説明

保持フレーム用収納カセット

【課題】 基板製造装置の仕様、ユーザ、各国の使用状況等に関わらず、適切に使用することのできる保持フレーム用収納カセットを提供する。
【解決手段】 中空部に収容した半導体ウェーハを粘着保持層で粘着保持する保持フレームを収納し、半導体製造装置に位置決めして搭載される保持フレーム用収納カセット20であり、保持フレーム用収納空間を介して相対向する両側壁21と、両側壁21の上部間に架設される天板33とを備え、両側壁21の内面に、保持フレーム1の周縁側部を支持する支持溝をそれぞれ形成して各側壁21の支持溝を上下方向に所定の間隔で配列し、支持溝に、保持フレーム用のがたつき防止片を形成する。そして、両側壁21の下部に、前後方向に伸びる支持レール26をそれぞれ取り付け、この一対の支持レール26の間には架設部材40として一対の架設板41を着脱自在に螺着して架設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持フレームの収納、保管、搬送等に使用される保持フレーム用収納カセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の保持フレーム用収納カセットは、図示しないが、保持フレーム用の収納空間を介して相対向する両側壁と、この両側壁の下部間に架設されて保持フレームに対向する底板と、両側壁の上部間に架設される天板とを備え、複数枚の保持フレームを整列収納し、各種の半導体製造装置上に位置決めして搭載される(特許文献1、2参照)。
【0003】
保持フレームは、基本的には平板のリング形に形成され、中空部に可撓性の粘着保持層が覆着されており、この粘着保持層に、中空部に収容される半導体ウェーハが着脱自在に粘着保持される。
【0004】
保持フレーム用収納カセットは、その幅広の底板の下面に、半導体製造装置の複数の位置決めピン等からなる位置決め部材にそれぞれ上方から位置決め嵌合する位置決め具が固定して配設され、両側壁の内面に、保持フレームの周縁側部を支持する支持溝がそれぞれ形成されており、各側壁の支持溝が上下方向に所定の間隔で複数配列されている。各位置決め具は、業界標準のSEMI規格に準拠して画一的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004‐165657号公報
【特許文献2】特開2008‐112804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における保持フレーム用収納カセットは、以上のように構成され、両側壁の下部間に幅広の底板が強固に架設されてその下面に業界標準のSEMI規格に準拠した位置決め具が単に固定されているので、半導体製造装置の仕様が想定の装置とは異なる場合、例えば位置決め部材が位置決めピンでなく、底板に突き当てられるタイプの場合には、位置決め具が機能せず、半導体製造装置上に適切に位置決め搭載することができないので、使用できなくなるおそれがある。
【0007】
また近年、保持フレーム用収納カセットには、ユーザや各国の使用状況等によりSEMI規格とは異なる寸法の位置決め具等が要求されることが少なくない。この場合、SEMI規格の位置決め具では機能しないので、保持フレーム用収納カセットの使用が困難になるという問題がある。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたもので、基板製造装置の仕様、ユーザ、各国の使用状況等に関わらず、適切に使用することができる保持フレーム用収納カセットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては上記課題を解決するため、中空部に収容した基板を粘着保持層で粘着保持する保持フレームを収納し、基板製造装置に位置決めして搭載される収納カセットであって、
保持フレーム用収納空間を介して相対向する両側壁と、この両側壁の上部間に架設される天板とを含み、
両側壁の内面に、保持フレームの周縁側部を支持する支持溝をそれぞれ形成して各側壁の支持溝を上下方向に所定の間隔で配列し、支持溝に、保持フレーム用のがたつき防止片を形成し、両側壁の下部に、前後方向に伸びる支持レールをそれぞれ取り付けるとともに、両側壁の支持レールの間には架設部材を着脱自在に架設し、両側壁の前部には、支持溝に支持された保持フレームの前方への飛び出しを規制可能な規制部材をそれぞれ回転可能に支持させたことを特徴としている。
【0010】
