説明

保護イソシアネート基を有する粒子を含有する塗料

本発明は、a)固体材料の割合に関して、20〜90重量%の反応性基塗料樹脂(L)と、b)固体材料の割合に関して、塗料の硬化中に熱処理下で塗料樹脂(L)の反応性基と反応する反応性官能基を示す1〜90重量%の塗料硬化剤(H)と、c)固体材料の割合に関して、金属、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子からなる、またはシリコーン樹脂で作成されたコアを含む0.1〜40重量%の粒子と、粒子(p)は、保護基の除去に関連した熱処理によってイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つのイソシアネート保護基をその表面上に備え、50%を超えるイソシアネート保護基は、分離温度が塗料樹脂(L)と硬化剤(H)の官能基との反応の反応温度より低い保護基を設けられており、d)被覆配合物(B1)全体に関して、0〜90重量%の溶媒または溶媒混合物と、e)随意選択で、他の塗料成分および添加剤とを備える被覆配合物(B1)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面上に保護イソシアネート基を持つ粒子を含有する被覆配合物に関し、特にトップコートおよびクリアコートの材料に関する。
【0002】
粒子、より具体的にはナノ粒子を備えるコーティング・システムが、最先端技術である。そのようなコーティングは、たとえば、EP1249470またはWO03/16370に記載されている。これらのコーティングにおける粒子により、より具体的には耐引掻性およびまた耐薬品性に関して、コーティングの特性が向上する。
【0003】
有機コーティング・システムにおいて一般的に無機粒子の使用に関連して頻繁に生じる問題は、粒子とコーティングマトリクス材との間の通常は不適切な適合性にある。これにより、粒子が、コーティングマトリクス材において不十分に分散することになることがある。さらに、よく分散した粒子でさえ、長期の立位時間または貯蔵時間の過程で沈降する可能性があり、おそらくはより大きな凝集体または集塊体を形成し、これらは、再分散する際でも、元の粒子に分離するのが不可能または困難である。そのような不均一システムの処理は、あらゆる場合において極度に困難であり、実際、しばしば不可能である。塗布され硬化した後に滑らかな表面を有する塗料は、一般的にはこの方式では全く製造することができないか、または多大な代償を払ってのみ製造することができる。
【0004】
したがって、コーティングマトリクス材との適合性の向上をもたらす有機基を表面上に有する粒子を使用することが好適である。このようにして、無機粒子は、有機シェルによって「マスク」される。特に好適な塗料特性は、この文脈では、さらに、粒子表面上の有機官能基が、コーティングマトリクス材に向かって反応する基をも有し、それにより、対象の塗料のそれぞれの硬化条件下において、有機官能基がマトリックスと反応することができる場合に達成することができる。このようにして、塗料の硬化の過程において化学的に粒子をマトリックスに組み込むことに成功し、これにより、しばしば、特に良好な機械的特性が得られるが、耐薬品性をも向上させすることが可能である。この種類のシステムは、たとえば、DE10247359Al、EP832947A、またはEP0872500Alに記載されている。
【0005】
さらにまた、ナノ粒子で修正された結合剤を備えるコーティングの使用も既知である。これらのコーティングは、反応機能を備えた粒子と、補完機能を有する結合剤とを反応させることによって作成することができる。したがってこの場合、有機機能粒子は、塗料の硬化段階においてだけでなく、結合剤製造段階においてもコーティングマトリクス材に化学的に組み込まれる。この種類のシステムは、たとえば、EP1187885AまたはWO01/05897に記載されている。
【0006】
1つの特に重要なタイプの塗料の場合、塗料が硬化する際、イソシアネート官能性硬化剤と反応するヒドロキシ官能性プレポリマーを備える塗料樹脂が使用される。これらのポリウレタン・塗料は、たとえば、優れた耐薬品性など、特に良好な特性について注目すべきであるが、特にこれらのシステムの耐引掻性に関して、依然として改善が必要である。これらのポリウレタン・塗料は、通常、自動車および車両産業のOEM塗料システムのクリアコート材料および/またはトップコート材料などとして、特に高価で要求の厳しい応用分野において使用される。自動車を修理するための再仕上げ塗料の大部分も、この種類のイソシアネート硬化システムからなる。
【0007】
通常、2Kシステムおよび1Kシステムとして既知の2つの異なるポリウレタン・コーティング・システムは、明確に区別される。前者は2つの成分からなり、その1つは、本質的にイソシアネート硬化剤からなり、一方、イソシアネート反応性基を有する塗料樹脂は、第2成分に含まれる。2つの成分は、別々に貯蔵および輸送されなければならず、それらが処理される直前まで混合されるべきではないが、その理由は、完全混合物の可使時間は大きく限定されるからである。したがってしばしば、塗料樹脂と共に、保護イソシアネート基を有する硬化剤が存在するたった一つの成分からなるいわゆる1Kシステムが、より有益である。1K塗料が熱硬化し、イソシアネート単位の保護基が除去され、それにより、脱保護イソシアネートは、塗料樹脂と反応することができる。そのような1K塗料の通常の焼き付け温度は、130〜160℃に設定される。
【0008】
これらの高価塗料の場合、特性のさらなる向上が望ましい。これは、特に車両完成品に当てはまる。たとえば具体的には、従来の自動車完成品の達成可能な耐引掻性は、依然として十分ではなく、その結果、たとえば、車洗浄の洗浄水の粒子が完成品に著しい傷をもたらすことになる。時間の経過に共ない、これにより完成品の光沢に対して永続的な損傷が生じる。この状況では、より高い耐引掻性が達成されることを可能にする配合物が望ましい。
【0009】
この目的を達成する1つの特に有利な方式は、保護イソシアネート官能基を表面上に有する粒子を使用することである。そのような粒子が1Kポリウレタン・塗料に組み込まれている場合、粒子の表面上のイソシアネート官能基は、塗料が硬化する過程においても同様に遊離し、粒子は、化学的に完成品に組み込まれる。さらに、保護イソシアネート官能基は、粒子とコーティングマトリクス材との間の適合性を向上させる。
【0010】
保護イソシアネート官能基を有するこの種類の粒子は、原理的にはすでに既知である。通常、これらは、有機基が保護イソシアネート基を有するアルコキシシリル官能性有機ケイ素化合物と共に、遊離ケイ素または金属水酸化物官能基を有する粒子を凝縮させることによって製造される。この種類のマスク・イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物は、たとえば、DE3424534Al、EP 0212058Bl、JP08−291186、またはJP10−067787においてすでに記載されている。保護イソシアネート官能基自体を有する粒子、およびコーティングにおけるその使用は、たとえば、EP872500Aに記載されている。
【0011】
コーティングの耐引掻性は、実際には、そのような粒子を組み込むことによって大きく向上させることができる。しかし、従来の技術において記載されているこれらの粒子を使用する方法のすべてにおいて、最適な結果は依然として達成されていない。
【0012】
したがって、本発明の目的は、表面上において保護NCO基を有する粒子を含むコーティングを提供することであり、このコーティングが、さらに向上した特性、より具体的にはさらに向上した耐引掻性を特徴とすべきであることを意図した。
【0013】
本発明は、
a)固体の割合に対して、反応性基を有する20〜90重量%の塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して、塗料が硬化するために、熱処理の際に塗料樹脂(L)の反応性基と反応する反応性官能基を有する1〜90重量%の塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える0.1〜40重量%の粒子(P)と、
粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、50%を超える保護イソシアネート基は、塗料樹脂(L)の官能基と硬化剤(H)の官能基との反応の反応温度より除去温度が低い保護基を持ち、
d)被覆配合物(B1)全体に対して、0〜90重量%の溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と、を備える、被覆配合物(B1)を提供する。
【0014】
固体の割合は、この場合、塗料が硬化するとき、塗料内に依然として留まる塗料の構成要素を含有する。
【0015】
粒子(P)のイソシアネート保護基の通常の除去温度、およびまた塗料樹脂(L)の官能基と硬化剤(H)との反応温度は、一般的には、当業者には既知の関連文献から得ることが可能である。さらに、これらはまた、たとえば、差分走査熱量測定法(DSC)などの標準的な技法によって、または、官能基が保護イソシアネート官能基である場合は熱重量分析法(TG)によって決定されることも可能である。これらの測定技法は最先端技術であり、当業者に既知である。
【0016】
粒子(P)のイソシアネート保護基の除去温度と、また塗料樹脂(L)の官能基と硬化剤(H)の反応温度との差が、文献データから明確に導出することができない限りでは、これらの特徴は、本発明の目的では、以下のように定義される。イソシアネート保護基の除去温度は、1℃/分の加熱率でDSCまたはTGによって測定された保護基の除去率が最大値を達成する温度である。塗料樹脂(L)の官能基と硬化剤(H)の官能基との反応の反応温度は、同じ測定方法を使用して、2つの反応物質の間の反応率が最大値を達成する温度であると定義される。
