説明

保持力を改善した二重コーティングメークアップ製品、その使用およびそれを含むメークアップキット

【課題】第1および第2の組成物を含む化粧品メークアップ製品を提供すること。
【解決手段】その製品は、第1の組成物が生理学的に許容される媒体とエチレン系ポリマーを含み、第2の組成物がASTM規格D-445によって測定して10〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む製品に関する。本発明はメークアップ方法および前記製品を含むメークアップキットにも関する。メークアップ製品は特に口紅である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された保持力特性を有し、同時に十分な耐にじみ性(migration-resistance)、ノンラン(non-run)特性および非粘着(non-tack)特性を有する皮膚用の化粧用ケアまたはメークアップ組成物に関する。
【0002】
その化粧用製品には、皮膚、まぶた、唇および外皮例えばネイル、まゆ、まつげまたは毛髪に継続的に塗布できる少なくとも2種の組成物が含まれる。具体的には、化粧用製品は、ファンデーション、メークアップルージュ、アイシャドウ、コンシーラー製品、ほお紅、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップペンシル、アイペンシル、マスカラ、アイライナー、マニキュア液、ボディメークアップ製品または皮膚着色用製品であってよい。
【背景技術】
【0003】
既知の耐色移り性(transfer-resistant)組成物(米国特許第6074654号、国際特許出願WO02/067877)は一般にシリコーン樹脂および揮発性シリコーンオイルをベースとしており、改善された保持力特性を有しているが、揮発性シリコーンオイルが蒸発した後に、時間とともに不快になってくる被膜(乾燥して突っ張る感じ)を皮膚や唇の上に残す欠点を有しており、これはこのタイプの口紅からかなりの数の女性客を遠ざけている。
【0004】
被膜形成型アクリル酸ポリマーの粒子の懸濁液を含む第1の組成物に、20cStの粘度を有するフェニルシリコーンオイルと、10000cStの粘度を有するフェニルシリコーンオイルとの混合物を含む第2の組成物を塗布することが提案されている(欧州特許出願EP1249223を参照)。しかし、この組成物はにじみ、かつ粘着性になる欠点を有している。さらに、前記特許出願に記載の化粧用製品は十分な保持力を有していない。
【0005】
国際特許出願WO-A-97/17057において、Procter & Gamble社は2つの組成物を互いに重ねて塗布することによる、保持力と耐色移り性の特性を増大させる方法を記載している。この2つの組成物は以下の物理化学的基準を満足している。
-最初に塗布される組成物は8.5(cal/cm3)1/2未満の包括的(global)ヒルデブランド(Hildebrand)溶解度パラメータを有し、
-第2の組成物は少なくとも13の計算された分配係数ClogPを有するオイルを含む。
しかし、例として提供された組成物は不快なメークアップをもたらすものである。
【0006】
国際特許出願WO02/067877は、耐色移り性組成物の美的特性を改善するための方法を開示している。それは、耐色移り性組成物の被膜に、第1の組成物の被膜を壊さない第2の組成物を塗布する方法である。前記特許出願に記載されている製品は不愉快な臭いを有しており、かつ粘着性である。
【0007】
最後に、Nicholsの米国特許第A-6001374号は、アルコール可溶性および水不溶性の樹脂を含むベース組成物を塗布し、その上にシリコーン化合物を含む組成物を付着させる、リップメークアップを提案している。例として引用されているシリコーン化合物、特に、粘度が5cStで分子量が800のポリジメチルシロキサン中での、15/85質量割合(参照番号SF1236で販売されている製品)の溶液としての、粘度が20000000cStで分子量が500000のポリジメチルシロキサンは非常に粘着性である。
【特許文献1】米国特許第6074654号
【特許文献2】国際特許出願WO02/067877
【特許文献3】欧州特許出願EP1249223
【特許文献4】国際特許出願WO-A-97/17057
【特許文献5】米国特許第A-6001374号
【特許文献6】未公開特許出願FR03/04259
【特許文献7】特許出願FR04/50540
【特許文献8】欧州特許出願EP749747
【特許文献9】欧州特許第EP895467号
【特許文献10】欧州特許第EP96459号
【非特許文献1】Gillman K.F.、Polymer Letters、Vol 5、477〜481頁(1967)
【特許文献11】米国特許第5625005号
【非特許文献2】C.M.Hansen、「The three dimensional solubility Parameters」、J.Paint Technol. Vol 39、105頁(1967)
【特許文献12】日本国特許出願JP-A-08-109121
【非特許文献3】D.W.Van Krevelen、「Properties of Polymers」(1990)、190頁
【特許文献13】フランス特許出願FR03/50034
【特許文献14】フランス特許出願FR0209246
【特許文献15】欧州特許出願EP-A-0667146
【特許文献16】欧州特許出願EP-A-749746
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、互いに重ねて塗布される2つの組成物を含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、保持力が改善され、耐にじみ性と非粘着特性が満足すべきものである製品を提案することである。本発明は、その非粘着特性が改善された満足すべき保持力の化粧用製品も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その態様の1つによれば、本発明の1つの対象は第1の組成物と、その第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、上記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、上記第2の組成物がASTM規格D-445によって測定して5〜10000cSt、さらには10〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含む製品である。本特許出願では、「の間(between)」という用語はその範囲の両限界値を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の組成物はアクリル酸ポリマーを含むことができる。それは固体であってもよい。「固体組成物」という用語は、口紅の場合特にスティックまたはファンデーションを意味する。
【0011】
「メークアップ製品」という用語は、ケラチン材料に、例えば口紅、メークアップ粉末、アイライナー、ファンデーションまたはセルフタンニング製品、および半永久的なメークアップ製品(タトゥー)などの製品を塗布することによって、ヒトのケラチン材料(皮膚、唇または外皮)上に色を付着させるための着色剤を含む製品を意味する。
【0012】
「シリコーンポリマー」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含む少なくとも1種のモノマーから得られるポリマーを意味する。
【0013】
第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる本発明による製品の付着は、有利には60%以上、例えば65%、さらには70%の保持力値を有する。
【0014】
保持力は以下の方法によって測定する。
【0015】
コラーゲンのシートでカバーされた3つのガラススライドは以下のようにして調製する。4.6cm×8.5cm側長のコラーゲンのシート(Nippi casing Grade)を28℃の温度で調製し、90%相対湿度(RH)で3時間調整する。コラーゲンのシートを開放空気中に戻し、4.6cm×7.6cmのガラススライド上に直ちに堅くかつ全体に固定する。コラーゲンのシートを3M Scotchテープでスライドの裏面に貼り付ける。コラーゲンの表面は平らで折り重なりが無いようにしなければならない。各スライドを周囲条件下に24時間置き、次いで試験を行う。
【0016】
ナイフと定規を用いて、Styrofoamプレート(Amoco Selectables Plastics DL Tablewareのタイプのもの)からガラススライドの輪郭にそって4.6cm×7.6cmの長方形状物に切り出す。以下のようにして、本発明による製品を各ガラススライドとStyrofoam長方形状物に塗布する。第1の組成物を、25μm機械的塗布器(バーコータ)を用いて塗布する。組成物を30分間乾燥し、次いで、第2の組成物を第1の付着上に塗布する。
【0017】
25μm機械的塗布器(バーコータ)で第1の組成物を塗布することによって、製品をコラーゲンで覆われたガラススライドに塗布する。組成物を30分間乾燥し、次いで、第2の組成物を第1の付着上に塗布する。プレートを周囲条件下に30分間置く。
【0018】
ブラシを用いて拡げた3滴のオイル(約0.075g)を、3枚のコラーゲンコーティングしたスライドのそれぞれに塗布する。余剰物をKimwipes紙のシートで拭き取り、スライドを室温に30分間置く。3枚の直径3.8cmの白色Styrofoamディスクを切り出す。
【0019】
白色Styrofoamディスクを両面テープで2kg質量体の末端にしっかりと貼り付け、175g/cm2の圧力をかけながらプレートの表面(製品側)に徐々におもりをかけ、おもりを、初期圧力を保持しながら、それ自体まわりに3〜5秒間で1回半回転させる。おもりを取り上げ、Styrofoamディスクを回収する。各ガラススライドについて透明なStyrofoamディスクで測定を実施する。
【0020】
次いで反射率の割合を、
・長方形Styrofoamサンプルに塗布された製品の付着(参照番号A)、
・透明白色Styrofoamディスク(参照番号B)、
・化粧用製品でコーティングされたスライドに圧力をかけた後、おもりをとり外したディスク(参照番号C)
について測定する。
分光分析器(直径25mmの開口度)を用いてD65光源/10℃で、反射率を400〜700nmの波長範囲にわたって測定する。「マークした(marked)」ディスクについて最小反射率の波長を選択する。この波長で、次式によって、
100*(1-[(C-B)/(A-B)])
保持力を計算する。
保持力は3回の測定の平均をとる。
【0021】
その態様の1つによれば、本発明の対象は、第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、上記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、上記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して5〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含み、第1のシリコーンポリマーが、第2の組成物中に十分な量で存在する場合、i)第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる前記製品の付着の保持力と、ii)第1の組成物の付着の保持力との比が、少なくとも1.1より大きく、前記第1の組成物の付着の保持力が30%以上である製品である。
【0022】
第1の組成物はアクリル酸ポリマーを含むことができる。それは固体でもよい。
【0023】
i)第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られた前記製品の付着の保持力と、ii)第1の組成物の付着の保持力との比は少なくとも1.12、例えば1.15、さらには1.17、さらには1.20より大きくてよい。
【0024】
本発明のこの態様と、また以下に示す他の態様にもよれば、第1の組成物の保持力は40%、さらには50%、さらには55%、さらに良くは60%以上であってよい。
【0025】
保持力は先に述べた方法によって測定する。
【0026】
第2の態様によれば、本発明の対象は第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、上記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、上記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して5〜10000cSt、さらには10〜10000cStの粘度を有するポリジメチルシロキサンから選択される少なくとも第1のシリコーンポリマーと、ASTM規格D-445によって測定して5000〜300000cStの範囲であり、かつ前記第1のポリマーの粘度より大きい粘度を有するポリジメチルシロキサンから選択される少なくとも第2のシリコーンポリマーを含む製品である。
【0027】
第1の組成物はアクリル酸ポリマーを含むことができる。それは固体でもよい。
【0028】
さらに別の態様によれば、本発明は、第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、上記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、上記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して50〜1000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーと、ASTM規格D-445によって測定して30000〜300000cStの粘度を有する第2のシリコーンポリマーを含む製品に関する。
【0029】
第1の組成物はアクリル酸ポリマーを含むことができる。それは固体でもよい。
【0030】
