説明

保護エンクロージャ

【課題】溶接プロセスを実行するシステムを提供する。
【解決手段】システムは、ロボットアーム226を有する制御可能ロボット及びロボットアームに連結される溶接装置を含む。溶接装置は、溶接プロセスを実行するように構成される。システムは、溶接装置に近接してロボットアームに連結されるハウジング200と、ハウジングの一方の端部に回転可能に連結される閉鎖部材214とをさらに含む。閉鎖部材は、開放位置及び閉鎖位置の間で回動するようになされる。カメラ234は、ハウジング内に配置され、そこに取り外し可能に連結される。カメラは、閉鎖部材の方向に向けられたレンズを有する。システムは、光源236がカメラに隣接して配置されるように、ハウジング内に配置されてそこに取り外し可能に連結される光源をさらに含む。溶接プロセス中、カメラ及び光源は、ハウジング及び閉鎖部材によって密封される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保護エンクロージャに関し、特に、過酷な溶接環境で電子装置を保護するための保護エンクロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
溶接は、例えば金属や熱可塑性材料などの二つ以上の材料を接合させる周知の製造工程である。多くの場合、溶接は工業環境で行われ、エネルギー源として、ガスの炎、電気アーク、レーザー、電子ビーム、摩擦力、又は超音波を使用する。溶接プロセスは危険な恐れがあり、火傷、電気ショック、視覚損傷、有毒なガス及び煙の吸入、及び激しい紫外線の暴露を避けるために配慮される。
【0003】
工業環境では、ロボット又は同様のものが多くの機能を実行し得る。これには有益な理由がいくつか挙げられる。まず、人間よりもロボットに危険な任務を実行させるほうがより安全である。次に、多くの場合、ロボットは止まることなく何時間、何日、あるいは何週間も自発的に働くことができる。ロボットは、多様な工業環境で使用され、改良された技術はロボットの機能性や能率性を向上させてきた。
【0004】
溶接において、ロボットは前述の多くの理由で使用されることが多い。しかしながら、ロボットによって実行される溶接プロセスを監視することが望ましい場合が多い。溶接プロセス中、ロボットは継続的に動くため、溶接プロセスを監視又は可視化することは困難な場合が多い。さらに、煙、粉塵、煙霧、及びスパッター(spatter)が溶接プロセス中に放出される可能性があり、それによって作業の監視をさらにぼやけさせたり阻止したりする。ビデオ機器は作業を記録するために使用できるが、作業自体から排出された物質によって溶接又は完成品が鮮明に見えにくくなる場合が多い。さらに、工業環境は暗いことが多く、溶接した材料上に向けられる光源の不足によって、監視者には溶接プロセス又は完成品がさらに思うように見えなくなる。
【0005】
幾つかの工業環境には、例えば、作業を監視するために溶接室の角に配置された複数のカメラが含まれる。この場合もやはり、放出された煙、粉塵、煙霧、及びスパッターは作業を見えにくくする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、溶接プロセス又は溶接プロセスからの完成品を可視化及び記録する手段を提供及び、溶接プロセスに近接近する機器を保護する必要性がある。溶接を実行するロボットの動作又は機能性を制限することなく、溶接において又は溶接に接近して画像及び照明機器の両方を提供することも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示的な実施形態において、溶接プロセスを実行するシステムが提供される。システムは、ロボットアームを有する制御可能ロボット及びロボットアームに連結される溶接装置を含む。溶接装置は、溶接プロセスを実行するよう構成される。システムは、溶接装置に近接してロボットアームに連結されるハウジングと、ハウジングの一方の端部に回動可能に連結される閉鎖部材も含む。閉鎖部材は、開放位置及び閉鎖位置の間で回動するようになされる。カメラは、ハウジング内に配置されてそこに取り外し可能に連結される。カメラは、閉鎖部材の方向に向けられたレンズを有する。システムは、光源がカメラに隣接して配置されるように、ハウジング内に配置されてそこに取り外し可能に連結される光源をさらに含む。溶接プロセス中、カメラ及び光源はハウジング及び前記閉鎖部材によって密閉される。
