説明

保湿剤、それを含有する毛髪化粧料、皮膚化粧料及び入浴剤

【課題】 優れた吸湿能及び保湿能を有し、且つべたつき感のない、広範囲のpH条件下で効果を示す安価に提供できる保湿剤を提供する。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】


[但し、式中、R1及びR2は互いに独立に水素原子、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基を表す。但しR1及びR2が同時に水素原子となることは無い。Xはカルボキシル基のカウンターを示しアルカリ金属、アルカリ土類金属、塩基性アミノ酸又はアミン類を表す。]
で示される特定のβ−アラニン誘導体からなる保湿剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−アラニン誘導体またはそれらの塩からなる保湿剤、それを含有する毛髪化粧料、皮膚化粧料及び入浴剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
健康な皮膚を保つためには水分の保持が不可欠である。
【0003】
特に冬期の空気が乾燥した時期に、皮膚より分泌する脂質の減退により、皮膚を保護する機能が減少し、経皮蒸散水分量(以下、TEWLと略す:trans epidermal water loss)が増す事で、表皮内水分量が減少し、ひびやあかぎれ等の症状が発生する。
【0004】
冬場以外にも、現代社会においてはエアコンの影響で夏でも肌が乾燥する環境に置かれている。
【0005】
これらの症状に対処するには、TEWLを減少させ、表皮内水分量の低下を防ぎ、皮膚機能を正常に維持する事が必要であり、種々の対処方法が研究されてきた。
【0006】
TEWLを減少させる方法としては、ワセリン等の皮膚閉塞性が高く、且つ密着性が良い油分を皮膚に塗布する方法、皮膜形成性のある高分子により皮膚閉塞を行う方法などによりTEWLを減少させる方法が例示されるが、その使用感は油性感が強く感じる不都合や、ベタベタする、ツッパリ感を感じる等の不快感を伴うものであり、使用感の改善が求められている。
【0007】
TEWLを皮膚閉塞により減少させる方法以外には、水溶性の吸湿性物質、例えば天然保湿因子(NMF;(非特許文献1))の成分、また、ソルビトール、マルチトール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールや、ピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ、トリメチルグリシン等の有機酸塩類等を用いる方法がある。
【0008】
吸湿力及び保湿力に優れた代表的な保湿剤であるが、その効果は充分満足できるものではなく、特に酸塩タイプの保湿剤は皮膚のpHにあわせて弱酸性〜酸性領域に処方化するとその吸湿機能を失うものもあり(非特許文献1 PCAの項目参照)その改善が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】フレグランスジーナル,No56,P19−25,1982
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、優れた吸湿能及び保湿能を有し、且つべたつき感のない、広範囲のpH条件下で効果を示す安価に提供できる保湿剤を提供すること並びに、毛髪化粧料、皮膚化粧料及び入浴剤を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、各種化合物を検索し、それらの外界湿度と水分保持能力の評価を行うことにより、特定のβ-アラニン誘導体が広いpH範囲で優れた水分保持能力を有することを見出し、本発明を完成した。
【0012】
即ち本件発明は
一般式(1)
【0013】
【化1】

【0014】
[但し、式中、R1及びR2は互いに独立に水素原子、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基を表す。R1及びR2が同時に水素原子となることは無い。Xはカルボキシル基のカウンターを示しアルカリ金属、アルカリ土類金属、塩基性アミノ酸又はアミン類を表す。]
で示されるβ−アラニン誘導体からなる保湿剤、それを含有する皮膚化粧料、毛髪化粧料及び入浴剤に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の特定のβ−アラニン誘導体は従来のNMFを代表とする酸塩タイプの保湿剤(例えばPCA/Na)に比較して、より高い保湿機能を有し、その効果は酸性〜アルカリ性まで幅広い範囲で有効である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の必須成分である特定のβ−アラニン誘導体に関して詳細に述べる。
【0017】
本発明におけるβ-アラニン誘導体は一般式(1)
【0018】
【化2】