なお、両側壁の支持レールに複数の長孔をそれぞれ前後方向に所定の間隔で設け、両側壁の支持レールの間に、保持フレームに下方から対向する複数の架設板をそれぞれ着脱自在に架設して各架設板の下面には基板製造装置用の位置決め具を取り付け、各架設板の両端部に、支持レールの長孔に連通する取付孔をそれぞれ設け、架設板の取付孔と支持レールの長孔とに螺子具を螺子嵌めすることができる。
【0011】
また、両側壁の支持レールに複数の長孔をそれぞれ前後方向に所定の間隔で設け、両側壁の支持レールの間に、基板製造装置の位置決め具に接触する細長い複数の架設バーをそれぞれ着脱自在に架設して各架設バーの両端部には支持レールの長孔に連通する取付孔をそれぞれ設け、架設バーの取付孔と支持レールの長孔とに螺子具を螺子嵌めすることができる。
【0012】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくとも各種大きさの半導体ウェーハ(例えばφ200、300、450mmのシリコンウェーハ等)や液晶基板等が含まれる。また、基板製造装置としては、各種の加工や処理を施す半導体製造装置や液晶基板製造装置等があげられる。具体的には、半導体加工装置やその付属のオープナ、ハンダリフロー装置等が該当する。
【0013】
がたつき防止片は、任意の支持溝や各支持溝の前部、中央部、後部等に適宜形成することができる。架設部材は、基板製造装置の仕様、ユーザ、各国の使用状況等に応じて増減変更することができる。また、規制部材としては、板や屈曲したバー等を適宜使用可能である。各側壁の前部と規制部材とには、支持溝に支持された保持フレーム方向に規制部材を回転付勢するバネ部材が介在されるが、このバネ部材には、少なくとも板バネやコイルバネ、捻りバネ等が含まれる。さらに、螺子具には、少なくとも必要数のボルト、ナット、ビス等が含まれる。
【0014】
本発明によれば、基板製造装置に保持フレーム用収納カセットを搭載する場合には、基板製造装置の仕様を確認し、この基板製造装置の仕様に応じ、保持フレーム用収納カセットの両側壁の支持レール間に架設部材、具体的には架設板又は架設バーを設ける。
【0015】
例えば、基板製造装置に複数の位置決めピン等が設けられている場合には、架設部材として架設板と位置決め具とを用意し、複数の位置決めピンの仕様、すなわち複数の位置決めピンの間隔、大きさ、長さ等を調査し、この複数の位置決めピンに対応する位置決め具を選択して架設板に必要数取り付ける。
【0016】
架設板に必要数の位置決め具を取り付けたら、一対の支持レールの間に複数の架設板を適宜位置調整して配置し、その後、各支持レールの長孔に架設板の端部を螺子具等でそれぞれ取り付けて固定すれば、複数の位置決めピンに位置決め具がそれぞれ対応するので、基板製造装置に保持フレーム用収納カセットを適切に対応させて配置することができる。
【0017】
また、基板製造装置に複数の位置決めピンではなく、複数の位置決めブロック等が配設されている場合には、基板製造装置の複数の位置決めブロックの仕様、すなわち複数の位置決めブロックの間隔、大きさ、長さ等を把握し、架設部材として複数の架設バーを選択して一対の支持レールの間に位置調整して配置し、その後、各支持レールの長孔に架設バーの端部を螺子具でそれぞれ取り付けて固定すれば、位置決めブロックに架設バーが順応するので、基板製造装置に保持フレーム用収納カセットを適切に搭載できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板製造装置の仕様、ユーザ、各国の使用状況等に関わらず、保持フレーム用収納カセットを適切に使用することができるという効果がある。
【0019】
また、請求項2記載の発明によれば、基板製造装置に複数の位置決めピンが設けられている場合、この複数の位置決めピンに対応する位置決め具と架設板とを選択するので、基板製造装置に保持フレーム用収納カセットを適切に対応させ、位置決め配置することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、基板製造装置に複数の位置決めブロックが設けられている場合、この複数の位置決めブロックに対応する架設バーを選択するので、基板製造装置に保持フレーム用収納カセットを適切に位置決めして配置することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態を模式的に示す全体説明図である。
【図2】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における保持フレームを模式的に示す平面説明図である。
【図3】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における保持フレームを模式的に示す断面説明図である。