【0008】
本実施形態の一態様において、システムは、ハウジングの前端部に取り外し可能に連結される前面アクセスパネルを含み得る。別の態様において、システムは、閉鎖部材の反対側の端部でハウジングに取り外し可能に連結されるアクセスパネルを含み得る。異なる態様において、システムは、閉鎖部材に近接してハウジングに連結される透明な部材を含む。カメラ及び光源は、開放位置において、ハウジング及び透明な部材によって密封され得る。
【0009】
システムは、閉鎖部材に結合される泡層をさらに含み、泡層は、閉鎖位置において閉鎖部材と透明な部材との間で圧縮される。泡層は、閉鎖位置において閉鎖部材とハウジングとの間を密閉できる。システムは、閉鎖部材に可動式に連結される伸長部材を有するシリンダーをさらに含み、伸長部材は格納位置と伸長位置との間で実質的に直線方向に動作可能であり、閉鎖部材は、伸長部材が格納位置にある場合に閉鎖位置にあり、伸長部材が伸長位置にある場合に開放位置にある。
【0010】
別の実施形態において、溶接環境で使用するためのビジョンエンクロージャアセンブリが提供される。エンクロージャアセンブリは、天板、底板、側板、前板、及び背板を有するハウジングを含む。エンクロージャは、ハウジングに回動可能に連結される閉鎖部材をも含み、閉鎖部材は、開放位置及び閉鎖位置の間で回動するようになされている。ブラケットは、ハウジングの背板に連結され、ロボットアームに連結するように構成される。エンクロージャは、ハウジング内に配置されてそこに連結される画像記録装置をさらに含み、画像記録装置は、底板の方向に向けられたレンズを含んでいる。画像記録装置に近接して配置されて底板の方向に発光するように構成される光源は、ハウジング内に配置され、そこに連結される。天板、底板、側板、前板、及び背板は、それぞれの最長寸法が約六インチ未満である。
【0011】
関連する実施形態においては、前板及び天板はハウジングに取り外し可能に連結され得る。また、底板は少なくとも部分的に透明である。さらに底板は、ハウジングに固定して連結され得る。
【0012】
本実施形態の一態様において、底板及び閉鎖部材は、閉鎖位置において互いに実質的に平行である。別の態様では、底板及び閉鎖部材は、開放位置において互いに実質的に垂直である。さらに、画像記録装置及び光源は、開放位置及び閉鎖位置においてハウジングによって実質的に密封される。エンクロージャアセンブリは、閉鎖部材に結合されるシールをさらに含み得る。該シールは、閉鎖位置において閉鎖部材及び底板の間で圧縮され得る。エンクロージャアセンブリは、閉鎖部材に連結される伸長部材を有するシリンダーをさらに含み得る。伸長部材は、閉鎖部材が閉鎖位置にある格納位置と、閉鎖部材が開放位置にある伸長位置との間で動作可能である。
【0013】
別の実施形態において、エンクロージャは、溶接プロセス中に画像を記録するために設けられる。エンクロージャは、天板、底板、一対の側板、前板、及び背板を有するハウジングと、ロボットアームに連結するように構成され、ハウジングの背板に連結されるブラケットと、ハウジングに回動可能に連結され、開放位置及び閉鎖位置の間で回動するようになされる閉鎖部材と、ハウジング内に配置される画像記録手段と、ハウジング内に配置される発光手段と、ハウジングに回動可能に連結され、開放位置及び閉鎖位置の間を回動するようになされる閉鎖手段とを含み、記録手段及び発光手段は、閉鎖手段の方向に向かって互いに近接して配置される。
【0014】
本実施形態の一態様において、エンクロージャは、閉鎖手段に結合される密封手段を含むことができ、密封手段は閉鎖手段と閉鎖位置にある底板との間に配置される。別の態様では、エンクロージャは、第一の構成及び第二の構成を含むことができ、第一の構成において、閉鎖手段は開放位置に配置され、記録手段は底板の透明な部分を通して見える対象物を記録するように位置付けられ、発光手段は透明な部分を通して発光するように位置付けられ、第二の構成において、閉鎖手段は閉鎖位置に配置され、透明な部分を実質的に覆う。ハウジングの外側に置かれる対象物は、閉鎖手段の透明性に応じて、透明な部分及び第二の構成の閉鎖手段を介して見えたり見えなかったりする。
【0015】
本開示において、ビジョンエンクロージャアセンブリは、画像記録装置(例えば、カメラ)及び光源を溶接作業中に煙、煙霧、ダスト、スパッター(spatter)及び温度差から保護するためのエンクロージャを提供する。その結果、エンクロージャアセンブリは溶接工具に近接して配置でき、溶接された製品のビデオ又は写真をよりよい画像で撮影することができる。
