説明

保管容器

【課題】 主に特定有害産業廃棄物などの固体状産業廃棄物を収容した簡易包装物を複数保管でき、保管後に随時内容物の確認を実施できる保管容器を提供する。
【解決手段】 本発明の保管容器は、外部容器とその収容空間内に複数段積み重ねて収容可能な複数の内部容器とからなり、内部容器を段積みすることで最下段から最上段まで段積みされた内部容器を上下に開口が連通して形成される。この開口に内部容器昇降手段を着脱自在に取り付けることによりこれら内部容器を昇降させて格別に取出せるようにしている。外部容器は、有底円筒型に形成され、その周方向内面には少なくとも1か所に突条または突片が設けられ、前記内部容器は当該外部容器の収容空間内に段積み収容可能な大きさの有底円筒型に形成され、その外面の周方向に前記突条または突片に係合可能な凹溝または凹部が形成されてなる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば固体状の産業廃棄物などを収容、保管するのに適しており、随時内容物の確認を容易に実施可能な保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
微量のポリ塩化ビフェニル(PCB)が染み込んだウエスなどの特定有害産業廃棄物は、現在、機器毎に分別してビニール袋などの簡易包装物に収め、さらに複数をまとめてドラム缶に収容した状態で無害化処理までの間保管されている。保管期間中、ドラム缶の底寄りに位置する簡易包装物は、それよりも上方にある収容物の重量を受け、あるいはドラム缶内の収容物を定期的な確認のために取り出す際に、破損しやすいといった問題があった。
【0003】
このような産業廃棄物を収容するための容器については、幾つかの提案がなされている。例えば特許文献1では、放射性廃棄物保管用にドラム缶などの外部容器に収容可能な内部収納容器に関する提案がなされている。この内部収納容器は、外部容器の内部空間を複数に分割した定型的な形状の容器であって、人手による取扱が容易で、所要の強度を有し、内容物の外部への漏出がなく、外部容器への収容効率を高くできるという利点を備えている。しかしながら、この内部収納容器は、放射性廃棄物以外の固体廃棄物の保管には不適で汎用性に難があり、また一旦保管したら定期的な内容物確認の実施が必要とされるものではなく、定期的に内容物確認を行う必要がある特定有害産業廃棄物の保管業務においては利用しにくいだけでなく、内容物が重量物の場合にはその取り出しも困難であるという問題がある。そのため、このような問題の解決が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願平11−226658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記問題点に鑑み、本発明は、主に特定有害産業廃棄物などの固体状産業廃棄物を収容した簡易包装物を複数保管でき、保管後に随時内容物の確認を実施できる保管容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、本発明によれば、以下の(1)〜(6)に示す保管容器によって達成される。
(1)全高さにわたり同じ横断面形状を有し且つ上面に開放可能な蓋を備える外部容器と、その内部に上下に複数段積み重ねて収納可能な複数の内部容器と、当該各内部容器を昇降させる内部容器昇降手段とからなり、前記各内部容器はその底板中央領域の対応する位置に厚さ方向に貫通する貫通孔を有するとともにその周縁部から内側に起立する内筒によって、前記各内部容器を複数段積重ねたときに最下段から最上段の内部容器を連通する開口が形成されており、前記内部容器昇降手段は当該開口に挿通され前記内部容器内に着脱自在に取付可能とされてなることを特徴とする保管容器。
(2)前記内壁の内面にはその高さ方向の少なくとも一部にネジ部が刻設されており、前記内部容器昇降手段は当該ネジ部に螺合する長ネジとこれを回転させるためのハンドルとを少なくとも備えてなる前記(1)に記載の保管容器。
(3)前記外部容器は有底円筒型に形成され、その内面と前記した少なくとも最下段の内部容器の周壁の外面とは、一方が他方に係合する回転防止手段を備えてなる前記(1)または(2)に記載の保管容器。