【0017】
この文脈において、粒子(P)が、粒子(P1)と、少なくとも1つの保護イソシアネート官能基を有する加水分解可能有機シラン(A)とから、以下に記載されているプロセスによって製造される場合、粒子(P)の保護イソシアネート官能基の除去温度は、粒子(P)自体を測定することによってではなく、代わりにシラン前駆体(A)を測定することによって決定される。この技法は、粒子(P)が、隔離することが不可能ではないにしてもしばしば困難であり、溶解状態においてのみ安定であるということにより、有利である。
【0018】
この文脈において、塗料樹脂(L)および/または硬化剤(H)が、それぞれ、反応性について異なる2つ以上の官能基を有する場合、すなわち、塗料が硬化する際、各場合に異なる反応温度で、塗料樹脂(L)と硬化剤(H)の間に異なる反応が存在する場合、上記の定義は、熱コーティング材料熱硬化中に量的(すなわち、対象反応に含まれる反応性官能基のモル%において)に優勢な反応を指す。少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%、より格別には100%の保護イソシアネート基が、塗料樹脂(L)の官能基と硬化剤(H)の官能基との反応の反応温度より除去温度が低い保護基を持つ粒子(p)を備える被覆配合物(B1)が好ましい。本発明の1つの好ましい実施形態では、被覆配合物(B1)は、ヒドロキシ官能性塗料樹脂を備える。
【0019】
塗料硬化剤(H)がメラミンホルムアルデヒド樹脂を備える被覆配合物(B1)が、さらに好ましい。しかし、粒子(P)のように、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する保護イソシアネート基を有する塗料硬化剤(H)を備える被覆配合物(B2)が、特に好ましい。本発明のこの好ましい実施形態の場合、塗料樹脂(L)と硬化剤(H)の間の反応温度は、硬化剤(H)の保護基の除去温度と同一であると定義される。これは保護基を除去することによって放出されるNCO基は、通常、瞬時に塗料樹脂との反応を続行するため、賢明である。
【0020】
すなわち、本発明の好ましい主題は、
a)固体の割合に対して、反応性基を有する20〜90重量%の塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する保護イソシアネート基を有する1〜90重量%の塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える0.1〜40重量%の粒子(P)と、
粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、50%を超える保護イソシアネート基は、硬化剤(H)の保護イソシアネート基の6%より低い除去温度を有する保護基を持ち、
d)被覆配合物(B1)全体に対して、0〜90重量%の溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と、を備える、被覆配合物(B1)である。
【0021】
この場合、粒子(P)の保護NCO基の好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%が、硬化剤(H)の保護イソシアネート基の保護基の60%、好ましくは70%、特に好ましくは90%より低い除去温度を有する保護基を持つ。被覆配合物(B1)における粒子(P)のすべての保護イソシアネート基の保護基が、硬化剤(H)の保護イソシアネート基の保護基のすべてより低い除去温度を有することが、特に好ましい。
【0022】
硬化剤(H)の保護基および粒子(P)の除去温度は、当業者に既知の文献から取られることが好ましい。しかし、疑わしい場合、上述された技法によって除去温度を決定することができる。
【0023】
除去温度を決定する1つの好ましい方法では、見つけられた温度は、遊離イソシアネート官能基の放出と共に、対象のタイプの保護基の少なくとも80%が30分以内に除去されるのに少なくとも必要な温度である。この除去温度は、たとえば、熱重量分析法によって決定することができる。
【0024】
粒子(P)が、この文脈において、粒子(P1)と、少なくとも1つの保護イソシアネート官能基を有する加水分解可能有機ケイ素(A)とから、以下で記述されるプロセスによって製造される場合、粒子(P)の保護イソシアネート官能基の除去温度は、粒子(P)自体を測定することによってではなく、代わりにシラン前駆体(A)を測定することによって決定される。この技法は、粒子(P)が、隔離することが不可能ではないにしてもしばしば困難であり、溶解状態においてのみ安定であるということにより、有利である。
【0025】
本発明は、粒子(P)の保護イソシアネート官能基の保護基の大部分が、塗料樹脂(L)および硬化剤(H)の反応温度より低い除去温度を有するという本発明の被覆配合物(B1)から作成されたコーティングが、この条件を満たさない対応するコーティングより優れた耐引掻性を示すという発見に基づく。これは、粒子(P)の他に、ヒドロキシ官能性塗料樹脂(L)と、粒子(P)のように保護イソシアネート基を有する硬化剤(H)とを備える被覆配合物(P1)に特に当てはまる。この場合、粒子の保護基が、少なくとも大部分、硬化剤のイソシアネート官能基(の大部分)より低い除去温度を有する本発明の被覆配合物(B1)は、粒子の保護基および硬化剤が同一である本発明によるものではないコーティングより著しく優れた耐引掻性を示す。塗料が硬化する過程において、本発明のコーティング(B1)により、粒子(P)をコーティングマトリクス材に化学的に組み込むことを改善することが可能になるということが、この効果の役割を担う。
【0026】
本発明は、
a)固体の割合に対して、20〜90重量%の反応性基を有する塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して、塗料が硬化するために、熱処理の際に塗料樹脂(L)の反応性基と反応する反応性官能基を有する1〜90重量%の塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える0.1〜40重量%の粒子(P)と、粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、50%を超える粒子(P)の保護イソシアネート基は、ブタノキシムより低い除去温度を有する保護基を持ち、
d)被覆配合物(B2)全体に対して、0〜90重量%の溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と、を備える、被覆配合物(B2)をさらに提供する。
【0027】
この場合、少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%の保護イソシアネート基が、ブタノキシムより低い除去温度を有する保護基を持つ、粒子(P)を備える被覆配合物(B2)が好ましい。被覆配合物(B2)の粒子(P)のすべてのイソシアネート基の保護基が、ブタノキシムより低い除去温度を有することが、特に好ましい。
【0028】
この場合、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%または90%の保護イソシアネート基、特に好ましくは100%が、ジイソプロピルアミン、3,5−ジメチルピラゾール、または2−イソプロピルイミダゾールで保護されている粒子(p)を備える被覆配合物(B2)が好ましい。
【0029】
本発明の1つの好ましい実施形態では、被覆配合物(B2)は、ヒドロキシ官能性塗料樹脂(L)を備える。
【0030】
さらに、塗料硬化剤(H)がメラミンホルムアルデヒド樹脂を備える被覆配合物(B2)が好ましい。しかし、粒子(P)のように、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する保護イソシアネート基を有する塗料硬化剤(H)を備える被覆配合物(B2)が特に好ましい。
【0031】
すなわち、
a)固体の割合に対して、反応性基を有する20〜90重量%のヒドロキシル基官能性の塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する保護イソシアネート基を有する1〜90重量%の塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える0.1〜40重量%の粒子(P)と、
粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、50%を超える粒子(P)の保護イソシアネート基は、ブタノキシムより低い除去温度を有する保護基を持ち、
d)被覆配合物(B2)全体に対して、0〜90重量%の溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と、を備える、被覆配合物(B2)が特に好ましい。
【0032】
本発明の1つの好ましい実施形態では、被覆配合物(B1)または(B2)は、
a)固体の割合に対して、30〜80重量%の塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して、10〜60重量%の塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える0.5〜30重量%の粒子(P)と、
粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、
d)被覆配合物(B1)または(B2)全体に対して、0〜80重量%の1つまたは複数の溶媒と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と、を備える。
