保護シース
【課題】外力により損傷する虞のあるコード、ロープまたはチューブを外力から確実に保護することができ、かつ、保護対象となるコード、ロープまたはチューブを必要に応じて相対的に滑動させることができる保護シースを提供する。
【解決手段】保護対象となる電源コードCの外周に切割り部11の開口を通して装着された保護シース10は、電源コードCがドアDに挟まれて剪断力を受ける部位に置かれる。この保護シース10は、難滑性の合成ゴムなどからなる本体の難滑性により、ドアDに挟まれた位置に留まり、その本体の弾性により、ドアDに挟まれる電源コードCを剪断力から保護する。その際、本体の内周側に配置された易滑性のポリエチレンテレフタレート(PET)からなるガイド体が電源コードCを相対的に滑動自在とする。
【解決手段】保護対象となる電源コードCの外周に切割り部11の開口を通して装着された保護シース10は、電源コードCがドアDに挟まれて剪断力を受ける部位に置かれる。この保護シース10は、難滑性の合成ゴムなどからなる本体の難滑性により、ドアDに挟まれた位置に留まり、その本体の弾性により、ドアDに挟まれる電源コードCを剪断力から保護する。その際、本体の内周側に配置された易滑性のポリエチレンテレフタレート(PET)からなるガイド体が電源コードCを相対的に滑動自在とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力により損傷する虞のあるコード、ロープまたはチューブを外力から保護するようにこれらに装着される保護シースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気機器の電源コードは、比較的軟質の絶縁材で芯線が被覆されているため、大きな剪断力や曲げ力などの外力が繰り返して作用すると、損傷して芯線が断線する虞がある。そこで、従来、電気コードを外力から保護して損傷を予防するようにした保護シースが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1には、電気製品の本体から導出された電源コードがその導出部位で屈曲疲労により断線するのを防止するためのコードブッシング(保護シース)が記載されている。このコードブッシング(保護シース)は、弾力性のある合成樹脂製の内側ブッシングおよび外側ブッシングからなり、電気製品の本体に装着されている。
【0004】
また、特許文献2には、内視鏡や処置具などの医療用挿入具を破損させることなく挿入できるようにした保護シースが記載されている。この保護シースは、手元側の硬性部と、この硬性部の先端側に連結された可撓性を有する軟性部とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−9876号公報
【特許文献2】特開平5−123287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の保護シース(コードブッシング)は、電気製品の本体から導出された電源コードが導出部位で屈曲疲労により断線するのを防止するものであって、保護対象となる電源コードを必要に応じて相対的に滑動させることはできない。
【0007】
一方、特許文献2に記載の保護シースは、医療用挿入具を破損させることなく挿入できるようにしたものであって、予め、医療用挿入具の挿入補助具内に挿通されて使用される。このため、電気製品の電源コードなどを外力から保護するように使用することはできない。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に対応してなされたものであり、電気製品の電源コードなど、外力により損傷する虞のあるコード、ロープまたはチューブを外力から確実に保護することができ、かつ、保護対象となるコード、ロープまたはチューブを必要に応じて相対的に滑動させることができる保護シースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明に係る保護シースは、保護対象となるコード、ロープまたはチューブの外周に装着するための切割り部を有する筒状の保護シースであって、難滑性のエラストマーからなる本体と、この本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る保護シースは、外力により損傷する虞のあるコード、ロープまたはチューブを外力から保護するため、そのコード、ロープまたはチューブの外周に切割り部の開口を通して装着される。そして、この保護シースは、コード、ロープまたはチューブが外力を受ける部位に置かれる。
【0011】
このような保護シースの装着状態において、難滑性のエラストマーからなる本体は、その難滑性により外力を受ける位置に留まり、その本体の弾性によりコード、ロープまたはチューブを外力から保護する。その際、本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体は、コード、ロープまたはチューブを相対的に滑動自在とする。
【0012】
本発明の保護シースにおいて、コード、ロープまたはチューブを相対的に滑動自在とするガイド体は、本体の少なくとも両端部のみ、あるいは中間部のみに配置されていればよく、本体の両端部と中間部とに配置されていてもよいし、本体の全長に亘って配置されていてもよい。