(4)前記段積みされる内部容器のうち、上下に隣り合うもの同士の間では互いに係合するように形成されてなる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の保管容器。
(5)前記各内部容器は、前記外周壁の上端に係合してその収容空間の上部を覆い、前記内壁の開口に対応する位置に第2の貫通孔を有する蓋を備えてなる前記(1)〜(4)に記載の保管容器。
(6)前記内部容器は、その中心を通る放射方向の面で分割されて少なくとも2つの小容器に形成されてなる前記(1)〜(5)のいずれかに記載の保管容器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の保管容器は、内部容器をその高さを小さくし複数段積みできるようにしたことで、従来のような外部容器下寄りの簡易包装物が破損するのを著しく低減させることができる。また、着脱自在に取付可能な昇降手段によって当該段積みした内部容器のそれぞれを昇降させて取り出すことを可能にしたので、保管容器下部の内容物であっても容易に取り出せ、定期的な内容物の確認作業が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の保管容器の実施形態の一例を示す図である。
【図2】図1の保管容器を線分Rにて鉛直方向に切断した場合の縦断面図を示す図である。
【図3】図1の保管容器に内部容器昇降手段を取り付けた状態を示す図である。
【図4】図1の保管容器の保管状態を示す図である。
【図5】内部容器の一変形例を示す図である。
【図6】内部容器の別の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、添付図面を参照して本発明の保管容器の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の保管容器の一実施形態を示しており、図2は、図1の保管容器を線分Rにて鉛直方向に切断した場合の縦断面図を示している。また、図3は、図1の保管容器に内部容器昇降手段を取り付けた状態を示しており、図4は、図1の保管容器の保管状態を示している。これらの図に示すように、円筒型の外部容器25における収容空間内に、有底円筒型の内部容器10、15、20が3段積重ねた状態で収容可能とされている。
【0010】
外部容器25は、蓋252を備え、例えばドラム缶などの有底円筒型の容器である。その外形形状はこのような円筒型に限定されず、全高さにわたり周壁が鉛直方向に形成され、この収容空間内に収容する内部容器がその内部を上下方向に昇降可能に形成されていれば、例えば三角柱型、四角柱型、五角柱型などの角柱類などであってもよい。
【0011】
外部容器25の周壁251の内面には、図3〜図4に示すように、周方向の4か所に下端から上方に向けて鉛直方向に長尺帯状の突条26〜29が突設されている。この4条の突条26〜29は、当該周方向に等間隔にそれぞれ突設されるのが好ましい。この突条26〜29の周壁251の内面からの突出高さは適宜設定できる。
【0012】
本実施形態における内部容器10(15、20)は、略円形の平面形状を有する底板11a(16a、21a)とその周縁部に立設された周壁11(16、21)とを備える有底円筒型の容器であり、外部容器25の収納空間内にこれら内部容器が段積みされるようになっている。各内部容器10、15、20を3段積み重ねて外部容器25の収容空間内に収容可能であれば、周壁11(16、21)の高さはそれぞれ適宜設定できるが、好ましくは図1および図2に示すように、これらの内部容器10,15、20は略同等の高さに設定されているのがよい。このように、各内部容器の高さを小さくし、複数段に積み重ねるようにすることで、従来の容器下部の簡易包装物がこれにかかる荷重により破損するなどの問題が解消できる利点がある。
【0013】
底板11a(16a、21a)の中心にはその厚さ方向に貫通する貫通孔11b(16b、21b)が穿設されており、その周縁部からは内壁13(18、23)が垂直に起立している。この内壁13(18、23)の高さは、外周壁11(16、21)の高さと略同等か僅かに小さく形成されている。外部容器25内で3つの内部容器10、15、20を積み重ねた場合、それぞれの底板11a、16a、21aと内壁13、18、23とで、外部容器25の収容空間内を上下に連通する開口が形成されるようになっている。この開口には、これら3つの内部容器10、15、20を昇降させる昇降手段(後述)が挿通されるようになっている。