最後の態様によれば、本発明の対象は、第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、上記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、上記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して10〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含み、第1のシリコーンポリマーが、第2の組成物中に十分な量で存在する場合、第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる前記製品の付着の保持力が65%より大きい製品である。
【0031】
第1の組成物はアクリル酸ポリマーを含むことができる。それは固体でもよい。
【0032】
本発明の対象は、皮膚および/または唇および/または外皮をメークアップするための方法であって、皮膚、唇および/または外皮に、生理学的に許容される媒体を含む第1の組成物の第1のコーティングを施し、次いで、前記第1のコーティングの全部または一部に、ASTM規格D-445によって測定して5〜10000cSt、さらには10〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む第2の組成物の第2のコーティングを施し、第1の組成物および第2の組成物の連続的塗布によって得られる付着の保持力が65%より大きい方法でもある。
【0033】
第1の組成物はアクリル酸ポリマーを含むことができる。それは固体でもよい。
【0034】
本発明は、第1および第2の組成物の連続的塗布によってもたらされるその付着が65%より大きい保持力を有する化粧用製品が得られるように、生理学的に許容される媒体を含む第1の組成物に塗布するための、ASTM規格D-445によって測定して5〜10000cSt、さらには10〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む第2の組成物の使用にも関する。
【0035】
第1の組成物はアクリル酸ポリマーを含むことができる。それは固体でもよい。
【0036】
第2の組成物
第2の組成物はASTM規格D-445によって測定して10〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含む。
【0037】
第2の組成物は、Brookfield RV回転粘度計で25℃で測定して、3〜25Pa.sの粘度を有することが有利である。
【0038】
組成物の動粘度は、測定しようとする粘度の大きさに応じた種々のスピンドルを備えたBrookfield RV粘度計で測定する。組成物を600mlのビーカーの注ぎ、これを熱平衡的に25℃で2時間保持する。10分間の剪断後に測定値をセンチポイズでとる。スピンドルのスピン速度は200s-1である。
【0039】
最初にセンチポイズで計った粘度をPa.sに変換するために比重瓶を用いて25℃で組成物の密度も測定する。
【0040】
第1の実施形態によれば、第2の組成物は、10〜10000cSt、好ましくは50〜5000cSt、優先的には100〜1000cStの粘度を有し、Brookfield RV回転粘度計で測定してその粘度が25℃で3〜6Pa.sである1種のみのシリコーンポリマーを有する。
【0041】
事実の点でいえば、本出願者は、3〜6Pa.sの粘度の第2の組成物を調製しようとして、本発明の化粧用製品の保持力を増大させ、粘着性を低減させるために、その粘度が10〜10000cStである単一のポリマーの選択が必要であることを発見した。
【0042】
第2の実施形態によれば、第2の組成物は10〜300000cStの異なる粘度を有する少なくとも2種のシリコーンポリマーを含む。
【0043】
具体的には、第2の組成物は、10〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーと、第1のシリコーンポリマーの粘度より大きく、かつ5000〜300000cStの粘度を有する少なくとも第2のシリコーンポリマーとを含む。
【0044】
第2のシリコーンポリマーは200000g/モル未満の重量平均モル質量を有する。シリコーン化合物の分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定する。
【0045】
この実施形態では、25℃での第2の組成物の粘度は、好ましくは5〜25Pa.s、より好ましくは8〜15Pa.sである。この理由は、本出願者が、その粘度がこの範囲内にある組成物を得るために、特定の粘度を有する2つのポリマーを選択すると、本発明による化粧用製品の保持力を改善し、粘着性を低減させることができることを発見したからである。
【0046】
1つの実施形態によれば、第2の組成物は透明である。
【0047】
「透明な組成物」という用語は、透明から半透明である、すなわち750nmの波長で少なくとも40%の光、好ましくは少なくとも50%の光を透過させる組成物を意味する。
【0048】
透過率測定はVarian社のCary 300 ScanUV-可視分光光度計を用いて以下の手順によって実施する。
【0049】
組成物をその融点を超える温度で10mmの側面長さを有する矩形断面の分光光度計用キュベットに注入する。
【0050】
次いで組成物のサンプルを35℃で24時間冷却し、次いで熱平衡的に20℃に保持したチャンバー中で24時間保持する。
【0051】
次いで組成物のサンプルを透過した光を、分光光度計を用いて700nm〜800nmの範囲の波長でスキャニングして測定する。測定は透過モードで行う。
【0052】
次いで、750nmの波長で、組成物サンプルを透過した光の割合を測定する。
【0053】
10〜10000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーは以下の式(A)に相当する。
【0054】
【化1】

【0055】
(式中、
R1、R2、R5およびR6は、一緒にまたは個別に、任意選択で少なくとも1個のフッ素原子で置換された1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒にまたは個別に、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基またはアリール基であり、
Xは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシル基、ビニルもしくはアリル基または1〜6個の炭素原子を含むアルコキシ基であり、
nおよびpはシリコーンポリマーが、ASTM規格D-445によって測定して25℃で10〜10000cStの粘度を有するように選択され、
pは好ましくは0である)
【0056】
10〜10000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーはポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサンおよびポリアルキルアリールシロキサンならびにその混合物から選択することができる。
【0057】
10〜10000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーは特に、
-ポリジメチルシロキサン(PDMS);
-シリコーン鎖に懸垂しているかまたはその末端にあり、かつその基が2〜24個の炭素原子を含むアルキル、アルコキシもしくはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;
-フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート
であってよい。
【0058】
本発明によるポリアルキルシロキサンには、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)シロキサンおよびポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマーならびにその混合物が含まれる。
【0059】
10〜10000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーは有利にはポリジメチルシロキサンである。
【0060】
10〜10000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーは、ASTM規格D-445によって測定して50〜5000cSt、好ましくは100〜3000cSt、特に100〜1000cSt、例えば350cStの粘度を有することが好ましい。
【0061】
本発明の1つの実施形態によれば、第2の組成物は、ASTM規格D-445によって測定して10〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーと、第1のシリコーンポリマーの粘度より大きく、かつ5000〜300000cStの粘度を有する少なくとも第2のシリコーンポリマーとを含む。
【0062】
第2のシリコーンポリマーは5000〜300000cSt、特に10000〜200000cSt、例えば30000〜100000cStの粘度を有することが好ましい。
【0063】
具体的には、10〜10000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーは、好ましくは10〜5000cSt、好ましくは10〜1000cSt、より好ましくは10〜500cStの粘度を有し、第1のシリコーンポリマーの粘度より大きく、かつ5000〜300000cStの範囲の粘度を有する第2のシリコーンポリマーは10000〜300000cStの粘度を有することが好ましい。
【0064】
2つのシリコーンポリマー間の質量比は、本発明による化粧用製品の保持力と非粘着性が最適化されるように、得ようとする第2の組成物の粘度によって調節することが有利である。
【0065】
5000〜300000cStの粘度を有するポリマーは以下の式(B)に相当する。
【0066】
【化2】

【0067】
(式中、
R1、R2、R5およびR6は、一緒にまたは個別に、任意選択で少なくとも1個のフッ素原子で置換された1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒にまたは個別に、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基またはアリール基であり、
Xは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシル基、ビニルもしくはアリル基または1〜6個の炭素原子を含むアルコキシ基であり、
nおよびpは、シリコーンポリマーが、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5000〜300000cStの粘度を有するように選択され、
pは好ましくは0である)
【0068】
5000〜300000cStの粘度を有するシリコーンポリマーはポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサンおよびポリアルキルアリールシロキサンならびにその混合物から選択される。
【0069】
5000〜300000cStの粘度を有するシリコーンポリマーは特に以下の中のものであってよい。
-ポリジメチルシロキサン(PDMS);
-シリコーン鎖に懸垂しているかまたはその末端にあり、かつその基が2〜24個の炭素原子を含むアルキル、アルコキシもしくはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;
-フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリカケート。
【0070】
本発明によるポリアルキルシロキサンには、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)シロキサンおよびポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマーならびにその混合物が含まれる。
【0071】
5000〜300000cStの粘度を有するシリコーンポリマーは有利にはポリジメチルシロキサンである。
【0072】
異なる粘度の2つのシリコーンポリマーは有利にはポリジメチルシロキサンである。
【0073】
本発明の実施形態の1つによれば、第2の組成物は、ASTM規格D-445によって測定して50〜5000cStの粘度を有する少なくとも第1のポリジメチルシロキサンと、10000〜300000cStの粘度を有する少なくとも第2のポリジメチルシロキサンを含む。
【0074】
この実施形態では、2つのポリジメチルシロキサンの割合は有利には組成物の粘度が5〜25Paであるように選択する。
【0075】
第1のシリコーンポリマーは、例えば、ASTM規格D-445によって測定して25℃で50〜1000cSt、特に100〜500cStの粘度を有し、第2のシリコーンポリマーは特に、ASTM規格D-445によって測定して25℃で30000〜300000cSt、特に30000〜250000cStの粘度を有する。
【0076】
2つのシリコーンポリマーは上記のポリマーから選択することができる。
【0077】
第2の組成物は、ASTM規格D-445によって測定して25℃で50cSt未満、特に20cSt未満、特に10cSt未満、特に5cSt以下の粘度を有する、50重量%未満のシリコーンオイル含むことが好ましい。第2の組成物は、好ましくは40%未満、好ましくは30%、優先的には20重量%のこのシリコーンオイルを含むことが好ましく、その粘度は0.01cSt以上でよい。
【0078】
第2の組成物は以下に定義するような10重量%未満の顔料および/または充てん剤を含むことが好ましい。具体的には、第2の組成物は5重量%未満の顔料および/または充てん剤を含む。
【0079】
非常に高い粘度のシリコーンポリマー
第2の組成物は300000cStを超える粘度を有するシリコーンポリマーまたは任意選択で溶媒中に可溶化した形態で提供される固体シリコーンポリマーを含むこともできる。
【0080】
このポリマーは、グラフト化されていいないポリマー、すなわち少なくとも1種のモノマーの重合によって、後続して側鎖が別の化合物と反応することなく、得られるポリマーであることが有利である。ポリマーは好ましくはジメチコノール、フルオロシリコーンおよびジメチコンならびにその混合物から選択される。
【0081】