【図4】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図5】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態を模式的に示す正面説明図である。
【図6】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態を模式的に示す側面説明図である。
【図7】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態を模式的に示す底面説明図である。
【図8】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態を模式的に示す背面説明図である。
【図9】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における側壁を模式的に示す説明図である。
【図10】図10の側壁を模式的に示す底面説明図である。
【図11】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における側壁を模式的に示す端面説明図である。
【図12】図4のXII‐XII線断面説明図である。
【図13】図4のXIII‐XIII線断面説明図である。
【図14】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における支持レールと架設板とを模式的に示す底面説明図である。
【図15】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における支持レールと架設板とを模式的に示す部分断面説明図である。
【図16】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における支持レールと架設板の端部との螺着部を模式的に示す断面説明図である。
【図17】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における支持レールを模式的に示す平面説明図である。
【図18】図18の支持レールを模式的に示す外面説明図である。
【図19】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの実施形態における架設板を模式的に示す説明図である。
【図20】図19の正面説明図である。
【図21】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの第2の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図22】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの第2の実施形態を模式的に示す側面説明図である。
【図23】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの第2の実施形態を模式的に示す正面説明図である。
【図24】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの第2の実施形態における支持レールと架設バーとを模式的に示す底面説明図である。
【図25】本発明に係る保持フレーム用収納カセットの第2の実施形態を模式的に示す背面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における保持フレーム用収納カセット20は、図1ないし図20に示すように、半導体ウェーハWを粘着保持する保持フレーム1を整列収納し、各種の半導体製造装置10に位置決めして搭載される収納カセットであり、相対向する左右一対の両側壁21と、この両側壁21の間に架設される天板33とを備えて前後面がそれぞれ開口し、両側壁21の下部に支持レール26をそれぞれ螺着しており、両側壁21の支持レール26の間に、半導体製造装置10の仕様に対応する架設部材40である一対の架設板41を着脱自在に架設するようにしている。
【0022】
半導体ウェーハWは、図2や図3に示すように、例えばφ300mmあるいはφ450mmのシリコンウェーハからなり、表面に所定の回路がパターン形成され、裏面のバックグラインドにより薄く形成される。
【0023】