【0014】
また、内部容器10(15、20)は、その収納空間の上部を覆う蓋12(17、22)を備えている。この蓋12(17、22)は、周壁11(16、21)の上端部に従来公知の方法により係合、嵌合するように形成されている。また、蓋12(17、22)には、内壁13(18、23)の上端に対応する位置に、底板における貫通孔11b(16b、21b)と同じ直径を有する第2の貫通孔12b(17b、22b)が穿設されており、前記開口の連続性が確保されている。なお、この蓋12(17、22)により内部容器10(15、20)の上方をこの蓋12(17、22)で覆う必要がない場合もあり得るが、その場合には蓋12(17、22)を有しない構成とすることができる。
【0015】
内部容器10(15、20)の周壁11(16、21)の外面には、その周方向に等間隔に凹溝111〜114(161〜164、211〜214)が4か所に設けられている。各凹溝111〜114(161〜164、211〜214)は、図2〜図4に示すように、それぞれ内部容器10(15、20)の開口方向に平行に設けられている。また、各凹溝111〜114(161〜164、211〜214)の長さ方向に直角な方向の幅は、外部容器25の内面における突条26〜29の幅よりも僅かに大きく設定されている。また、各凹溝111〜114(161〜164、211〜214)の深さは、前記した外部容器25の内面に設けられた突条26〜29の突出高さよりも僅かに大きく設定されている。各凹溝111〜114(161〜164、211〜214)をこのような幅及び深さに形成することで、突条26〜29がそれぞれこれらの凹溝に係合し、これにより内部容器10(15、20)が外部容器25の収容空間内で回転しないよう回転防止が図られている。なお、以下では、説明の便宜上、このような係合により内部容器が外部容器の収容空間内で回転するのを防止する手段を回転防止手段と呼ぶこととする。
【0016】
本実施形態の内部容器10(15,20)では、内壁13(18、23)の内面の下端部領域に全周にわたりネジ部14(19、24)が設けられている。ネジ部14(19、24)の開口方向における長さは、図2〜図4に示すように、各内部容器10(15、20)の高さの約1/3程度とされている。
【0017】
内部容器10、15、20を外部容器25の収容空間内にそれぞれ積重ねて収容し、または収容された内部容器10、15、20をそれぞれ取り出すのに、内部容器昇降手段40が用いられる。本実施形態における内部容器昇降手段40は、図3及び図4に示すように、長ネジ41と、延長用長ネジ42(42a、42b、42c)と、操作用のハンドル43とから構成される。
【0018】
長ネジ41は、内部容器10、15、20をそれぞれ段積みした場合の全高さと略同等かそれよりも低い全長を有し、各内部容器の内壁から開口側に突設されたネジ部14(19、24)に螺合するネジ形状を備えている。また、長ネジ41に接合され、これを延長するのにそれぞれ使用される3個の接合用ネジ42a、42b、42cは、長ネジ41と同様の軸径およびネジ形状を備え、それぞれが長ネジ41の一端に接合してその長さを延長できるように構成されている。また、これら各接合用ネジ42a、42b、42cは、それぞれ任意の長さに形成できるが、図4では、略同等の長さに設定されている。なお、本実施形態においては、この延長用長ネジ42は、3個の接合ネジで構成しているが、この個数に限定されず、1個や2個又は4個以上で構成してもよい。また、長ネジ41に延長用ネジを1つまたは複数接合してこれを回転させた場合に、最上段の内部容器10が外部容器25の上端よりも高い位置まで上昇させることができれば、それぞれの接合用ネジの長さは略同等に揃える必要はなく、適宜の長さに設定できる。
【0019】
ハンドル43は、長ネジ41又は延長用長ネジ42のそれぞれの一端に取り付けられ、これを操作することで長ネジ41又は延長用長ネジ42を回転させることができる。ハンドル43は、図3に示すような従来公知の形状のものを使用できる。また、このようなハンドル43に代えて、公知の電動回転工具のアタッチメントを長ネジ41又は延長用長ネジ42の一端に取付け、電動によりこれらの長ネジ41、42を回転させるようにしてもよい。