【0013】
ここで、ガイド体が蛇腹状の断面形状を有していると、コード、ロープまたはチューブに対する接触抵抗が減少するため、コード、ロープまたはチューブはガイド体に対し一層円滑に滑動できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る保護シースでは、難滑性のエラストマーからなる本体がその難滑性により外力を受ける位置に留まり、その本体の弾性によりコード、ロープまたはチューブを外力から保護する。その際、本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体は、コード、ロープまたはチューブを相対的に滑動自在とする。
【0015】
従って、本発明に係る保護シースによれば、保護対象となるコード、ロープまたはチューブを外力から確実に保護することができ、かつ、保護対象となるコード、ロープまたはチューブを必要に応じて相対的に滑動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る保護シースの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した保護シースの軸方向と直交する横断面図である。
【図3】図1に示した保護シースの軸方向に沿った縦断面図である。
【図4】図1に示した保護シースがドアに挟まれた状態の使用例を示す平断面図である。
【図5】図1に示した保護シースの第1変形例を示す図1に対応した斜視図である。
【図6】図1に示した保護シースの第2変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図7】図1に示した保護シースの第3変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図8】図1に示した保護シースの第4変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図9】図1に示した保護シースの第5変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図10】図1に示した保護シースを複数連結可能に構成した他の変形例を示す正面図である。
【図11】図10に示した複数の保護シースの変形例を示す図10に対応した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る保護シースの実施の形態を説明する。一実施形態の保護シースは、例えばオフィスビルや公共施設などで使用される業務用の掃除機、ポリッシャー、可動式送風機などの電源コードを保護対象として構成されている。
【0018】
図1に示すように、一実施形態の保護シース10は、保護対象となる電源コードCの外周に装着される円筒状に形成されており、その周面には、電源コードCの外周に装着するための切割り部11が開口している。
【0019】
切割り部11は、保護シース10の軸方向に沿って直線的に延びており、この切割り部11の開口を挟んだ対向縁部の断面形状は、電源コードCを円滑に通せるように、図2に示すような半円状とされている。
【0020】
図3に示すように、円筒状の保護シース10の両端部には、内周側に膨出することで電源コードCの外周を案内する一対のガイド部12,12が形成されている。このガイド部12,12は、電源コードCが円滑に滑動できるように、半円状の断面形状で内周側に膨出している。
【0021】
ここで、図2および図3に示すように、保護シース10は、肉厚の円筒状に形成された本体13の内周側に肉薄の円筒状に形成されたガイド体14が配置されて一体的に重ねられた構造を有する。
【0022】
肉厚の本体13は、表面が滑りにくい難滑性を有し、かつ、適度の弾性を有するエラストマー、例えば合成ゴムやABS系の弾性樹脂からなる。一方、肉薄のガイド体14は、表面が滑りやすい易滑性を有する合成樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やフッ素樹脂からなる。
【0023】
以上のように構成された一実施形態の保護シース10は、図4に示すように、掃除機等(図示省略)の電源コードCを外力から保護するように、切割り部11の開口を通して電源コードCの外周に装着される。その際、切割り部11の開口を挟んだ対向縁部の断面形状が図2に示すような半円状とされているため、電源コードCは切割り部11の開口を円滑に通過でき、保護シース10は、電源コードCの外周に容易に装着される。
【0024】
電源コードCの外周に装着された保護シース10は、例えばオフィスビル内等のドアDの開口部を通して引き廻された電源コードCがドアDに挟まれて大きな剪断力を受けるような部位に置かれる。すなわち、保護シース10は、電源コードCを挿通させた状態でドアDの周縁部とドア枠Jとの間に挟持される。
【0025】
ドアDの周縁部とドア枠Jとの間に挟持された保護シース10は、合成ゴムやABS系の弾性樹脂からなる肉厚の本体13が適度の弾性を有し、その表面が滑りにくい難滑性を有するため、ドアDの周縁部およびドア枠Jを傷つけることなくドアDに挟まれた位置に留まる。そして、この保護シース10は、肉厚の本体13および肉薄のガイド体14による適度の剛性により、ドアDに挟まれる剪断力から電源コードCを保護する。