1つの実施形態によれば、300000cStより大きい粘度を有するシリコーンポリマーは、Dow Corningから参照番号(reference)D2-9085で販売されているジメチコノール、またはDow Corningから参照番号DC1503で販売されているジメチコノールである。Dow Corningから参照番号Q2-1403またはQ2-1401で販売されているジメチコノールも選択することができる。
【0082】
300000cStより大きい粘度を有するシリコーンポリマーとして、General Electricから販売されているSE30、SE33、SE54およびSE76、Wackerから販売されているAK500000ならびにRhodiaから販売されているSilbione70047Vも挙げることができる。
【0083】
本発明によるジメチコンには、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)-(メチルビニルシロキサン)コポリマーおよびポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマーならびにその混合物が含まれる。
【0084】
300000cStより大きい粘度を有するシリコーンポリマーまたは固体シリコーンポリマーの量は、好ましくは0.1%〜20%、優先的には0.1%〜5%である。
【0085】
揮発性オイル
第2の組成物は任意選択で揮発性オイルを含むことができる。
【0086】
「揮発性オイル」という用語は、皮膚と接触して、室温、大気圧下で1時間未満で蒸発することができるオイル(または非水溶性媒体)を意味する。揮発性オイルは室温で液体である、特に室温、大気圧下で蒸気圧がゼロでない、特に0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、優先的には1.3Pa〜1300Pa(0.1〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する揮発性化粧品オイルである。
【0087】
さらに、揮発性オイルは一般に、大気圧下で測定して、150℃〜260℃の範囲、好ましくは170℃〜250℃の範囲の沸点を有する。
【0088】
「炭化水素をベースとしたオイル」という用語は、本質的に炭素原子と水素原子、ならびに可能的に酸素原子および窒素原子から形成される、またはそれらからなり、かつケイ素原子またはフッ素原子を含まないオイルを意味する。それはエステル、エーテル、アミンまたはアミド基を含んでよい。
【0089】
「シリコーンオイル」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子、特にSi-O基を含むオイルを意味する。
【0090】
揮発性オイルはシリコーンオイルまたは炭化水素をベースとしたオイルであってよい。
【0091】
本発明で使用できる揮発性シリコーンオイルは、40℃〜102℃の範囲の引火点、好ましくは55℃超で95℃以下、優先的には65℃〜95℃の範囲の引火点を有するシリコーンオイルから選択することができる。
【0092】
本発明で使用できる揮発性シリコーンオイルとして、室温で8cSt未満の粘度を有し、特に2〜7個のケイ素原子を有する線状もしくは環状シリコーンを挙げることができる。これらのシリコーンは任意選択で1〜10個の炭素原子を含むアルキルもしくはアルコキシ基を含む。本発明で使用できる揮発性シリコーンオイルとして、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサンならびにその混合物を挙げることができる。
【0093】
本発明で使用できる揮発性シリコーンオイルとして、未公開特許出願FR03/04259に記載されているシリコーンを挙げることができる。
【0094】
本発明で使用できる揮発性炭化水素をベースとしたオイルは、40℃〜102℃の範囲、好ましくは50℃〜100℃の範囲、優先的には75℃〜85℃の範囲の引火点を有する炭化水素をベースとしたオイルから選択することができる。
【0095】
挙げることができる揮発性炭化水素をベースとしたオイルには、8〜16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素をベースとしたオイルおよびその混合物、特に分枝C8〜C16アルカン、例えばC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカン、ならびに、例えばIsoparまたはPermethylという商品名で販売されているオイル、分枝C8〜C16エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエートおよびその混合物が含まれる。揮発性炭化水素をベースとしたオイルは、8〜16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素をベースとしたオイルおよびその混合物、特にイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカン、特にイソドデカンから選択されることが好ましい。
【0096】
揮発性オイルは、組成物全重量の0.1%〜50%、より良くは1%〜30%、好ましくは組成物全重量の5%〜15%であることが好ましい。
【0097】
ゲル化剤
本発明の1つの実施形態によれば、第2の組成物はポリマー系または鉱物系のゲル化剤を含むことができる。
【0098】
「ゲル化剤」という用語は、化合物をその中に含む媒体粘度を増大させるか、または前記媒体を硬化させる化合物を意味する。本発明によるゲル化剤はワックスを含まない。
【0099】
別の実施形態によれば、ゲル化剤は特に、
-任意選択で疎水性の表面処理したヒュームドシリカ;
-任意選択で改質されたクレー、例えばC10〜C22脂肪酸アンモニウムクロリドで改質されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリド改質されたヘクトライト、およびその混合物でよい。
【0100】
部分的にまたは全体的に架橋された三次元構造のエラストマー系オルガノポリシロキサン、例えばShin-EtsuからKSG6、KSG16およびKSG18、Dow CorningからTrefil E-505CまたはTrefil E-506C、Grant IndustriesからGransil SR-CYC、SR DMF10、SR-DC556、SR 5CYC Gel、SR DMF10 GelおよびSR DC556 GelならびにGeneral ElectricからSF1204およびJK113の商品名で販売されているゲル化剤も含めて挙げることができる。
【0101】
ワックス
第2の組成物は少なくとも1種のワックスを含むことができる。
【0102】
ワックスは、組成物中に2〜30重量%、より良くは5%〜20%、好ましくは組成物中に5%〜15%の割合で存在することができる。
【0103】
本発明の文脈では線状炭化水素をベースとしたワックスが好ましい。その融点は35℃より大きい、例えば55℃より大きい、好ましくは80℃より大きいことが有利である。
【0104】
線状炭化水素をベースとしたワックスは、置換線状アルカン、非置換線状アルカン、非置換線状アルケンおよび置換線状アルケン、まったく炭素と水素だけの化合物である非置換化合物から選択されることが有利である。上記の置換基は炭素原子をまったく含まない。
【0105】
線状炭化水素をベースとしたワックスには、400〜800の分子量を有するエチレンポリマーおよびコポリマー、例えばNew Phase Technologiesから販売されているPolywax500またはPolywax400が含まれる。
【0106】
線状炭化水素をベースとしたワックスには、線状パラフィンワックス、例えばStrahl & PitschのパラフィンのS&P206、S&P173およびS&P434が含まれる。
【0107】
線状炭化水素をベースとしたワックスには、長鎖線状アルコール、例えばポリエチレンと20〜50個の炭素原子を含むアルコールの混合物を含む製品、特にNew Phase Technologiesから販売されているPerformacol 425またはPerformacol 550(20/80の割合の混合物)が含まれる。
【0108】
第2の組成物は、有利には鎖の末端にアルキル基を含むジメチコンなどのシリコーンワックスを含む。これらのアルキル基は、18個超の炭素原子、好ましくは20〜50個超、優先的には30〜45個超の炭素原子を含むことが好ましい。シリコーンワックスの例には、
-Archimica Fine Chemicalsから参照番号SilCare 41M40、SilCare 41M50、SilCare 41M70およびSilCare 41M80で販売されている、C20〜24アルキルメチコン、C24〜28アルキルジメチコン、C20〜24アルキルジメチコンおよびC24〜28アルキルジメチコン、
-Archimicaから参照番号SilCare 41M65で販売されている、またはDow Corningから参照番号DC-2503で販売されているステアリルジメチコン、
-参照番号SilCare 1M71またはDC-580で販売されているステアロキシトリメチルシラン、
-Wacker-Chemie GmbHからの製品Abil Wax 9810、9800または2440、
-Dow Corningから参照番号AMS-C30 Waxで販売されているC30〜45アルキルメチコン、またGeneral Electricから参照番号SF1642またはSF1632で販売されているC30〜45アルキルジメチコン
が含まれる。
【0109】
1つの実施形態によれば、組成物は5重量%未満、好ましくは3%未満、さらには1重量%未満のワックスを含む。
【0110】
第1の組成物
第1の組成物は生理学的に許容される媒体、すなわち化粧品としてまたは皮膚病学的に許容される媒体、すなわちヒトの顔の皮膚、外皮または唇に塗布できる非毒性媒体を含む組成物を含む。本発明のためには、「化粧品として許容される」という用語は、心地よい外観、芳香および感覚の組成物を意味する。
【0111】
第1の組成物は当技術分野で周知の任意の化粧品組成物でよい。第1の組成物は保持力特性、特に良好な耐油性を有する化粧品組成物が好ましい。
【0112】
被膜形成型ポリマー
1つの実施形態によれば、本発明による第1の組成物は被膜形成型ポリマーおよび液体有機相、特に液体脂肪相を含むことが有利である。
【0113】
「被膜形成型ポリマー」という用語は、それ自体でまたは補助的な被膜形成剤の存在下で、支持体、特にケラチン材料に粘着する連続被膜、好ましくは粘着性被膜、より良くはその粘着特性および機械的特性が前記被膜を前記支持体から隔てる被膜を形成できるポリマーを意味する。
【0114】
被膜形成型ポリマーは、例えば、2004年3月18日出願の特許出願FR04/50540に記載のポリマーのうちの1つである。その内容を参照により本特許出願に組み込む。
【0115】
本特許出願のためには、「液体脂肪相」という用語は、オイルとしても知られている、室温で液体である1種または複数の脂肪族物質を含む、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で液体である任意の非水溶性媒体(ただし酸とポリオールのエステルを除く)を意味し、また室温、大気圧下で液体である場合、組成物中に存在していてよい顔料のためのゲル化剤および安定剤を意味する。この脂肪相は揮発性液体脂肪相および/または非揮発性脂肪相を含むことができる。
【0116】
被膜形成型ポリマーは好ましくは非結晶性エチレン系ポリマーである。
【0117】
「エチレン系ポリマー」という用語は、エチレン系不飽和モノマーの重合によって得られるポリマーを意味する。
【0118】
被膜形成型ポリマーは好ましくは液体脂肪相中の粒子懸濁液の形態である。
【0119】
第1の実施形態によれば、第1の組成物は、生理学的に許容される液体有機相中に、1種または複数のポリマーのほぼ球状のポリマー粒子の安定した懸濁液を含む。
【0120】
これらの懸濁液は、特に前記液体有機相中での、ポリマーナノ粒子の安定懸濁液の形態であってよい。ナノ粒子は5〜800nm、より良くは50〜500nmの平均サイズを有することが好ましい。しかし、1μmまでの範囲のサイズのポリマー粒子を得ることができる。
【0121】
これらのポリマー粒子懸濁液は特に欧州特許出願EP749747に記載されているものである。その内容を参照により本特許出願に組み込む。
【0122】
懸濁液中のポリマー粒子は、水溶性アルコール、例えばエタノール中に不溶性であることが好ましい。
【0123】
本発明の第1の組成物で使用できる懸濁液中のポリマーは、約2000〜10000000g/モルの分子量と、-100℃〜300℃、より良くは-50℃〜100℃、好ましくは-10℃〜50℃のTgを有することが好ましい。
【0124】
ポリマーが、対象とする用途に対して高すぎるガラス転移温度を有する場合、使用する混合物のガラス転移温度を低下させるために、ポリマーに可塑剤を混合することができる。
【0125】
好ましくは皮膚温度以下、特に40℃以下、特に-10℃〜30℃の範囲の低いTgを有するポリマーを使用することができる。
【0126】
「フリーラジカルポリマー」という表現は、不飽和、特にエチレン系不飽和を含むモノマーであって、各モノマーがホモ重合(重縮合物ではなく)することができるモノマーの重合によって得られるポリマーを意味する。フリーラジカルポリマーは、特にビニルポリマーまたはコポリマー、特にアクリル酸ポリマーであってよい。
【0127】
アクリル酸ポリマーは、少なくとも1種の酸基および/またはこれらの酸性モノマーのエステル、および/またはこれらの酸のアミドを含むエチレン系不飽和モノマーの重合によって得ることができる。
【0128】
使用できる酸性基担持のモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびイタコン酸などのα,β-エチレン系不飽和カルボン酸が含まれる。使用するのには、(メタ)アクリル酸およびクロトン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
【0129】