【0016】
エンクロージャアセンブリはロボットアームに容易に取り付けでき、そのため溶接作業の画像の記録や製作用に工業環境に配置され得る。光源は、画像記録装置によってより品質が向上したビデオ又は画像が記録されるように有利に発光できる。さらに、エンクロージャパネルの大きさは非常に小型化し、ロボットアームの機動性を低下させないようになっている。
【0017】
さらに、エンクロージャアセンブリは、溶接されている材料に近接近してロボットアームに取付けできるので、ロボットは、人間を通常の溶接プロセスに伴う危険要因及びリスクにさらすことなく溶接を実行することができる。
【0018】
本発明の上述の態様及びそれらを取得する方法は、本発明の各実施形態の以下の説明を添付の図面と併せて参照することによってより明らかになり、本発明そのものがよりよく理解されるであろう。
【0019】
対応する参照番号は、それぞれの図にわたって対応する部品を示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、溶接プロセスを実行するロボットの斜視図である。
【図2】図2は、ビジョンエンクロージャの正面斜視図である。
【図3】図3は、図2のビジョンエンクロージャの背面斜視図である。
【図4】図4は、前板が開放された状態の図2のビジョンエンクロージャの正面斜視図である。
【図5】図5は、部分的に取り外されたビジョンエンクロージャの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に説明される本発明の各実施形態は、全てを網羅している訳ではなく、以下の詳細な説明に開示される厳密な形態に本発明を限定するものでもない。むしろ、各実施形態は、他の当業者が本発明の原則及び実行を認識し理解できるように選択及び説明されている。
【0022】
本開示では、いかなる工業環境又は危険な作業環境においても使用するためのエンクロージャアセンブリを提供する。当該エンクロージャアセンブリは、特に溶接環境で使用可能であり、溶接を実行するロボットに脱着可能に連結される。しかしながら、エンクロージャアセンブリは溶接環境に制限されず、工業用の塗装環境、テストセル等に有用なこともある。エンクロージャアセンブリは、録画装置、カメラ、光源、コンピュータ、録音装置、モニター、センサーなどのような筐体機器(housing equipment)にさらに適している。また、エンクロージャアセンブリは、信号機の柱上に設置されるなどの他の使用にも適している。そのような事例では、通行者や歩行者等を記録するためにビデオカメラをそこに取り付けることができる。
【0023】
本開示の例示的な一実施形態において、工業用溶接環境100が図1に示される。環境100は、作業セル、部屋、倉庫、工場、車庫、作業場(workshop)、又は他の同様の場所において定義され得る。環境100では、ロボット102が溶接作業を実行するために位置付けられる。ロボット102は、複数の軸(例えば、二つ以上の軸)を有する多軸ロボットであり得る。図示のように、ロボット102は、地面に設置されるベース110を含む。ロボット102は、互いに接続される第一のロボット部材112及び第二のロボット部材114をさらに含む。制御可能なロボットアーム部104は、第一のロボット部材112の反対側の端部で第二のロボット部材114に接続される。ロボットアーム部104は、溶接工具108などがロボットアーム部の一方の端部で保持又は連結され得るようになっている。複数の溶接工具108が、ロボットアーム部104に保持又は連結可能である。ロボット102は、いかなる公知の市販の産業ロボットであってもよい。ファナックロボティクスアメリカ(FANUC Robotics America, Inc.)が製造するARC Mate(登録商標)100iC/6Lロボットはその一例である。ロボット102は、例えば二つ以上の材料を一緒に溶接するために、電子的に制御可能である。
【0024】