【0026】
ここで、保護シース10の内周側を構成する円筒状のガイド体14は、表面が滑りやすい易滑性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)やフッ素樹脂からなり、このガイド体14の両端部が半円状の断面形状で内周側に膨出しているため、電源コードCはガイド体14に対して円滑に滑動できる。その結果、図示しない掃除機等の移動に応じて電源コードCが引張られる場合においても、電源コードCは保護シース10内を円滑に滑動することができる。
【0027】
従って、一実施形態の保護シース10によれば、保護対象となる電源コードCをドアDに挟まれる剪断力から確実に保護することができ、かつ、保護対象となる電源コードCを必要に応じて相対的に滑動させることができる。
【0028】
本発明に係る保護シースは、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示した保護シース10の切割り部11は、図5に示す保護シース20の切割り部21のように、保護シース20の軸方向の中間部が円周方向に緩く湾曲する形態としてもよい。この場合、切割り部21が湾曲しているため、保護シース20内に挿通された電源コードCが切割り部21から不用意に引き出されることがない。
【0029】
また、図3に示した保護シース10のガイド体14は、図6に示す保護シース30のガイド体34のように、蛇腹状の断面形状を有する円筒状、例えば、波形の断面形状が軸方向に連続する円筒状に変更し、これに対応して、保護シース30の本体33は、ガイド体34の断面形状に合致する断面形状に変更することができる。
【0030】
この場合、図6に示した保護シース30内に挿通される電源コードCは、ガイド体34の軸方向に連続する波形断面形状の内面の突部に点接触するため、ガイド体34に対して一層円滑に滑動できるようになる。
【0031】
さらに、図3に示した保護シース10の円筒状のガイド体14は、図7に示す保護シース40のガイド体44,44のように、円筒状の本体43の両端部に配置されて内周側に半円状の断面形状で膨出するリング状のものに変更することができる。
【0032】
また、図3に示した保護シース10の円筒状のガイド体14は、図8に示す保護シース50のガイド体54のように、滑りやすいナイロン繊維などからなるウィッグを肉厚の円筒状に成形したものに変更することができる。なお、このガイド体54は、円筒状の本体53の両端部に形成された小径の絞り部54,54により抜け止めされる。
【0033】
さらに、図3に示した保護シース10の円筒状のガイド体14は、図9に示す保護シース60の円筒状の本体63の内周に装着されるガイド体64に変更することができる。このガイド体64は、小径の円筒状のガイド部64Aと、このガイド部64Aの外周から本体63の内面に向かって放射状に張り出す複数のフィン64Bを有するものである。
【0034】
ここで、一実施形態の保護シース10は、例えばオフィスビルや公共施設などで使用される業務用の掃除機等の電源コードを保護対象としていたが、本発明の保護シースは、外力により損傷する虞のあるロープやチューブを外力から保護するものとして構成することができる。
【0035】
図10は、前述した保護シース10を相互に複数個連結可能に構成したものであり、そのための構造として、保護シース10の本体13には、一端部にオス形連結手Aが一体成形され、他端部にメス形連結手Bが一体成形されている。オス形連結手Aは、例えば矢じり形に成形され、メス形連結手Bは矢じり形のオス形連結手Aを係止可能な楕円などのリング形に成形されている。
【0036】
図10に示したオス形連結手Aおよびメス形連結手Bを有する保護シース10は、例えば瓦礫などの間を通して牽引される救援ロープ(図示省略)を所定長さに亘って保護するように、相互に複数個連結された状態で図示しない救援ロープの外周に装着される。
【0037】
なお、図10に示した矢じり形のオス形連結手Aおよびリング形のメス形連結手Bは、図11に示すような球形突部からなるオス形連結手Aおよび球形凹部からなるメス形連結手Bに変更することができる。これらのオス形連結手Aおよびメス形連結手Bは、保護シース10の本体13の円周方向の1個所に設けてもよいし、円周方向の対向位置に一対設けてもよい。
【0038】
前述した保護シース20,30,40,50についても、図10または図11に示すようなオス形連結手Aおよびメス形連結手Bを付設することで相互に複数個連結することができ、この状態で図示しない救援ロープの外周に装着することで、瓦礫などの間を通して牽引される救援ロープ(図示省略)を所定長さに亘って保護することができる。
【0039】
また、本発明の保護シースは、病院や医院で使用される点滴用のチューブ等を保護対象とした小型の保護シースとして構成することができる。この場合、点滴用のチューブ等に装着した小型の保護シースを例えばトイレのドアに挟むことで、点滴用のチューブ等がトイレのドアに挟まれて点滴液が止まるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0040】
10:保護シース
11:切割り部
12:ガイド部
13:本体
14:ガイド体