【0019】
[但し、式中、R1及びR2は互いに独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはヒドロキシエチル基を表す。R1及びR2が同時に水素原子となることは無い。Xはカルボキシル基のカウンターを示しアルカリ金属、アルカリ土類金属、塩基性アミノ酸、アミン類を表す。]
で示される構造を有する。
【0020】
本発明のβ-アラニン誘導体の類似構造として一般式(2)で示されるグリシン誘導体がある。
【0021】
【化3】

【0022】
[但し、式中、R1、R2及びXは前記定義に同じ。]
一般式(2)で示されるグリシン及びグリシン誘導体は、本件発明のβ-アラニン誘導体の様に高度な保湿機能を発現しない。
【0023】
即ちアミノ基とカルボキシル基がメチレン2個で結合されていることが重要である。
【0024】
更に一般式(1)においてR1、R2が共に水素であるβ-アラニンには、保湿効果が認められない。一般式(1)の構造を有するβ-アラニン誘導体であってR1、R2に少なくとも一つの炭素原子が結合することにより保湿効果が発現する。
【0025】
先にも述べたが、本発明保湿剤はNMFに含有され化粧品原料として広く用いられている保湿剤であるPCA塩と同等以上の保湿効果を有すると共に、PCA塩は酸性領域では保湿効果を失う欠点があるが、本発明のβ-アラニン誘導体は酸性領域でも優れた保湿機能を有することが本発明者らによって確かめられた。
【0026】
更に詳細に本発明のβ−アラニン誘導体に関して述べる。
【0027】
1、R2に炭素数3以上の置換基が入ったβ-アラニン誘導体は入手が困難であり、保湿効果も低下していくので好ましくない。
【0028】
一般式(1)で示される化合物の具体例としては、例えばN-メチル-β-アラニン,N-エチル-β-アラニン,N-ヒドロキシエチル-β-アラニン,N-ジメチル-β-アラニン,N-メチル-N-エチル-β-アラニン及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルギニン塩、リシン塩等の塩基性アミノ酸、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアミン類の塩が挙げられる。入手の容易さからN-メチル-β-アラニン,N-ヒドロキシエチル-β-アラニンがより好ましい。
【0029】
本発明の保湿剤は、例えば毛髪化粧料、皮膚化粧料、入浴剤、医薬品、医薬部外品、食品等に配合することが可能である。
【0030】
本発明の保湿剤を毛髪化粧料に使用する場合には、毛髪化粧料に対して好ましくは0.001〜10.0重量%(以下wt%と略記する)、さらに好ましくは0.01〜5.0wt%配合して用いられる。0.001wt%未満では、本発明の効果が十分発揮されない場合があり、一方、10.0wt%を超えて配合しても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0031】
本発明の保湿剤を毛髪化粧料、特にシャンプー組成物に配合した場合保湿効果を示すだけでなく、すすぎ時のきしみ感を低減させる効果があることを本発明者らは見出した。
【0032】
本発明の毛髪化粧料は、常法に従って、シャンプー類、リンス類、コンディショナー類、育毛剤類等の種々の剤型にすることが可能である。
【0033】
本発明の保湿剤を皮膚化粧料に使用する場合、皮膚化粧料全重量に対して好ましくは0.001〜10.0重量%(以下wt%と略記する)、さらに好ましくは0.01〜5.0wt%配合して用いられる。0.001wt%未満では、本発明の効果が十分発揮されない場合があり、一方、10.0wt%を超えて配合しても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0034】
本発明の皮膚化粧料は、常法に従って、ローション類、乳液類、クリーム類、軟膏類、パック類等の種々の剤型にすることが可能である。
【0035】
本発明の保湿剤を入浴剤に使用する場合には入浴剤の全重量に対して好ましくは0.01〜10.0wt%、さらに好ましくは0.1〜5.0wt%配合して用いられる。0.01wt%未満では、本発明の効果が十分発揮されない場合があり、一方、10.0wt%を超えて配合しても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0036】
本発明の入浴剤は、常法に従って、散剤、顆粒剤、錠剤、液剤等の種々の剤型にすることが可能である。
【0037】
また、本発明の皮膚化粧料及び入浴剤には、動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、及び海洋深層水を必要に応じて一種乃至は2種以上用いてもよい。
【0038】
併用する動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物は、たとえば、茶エキス、アロエエキス、イチョウエキス、センブリエキス、ヨモギエキス、ニンニクエキス、オウゴンエキス、ローズマリーエキス、ヘチマエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物、海草エキス等の抽出物を併用することができる。
【0039】
併用し得る粉末成分としては、無機粉末、例えばタルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーキュムライト、炭酸マグネシウム、珪酸ジルコニウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、燐酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、活性炭、薬用炭、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等があげられ、有機粉末としては例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末が挙げられる。
【0040】
併用し得る液体油脂としては、アボガド油、ツバキ油、グレープシード油、タートル油、マカディミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ヒマワリ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンが挙げられる。
【0041】
併用し得る固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核脂、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられ、またロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水添ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0042】
併用し得る炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0043】
併用し得る高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