エンクロージャアセンブリ106も同様に図1に示される。エンクロージャアセンブリ106は、ロボットアーム104に連結できる。本実施形態では、エンクロージャアセンブリ106は、溶接工具108の反対側にあるロボットアーム104の一方の端部に連結される。エンクロージャアセンブリ106がロボットアーム104に連結される位置又は場所は、アセンブリ106の目的の用途及び機能に基づいて変更可能である。例えば、温度センサーがエンクロージャアセンブリ106内に含まれていて、その目的の用途が溶接プロセス中に放出されるガスの温度を検知することである場合、溶接工具108にできるだけ近い場所にエンクロージャアセンブリ106を位置付けることが望ましいことがある。しかしながら、他の例では、溶接工具に接近してエンクロージャアセンブリ106を位置付けるのはあまり好ましくない場合がある。エンクロージャアセンブリ106の設計及び接続は、複数の場所でロボットアーム104に連結させるのに適しているといえる。
【0025】
次に、エンクロージャアセンブリ106をより詳細に説明する。エンクロージャアセンブリの一例が図2及び図3に示されている。例えば図2を参照すると、エンクロージャアセンブリ106は、外側のハウジング200を含み得る。ハウジング200は、天板202、底板204、側板206、前板208及び背板210によって形成され得る。天板202及び前板208は、ハウジング200に取り外し可能に連結できる。複数のねじ又はボルト212などの留め具(fasteners)は、天板202及び前板208をハウジングに固定するために使用できる。
【0026】
ロボットアーム104に取り付ける際にエンクロージャアセンブリ106がロボット102の機動性又は機能性を制限しないように、エンクロージャアセンブリ106は小型に設計されることが望ましい場合がある。例えば、ロボット102が実行する幾つかの機能は、ロボットアーム104に狭い領域で動作することを求めることがある。この場合、従来のカメラや映像機器は大半が大きすぎてロボットアーム104上に直接装着できず、もしそのような機器がアーム上に装着されると、ロボットは狭い又は小さい領域で柔軟に操作することができないであろう。したがって、本開示においては、説明されるエンクロージャアセンブリ106の各実施形態は、天板202、底板204、各側板206、前板208及び背板210を有するハウジング200を含み、これらの各板のいくつか又は全ての最長寸法が約6インチ(約15.24cm)未満であることが望ましい。例示的な一実施形態において、ハウジング200は、おおよそ3インチ(約7.62cm)×2インチ(約5.08cm)×6インチ(約15.24cm)の寸法であり得る。従来のエンクロージャアセンブリの大半は、最長寸法が少なくとも8インチ(約20.32cm)以上あり、そのようなエンクロージャアセンブリの有用性はその大きさが原因で限られている。
【0027】
図2及び図3において、エンクロージャアセンブリ106は、底板204の近くに設置される閉鎖部材214も含み得る。閉鎖部材214は、背板210の近くにヒンジなどを介してハウジング200に回動可能に連結される。図3に示すように、例えば、ボルトやねじなどのヒンジピン304は、閉鎖部材214をハウジング200に固定するために使用でき、ヒンジピンを中心に閉鎖部材214を回動できるようにする。閉鎖部材214は、図2及び図3において二つの位置に示されている。まず、閉鎖部材214は閉鎖位置250に示されており、そこでは天板202及び底板204と平行又は実質的に平行になっている。次に、閉鎖部材214は開放位置260にも示されており、そこでは天板202及び底板204に対して実質的に垂直になっている。開放位置260では、閉鎖部材214は背板210に対して実質的に平面になるように配置され得る。さらに、閉鎖部材214は、開放位置260において前板208及び背板210に対して実質的に平行に配置され得る。
【0028】
一実施形態において、閉鎖部材214は、対象物がそこを介して見えるように透明な部分又は窓を有することができる。本実施形態では、破片(debris)が閉鎖部材214を壊す又は損傷しないように、該透明な部分には適切な厚みがある。別の実施形態では、閉鎖部材214は、対象物がそこを介して見えないように透明性がなくてもよい。
【0029】
底板204は、透明又は半透明部分を含み得る。一実施形態において、閉鎖部材214が開放位置260に配置される場合、ハウジング200の内部が透明な物質を通して見えるように、底板204は透明なガラス材216で形成され得る。この場合、底板204は窓の役割を果たす。別の実施形態において、底板204は、半透明又は不透明な材料で形成され得る。異なる実施形態において、底板204は、透明な部分及び透明性がない部分を含み得る。