【0020】
次に、外部容器に内部容器を段積み収納する方法例について説明する。まず、最下段の内部容器20を外部容器25の収容空間内に収容する場合には、一端にハンドル43を取り付けた長ネジ41の他端を蓋22の中央の貫通孔22bから開口内に差し込んだ上で、当該ハンドル43を回転させて内部容器20のネジ部に螺合する。例えば当該ネジ部の長さ分だけネジ込む。その状態で、適宜の荷役装置を用いて外部容器25内に、内部容器20の周壁に設けられた突溝と外部容器25の内面に設けられた突条とを合わせるようにして収容する。また、この内部容器20の上に中段の内部容器15を積み重ねる場合には、ハンドル43を操作して内部容器20の上端面が外部容器25の上端縁と略同等の高さとなるようにしたうえで、当該ハンドル43を長ネジ41から一旦取り外し、内部容器20の上に中段の内部容器15を両者の外周にある溝の位置を合わせながら積み重ねる。その際、長ネジ41の上端が内部容器15によって隠れてしまう場合には、当該長ネジ41に延長用長ネジ42を接合してその上端にハンドル43を取り付けられるようにしておく。そして、ハンドル43を再度長ネジ41又は延長用長ネジ42の上端に取付けた状態で回転させ、これら2つの内部容器15,20を外部容器25内に納めていく。さらに最上段の内部容器10を積み重ねる場合には、中断の内部容器15の上端面が外部容器25の上端縁と略同等の高さとなるようにし、一旦ハンドル43を取り外しておき、最上段の内部容器10をその上に積重ね、その上でハンドル43を再度取り付けてこれを操作することで、外部容器25の収容空間内に3段積みした内部容器10、15、20を収容することができる。
【0021】
また、3つの内部容器10、15、20のすべてを外部容器25内に収容する場合には、予め3つの内部容器10、15、20を3段に積重ねておき、内部容器10の蓋12中央の貫通孔12bから、前記と同様に長ネジ41を差込み、最下段の内部容器20のネジ部24に回転させ、この長ネジごと段積みした内部容器10、15、20を適宜の荷役装置により吊り上げ、外部容器25の上方から挿入して収容することができる。外部容器25内に内部容器10、15、20を段積みした状態で収容した後は、この長ネジ41は各内部容器10、15、20を貫通する開口内のネジ部14、19、24に螺合した状態とし、または取り外し、当該外部容器上端部に蓋252を被せて固定し、必要なら所定の保管場所に移動したうえで保管すればよい(図4参照)。
【0022】
次に、外部容器から内部容器を取り出す方法例について説明する。まず、外部容器25の蓋252をあけ、最上段の内部容器10を取り出す場合には、図4に示すように、長ネジ41が収容されたままか、それとも取り外されているかを確認する。長ネジ41が取り外されている場合には、長ネジ41、または必要に応じて長ネジ41に延長用長ネジ42(接合ネジ42a〜42cのいずれか1つまたは2つ以上の接合体)を接合したものを用意し、その一端にハンドル43を取り付けた上で、これを最上段の内部容器10の蓋12にある貫通孔12bから開口内に長ネジ41を差込んで回転させ、当該開口内のネジ部14、19、24にそれぞれ螺合する。さらにこの内部容器昇降手段40のハンドル43を回転させることで、内部容器10は徐々に上昇していき、内部容器10の底板11aが外部容器25の上端よりも高い位置に達したところで、ハンドル43(延長用長ネジ42を接合している場合には、これも必要に応じてハンドル43とともに取り外すようにする)を取り外すことで、内部容器10を取り出すことができる。さらに同様の操作を繰り返すことで、中段や最下段の内部容器15、20を取り出すことができる。
【0023】
図5は、本発明の保管容器における内部容器の回転防止手段の変形例を示しており、(a)は回転防止手段を説明するための内部容器の斜視図、(b)は部分断面図、(c)は平面図である。この図の例では、図1〜図4に示した例と同様に、外部容器25とその内部に段積みされる3個の内部容器10、15、20とを備えるが、(1)図5(c)に示すように外部容器25の内面に鉛直な方向に凹溝35が設けられている点、(2)最下段の内部容器20の外周には、その開口方向に沿って凹溝35に係合する突片34が突設されている点、(3)少なくとも中段及び最下段の内部容器15、20は蓋17、22をそれぞれ備えており、これらの蓋17、22の上面の外周部には上方に向けて突起31、33がそれぞれ設けられている点(それぞれの突起の形状には特に限定されない)、(3)最上段及び中段の内部容器10、15の底板11a、16aには、これらに下方から接する中段及び最下段の内部容器15、20の蓋17,22における突起31、33を受け入れ係合する凹部30、32がそれぞれ形成されている点が相違している。図5(a)、(b)では、凹部30、32はそれぞれの内部容器15、20の周壁側にも開口するように形成されている。