酸性モノマーのエステルは、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとしても知られている)、例えばアルキル特にC1〜C20、好ましくはC1〜C8アルキルの(メタ)アクリレート、アリール特にC6〜C10アリールの(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル特にC2〜C6ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから有利に選択される。挙げることができるアルキル(メタ)アクリレートには、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシルおよびラウリル(メタ)アクリレートが含まれる。挙げることができるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが含まれる。挙げることができるアリール(メタ)アクリレートにはベンジルもしくはフェニルアクリレートが含まれる。
【0130】
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステルはアルキル(メタ)アクリレートである。
【0131】
使用するのに好ましいフリーラジカルポリマーには、(メタ)アクリル酸と、アルキル(メタ)アクリレート特にC1〜C4アルキルのコポリマーが含まれる。より好ましくは、任意選択でアクリル酸と共重合したメチルアクリレートを使用することができる。
【0132】
挙げることができる酸性モノマーのアミドには、(メタ)アクリルアミド、特に、具体的にはC2〜C12アルキルのN-アルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミドおよびN-オクチルアクリルアミド;N-ジ(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0133】
アクリル酸ポリマーは、遊離した形態、または部分的にもしくは全体的に中和された形態、あるいは部分的にもしくは全体的に四級化された形態の少なくとも1種のアミン基を含むエチレン系不飽和モノマーの重合によって得ることもできる。そうしたモノマーは、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ビニルアミン、ビニル-ピリジンまたはジアリルジメチルアンモニウムクロリドであってよい。
【0134】
ビニルポリマーはビニルエステルおよびスチレンモノマーから選択される少なくとも1種のモノマーのホモ重合または共重合によって得ることもできる。具体的には、これらのモノマーを、上述したような酸性モノマーおよび/またはそのエステル、および/またはそのアミドと重合させることができる。挙げることができるビニルエステルの例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルネオデカノエート、ピバリン酸ビニル、ビニルベンゾエートおよびビニルt-ブチルベンゾエートが含まれる。挙げることができるスチレンモノマーにはスチレンおよびα-メチルスチレンが含まれる。
【0135】
提供したモノマーのリストは限定的なものではなく、アクリル酸およびビニルモノマー(シリコーン鎖で改変されたモノマーを含む)の範疇に入る当技術分野の技術者に知られている任意のモノマーを使用することができる。
【0136】
使用できる他のビニルモノマーとして、
-N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-N-(C1〜C6)アルキルピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾーツ、ビニルピリミジンおよびビニルイミダゾール、
-エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレンおよびブタジエンなどのオレフィン
を挙げることもできる。
【0137】
ビニルポリマーは、特に少なくとも2つのエチレン系不飽和を含む1種または複数のニ官能性モノマー、例えばエチレングリコールジメタクリレートまたはジアリルフタレートによって架橋されていてよい。
【0138】
本発明の懸濁液中のポリマーは、非限定的な形で、以下のポリマーまたはコポリマーすなわち、ポリウレタン、ポリウレタン-アクリル樹脂(acrylics)、ポリウレア、ポリウレアポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、アルキド樹脂;アクリル酸および/またはビニルポリマーまたはコポリマー;アクリル酸-シリコーンコポリマー;ポリアクリルアミド;シリコーンポリマー例えばシリコーンアクリル樹脂またはシリコーンポリウレタン、フルオロポリマーならびにその混合物から選択することができる。
【0139】
有機液相中に懸濁されたポリマーは、固体として、組成物の重量の2%〜40%、好ましくは5%〜40%、好ましくは5%〜35%、より良くは8%〜30%存在することができる。
【0140】
第1の組成物は有利には安定剤を含むことができ、それは、単独のまたは混合物としての、ブロックポリマー、グラフト化ポリマーおよび/またはランダムポリマーであってよい。安定化は既知の任意の手段、具体的には重合の際における、ブロックポリマー、グラフト化ポリマーおよび/またはランダムポリマーの直接付加によって実施できる。グラフト化ブロックポリマーまたはブロックコポリマーとして、エチレン結合、例えばエチレンまたはブタジエンおよびイソプレンなどのジエンを含む少なくとも1種のエチレン系モノマーの重合によって得られる少なくとも1つのブロックと、ビニルポリマー、より良くはスチレンポリマーからなる少なくとも1つのブロックとを含むものも挙げることができる。エチレン系モノマーが任意選択で複数の共役型エチレン結合を含む場合、重合した後に残留するエチレン系不飽和は通常水素化される。すなわち既知の方法で、イソプレンを重合して水素化した後、エチレン-プロピレンブロックの形成がもたらされ、ブタジエンを重合して水素化した後、エチレン-ブチレンブロックの形成がもたらされる。これらのポリマーの中では、ブロックコポリマー、特にポリスチレン/ポリイソプレン(SI)またはポリスチレン/ポリブタジエン(SB)例えばBASFから「Luvitol HSB」の商品名で販売されているものなどの「ジブロック」型または「トリブロック」型、Shell Chemical Co.から「Kraton」の商品名で販売されているものなどのポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)(SEP)型、あるいはポリスチレン/コポリ(エチレンブチレン)(SEB)型を挙げることができる。Kraton G1650(SEBS)、Kraton G1651(SEBS)、Kraton G1652(SEBS)、Kraton G1657X(SEBS)、Kraton G1701X(SEP)、Kraton G1702X(SEP)、Kraton G1726X(SEB)、Kraton D-1101(SBS)、Kraton D-1102(SBS)およびKraton D-1107(SIS)が特に使用される。ポリマーは一般に水素化もしくは非水素化ジエンコポリマーとして知られている。
【0141】
ポリマーの重合前の混合物中に安定剤が存在することも好ましい。しかし、特にモノマーも連続的に加えられている場合、連続的に加えることも可能である。
【0142】
最初のモノマー混合物に対して2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の安定剤を使用することができる。
【0143】
この実施形態では、第1の組成物の液体脂肪相は、化粧品としてまたは皮膚病学的に許容される任意のオイル、および一般に、特に鉱物、植物または合成由来のオイル、炭素をベースとしたオイル、炭化水素をベースとしたオイル、フルオロオイルおよび/またはシリコーンオイルから選択される生理学的に許容されるオイルから、単独でまたは混合物として、構成されていてよい。ただし、これらは均一で巨視的に安定した混合物を形成し、かつ対象とする使用に適合性があるものとする。
【0144】
組成物の全液体脂肪相は組成物全重量の5%〜90%、好ましくは20%〜85%を占めることができる。組成物全重量の少なくとも30%を占めることが有利である。この脂肪相は少なくとも1種の揮発性オイルを含むことが好ましい。
【0145】
本発明によれば、有利には1種または複数の揮発性オイルを使用する。
【0146】
これらのオイルは、シリコーン鎖の末端に懸垂しているアルキルもしくはアルコキシ基を任意選択で含む炭化水素をベースとしたオイルまたはシリコーンオイルであってよい。
【0147】
本発明で使用できる揮発性シリコーンオイルとして、特に2〜7個のケイ素原子を含む室温で8cSt未満の粘度を有する線状もしくは環状シリコーンを挙げることができ、これらのシリコーンは、1〜10個の炭素原子を含むアルキルもしくはアルコキシ基を任意選択で含む。本発明で使用できる揮発性シリコーンオイルとして、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサンならびにその混合物を挙げることができる。
【0148】
本発明で使用できる他の揮発性オイルとして、イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカン、例えばIsoparおよびPermethylの商品名で販売されているオイルなどのC8〜C16イソアルカンオイル(イソパラフィンとしても知られている)、特にイソドデカン(Permethyl 99A)が特に好ましい。
【0149】
揮発性オイルは特に組成物全重量の5%〜85%、より良くは20%〜75%を占める。
【0150】
ポリマー粒子用の合成溶媒
ポリマー懸濁液は欧州特許第EP-A-749747号に記載のようにして作製することができる。
【0151】
最初のモノマーと一緒にフリーラジカル開始剤も含む混合物を調製する。この混合物を、本発明の説明では以下で「合成溶媒」と称する溶媒中に溶解する。脂肪相が非揮発性オイルである場合、重合を無極性有機溶媒(合成溶媒)中で行い、続いて非揮発性オイル(前記合成溶媒と混和するものでなければならない)を加え、合成溶媒を選択的に留去することができる。
【0152】
最初のモノマーとフリーラジカル開始剤が可溶性であり、得られるポリマー粒子が不溶性であり、それによってその生成の際にポリマーが沈殿するような合成溶媒を選択する。具体的には、合成溶媒はヘプタン、イソドデカンおよびシクロヘキサンなどのアルカンから選択することができる。
【0153】
選択される脂肪相が揮発性オイルである場合、重合を直接前記オイル中で行い、次いでそれが合成溶媒としての役割も果たすようにすることができる。モノマーはその中で可溶性であり、またフリーラジカル開始剤も同様に可溶性であり、得られるポリマーはその中で不溶性でなければならない。
【0154】
モノマーは、合成溶媒中に重合の前で、反応混合物の5〜20重量%の割合で存在することが好ましい。反応開始前にモノマー量のすべてが存在していてもよく、あるいは、重合反応の進行にしたがってモノマーの一部を徐々に加えることもできる。
【0155】
フリーラジカル開始剤はアゾビスイソブチロニトリルまたはtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートであってよい。
【0156】
組成物の揮発性相は分散したポリマー粒子のための合成溶媒からなっていてよい。
【0157】
脂肪相の非揮発性オイル
脂肪相は少なくとも1種の無極性もしくはわずかに極性の非揮発性オイルを含むことが好ましい。
【0158】
本発明で使用できるわずかに極性の非揮発性オイルとして、無極性オイル、特にアルキル鎖を含むオイル(特にC3〜C40)を挙げることができる。挙げられる無極性もしくはわずかに極性のオイルの例には、
-液体パラフィン、液体ワセリンおよび液体軽質ナフサなどの線状もしくは分枝炭化水素ならびに水素化ポリイソブテン、
-動物由来の炭化水素をベースとしたオイル例えばスクアレン、
-少なくとも10個の炭素原子の脂肪酸の液体トリグリセリドなどの炭化水素をベースとした植物性オイル、
-特に脂肪酸の合成エステルおよびエーテル、例えば式R1CO(O)XR2(式中、R1は2〜29個の炭素原子を含む酸残基を表し、xは0または1であり、R2は3〜30個の炭素原子を含む炭化水素をベースとした鎖である)のオイル、例えばトリブチルアセチルシトラート、エルカ酸オレイル、2-オクチルドデシルベヘナート、トリイソアラキジルシトラート、イソセチルステアロイルステアレートもしくはオクチルドデカニルステアロイルステアレート、酢酸n-プロピル、トリメリット酸トリデシル、ジイソセチルドデカンジオレエートもしくはステアレート、アラキジルプロピオナート、ジブチルフタレート、炭酸プロピレンまたはオクチルドデシルペンタノエート;ポリオールエステル、例えばビタミンF、ソルビタンイソステアレートおよびグリセリルもしくはジグリセリルトリイソステアレート;
-任意選択でフッ素化されたフェニルトリメチコンおよびポリアルキルメチルシロキサン、例えばポリメチルトリフルオロプロピルジメチルシロキサンなどの任意選択でC3〜C40のアルキルもしくはアルコキシ鎖またはフェニル化鎖を含むポリジメチルシロキサン(PDMS)、あるいはヒドロキシル、チオールおよび/またはアミン基などの官能基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS);脂肪酸、脂肪酸アルコールまたはポリオキシアルキレンで改変されたポリシロキサンなどのシリコーンオイル
-フルオロオイル;
-上記のものの混合物
が含まれる。
【0159】
これらの無極性もしくはわずかに極性の非揮発性オイルは、組成物全重量の0.1%〜20%、より良くは0.5%〜10%、さらにより良くは組成物全重量の1%〜5%を占めることができる。
【0160】
非揮発性オイルは無極性であることが好ましい。それは有利には炭化水素、特にアルカン例えば水素化ポリイソブテンから選択される。
【0161】