【0030】
ハウジング200を定義する複数の板(panels)は、それぞれ工業環境に配置されるのに適切な厚みを備えている。したがって、溶接又は他の工業上の利用の間、当該利用から放出される破片(debris)はハウジング200に接触してもよい。しかしながら、ハウジング200はそのような破片に耐えられるように設計されるのが望ましい。さらに、図示されていないが、ハウジング200の内部は、温度感知装置がそこに保管又は配置され得るように温度制御可能である。温度センサー及び温度制御装置(例えば、送風機、ヒートシンク、又はヒーター)は、そのような目的のためにハウジング200に連結され得る。
【0031】
閉鎖部材214は、シリンダーアセンブリ220によって開放位置260及び閉鎖位置250の間、またそれらの間の任意の位置で機械的に回動することができる。シリンダーアセンブリ220は、油圧、電子的手段、空気圧、又は他のいかなる既知の方法によって制御され得る。シリンダーアセンブリ220は、シリンダーアセンブリ220内で伸長及び格納する伸長アーム222又はロッド(rod)を含み得る。アーム222は空気圧で制御され、アームの一端で閉鎖部材214に連結され得る。シリンダーアセンブリ220は、側板206に対して平面又は実質的に平行であるブラケット又はフランジ232に連結され得る。ブラケット又はフランジ232は、例えば側壁206の延長部分でもよく、あるいは代わりに、ブラケット又はフランジ232は、ハウジング200の側壁206に一体化して結合される。したがって、閉鎖位置250では、伸長アーム222は格納位置にある。開放位置260では、伸長アーム222は伸長位置にある。
【0032】
ハウジング200をロボットアーム226に連結するための第二のブラケット224を図2及び図3に示す。ブラケット224は、円筒形のロボットアーム226に連結するためにU字形でもよく、あるいは、アーム226の大きさ及び形に合わせた別の設計でもよい。さらに、ブラケット224は、複数の留め具によってブラケット224をロボットアーム226に連結できる複数の開口(apertures)228を定義し得る。図3に示すように、別のブラケット又はフランジ306は、ハウジング200を第二のブラケット224に連結させうる。ブラケット又はフランジ306は、例えばハウジングの背板210に一体化して結合されてもよいし、あるいは、複数の留め具(fasteners)が連結に使用されてもよい。ハウジング200の背板210に定義される他の開口506(図5を参照)は、複数の留め具(図示せず)をはめ込むために使用されても、ハウジング200とブラケット224とを互いに連結させるのに使用されてもよい。ハウジング200は、ブラケット224を介してロボットアーム226に取り外し可能に連結することができ、それによってエンクロージャアセンブリ106は、ロボットアーム226に沿って異なる場所に移動でき、あるいは異なるロボットに連結され得る。
【0033】
再度図2を参照すると、泡状物質又は圧縮性材料218は、閉鎖部材214の内面上に配置され得る。泡状物質又は圧縮性材料218は、当該内面の外周又は周縁付近に結合される耐燃性物質でもよい。例えば、物質218は、いかなる弾性又は泡状物質、あるいは密閉に適したいかなる物質でもよい。代替的な配置においては、泡状物質又は圧縮性材料218は、閉鎖部材214の内面を完全に覆うことができる。泡状物質又は圧縮性材料218、あるいは圧縮性層は、複数の方法で閉鎖部材214に結合させることができる。例えば、複数の留め具230は、泡状物質又は圧縮性材料218を閉鎖部材214に結合させることができる。代わりに、粘着剤が結合に使用され得る。当該結合を実現するために他の既知の方法を利用してもよい。
【0034】
閉鎖位置250において、泡状物質又は圧縮性材料218は、閉鎖部材214と底板204との間で圧縮され得る。代わりに、泡状物質又は圧縮性材料214は、各板の大きさによって、閉鎖部材214、底板204、各側板206、前板208、又は背板210の間で圧縮され得る。泡状物質又は圧縮性材料214は、少なくとも閉鎖部材214の内面の外周又は周縁付近に配置されるので、泡状物質又は圧縮性材料218の圧縮は、ハウジング200の内部と外部環境との間を密封する。その結果、溶接作業中に、例えば、煙、煙霧、ダスト、スパッター(spatter)などは、当該密封(seal)によってハウジング200の内部に侵入できない。それゆえ、エンクロージャアセンブリ106は、危険な又は厳しい工業環境において電子機器にとって理想的な作動状態を提供する。