併用し得る合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0044】
併用し得るシリコーン類としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサンテトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
【0045】
併用し得るアニオン活性剤としては、たとえばセッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシカリセッケン等の脂肪酸セッケン、
たとえばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等の高級アルキル硫酸エステル塩、
たとえば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム、N−アシルアミノ酸塩等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、
たとえば、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン、ヤシ脂肪酸シルクアミノ酸カリウム、ラウロイルアラニンナトリウム塩等の長鎖アシルアミノ酸塩、
たとえばN−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、リン酸エステル塩等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、
たとえばPOEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等のPOEアシルリン酸塩、
たとえばジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、
たとえばリニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホコハク酸塩、
たとえば硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;
ロート油などの硫酸化油、
α−オレフィンスルホン酸塩、
高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、
二級アルコール硫酸エステル塩、
高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、
ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、及びカゼインナトリウム等が挙げられる。
【0046】
併用し得るカチオン性界面活性剤としては、たとえば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、
たとえは塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、
たとえば塩化セチルピリジウム等のアルキルピリジウム塩、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、及び塩化ベンザルコニウム等があげられる。
【0047】
併用し得る双性界面活性剤としては、
たとえばラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のアミドスルホベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン型両性界面活性剤等があげられる。
【0048】
併用し得る両性界面活性剤としては、たとえば2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ラウロイル−N′−カルボキシメチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ脂肪酸アシル−N′−カルボキシエチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のアミドアミン系両性界面活性剤、
たとえばヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン等のアミド酢酸ベタイン型両性界面活性剤、
例えばN-ラウリル-β-アラニン、POEN-ラウリル-β-アラニン、N-ラウリル-イミノジ酢酸等のアルキルアミノ酸型両性界面活性剤、
アルキル酢酸ベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0049】
併用し得る半極性界面活性剤としては、
たとえばラウリルトリメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド等のアミンオキサイド型半極性界面活性剤が挙げられる。
【0050】
併用し得る非イオン界面活性剤としては、
たとえばモノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類、
たとえばモノステアリン酸、POEグリセリルモノオレイン酸POEグリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、
たとえばモノステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、
たとえばモノラウリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、
たとえばモノヤシ脂肪酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、
たとえばモノラウリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、
たとえば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、
たとえばPOEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、
たとえばPOE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、
例えばPOEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POE分鎖オクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、
たとえばPOEステアリルアミン、POEオレイルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン類、
たとえばヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類、
たとえばPOEラウリン酸モノエタノールアミド、POEヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、POE牛脂脂肪酸モノエタノールアミド、POPラウリン酸モノイソプロパノールアミド POEPOP分枝脂肪酸モノエタノールアミド等のポリオキシエチレンアルカノールアミド類、
一般式(3)及び(4)で示される化合物、
【0051】
【化4】