【0033】
被覆配合物(B1)または(B2)は、
a)固体の割合に対して、40〜70重量%の塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して、15〜50重量%の塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して、1〜25重量%の粒子(P)と、
d)被覆配合物全体(B1)または(B2)に対して、20〜70重量%の1つ以上の溶媒と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と、を備えることが特に好ましい。
【0034】
被覆配合物全体(B1)または(B2)の割合としての1つまたは複数の溶媒の割合が、30%から60重量%、より好ましくは35%から60重量%であることが特に好ましい。
【0035】
本発明の1つの好ましい実施形態では、粒子(P)は、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなり、かつ遊離ヒドロキシル基を有する粒子(P1)と、
a)少なくとも1つの加水分解可能シリル官能基または少なくとも1つのヒドロキシシリル基を有し、
b)少なくとも1つの保護イソシアネート官能基を有する有機シラン(A)とを反応させることによって得ることが可能である。
【0036】
本発明の1つの特に好ましい実施形態では、一般的な化学式(I)のシラン(A)が使用され、
(RO)3−n(RSi−A−NH−C(O)−X (I)
は、それぞれ1から6のC原子を有する水素、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、炭素鎖は、隣接しない酸素、硫黄、またはNR基によって中絶されることが可能であり、
は、それぞれ1から12のC原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基を表し、炭素鎖は、隣接しない酸素、硫黄、またはNR基によって中絶されることが可能であり、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アミノアルキル基、またはアスパラギン酸エステル基を表し、
Xは、HXの形態において60から300℃の温度で除去され、このプロセスにおいてイソシアネート官能基を放出する保護基を表し、
Aは、1〜10の炭素原子を有する2官能性のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、
nは、0、1、または2の値をとることができる。
【0037】
基Rは、メチル基またはエチル基であることが好ましい。R基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはフェニル基であることが好ましい。Rは、10を超えない炭素原子、より格別には4を超えない炭素原子を有することが好ましい。Aは、好ましくは(CH基、特に好ましくはCH基を表す。
【0038】
保護基、より格別にはHXの好ましい除去温度は、80から200℃、特に好ましくは100から170℃である。使用される保護基HXは、たとえば、イソプロパノールまたはテルト−ブタノールなどの2級アルコールまたは3級アルコール、マロン酸ジエチル、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどのCH酸性化合物、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、ブタノキシム、シクロヘキサンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、またはジエチレングリオキシムなどのオキシム、カプロラクタム、バレロラクタム、ブチロラクタムなどのラクタム、フェノール、o−メチルフェノールなどのフェノール、N−メチルアセトアミドなどのN−アルキルアミド、フタルイミドなどのイミド、ジイソプロピルアミンなどの2級アミン、イミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール、ならびに2,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾールである。ブタノキシム、3,5−ジメチルピラゾール、カプロラクタム、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、ジイソプロピルアミン、ピロリドン、1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、および2−イソプロピルイミダゾールなどの保護基を使用することが好ましい。たとえばマロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、ブタノキシム、ジイソプロピルアミン、3,5−ジメチルピラゾール、および2−イソプロピルイミダゾールなど、低い焼き付け温度を可能にする保護基を使用することが特に好ましい。
【0039】
本発明の他の実施形態の場合、粒子(P)は、OH−官能性粒子(P1)と一般的な化学式(II)の有機シラン(A)とを反応させることによって製造され、
(RO)3−n(RSi−A−NR−C(O)−NH−Y−(NH−C(O)−X) (II)
、R、R、A、X、およびnは、一般的な化学式(I)について定義されており、
Yは、(z+1)官能性脂肪族または芳香族基を表し、
zは、1〜4、好ましくは1または2の数を表す。
【0040】
粒子(P1)と有機シラン(A)との間の反応は、反応物質が混合されるとき、直接行われることが好ましい。この文脈では、スペーサAがCHブリッジを表す一般的な化学式(I)または(II)のシラン(A)を使用することが特に有利であるが、その理由は、これらのシラン(A)の特徴は、粒子(P1)のヒドロキシル基に対する特に高い反応性であり、それにより、これらのシランでの粒子の感応化を特に迅速かつ低温で、より具体的には室温でさえ実施することができるからである。粒子(P1)は、水溶性もしくは無水プロトン性または非プロトン性の分散において、あるいは固体の状態において、分散として官能基化することが可能である。後者の場合、混合は、たとえば、流動層反応器において、またはプラウシェアミキサーなどの他の既知の混合デバイスにおいて行うことが可能である。
【0041】
モノアルコキシシリル官能基のみを有する一般的な化学式(I)または(II)のシラン(A)が使用される場合(すなわち、n=2を有する一般的な化学式(I)または(II)のシラン)、モノアルコキシシリル基が、粒子(P1)の表面上のヒドロキシル基と直接反応することができるため、粒子(P)の製造中に水を追加する必要はない。一方、ジまたはトリアルコキシシリル基を有するシラン(A)が使用される場合(すなわち、n=0または1を有する一般的な化学式(I)または(II)のシラン)、その場合、アルコキシシランが、粒子(P1)のSi−OH官能基とだけでなく、その加水分解に続いて互いにも反応することができるため、粒子(P)の製造中に水を追加することがしばしば有利である。これにより、内部架橋シラン(A)からなるシェルを有する粒子(P)が作成される。
【0042】
粒子(P)の製造において、シラン(A)だけでなく、シラン(A)と他のシラン(S1)、シラザン(S2)、またはシロキサン(S3)との任意の所望の混合物をも使用して、表面修正を実施することが可能である。シラン(S1)は、ヒドロキシシリル基または加水分解可能シリル官能基を有し、後者が好ましい。これらのシランは、他の有機官能基をさらに有することが可能であるが、他の有機官能基のないシラン(S1)も使用することができる。
【0043】
シラン(A)と一般的な化学式(III)のシラン(S1)との混合物を使用することが特に好ましい。
【0044】
(RO)4−a−b(RSiR (III)
、R、およびRは、一般的な化学式(I)について定義されており、
基は、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアネート基、メタクリル基、あるいはオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン単位からなる(ポリ)グリコール基によって所望であれば置換された1から18の炭素原子を有する同一または異なるSiC−結合炭化水素基を表し、
aは、0、1、2、または3を表し、
bは、0、1、2、または3を表す。
【0045】
この場合、aは、0、1、または2であることが好ましく、一方、bは、0または1であることが好ましい。
【0046】
使用されるシラザン(S2)および/またはシロキサン(S3)は、ヘキサメチルシラザンおよび/またはヘキサメチルジシロキサンであることが特に好ましい。
【0047】
使用することができる粒子(P1)は、すべて、金属酸化物粒子および混合金属酸化物粒子(たとえば、コランダムなどの酸化アルミニウム、他の金属および/またはケイ素とのアルミニウム混合酸化物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄)、酸化ケイ素粒子(たとえば、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、コロイドシリカ)、あるいは酸化ケイ素成分であり、ケイ素の原子価のいくつかは、有機基、すなわちシリコーン樹脂を持つ。これらの粒子(P1)は、その表面上に、有機シラン(A)との反応、およびまた適切であればシラン(Si)、シラザン(S2)、またはシロキサン(S3)との反応を介して行うことができる金属水酸化物および/またはケイ素水酸化物官能基を有するということについて注目すべきである。粒子(P1)は、1nmから100μm、好ましくは10nmから200nmの平均直径を有することが好ましい。