【0035】
図2では、エンクロージャアセンブリ106が画像記録装置234及び光源236を収容しているのを示している。光源236は、電気コンセントに接続するためのコード又はワイヤー238を含み得る。代わりに、光源236はバッテリー(図示せず)によって電力を供給されてもよい。画像記録装置234は、ビデオカメラ、デジタルカメラ、フィルム式カメラ、又は他のいかなる既知の画像記録装置であってもよい。例えば、画像記録装置234は、ソニー・エレクトロニクス社(Sony Electronics Inc.)製のXC−56カメラでもよい。光源236は、懐中電灯、スポットライト、又は他のいかなる既知の発光源でもよい。例えば、光源236は、バナーエンジニアリング社(Banner Engineering Corp.)製のBanner(登録商標)LEDRSWスポットライトでもよい。
【0036】
光源236は、留め具300(図3)によってハウジング200の背板210に取り外し可能に連結され得る。天板202は、光源236をハウジング200内に配置するために挿入できる開口を含め得る。ブラケット又はフランジ302は、天板202及び底板204と実質的に並行になるようにハウジング200の側壁206に連結して、ハウジング200の内部に伸長できる。ブラケット又はフランジ302は、光源236を受容する大きさの開口部500(図5参照)をさらに含む。ブラケット又はフランジ302は、光源236をハウジング200に連結するための留め具300を締めることができる第二の開口部又は穴502も含み得る。
【0037】
画像記録装置234は、ハウジング200の側板206に連結するための複数のねじ穴(threaded apertures)(図示せず)を含み得る。図5に示すように、側板206は複数の穴504を備えることができ、ねじ(図示せず)などの複数の留め具は該穴504を介して、画像記録装置234に定義されるねじ穴に連結できる。その結果、画像記録装置234はハウジング200から取り外すことができ、それにより記録された画像が装置234から取り出されて別のメディア(例えば、コンピュータ、フィルムなど)に転送できる。
【0038】
図4を参照すると、エンクロージャアセンブリ106は、ハウジング200から取り外された前板208と共に示されている。前板208の内面は、前述の圧縮性材料218に類似している絶縁層又は圧縮性層400を含み得る。絶縁層又は圧縮性層400は、前板208、天板202、底板204、及び側板206の間を密封できる。絶縁層又は圧縮性層400は、ハウジング200内に含まれる画像記録装置234、光源236、又は他のいかなる装置を破片から保護する任意の耐燃性物質であり得る。
【0039】
また、天板202は、第一の絶縁層又は圧縮性層400の物質に類似の絶縁層又は圧縮性層402も含み得る。天板202はまた、ハウジング200に取り外し可能に連結することもでき、それによって絶縁層又は圧縮性層402は密閉して、ハウジング200の内部を周囲環境の破片や他の粒子状物質から保護することができる。図示されるように、絶縁層又は圧縮性層402は、組立て時に天板202、各側板206、前板208、及び背板210の間を密閉することができる。
【0040】
図4に示す配置では、画像記録装置234及び光源236は、最も近接して隣り合わせで又は隣接した関係でハウジング200内に配置され得る。エンクロージャアセンブリ106の大きさが比較的小さいため、画像記録装置234及び光源236は、ハウジング200の内部の50%を超える容積を占有しうる。これによってまたエンクロージャアセンブリ106を小さくすることができ、エンクロージャアセンブリ106が連結され得るロボットアームの機動性を抑制しないようにする。
【0041】
さらに、画像記録装置234は、底板204の方向に向いているレンズ404を含み得る。光源から放出される光が底板204に向かって照射されるように、光源236もハウジング200に連結され得る。したがって、本実施形態において、閉鎖部材214は開放位置260に配置でき、それによりハウジングの外側の対象物が底板204の透明な部分を介して画像記録装置234及び光源236に見えるようになる。画像は画像記録装置234によって記録され、光源は、記録された画像が適切な質となるように画像に適した光を提供できる。