【0052】
[但し、上式(3)及び(4)において、R3は炭素数6〜20のアルキル基を表し、R4、R5及びR6、R7はそれぞれ互いに独立に、水素原子又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を表し、pは0〜3の整数を表す。]
アセチレングリコール、
POEアセチレングリコール、
POEラノリン、
POEラノリンアルコール、
POEヒマシ油、
POE硬化ヒマシ油、
POEフィトステロール、
POEコレスタノール、及び、
POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。
【0053】
併用し得る保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸及びその塩、などが挙げられる。
【0054】
併用し得る水溶性高分子としては、グァーガム、クイーンシード、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及び塩、アルギン塩、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ベントナイト、キチン・キトサン誘導体、ヒアルロン酸及び塩、コラーゲン及びその誘導体などが挙げられる。
【0055】
併用し得る増粘剤としては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアマド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアマド、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドなどが挙げられる。
【0056】
併用し得る被膜剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カチオン化セルロース、カチオン化セルロース、シリコーンなどが挙げられる。
【0057】
併用し得る紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及び塩、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチルなどのパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニルなどのサリチル酸誘導体、ウロカニン酸及び誘導体、4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタン、2−(ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチルなどが挙げられる。
【0058】
併用し得る消炎剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アラントイン、酢酸ヒドロコーチゾン、アズレンなどが挙げられる。
【0059】
併用し得る金属封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸及びナトリウム塩、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0060】
併用し得る低級アルコールとしては、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
【0061】
併用し得る糖類としては、ブドウ糖、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルデンプン、シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0062】
併用し得るアミノ酸類としては、アスパラギン酸及び塩、アラニン、アルギニン、リジン及び塩、グリシン、シスチン、スレオニン、セリン、メチオニン、タウリンなどが挙げられる。
【0063】
併用し得る有機アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
【0064】
併用し得る合成樹脂エマルジョンとしては、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0065】
併用し得るpH調整剤としては、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸、水酸化ナトリウム、アンモニア、などが挙げられる。
【0066】
併用し得る皮膚栄養剤としては、ビタミンA,B1,B2,B6,E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチンなどが挙げられる。
【0067】
併用し得る酸化防止剤としては、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類などが挙げられる。酸化防止助剤としては、アスコルビン酸、フィチン酸、ケファリン、マレイン酸などが挙げられるが配合成分はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
以下、本発明による保湿剤の効果を明らかにするための試験例及び実施例を示す。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
製造例1
N−メチル−β−アラニンの合成
単蒸留の装置を組み込んだ1000ml四つ口フラスコに40%モノメチルアミン水溶液(150.59g、1.939mol)と蒸留水(46.48g、2.580mol)を仕込み、20℃付近に冷却した。そこへアクリロニトリル(105.01g、1.939mol)を、液温16〜20℃を保ちながら30分で滴下した。滴下後、液温16〜20℃を保ちつつ攪拌熟成を行った。その後、48%苛性ソーダ(197.92g、2.375mol)を添加し、液温80℃付近まで慎重に加熱攪拌を行った。液温が80℃付近に達すると、ニトリルの加水分解始まり沸騰し始めた。沸騰が落ち着いた後、液温を110℃まで上昇させ、減圧下、脱アンモニアを行った。
【0070】
脱アンモニア終了後、反応液を氷冷しながら75%薄硫酸を添加し、pHを中性にした。中和によって生じた塩をろ過し、母液を濃縮乾固させ、エタノール(500g)を添加して加熱溶解した。少量の不溶物が生じるため、ろ過により除去した後、攪拌しながら母液を一晩冷却し、N-ヒドロキシエチル-β-アラニンを析出させた。析出した白色結晶は、ろ過で分離し乾燥させ、N-メチル-β-アラニン90g(得量収率;64%)を得た。
【0071】
製造例1の生成物H1−NMR 重水中測定
2.50〜2.54ppm 2H
2.68ppm 2H
3.14〜3.17ppm 2H
【0072】
製造例2
N−ヒドロキシエチル−β−アラニンの合成
単蒸留の装置を組み込んだ1000ml四つ口フラスコに2-アミノエタノール(139.10g、2.255mol)と蒸留水(259.57g、14.405mol)を仕込み、20℃付近に冷却した。そこへアクリロニトリル(122.80g、2.268mol)を、液温16〜20℃を保ちつつ30分で滴下した。滴下後、液温16〜20℃を保ちつつ攪拌熟成を行った。その後、48% 苛性ソーダ(229.99g、2.760mol)を添加し、液温80℃付近まで慎重に加熱攪拌を行った。液温が80℃に達すると、ニトリルの加水分解始まり沸騰し始めた。沸騰が落ち着いた後、液温を110℃まで上昇させ、減圧下、脱アンモニアを行った。
【0073】
脱アンモニア終了後、反応液を氷冷しながら75%薄硫酸を添加し、pHを中性にした。中和によって生じた塩をろ過し、母液を濃縮乾固させ、メタノール(750g)を添加して加熱溶解した。少量の不溶物が生じるため、ろ過により除去した後、攪拌しながら母液を一晩冷却し、N-ヒドロキシエチル-β-アラニンを析出させた。析出したN-ヒドロキシエチル-β-アラニンは、ろ過で分離し乾燥させ、N-ヒドロキシエチル-β-アラニン189.20g(得量収率;63%)を得た。
【0074】
製造例2の生成物H1−NMR 重水中測定
2.53〜2.57ppm 2H
3.16〜3.24ppm 2H
3.21〜3.24ppm 2H
3.80〜3.82ppm 2H
【0075】
試験例1
(吸湿量測定による保湿機能)
製造例1のN-メチル-β-アラニンおよび製造例2のN-ヒドロキシエチル-β-アラニンと市販流通している保湿剤との吸湿・保湿能を比較するため、各試料をpH=7及びpH=3に調整し、高湿度環境下、および低湿度環境下に置いた時の重量変化を測定し、吸湿率・保湿率を算出した。
【0076】
N-メチル-β-アラニン(以下NMBAと略す)、N-ヒドロキシエチル-β-アラニン(以下NHEBAと略す)、ピロリドンカルボン酸ナトリウム(以下、PCA-Naと略す)を真空乾燥ないしは凍結乾燥させ、秤量瓶に精密に量り取り、シリカゲルを敷き詰めたデシケーター内に試料の重量が考量に達するまで5日間保存した。(試験開始の試料重量=Wa 0)。
【0077】
次に、考量に達した試料を20℃、85%RH(相対湿度)の高湿度環境下に10日間放置させ、試料の重量変化を測定(=Wa 10)し、下記式1に従って吸湿率を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
【数1】