保持フレーム1は、図2や図3に示すように、基本的には平板のリング形に形成され、裏面の内周縁部付近に中空部2を下方から覆う可撓性の粘着保持層3が緊張して粘着されており、この粘着保持層3に、中空部2に収容される半導体ウェーハWが着脱自在に粘着保持される。この保持フレーム1は、例えば所定の材料を使用して形成され、位置合わせの観点から周縁部の前後左右がそれぞれ直線的に切り欠かれる。保持フレーム1の所定の材料としては、耐熱性を有するガラス、ステンレス等の金属、PPSや液晶ポリマー等からなる結晶樹脂、フェノール等からなる熱硬化性樹脂があげられる。
【0024】
粘着保持層3は、微粘着性の材料を使用して平面円形の薄膜に形成される。この粘着保持層3の材料としては、耐熱性のシリコーンゴム、フッ素ゴム、オレフィンやポリエステル等の熱可塑性エラストマー、必要なフィラーを含む成形材料が該当する。
このような保持フレーム1は、中空部2に露出する粘着保持層3の表面に半導体ウェーハWを隙間なく粘着保持し、保持フレーム用収納カセット20内に13枚、25枚、又は26枚等が上下方向に並べて収納される。
【0025】
半導体製造装置10は、図1に示すように、例えば半導体ウェーハWに所定の加工を施す半導体加工装置からなり、保持フレーム用収納カセット20を搭載するテーブル11を備える。このテーブル11の表面には、先端部が略半球形の複数の位置決めピン12あるいは位置決めブロックが所定の間隔をおいて配設される。本実施形態においては、半導体製造装置10のテーブル11表面に、複数の位置決めピン12が立設されているので、保持フレーム用収納カセット20の下部に複数の位置決めピン12に適合する一対の架設板41が架設部材40としてカスタマイズされることとなる。
【0026】
保持フレーム用収納カセット20の両側壁21と天板33とは、所定の樹脂を含有する成形材料を使用してそれぞれ略矩形の板に成形され、選択的に透明、不透明、半透明とされる。所定の樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等があげられる。
【0027】
両側壁21は、図6、図9ないし図13等に示すように、それぞれが前後方向に伸びる略長方形に形成され、保持フレーム用の収納空間を介して相対向する。各側壁21は、内面の前部から少なくとも中央部付近にかけて、保持フレーム1の周縁側部を水平に支持する支持溝22がそれぞれ断面略U字形あるいは略V字形に形成され、この支持溝22が上下方向に所定の間隔で配列されており、又内外面のうち少なくとも外面には前後方向に伸びる複数の補強リブ23や各種の模様が一体形成される。
【0028】
各支持溝22は、図12等に示すように、保持フレーム用収納カセット20やその側壁21の前後方向に直線的に伸長形成され、内部に略台形形のがたつき防止片24が一体形成される。このがたつき防止片24は、保持フレーム1の表面に上方から接触してそのがたつきを防止するよう機能する。
【0029】
各側壁21の下部内面には、支持レール26用の複数の嵌合孔25が保持フレーム用収納カセット20の前後方向に所定の間隔で配列され、各嵌合孔25が細長い略トラック形や矩形等に穿孔される。また、各側壁21の下部には、保持フレーム用収納カセット20の前後方向に伸びる支持レール26が下方から水平に螺着される。
【0030】
支持レール26は、図7、図14ないし図18に示すように、例えばアルミニウム合金製やSUS製の細長い板からなり、下面内側に架設板41用の切り欠きが形成されて内方向に突出する薄肉部27を形成し、この薄肉部27に複数の長孔28が前後方向に所定の間隔で配列されており、各長孔28が略トラック形に穿孔される。また、支持レール26の外側には複数の嵌合突片29が長手方向に所定の間隔で突出形成され、各嵌合突片29が側壁21下部の嵌合孔25に嵌合される。
【0031】
各側壁21の前部の上下には支持穴30がそれぞれ穿孔され、この上下一対の支持穴30には、図4、図5、図7、図8に示すように、支持溝22に支持された保持フレーム1の前方への飛び出しを規制可能な規制バー31がそれぞれ内外方向に回転可能に嵌入軸支されており、各規制バー31が略チャネル形に屈曲形成される。各側壁21の支持穴30と規制バー31の端部とには、支持溝22に支持された保持フレーム1の周縁前部方向に規制バー31を回転付勢する捻りコイルバネ(バネ部材)が介在して装着される。また、各側壁21の外面前部には、外方向に回転した規制バー31用の収容溝32が凹み形成される。
【0032】
天板33は、図4に示すように、平面略正方形に形成され、両側壁21の上端部間に水平に螺着されて保持フレーム1に上方から隙間をおいて対向する。この天板33の表裏両面のうち少なくとも表面には補強用の格子リブ34が縦横に形成され、天板33の表面中央部付近には左右一対のハンドル35が間隔をおいてそれぞれ起伏可能に軸支されており、各ハンドル35がユーザの握持操作に資する略D字形に形成される。また、天板33の前部両側には、細長い矩形の切り欠き36がそれぞれ形成され、各切り欠き36内に内方向に回転した規制バー31が嵌入される。