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力により損傷する虞のあるコード、ロープまたはチューブを外力から保護するようにこれらに装着される保護シースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気機器の電源コードは、比較的軟質の絶縁材で芯線が被覆されているため、大きな剪断力や曲げ力などの外力が繰り返して作用すると、損傷して芯線が断線する虞がある。そこで、従来、電気コードを外力から保護して損傷を予防するようにした保護シースが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1には、電気製品の本体から導出された電源コードがその導出部位で屈曲疲労により断線するのを防止するためのコードブッシング(保護シース)が記載されている。このコードブッシング(保護シース)は、弾力性のある合成樹脂製の内側ブッシングおよび外側ブッシングからなり、電気製品の本体に装着されている。
【0004】
また、特許文献2には、内視鏡や処置具などの医療用挿入具を破損させることなく挿入できるようにした保護シースが記載されている。この保護シースは、手元側の硬性部と、この硬性部の先端側に連結された可撓性を有する軟性部とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−9876号公報
【特許文献2】特開平5−123287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の保護シース(コードブッシング)は、電気製品の本体から導出された電源コードが導出部位で屈曲疲労により断線するのを防止するものであって、保護対象となる電源コードを必要に応じて相対的に滑動させることはできない。
【0007】
一方、特許文献2に記載の保護シースは、医療用挿入具を破損させることなく挿入できるようにしたものであって、予め、医療用挿入具の挿入補助具内に挿通されて使用される。このため、電気製品の電源コードなどを外力から保護するように使用することはできない。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に対応してなされたものであり、電気製品の電源コードなど、外力により損傷する虞のあるコード、ロープまたはチューブを外力から確実に保護することができ、かつ、保護対象となるコード、ロープまたはチューブを必要に応じて相対的に滑動させることができる保護シースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明に係る保護シースは、保護対象となるコード、ロープまたはチューブの外周に装着するための切割り部を有する筒状の保護シースであって、難滑性のエラストマーからなる本体と、この本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る保護シースは、外力により損傷する虞のあるコード、ロープまたはチューブを外力から保護するため、そのコード、ロープまたはチューブの外周に切割り部の開口を通して装着される。そして、この保護シースは、コード、ロープまたはチューブが外力を受ける部位に置かれる。
【0011】
このような保護シースの装着状態において、難滑性のエラストマーからなる本体は、その難滑性により外力を受ける位置に留まり、その本体の弾性によりコード、ロープまたはチューブを外力から保護する。その際、本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体は、コード、ロープまたはチューブを相対的に滑動自在とする。
【0012】
本発明の保護シースにおいて、コード、ロープまたはチューブを相対的に滑動自在とするガイド体は、本体の少なくとも両端部のみ、あるいは中間部のみに配置されていればよく、本体の両端部と中間部とに配置されていてもよいし、本体の全長に亘って配置されていてもよい。
【0013】
ここで、ガイド体が蛇腹状の断面形状を有していると、コード、ロープまたはチューブに対する接触抵抗が減少するため、コード、ロープまたはチューブはガイド体に対し一層円滑に滑動できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る保護シースでは、難滑性のエラストマーからなる本体がその難滑性により外力を受ける位置に留まり、その本体の弾性によりコード、ロープまたはチューブを外力から保護する。その際、本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体は、コード、ロープまたはチューブを相対的に滑動自在とする。
【0015】
従って、本発明に係る保護シースによれば、保護対象となるコード、ロープまたはチューブを外力から確実に保護することができ、かつ、保護対象となるコード、ロープまたはチューブを必要に応じて相対的に滑動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る保護シースの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した保護シースの軸方向と直交する横断面図である。
【図3】図1に示した保護シースの軸方向に沿った縦断面図である。
【図4】図1に示した保護シースがドアに挟まれた状態の使用例を示す平断面図である。