脂肪相は7〜29個の炭素原子の脂肪酸エステルから選択される極性オイルを含むこともできる。それらは、例えばリンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、Stearineries Dubois社から販売されているものまたはDynamit Nobel社からMiglyol 810、812および818の商品名で販売されているものなどのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバターオイル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノニルイソノナート、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸もしくは乳酸2-オクチルドデシル、2-ジエチルヘキシルスクシナート、パルミチン酸2-エチルヘキシル、2-オクチルドデシルステアレートまたはキャスターオイル;ラノリン酸、ラウリン酸またはステアリン酸のエステル;ステアリルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノールまたはオレイルアルコールなどの高級脂肪酸アルコール(7〜29個の炭素原子のもの);ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸などの高級脂肪酸(7〜29個の炭素原子のもの);ならびにその混合物である。
【0162】
これらの非揮発性極性オイルは組成物全重量の0.1%〜10%、より良くは1%〜5%を占めることができる。
【0163】
本発明の1つの具体的な実施形態によれば、液体脂肪相は少なくとも1種の無極性の揮発性オイルと少なくとも1種の無極性の非揮発性オイルを含む。
【0164】
この実施形態では、第1の組成物は有利には充てん剤および/または顔料のための分散剤を含む。
【0165】
具体的には、12-ヒドロキシステアリン酸エステル、およびグリセロールまたはジグリセロールなどのポリオールのC8〜C20脂肪酸エステルが使用される。例えば約750g/モルの分子量を有するポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えばAvecia社からSolsperse21000の商品名で販売されている製品、Henkel社から参照番号Dehymyls PGPHで販売されているポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名)、あるいはUniqema社から参照番号Arlacel P100で販売されている製品などのポリヒドロキシステアリン酸、ならびにその混合物である。
【0166】
本発明の組成物で使用できる他の分散剤として、重縮合した脂肪酸の四級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社から販売されているSolsperse17000ならびにDow Corning社から参照番号DC2-5185およびDC2-5225Cで販売されているものなどのポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物を挙げることができる。
【0167】
ポリジヒドロキシステアリン酸および12-ヒドロキシステアリン酸のエステルは、炭化水素をベースとした媒体またはフッ素化された媒体に好ましく、オキシエチレンジメチルシロキサン/オキシプロピレンジメチルシロキサンの混合物はシリコーン媒体に好ましい。
【0168】
別の実施形態によれば、本発明による第1の組成物は、被膜形成型ポリマーとして、グラフト化されたエチレン系ポリマーの粒子(好ましくは固体である)の液体脂肪相中での懸濁液を含むことができる。
【0169】
「グラフト化ポリマー」という用語は、懸垂しているかまたは鎖の末端に位置しており、好ましくは懸垂している少なくとも1つの側鎖を含む骨格を有するポリマーを意味する。
【0170】
グラフト化されたエチレン系ポリマーは、前記液体脂肪相中で不溶性のエチレン系骨格と、液体脂肪相中で可溶性である前記骨格に共有結合で結合した側鎖とを含むことが有利である。
【0171】
グラフト化されたエチレン系ポリマーは特に架橋されていないポリマーである。具体的には、そのポリマーは1つだけの重合可能な基を含むモノマーの重合によって得られる。
【0172】
本発明の1つの実施形態によれば、グラフト化されたエチレン系ポリマーはグラフト化されたアクリル酸ポリマーである。
【0173】
グラフト化されたエチレン系ポリマーは特に、
-前記不溶性骨格を形成するための少なくとも1種のエチレン系モノマー、具体的には少なくとも1種のアクリル酸モノマーおよび任意選択で少なくとも1種の追加の非アクリル酸ビニルモノマーと、
-側鎖を形成するための重合可能な末端基を含む少なくとも1種のマクロモノマーであって、重合したマクロモノマーがそのポリマー中で0.05重量%〜20重量%の含量を占める、200以上の重量平均分子量を有するマクロモノマー
との有機重合媒体中でのフリーラジカル重合によって得ることができる。
【0174】
液体脂肪相はグラフト化されたエチレン系ポリマーための有機重合媒体を含むことができる。
【0175】
その中でグラフト化ポリマーが提供される媒体に相当する有機液体懸濁媒体は、重合媒体と同じであってよい。
【0176】
しかし、重合媒体を、別の有機液体媒体で完全にまたは部分的に置き換えることができる。この他の有機液体媒体を重合の後に重合媒体に加えることができる。次いで、前記重合媒体を完全にまたは部分的に蒸発させる。
【0177】
液体脂肪相は懸濁媒体中に存在するもの以外の液体有機化合物を含むことができる。これらの他の化合物は、グラフト化ポリマーが液体脂肪相中に分散された形で残るように選択される。
【0178】
有機液体懸濁媒体は、得られたグラフト化ポリマーの懸濁液を組成物中に導入するため、本発明の組成物の液体脂肪相中に存在する。
【0179】
液体脂肪相は非シリコーン液体脂肪相であってよい。
【0180】
「非シリコーン液体脂肪相」という用語は、上記したような1種または複数の非シリコーン液体有機化合物またはオイルを含む脂肪相であって、前記非シリコーン化合物が、液体脂肪相中に支配的に存在する、すなわち液体脂肪相の全重量に対して少なくとも50重量%、特に50重量%〜100重量%、好ましくは60重量%〜100重量%(例えば60重量%〜99重量%)、あるいは、65重量%〜100重量%(例えば65重量%〜95重量%)存在する脂肪相を意味する。
【0181】
非シリコーン液体有機化合物は特に、
-18(MPa)1/2以下のHansen溶解度空間(solubility space)による包括的溶解度パラメータを有する非シリコーン液体有機化合物、
-20(MPa)1/2以下のHansenの溶解度空間による包括的溶解度パラメータを有するモノアルコール、および
-これらの混合物
から選択することができる。
【0182】
したがって、前記非シリコーン液体脂肪相は、任意選択で、上述したものなどのシリコーン液体有機化合物またはオイルを含むことができ、それは、液体脂肪相の全重量に対して50重量%未満、特に0.1重量%〜40重量%の範囲、または1重量%〜35重量%の範囲、あるいは5重量%〜30重量%の範囲の量で存在することができる。
【0183】
本発明の1つの具体的な実施形態によれば、非シリコーン液体脂肪相はシリコーン液体有機化合物もしくはオイルをまったく含まない。
【0184】
液体脂肪相が非シリコーン液体脂肪相である場合、グラフト化ポリマー中のマクロモノマーは以下に記すように炭素をベースとしたマクロモノマーであることが有利である。
【0185】
具体的には、液体脂肪相が非シリコーン液体脂肪相である場合、組成物中に存在するグラフト化ポリマーは非シリコーングラフト化ポリマーであることが有利である。
【0186】
「非シリコーングラフト化ポリマー」という用語は、炭素をベースとしたマクロモノマーを支配的に含み、任意選択で7重量%以下、好ましくは5重量%以下のシリコーンマクロモノマーを含むか、さらにはシリコーンマクロモノマーを含まないグラフト化ポリマーを意味する。
【0187】
ポリマーの骨格を構成するモノマー、マクロモノマー、ポリマーの分子量、およびモノマーとマクロモノマーの割合の選択は、グラフト化ポリマーの粒子の懸濁液、特に安定した懸濁液を有利に得るように液体有機懸濁媒体に応じて行うことができる。当分野の技術者は多分この選択を行えよう。
【0188】
「安定した懸濁液」という用語は、特に、例えば4000rpmで15分間遠心分離を行った後、固体付着が形成されたり液体/固体相分離を受けたりし難い懸濁液を意味する。
【0189】
本発明によれば、「グラフト化されたアクリル酸ポリマー」という用語は、
-1種または複数のアクリル酸モノマーおよび任意選択で1種または複数の追加の非アクリル酸ビニルモノマーと、
-1種または複数のマクロモノマー
との有機重合媒体中でのフリーラジカル重合によって得られるポリマーを意味する。
【0190】
アクリル酸モノマーは、アクリル酸モノマーと任意選択の非アクリル酸ビニルモノマーとの混合物の50重量%〜100重量%、好ましくは55重量%〜100重量%(特に55重量%〜95重量%)、優先的には60重量%〜100重量%(特に60重量%〜90重量%)のを占めることが有利である。
【0191】
アクリル酸モノマーは、考慮される懸濁媒体中でそのホモポリマーが不溶性であるモノマー、すなわち、前記懸濁媒体中において室温(20℃)で5重量%以上の濃度でホモポリマーが固体形態(すなわち溶解していない)であるモノマーから選択することが好ましい。
【0192】
a)マクロモノマー:
本発明によれば「重合可能な末端基を含むマクロモノマー」という表現は、重合反応の際に、骨格を構成するアクリル酸モノマーおよび任意選択で追加の非アクリル酸ビニルモノマーと反応することができる重合可能な末端基を、その末端のうちの1つだけの上で含む任意のポリマーを意味する。マクロモノマーによって、グラフト化されたアクリル酸ポリマーの側鎖を形成することが可能になる。マクロモノマーの重合可能な基は、有利には骨格を構成するモノマーとフリーラジカル重合が可能なエチレン系不飽和基であってよい。
【0193】
「炭素をベースとしたマクロモノマー」という用語は、エチレン系不飽和非シリコーンモノマーの重合、主にアクリル酸および/または非アクリル酸ビニルモノマーの重合によって得られる非シリコーンベースのマクロモノマー、特にオリゴマーのマクロモノマーを意味する。
【0194】
マクロモノマーは、考慮している懸濁媒体中でそのホモポリマーが可溶性である、すなわち前記懸濁媒体中に、室温で5重量%以上の濃度で完全に溶解するマクロモノマーから選択することが好ましい。
【0195】
したがって、グラフト化されたアクリル酸ポリマーは、特に1種または複数のアクリル酸モノマーの重合によって得られる一連のアクリル酸単位と、マクロモノマーの反応によって得られる側鎖(すなわちグラフト)とからなる骨格(すなわち主鎖)を含み、前記側鎖は前記主鎖に共有結合で結合している。
【0196】
骨格(すなわち主鎖)は考慮している懸濁媒体中で不溶性であり、他方、側鎖(すなわちグラフト)は前記懸濁媒体で可溶性である。
【0197】
b)モノマー:
本特許出願においては、「アクリル酸モノマー」という用語は、(メタ)-アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとしても知られている)、および(メタ)アクリル酸アミド((メタ)アクリルアミドとしても知られている)から選択されるモノマーを意味する。
【0198】
アクリル酸モノマーの中では、特に挙げることができるものは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびイソブチル(メタ)アクリレート;メトキシエチルもしくはエトキシエチル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチルメタクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート;ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド;およびこれらの塩;ならびにその混合物である。
【0199】
アクリル酸モノマーはメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸およびジメチルアミノエチルメタクリレートならびにその混合物から選択されることが好ましい。
【0200】
グラフト化ポリマー中に存在するアクリル酸モノマーは、少なくとも(メタ)アクリル酸と、先の(i)および(ii)で述べた(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドから選択される少なくとも1種のモノマーを含むことが有利である。アクリル酸モノマーは少なくとも(メタ)アクリル酸と、C1〜C3アルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマーを含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸は、ポリマーの全重量に対して少なくとも5重量%、特に5%〜80重量%の範囲、好ましくは少なくとも10重量%、特に10重量%〜70重量%の範囲、優先的には少なくとも15重量%、特に15重量%〜60重量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0201】
使用できる主なアクリル酸モノマーには、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレートおよびイソプロピルメタクリレートならびにその混合物が含まれる。
【0202】
メチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートが最も好ましい。
【0203】
追加のアクリル酸モノマーは、
-(メタ)アクリル酸およびその塩、
-式(I)の(メタ)アクリレートおよびその塩、
【0204】
【化3】

【0205】
(式中、
-R'1は水素原子またはメチル基を表し、
-R'2は、
-1〜6個の炭素原子を含む線状もしくは分枝アルキル基であって、前記基がその鎖中に1個または複数の酸素原子を含み、かつ/または、-OH、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)および-NR'R(同一であっても異なっていてもよいR'およびR''は線状もしくは分枝C1〜C3アルキルから選択される)、
-3〜6個の炭素原子を含む環状アルキル基であって、前記基がその鎖中に1個または複数の酸素原子を可能的に含み、かつ/またはOHおよびハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)から選択される1個または複数の置換基を可能的に含むアルキル基;