【0048】
本発明の1つの好ましい実施形態では、粒子(P1)は、四塩化ケイ素またはメチルジクロロシラン、あるいは水素トリクロロシランまたは水素メチルジクロロシラン、あるいはそれ自体で存在し、および炭化水素との混合物にある他のメチルクロロシランまたはアルキルクロロシラン、あるいは有機ケイ素化合物の任意の所望の揮発性または噴霧可能の混合物からなど、ケイ素化合物の発熱反応において製造されたヒュームドシリカからなる。
【0049】
湿式化学方式によって製造された、または高温(>1000℃)で製造されたシリカを使用することが可能である。発熱により製造されたシリカが特に好ましい。親水性および疎水性のシリカを使用することが可能である。
【0050】
異なる金属酸化物またはシリカの混合物を使用することも可能であり、例は、異なるBET表面積を有する金属酸化物またはシリカの混合物、あるいは異なる疎水性またはシリル化の程度を有するシリカの混合物である。
【0051】
表面修正の作業は、3つの個々のステップからなることが好ましい。(1)シリカにシランを装填する、(2)反応させる、(3)過剰なシランおよび/または副産物あるいは分解産物を除去するためにシリカを精製する。
【0052】
表面処置は、シリル化シリカの酸化をもたらさない大気、すなわち、好ましくは10容積%未満の酸素、特に好ましくは2.5容積%未満で実施されることが好ましい。最良の結果は、1容積%未満の酸素で達成される。
【0053】
コーティング、反応、および精製は、不連続または連続の作業として実施することができる。技術的な理由で、連続的な反応体系が好ましい。
【0054】
コーティングは、−30〜150℃、好ましくは20〜100℃の温度で行われることが好ましい。コーティング・ステップは、30〜50℃で行われることが特に好ましい。
【0055】
滞在時間は、1分〜24時間、好ましくは15分から240分、特に好ましくは、空間−時間歩留まりの理由で、15分から90分である。
【0056】
コーティング作業における圧力は、下方に0.2バールまでのわずかに不足圧力から最高で100バールの過剰圧力の範囲であり、技術的な理由で、標準的な圧力、すなわち、外圧/大気圧に関して加圧されない作業が好ましい。
【0057】
適切であれば他のシラン(S1)、シラザン(S2)、またはシロキサン(S3)との混合物におけるシラン(A)は好ましくは液体の形態で追加され、具体的には、粉末の形態にあるシリカに混合される。化合物は、純粋な形態において、あるいはたとえば、アルコール、たとえばより具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの1から6の炭素原子を有するアルカノール、ジエチルエーテル、THFなどのエーテル、もしくはジオキサン、またはヘキサンもしくはトルエンなどの炭化水素である当技術分野において使用される既知の溶媒における溶液として、混和することができる。たとえば、この場合の溶液における濃度は、5%〜95重量%、好ましくは30〜95重量%、特に好ましくは50〜95重量%である。
【0058】
混和は、ノズル技法によって、あるいは、加圧下(5から20バールが好ましい)での1流体ノズルにおける霧化、加圧下(気体および液体の2から20バールが好ましい)での2流体ノズルにおける噴霧、粉末形態シリカを有するシランの均一な分布を可能にする移動、回転、または静止内部を有するアトマイザまたは気体/固体交換アセンブリでの超微細分割のような有効な霧化技法など、同等の技法によって行われることが好ましい。
【0059】
適切であれば他のシラン(S1)、シラザン(S2)、またはシロキサン(S3)との混合物におけるシラン(A)は、超微細分割エアロゾルの形態で追加されることが好ましく、エアロゾルは、0.1〜20cm/sの沈降速度を有することを特徴とする。
【0060】
シリカの装填およびシランとの反応は、機械的流動化または気体支持流動化で行われることが好ましい。機械的流動化が特に好ましい。
【0061】
気体支持流動化は、N、Ar、他の希ガス、COなど、シラン、シリカ、およびシリル化シリカと反応しない、すなわち、2次反応、分解反応、酸化事象、あるいは燃焼または爆発の現象をもたらさないすべての不活性気体によるとすることができる。流動化気体は、0.05から5cm/s、特に好ましくは0.5〜2.5cm/sの表面気体速度の領域において供給されることが好ましい。
【0062】
パドル撹拌器、アンカ撹拌器、および他の適切な撹拌要素によって、不活性化に使用されることを超えて気体をさらに使用せずに行われる機械的流動化が特に好ましい。
【0063】
反応は、シリカ表面上のシランAの対応する保護基Xの除去温度より低い温度、好ましくは0〜200℃、好ましくは20〜100℃、特に非常に好ましくは20〜80℃、および1つの特定の実施形態では20〜40℃で行われる。反応時間は、5分から48時間、好ましくは10分から4時間になる。
【0064】
任意に、液体または蒸発性アルコールあるいは水などプロトン性溶媒を追加することが可能である。通常のアルコールは、イソプロパノール、エタノール、およびメタノールである。また、上述されたプロトン性溶媒の混合物を追加することも可能である。シリカに対して、1%から50重量%のプロトン性溶媒を追加することが好ましく、5%から25%が特に好ましい。水が特に好ましい。任意に、ルイス酸の意味で酸性、または塩化水素などのブロンステッド酸の酸性触媒、あるいは、アンモニアまたはトリエチルアミンなどのアミンなど、ルイス塩基またはブロンステッド塩基の意味で塩基性の塩基性触媒を追加することが可能である。これらは、微量で、すなわち1000ppm未満で追加されることが好ましい。触媒が追加されないことが特に好ましい。
【0065】
精製は、シリカ表面上のシランAの対応する保護基xの除去温度より低い温度で行われることが好ましく、20から200℃、好ましくは50℃から150℃、特に好ましくは50から100℃である。精製ステップは、撹拌を特徴とすることが好ましく、緩慢な撹拌および低レベルの混合が特に好ましい。撹拌要素は、完全な渦化ではなく、好ましくは混合および流動化が行われるように設定および移動されることが有利である。
【0066】
精製ステップは、好ましくは0.001から10cm/s、より好ましくは0.01から1cm/sの表面気体速度に対応して、増大した気体入力をさらに特徴とすることが可能である。これは、N、Ar、他の希ガス、COなど、シリカを有するシランA、またはシリル化シリカと反応しない、すなわち2次反応、分解反応、酸化事象、あるいは燃焼または爆発の現象をもたらさないすべての不活性気体によって行うことができる。
【0067】
さらに、シリル化中、または精製に続いて、たとえばプレス・ローラ、エッジ・ランナ・ミルおよびボール・ミルなどのミリング・アセンブリ、スクリューまたはワーム・ミキサ、ワーム・コンパクタ、ブリケッティング機械、あるいは適切な真空方法によって存在する空気または気体を吸引引き出しすることによるコンパクト化など、シリカを機械的にコンパクトにする方法を使用することが可能である。さらに、1つの特に好ましい手順では、粒子の作成および粒子の精製の作業に続いて、たとえばピン付きディスク・ミル、ハンマ・ミル、対向ジェット・ミル、インパクト・ミル、またはミリング/分類デバイスであるピン付きディスク・ミルまたはミリング/分類デバイスなど、シリカを脱凝集する方法を使用することが可能である。
【0068】
粒子(P1)として使用することができるシリル化ヒュームドシリカは、100nm未満の平均1次粒子サイズ、好ましくは5から50nmの平均1次粒子サイズを有することが好ましいことを特に特徴とする。本発明の1つの好ましい実施形態では、これらの1次粒子は、通常、隔離されて存在せず、代わりに50から1000nmの直径を有するより大きな凝集体の一部である。
【0069】
本発明のさらに好ましい実施形態では、粒子(P)の製造の開始点として使用される粒子(P1)は、水溶性または非水溶性の溶媒において対象酸化物粒子の分散の形態で一般に存在するサブミクロン・サイズのコロイド・酸化ケイ素または金属酸化物からなる粒子を備える。使用される酸化物は、とりわけ、金属アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ハフニウム、または錫の酸化物とすることが可能である。コロイド・シリカ・ゾルの有機溶液を使用することが特に好ましい。
【0070】
コロイド・酸化ケイ素または金属酸化物から粒子(p)を製造することは、様々なプロセスによって行われる。しかし、適切であれば他のシラン(S1)、シラザン(S2)、またはシロキサン(S3)との混合物においてシラン(A)を水溶性または有機ゾルに追加することによって行われることが好ましい。このゾルは、適切であれば、たとえば塩酸またはトリフルオロ酢酸などによって酸性として、あるいはたとえばアンモニアなどによって塩基性として安定される。反応は、一般的には、0〜200℃、好ましくは20〜80℃、特に好ましくは20〜60℃で行われる。反応時間は、通常1分と48時間の間、好ましくは1時間と24時間の間である。任意に、酸、塩基、重金属の触媒を追加することも可能である。これらは、<1000ppの微量で使用されることが好ましい。しかし、別の触媒が追加されないことが特に好ましい。
【0071】