【0033】
一対の架設板41は、図15ないし図17、図20、図21に示すように、左右一対の支持レール26の切り欠き間に螺子具を介し水平に螺着され、前後方向に並ぶ架設板41と架設板41との間に必要に応じて隙間が形成されており、保持フレーム1に下方から隙間をおいて対向する。各架設板41は、例えばアルミニウム合金製やSUS製で幅広の平板からなり、上面あるいは下面に複数の凹部42が左右方向に向けて凹み形成されており、下面に半導体製造装置10用の位置決め具44が必要数螺着される。
【0034】
架設板41の両端部には、支持レール26の長孔28に連通する複数の取付孔43がそれぞれ並べて穿孔される。この複数の取付孔43のうち、選択された任意の取付孔43には螺子具が螺挿され、この螺挿された螺子具が支持レール26の長孔28に螺嵌されることにより、架設板41が所定の箇所に強固に位置決め固定される。
【0035】
位置決め具44は、図4や図5、図7に示すように、所定の樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトンやポリカーボネート等)を含有する成形材料を使用して断面略V字形に凹み成形され、例えば前方に位置する架設板41の下面両側部に2個、後方に位置する架設板41の下面中央部に1個螺着されており、半導体製造装置10の位置決めピン12の先端部に断面略V字形に凹んだ溝が上方から高精度に位置決め嵌合される。この位置決め具44は、半導体製造装置10やその位置決めピン12に適切に対応するよう、SEMI規格あるいはSEMI規格とは異なる所定の寸法に形成される。
【0036】
上記構成において、半導体製造装置10に保持フレーム用収納カセット20を位置決めして搭載する場合には、半導体製造装置10の仕様を確認し、この半導体製造装置10の仕様に対応するよう、保持フレーム用収納カセット20の両側壁21の支持レール26の間に架設部材40を調整して架設すれば良い。
【0037】
例えば、半導体製造装置10のテーブル11に複数の位置決めピン12が立設されている場合には、複数の位置決めピン12の仕様、すなわち複数の位置決めピン12の間隔、大きさ、長さ等を精査し、この複数の位置決めピン12に対応する半導体製造装置10用の位置決め具44を選択し、この位置決め具44を各架設板41に必要数螺着する。
【0038】
こうして各架設板41に位置決め具44を螺着したら、左右一対の支持レール26の間に一対の架設板41を適宜位置調整して配置し、その後、各支持レール26の長孔28に架設板41の端部を螺子具でそれぞれ螺着すれば、半導体製造装置10に保持フレーム用収納カセット20を適切に対応させ、位置決めして搭載することができる。
【0039】
上記構成によれば、半導体製造装置10の仕様に応じて保持フレーム用収納カセット20の下部に架設部材40をカスタマイズするので、ユーザや各国の使用状況等により、例えSEMI規格とは異なる寸法の位置決め具44等が要求されても容易に対処することができる。したがって、保持フレーム用収納カセット20の使用が困難になることが全くない。
【0040】
次に、図21ないし図25は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、半導体製造装置10のテーブル11に複数の位置決めピン12ではなく、位置決めの容易な複数の位置決めブロック13が配設されているとき、両側壁21の支持レール26に複数の長孔28をそれぞれ前後方向に所定の間隔で穿孔し、両側壁21の支持レール26の間に、半導体製造装置10の複数の位置決めブロック13に突き当て接触する一対の架設バー45をそれぞれ着脱自在に架設して各架設バー45の両端部には支持レール26の長孔28に連通する取付孔43をそれぞれ穿孔し、各架設バー45の取付孔43と支持レール26の長孔28とに螺子具を螺嵌するようにしている。
【0041】
各架設バー45は、図24等に示すように、例えばアルミニウム合金製やSUS製の細長い直線のバーに形成され、両端部がそれぞれ幅広のブロックに形成されており、各ブロックに取付孔43が貫通して穿孔される。このような架設バー45は、半導体製造装置10の位置決めブロック13に架設部材40として突き当て接触されることにより、保持フレーム用収納カセット20を位置決めする。
【0042】