【0024】
3個の内部容器10、15、20はそれぞれ、前記の場合と同様の方法により外部容器25の収納空間中に収納できるが、最下段の内部容器20を収納する際には、内部容器20を回転させて突片34が外部容器内の凹溝35に嵌り込むようにし、当該内部容器20の上に中段の内部容器15を積み重ねる際には、内部容器20の蓋22上面における突起33を中段の内部容器15の底板16aの凹部32に収め、またこの中段の内部容器15の上に最上段の内部容器10を積み重ねる際には、内部容器15の蓋17上面における突起31を最上段の内部容器10の底板11aにおける凹部30に収めるようにする。このように、最下段の内部容器20は外部容器25との間で回転防止が図られ、最上段及び中段の内部容器10、15はそれぞれ中段および最下段の内部容器15、20との間で回転しないように構成されている。
【0025】
また、外部容器25から内部容器15、20を取り出す場合には、前記の場合と同様にそれぞれの底板が外部容器の上端縁よりも高い位置にくるように上昇させた上で、凹部30,32の側方から突起31,33が抜け出るように内部容器15、20を横方向に移動させながら取り出すことができる。また、最下段の内部容器20は、その底板21aが外部容器25の上端縁よりも高い位置にくるように上昇させるだけで、突起が外部容器の内面における凹溝から抜け出るので容易に取り出すことができる。
【0026】
本発明の保管容器は、図6に示す内部容器の一変形例をその収納空間に収納することができる。この図に示す円筒型の内部容器は、中心からの放射方向の複数の面で分割された4つの略同等の容積を有する扇型柱状の小容器45、50、55、60がトレー65上に載置された形態を備えている。なお、小容器の個数は図6に示すように4個に限定されず、放射方向の面の数を増減することによって2つ以上の適宜の数に設定できる。
【0027】
それぞれの小容器45、50、55,60は、図6に示すように、それぞれ略1/4に分割された周壁46、51、56、61;内壁48、53、58、63;底板(図6では符号を省略)からなる有底扇型柱状の容器46、51、56、61であり、これらの上方に開口は蓋47、52、57、62を備えている。各小容器45、50,55、60における周壁46、51、56、61の上部寄りおよび蓋47、52、57、62の外周寄りには、周方向略中央領域に細長の貫通孔461,511,561、611;461、521、571、621がそれぞれ形成されている。各貫通孔は、これを設けることで、作業者がこれに手をかけるなどしてトレー65上から引き出し、またはトレー65上に載せ易くなる利点がある。
【0028】
トレー56の周縁部の4か所には、その円周方向に等間隔に4つの切込み651〜654が設けられている。これらの切込み651〜654は、4つの小容器45、50、55、60のうち隣り合うもの同士の放射方向の面の間に形成される空間(図1〜図4の内部容器における凹溝に相当する部分)に対応している。また、トレー65の中央領域には、厚さ方向に貫通する貫通孔65bが穿設されている。この貫通孔65bの周縁部からは上方に向けて円筒耐の内面にネジが刻設されたネジ部67が設けられており、その外面に前記小容器45、50、55,60の内壁48、53、58、63をそれぞれ当接することで、これらの小容器45、50、55,60はそれぞれトレー65上にきちんと収まるようになっている。
【0029】
このような構成の内部容器は、図1〜図3に示した外部容器25内に収納することができるとともに、図1〜図4の実施形態と同様に内部容器昇降手段40を用いることができ、また外部容器25の突条26〜29が切込み651〜654にそれぞれ嵌り込み、内部容器を昇降させる際にその回転を防止することができる。また、このような複数の小容器からなる内部容器と図1〜図4に示したような内部容器を併用することで、収納する内容物の種類や量を考慮して、これらの内部容器に整理して収納することが可能となる。