から選択される1個または複数の置換基を含む線状もしくは分枝アルキル基を表す)
【0206】
-ならびにこれらの混合物
から選択することができる。
【0207】
挙げることができるR'2の例には、メトキシエチル、エトキシエチル、トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチルおよびジメチルアミノプロピル基が含まれる。
【0208】
これらの追加のアクリル酸モノマーのうちでは、(メタ)アクリル酸、メトキシエチルもしくはエトキシエチル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチルメタクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2-ヒドロキシエチルアクリレート、これらの塩ならびにその混合物を特に挙げることができる。
【0209】
アクリル酸とメタクリル酸は最も好ましいものである。
【0210】
マクロモノマーは、重合の際にアクリル酸モノマーおよび任意選択の追加のビニルモノマーと反応してグラフト化されたエチレン系ポリマーの側鎖を形成することができる重合可能な末端基を、鎖の末端の1つに含む。前記重合可能な末端基は具体的にはビニルもしくは(メタ)アクリレート(または(メタ)-アクリルオキシ)基、好ましくは(メタ)アクリレート基であってよい。
【0211】
マクロモノマーは、そのホモポリマーが25℃以下、特に-100℃〜25℃の範囲、好ましくは-80℃〜0℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有するマクロモノマーから選択されることが好ましい。
【0212】
マクロモノマーは200以上、好ましくは300以上、優先的には500以上、より優先的には600を超える重量平均分子量を有する。
【0213】
マクロモノマーは200〜100000の範囲、好ましくは500〜50000の範囲、優先的には800〜20000の範囲、より優先的には800〜10000の範囲、さらに優先的には800〜6000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。
【0214】
本特許出願では、重量平均(Mw)および数平均(Mn)モル質量はゲル透過液体クロマトグラフィー(THF溶媒、線状ポリスチレン標準で確立された検量線、屈折度検出器)で測定する。
【0215】
特に挙げることができる炭素をベースとしたマクロモノマーには、以下のものが含まれる:
-(i)ビニルもしくは(メタ)アクリレート基から選択される重合可能な末端基を含む線状もしくは分枝C8〜C22アルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーおよびコポリマー。その中で特に:モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)マクロモノマー;モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ドデシルアクリレート)もしくはポリ(ドデシルメタクリレート)マクロモノマー;モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ステアリルアクリレート)もしくはポリ(ステアリルメタクリレート)マクロモノマーを挙げることができる。
【0216】
そうしたマクロモノマーは、欧州特許第EP895467号および同第EP96459号、ならびにGillman K.F.の文献、Polymer Letters、第5巻、477〜481頁(1967)に具体的に記載されている。
【0217】
特に、モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)またはポリ(ドデシルアクリレート)をベースとしたマクロモノマー、
-(ii)エチレン系不飽和末端基、特に(メタ)アクリレート末端基を含むポリオレフィンを挙げることができる。挙げられるそうしたポリオレフィンの例には、(メタ)アクリレート末端基を有すると考えられる以下のマクロモノマー、すなわち、ポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーのマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーのマクロモノマー、ポリイソブチレンマクロモノマー;ポリブタジエンマクロモノマー;ポリイソプレンマクロモノマー;ポリブタジエンマクロモノマー;ポリ(エチレン/ブチレン)-ポリイソプレンマクロモノマーが含まれる。
【0218】
そうしたマクロモノマーは米国特許第5625005号に具体的に記載されている。この特許には(メタ)アクリレート反応性末端基を含むエチレン/ブチレンおよびエチレン/プロピレンマクロモノマーが記されている。
【0219】
Kraton PolymersからKraton Liquid L-1253の商品名で販売されている製品などのポリ(エチレン/ブチレン)メタクリレートを特に挙げることができる。
【0220】
グラフト化ポリマーは10000〜300000、特に20000〜200000、より良くは25000〜150000の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。
【0221】
グラフト化ポリマー粒子の懸濁液は、40重量%〜70重量%の範囲の固形分、特に45重量%〜65重量%の範囲の固形分のポリマー固形分含量(または乾燥抽出物)を有することが好ましい。
【0222】
グラフト化ポリマーは、本発明による組成物中に、固形分含量(または活性材料含量)で、組成物全重量に対して1重量%〜70重量%の範囲、より良くは5重量%〜60重量%、好ましくは6重量%〜45重量%の範囲、より良くは8重量%〜40重量%の範囲で存在することができる。
【0223】
グラフト化されたエチレン系ポリマーは2004年3月18日出願の未公開フランス特許出願FR04/50540に、より詳細に記載されている。その開示内容を参照により本明細書に組み込む。
【0224】
可塑剤
本発明の文脈では、ポリマー被膜のTgを低下させ、ポリマー被膜のその支持体、特にケラチン材料への粘着性を改善するために、特定のポリマーのための可塑剤を被膜形成型ポリマーに混ぜることができる。可塑剤は特に、ポリマーのガラス転移温度を、少なくとも1、2、3または4℃、好ましくは5℃〜20℃低下させる。1つの好ましい実施形態では、可塑剤は特に、可塑剤がポリマーの10重量%以下を占める場合、ポリマーのガラス転移温度を、少なくとも1、2、3または4℃、好ましくは5℃〜20℃低下させる。
【0225】
1つの実施形態によれば、ポリマーのための可塑剤は、その溶解度パラメータδhが5.5〜11、好ましくは5.9〜11、好ましくは7〜10.5、好ましくは9〜10、より好ましくは8〜10(J/cm3)1/2である可塑剤から選択される。
【0226】
可塑剤の溶解度パラメータδpは好ましくは1.5〜4.5、好ましくは1.5〜4、好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは2〜3(J/cm3)1/2である。
【0227】
Hansenによる溶解度パラメータの定義は当分野の技術者によく知られており、特にC.M.Hansenの文献:「三次元溶解度パタメータ(The three dimensional solubility Parameters)」、J.Paint Technol.第39巻、105頁(1967)に記載されている。これらのパラメータはKaoの日本国特許出願JP-A-08-109121およびD.W.Van Krevelenの文献「ポリマーの特性(Properties of Polymers)」(1990)、190頁にも記載されている。
【0228】
上記の関係を満足させる可塑剤の混合物を得るための各可塑剤の量の決定は、当分野の技術者の能力の範囲に帰するものである。
【0229】
この実施形態では、可塑剤は1〜7個の炭素原子を含む少なくとも1種のカルボン酸と、少なくとも4個のヒドロキシル基を含むポリオールのエステルから選択することができる。
【0230】
ポリオールは、単糖類または1〜10個の糖類、好ましくは1〜4個、より好ましくは1個もしくは2個の糖類を含む多糖類であってよい。ポリオールはエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、グルコースおよびスクロースから選択することができる。
【0231】
エステルは、本発明による2つのエステルの共重合、特にi)ベンゾイル基で置換されたスクロースと、ii)アセチルおよび/またはイソブチリル基で置換されたスクロースの共重合によって得ることができる。
【0232】
酸は好ましくは特に、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜5個の炭素原子を含む酸から選択されるモノカルボン酸、例えば酢酸、n-プロパン酸、イソプロパン酸、n-ブタン酸、イソブタン酸、tert-ブタン酸、n-ペンタン酸および安息香酸である。
【0233】
エステルは少なくとも2つの異なるモノカルボン酸から得ることができる。1つの実施形態によれば、酸は非置換線状もしくは分枝の酸である。
【0234】
酸は好ましくは酢酸、イソ酪酸および安息香酸から選択される。
【0235】
1つの好ましい実施形態によれば、エステルはスクロースジアセテートヘキサキス(2-メチルピロピオナート)である。
【0236】
別の実施形態によれば、本発明による可塑剤は、脂肪族または芳香族ポリカルボン酸と、1〜10個の炭素原子を含む脂肪族または芳香族アルコールのエステルから選択される。
【0237】
挙げることができるクエン酸エステルには、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチルヘキシル、アセチルクエン酸トリヘキシル、ブチリルクエン酸トリヘキシル、クエン酸イソデシル、クエン酸イソプロピル、クエン酸トリブチルおよびクエン酸トリエチルヘキシルがある。1つの実施形態によれば、そのカルボン酸はクエン酸トリブチルアセチルではない。
【0238】
挙げることができるアジピン酸エステルには、アジピン酸ジブチルおよびアジピン酸2-ジエチルヘキシルがある。1つの実施形態によれば、本発明による可塑剤はアジピン酸ジイソプロピルではない。
【0239】
挙げることができるセバシン酸エステルには、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチルおよびセバシン酸ジイソプロピルがある。
【0240】
挙げることができるコハク酸エステルには、コハク酸ジエチルヘキシルおよびコハク酸ジエチルがある。
【0241】
可塑剤はいずれの極性基も、特にいずれのヒドロキシル基も含まないことが好ましい。「極性基」は、例えば-COOH;-OH;エチレンオキシド;プロピレンオキシド;-PO4;-NHR;-NR1R2(任意選択で環を形成し、線状もしくは分枝C1〜C20アルキルまたはアルコキシ基を表すR1およびR2を有する)から選択されるイオン性もしくは非イオン性の極性基である。
【0242】
可塑剤は、0.1重量%〜25重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%、より好ましくは3重量%〜15重量%の量で存在することが有利である。
【0243】
被膜形成型ポリマーと可塑剤との質量比は、0.5〜100、好ましくは1〜50、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5であることが有利である。
【0244】
第1の組成物は、特に、2003年2月25日出願のフランス特許出願FR03/50034に記載の組成物のうちの1つであってよい。その開示内容を参照により本明細書に組み込む。
【0245】
ワックス
本発明による製品の第1の組成物はさらに少なくとも1種のワックスを含むことができる。
【0246】
本発明のためには、ワックスは室温で(25℃)で固体であり、可逆的な状態の固体/液体変化を有する親油性脂肪酸化合物である。この化合物は40℃を超えて200℃までに及ぶ融点を有し、固体状態で異方性結晶組織を有する。
【0247】
本発明の文脈では、線状炭化水素をベースとしたワックスが好ましい。その融点は、有利には35℃超、例えば55℃超、好ましくは80℃超である。
【0248】
線状炭化水素をベースとしたワックスは置換線状アルカン、非置換線状アルカン、非置換線状アルケンおよび置換線状アルケンから選択することが有利であり、非置換化合物は炭素と水素だけを含む。上記の置換基は炭素原子をまったく含まない。
【0249】
線状炭化水素をベースとしたワックスは400〜800の分子量を有するエチレンポリマーおよびコポリマー、例えばNew Phase Technologiesから販売されているPolywax500またはPolywax400を含む。
【0250】
線状炭化水素をベースとしたワックスには線状パラフィンワックス、例えばStrahl & PitschからのパラフィンであるS&P206、S&P173およびS&P434が含まれる。
【0251】
線状炭化水素をベースとしたワックスには、長鎖線状アルコール、例えば、ポリエチレンと20〜50個の炭素原子を含むアルコールの混合物を含む製品、特にNew Phase Technologiesから販売されているPerformacol 425またはPerformacol 550(20/80の割合の混合物)が含まれる。
【0252】
ワックスは、唇および/または皮膚上に付着した組成物および被膜の光沢を過度に低下させないように、組成物中に2〜30重量%、より良くは5%〜20%、好ましくは5重量%〜15重量%の割合で存在してよい。
【0253】
着色剤
本発明による化粧用製品の第1および/または第2の組成物は、水溶性もしくは脂溶性染料、顔料および真珠母ならびにその混合物から選択される着色剤を含むことができる。
【0254】
「顔料」という用語は、液体有機相中で不溶性であり、第1の組成物を着色および/または不透明化するための、白色かまたは着色した、鉱物性もしくは有機性の粒子を意味すると理解されたい。
【0255】
「真珠母」という用語は、特に、その殻の中のある種の軟体動物によって作られたか、あるいは合成された、第1の組成物の媒体中で不溶性の玉虫色の粒子を意味すると理解されたい。
【0256】