コロイド・酸化ケイ素または金属酸化物のゾルは、しばしば、水溶性またはアルコール性の分散の形態にあるので、粒子(P)の製造中または製造後、1つまたは複数の溶媒を他の溶媒または他の溶媒混合物と交換することが有利である可能性がある。これは、たとえば、蒸留により元の溶媒を除去することによって実施することができ、蒸留前、蒸留中、1つのステップ、または複数のステップにおいて、新しい溶媒または溶媒混合物を追加することが可能であり、または蒸留後まで追加しないことが可能である。この文脈において適切な溶媒は、たとえば、水、芳香族または脂肪族のアルコールとすることが可能であり、アルコールの場合、脂肪族アルコール、より具体的には1から6の炭素原子を有する脂肪族アルコール(たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールの様々な位置異性体)、エステル(たとえば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ブチルジグリコールアセテート、酢酸メトキシプロピル)、ケトン(たとえば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(たとえば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、THF)、芳香族溶媒(トルエン、キシレンの様々な位置異性体、また溶媒ナフタなどの混合物)、ラクトン(たとえば、ブチロラクトンなど)、またはラクタム(たとえば、N−メチル−ピロリドン)とすることが可能である。この場合、非プロトン性溶媒、および排他的にまたは少なくとも部分的に非プロトン性溶媒からなる溶媒混合物が好ましい。非プロトン性溶媒は、硬化の過程で塗料に残存するあらゆる溶媒残留物が、保護基の除去後に放出されたイソシアネート官能基に対して不活性であるという利点を有する。粒子分散の製造の他に、固体形態の粒子(P)の隔離も考慮可能である。
【0072】
同様に、粒子(P1)の製造に関連して、さらに、一般的な化学式(IV)のシリコーン樹脂を粒子(P1)として使用することが好ましい。
【0073】
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (IV)
は、OR官能基、OH基、1から18の炭素原子を有する非置換あるいはハロゲン−、ヒドロキシル−、アミノ−、エポキシ−、チオール−、(メタ)アクリロイル、またはNCO−置換炭化水素基を表し、
eは、0以上の値を表し、
fは、0以上の値を表し、
gは、0以上の値を表し、
hは0以上の値を表し、
e+f+g+hの和は、少なくとも1、好ましくは少なくとも5の値を表す。
【0074】
すべての基Rの少なくとも70%は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはフェニル基であることが好ましい。
【0075】
1つの好ましい実施形態では、一般的な化学式(V)のシリコーン樹脂の場合、e+hの和は、e+f+g+hの和の少なくとも90モル%である。
【0076】
一般的な化学式(IV)のシリコーン樹脂およびシラン(A)から本発明の粒子(P)を製造することは、上述したプロセスによって行うことができる。
【0077】
粒子(P)を製造するさらに好ましいプロセスは、ヒドロキシル含有粒子(P1)から開始しない。代わりに、粒子(P)は、シラン(A)をシラン(S4)と共に共加水分解することによって製造される。使用されるシラン(S4)は、すべて、加水分解可能シランおよびまたヒドロキシシリル含有シランとすることができる。シロキサンまたはシラザンも、使用することができる。一般的な化学式(III)のシランを使用することが好ましい。適切なシラン(S4)の通常の例は、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェノールトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェノールトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、またはトリメチルエトキシシランである。当然、異なるシラン(S4)の異なる混合物を使用することも可能である。シラン(A)と同様に、追加の有機官能基を有さないシラン(S4)のみを含む混合物だけでなく、シラン(A)と同様に、追加の有機官能基を有さないシラン(S4)および追加の有機官能基を有するシラン(S4)をも含む混合物も、この文脈において使用することができる。粒子(P)が共加水分解によって製造される場合、様々なシランを共同して連続的に追加することができる。粒子(P)を製造する他のプロセスは、有機ポリシロキサン樹脂をシラン(A)と均衡させることを含む。共加水分解および均衡は、触媒が存在下で実施することができる。樹脂を製造するための共加水分解および均衡の原理的なプロセスは、多くの場合について文献に記載されている。
【0078】
本発明の被覆配合物(B1)または(B2)において粒子(P)と共に存在する塗料樹脂(L)は、好ましくはヒドロキシル含有プレポリマー、特に好ましくはヒドロキシル含有ポリアクリレートまたはポリエステルからなる。塗料の製造に適切なこの種類のヒドロキシル含有ポリアクリレートおよびポリエステルは、当業者には十分周知であり、多くの場合について関連文献に記載されている。
【0079】
同様に、本発明の被覆配合物(B1)または(B2)に存在する塗料硬化剤(H)は、最新技術として十分に周知であり、かつ文献に多くの例が記載されており、メラミンホルムアルデヒド樹脂を備えることが好ましく、または保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する保護イソシアネート基を有することが好ましい。これらの中で、保護イソシアネート官能基を有する硬化剤(H)が特に好ましい。通常、この目的について、それぞれの保護基が事前に設けられている一般的なジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートが使用される。この文脈における適切な保護基は、一般的な化学式(I)に関連して、およびまた一般的な化学式(I)に続く段落において保護基HXとして記述された同じ化合物であるが、粒子(P)の保護基および硬化剤(H)の保護基は、本発明の規定によれば、互いに整合されなければならない。イソシアネートとして、原理的には、文献の多くの例に記載されている種類のすべての慣例的なイソシアネートを使用することが可能である。一般的なジイソシアネートは、たとえば、未加工品またはテクニカルMDIの形態ならびに純粋4,4’および/または2,4’異性体の形態の両方にあるジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、またはその混合物、様々な位置異性体の形態にあるトリレンジイソシアネート(TDI)、ジイソシアナトナフタレン(NDI)、イソフロンジイソシアネート(IPDI)、ペルヒドロ化MDI(H−MDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアントシクロヘキサン、1,3―ジイソシアナト−4−メチルシクロヘキサヘキサン、またはその他のヘキサ−メチレンジイソシアナト(HDI)である。ポリイソシアネートの例は、ポリマーMDI(P−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびまた上述されたジイソシアネートのすべてのイソシアヌレート3量体またはビウレット3量体である。さらにまた、ブロックドNCO基を有する上述されたイソシアネートのオリゴマーさらに使用することも可能である。すべてのジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートは、個々にまたは混合物において使用することができる。同等にUV安定性である脂肪族イソシアネートのイソシアヌレート3量体およびビウレット3量体を使用することが好ましく、HDIおよびIPDIの3量体が特に好ましい。
【0080】
ブロックドイソシアネート基対塗料樹脂(L)のイソシアネート反応性基に対する硬化剤(H)および粒子(P)の比は、通常、0.5から2、好ましくは0.8から1.5、特に好ましくは1.0から1.2から選択される。
【0081】
さらに、被覆配合物(B1)または(B2)が、共通の溶媒ならびに被覆配合物において一般的である補助剤および添加剤をさらに備えることが可能である。溶媒として、芳香族炭化水素および脂肪族炭化水素、酢酸ブチルなどのエステル、ブチルジグリコールアセテート、酢酸エチル、または酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エーテル、イソプロパノールまたはイソブタノールなどのアルコール、アセトンまたはブチルメチルケトンなどのケトン、ラクトンまたはラクタムなどの複素環式化合物を例として挙げることが可能である。他の重要な溶媒は水である。したがって、水性塗料が、特にその低いVOC割合(揮発性有機成分)のために最も対象となる。添加剤には、とりわけ、流れ制御助剤、表面活性物質、接着促進剤、UV吸収剤などの光安定剤、および/または遊離基捕集剤、揺変剤、ならびに他の個体がある。被覆配合物(B1)または(B2)および硬化コーティングの両方について、各場合に望ましい特性のプロファイルを生成するために、この種類の補助剤が一般的に不可欠である。被覆配合物(B1)または(B2)はまた、染料を含むことも可能である。
【0082】
1つの好ましいプロセスの場合、本発明の被覆配合物(B1)または(B2)は、適切な溶媒における粉末または分散の形態にある粒子(P)を混合作業中に追加することによって作成される。しかし、さらに、マスタバッチで開始するために、粒子(P)および1つまたは複数の塗料成分から作成されるさらなるプロセスが好ましく、マスタバッチは、>15%、好ましくは>25%、特に好ましくは>35%の粒子濃度を有する。本発明の被覆配合物(B1)または(B2)を製造する文脈では、このマスタバッチは、次いで他の塗料成分と混合される。マスタバッチが粒子分散から開始して製造される場合、粒子分散の溶媒が、たとえば蒸留ステップによりマスタバッチの製造過程において除去される、あるいは異なる溶媒または溶媒混合物によって置換されることが有利である可能性がある。
【0083】