【0030】
以上説明したように、本発明の保管容器は、内部容器をその高さを小さくし複数段積みできるようにしたことで、従来のような下側の簡易包装物が破損していた問題を著しく改善できる。また、着脱可能な内部容器昇降手段によって当該段積みした内部収納容器を昇降させて取り出すことを可能にしたので、保管容器下部にある内容物であっても容易に取り出せ、定期的な内容物の確認作業が容易に行える。また、外部容器から内部容器や内部容器昇降手段がはみ出すことがないので、蓋により外部容器を密閉できる。また、内部容器の形状および寸法を規格化することで、内部容器昇降手段の汎用化が図られる。さらに、内部容器昇降手段を前記のように電動化することで、重量のある内部容器の出し入れも容易となる。
【0031】
なお、本発明は、添付の各図面に示した実施形態に限定されず、本発明の主題から逸脱しない限り変更、改良が可能であり、また本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 保管容器
10、15、20 内部容器
11、16、21 外周壁
11a、16a、21a 底板
11b、16b、21b (底板)貫通孔
111〜114、161〜164、211〜214 凹溝
12、17、22 (内部容器)蓋
12b、17b、22b (蓋)貫通孔
13、18、23 内壁
14、19、24 ネジ部
25 外部容器
251 (外部容器)外周壁
252 (外部容器)蓋
26〜29 突条
30、32、34 凹部
31,33 (蓋上)突片
34 (内部容器外面)突片
35 (外部容器内面)凹溝
40 内部容器昇降手段
41 長ネジ
42 延長用長ネジ
42a、42b、42c 接合ネジ
43 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全高さにわたり同じ横断面形状を有し且つ上面に開放可能な蓋を備える外部容器と、その内部における収納空間に上下に複数段積み重ねて収納可能な複数の内部容器と、当該各内部容器を昇降させる内部容器昇降手段とからなり、前記各内部容器はそれぞれ、その底板中央領域の対応する位置に厚さ方向に貫通する貫通孔を有するとともに、その周縁部から内側に起立する内筒を備え、前記各内部容器を複数段積重ねたときに最下段から最上段の内部容器を連通する開口が形成され、前記内部容器昇降手段は当該開口に挿通され前記内部容器内に着脱自在に取付可能とされてなることを特徴とする保管容器。
【請求項2】
前記内壁の内面にはその高さ方向の少なくとも一部にネジ部が刻設されており、前記内部容器昇降手段は当該ネジ部に螺合する長ネジとこれを回転させるためのハンドルとを少なくとも備えてなる請求項1に記載の保管容器。
【請求項3】
前記外部容器は有底円筒型に形成され、その内面と前記した少なくとも最下段の内部容器の周壁の外面とは、一方が他方に係合する回転防止手段を備えてなる請求項1または2に記載の保管容器。
【請求項4】
前記段積みされる内部容器のうち、上下に隣り合うもの同士の間では互いに係合するように形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の保管容器。
【請求項5】
前記各内部容器は、前記外周壁の上端に係合してその収容空間の上部を覆い、前記内壁の開口に対応する位置に第2の貫通孔を有する蓋を備えてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の保管容器。
【請求項6】
前記内部容器は、その中心を通る放射方向の面で分割されて少なくとも2つの小容器に形成されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の保管容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−126405(P2012−126405A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277529(P2010−277529)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】