6】
前記接着剤は、シリコーンである請求項5に記載の保持シール材。
【請求項7】
前記無機繊維シートは、第一無機繊維シートと第二無機繊維シートとを含み、
前記耐水性絶縁シートは、前記第一無機繊維シートと前記第二無機繊維シートとの間に挟まれている請求項1〜6のいずれかに記載の保持シール材。
【請求項8】
前記無機繊維シートと前記耐水性絶縁シートとは、無機接着剤により接着している請求項1〜7のいずれかに記載の保持シール材。
【請求項9】
前記無機繊維は、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維である請求項1〜8のいずれかに記載の保持シール材。
【請求項10】
有機バインダをさらに含む請求項1〜9のいずれかに記載の保持シール材。
【請求項11】
膨張材をさらに含む請求項1〜10のいずれかに記載の保持シール材。
【請求項12】
抵抗発熱体からなる排ガス処理体と、
前記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、
前記排ガス処理体と前記金属ケーシングとの間に配設され、前記排ガス処理体を保持する保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、
前記金属ケーシングと前記保持シール材とを貫通しており、第一端部が前記排ガス処理体に結合し、第二端部が前記金属ケーシング外に露出している第一電極と、
前記金属ケーシング及び前記保持シール材を貫通しており、第一端部が前記排ガス処理体に結合し、第二端部が前記金属ケーシング外に露出している第二電極とを備え、
前記保持シール材は、請求項1〜11のいずれかに記載の保持シール材であることを特徴とする電気加熱式排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−149605(P2012−149605A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10167(P2011−10167)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】