【図5】図1に示した保護シースの第1変形例を示す図1に対応した斜視図である。
【図6】図1に示した保護シースの第2変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図7】図1に示した保護シースの第3変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図8】図1に示した保護シースの第4変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図9】図1に示した保護シースの第5変形例を示す図3に対応した縦断面図である。
【図10】図1に示した保護シースを複数連結可能に構成した他の変形例を示す正面図である。
【図11】図10に示した複数の保護シースの変形例を示す図10に対応した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る保護シースの実施の形態を説明する。一実施形態の保護シースは、例えばオフィスビルや公共施設などで使用される業務用の掃除機、ポリッシャー、可動式送風機などの電源コードを保護対象として構成されている。
【0018】
図1に示すように、一実施形態の保護シース10は、保護対象となる電源コードCの外周に装着される円筒状に形成されており、その周面には、電源コードCの外周に装着するための切割り部11が開口している。
【0019】
切割り部11は、保護シース10の軸方向に沿って直線的に延びており、この切割り部11の開口を挟んだ対向縁部の断面形状は、電源コードCを円滑に通せるように、図2に示すような半円状とされている。
【0020】
図3に示すように、円筒状の保護シース10の両端部には、内周側に膨出することで電源コードCの外周を案内する一対のガイド部12,12が形成されている。このガイド部12,12は、電源コードCが円滑に滑動できるように、半円状の断面形状で内周側に膨出している。
【0021】
ここで、図2および図3に示すように、保護シース10は、肉厚の円筒状に形成された本体13の内周側に肉薄の円筒状に形成されたガイド体14が配置されて一体的に重ねられた構造を有する。
【0022】
肉厚の本体13は、表面が滑りにくい難滑性を有し、かつ、適度の弾性を有するエラストマー、例えば合成ゴムやABS系の弾性樹脂からなる。一方、肉薄のガイド体14は、表面が滑りやすい易滑性を有する合成樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やフッ素樹脂からなる。
【0023】
以上のように構成された一実施形態の保護シース10は、図4に示すように、掃除機等(図示省略)の電源コードCを外力から保護するように、切割り部11の開口を通して電源コードCの外周に装着される。その際、切割り部11の開口を挟んだ対向縁部の断面形状が図2に示すような半円状とされているため、電源コードCは切割り部11の開口を円滑に通過でき、保護シース10は、電源コードCの外周に容易に装着される。
【0024】
電源コードCの外周に装着された保護シース10は、例えばオフィスビル内等のドアDの開口部を通して引き廻された電源コードCがドアDに挟まれて大きな剪断力を受けるような部位に置かれる。すなわち、保護シース10は、電源コードCを挿通させた状態でドアDの周縁部とドア枠Jとの間に挟持される。
【0025】
ドアDの周縁部とドア枠Jとの間に挟持された保護シース10は、合成ゴムやABS系の弾性樹脂からなる肉厚の本体13が適度の弾性を有し、その表面が滑りにくい難滑性を有するため、ドアDの周縁部およびドア枠Jを傷つけることなくドアDに挟まれた位置に留まる。そして、この保護シース10は、肉厚の本体13および肉薄のガイド体14による適度の剛性により、ドアDに挟まれる剪断力から電源コードCを保護する。
【0026】
ここで、保護シース10の内周側を構成する円筒状のガイド体14は、表面が滑りやすい易滑性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)やフッ素樹脂からなり、このガイド体14の両端部が半円状の断面形状で内周側に膨出しているため、電源コードCはガイド体14に対して円滑に滑動できる。その結果、図示しない掃除機等の移動に応じて電源コードCが引張られる場合においても、電源コードCは保護シース10内を円滑に滑動することができる。
【0027】
従って、一実施形態の保護シース10によれば、保護対象となる電源コードCをドアDに挟まれる剪断力から確実に保護することができ、かつ、保護対象となる電源コードCを必要に応じて相対的に滑動させることができる。
【0028】
本発明に係る保護シースは、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示した保護シース10の切割り部11は、図5に示す保護シース20の切割り部21のように、保護シース20の軸方向の中間部が円周方向に緩く湾曲する形態としてもよい。この場合、切割り部21が湾曲しているため、保護シース20内に挿通された電源コードCが切割り部21から不用意に引き出されることがない。
【0029】