結果として得られた被覆配合物(B1)または(B2)は、耐引掻性、耐剥離性、または耐薬品性を向上させる目的で、任意の所望の物質をコーティングするために使用することができる。好ましい物質は、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、またはポリ塩化ビニルなどのプラスチック、および先行ステップにおいて加えられた他のコーティングである。
【0084】
特に好ましくは耐引掻性のクリアコート材料またはトップコート材料として、より具体的には車両産業において、被覆配合物(B1)または(B2)を使用することができる。被覆配合物は、浸漬、噴霧、および注入の方法によって加えることができる。また、湿潤プロセスにおいて湿気を加えることも可能である。硬化は、ブロックドイソシアネートに必要な条件下において加熱することによって行われ、当然、触媒を追加することにより加速することができる。
【0085】
上記の化学式のすべての記号は、互いに独立に各場合においてその定義を有する。すべての化学式において、ケイ素原子は4価である。
【0086】
特に断りのない限り、すべての量およびパーセンテージの数字は重量に基づき、すべての圧力は
0.10MPa(abs.)であり、すべての温度は20℃である。
【0087】
実施例:
合成例1:ブタノキシム保護イソシアネート基(シラン1)を有するアルコキシシランの製造
74.0gの2−ブタノキシムおよび0.12gのBorchi(登録商標)触媒(Borchers GmbHからの触媒VP 0244)をまず取り上げ、80℃に加熱する。1時間の過程にわたって、150.00gのイソシアナトトリメトキシシランを1滴ずつ追加し、混合物を80℃で1時間撹拌する。H N−MRおよびIR分光法は、イソシアナトシランが完全に反応したことを示す。
【0088】
合成例2:ジイソプロピルアミン保護イソシアネート基(シラン2)を有するアルコキシシランの製造
86.0gのジイソプロピルアミンおよび0.12gのBorchi(登録商標)触媒(Borchers GmbHからの触媒VP 0244)をまず取り上げ、80℃に加熱する。1時間の過程にわたって、150.00gのイソシアナトトリメトキシシランを1滴ずつ追加し、混合物を60℃で1時間撹拌する。H N−MRおよびIR分光法は、イソシアナトシランが完全に反応したことを示す。
【0089】
合成例3:ジイソプロピルアミン保護イソシアネート基(シラン3)を有するアルコキシシランの製造
74.5gのジイソプロピルアミンおよび0.12gのBorchi(登録商標)触媒(Borchers GmbHからの触媒VP 0244)をまず取り入れ、80℃に加熱する。1時間の過程にわたって、150.00gの3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランンを1滴ずつ追加し、混合物を60℃で1時間撹拌する。H N−MRおよびIR分光法は、イソシアナトシランが完全に反応したことを示す。
【0090】
合成例4:ブタノキシムブロックドイソシアネート基で修正されたヒュームドシリカの製造
不活性気体下で25℃の温度で、1%未満の含水量および100ppm未満のHCl含有量を有し、かつ300m/gの比表面積(DIN 66131および66132によるBET方法によって測定)を有する100gのヒュームド親水性シリカ(Wacker−Chemie GmbH、ドイツ、ミュンヘンから名称WACKER HDKO(登録商標)T30で入手可能)と、合成例1(シラン1)において記述された70gのブタノキシム保護イソシアナトシランおよび10mlの水とを、1つの流体ノズル(圧力:5バール)を介して非常に微細に分割された形態において混和する。そのように装填されたシリカは、その後、25℃の温度で2時間N下で流動化させ、次いで100l乾燥キャビネットにおいて80℃でN下で反応させる。これにより、シリル化剤の均一な層を有する白色シリカ粉末(KP−1)が与えられる。
【0091】
合成例5:ジイソプロピルアミン−ブロックドイソシアネート基で修正されたヒュームドシリカの製造
不活性気体下で25℃の温度で、1%未満の含水量および100ppm未満のHCl含有量を有し、かつ300m/gの比表面積(DIN 66131および66132によるBET方法によって測定)を有する100gのヒュームド親水性シリカ(Wacker−Chemie GmbH、ドイツ、ミュンヘンから名称WACKER HDKOT30で入手可能)と、合成例2(シラン2)において記述された70gのジイソプロピルアミン保護イソシアナトシランおよび10mlの水とを、1つの流体ノズル(圧力:5バール)を介して非常に微細に分割された形態において混和する。そのように装填されたシリカは、その後、25℃の温度で2時間N下で流動化させ、次いで100l乾燥キャビネットにおいて80℃でN下で反応させる。これにより、シリル化剤の均一な層を有する白色シリカ粉末(KP−2)が与えられる。
【0092】
合成例6:ブタノキシムブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子の製造
合成例1により製造された1.33gのブタノキシム保護イソシアナトシラン(シラン1)を1gのイソプロパノールに溶解させる。次いで、30分の過程にわたって、20gのSiO有機ゾル(Nissan ChemicalsからのIPA−ST、30重量%のSiO、12nmの平均粒子直径)を1滴ずつ追加し、トリフルオロ酢酸を追加することによってpHを3.5に調節する。得られた分散を60℃で3時間、次いで室温で18時間撹拌する。その後、18.0gの酢酸メトキシプロピルを追加する。混合物を数分間撹拌し、次いで、イソプロパノールの大部分を70℃で蒸留する。すなわち、ナノ粒子ゾルが28.0gに濃縮されるまで、蒸留を続ける。これにより、26.2%の固体含有量を有する分散が与えられる。SiOの含有量は、21.4%であり、分散における保護イソシアネート基の量は、0.18mmol/gである。分散は、わずかに混濁しており、ティンダル効果を示す。
【0093】
合成例7:ジイソプロピルアミンブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子の製造
合成例2により製造された1.40gのジイソプロピルアミン保護イソシアナトシラン(シラン2)を1gのイソプロパノールに溶解させる。次いで、30分の過程にわたって、20gのSiO有機ゾル(Nissan ChemicalsからのIPA−ST、30重量%のSiO、12nmの平均粒子直径)を1滴ずつ添加し、トリフルオロ酢酸を追加することによってpHを3.5に調節する。得られた分散を60℃で3時間、次いで室温で18時間撹拌する。その後、18.1gの酢酸メトキシプロピルを追加する。混合物を数分間撹拌し、次いで、イソプロパノール分を70℃で蒸留する。すなわち、ナノ粒子ゾルが29.4gに濃縮されるまで、蒸留を続ける。
【0094】
これにより、25.5%の固体含有量を有する分散が与えられる。SiOの含有量は、20.8%であり、分散における保護イソシアネート基の量は、0.17mmol/gである。分散は、わずかに混濁しており、ティンダル効果を示す。
【0095】
合成例8:ジイソプロピルアミンブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子の製造
合成例3により製造された1.54gのジイソプロピルアミン保護イソシアナトシラン(シラン3)をまず取る。次いで、30分の過程にわたって、20gのSiO有機ゾル(Nissan ChemicalsからのIPA−ST、30重量%のSiO、12nmの平均粒子直径)を1滴ずつ添加し、トリフルオロ酢酸を追加することによってpHを3.0に調節する。得られた分散を60℃で3時間、次いで室温で24時間撹拌する。SiOの含有量は27.9%であり、分散における保護イソシアネート基の量は、0.23mmol/gである。分散は、わずかに混濁しており、ティンダル効果を示す。
【0096】
例1:ブタノキシムブロックドイソシアネート基およびジイソプロピルアミン−ブロックドイソシアネート基によって修正されたヒュームドシリカを有する硬化剤を備える1成分被覆配合物の製造
本発明の被覆配合物を製造するために、Bayerからの8.56gのDesmophen(登録商標)A 365 BA/X(1.71mmolOH/gのヒドロキシル基含有量を有するアクリレート系の塗料ポリオール)と、Bayerからの6.33gのDesmodur(登録商標)BL 3175 SN(ブタノキシムブロックド・ポリイソシアネート、ブロックドNCO含有量約11%)とを混合する。これは、1.1:1の保護イソシアネート官能基対ヒドロキシル基のモル比に対応する。さらに、0.05gの50%強度のジブチル錫ジラウレート溶液(メチルエチルケトンにおける)、およびTEGO AGからの0.01gのADDID(登録商標)100(ポリジメチルシロキサンに基づく流れ制御助剤)、ならびにまた3.15gのメチルエチルケトンを混合し、約50%の固体含有量を有する被覆配合物を与える。
【0097】
結果として得られた混合物に、ジイソプロピルアミン−ブロックドイソシアネート基(KP−2)で修正された合成例5から得られた1.8gのヒュームドシリカを溶解機によって組み込み、クリアな被覆配合物を与える。
【0098】
比較例1(本発明によるものではない):ブタノキシムブロックドイソシアネート基およびブタノキシムブロックドイソシアネート基によって修正されたヒュームドシリカを有する硬化剤を備える1成分被覆配合物の製造