「染料」という用語は、一般に、脂肪酸物質、例えばオイルに可溶性である、あるいは水性アルコール相に可溶性である有機化合物を意味すると理解されたい。
【0257】
脂溶性染料は、例えばスーダンレッド、D&CレッドNo.17、D&CグリーンNo.6、β-カロチン、大豆油、スーダンブラウン、D&CイエローNo.11、D&CバイオレットNo.2、D&CオレンジNo.5、キノリンイエロー、アナトーおよびブロモ酸である。
【0258】
水溶性染料は例えばビートルーツ汁(beetroot juice)、メチレンブルーおよびカラメルである。
【0259】
顔料は、干渉型または非干渉型、鉱物性および/または有機性、白色または着色した顔料であってよい。挙げることができる鉱物性顔料には、二酸化チタン、任意選択で表面処理した酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、また酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色、褐色または赤色)もしくは酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物およびフェリックブルー(ferric blue)がある。挙げることができる有機顔料には、カーボンブラック、認証を求めて(米国)食品医薬品局(Food and Drug Administration(FDA))に提出されているもの(例えばD&CまたはFD&C)およびFDAの認証を免除されているもの例えばコチニールカーミンをベースとしたレーキを含むバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムの有機レーキ型の顔料がある。
【0260】
真珠母または真珠母顔料は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスでコーティングした雲母などの白色真珠母顔料、着色した真珠母顔料、例えば酸化鉄で着色したチタン雲母、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで着色したチタン雲母、上記のタイプの有機顔料で着色したチタン雲母から選択することができ、また、オキシ塩化ビスマスをベースとした真珠母顔料からも選択することができる。したがって、フランス特許出願FR0209246(その開示内容を参照により本明細書に組み込む)に記載のような、ゴニクロマチック(goniochromatic)特性を有する顔料および/または金属効果を有する顔料を使用することができる。
【0261】
一般に、着色剤はそれぞれの第1の組成物と第2の組成物の合計重量の0.001%〜60%、より良くは0.01%〜50%、さらに良くは0.1%〜40%を占める。
【0262】
充てん剤
本発明による組成物は少なくとも1種の充てん剤を、特に組成物全重量に対して0.01重量%〜50重量%の範囲、好ましくは0.01重量%〜30重量%の範囲の含量で含むことができる。「充てん剤」という用語は、組成物が作製される温度に関係なく、組成物の媒体中で不溶性である、任意の形態の無色のまたは白色の鉱物性または合成の粒子を意味することを理解されたい。これらの充てん剤は、特に、組成物のレオロジー特性または質感を変える助けとなる。
【0263】
充てん剤は、結晶形態(例えば層状系、立方晶系、六方晶系、斜方晶系等)に関係なく、鉱物性または有機性、任意の形態、小板の形状、球状または長楕円状であってよい。タルク、雲母、シリカ、カオリン、ポリアミド(Nylon(登録商標))(AtochemからのOrgasol(登録商標))粉末、ポリ-β-アラニン粉末およびポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))の粉末、ラウロイルリジン、デンプン、チッ化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルからなるもの(例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie))またはアクリル酸コポリマーからなるもの(Dow Corning社のPolytrap(登録商標))などの中空ポリマーミクロスフィア、およびシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えばToshibaのTospearls(登録商標))、エラストマー系ポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(MaprecosのSilica Beads(登録商標))、ガラスもしくはセラミックマイクロカプセル、および8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から得られる金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0264】
第2の組成物は15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5重量%未満の着色剤および/または充てん剤を含むことが好ましい。
【0265】
添加剤
第1および/または第2の組成物は、そうした組成物で通常使用される任意の他の添加剤、例えば活性剤、水、酸化防止剤、芳香剤、界面活性剤、保存剤およびエッセンシャルオイルを含んでもよい。
【0266】
本発明の組成物で使用できる化粧品活性剤、外皮用活性剤、衛生用活性剤または医薬品活性剤として、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質および日焼け止め剤を挙げることができる。これらの活性剤は、当分野の技術者に一般的な量、特に組成物全重量の0〜20%、特に0.001%〜15%の濃度で使用する。
【0267】
言うまでもなく、当分野の技術者は、想定される添加によって、本発明による組成物の有利な特性が悪影響を受けない、または実質的に悪影響を受けないように、この任意選択の追加の化合物および/またはその量を選択することに留意されよう。
【0268】
剤形(galenical form)
本発明によるリップメークアップ製品は、スティックの形態または液状の第1の組成物を含み、第2の組成物は、例えばチューブ中に詰められた流体状のものであることが好ましい。本発明による製品は、同一包装用物品中に別々かまたは一緒に、あるいは、2つ(またはそれ以上)の分離されている、または異なる包装用物品中に詰められている2種(またはそれ以上)の生理学的に許容される組成物を含む。
【0269】
これらの組成物は別々に詰められていることが好ましい。
【0270】
様々な組成物がその中に別々に詰められ、かつそれに適切な塗布手段が備えられているかまたはその組成物を指で塗布する、上記化粧品メークアップ製品を含むメークアップキットも本発明の対象である。これらの手段は、繊細なブラシ、粗いブラシ、ペン、ペンシル、フェルト、クイル、スポンジ、チューブおよび/または発泡チップであってよい。1つの実施形態によれば、第1の組成物は流体であり発泡チップを用いてそれを塗布し、一方第2の組成物は流体でありチューブを用いてそれを塗布する。別の実施形態によれば、第1の組成物はスティックであり、一方第2の組成物は流体でありチューブを用いてそれを塗布する。別の実施形態によれば、第1の組成物は流体であり、第2の組成物はスティックの形態である。別の実施形態によれば、2つの組成物がスティックの形態で存在する。
【0271】
本発明の別の対象は、皮膚および/または唇および/または外皮をメークアップするための方法である。その方法は、皮膚、唇および/または外皮に、生理学的に許容される媒体を含む第1の組成物の第1のコーティングを施し、次いで、第1のコーティングの全部または一部に、第2の組成物の第2のコーティングを施すものである。
【0272】
メードアップ支持体(made-up support)も本発明の対象である。この支持体は、生理学的に許容される媒体を含む第1の組成物の第1のコーティングと、その第1のコーティングの全部または一部に付着した第2の組成物の第2のコーティングとを含み、その第2の組成物は、ASTM規格D-445によって測定して10〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む。
【0273】
本発明の1つの具体的な実施形態では、本発明による組成物は、当分野の技術者に一般的な方法で調製することができる。この組成物は、キャスト成形物の形態、例えばスティックまたは棒の形態、あるいは、直接接触によるかまたはスポンジを用いて使用できる皿状の形態であってよい。具体的には、これらは、キャストファンデーション、キャストメークアップルージュ、キャストアイシャドウ、口紅、リップケアベースもしくはバルムおよびコンシーラー製品としての用途がある。これらは、柔らかいペーストまたはその代替としてのゲル、ほぼ流体のクリーム、あるいはチューブに詰めた液体の形態であってもよい。すなわち、これらはファンデーションまたは口紅、日焼け止め製品あるいは皮膚着色用製品を構成してよい。
【0274】
局所塗布用のこれらの組成物は、特に、フェイス、ネック、ハンドまたはボディ(例えばケアクリーム、日焼け止めオイルまたはボディゲル)のための保護、処理もしくはケア用の化粧品、皮膚病学的、衛生または医薬組成物、メークアップ組成物(例えばメークアップゲル、クリームまたはスティック)あるいは、人工日焼け用組成物もしくは皮膚保護組成物を構成することができる。
【0275】
本発明による組成物は、皮膚および/または外皮のための皮膚病学的組成物またはケア組成物の形態、日焼け止め組成物またはボディ衛生用組成物の形態、特にデオドラントの形態であってよい。またこれらは特に非着色状である。またこれらは皮膚、外皮または唇用のケアベースとして使用することができる(寒さおよび/または日光および/または風から唇を保護するためのリップクリーム、または皮膚、ネイルまたは毛髪用のケアクリーム)。
【0276】
本発明による組成物は、好ましくはスティックの形態または流体状の口紅である。
【0277】
本発明による二重コーティング(two-coat)メークアップ製品の各組成物は、局所塗布に通常使用される任意の剤形、特にオイル状溶液または水溶液、オイル状ゲルまたは水性ゲル、水中油もしくは油中水エマルジョン、多重エマルジョン、小胞がオイル/水の界面にある小胞を用いた水中のオイル懸濁液、あるいは粉末の形態であってよい。各組成物は流体または固体であってよい。
【0278】
第1または第2の組成物あるいはその両方は、好ましくは無水の形態で連続脂肪相を有することが有利であり、第1または第2の組成物全重量に対して5%未満の水、より良くは1%未満の水を有することができる。具体的には、二重コーティングメークアップ製品全体は無水の形態である。
【0279】
各組成物を、同一包装用物品内に、例えば2区画のペンに別々に詰めることができる。底部の組成物をペンの一方の端部から供給し、上部の組成物をペンの他方の端部から供給し、それぞれの端部は漏れないように特にキャップで閉められる。
【0280】
第1のコーティングとして塗布する組成物は、固体形態であることが好ましい。固体形態であることによって、より実際的な塗布と、時間および温度に関するより良好な組成物の安定性がもたらされ、口紅またはアイライナーの場合に特に望ましい精密なメークアップの塗布が可能になる。
【0281】
その製品は特に口紅である。
【0282】
第1および/または第2の組成物は固体形態であることが好ましい。
【0283】
トップコートはケア、光沢および透明性の特徴を有することが有利である。
【0284】
本発明の対象はまたリップ製品、ファンデーション、タトゥー、メークアップルージュまたは上記のような第1および第2の組成物を含むアイシャドウでもある。
【0285】
本発明の組成物は、種々の成分を、最も高い融点のワックスの融点まで加熱し、続いてその溶融混合物を鋳型(皿または指サック)に注入して得ることができる。これらは、欧州特許出願EP-A-0667146に記載のように押出成形によって得ることもできる。
【0286】
本発明を以下の実施例でより詳細に示す。パーセンテージは重量パーセントである。
【実施例】
【0287】
口紅製品
第1の組成物
ポリエチレンワックス(重量平均分子量500) 10.5%
線状脂肪酸アルコール(New Phase Technologiesから
販売されているPerformacol 550アルコール) 2.5%
実施例1の懸濁液 68%
スクロースアセテートイソブチラート
(Eastman Chemical販売されているEastman SAIB) 5%
顔料のペースト 13.5%
芳香剤 0.5%
【0288】
欧州特許出願EP-A-749746の実施例1の方法で、ヘプタンをイソドデカンで置き換えて、95/5の比のメチルアクリレートとアクリル酸の非架橋コポリマーのイソドデカン中の懸濁液を調製する。次いで、Kraton G1701の商品名で販売されているポリスチレン/コポリ(エチレンプロピレン)ジブロックコポリマーを用いて、イソドデカン中で表面安定化させた、25重量%の固形分含量のポリ(メチルアクリレート/アクリル酸)粒子の懸濁液を得る。
【0289】
ポリエチレンワックス、C30〜50アルコールおよび顔料ペーストを加熱用パンに入れて、均一な混合物が得られるように、マグネチックスターラーで攪拌しながら100℃に加熱する。顔料ペーストは70%の顔料、1%のポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレートおよび29%の水素化ポリイソブテンからなる。
【0290】
次いで、実施例1による懸濁液とスクロースアセテートイソブチラートを加え、混合物が均一になるまで温度を保持し、攪拌を継続する。組成物を鋳型に注加する。得られたスティックは均一な色調であり、塗布した際に易滑性がある。これは、良好な保持力を有し、にじまずかつ色移りせず、粘着性のない付着を唇にもたらす。
【0291】
第2の組成物
Wackerから参照番号AK 300000で販売されている
ポリジメチルシロキサン(300000cSt) 33%
Dow Corningから参照番号DC200で販売されている
ポリジメチルシロキサン(350cSt) 43%
Dow Corningから参照番号DC 2-9085で販売されている
α,ω-ジヒドロキシ化ポリジメチルシロキサンと
ポリジメチルシロキサンの混合物5cSt 14%
シクロペンタシロキサン 10%