また、図3に示した保護シース10のガイド体14は、図6に示す保護シース30のガイド体34のように、蛇腹状の断面形状を有する円筒状、例えば、波形の断面形状が軸方向に連続する円筒状に変更し、これに対応して、保護シース30の本体33は、ガイド体34の断面形状に合致する断面形状に変更することができる。
【0030】
この場合、図6に示した保護シース30内に挿通される電源コードCは、ガイド体34の軸方向に連続する波形断面形状の内面の突部に点接触するため、ガイド体34に対して一層円滑に滑動できるようになる。
【0031】
さらに、図3に示した保護シース10の円筒状のガイド体14は、図7に示す保護シース40のガイド体44,44のように、円筒状の本体43の両端部に配置されて内周側に半円状の断面形状で膨出するリング状のものに変更することができる。
【0032】
また、図3に示した保護シース10の円筒状のガイド体14は、図8に示す保護シース50のガイド体54のように、滑りやすいナイロン繊維などからなるウィッグを肉厚の円筒状に成形したものに変更することができる。なお、このガイド体54は、円筒状の本体53の両端部に形成された小径の絞り部54,54により抜け止めされる。
【0033】
さらに、図3に示した保護シース10の円筒状のガイド体14は、図9に示す保護シース60の円筒状の本体63の内周に装着されるガイド体64に変更することができる。このガイド体64は、小径の円筒状のガイド部64Aと、このガイド部64Aの外周から本体63の内面に向かって放射状に張り出す複数のフィン64Bを有するものである。
【0034】
ここで、一実施形態の保護シース10は、例えばオフィスビルや公共施設などで使用される業務用の掃除機等の電源コードを保護対象としていたが、本発明の保護シースは、外力により損傷する虞のあるロープやチューブを外力から保護するものとして構成することができる。
【0035】
図10は、前述した保護シース10を相互に複数個連結可能に構成したものであり、そのための構造として、保護シース10の本体13には、一端部にオス形連結手Aが一体成形され、他端部にメス形連結手Bが一体成形されている。オス形連結手Aは、例えば矢じり形に成形され、メス形連結手Bは矢じり形のオス形連結手Aを係止可能な楕円などのリング形に成形されている。
【0036】
図10に示したオス形連結手Aおよびメス形連結手Bを有する保護シース10は、例えば瓦礫などの間を通して牽引される救援ロープ(図示省略)を所定長さに亘って保護するように、相互に複数個連結された状態で図示しない救援ロープの外周に装着される。
【0037】
なお、図10に示した矢じり形のオス形連結手Aおよびリング形のメス形連結手Bは、図11に示すような球形突部からなるオス形連結手Aおよび球形凹部からなるメス形連結手Bに変更することができる。これらのオス形連結手Aおよびメス形連結手Bは、保護シース10の本体13の円周方向の1個所に設けてもよいし、円周方向の対向位置に一対設けてもよい。
【0038】
前述した保護シース20,30,40,50についても、図10または図11に示すようなオス形連結手Aおよびメス形連結手Bを付設することで相互に複数個連結することができ、この状態で図示しない救援ロープの外周に装着することで、瓦礫などの間を通して牽引される救援ロープ(図示省略)を所定長さに亘って保護することができる。
【0039】
また、本発明の保護シースは、病院や医院で使用される点滴用のチューブ等を保護対象とした小型の保護シースとして構成することができる。この場合、点滴用のチューブ等に装着した小型の保護シースを例えばトイレのドアに挟むことで、点滴用のチューブ等がトイレのドアに挟まれて点滴液が止まるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0040】
10:保護シース
11:切割り部
12:ガイド部
13:本体
14:ガイド体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象となるコード、ロープまたはチューブの外周に装着するための切割り部を有する筒状の保護シースであって、
難滑性のエラストマーからなる本体と、この本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体とを有することを特徴とする保護シース。
【請求項1】
保護対象となるコード、ロープまたはチューブの外周に装着するための切割り部を有する筒状の保護シースであって、
難滑性のエラストマーからなる本体と、この本体の内周側に配置された易滑性の合成樹脂からなるガイド体とを有することを特徴とする保護シース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−235660(P2012−235660A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104204(P2011−104204)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(511112397)
【出願人】(511112401)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(511112397)
【出願人】(511112401)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]