比較コーティングを製造するために、Bayerからの8.56gのDesmophen(登録商標)A 365 BA/X(1.71mmol/gのヒドロキシル基含有量を有するアクリレート系の塗料ポリオール)と、Bayerからの6.33gのDesmodur(登録商標)BL 3175 SN(ブタノキシムブロックド・ポリイソシアネート、ブロックドNCO含有量約11%)とを混合する。これは、1.1:1の保護イソシアネート官能基対ヒドロキシル基のモル比に対応する。さらに、0.05gの50%強度のジブチル錫ジラウレート溶液(メチルエチルケトンにおける)、およびTEGO AGからの0.01gのADDID(登録商標)100(ポリジメチルシロキサンに基づく流れ制御助剤)、ならびにまた3.15gのメチルエチルケトンを混合し、約50%の固体含有量を有する被覆配合物を与える。
【0099】
結果として得られた混合物に、ブタノキシムブロックドイソシアネート基(KP−1)で修正された合成例4から得られた1.8gのヒュームドシリカを溶解機によって組み込み、クリアな被覆配合物を与える。
【0100】
例1および比較例1からのコーティング膜の作成および評価
ErichsenからのCoatmaster(登録商標)509 MC 膜ドローイング装置を使用して、100μmのスロット高さを有するナイフで、例1および比較例1からの被覆配合物をそれぞれガラス・プレートの上にナイフコーティングする。次いで、得られたコーティング膜を強制空気乾燥キャビネットにおいて160℃で30分間乾燥する。例の被覆配合物およびまた比較例の被覆配合物の両方から、視覚的に欠陥のない滑らかなコーティングが得られる。Bykからのミクロ・グロス20°グロスメータを使用して、コーティングの光沢を測定し、例1からの被覆配合物については約144グロス単位、比較例1からの被覆配合物については約131グロス単位であることが判明する。
【0101】
そのように作成された硬化コーティングの耐引掻性を、Peter−Dahn剥離試験機器を使用して決定する。この目的のために、45×45mmの面積を有して剥離非織されたScotch Brite(登録商標)2297に500gの重りを装鎮し、50ストロークでのスクラッチに使用する。スクラッチ試験の開始前および終了後の両方において、Bykからのミクロ・グロス20°グロス・メータを使用してそれぞれのコーティングの光沢を測定する。それぞれのコーティングの耐引掻性の尺度として、初期値と比較した光沢の損失を確認した。
【0102】
【表1】

【0103】
例2:ブタノキシムブロックドイソシアネート基およびジイソプロピルアミン−ブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を有する硬化剤を備える1成分被覆配合物の製造
本発明の被覆配合物を作成するために、52.4重量%の固体含有量(溶媒:溶媒ナフタ、酢酸メトキシプロピル(10:1))、1.46mmol/g樹脂溶液のヒドロキシル基含有量、および10−15mgKOH/gの酸価を有する4.50gのアクリレート系塗料ポリオールと、Bayerからの2.69gのDesmodur(登録商標)BL 3175 SN(ブタノキシムブロックドポリイソシアネート、2.64mmol/gのブロックドNCO含有量)とを混合する。その後、ジイソプロピルアミンブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を含む合成例7により製造した0.76gの分散を追加する。これは、1.1:1の保護イソシアネート官能基対ヒドロキシル基のモル比に対応する。さらに、0.01gのジブチル錫ジラウレートと、イソプロパノールにおけるTEGO AGからの0.03gの10%強度溶液のADDID(登録商標)100(ポリジメチルシロキサンに基づく流れ制御助剤)とを混合し、約50%の固体含有量を有する被覆配合物を与える。当初依然としてわずかに混濁しているこの混合物を、室温で48時間撹拌し、クリアな被覆配合物を与える。
【0104】
例3:ブタノキシムブロックドイソシアネート基およびジイソプロピルアミンブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を有する硬化剤を備える1成分被覆配合物の製造
本発明の被覆配合物を作成するために、52.4重量%(溶媒:溶媒ナフタ、酢酸メトキシプロピル(10:1))、1.46mmol/gのヒドロキシル基含有量、および10〜15mg KOH/gの酸価を有する4.50gのアクリレート系塗料ポリオールと、Bayerからの2.60gのDesmodur(登録商標)BL 3175 SN(ブタノキシムブロックドポリイソシアネート、2.64mmol/gのブロックドNCO含有量)とを混合する。その後、ジイソプロピルアミンブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を含む合成例7により製造した2.11gの分散を添加する。これは、1.1:1の保護イソシアネート官能基対ヒドロキシル基のモル比に対応する。さらに、0.01gのジブチル錫ジラウレートと、イソプロパノールにおけるTEGO AGからの0.03gの10%強度溶液のADDID(登録商標)100(ポリジメチルシロキサンに基づく流れ制御助剤)とを混合し、約50%の固体含有量を有する被覆配合物を与える。当初依然としてわずかに混濁しているこの混合物を、室温で48時間撹拌し、クリアな被覆配合物を与える。
【0105】
例4:ブタノキシムブロックドイソシアネート基およびジイソプロピルアミンブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を有する硬化剤を備える1成分被覆配合物の製造
本発明の被覆配合物を作成するために、52.4重量%(溶媒:溶媒ナフタ、酢酸メトキシプロピル(10:1))、1.46mmol/gのヒドロキシル基含有量、および10〜15mg KOH/gの酸価を有する4.50gのアクリレート系塗料ポリオールと、Bayerからの2.69gのDesmodur登録商標)BL 3175 SN(ブタノキシムブロックドポリイソシアネート、2.64mmol/gのブロックドNCO含有量)とを混合する。その後、ジイソプロピルアミンブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を含む合成例8により製造した0.57gの分散を添加する。これは、1.1:1の保護イソシアネート官能基対ヒドロキシル基のモル比に対応する。さらに、0.05gの50%強度のジブチル錫ジラウレート溶液(メチルエチルケトンにおける)と、TEGO AGからの0.01gのADDID(登録商標)100(ポリジメチルシロキサンに基づく流れ制御助剤)とを混合し、約50%の固体含有量を有する被覆配合物を与える。当初依然としてわずかに混濁しているこの混合物を、室温で24時間撹拌し、クリアな被覆配合物を与える。
【0106】
比較例2(本発明によるものではない):ブタノキシムブロックドイソシアネート基およびブタノキシムブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を有する硬化剤を備える1成分被覆配合物の製造
コーティングを作成するために、52.4重量%(溶媒:溶媒ナフタ、酢酸メトキシプロピル(10:1))、1.46mmol/gのヒドロキシル基含有量、および10〜15mg KOH/gの酸価を有する4.50gのアクリレート系塗料ポリオールと、Bayerからの2.69gのDesmodur(登録商標)BL 3175 SN(ブタノキシムブロックドポリイソシアネート、2.64mmol/gのブロックドNCO含有量)とを混合する。その後、ブタノキシムブロックドイソシアネート基で修正されたSiOナノゾル粒子を含む合成例6により製造した0.75gの分散を添加する。これは、1.1:1の保護イソシアネート官能基対ヒドロキシル基のモル比に対応する。さらに、0.05gの50%強度のジブチル錫ジラウレート溶液(メチルエチルケトンにおける)と、TEGO AGからの0.01gのADDID(登録商標)100(ポリジメチルシロキサンに基づく流れ制御助剤)とを混合し、約50%の固体含有量を有する被覆配合物を与える。当初依然としてわずかに混濁しているこの混合物を、室温で24時間撹拌し、クリアな被覆配合物を与える。
【0107】
例2〜4ならびに比較例2および3からのコーティング膜の作成および評価
2〜4ならびに比較例2および3からの被覆配合物を、それぞれ、ErichsenからのCoatmaster(登録商標)509 MC 膜ドローイング装置を使用して、120μmのスロット高さを有するナイフで、ガラス・プレート上にナイフコーティングする。次いで、得られたコーティング膜を強制空気乾燥キャビネットにおいて70℃で30分間、続いて150℃で30分間乾燥する。例の被覆配合物およびまた比較例の被覆配合物の両方から、視覚的に欠陥のない滑らかなコーティングが得られる。Bykからのミクロ・グロス20°グロス・メータを使用して、コーティングの光沢を測定し、例2〜4ならびに比較例1および2からのすべての被覆配合物について160と164グロス単位の間であることが判明する。
【0108】
そのように作成された硬化コーティング膜の耐引掻性を、Peter−Dahn剥離試験機器を使用して測定する。この目的のために、45×45mmの面積を有して剥離非織されたScotch Brite(登録商標)2297に500gの重りを装鎮し、計40ストロークでの塗料のサンプルのスクラッチに使用する。スクラッチ試験の開始前および終了後の両方において、Bykからのミクロ・グロス20°グロス・メータを使用してそれぞれのコーティングの光沢を測定する。それぞれのコーティングの耐引掻性の尺度として、初期値と比較した光沢の損失を確認した。
【0109】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含有する被覆配合物(B1)であって、