【0042】
異なる実施形態において、前板208は、対象物を画像記録装置234又は光源236で見ることができる透明な部分を含み得る。この配置では、画像記録装置234及び光源236は、対象物が表示されて画像が記録されるように、ハウジング200内で位置を変えられる。別の実施形態では、ハウジング200の他の板(例えば、天板202、各側板206、又は背板210)は、ハウジングの外側の対象物がハウジング200内に封入された画像記録装置234で見ることができる透明な部分を含み得る。ハウジング200における更なる構造は、画像記録装置234が移動可能になる(例えば、回転できる)ようにし、それにより画像がこれらの別々の板を介して記録されるようにする。本実施形態において、光源236又は他の装置は、画像記録装置のそのような動作を見越してハウジング内に配置されなくてもよい。同様に、光源236又は他の装置はハウジング200内に配置でき、ハウジングに連結される画像記録装置234なしでハウジング内を移動できる。エンクロージャアセンブリ106においては、溶接又は他のプロセス中に望ましい機能を実行するためにいかなる配置(setup)も可能である。
【0043】
本発明の原理を組み入れた例示的な各実施形態を上記に開示してきたが、本発明は開示された各実施形態に限定されるものではない。それよりむしろ、本出願は、本発明の一般的な原理を用いて、本発明の任意の変形、使用、又は適合を網羅することを目的としている。さらに本出願は、本発明が属し、かつ添付の請求項の範囲内にある分野において公知の、又は慣例的実施の範囲内に含まれるような本開示からの逸脱を網羅することを目的としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接プロセスを実行するシステムであって、
ロボットアームを有する制御可能ロボットと、
前記ロボットアームの一端に連結され、前記溶接プロセスを実行するよう構成される溶接装置と、
前記溶接装置に近接して前記ロボットアームに連結されるハウジングと、
前記ハウジングの一方の端部に回動可能に連結され、開放位置及び閉鎖位置の間で回動するようになされる閉鎖部材と、
前記閉鎖部材の方向に向けられたレンズを有し、前記ハウジング内に配置されてそこに取り外し可能に連結されるカメラと、
前記ハウジング内に配置されてそこに取り外し可能に連結され、前記カメラに隣接して連結される光源と
を備え、
前記溶接プロセス中に、前記ハウジング及び前記閉鎖部材によって前記カメラ及び前記光源が閉じ込められる、システム。
【請求項2】
前記ハウジングの前端部に取り外し可能に連結される前面アクセスパネルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記閉鎖部材の反対側の端部で前記ハウジングに取り外し可能に連結されるアクセスパネルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記閉鎖部材に近接して前記ハウジングに連結される透明な部材をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カメラ及び前記光源は、前記開放位置において、前記ハウジング及び前記透明な部材によって密封される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記閉鎖部材に結合される圧縮性層をさらに備え、前記圧縮性層は前記閉鎖位置において前記閉鎖部材と前記透明な部材との間で圧縮される、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記圧縮性層は、前記閉鎖位置において前記閉鎖部材と前記ハウジングとの間を密封する、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記閉鎖部材に可動式に連結される伸長部材を有するシリンダーをさらに備え、前記伸長部材は格納位置と伸長位置との間で実質的に直線方向に動き、
前記閉鎖部材は、前記伸長部材が格納位置にある場合に前記閉鎖位置にあり、前記閉鎖部材は、前記伸長部材が前記伸長位置にある場合に前記開放位置にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
溶接環境で使用するためのビジョンエンクロージャアセンブリであって、