【0079】
【表1】

【0080】
表1から明らかなように、中性付近(pH7)では、NMBA、NHEBAの吸湿率は、PCA-Naと比較し同等またはそれ以上の吸湿率を示した。しかしながら外部環境が酸性(pH3)になるとPCA-Naはその吸湿能力がほぼ失われてしまうのに対して、本件発明の範囲内にあるNMBA及びNHEBAは、効率が下がるが依然吸湿能力を有しており、PCA-Na等の従来の保湿剤に比較して幅広いpH領域で吸湿能力を有することが分かる。
【0081】
高湿度下で吸湿されたサンプルはそのまま20℃、45%RH(相対湿度)の低湿度環境下に移し替え10日間放置し、試料重量を測定(=Wb N)し、下記式2に従って経時的な保湿率を測定した。
【0082】
【数2】

【0083】
各試料の吸湿率を下式により算出し、得られた結果を後記表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
表2から明らかなように、外部条件が中性(pH7)の場合のNMBA、NHEBAの保湿率は、PCA-Naと比較し2倍以上の保湿率を示した。このことは先の吸水能力と合わせて、本件発明に属するNMBA、NHEBAがPCA-Naに比較して優れた保湿剤であることを意味する。
【0086】
また外部環境が酸性(pH3)の条件では、PCA-Naは高湿度下で吸水能力が無かったため保湿率としては検出できない結果となった。それに対して本発明に属するNMBA、NHEBAは優れた保湿率を示した。
【0087】
これらの結果でポイントになるのは、抱えている水分を低湿度下でも保湿できる性能である。高湿度下で水を多量に吸水しても、低湿度下で一気に放出する様な物質は保湿剤として好ましくない。即ち高湿度下から低湿度下に条件を変えても保水が高い位置にあることが保湿剤として好ましい。
【0088】
本件発明に属するNMBA、NHEBAは幅広いにpH範囲で高湿度下で優れた吸水性を示し、低湿度下で優れた吸湿率を示すので保湿剤として好ましい。
【0089】
同様の実験を外部環境中性(pH=7)の条件で高分子保湿剤として使用されるヒアルロン酸は保湿率13%程度であり、類似構造を有するザルコシンの場合保湿率は7〜8%程度であった。
【0090】
試験例2
(皮膚コンダクタンス比測定による保湿機能)
NMBA、NHEBA、PCA-Naの各種1%水溶液(pH=7)及び蒸留水の4検体を一定の外部環境(室温20℃、湿度60%)で上腕内部側に10μlずつ塗布して、塗布開始から1分後より1分間隔でSKICON-200〔アイ・ビー・エス(株)社製〕を用い、プローブを被検部位に垂直にあてて皮膚の低周波伝導度(=水分含量)を測定し、塗布前と後の低周波伝導度を比較した。
【0091】
相対伝導度は以下の式により求め、結果を表3に示した。
相対伝導度=塗布後の低周波伝導度/塗布前の低周波伝導度(n=6)×100(%)
【0092】
【表3】