【0292】
メークアップ製品の保持力を先に述べた手順によって評価する。保持力は69%である。
【0293】
第2の組成物の別の例
参照番号Dow Corning 200 Fluid 60000cSt
で販売されているポリジメチルシロキサン 50%
参照番号Dow Corning 200 Fluid 350cSt
で販売されているポリジメチルシロキサン 43%
シクロヘキサジメチルシロキサン Dow Corning 246 Fluid 7%
【0294】
メークアップ製品の保持力を先に述べた手順によって評価する。保持力は73%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固体組成物と、前記第1の固体組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、前記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して5〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含み、前記第1のシリコーンポリマーが、前記第2の組成物中に十分な量で存在する場合、i)前記第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる前記製品の付着の保持力と、ii)前記第1の組成物の付着の保持力
との比が、少なくとも1.1より大きく、前記第1の組成物の付着の保持力が30%以上である製品。
【請求項2】
第1の固体組成物と、前記第1の固体組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、前記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有するポリジメチルシロキサンから選択される少なくとも第1のシリコーンポリマーと、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5000〜300000cStの範囲であり、かつ前記第1のポリマーより大きい粘度を有するポリジメチルシロキサンから選択される少なくとも第2のシリコーンポリマーとを含む製品。
【請求項3】
第1の固体組成物と、前記第1の固体組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、前記第2の組成物がASTM規格D-445によって測定して25℃で50〜1000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーと、ASTM規格D-445によって測定して25℃で30000〜300000cStの粘度を有する第2のシリコーンポリマーとを含む製品。
【請求項4】
第1の固体組成物と、前記第1の固体組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体を含み、前記第2の組成物がASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含み、前記第1のシリコーンポリマーが、前記第2の組成物中に十分な量で存在する場合、前記第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる前記製品の付着の保持力が65%を超える製品。
【請求項5】
第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体およびアクリル酸ポリマーを含み、前記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含み、前記第1のシリコーンポリマーが、前記第2の組成物中に十分な量で存在する場合、i)前記第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる前記製品の付着の保持力と、ii)前記第1の組成物の付着の保持力との比が、少なくとも1.1より大きく、前記第1の組成物の付着の保持力が30%以上である製品。
【請求項6】
第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体およびアクリル酸ポリマーを含み、前記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有するポリジメチルシロキサンから選択される少なくとも第1のシリコーンポリマーと、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5000〜300000cStの範囲であり、かつ前記第1のポリマーの粘度より大きい粘度を有するポリジメチルシロキサンから選択される少なくとも第2のシリコーンポリマーとを含む製品。
【請求項7】
第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体およびアクリル酸ポリマーを含み、前記第2の組成物がASTM規格D-445によって測定して25℃で50〜10000cStの粘度を有する第1のシリコーンポリマーと、ASTM規格D-445によって測定して25℃で30000〜300000cStの粘度を有する第2のシリコーンポリマーとを含む製品。
【請求項8】
第1の組成物と、前記第1の組成物に塗布するための第2の組成物とを含む化粧用製品、特にメークアップ製品であって、前記第1の組成物が生理学的に許容される媒体およびアクリル酸ポリマーを含み、前記第2の組成物がASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有する少なくとも第1のシリコーンポリマーを含み、前記第1のシリコーンポリマーが前記第2の組成物中に十分な量で存在する場合、前記第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られた前記製品の付着の保持力が65%を超える製品。
【請求項9】
前記製品の付着の保持力と、前記第1の組成物の保持力との比が1.15以上、特に1.20以上であることを特徴とする請求項1または5に記載の製品。
【請求項10】
前記第1の組成物の付着の保持力が40%以上、特に50%以上、特に55%以上であることを特徴とする請求項1、5または9に記載の製品。
【請求項11】
前記第1のシリコーンポリマーが50〜5000cStの粘度を有することを特徴とする請求項1、2、4、5、6、8の一項またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項12】
前記第1のシリコーンポリマーが10〜1000cSt、特に100〜500cStの粘度を有することを特徴とする請求項11に記載の製品。
【請求項13】
前記第2の組成物が25℃で3〜25Pa.sの粘度を有することを特徴とする請求項1から12の一項に記載の製品。
【請求項14】
前記第2の組成物が、1種だけのシリコーンポリマーを含み、かつその粘度が25℃で3〜6Pa.sであることを特徴とする請求項1、4、5、8の一項またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項15】
前記第2の組成物が、5000〜300000cStの範囲にあり、かつ前記第1のシリコーンポリマーの粘度より高い粘度を有する第2のシリコーンポリマーを含むことを特徴とする請求項1、4、5または8に記載の製品。
【請求項16】
前記第2のシリコーンポリマーが10000〜200000cSt、例えば30000〜100000cStの粘度を有することを特徴とする請求項2、3、6、7、15またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項17】
前記第1および第2のシリコーンポリマーが、Brookfield RV回転粘度計で測定して、前記第2の組成物の動粘度が25℃で5〜25Pa.sであるような割合であることを特徴とする請求項2、3、6、7、15またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項18】
前記製品の保持力が70%以上、特に75%超であることを特徴とする請求項4、8またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項19】
前記第1のシリコーンポリマーがポリアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサンから選択されることを特徴とする請求項1、3、4、5、7、8の一項またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項20】
前記第2のシリコーンポリマーがポリアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサンから選択されることを特徴とする請求項15またはそれに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項21】
前記第2の組成物が透明であることを特徴とする請求項1から20の一項に記載の製品。
【請求項22】
前記第2の組成物が好ましくは真珠母、干渉効果を有する顔料および金属ラメを有する顔料から選択される着色剤も含むことを特徴とする請求項1から21の一項に記載の製品。
【請求項23】
前記第2の組成物にワックスが存在しないことを特徴とする請求項1から22の一項に記載の製品。
【請求項24】
前記第2の組成物が液体であることを特徴とする請求項1から23の一項に記載の製品。
【請求項25】
前記第2の組成物が10重量%未満の顔料および/または充てん剤を含むことを特徴とする請求項1から24の一項に記載の製品。
【請求項26】
前記第2の組成物が、ASTM規格D-445によって測定して25℃で50cSt未満の粘度を有する、50重量%未満、好ましくは40%未満、好ましくは30%未満、好ましくは20重量%未満のシリコーンオイルを含むことを特徴とする請求項1から25の一項に記載の製品。
【請求項27】
前記第1の組成物がアクリル酸ポリマーを含むことを特徴とする請求項1から4の一項、またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項28】
前記第1の組成物が液体脂肪相と、前記液相中に分散した粒子の形態のアクリル酸ポリマーを含むことを特徴とする請求項27に記載の製品。
【請求項29】
前記エチレン系ポリマーが、前記第1の組成物全重量に対して2%〜40%、好ましくは5%〜35%、より好ましくは8重量%〜30重量%を占めることを特徴とする請求項27および28のいずれかに記載の製品。
【請求項30】
前記第1の組成物が安定剤を含むことを特徴とする請求項28に記載の製品。
【請求項31】
前記安定剤が、ジエンの重合によって得られる少なくとも1つのブロックと、
ビニルポリマーの少なくとも1つのブロックを含むグラフト化ブロックポリマーまたはブロックポリマーであることを特徴とする請求項30に記載の製品。
【請求項32】
前記安定剤がジブロックポリマーであることを特徴とする請求項31に記載の製品。
【請求項33】
前記アクリル酸ポリマーがグラフト化されたアクリル酸ポリマーであることを特徴とする請求項27から32の一項に記載の製品。
【請求項34】
前記第1の組成物が無水の形態であることを特徴とする請求項1から33の一項に記載の製品。
【請求項35】
前記第2の組成物が無水の形態であることを特徴とする請求項1から34の一項に記載の製品。
【請求項36】
ファンデーション、メークアップルージュ、アイシャドウ、口紅、ケア特性を有する製品、アイライナー、コンシーラー製品またはボディメークアップ製品の形態であることを特徴とする請求項1から35の一項に記載の製品。
【請求項37】
口紅の形態であることを特徴とする請求項36に記載の製品。
【請求項38】
前記第1の組成物が液体であることを特徴とする請求項5から8の一項、またはそれらに従属する請求項の一項に記載の製品。
【請求項39】
請求項1から38の一項に記載の製品を含むメークアップキット。
【請求項40】
皮膚、唇および/または外皮に、生理学的に許容される媒体およびアクリル酸ポリマーを含む第1の組成物の第1のコーティングを施し、次いで、前記第1のコーティングの全部または一部に、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む第2の組成物の第2のコーティングを施す、皮膚および/または唇および/または外皮をメークアップするための方法であって、前記第1の組成物および前記第2の組成物の連続的塗布によって得られる付着の保持力が65%を超える方法。
【請求項41】
化粧用製品を得るための生理学的に許容される媒体およびアクリル酸ポリマーを含む第1の組成物に塗布するための、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む第2の組成物の使用であって、前記第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる付着が65%を超える保持力を有する使用。
【請求項42】
皮膚、唇および/または外皮に、生理学的に許容される媒体を含む第1の固体組成物の第1のコーティングを施し、次いで、前記第1のコーティングの全部または一部に、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む第2の組成物の第2のコーティングを施す、皮膚および/または唇および/または外皮をメークアップするための方法であって、前記第1の組成物および前記第2の組成物の連続的塗布によって得られる付着の保持力が65%を超える方法。
【請求項43】
化粧用製品を得るための生理学的に許容される媒体を含む第1の固体組成物に塗布するための、ASTM規格D-445によって測定して25℃で5〜10000cStの粘度を有する少なくとも1種のシリコーンポリマーを含む第2の組成物の使用であって、前記第1および第2の組成物の連続的塗布によって得られる付着が65%の保持力を有する使用。


【公開番号】特開2006−63077(P2006−63077A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225818(P2005−225818)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】