天板、底板、側板、前板、及び背板を有するハウジングと、
前記ハウジングに回動可能に連結され、開放位置及び閉鎖位置の間で回動するようになされる閉鎖部材と、
ロボットアームに連結するように構成され、前記ハウジングの前記背板に連結されるブラケットと、
前記底板の方向に向けられたレンズを含み、前記ハウジング内に配置されてそこに連結される画像記録装置と、
前記ハウジング内に配置されてそこに連結され、前記画像記録装置に近接して配置され、前記底板の方向に発光するように構成される光源と
を備え、
前記天板、前記底板、前記側板、前記前板、及び前記背板は、それぞれの最長寸法が約六インチ未満である、ビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項10】
前記前板及び前記天板は前記ハウジングに取り外し可能に連結される、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項11】
前記底板は少なくとも部分的に透明である、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項12】
前記底板は前記ハウジングに固定して連結される、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項13】
前記底板及び前記閉鎖部材は、前記閉鎖位置において互いに実質的に平行である、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項14】
前記底板及び前記閉鎖部材は、前記開放位置において互いに実質的に垂直である、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項15】
前記画像記録装置及び前記光源は、前記開放位置及び前記閉鎖位置において前記ハウジングによって実質的に密封される、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項16】
前記閉鎖部材に結合されるシールをさらに備え、前記シールは、前記閉鎖位置において前記閉鎖部材及び前記底板の間で圧縮される、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項17】
前記閉鎖部材に連結される伸長部材を有するシリンダーをさらに備え、前記伸長部材は前記閉鎖部材が前記閉鎖位置にある格納位置と、前記閉鎖部材が前記開放位置にある伸長位置との間で動作可能である、請求項9に記載のビジョンエンクロージャアセンブリ。
【請求項18】
溶接プロセス中に画像を記録するためのエンクロージャであって、
天板、底板、一対の側板、前板、及び背板を有するハウジングと、
ロボットアームに連結するように構成され、前記ハウジングの前記背板に連結されるブラケットと、
前記ハウジング内に配置される画像記録手段と、
前記ハウジング内に配置される発光手段と、
前記ハウジングに回動可能に連結され、開放位置及び閉鎖位置の間を回動するようになされる閉鎖手段と
を備え、
前記記録手段及び前記発光手段は、前記閉鎖手段の方向に向かって互いに近接して配置される、エンクロージャ。
【請求項19】
前記閉鎖手段に結合される密封手段をさらに備え、前記密封手段は前記閉鎖手段と前記閉鎖位置にある前記底板との間に配置される、請求項18に記載のエンクロージャ。
【請求項20】
第一の構成及び第二の構成をさらに備え、
前記第一の構成において、前記閉鎖手段は前記開放位置に配置され、前記記録手段は前記底板の透明な部分を通して見える対象物を記録するように位置付けられ、前記発光手段は前記透明な部分を通して発光するように位置付けられ、
前記第二の構成において、前記閉鎖手段(214)は前記閉鎖位置(250)に配置され、前記透明な部分(216)を実質的に覆う、請求項18に記載のエンクロージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−6213(P2013−6213A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−86834(P2012−86834)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(301027579)ディア・アンド・カンパニー (6)