【0093】
表3の結果より、本発明のβ−アラニン誘導体は、PCA-Naと同等以上の保湿性を示す事が確認された。
【0094】
試験例3
(洗髪後のしっとり感試験)
下記モデルシャンプー処方を用いて洗髪後、乾燥させた毛髪の接触時における熱吸収特性を測定し、洗髪後の毛髪のしっとり感を評価した。
【0095】
測定は、測定素子に蓄えられた熱量が低温側の試料物体に移動する熱流のピーク値(q−max)をフィンガーロボ(カトーテック社製)を用いて以下の手順で実施した。
【0096】
モデルシャンプー
アルキルエーテルサルフェート(エマール27C) 15.0%
各種保湿剤 1.0%
pH調整剤 pH=7とする量
蒸留水 100%とする量
【0097】
実験手順
1.長髪健常毛を1%SLES水溶液に一晩浸漬させ、その後恒温恒湿室で乾燥させる。
2.各モデルシャンプーの原液を1%に希釈すしバットに移す。
3.1で乾燥させた健常毛を5分間バット内で洗う。
4.5分間流水で洗う。
5.3.4.の操作を計3回行ない、恒温恒湿室で乾燥させた後q−maxを測定する。
【0098】
【表4】

【0099】
ここで測定されるq-maxの値が大きいほど、熱移動量が多かったことを示し、毛髪表面が湿潤化され、手で毛髪に触れたときに冷感を感じることになる。表4から明らかなように、本発明保湿剤を用いた場合、PCA-Naを使用したサンプルより大きなq-maxを示し、保湿効果が乾燥毛髪に対しても効果的に働いている。
【0100】
実施例11 シャンプー組成物およびきしみ感低減効果に関して
アルキルエーテルサルフェート(エマール27C) 15.0%
アミド酢酸ベタイン(ソフタゾリンCPB) 5.0%
製造例1のNMBA 1.0%
pH調整剤 pH=7とする量
蒸留水 100%とする量
注1 エマール27Cは花王株式会社製
注2 ソフタゾリンCPBは川研ファインケミカル株式会社製
【0101】
(シャンプーのきしみ感緩和効果)
本発明のβ−アラニン誘導体はシャンプーに使用した時、保湿効果のみならず、すすぎ時の抵抗感即ちきしみ感をも改善することを本発明者らは見出した。
【0102】
実施例9のシャンプー及び実施例9からNMBAを除去したブランク品(比較例6)を製造し、両シャンプーの2%〜0.001%の溶液を作成した。
【0103】
スライドグラスに毛髪10本を等間隔に貼り付けたテストピースを準備した。
テストピースをまず2%シャンプー溶液に1分浸漬し、引き上げたところでテストピースを摩擦感テスター(カトーテック株式会社製)で測定する。
【0104】
同じテストピースを次に濃度が低いシャンプー溶液に1分浸漬させ摩擦感を測定する。
この作業を繰り返し、各濃度のシャンプー溶液に浸漬後の摩擦感データを集積した結果を表5に示す。
【0105】
【表5】