上記構成において、半導体製造装置10に保持フレーム用収納カセット20を位置決めして搭載する場合には、先ず、半導体製造装置10の複数の位置決めブロック13の仕様、すなわち複数の位置決めブロック13の間隔、大きさ、長さ等を精査し、架設部材40として一対の架設バー45を選択して一対の支持レール26の間に位置調整して配置し、その後、各支持レール26の長孔28に架設バー45の端部を螺子具でそれぞれ螺着すれば良い。
【0043】
こうすれば、複数の位置決めブロック13に架設バー45がそれぞれ接触し、簡易に位置合わせすることができるので、半導体製造装置10に保持フレーム用収納カセット20を適切に対応させ、位置決めして搭載することが可能になる。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0044】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、位置決めピン12でなく、手動操作で位置決め操作が容易な位置決めブロック13が使用される場合にも、架設バー45を位置決め具44として適切に機能させることができ、半導体製造装置10上に保持フレーム用収納カセット20を良好に位置決め搭載することができるのは明らかである。また、複数の位置決め具44を省略することができるので、部品点数の削減や構成の簡素化が期待できる。
【0045】
なお、上記実施形態では各側壁21内面の前部から中央部付近にかけて、保持フレーム用の支持溝22を形成したが、各側壁21内面の前部から後部にかけて支持溝22を形成しても良い。また、上記実施形態では各側壁21前部の支持穴30に規制バー31をそれぞれ内外方向に回転可能に嵌入軸支させたが、何らこれに限定されるものではない。例えば、各側壁21前部の支持穴30に規制バー31と同機能の規制板をそれぞれ回転可能に支持させても良い。さらに、架設板41や架設バー45を、剛性等に優れる樹脂を含む成形材料により成形しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る保持フレーム用収納カセットは、半導体や液晶ディスプレイの製造分野等で使用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 保持フレーム
2 中空部
3 粘着保持層
10 半導体製造装置(基板製造装置)
12 位置決めピン
13 位置決めブロック
20 保持フレーム用収納カセット
21 側壁
22 支持溝
24 がたつき防止片
26 支持レール
28 長孔
31 規制バー(規制部材)
33 天板
36 切り欠き
40 架設部材
41 架設板
43 取付孔
44 位置決め具
45 架設バー
W 半導体ウェーハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部に収容した基板を粘着保持層で粘着保持する保持フレームを収納し、基板製造装置に位置決めして搭載される保持フレーム用収納カセットであって、
保持フレーム用収納空間を介して相対向する両側壁と、この両側壁の上部間に架設される天板とを含み、
両側壁の内面に、保持フレームの周縁側部を支持する支持溝をそれぞれ形成して各側壁の支持溝を上下方向に所定の間隔で配列し、支持溝に、保持フレーム用のがたつき防止片を形成し、両側壁の下部に、前後方向に伸びる支持レールをそれぞれ取り付けるとともに、両側壁の支持レールの間には架設部材を着脱自在に架設し、両側壁の前部には、支持溝に支持された保持フレームの前方への飛び出しを規制可能な規制部材をそれぞれ回転可能に支持させたことを特徴とする保持フレーム用収納カセット。
【請求項2】
両側壁の支持レールに複数の長孔をそれぞれ前後方向に所定の間隔で設け、両側壁の支持レールの間に、保持フレームに下方から対向する複数の架設板をそれぞれ着脱自在に架設して各架設板の下面には基板製造装置用の位置決め具を取り付け、各架設板の両端部に、支持レールの長孔に連通する取付孔をそれぞれ設け、架設板の取付孔と支持レールの長孔とに螺子具を螺子嵌めするようにした請求項1記載の保持フレーム用収納カセット。
【請求項3】
両側壁の支持レールに複数の長孔をそれぞれ前後方向に所定の間隔で設け、両側壁の支持レールの間に、基板製造装置の位置決め具に接触する細長い複数の架設バーをそれぞれ着脱自在に架設して各架設バーの両端部には支持レールの長孔に連通する取付孔をそれぞれ設け、架設バーの取付孔と支持レールの長孔とに螺子具を螺子嵌めするようにした請求項1記載の保持フレーム用収納カセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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