a)固体の割合に対して20〜90重量%の、反応性基を有する塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して1〜90重量%の、塗料が硬化するために、熱処理の際に塗料樹脂(L)の反応性基と反応する反応性官能基を有する塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して0.1〜40重量%の、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える粒子(P)と、
d)被覆配合物(B1)全体に対して0〜90重量%の、溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、他の塗料成分および添加剤と
を含有し、前記粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、その50%を超える保護イソシアネート基は、塗料樹脂(L)の官能基と硬化剤(H)の官能基との反応の反応温度より除去温度が低い保護基を備える、被覆配合物。
【請求項2】
請求項1記載の被覆配合物(B1)であって、
a)固体の割合に対して20〜90重量%の、ヒドロキシル基官能性の塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して1〜90重量%の、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する保護イソシアネート基を有する塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して0.1〜40重量%の、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える粒子(P)と、
d)被覆配合物(B1)全体に対して0〜90重量%の、溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と
を含有し、前記粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、その50%を超える保護イソシアネート基は、硬化剤(H)の保護イソシアネート基の保護基の少なくとも55%より低い除去温度を有する保護基を備える、被覆配合物。
【請求項3】
以下のものを含有する被覆配合物(B2)であって、
a)固体の割合に対して20〜90重量%の、反応性基を有する塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して1〜90重量%の、塗料が硬化するために、熱処理の際に塗料樹脂(L)の反応性基と反応する反応性官能基を有する塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して0.1〜40重量%の、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える粒子(P)と、
d)被覆配合物(B2)全体に対して0〜90重量%の、溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と
を含有し、前記粒子(P)が、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、その50%を超える粒子(P)の保護イソシアネート基が、ブタノキシムより低い除去温度を有する保護基を備える、被覆配合物。
【請求項4】
請求項3記載の被覆配合物(B2)であって、
a)固体の割合に対して20〜90重量%の、ヒドロキシル基官能性の塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して1〜90重量%の、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する保護イソシアネート基を有する塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して0.1〜40重量%の、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなるコアを備える粒子(P)と、
d)被覆配合物(B2)全体に対して0〜90重量%の、溶媒または溶媒混合物と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と
を含有し、前記粒子(P)は、熱処理の際に保護基を除去してイソシアネート官能基を放出する少なくとも1つの保護イソシアネート基をその表面上に有し、その50%を超える粒子(P)の保護イソシアネート基は、ブタノキシムより低い除去温度を有する保護基を備える、被覆配合物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)であって、
a)固体の割合に対して30〜80重量%の、塗料樹脂(L)と、
b)固体の割合に対して10〜60重量%の、塗料硬化剤(H)と、
c)固体の割合に対して0.5〜30重量%の、粒子(P)と、
d)被覆配合物(B1)または(B2)全体に対して0〜80重量%の、1つ以上の溶媒と、
e)所望であれば、さらに塗料成分および添加剤と
を含有する、被覆配合物。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)であって、
粒子(P)が、金属原子、ケイ素原子、および酸素原子から選択された原子、またはシリコーン樹脂からなり、かつ遊離ヒドロキシル基を有する粒子(P1)と、
a)少なくとも1つの加水分解可能シリル官能基または少なくとも1つのヒドロキシシリル基を有し、
b)少なくとも1つの保護イソシアネート官能基を有する有機シラン(A)と、を反応させることによって得られる、被覆配合物。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)であって、
一般的な化学式(I):
(RO)3−n(RSi−A−NH−C(O)−X (I)
[式中、
が、水素、それぞれ1から6のC原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、その際、炭素鎖が、隣接しない酸素、硫黄、またはNR基によって中断されていてよく、
が、それぞれ1から12のC原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基を表し、その際、炭素鎖が、隣接しない酸素、硫黄、またはNR基によって中断されていてよく、
が、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アミノアルキル基、またはアスパラギン酸エステル基を表し、
Xが、HXの形態において60から300℃の温度で除去され、その際にイソシアネート官能基を放出する保護基を表し、
Aが、1〜10の炭素原子を有する2官能性のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、
nが、0、1、または2の値をとることができる]の有機シラン(A)が使用される、被覆配合物。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)であって、
一般的な化学式(II):
(RO)3−n(RSi−A−NR−C(O)−NH−Y−(NH−C(O)−X) (II)
[式中、
、R、R、A、X、およびnが、一般的な化学式(I)について請求項6に示される意味を有し、
Yが、(z+1)官能性脂肪族または芳香族基を表し、
zが、1〜4、好ましくは1または2の数を表す]の有機シラン(A)が使用される、被覆配合物。
【請求項9】
請求項6から8までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)であって、
粒子(P1)が、酸化アルミニウム、他の金属および/またはケイ素とのアルミニウム混合酸化物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ケイ素、およびケイ素のいくつかの原子価が有機基を備えるケイ素酸化物化合物から選択される、被覆配合物。
【請求項10】
請求項6から8までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)であって、
粒子(P1)として、一般的な化学式(IV):
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (IV)
[式中、
が、OR官能基、OH基、1から18の炭素原子を有する非置換あるいはハロゲン−、ヒドロキシル−、アミノ−、エポキシ−、チオール−、(メタ)アクリロイル、またはNCO−置換炭化水素基を表し、
eが、0以上の値を表し、
fが、0以上の値を表し、
gが、0以上の値を表し、
hが、0以上の値を表し、e+f+g+hの和が、少なくとも1つのものの少なくとも1つの値を表す]のシリコーン樹脂が使用される、被覆配合物。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)であって、
硬化剤(H)および粒子(P)のブロックドイソシアネート基と塗料樹脂(L)のイソシアネート反応性基との比が、0.5から2である、被覆配合物。
【請求項12】
耐引掻性のクリアコート材料またはトップコート材料としての請求項1から11までのいずれか1項記載の被覆配合物(B1)または(B2)の使用。

【公表番号】特表2008−530283(P2008−530283A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554481(P2007−554481)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000925
【国際公開番号】WO2006/084629
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】