【0106】
これらの浸漬濃度は洗髪からすすぎ時のシャンプー濃度に対応し、その摩擦感値はその濃度における指先の抵抗を意味する。
【0107】
表5の数値から明らかなように全体を通して最大の抵抗値及びシャンプー溶液濃度が薄い状態での抵抗値が本発明のβ−アラニン誘導体未配合のサンプルに対して1割程低く測定されており、指先の抵抗が少なくなっている。この事は本発明保湿剤をシャンプー組成物に使用した場合、乾燥後の保湿性のみならず、洗髪中のきしみ感を改善することを示している。
【0108】
実施例12 (パール光沢ボディシャンプー組成物)
下記処方に従い、各成分を常法により溶解混合してパール光沢ボディシャンプーを調整した。
ラウリン酸 6.0%
ミリスチン酸 8.0%
パルミチン酸 2.0%
水酸化カリウム 48%水溶液 8.1%
ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン 30%溶液 10.0%
ラウロイル−N−メチル−β−アラニンカリウム 30%溶液 5.0%
ビスコセーフLMEB 3.0%
ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム塩 30%溶液 1.6%
製造例2のNHEBA 3.0%
エチレングリコールジステアレート 2.0%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2%
EDTA・4ナトリウム 0.2%
メチルパラベン 0.2%
精製水 全量を100%とする量
注3 ビスコセーフLMEBは川研ファインケミカル社製
【0109】
実施例13(シャンプー組成物)
下記処方に従い、各成分を常法により溶解混合してシャンプーを調整した。
POE(3)ラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩 25%液 30.0%
ラウロイル−N−メチル−・−アラニンナトリウム 30%溶液 10.0%
ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン 30%溶液 3.3%
ラウロイル加水分解シルクペプチドナトリウム塩 20%溶液 2.5%
ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン 30%溶液(脱塩品) 10.0%
ビスコセーフLMEB 2.0%
製造例2のNHEBA 3.0%
ラウロイルサルコシンイソプロピルエステル 0.2%
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.2%
ジメチコンコポリオール 0.2%
カチオン化セルロース 0.2%
EDTA・2Na 0.2%
メチルパラベン 0.2%
ピロピルパラベン 0.1%
香料 0.1%
クエン酸 pH=5.4とする量
精製水 全量を100%とする量
【0110】
実施例14(ヘアコンディショナー組成物)
下記処方に従い、各成分を常法により溶解混合してヘアコンディショナーを調整した。
プロテキュートCα、 1.00%
グレープシード油 2.00%
メチルポリシロキサン 1.00%
アミテルLGOD−5 1.00%
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 3.00%
ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル 1.50%
セトステアリルアルコール 3.00%
製造例2のNHEBA 3.0%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01%
パントテニルエチルエーテル 0.10%
DPG 4.00%
メントール 0.50%
香料 0.30%
パラオキシ安息香酸メチル 0.20%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.20%
精製水 全量を100%とする量
注4 プロテキュートCαは一丸ファルコス社製
注5 アミテルLGOD−5は日本エマルジョン社製
【0111】
実施例15
(化粧水)
下記処方に従い、各成分を常法により溶解混合して化粧水を調整した。
エタノール 15.0%
グリセリン 5.0%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 5.0%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.2%
製造例2のNHEBA 2.0%
精製水 全量を100%とする量
【0112】
実施例16
(入浴剤)
下記処方に従い、各成分を常法により混合し、入浴剤を調製した。
硫酸ナトリウム 80.0%
製造例2のNHEBA 10.0%
炭酸水素ナトリウム 10.0%
【産業上の利用可能性】
【0113】
本願発明の保湿剤は、優れた吸湿能及び保湿能を有し、且つべたつき感のない、広範囲のpH条件下で効果を示しうえ安価に提供でき、皮膚化粧料、毛髪化粧料、入浴剤として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[但し、式中、R1及びR2は互いに独立に水素原子、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基を表す。但しR1及びR2が同時に水素原子となることは無い。Xはカルボキシル基のカウンターを示しアルカリ金属、アルカリ土類金属、塩基性アミノ酸又はアミン類を表す。]
で示されるβ−アラニン誘導体からなる保湿剤。
【請求項2】
請求項1記載の保湿剤を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項3】
請求項1記載の保湿剤を含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項4】
請求項1記載の保湿剤を含有することを特徴とする入浴剤。

【公開番号】特開2010−285411(P2010−285411A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142549(P2009−142549)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(390003001)川研ファインケミカル株式会社 (48)
【Fターム(参考)】